(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に連通する内レールと外レールで仕切られた発射案内通路と、遊技球を発射する発射装置と、遊技球を前記発射装置の近傍の発射待機位置に保持する球保持部とを備え、前記発射装置が前記発射待機位置に保持された遊技球を前記発射案内通路を通って前記遊技領域に向けて発射し、前記発射装置により発射された遊技球のうち、前記遊技領域に到達せずに戻ってきたファール球が回収通路に導かれるパチンコ機において、
前記球保持部と前記発射案内通路間に画成された空間内の上方に、遊技球の通過経路から外れた位置を移動可能な作動部材と、遊技球の通過経路内に突出する回転可能な阻止体とを配設し、
前記作動部材が遊技球に付けられた紐状体に押圧されて移動したときに、この作動部材が前記阻止体に当接して該阻止体を定位置にロックすることにより、前記発射装置から発射された遊技球が前記阻止体に衝突して前記回収通路へ誘導されるようにしたことを特徴とするパチンコ機。
請求項1の記載において、前記作動部材が検知突起と係合突起を有する揺動可能な検出レバーであり、前記検知突起が前記紐状体に押圧されて前記検出レバーの重心が揺動中心を通る垂線を横切る位置まで移動した後、前記検出レバーが自重でさらに回転して前記係合突起を前記阻止体に当接させるように構成したことを特徴とするパチンコ機。
【背景技術】
【0002】
一般的にパチンコ機は、機器本体の前面に設けられた貯留皿から供給される遊技球を発射装置によって遊技盤の遊技領域に向けて打ち出し、この遊技球が遊技領域に設けられた入賞口(始動入賞口または一般入賞口)に入ると、所定数の遊技球が賞球として貯留皿に払い出されるようになっている。遊技盤には、発射装置で発射された遊技球を遊技領域の上部側に案内する外レールと、遊技領域の周壁の大部分を規定する内レールとが設けられており、これら外レールと内レールとで挟まれた空間部分が発射案内通路となっている。発射装置は機器本体の前面下部に設けられた発射ハンドルの回動操作によって駆動され、発射装置の近傍には発射案内通路に向かって傾斜する発射レールが設けられている。この発射レールには貯留皿から供給される遊技球を保持する発射待機位置が形成されており、発射案内通路と発射レールとの間にはレール欠落部が形成されている。
【0003】
そして、遊技者によって発射ハンドルが任意角度に回動操作されると、貯留皿から発射レール上の発射待機位置に供給された遊技球が発射装置のハンマによって打撃されるため、この遊技球がレール欠落部を飛び越えて発射案内通路から遊技流域へと向かう。その際、発射時の勢いが不十分で遊技領域まで到達できなかった遊技球は、発射案内通路を逆走してレール欠落部に落下した後、レール欠落部に連続する回収通路を通ってファール球として遊技者に戻される。一方、十分に勢いのある遊技球は、発射案内通路を通過して遊技領域内に進入し、この遊技球が遊技領域を流下して入賞口に入ると、前述したように、所定数の遊技球が賞球として貯留皿に払い出される。ここで、入賞口の内部には近接スイッチ等の検知センサが配置されており、通常、この検知センサは1つの入賞口に対して1つ配置されている。検知センサは遊技球の通過によってオン/オフの切換え動作し、入賞口に入った遊技球が検知センサを通過することにより、入賞口の種類(始動入賞口や一般入賞口)に応じて予め設定された数の遊技球が賞球として貯留皿に払い出されるようになっている。
【0004】
従来より、このようなパチンコ機におけるゴト行為として、機器本体の隙間から遊技領域にピアノ線等を挿入し、このピアノ線を用いて入賞口やVゾーンと呼ばれる特定領域に恰も遊技球が入ったかのように検知センサを誤動作させることで、賞球を不正に搾取したり大当たり遊技を獲得するといった不正行為が問題となっている。そこで、1つの入賞口の内部に2つの検知センサを上下方向に積層配置し、これら2つの検知センサによる遊技球の検知が上側から下側にかけて所定時間内で順番に行われたときだけ、遊技球が入賞口に正規に入ったものと認識する遊技球通過認識手段を備えたパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる遊技球通過認識手段を備えたパチンコ機によれば、不正行為を働こうとする者が機器本体の隙間からピアノ線を挿入し、このピアノ線を用いて遊技領域に配置された入賞口内の検知センサを刺激しようとしても、通常は、上下2つの検知センサの片方だけを刺激することになるため、遊技球が入賞口に正規に入ったものと判断されず、遊技球が不正に払い出されることはない。