(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記計算ユニットは、前記輪郭線に基づいて前記所定部位を手術する場合に利用されえる手術予定線をさらに計算し、前記所定部位の輪郭線及び前記手術予定線の少なくとも一方を出力ユニットに対して出力する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
前記出力ユニットは、前記手術予定線及び前記所定部位の輪郭線のうちの少なくとも一方を、被検体の体表面に貼付可能な紙に印刷する請求項5乃至7のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
前記出力ユニットは、前記手術予定線及び前記所定部位の輪郭線のうちの少なくとも一方を、被検体の体表に投影する請求項5乃至7のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
前記出力ユニットは、前記ボリュームデータの取得の際に用いられる超音波プローブの位置を基準として、前記手術予定線及び前記所定部位の輪郭線のうちの少なくとも一方を、前記被検体の体表に投影する請求項5乃至7のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
前記出力ユニットは、前記手術予定線及び前記所定部位の輪郭線のうちの少なくとも一方を、生体を傷つけないレーザーを用いて前記被検体の体表に出力する請求項5乃至7のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
前記データ取得ユニットが、被検体の所定部位を含む三次元領域を超音波走査することで、前記三次元領域に関するボリュームデータを取得する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
被検体の所定部位を含む三次元領域に関するボリュームデータにおいて複数の平面の各々に含まれる前記所定部位の輪郭を抽出し、前記各平面において抽出された前記所定部位の各輪郭の論理和により前記所定部位の輪郭線を計算する計算ユニットを具備する医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。また、各実施形態においては説明を具体的とするため、診断対象は乳房であるとする。しかしながら、これに拘泥されることなく、本発明に係る技術的思想は、乳房以外の所定の臓器、例えば肝臓、膵臓等に対しても有効である。
【0010】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置1は、装置本体11、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、必要に応じて装置本体11に接続される出力装置32を具備している。
【0011】
超音波プローブ12は、装置本体11からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体に超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0012】
なお、超音波プローブ12は、三次元領域を超音波走査することが可能である揺動プローブ或いは二次元アレイプローブであるとする。揺動プローブとは、所定方向に配列された複数の超音波振動子を当該配列方向に垂直な方向に沿って機械的に揺動させながら超音波走査することが可能なプローブである。また、二次元アレイプローブとは、複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列され、超音波ビームの送受信方向を三次元的に制御可能なプローブである。
【0013】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0014】
モニター14は、画像生成ユニット25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。
【0015】
出力装置32は、後述する手術予定線マーキング支援機能に従う処理において取得された病変の実寸や手術予定線等を所定の形態で出力するためのプリンタ、プロジェクター、レーザー出力装置等である。
【0016】
装置本体11は、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成ユニット25、画像メモリ26、画像合成ユニット27、制御プロセッサ(CPU)28、記憶ユニット29、インタ
ーフェースユニット30を具備している。
【0017】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0018】
なお、超音波送信ユニット21は、制御プロセッサ28の指示に従って所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に送信駆動電圧の変更については、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0019】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、超音波プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0020】
Bモード処理ユニット23は、超音波受信ユニット22からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。画像生成ユニット25は、Bモード処理ユニット23からの信号を反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニター14に表示される。この時、エッジ強調や時間平滑化、空間平滑化など、種々の画像フィルタも施され、ユーザの好みに応じた画質を提供できるようになっている。
