特許第5707273号(P5707273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707273
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20150402BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
   G02F1/1339 500
   G02F1/1343
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-176690(P2011-176690)
(22)【出願日】2011年8月12日
(65)【公開番号】特開2013-41022(P2013-41022A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2012年10月2日
【審判番号】不服2014-2637(P2014-2637/J1)
【審判請求日】2014年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤山 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】武田 有広
【合議体】
【審判長】 黒瀬 雅一
【審判官】 畑井 順一
【審判官】 江成 克己
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−192822(JP,A)
【文献】 特開平9−230380(JP,A)
【文献】 特開2004−205549(JP,A)
【文献】 特開2007−11367(JP,A)
【文献】 特開2004−46123(JP,A)
【文献】 特開2009−109658(JP,A)
【文献】 特開2005−107494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1339
G02F1/1343
G02F1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って延出されたゲート配線と、前記ゲート配線に平行に配置され前記第1の方向に延出された補助容量線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って延出され前記ゲート配線及び前記補助容量線と交差するソース配線と、前記ソース配線と平行に前記第2の方向に沿って配置された帯状の主画素電極及びこの主画素電極と一体に構成され前記補助容量線と対向する位置にコンタクトホールを備えたコンタクト部を有する画素電極とを有するアレイ基板と、
前記アレイ基板と対向し前記ソース配線に対向する領域に、該第の方向に沿って設けられた共通電極を含む対向基板と、
前記アレイ基板の対向基板と対向する面に配置され、前記第の方向と平行な第の配向処理方向に配向処理された第1の配向膜と、
前記対向基板のアレイ基板と対向する面に配置され、前記第の方向と平行な第2の配向処理方向に配向処理された第2の配向膜と、
前記アレイ基板と前記対向基板との間にスペーサーを配して形成された間隙に保持され、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との間に配置された液晶層とを具備し、
前記補助容量線の前記第2の方向の幅は前記コンタクト部の前記第2の方向の幅よりも広くなるように構成されており、
前記スペーサーは、前記アレイ基板または前記対向基板の基板面に対して互いに高さの異なる第1及び第2のスペーサーで構成され、前記第1のスペーサーは前記第2のスペーサーよりも高くなるように前記補助容量線と前記ソース配線との交差部分に配置され、前記第2のスペーサーは前記コンタクトホール内に配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記共通電極は、ソース配線と対向して配置される主共通電極と、この主共通電極と連結された副共通電極とから構成され、前記主共通電極と前記副共通電極によって前記画素電極を囲むように格子状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記コンタクト部は前記補助容量線と対向するように前記ソース配線間で前記第1の方向に沿って延出された副画素電極として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置が盛んに開発されており、中でも液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力等の利点から特に注目を集めている。特に、各画素にスイッチング素子を組み込んだアクティブマトリクス型液晶表示装置においては、IPS(In−Plane Switching)モードやFFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界(フリンジ電界も含む)を利用した構造が注目されている。このような横電界モードの液晶表示装置は、アレイ基板に形成された画素電極と対向電極とを備え、アレイ基板の主面に対してほぼ平行な横電界で液晶分子をスイッチングする。
【0003】
一方で、アレイ基板に形成された画素電極と、対向基板に形成された対向電極との間に、横電界あるいは斜め電界を形成し、液晶分子をスイッチングする技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−192822号公報
【特許文献2】特開2011−22491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、表示品位の劣化を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、第1の方向に沿って配置された帯状の主画素電極、該主画素電極を挟んだ両側で該第1の方向に沿って延出したソース配線、該第1の方向と交差する第2の方向に沿って設けられた共通配線、該主画素電極が該共通配線と交差する領域に設けられたコンタクト部、該共通配線を挟んだ両側で該第2の方向に沿って延出したゲート配線を備えたアレイ基板と、