また、仮にピアノ線を用いて入賞口内の2つの検知センサを刺激することができたとしても、実際に遊技球が入賞口に入ったかのように、2つの検知センサが上側から下側にかけて所定時間内で順番に検知信号を出力することは極めて困難であるため、ピアノ線を用いた不正行為を防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技球を不正に搾取するゴト行為の手口は日を追うごとに巧妙になってきており、例えば、遊技球に透明な釣り糸等の紐状体を接着した糸付き球を遊技領域に打ち出し、この糸付き球を貯留皿を介して外部から手動操作して入賞口やVゾーンへ誘導することで、恰も遊技球が入ったかのような状態を作り出す糸ゴトと呼ばれる不正行為が問題となっている。かかる糸ゴト行為は糸の付いた遊技球を入賞口やVゾーンに入れて内部の検知センサを作動させるというものであり、糸を巧みに操作して遊技球を入賞口やVゾーンの入口付近で上下動させることにより、糸付き球に正規の遊技球と同じような挙動をさせることが可能となるため、特許文献1に開示された従来のパチンコ機では、このような糸ゴト行為を防止することはできなかった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、糸付き球を用いた不正行為を簡単な構成で防止できるパチンコ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に連通する内レールと外レールで仕切られた発射案内通路と、遊技球を発射する発射装置と、遊技球を前記発射装置の近傍の発射待機位置に保持する球保持部とを備え、前記発射装置が前記発射待機位置に保持された遊技球を前記発射案内通路を通って前記遊技領域に向けて発射し、前記発射装置により発射された遊技球のうち、前記遊技領域に到達せずに戻ってきたファール球が回収通路に導かれるパチンコ機において、前記球保持部と前記発射案内通路間に画成された空間内の上方に、遊技球の通過経路から外れた位置を移動可能な作動部材と、遊技球の通過経路内に突出する回転可能な阻止体とを配設し、前記作動部材が遊技球に付けられた紐状体に押圧されて移動したときに、この作動部材が前記阻止体に当接して該阻止体を定位置にロックすることにより、前記発射装置から発射された遊技球が前記阻止体に衝突して前記回収通路へ誘導されるようにした。
【0009】
このように構成されたパチンコ機において、通常、作動部材は遊技球の通過経路から外れた位置にあるが、阻止体は遊技球の通過経路内に突出した定位置にあるため、発射装置から発射された正規の遊技球は、阻止体を押し退けながら作動部材に接触することなく内レールと外レールで仕切られた発射案内通路を通って遊技領域へと打ち出される。一方、釣り糸等の紐状体を接着した遊技球(糸付き球)を貯留皿から発射待機位置に供給して発射装置から発射すると、この遊技球は紐状体を付けたまま発射案内通路を通って遊技領域へと打ち出されるが、紐状体は発射待機位置と内レールの外周面との間に規定される一定のルートを通った後、発射案内通路の上端部を経由して遊技球と一緒に遊技領域へ至る。その結果、紐状体の張力によって作動部材が駆動されて阻止体に当接し、阻止体は自由な回転がロックされて通過経路内に突出したままの状態となる。したがって、その後に発射装置から発射された遊技球は、発射案内通路の手前側で阻止体に衝突することでファール球として回収通路に導かれるため、たとえ糸付き球を始動入賞口やVゾーンに誘導して大当たり遊技状態にすることができたとしても、その大当たり遊技中に賞球を得ることはできなくなる。また、糸付き球を一般入賞口に導いて賞球を不正に搾取しようとした場合、一度目の糸付き球を遊技領域の狙った場所へ確実に到達させないと、その後に発射される遊技球は全て遊技領域まで到達できないため、かかる不正行為も抑制することができる。しかも、作動部材と阻止体という単純構造の機構部品によって糸付き球を使用した不正行為を検出できるため、検出構造が複雑化したりコストアップになることを防止できる。
【0010】
