【実施例】
【0018】
(実施例1)
以下に、本発明に係る測量用ポールの実施例を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施例に係る測量用ポール1の外観図であり、
図2はその
図1に示す測量用ポール1を側面から見て一部を破断して示す部分断面図である。
【0019】
この測量用ポール1は、竿部材2と、ジンバル機構3と、マーキング機構4とを有する。
竿部材2の途中には、反射プリズム5が設けられている。 その反射プリズム5は、
図2に示すように緊締部材6’によって竿部材2に締め付け固定されている。
【0020】
この反射プリズム5には全周プリズムが用いられる。この全周プリズムの詳細構成については、特開2009−204557号公報を参照されたい。この全周プリズムを用いれば、反射プリズム5の向きに留意することなく測量用ポール1を持ち運ぶことができる。
【0021】
マーキング機構4は竿部材2の下部に設けられ、ジンバル機構3は竿部材2の上部に設けられている。
マーキング機構4は取り付け筒6を有する。この取り付け筒6は竿部材2の下端部に固定されている。
この取り付け筒6には市販の電動ドリル7が緊締ネジ8によって固定されている。
【0022】
その電動ドリル7の下端部にはスピンドル軸9が設けられている。そのスピンドル軸9の先端にはチャック部材10が設けられている。このチャック部材10には測点Pにマーキングを行うマーカー部材11が着脱可能に設けられる。
【0023】
図1(b)はそのマーカー部材11の平面図、
図1(c)はそのマーカー部材11の側面図を示している。そのマーカー部材11は、自己の位置を無線送信するICチップを内蔵している。測量作業員は、図示を略す受信装置を有する。測量作業員は、この受信装置を用いてマーカー部材11の位置を特定可能である。
【0024】
ジンバル機構3は竿部材2を自重により垂下させる機能を有する。このジンバル機構3は、
図2に示すように内側支承部材12と外側支承部材13とを有する。内側支承部材12は竿部材2にその自重により連係されてこの竿部材2を一定方向に揺動可能に支承する機能を有する。
【0025】
外側支承部材13は、内側支承部材12に竿部材2の自重により相対的に連係されて竿部材2の垂下の際に内側支承部材12を竿部材2の揺動方向と交差する方向に揺動可能に支承しかつ測点Pへのマーキングの際に内側支承部材12との竿部材2の自重による連係が解除されしかも竿部材2と一体化される機能を有する。
【0026】
その内側支承部材12は、
図3ないし
図7に拡大して示すように、一対の内筒支持軸部材14と内筒体15とを有する。一対の内筒支持軸部材14は竿部材2の上部に固定されて水平方向にかつ互いに反対方向に延在されている。
【0027】
この内筒支持軸部材14は、軸部14aと頭部14bからなる。内筒体15の周壁にはこの周壁をその厚さ方向に貫通する一対の貫通孔15aが形成されている。軸部14aはこの貫通孔15aに挿通されている。
【0028】
この軸部14aの先端にはネジ部が形成されている。内筒支持軸部材14は、このネジ部が竿部材2に螺合されることにより、竿部材2の上部に固着される。内筒体15は、これにより一対の内筒支持軸部材14にその軸線回り方向に回動可能に設けられて、相対的に竿部材2を一定方向に揺動可能に支承する機能を有する。頭部14bは内筒体15の抜け止めとして機能する。
【0029】
外側支承部材13は、一対の外筒支持軸部材16と外筒体17とを有する。一対の外筒支持軸部材16は、内筒体15に固定されて一対の内筒支持軸部材14の延びる方向と交差する方向にかつ水平方向に延びている。ここでは、一対の外筒支持軸部材16は一対の内筒支持軸部材14の延びる方向と直交する方向に延びている。
【0030】
その外筒支持軸部材16は軸部16aと頭部16bからなる。外筒体17の周壁にはこの周壁をその厚さ方向に貫通しかつ竿部材2の延びる方向に延びる一対の案内孔17aが形成されている。軸部16aはこの案内孔17aに挿通されている。
【0031】
その軸部16aの先端にはネジ部が
図5ないし
図7に示すように形成されている。内筒体15にはこの軸部16aのネジ部が螺合されるネジ穴15bが形成されている。外筒支持軸部材16は、このネジ部がネジ穴15bに螺合されることにより内筒体15に固着される。
【0032】