【0021】
ドプラ処理ユニット24は、超音波受信ユニット22からから受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。得られた血流情報は画像生成ユニット25に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらの組み合わせ画像としてモニター14にカラー表示される。
【0022】
画像生成ユニット25は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。また、画像生成ユニット25は、入力装置13からの指示に応答して、走査断面画像、MPR画像、ボリュームレンダリング画像等を生成する。さらに、画像生成ユニット25は、後述する手術予定線マーキング支援機能に従う処理(手術予定線マーキング支援処理)において、収集されたボリュームデータ内の平行する複数のC面で手術対象部位(に対応するデータ)を切断し、各C断面に対応する複数の画像を生成する。なお、当該画像生成ユニット25に入る以前のデータは、「生データ」と呼ばれることがある。
【0023】
画像メモリ26は、例えばフリーズする直前の複数フレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。この画像メモリ26に記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示することも可能である。
【0024】
画像合成ユニット27は、画像生成ユニット25から受け取った画像を種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号としてモニター14に出力する。
【0025】
制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。制御プロセッサ28は、記憶ユニット29から画像生成・表示等を実行するための制御プログラム、後述する手術予定線マーキング支援機能を実現するための専用プログラム等を読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0026】
記憶ユニット29は、送受信条件、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラムや、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、ボディマーク生成プログラム、後述する手術予定線マーキング支援機能を実現するための専用プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。記憶ユニット29のデータは、インタ
ーフェースユニット30を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0027】
インタ
ーフェースユニット30は、入力装置13、ネットワーク、外部記憶装置に関するインタフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、当該インタ
ーフェースユニット30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0028】
(手術予定線マーキング支援機能)
次に、本超音波診断装置1の手術予定線マーキング支援機能について説明する。本機能は、被検体の手術対象部位(患部、病巣部等)の断面の実寸輪郭、或いは当該実寸輪郭に所定のマージンを加えた手術予定線を超音波画像に基づいて計算し、少なくとも一方を実寸サイズで出力することで、手術時における手術対象部位のマーキングを支援するものである。
【0029】
図2は、本実施形態に係る手術予定線マーキング支援機能に従う処理(手術予定線マーキング支援処理)の流れを示したフローチャートである。同図に従って、手術予定線マーキング支援処理について説明する。
【0030】
[患者情報等の入力受等:ステップS1]
まず、入力装置13を介して患者情報、送受信条件(焦点深さ、送信電圧、画角や揺動範囲等)等が入力される。画角や揺動範囲等は、手術対象部位を含むように設定される。制御プロセッサ28は、各種情報、条件を記憶ユニット29に記憶する(ステップS1)。
【0031】
[ボリュームスキャンの実行:ステップS2]
次に、制御プロセッサ28は、例えば超音波プローブ12が揺動プローブである場合には、超音波振動子列を当該配列方向に垂直な方向に揺動させながら、複数の揺動角度(揺動位置)に対応する各断面に超音波を送信し、その反射波を受信することで、手術対象部位を含む三次元領域についてのボリュームスキャンを実行する(ステップS2)。或いは、超音波プローブ12が二次元マトリックス状に配列された二次元アレイプローブである場合には、超音波ビームを三次元的に走査することで、手術対象部位を含む三次元領域についてのボリュームスキャンを実行する。
【0032】
ステップS2において取得された各断面毎のエコー信号は、逐次超音波受信ユニット22を経由してBモード処理ユニット23に送られる。Bモード処理ユニット23は、対数増幅処理、包絡線検波処理等を実行し、信号強度が輝度で表現される輝度データを生成する。画像生成ユニット25は、Bモード処理ユニット23から受け取った輝度データを用いて、各走査断面に対応する2次元画像(走査断面画像)を生成する。
【0033】