上記の構成において、作動部材が検知突起と係合突起を有する揺動可能な検出レバーであり、検知突起が紐状体に押圧されて検出レバーの重心が揺動中心を通る垂線を横切る位置まで移動した後、この検出レバーが自重でさらに回転して係合突起を阻止体に当接させるように構成すると、糸付き球の使用によって検出レバーを一方向へ回転駆動させて阻止体を確実にロックできると共に、作業者の手動操作によって検出レバーを逆向きに回転することで阻止体のロック状態を容易に解除することができて好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパチンコ機では、通常、発射装置から発射された正規の遊技球は、通過経路内に突出する阻止体を押し退けながら作動部材に接触することなく遊技領域へと打ち出されるが、釣り糸等の紐状体を接着した遊技球(糸付き球)が発射装置から発射されると、その紐状体が作動部材を動作させて阻止体に当接することにより、阻止体は自由な回転がロックされて通過経路内に突出したままの状態となる。その結果、その後に発射装置から発射された正規の遊技球は、発射案内通路の手前側で阻止体に衝突することでファール球として回収通路に導かれ、遊技領域まで到達させることができなくなる。したがって、糸付き球を使用して大当たり遊技状態にすることができたとしても、その大当たり遊技中に大入賞口等に遊技球を入れて賞球を得ることはできなくなり、糸付き球を使用して賞球を搾取するという不正行為を防止することができ、しかも、かかる不正行為を作動部材と阻止体という機構部品だけで検出できるため、検出構造が複雑化したりコストアップになることを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、
図1に示すように、本実施形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられたガラス扉3等を備えており、ガラス扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
【0014】
図2に示すように、機枠1の左側枠部には上側軸受け体5aと下側軸受け体5bが固着されており、この下側軸受け体5bよりも下方の左下隅部には大型のスピーカ6が配設されている。一方、本体枠2の左側枠部の上下両端には第1ピン(図示せず)が設けられており、これら両第1ピンが対応する上下の軸受け体5a,5bに軸支されることにより、本体枠2は機枠1に対して開閉自在となっている。
【0015】
本体枠2の上部内側には遊技盤7が収納されており、この遊技盤7の盤面(前面)は透明板4を透して目視可能となっている。遊技盤7はその盤面に遊技領域8を有しており、遊技領域8はガラス扉3の透明板4を透して外部から目視可能となっている。遊技領域8はガイドレール9と規制レール10によって略円形状に区画形成されており、この遊技領域8内を後述する発射装置23によって打ち出された遊技球が流下する。また、遊技領域8内には、センター役物装置と呼ばれる可変表示装置24と、一対の始動入賞口25,26と、複数の一般入賞口27と、通過ゲートであるスルーチャッカー28と、大入賞口を有するアタッカー装置29等が設けられており、図示せぬが、これら始動入賞口25,26と一般入賞口27および大入賞口の内部には遊技球の通過を検知するための検知センサが設けられている。
【0016】
遊技領域8内に設けられた上記各部材について簡単に説明すると、可変表示装置24の下側にはステージ30が設けられており、一対の始動入賞口25,26はステージ30の真下位置に上下2段に積層状態で配置されている。上段側の始動入賞口25は可動片を持たない非作動式の入賞口であるが、下段側の始動入賞口26は一対の可動片を有する作動式(電動チューリップ構造)の入賞口となっている。そして、これら始動入賞口25,26のいずれか一方に遊技球が入ると、それを契機として特別図柄表示の電子抽選が行われ、可変表示装置24の表示画面上で演出用図柄の変動表示および停止表示が行われる。また、スルーチャッカー28を遊技球が通過したことを契機として普通図柄表示の電子抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に始動入賞口26の可動片を一時的に開放して遊技球の入球を許可するようになっている。
【0017】