これにより、外筒体17は一対の外筒支持軸部材16にその軸線回り方向に回動可能に設けられて相対的に竿部材2を一定方向の揺動方向に対して交差する方向に揺動可能に支承する。頭部16bは外筒体17の抜け止めとして機能する。
【0033】
外筒体17の頂部には、
図1ないし
図6に示すように、円柱状握持部18が形成されている。この円柱状握持部18の頂部には押しボタン19と図示を略す電池とが設けられている。押しボタン19と電動ドリル7の駆動モータ(図示を略す)とはコード20で接続されている。
【0034】
外筒体17の内部には、
図2に示すように、竿部材2の頂部に向かって突出する係合突起21が形成されている。竿部材2の頂部にはその係合突起21と係合する係合凹処22が
図2、
図3、
図4、
図6、
図7に拡大して示すように形成されている。
【0035】
その係合突起21は、係合凹処22と協働して外筒体17の下方変位により竿部材2の上部と外筒体17とを連結して竿部材2と外筒体17とを一体化する連結部として機能する。その係合突起21は竿部材2の回り止め突起としての機能も有する。
【0036】
この測量用ポール1は、円柱状握持部18を握って持ち運びされる。その円柱状握持部18を握っての測量用ポール1の持ち運びの際には、
図1ないし
図3に示すように、内筒体15と外筒体17とが竿部材2の自重により連係されて、
図8に示すように、竿部材2は鉛直方向に垂下される。
【0037】
測量用ポール1を用いて測点Pにマーキングを行う際に、円筒状握持部18を握ったまま測点Pに測量用ポール1の先端を押しつける。すると、内筒支持軸部材14が案内孔17aに沿って移動する。その結果、
図4、
図6に示すように、係合突起21と係合凹処22とが嵌合し、外筒体17と竿部材2とが一体化される。
【0038】
これにより、内筒体15と外筒体17との竿部材2の自重による連係が解除される。従って、外筒体17と竿部材2とを一体化する際に、内筒体15が自由状態となり、内筒体15の破損が防止される。
【0039】
ついで、円柱状握持部18を手で握ったまま指で押しボタン19を押すと、電動ドリル7が駆動され、マーカー部材11が測点Pに打設される。
その際、測量用ポール1に回転反力が加わることになるが、係合突起21と係合凹処22とが測量用ポール1の回り止め機能を果たすので、支障なくマーカー部材11が測点Pに打設される。
なお、電動ドリル7としては、市販のコードレズタイプのものを用いることもできる。
【0040】
(変形例)
図9ないし
図18はジンバル機構3の変形例を示している。この変形例では、
図9ないし
図12に示すように、外筒体17の案内孔17aの下部は、外筒支持軸部材16の軸部16aの直径と同径の幅とされている。案内孔17aの上部終端は上方に向かって拡径されて拡径部17bとされている。
【0041】
係合突起21は、ここでは、
図12ないし
図14に示すように、円筒状の包囲突起部21aと嵌合突起部21bとから構成されている。包囲突起部21aは、その中央に円形状の嵌合穴21cを有する、その包囲突起部21aの内周壁は、嵌合穴21cの穴径が下方から上方に向かって徐々に小さくなるテーパ壁21dとされている。
【0042】
嵌合突起部21bは嵌合穴21cに配置され、直径方向に延在されて、嵌合穴21cを横断する構成とされている。
竿部材2の上部には、
図12、
図13、
図15に示すように円柱状嵌合部材23がボルト・ナット等の締結部材により固定されている。これにより、その円柱状嵌合部材23は竿部材2と一体化されて竿部材2の頂部を構成している。
【0043】
その円柱状嵌合部材23の胴部23aの直径は嵌合穴21cの穴径よりも若干小さく形成されている。その円柱状嵌合部材23の頂部23bは包囲突起部21aのテーパ壁21dに対応するテーパ形状とされている。この変形例では、係合凹処22は、
図16に示すように、頂部23bを直径方向に横断して、嵌合突起部21bに嵌合する形状とされている。
【0044】
円柱状嵌合部材23の胴部23aには、水平方向に互いに反対方向に延びるネジ穴23cが
図13、
図16に示すように形成されている。この一対のネジ穴23cのそれぞれに内筒体15の一対の貫通孔15aが
図13に示すようにそれぞれ対向されている。
【0045】
一対の内筒支持軸部材14には、
図16に示すように、軸部14aの先端にネジ部14cが形成されている。一対の内筒支持軸部材14は、このネジ部14cとネジ穴23cとの螺合により円柱状嵌合部材23の胴部23aに固着される。
【0046】