[画像再構成(ボリュームデータの生成):ステップS3]
画像生成ユニット25は、生成された複数の走査断面画像データに対して実際の空間座標系(すなわち、複数の走査断面画像データが定義される座標系)からボリュームデータ空間座標系への座標変換を実行し補間処理を行うことで、ボリュームデータを再構成する(ステップS3)。
【0034】
[複数のC面画像の生成:ステップS4]
画像生成ユニット25は、生成されたボリュームデータを用いて、複数のC面画像を生成する(ステップS4)。すなわち、
図3に示すように、画像生成ユニット25は、例えば平行する複数のC面でボリュームデータ内の手術対象部位(に対応するデータ)を切断し、各C断面に対応する複数のC面画像を生成する。(ステップS4)。
【0035】
[手術予定線の計算:ステップS5]
次に、制御プロセッサ28は、生成された複数のC面画像を用いて、実寸の手術予定線を計算する(ステップS5)。例えば、制御プロセッサ28は、例えば
図3の右側に示すように、生成された各MPR画像上における手術対象部位の輪郭を計算し、計算された各輪郭の論理
和による最大輪郭線を用いて、実寸の手術対象部位断面の輪郭を計算する。さらに、制御プロセッサ28は、計算した実寸の手術対象部位断面の輪郭に、所定幅のマージンを加えた輪郭を実寸の手術予定線として計算する。
【0036】
なお、実寸の手術対象部位断面の輪郭の計算手法は、上記例に拘泥されない。他の例としては、例えば、生成された各C面画像上における手術対象部位の断面の面積を計算し、その中から最大面積である手術対象部位の断面を決定し、これを用いて実寸の手術対象部位断面の輪郭を計算する。また、制御プロセッサ28は、計算した実寸の手術対象部位断面の輪郭に、所定幅のマージンを加えた輪郭を実寸の手術予定線として計算するようにしてもよい。さらに、実寸の手術対象部位断面の輪郭に加算されるマージンの幅は、ユーザによってその都度決定してもよいし、予め装置に記憶されている推奨値を利用するようにしてもよい。
【0037】
また、ボリュームデータ内の手術対象部位(に対応するデータ)を切断する切断面は、C面に拘泥されない。例えば、操作者からの入力に応答して、或いは自動的にボリュームデータに任意の切断面(MPR面)を設定することができる。係る切断面を設定した場合には、当該切断面上の手術対象部位の輪郭、手術予定線は、C面画像の実寸として計算される。
【0038】
[手術予定線の出力:ステップS6]
次に、出力装置32は、計算された実寸の手術予定線を所定の形態で出力する(ステップS6)。本実施形態では、出力装置32は、被検体の体表面に貼付可能な紙に印刷するものとする。このとき、当該貼付可能な紙を体表面上のいずれの位置に貼付するかの基準となる基準マーカも同時に印刷される。この基準マーカとしては、現在の超音波プローブ12の体表上の配置位置等を採用することができる。術者は、現在の超音波プローブ12の位置と基準マーカとが合致するように、出力された紙を例えば
図4に示すように被検体の体表面に貼付することで、病変部、手術予定線等のマーキングを簡単且つ迅速に行うことができる。
【0039】
なお、手術予定線を出力する紙としては、被検体の体表面に貼付可能なものに拘泥されない。例えば、実寸の手術予定線をトレースペーパーに出力し、これを基準マーカに合わせて配置し体表面に実寸の手術予定線を写し取るようにしても、同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、手術予定線だけでなく、必要に応じて実寸の手術対象部位断面の輪郭も合わせて出力するようにしてもよい。或いは、実寸の手術対象部位断面の輪郭のみを出力することも可能である。いずれを出力するかは、例えば入力装置13からの指示により、任意に選択することができる。
【0041】
なお、手術予定線の出力形態は、上記例に拘泥されず、他にも種々のものか考えられる。以下、出力形態のバリエーションについて、以下実施例に従って説明する。
【0042】
(変形例1)
本変形例に係る出力形態は、超音波プローブ12と被検体との間に配置された熱感紙(又は音感紙)に手術予定線を出力する(描出する)ものである。
【0043】
図5は、本変形例1に係る出力形態を説明するための図である。同図に示すように、超音波プローブ12と被検体の体表面との間に熱感紙(又は音感紙)を配置する。制御プロセッサ28は、手術予定線の輪郭を描出するために、ビーム方向や音圧等の送信条件を決定し、決定された送信条件に従って超音波送信ユニット21を制御する。当該制御に従って送信される超音波ビームにより、熱感紙(又は音感紙)上に手術予定線が描出されることになる。
【0044】
なお、広範囲な手術予定線を熱感紙(又は音感紙)上に描出するためには、超音波プローブ12を体表に沿って移動させる必要がある。係る場合には、取得済みのボリュームデータと現在の超音波プローブ12の位置において取得される二次元画像との位置対応付けを行うことで、超音波プローブ12を移動すべき方向を判定することができる。さらに、判定された移動すべき方向を例えばモニター14等に表示等することで、操作者の超音波プローブ12の移動を支援することが好ましい。
【0045】
(変形例2)
本変形例に係る出力形態は、プロジェクター(映像投影装置)によって被検体の体表面に手術予定線を出力する(映し出す)ものである。
【0046】
図6は、本変形例2に係る出力形態を説明するための図である。同図に示すように、例えば被検体が搭載された寝台の真上に配置されたセンサー40により、現在の超音波プローブ12の位置をリアルタイムで計測する。センサー40によって計測された超音波プローブ12の位置は、プロジェクター42に逐次転送される。プロジェクター42は、インターフェースユニット30を介して制御プロセッサ28から取得した実寸の手術予定線を、転送された超音波プローブ12の位置を基準として、被検体体表面に投影する。