前記ソース配線に対向する領域に、該第1の方向に沿って設けられた共通電極を含む対向基板と、
前記アレイ基板と前記対向基板との間にスペーサーを配して形成された間隙に保持された液晶層とを具備し、
前記スペーサーは、前記主画素電極上または前記共通電極上に形成されることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態にかかる液晶表示装置の構成及び等価回路を概略的に示す図である。
図2図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。
図3図2に示した液晶表示パネルLPNをA−A線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。
図4図2に示した液晶表示パネルLPNをA−A線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。
図5図1を対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図。
図6図1を対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。
図7図1を対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態にかかる液晶表示装置は、アレイ基板と、アレイ基板に対向して設けられた対向基板と、アレイ基板と対向基板との間にスペーサーを配して形成された間隙に保持された液晶層とを有する。
【0009】
アレイ基板は、第1の方向に沿って配置された帯状の主画素電極、主画素電極を挟んだ両側で第1の方向に沿って延出したソース配線、第1の方向と交差する第2の方向に沿って設けられた補助容量線、主画素電極が補助容量線と交差する領域に設けられたコンタクト部、及び補助容量線を挟んだ両側で第2の方向に沿って延出したゲート配線を備える。
【0010】
対向基板は、ソース配線に対向する領域に、第1の方向に沿って設けられた共通電極を含む。
【0011】
スペーサーは、少なくとも主画素電極上または共通電極上に形成される。
【0012】
また、スペーサーは、好ましくは、主画素電極上または共通電極上であり、かつゲート配線上または補助容量線上に形成される。
【0013】
実施形態にかかる液晶表示装置では、主画素電極上または共通電極上の光透過率が低くなっているため、主画素電極上または共通電極上にスペーサーを形成することにより、スペーサー周囲における液晶の配向乱れに起因する光漏れを十分に防止することが出来る。
【0014】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0016】
すなわち、液晶表示装置は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPNを備えている。液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に図示しないスペーサーを介して形成された間隙に保持された液晶層LQと、を備えている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数である)。
【0017】
液晶表示パネルLPNは、アクティブエリアACTにおいて、n本のゲート配線G(G1〜Gn)、n本の補助容量線C(C1〜Cn)、m本のソース配線S(S1〜Sm)などを備えている。ゲート配線G及び補助容量線Cは、例えば、第1方向Xに沿って略直線的に延出している。これらのゲート配線G及び補助容量線Cは、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って交互に並列配置されている。ここでは、第1方向Xと第2方向Yとは互いに略直交している。ソース配線Sは、ゲート配線G及び補助容量線Cと交差している。ソース配線Sは、第2方向Yに沿って略直線的に延出している。なお、ゲート配線G、補助容量線C、及び、ソース配線Sは、必ずしも直線的に延出していなくても良く、それらの一部が屈曲していてもよい。
【0018】
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。これらのゲートドライバGD及びソースドライバSDの少なくとも一部は、例えば、アレイ基板ARに形成され、コントローラを内蔵した駆動ICチップ2と接続されている。
【0019】
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CEなどを備えている。保持容量Csは、例えば補助容量線Cと画素電極PEとの間に形成される。補助容量線Cは、補助容量電圧が印加される電圧印加部VCSと電気的に接続されている。
【0020】
なお、本実施形態においては、液晶表示パネルLPNは、画素電極PEがアレイ基板ARに形成される一方で共通電極CEの少なくとも一部が対向基板CTに形成された構成であり、これらの画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界を主に利用して液晶層LQの液晶分子をスイッチングする。画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界は、第1方向Xと第2方向Yとで規定されるX−Y平面あるいは基板主面に対してわずかに傾いた斜め電界(あるいは、基板主面にほぼ平行な横電界)である。
【0021】
スイッチング素子SWは、例えば、nチャネル薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、トップゲート型あるいはボトムゲート型のいずれであっても良い。また、スイッチング素子SWの半導体層は、例えば、ポリシリコンによって形成されているが、アモルファスシリコンによって形成されていても良い。