その内筒体15には、既述したように、一対のネジ穴15bが一対の貫通孔15aと直交する方向に形成されている。外筒支持軸部材16の軸部16aの先端に形成されたネジ部16cが
図17に示すようにネジ穴15bに螺合されている。一対の外筒支持軸部材16はこのネジ部16cとネジ穴15bとの螺合により内筒体15に固着される。
【0047】
外筒体17は、
図16に示すように、一対の外筒支持軸部材16を介してその軸線回り方向に回動可能に内筒体15に支承される。その外筒体17の下部には、
図11ないし
図14に示すように、円環状段差部17cが形成されている。
【0048】
この円環状段差部17cには、
図15、
図17、
図18に示す円盤状蓋体24が接着固定される。その円盤状蓋体24の中央には開口25が形成され、その開口壁25aが
図15に示すようにテーパ形状とされている。竿部材2の傾動域は開口25の大きさにより制限される。従って、いわゆるジンバルフリーによって、竿部材2が傾動したとしても、係合突起21と係合凹処22とがロック不可能な程に大きく傾動されることが防止されている。
【0049】
この変形例によれば、円柱状握持部18を握ってマーキングを行うために測量用ポール1を測点に押し当てる際、竿部材2と円柱状握持部18とが
図12に示すように傾いていたとしても、円柱状嵌合部材23の頂部23bがテーパ形状とされると共に包囲突起部21aがテーパ形状とされ、かつ、案内孔17aの上部が拡径されているので、円柱状嵌合部材23が姿勢を変える余裕度がある。
【0050】
従って、測量用ポール1の測点Pへの押し付け力によって生じる分力により、円柱状嵌合部材23が嵌合穴21cに向かう方向に案内され、スムーズに嵌合突起部21bが係合凹処22に嵌合される。
【0051】
(実施例2)
この実施例2では、
図19(a)に示すように、マーキング機構4の一部としての取り付け筒6は市販の塗料用スプレー缶26を収容する収容空間26aを有する。その取付け筒6の先端には締結リング部材27が設けられている。塗料用スプレー缶26と締め付けリング部材27との間にはノズル部としてのスカート部材28設けられている。
【0052】
そのスカート部材28は塗料通路28aを有し、そのスカート部材28の上端部は市販の塗料用スプレー缶26の吐出ノズル26bに嵌合されている。測量用ポール1を測点Pに向かって押しつける。すると、吐出ノズル26bが塗料用スプレー缶26の内部に押し込まれて、図示を略す弁体が開成される。これにより、塗料用スプレー缶26の内部の塗料がスカート部材28を通って吐出され、
図19(b)に示すように、測点PにマークP’が形成される。
【0053】
(実施例3)
この実施例3では、取付け筒6はマーキング機構の一部としてのスタンプ機構を収容可能な構成とされている。その取付け筒6は、
図20(a)に示すように、スタンプ機構の一部を構成するスタンプ用柱体29を収容する収容空間29aを有する。
【0054】
そのスタンプ用柱体29は、実施例1と同様に、取付け筒6に緊締ネジ8によって固定されている。そのスタンプ用柱体29の下部には、スタンプインキ含浸用部材30を収容する収容空間31が形成されている。
【0055】
その収容空間31には位置決めピン32と付勢スプリング33とが配設されている。位置決めピン32は測点Pに測量用ポール1を位置決めするのに用いられる。その位置決めピン32の頭部32aは扁平形状とされると共に、その頭部32aに位置決め突起34が形成されている。
【0056】
スタンプ用柱体29にはその位置決め突起34に対向する位置決め突起35が形成されている。付勢スプリング33はその一端が位置決め突起34に嵌着され、その他端が位置決め突起35に嵌着されている。
【0057】
スタンプ用インキ含浸部材30と位置決めピン32とは、その付勢スプリング33により下方に向かって付勢され、測量用ポール1を測点Pに向かって押しつける。すると、付勢スプリング33に付勢力が蓄積される。
これにより、スタンプ用インキ含浸部材30に含浸されていたインキが押し出されて測点PにマークP’が
図20(b)に示すように形成される。
【0058】
以上、実施例について説明したが、本発明の実施例はこれに限られるものではない。例えば、外側支承部材13は、内側支承部材12に竿部材2の自重により相対的に連係されて竿部材2の垂下の際に内側支承部材12を竿部材2の揺動方向と交差する方向に揺動可能に支承しかつ測点Pへのマーキングの際に竿部材2と一体化される構造であれば、これに限られるものではない。