【0047】
(変形例3)
本変形例に係る出力形態は、生体を傷つけないレーザー等によって被検体の体表面に手術予定線を出力する(映し出す)ものである。本変形例3の場合は、収集されたボリュームデータから算出された手術予定線の位置に対応する体表面にレーザー機能を具備した超音波プローブを使用して体表面に手術予定線を描出してもよい。また、本変形例3の場合も同様に、センサー40により、現在の超音波プローブ12の位置をリアルタイムで計測する。センサー40によって計測された超音波プローブ12の位置は、レーザー出力装置に逐次転送される。レーザー出力装置は、インターフェースユニット30を介して制御プロセッサ28から取得した実寸の手術予定線を、転送された超音波プローブ12の位置を基準として、被検体体表面に投影する。
【0048】
(効果)
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0049】
本超音波診断装置によれば、被検体の手術対象部位を含む三次元領域をボリュームスキャンし、ボリュームデータを取得する。取得したボリュームデータを用いて、複数のC断面画像を生成し、手術対象部位の最大輪郭等を計算する。計算された最大輪郭等を用いて、手術対象部位の断面の実寸輪郭、或いは当該実寸輪郭に所定のマージンを加えて決定される手術予定線を計算し、実寸サイズで出力する。従って、術者は、手術時の手術対象部位形状のマーキングを迅速且つ簡単に実行することができ、マーキングされた実寸輪郭、手術予定線を用いて、すぐに手術へと移行することができる。その結果、超音波探触子の位置を何度も変えながら数十回に分けて手術対象部位を確認しながらマーキングをする必要がなく、手術時の手術対象部位形状のマーキングにおける作業負担を軽減させることができる。
【0050】
また、超音波画像を用いて手術対象部位の実寸輪郭、手術予定線を計算し出力している。従って、従来に比して精度の高い手術対象部位形状のマーキングを実現することができ、医療作業の質の向上に寄与することができる。
【0051】
また、手術対象部位の実寸輪郭、手術予定線を、被検体表面に貼付するシートへの描出、被検体と超音波プローブとの間に配置された熱感紙又は音感紙への描出、被検体表面への映像投影、生体を傷つけないレーザー等による映し出し等の種々の形態によって出力することができる。従って、手術環境や被検体、術者の特性に応じて所望する出力形態を選択し、手術時の手術対象部位形状のマーキングを簡単且つ迅速に行うことができる。
【0052】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、被検体を寝台に搭載し撮像を行う医用画像診断装置(例えば、X線診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置等)に適用する場合である。
【0053】
これらの装置においても、手術対象部位を含む三次元領域についてのボリュームデータを取得し、実質的に第1の実施形態と同様の手法にて、手術予定線等の計算を行う。計算によって得られた手術予定線等は、第1の実施形態或いはいずれかの変形例に係る出力形態にて出力される。
【0054】
このとき、被検体の体表面に貼付するための紙の出力や、プロジェクター或いはレーザーによる手術予定線の投影は、寝台(例えば天板)の所定位置を基準として実行される。すなわち、寝台上の被検体に対するスキャン範囲(すなわち、ボリュームデータの取得範囲)は、寝台の天板上の三次元座標系として容易に定義することができる。従って、例えば、手術予定線と共に印刷される基準マーカは、実寸の手術予定線を寝台天板上の三次元座標系の所定位置に配置するためのものとして、例えば寝台の天板上の所定の基準位置に合わせる形態にて印刷される。また、寝台天板上の三次元座標系におけるボリュームデータの位置や体表面の位置に基づいて、プロジェクターやレーザーによって実寸の手術予定線を被検体の体表面に投影することも可能である。
【0055】
以上述べた構成によっても、医用画像診断装置を用いて第1の実施形態と同様の効果を実現することができる。
【0056】
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、ボクセルボリュームデータを生成した後、当該ボクセルボリュームデータを切断する複数のC面画像上において、手術対象部位等の輪郭を抽出するものであった。これに対し、本第3の実施形態に係る手術予定線マーキング支援機能は、ボクセルボリュームデータ上において手術対象部位等の輪郭を抽出し、当該ボクセルボリュームデータを任意断面で切断することで、当該任意断面に対応するMPR画像で実寸の手術予定線等を計算し出力するものである。
【0057】
なお、説明を具体的にするため、超音波診断装置において本実施形態に係る手術予定線マーキング支援機能場合を例とする。しかしながら、当該例に拘泥されず、第2の実施形態と同様に、被検体を寝台に搭載し撮像を行う医用画像診断装置ついても適用可能である。
【0058】
図7は、本実施形態に係る手術予定線マーキング支援処理の流れを示したフローチャートである。同図に従って、手術予定線マーキング支援処理について説明する。なお、ステップS11〜S13は、
図2のステップS1〜S3と実質的に同様である。従って、以下、ステップS14〜S17の各処理の内容について説明する。
【0059】
[セグメンテーション(輪郭抽出):ステップS14]