【0022】
画素電極PEは、各画素PXに配置され、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。共通電極CEは、液晶層LQを介して複数の画素PXの画素電極PEに対して共通に配置されている。このような画素電極PE及び共通電極CEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成されているが、アルミニウムなどの他の金属材料によって形成されても良い。
【0023】
アレイ基板ARは、共通電極CEに電圧を印加するための給電部VSを備えている。この給電部VSは、例えば、アクティブエリアACTの外側に形成されている。共通電極CEは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、図示しない導電部材を介して、給電部VSと電気的に接続されている。
【0024】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。ここでは、X−Y平面における平面図を示している。
【0025】
図示した画素PXは、破線で示したように、第1方向Xに沿った長さが第2方向Yに沿った長さよりも短い長方形状である。ゲート配線G1及びゲート配線G2は、第1方向Xに沿って延出している。補助容量線C1は、隣接するゲート配線G1とゲート配線G2との間に配置され、第1方向Xに沿って延出している。ソース配線S1及びソース配線S2は、第2方向Yに沿って延出している。画素電極PEは、隣接するソース配線S1とソース配線S2との間に配置されている。また、この画素電極PEは、ゲート配線G1とゲート配線G2との間に位置している。
【0026】
図示した例では、画素PXにおいて、ソース配線S1は左側端部に配置され、ソース配線S2は右側端部に配置されている。厳密には、ソース配線S1は当該画素PXとその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ソース配線S2は当該画素PXとその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。また、画素PXにおいて、ゲート配線G1は上側端部に配置され、ゲート配線G2は下側端部に配置されている。厳密には、ゲート配線G1は当該画素PXとその上側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ゲート配線G2は当該画素PXとその下側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。補助容量線C1は、画素の略中央部に配置されている。
【0027】
スイッチング素子SWは、図示した例では、ゲート配線G1及びソース配線S1に電気的に接続されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G1とソース配線S1の交点に設けられ、そのドレイン配線はソース配線S1及び補助容量線C1に沿って延長され、補助容量線C1と重なる領域に形成されたコンタクトホールCHを介して画素電極PEと電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、ソース配線S1及び補助容量線C1と重なる領域に設けられ、ソース配線S1及び補助容量線C1と重なる領域からほとんどはみ出すことはなく、表示に寄与する開口部の面積の低減を抑制している。
【0028】
画素電極PEは、互いに電気的に接続された主画素電極PA及びコンタクト部PCを備えている。主画素電極PAは、コンタクト部PCから画素PXの上側端部付近及び下側端部付近まで第2方向Yに沿って直線的に延出している。このような主画素電極PAは、第1方向Xに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。コンタクト部PCは、補助容量線C1と重なる領域に位置し、コンタクトホールCHを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されている。このコンタクト部PCは、主画素電極PAよりも幅広に形成されている。
【0029】
このような画素電極PEは、ソース配線S1とソース配線S2との略中間の位置、つまり、画素PXの中央に配置されている。ソース配線S1と画素電極PEとの第1方向Xに沿った間隔は、ソース配線S2と画素電極PEとの第1方向Xに沿った間隔と略同等である。
【0030】
共通電極CEは、主共通電極CAを備えている。この主共通電極CAは、X−Y平面内において、主画素電極PAを挟んだ両側で主画素電極PAと略平行な第2方向Yに沿って直線的に延出している。あるいは、主共通電極CAは、ソース配線Sとそれぞれ対向するとともに主画素電極PAと略平行に延出している。このような主共通電極CAは、第1方向Xに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。
【0031】
図示した例では、主共通電極CAは、第1方向Xに沿って2本平行に並んでおり、画素PXの左右両端部にそれぞれ配置されている。以下では、これらの主共通電極CAを区別するために、図中の左側の主共通電極をCALと称し、図中の右側の主共通電極をCARと称する。主共通電極CALはソース配線S1と対向し、主共通電極CARはソース配線S2と対向している。これらの主共通電極CAL及び主共通電極CARは、アクティブエリア内あるいはアクティブエリア外において互いに電気的に接続されている。
【0032】