アタッカー装置29は、始動入賞口25,26に遊技球が入ることを契機に行われる特別図柄表示の電子抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態へ移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄表示の抽選結果が当たりの場合、可変表示装置24の表示画面上で演出用図柄の変動停止を例えば「777」のように特別図柄で停止させると共に、アタッカー装置29が複数回繰り返し開放動作して内部の大入賞口を露呈させる。アタッカー装置29は1回の開放動作について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入るまで開放状態を維持し、かかる開放動作を例えば15回繰り返した後に大当たりが終了する。なお、始動入賞口25,26に遊技球が入ると、特別図柄表示の抽選結果が行われると共に、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出されるが、一般入賞口27に遊技球が入った場合には所定個数の遊技球の払い出しのみが行われる。そして、いずれの始動入賞口25,26や一般入賞口27にも入らなかった遊技球は、遊技領域8の最下端部に設けられたアウト口31から遊技盤7の裏面側に排出されるようになっている。
【0018】
遊技盤7よりも下方の本体枠2はガラス扉3の下部によって覆い隠される設置部2aとなっており、この設置部2a内の下部中央には遊技球を遊技領域8に向けて発射する発射装置23が配設されている。この発射装置23は遊技球を打撃するハンマ23aを有しており、ハンマ23aはロータリソレノイド等を駆動源として回転動作(揺動)される。また、本体枠2の右側枠部にはシリンダ錠11aを有する施錠装置11が設置されており、図示省略されているが、この施錠装置11は本体枠2の裏面に配置された後部施錠杆と本体枠2の前面に配置された前部施錠杆とを備えている。常態では、施錠装置11の後部施錠杆によって機枠1に対して本体枠2が施錠されると共に、前部施錠杆によって本体枠2に対してガラス扉3が施錠されている。そして、シリンダ錠11aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が上動して本体枠2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠11aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動してガラス扉3が開錠されるようになっている。
【0019】
ガラス扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示せず)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の上下の軸孔(図示せず)に挿入することにより、ガラス扉3は本体枠2に対して開閉自在となっている。
図1に戻り、ガラス扉3には遊技盤7の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。ガラス扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ12が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ12と前述した大型のスピーカ6とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。また、ガラス扉3の前面下部には、遊技盤7の裏面に配設された賞球払出装置(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿13と、上段受皿13から排出された遊技球を収容する下段受皿14と、遊技者による押下操作が可能なプッシュ釦15とが設けられており、上段受皿12の右側方には発射装置23の発射強度を調整するための操作ハンドル16が配設されている。
【0020】