画像生成ユニット25は、生成されたボリュームデータに対してセグメンテーション処理(領域抽出処理)を実行し、被検体の出術対象部位の輪郭を抽出する(ステップS14)。このセグメンテーション処理は、どのような手法によって実現してもよい。典型例としては、閾値処理により所定の値以上のボクセル値を有するボクセルを抽出する等の手法を採用することができる。
【0060】
[手術予定線の計算:ステップS15]
次に、画像生成ユニット25は、手術対象部位の輪郭が抽出されたボリュームデータに任意の切断面を設定し、当該切断面をC面に投影した場合の実寸の手術対象部位断面の輪郭、当該輪郭に所定幅のマージンを加えた実寸の手術予定線として計算する。(ステップS15)。なお、切断面は、C面に平行する面に拘泥されず、操作者からの入力に応答して、或いは自動的にボリュームデータの所定の位置に設定される。自動的に設定する場合、当該切断面は、手術対象部位をできる限り広い面積で切断するように設定することが好ましい。例えば、抽出した手術対象部位の重心を計算し、当該重心を中心とし手術対象部位の輪郭に内接或いは外接する円(或いは楕円)のうち最大となる直径(或いは長軸)を含む平面を計算し、これを断面として設定する等の手法によって設定することができる。
【0061】
[手術予定線の出力:ステップS16]
次に、出力装置32は、計算された実寸の手術予定線を所定の形態で出力する(ステップS16)。実寸の手術予定線の出力形態のバリエーションについては、既述の通りである。
【0062】
以上述べた構成によっても、第1の実施形態と同様の効果を実現することができる。特に、本実施形態に係る例では、ボリュームデータに対して任意の切断面を設定し、当該切断面上の手術対象部位の輪郭、手術予定線をC面に投影して出力する。従って、手術対象部位の最大径を出力する輪郭或いは手術予定線に反映させることができ、より精度が高く安全に手術時のマーキングを行うことができる。
【0063】
(第4の実施形態)
本実施形態は、第1〜第3のいずれかに係る手術予定線マーキング支援機能を、超音波診断装置と超音波画像処理装置からなる超音波診断システム、或いは医用画像診断装置と医用画像処理装置とからなる医用画像診断システムによって実現するものである。なお、以下においては、説明を具体的にするため、超音波診断装置と超音波画像処理装置からなる超音波診断システムによって実現する場合を例とする。
【0064】
図8は、超音波診断装置1と超音波画像処理装置5からなる超音波診断システムSを説明するためのブロック構成図である。同図に示すように、超音波画像処理装置5は、例えば医用ワークステーション等によって実現され、記憶ユニット50、画像生成ユニット51、表示処理ユニット52、制御プロセッサ53、表示ユニット54、インターフェースユニット55、操作ユニット56を具備している。
【0065】
記憶ユニット50は、予め取得された超音波画像、ネットワークを介して超音波診断装置1から送信された超音波画像を格納する。画像生成ユニット51は、既述の手術予定線マーキング支援処理を実行する。表示処理ユニット52は、画像処理ユニット50において生成・処理された各種画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、RGB変換等の各種を実行する。制御プロセッサ53は、既述の手術予定線マーキング支援機能を実現するための専用プログラム等を読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。表示ユニット54は、超音波画像等を所定の形態で表示するモニターである。インターフェースユニット55は、ネットワーク接続や他の外部記憶装置等の接続のためのインタフェースである。操作ユニット56は、各種指示を取り込むためのスイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。
【0066】
本超音波診断システムSを用いて
図2に示した手術予定線マーキング支援処理を行う場合には、例えば、ステップS1、ステップS2の各処理が超音波診断装置1において実行され、ステップS3〜S6の各処理が超音波画像処理装置5において実行される。或いは、ステップS1〜ステップS3の各処理を超音波診断装置1において実行し、ステップS4〜S6の各処理を超音波画像処理装置5において実行することも可能である。
【0067】
同様に、本超音波診断システムSを用いて
図7に示した手術予定線マーキング支援処理を行う場合には、例えば、ステップS11、ステップS12の各処理が超音波診断装置1において実行され、ステップS13〜S17の各処理が超音波画像処理装置5において実行される。或いは、ステップS11〜ステップS13の各処理を超音波診断装置1において実行し、ステップS14〜S17の各処理を超音波画像処理装置5において実行することも可能である。
【0068】
以上述べた構成によっても、第1〜第3の各実施形態において述べた効果を実現することができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0070】
本実施形態に係る各機能(手術予定線マーキング支援における各機能)は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0071】
(2)上記各実施形態においては、手術予定線のマーキングを支援する場合を例として説明した。しかしながら、本願発明の技術的思想は、手術の際の利用に拘泥されず、例えば放射線治療装置を用いて患部に放射線を照射し治療する場合において、その照射範囲をマーキングする場合においても、利用することが可能である。
【0072】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。