画素PXにおいて、主共通電極CALは左側端部に配置され、主共通電極CARは右側端部に配置されている。厳密には、主共通電極CALは当該画素PXとその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、主共通電極CARは当該画素PXとその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。
【0033】
画素電極PEと主共通電極CAとの位置関係に着目すると、画素電極PEと主共通電極CAとは、第1方向Xに沿って交互に配置されている。これらの画素電極PEと主共通電極CAとは、互いに略平行に配置されている。このとき、X−Y平面内において、主共通電極CAのいずれも画素電極PEとは重ならない。
【0034】
すなわち、隣接する主共通電極CAL及び主共通電極CARの間には、1本の画素電極PEが位置している。換言すると、主共通電極CAL及び主共通電極CARは、画素電極PEの直上の位置を挟んだ両側に配置されている。あるいは、画素電極PEは、主共通電極CALと主共通電極CARとの間に配置されている。このため、主共通電極CAL、主画素電極PA、及び、主共通電極CARは、第1方向Xに沿ってこの順に配置されている。
【0035】
これらの画素電極PEと共通電極CEとの第1方向Xに沿った間隔は略一定である。すなわち、主共通電極CALと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔は、主共通電極CARと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔と略同等である。
【0036】
実施形態によれば、図2に示す液晶表示パネルにおいて、スペーサーは、画素電極PE上または主共通電極CA上に少なくとも1つ形成される。
【0037】
また、スペーサーは、好ましくは、画素電極PE上または主共通電極CA上であり、かつゲート配線G上または共通配線としての補助容量線C1上である領域に形成される。このような領域として、例えば、画素電極PEと補助容量線C1が交差するコンタクト部PC内の領域SS1、共通電極CAと補助容量線C1とが交差する領域SS3,SS6、及び共通電極CAとゲート配線Gが交差する領域SS2,SS4,SS5,SS7があげられ、スペーサーは、これらの領域のうち少なくとも1つの領域に形成することができる。さらに好ましくは、スペーサーは、少なくともコンタクト部PCのコンタクトホールCH中に設けることができる。
【0038】
また、2以上のスペーサーを設ける場合、互いに高さの異なるスペーサーを適用することができる。高さの異なるスペーサーを設けることにより、液晶表示装置の面押しに対し強度が強くなる傾向があるとともに、低温環境下において液晶表示パネルの液晶層内に生じる気泡の発生を抑制することができる。
【0039】
図3は、図2に示した液晶表示パネルLPNをA−A線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。なお、ここでは、説明に必要な箇所のみを図示している。
【0040】
液晶表示パネルLPNを構成するアレイ基板ARの背面側には、バックライト4が配置されている。バックライト4としては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0041】
アレイ基板ARは、光透過性を有する第1絶縁基板10を用いて形成されている。第1方向Xに延在した補助容量線C1は、第1絶縁膜11の上に形成され、第2絶縁膜12によって覆われている。なお、図示しないゲート配線も同様に、第1絶縁膜11と第2絶縁膜12との間に形成されている。
【0042】
スイッチング素子のドレイン電極WD、ソース配線S1及びソース配線S2は、第2絶縁膜12の上に形成され、第3絶縁膜13によって覆われている。ドレイン電極WDは、ソース配線S1及びソース配線S2から離間し、これらの間に位置している。第3絶縁膜13には、ドレイン電極WDまで貫通したコンタクトホールCHが形成されている。
【0043】
画素電極PEのコンタクト部PC、第3絶縁膜13の上面に形成されている。コンタクト部PCは、コンタクトホールCHに延在し、スイッチング素子に接続されたドレイン電極WDと電気的に接続されている。このようなコンタクト部PCを有する画素電極PEは、隣接するソース配線S1及びソース配線S2のそれぞれの直上の位置よりもそれらの内側に位置している。つまり、ソース配線S1の直上に位置する主共通電極CALと、ソース配線S2の直上に位置する共通電極CARとの間に位置している。
【0044】
第1配向膜AL1は、アレイ基板ARの対向基板CTと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第1配向膜AL1は、画素電極PEのコンタクト部PCや、第3絶縁膜13の上にも配置されている。このような第1配向膜AL1は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0045】
なお、アレイ基板ARは、さらに、共通電極CAの一部を備えていても良い。
【0046】
対向基板CTは、光透過性を有する第2絶縁基板20を用いて形成されている。この対向基板CTは、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、共通電極CE、第2配向膜AL2などを備えている。
【0047】
ブラックマトリクスBMは、各画素PXを区画し、画素電極PEと対向する開口部APを形成する。すなわち、ブラックマトリクスBMは、ソース配線S、ゲート配線、補助容量線、スイッチング素子などの配線部に対向するように配置されている。ここでは、ブラックマトリクスBMは、第2方向Yに沿って延出した部分のみが図示されているが、第1方向Xに沿って延出した部分を備えていても良い。このブラックマトリクスBMは、第2絶縁基板20のアレイ基板ARに対向する内面20Aに配置されている。
【0048】