図3に示すように、このパチンコ機Pの背面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御処理部17と、主制御処理部17からの指令を受けて可変表示装置やスピーカ等の各種装置を制御する副制御処理部18と、上段受皿13に対して所定数の遊技球を賞球として払い出す賞球払出装置19と、主制御処理部17からの指令を受けて賞球払出装置19を制御する払出制御処理部20と、操作ハンドル16の回動操作量に応じて発射装置23の作動を制御する発射制御処理部21と、賞球数や大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板22等が設けられている。主制御処理部17は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装された制御基板(メイン基板)とを備えており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
【0021】
図4に示すように、遊技盤7の遊技領域8よりも左側には、発射装置23から発射された遊技球を遊技領域8の上部側に案内する外レール32と、規制レール10の外周面に沿って延びる内レール33とが設けられており、これら外レール32と内レール33とで挟まれた空間部分が発射案内通路34となっている。なお、
図4において、遊技領域8内に設けられた可変表示装置24や始動入賞口25,26等は図示省略されている。外レール32はアウト口31から離れた左側位置から遊技盤7の左側端および上端部を経て円弧状に配置されており、外レール32の上端側はガイドレール9に連続している。内レール33はアウト口31のやや左側位置から遊技盤7の上端部にかけて円弧状に配置されており、発射案内通路34の上端部には遊技領域8から遊技球が戻るのを阻止する球戻り防止片35が設けられている。
【0022】
また、遊技盤7よりも下方の設置部2aには球保持部としての発射レール36が設けられており、この発射レール36は発射装置23の斜め上方に位置している。発射レール36は発射案内通路34に向かって上り勾配で傾斜しており、この傾斜面の右端の最下部が発射待機位置36aとなっている。発射待機位置36aの近傍には2点鎖線で示す供給口37aが配置されており、この供給口37aは上段受皿13に連設されてガラス扉3の裏面側に突出する整流器37の出口である(
図2参照)。すなわち、上段受皿13に貯留された遊技球は整流器37で一列に整流された状態で供給口37aから発射待機位置36aへ1個ずつ供給され、この発射待機位置36aに保持された遊技球が発射装置23のハンマ23aの打撃によって発射案内通路34の方向へ発射されるようになっている。
【0023】
発射レール36から発射案内通路34に至る空間Sの上部には、第1鍔付きねじ38を中心に回転可能な作動部材である検知レバー39と、第2鍔付きねじ40を中心に回転可能な阻止体41とが近接配置されており、検知レバー39は後述する糸付き球によって回転駆動(揺動)されるようになっている。また、この空間Sの下部にはファール球回収通路42が設けられており、ファール球回収通路42の最下部には下段受皿14からガラス扉3の裏面側に突出する球回収部14a(
図2参照)が位置している。
【0024】
図5に示すように、本体枠2の設置部2aには第1ボス2bと第2ボス2cが突設されており、第2ボス2cは第1ボス2bに比べて前方へ突出している。また、第1ボス2bの近傍には第1ストッパ突起2dが形成され、第2ボス2cの近傍には第2ストッパ突起2eが形成されている。検知レバー39には、第1ボス2bに挿入されて回転中心となる軸孔39aと、軸孔39aから径方向外側へ突出する平板部39bと、平板部39bの先端から前方へ突出する検知突起39cおよび係合突起39dとが形成されている。そして、軸孔39aが挿入された第1ボス2bに対して抜け止め用の第1鍔付きねじ38を螺着することにより、検知レバー39は第1ボス2bに回転可能に支持されるようになっている。阻止体41には、第2ボス2cに挿入されて回転中心となる軸孔41aと、軸孔41aから径方向外側へ突出するブロック板41bと、軸孔41aからブロック板41bと逆向きに突出する係止突起41cとが形成されている。そして、軸孔41aが挿入された第2ボス2cに対して抜け止め用の第2鍔付きねじ40を螺着することにより、阻止体41は第2ボス2cに回転可能に支持されようになっている。
【0025】