カラーフィルタCFは、各画素PXに対応して配置されている。すなわち、カラーフィルタCFは、第2絶縁基板20の内面20Aにおける開口部APに配置されるとともに、その一部がブラックマトリクスBMに乗り上げている。第1方向Xに隣接する画素PXにそれぞれ配置されたカラーフィルタCFは、互いに色が異なる。例えば、カラーフィルタCFは、赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。赤色に着色された樹脂材料からなる赤色カラーフィルタCFRは、赤色画素に対応して配置されている。青色に着色された樹脂材料からなる青色カラーフィルタCFBは、青色画素に対応して配置されている。緑色に着色された樹脂材料からなる緑色カラーフィルタCFGは、緑色画素に対応して配置されている。これらのカラーフィルタCF同士の境界は、ブラックマトリクスBMと重なる位置にある。
【0049】
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。このオーバーコート層OCは、カラーフィルタCFの表面の凹凸の影響を緩和する。
【0050】
共通電極CEは、オーバーコート層OCのアレイ基板ARと対向する側に形成されている。
【0051】
第2配向膜AL2は、対向基板CTのアレイ基板ARと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第2配向膜AL2は、共通電極CEの主共通電極CAL、共通電極CAR及びスペーサーSPなどを覆っており、また、オーバーコート層OCなどを覆っている。このような第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0052】
これらの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2には、液晶層LQの液晶分子を初期配向させるための配向処理(例えば、ラビング処理や光配向処理)がなされている。第1配向膜AL1が液晶分子を初期配向させる第1配向処理方向PD1、及び、第2配向膜AL2が液晶分子を初期配向させる第2配向処理方向PD2は、互いに平行であって、互いに逆向きあるいは同じ向きである。例えば、これらの第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2は、図2に示したように、第2方向Yと略平行であって、同じ向きである。
【0053】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、それぞれの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が対向するように配置されている。このとき、アレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間には、例えば、樹脂材料によって一方の基板に一体的に形成された柱状スペーサーSPが配置され、これにより、所定のセルギャップ、例えば2〜7μmのセルギャップが形成される。図3では、柱状スペーサーSPは、ソース配線S2と補助容量線C1との交差部分に形成されている。アレイ基板ARと対向基板CTとは、所定のセルギャップが形成された状態で、アクティブエリアACTの外側のシール材SBによって貼り合わせられている。
【0054】
液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に設けられたスペーサーSPにより形成されたセルギャップに保持され、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に配置されている。このような液晶層LQは、例えば、誘電率異方性が正(ポジ型)の液晶材料によって構成されている。
【0055】
アレイ基板ARの外面、つまり、アレイ基板ARを構成する第1絶縁基板10の外面10Bには、第1光学素子OD1が接着剤などにより貼付されている。この第1光学素子OD1は、液晶表示パネルLPNのバックライト4と対向する側に位置しており、バックライト4から液晶表示パネルLPNに入射する入射光の偏光状態を制御する。この第1光学素子OD1は、第1偏光軸(あるいは第1吸収軸)AX1を有する第1偏光板PL1を含んでいる。
【0056】
対向基板CTの外面、つまり、対向基板CTを構成する第2絶縁基板20の外面20Bには、第2光学素子OD2が接着剤などにより貼付されている。この第2光学素子OD2は、液晶表示パネルLPNの表示面側に位置しており、液晶表示パネルLPNから出射した出射光の偏光状態を制御する。この第2光学素子OD2は、第2偏光軸(あるいは第2吸収軸)AX2を有する第2偏光板PL2を含んでいる。
【0057】
第1偏光板PL1の第1偏光軸AX1と、第2偏光板PL2の第2偏光軸AX2とは、例えば、直交する位置関係(クロスニコル)にある。このとき、一方の偏光板は、例えば、その偏光軸が液晶分子の初期配向方向つまり第1配向処理方向PD1あるいは第2配向処理方向PD2と平行または直交するように配置されている。初期配向方向が第2方向Yと平行である場合、一方の偏光板の偏光軸は、第2方向Xと平行、あるいは、第1方向Xと平行である。
【0058】
図2において、(a)で示した例では、第1偏光板PL1は、その第1偏光軸AX1が液晶分子LMの初期配向方向(第2方向Y)に対して直交する(つまり、第1方向Xに平行となる)ように配置され、また、第2偏光板PL2は、その第2偏光軸AX2が液晶分子LMの初期配向方向に対して平行となる(つまり、第2方向Yと平行となる)ように配置されている。
【0059】
また、図2において、(b)で示した例では、第2偏光板PL2は、その第2偏光軸AX2が液晶分子LMの初期配向方向(第2方向Y)に対して直交する(つまり、第1方向Xに平行となる)ように配置され、また、第1偏光板PL1は、その第1偏光軸AX1が液晶分子LMの初期配向方向に対して平行となる(つまり、第2方向Yと平行となる)ように配置されている。
【0060】