図6(a)に示すように、検知レバー39の回転中心(第1鍔付きねじ38)を通る鉛直線をNとすると、常態では、検知レバー39の重心は鉛直線Nの左側に位置しているため、検知レバー39は平板部39bが第1ストッパ突起2dと当接する位置で角度規制されている。また、検知突起39cは鉛直線Nの左側位置に保持されており、係合突起39dは阻止体41のブロック板41bの回動領域から外れた上方位置に保持されている。このとき、阻止体41は係止突起41cが第2ストッパ突起2eと当接する位置で角度規制されており、ブロック板41bは発射待機位置36aから発射される遊技球の通過経路内の定位置に突出している。詳細については後述するが、この状態で発射待機位置36aに供給された遊技球が発射装置23のハンマ23aによって打撃されると、この遊技球は定位置に突出するブロック板41bを上方へ押し退けながら発射案内通路34へ向かって発射されるため、
図6(b)に示すように、ブロック板41bは遊技球からの押圧力を受けて検知レバー39の前方を同図の時計回り方向へ回転する。ブロック板41bの同方向への回転角度は第2ストッパ突起2eと当接することで規制され、その後、ブロック板41bは自重によって反時計回り方向へ逆回転し、係止突起41cが第2ストッパ突起2eと当接する角度まで逆回転すると、ブロック板41bは再び遊技球の通過経路内の定位置に突出した状態となる。
【0026】
図7に示すように、遊技球Bを発射待機位置36aに供給する供給口37aの左上隅部から内レール33の外周面の円弧に接線Mを引いたとき、常態では、検知レバー39の検知突起39cは接線Mを越えて下方へ若干量だけ突出しており、検知レバー39と阻止体41の位置関係は
図6(a)に示す状態、つまり、阻止体41のブロック板41bが遊技球の通過経路内の定位置に突出した状態となっている。一方、検知突起39cが後述する糸付き球に押圧されて検知レバー39の重心が前記鉛直線Nを越えて右側まで移動すると、
図6(c)に示すように、検知レバー39が自重で時計回り方向へ回転して傾倒姿勢となるため、係合突起39dがブロック板41bの上端面に当接する。その結果、阻止体41の自由な回転が検知レバー39によって規制され、ブロック板41bは遊技球の通過経路内に突出した定位置にロックされる。
【0027】
このように構成されたパチンコ機Pにおいて、遊技者が操作ハンドル16を回動操作すると、上段受皿13に貯留された遊技球が供給口37aから発射レール36へ1個ずつ供給されて発射待機位置36aに保持され、それと同期して発射装置23が作動してハンマ23aを操作ハンドル16の操作量に応じた強さで発射方向へ揺動させるため、発射待機位置36aに保持された遊技球がハンマ23aの打撃によって発射案内通路34の方向へ順次発射される。その際、発射時の勢いが不十分で発射案内通路34を通過して遊技領域8まで到達できなかった遊技球B1は、
図7の破線で示すように、発射案内通路34を逆走して空間Sに落下した後、ファール球回収通路42から球回収部14aを通って下段受皿14にファール球として戻される。一方、発射時に十分に勢いのある遊技球Bは、
図7の実線で示すように、阻止体41のブロック板41bを押し退けながら発射レール36を飛び越えて発射案内通路34に入った後、発射案内通路34の上端に配置された球戻り防止片35を通過して遊技領域8内に進入する。前述したように、このようにして遊技領域8内に進入した遊技球Bが始動入賞口25,26に入ると、特別図柄表示の抽選結果が行われると共に、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。また、遊技領域8内を流下する遊技球Bが一般入賞口27に入ると所定個数の遊技球の払い出しのみが行われ、いずれの始動入賞口25,26や一般入賞口27にも入らなかった遊技球Bはアウト口31から遊技盤7の裏面側に排出される。
【0028】
ここで、発射待機位置36aにある遊技球Bがハンマ23aによって打撃されたとき、この遊技球Bは発射レール36の傾斜面でガイドされながら通過経路を通って発射案内通路34へ向かうが、その途中で通過経路内に突出するブロック板41bを上方へ押し退けるため、
図6(b)に示すように、ブロック板41bは遊技球からの押圧力を受けて検知レバー39の前方を同図の時計回り方向へ回転した後、自重で反時計回り方向へ逆回転して元の定位置に復帰する。また、ブロック板41bを押し退けた遊技球Bは前記接線Mのかなり下方の通過経路を通って発射案内通路34に向かうため、
図7に示すように、遊技球Bは検知レバー39の検知突起39cに衝突することなく発射案内通路34に到達する。したがって、正規の遊技球が使用された場合、検知レバー39は
図6(a),(b)に示す起立姿勢を維持することになり、上記したブロック板41bの回転動作が検知レバー39によって邪魔されることはない。
【0029】
これに対し、不正行為を働こうとする者が遊技球に釣り糸等の紐状体43を接着・固定し、かかる糸付き球を上段受皿13から発射待機位置36aに供給して発射装置23のハンマ23aで打撃した場合、
図8に示すように、この遊技球は紐状体43を付けたまま発射案内通路34を通って遊技領域8内に進入するが、紐状体43は発射待機位置36aと内レール33の外周面との間に規定される一定のルート(接線M)を通った後、内レール33の外周面から発射案内通路34の上端部を経て遊技球と共に遊技領域8へと至る。すなわち、遊技球は上段受皿13から供給口37aを通って発射レール36の発射待機位置36aへと供給された後、ハンマ23aの打撃によって発射案内通路34へ向けて発射されるようになっており、遊技球に付けられた紐状体43は、必ず接線M(供給口37aの左上隅部から内レール33の外周面に下した直線)を通ってから遊技領域8へ至ることになる。これにより、紐状体43の張力によって検知レバー39の検知突起39cが接線Mと重なる位置まで持ち上げられるため、検知レバー39の重心が前記鉛直線Nを越える位置まで移動すると、
図6(c)に示すように、検知レバー39はその後に自重で時計回り方向へ回転して傾倒姿勢となる。その結果、検知レバー39の係合突起39dがブロック板41bの上端面に当接するため、阻止体41の自由な回転が検知レバー39によって規制され、ブロック板41bは遊技球の通過経路内に突出した定位置にロックされる。
【0030】
したがって、その後に発射装置23から発射された遊技球B1は、
図8の矢印で示すように、発射案内通路34の手前側で阻止体41のブロック板41bに衝突して斜め下方に方向変換された後、ファール球回収通路42から球回収部14aを通って下段受皿14にファール球として戻されてしまい、糸付き球の発射後は遊技球を遊技領域8まで到達させることはできなくなる。つまり、たとえ糸付き球を始動入賞口25,26に入賞させて大当たり遊技状態にすることができたとしても、その大当たり遊技中に作動するアタッカー装置29に遊技球を入れることはできないため、糸付き球を使用して不正に賞球を搾取することはできなくなる。また、遊技領域8内で故意に球詰まり(所謂ぶどう状態)を発生させて入賞し易い状況を作り出そうとしても、糸付き球の発射後は遊技球を遊技領域8まで到達させることはできないため、故意に球詰まりを発生させることは不可能となり、糸付き球を用いた球詰まりゴト行為も抑制することができる。
【0031】
また、糸付き球を一般入賞口27に導いて賞球を不正に搾取しようとした場合、一度目の糸付き球を遊技領域8の狙った場所へ確実に到達させないと、その後に発射される遊技球は全て遊技領域8まで到達できないため、かかる不正行為も抑制することができる。しかも、検知レバー39と阻止体41という単純構造の機構部品によって糸付き球を使用した不正行為を検出できるため、検出構造が複雑化したりコストアップになることを防止できる。さらに、糸付き球の使用によって回転駆動された検知レバー39を通常状態に復帰させる場合、ホール従業員等が検知レバー39を手動で回転操作することにより、検知レバー39を
図6(c)に示す傾倒姿勢から
図6(a)に示す起立姿勢に簡単に戻すことができ、検知レバー39による阻止体41のロック状態を容易に解除することができる。
【0032】
なお、上記の実施形態例では、遊技盤7の遊技領域8に始動入賞口25,26やアタッカー装置29等を設けたパチンコ機Pについて説明したが、本発明は遊技領域8にVゾーンと呼ばれる特定領域を設けたパチンコ機Pについても適用可能であり、この場合も、糸付き球をVゾーンに誘導して大当たり遊技状態にすることができたとしても、その大当たり遊技中に賞球を得ることはできなくなる。
【0033】
また、上記の実施形態例では、遊技球に付けられた紐状体43の張力によって検知レバー39を回転駆動し、それに伴って阻止体41のブロック板41bを定位置にロックするようにしているが、かかる検知レバー39の回転動作をセンサで検出し、その検出信号に基づいて不正が発生したことをホールコンピュータ等に報知することも可能である。