なお、図3では、柱状スペーサーSPが図のソース配線Sと補助容量線Cが交差する領域SS6に設けられた例を示しているが、柱状スペーサーSPを形成する領域は、図の領域SS1ないしSS7のいずれでも良く、必要に応じて、2以上の領域に形成することができる。
【0061】
ここで、液晶表示装置にはこのようなスペーサーSPが複数設けられ得る。各々、同じ高さのスペーサーを設けても、必要に応じて、異なる高さのスペーサーを設けてもよい。
【0062】
例えば、スペーサーSPを共通電極CARと補助容量線C1の交差する部分SS6に配置するとともに、更に補助容量線C1と画素電極PEが交差する箇所であって画素電極PEとドレイン電極WDを接続するためのコンタクトホールCHの部分SS1に配置する。これにより、液晶層の厚みの異なる箇所にスペーサーを設けることが可能となる。したがって、表示面に押圧が無い場合には、補助容量線C1と主共通電極CARの交差部分SS6に配置されたスペーサーのみで基板間を保持するが、表示面に押圧が有る場合には、上記SS6に配置されたスペーサーに加え、コンタクトホールCH部分に配置されたSS1のスペーサーも基板間を保持するため、面押しに対する強度が向上する。また、低温環境下においては、スペーサーの収縮率より液晶層の収縮率が大きいためスペーサーを多く配置すると液晶層の収縮にスペーサーの収縮が追従できず気泡を発生する場合がある。しかしながら、コンタクトホールCH部分SS1に配置されているスペーサーは、コンタクトホールの深さだけ液晶層の間隔が大きいので対向する基板に接することが無い。このため、液晶層の収縮にスペーサーの収縮が十分追従し液晶層内に気泡の発生を防ぐことが出来る。
【0063】
スペーサーSPは、例えば感光性樹脂を用いて露光、現像によりパターニングを行うことにより形成することができる。露光量を調節することにより、スペーサーの高さを調整することもできる。
【0064】
スペーサーSPは、アレイ基板側に作成しても、対向基板側に作成してもいずれでも良い。アレイ基板側に作成すると組み立て時に合わせずれが生じにくい傾向がある。
【0065】
スペーサーSPは、透明でも、有色でもいずれでもよい。
【0066】
一画素につき、感光性樹脂を用いて透明なスペーサーを、図に示す領域SS6に1つずつ設けた液晶表示装,SS5に1つずつ設けた液晶表示装置,及び図に示すようにSS1に1つずつ設けた液晶表示装置を各々作成して、そのコントラストを測定したところ、各々、620,580,620と良好な結果が得られた。これに対し、比較として、主画素電極上または共通電極上ではなく、非遮光部分の位置にスペーサーを形成してコントラストを測定したところ、430という不十分な結果が得られた。
【0067】
本実施形態では、画素電極上または共通電極上の液晶分子は、電界によって動かないため透過率に寄与しない。換言すれば、画素電極上または共通電極上は自ずと遮光部分になり、この部分にスペーサーを配置することで透過率を下げることなくスペーサーを配置することができる。また、画素電極上または共通電極上の液晶分子は、電界によって動作しないためスペーサーによって配向が乱れることによる光漏れも無い。これにより、主画素電極上または共通電極上にスペーサーを形成するとコントラストが向上することがわかった。
【0068】
次に、上記構成の液晶表示パネルLPNの動作について、図2乃至を参照しながら説明する。
【0069】
すなわち、液晶層LQに電圧が印加されていない状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差(あるいは電界)が形成されていない状態(OFF時)には、液晶層LQの液晶分子LMは、その長軸が第1配向膜AL1の第1配向処理方向PD1及び第2配向膜AL2の第2配向処理方向PD2を向くように配向している。このようなOFF時が初期配向状態に相当し、OFF時の液晶分子LMの配向方向が初期配向方向に相当する。
【0070】
なお、厳密には、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているとは限らず、プレチルトしている場合が多い。このため、ここでの液晶分子LMの初期配向方向とは、OFF時の液晶分子LMの長軸をX−Y平面に正射影した方向である。以下では、説明を簡略にするために、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているものとし、X−Y平面と平行な面内で回転するものとして説明する。
【0071】
ここでは、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2は、ともに第2方向Yと略平行な方向である。OFF時においては、液晶分子LMは、図2に破線で示したように、その長軸が第2方向Yと略平行な方向に初期配向する。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yと平行(あるいは、第2方向Yに対して0°)である。
【0072】
図示した例のように、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が平行且つ同じ向きである場合、液晶層LQの断面において、液晶分子LMは、液晶層LQの中間部付近で略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向し、ここを境界として第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。
【0073】
ここで、第1配向膜AL1を第1配向処理方向PD1に配向処理した結果、第1配向膜AL1の近傍における液晶分子LMは第1配向処理方向PD1に初期配向され、第2配向膜AL2を第2配向処理方向PD2に配向処理した結果、第2配向膜AL2の近傍における液晶分子LMは第2配向処理方向PD1に初期配向される。そして、第1配向処理方向PD1と第2配向処理方向PD2は互いに平行で且つ同じ向きである場合には、上述のように液晶分子LMはスプレイ配向になり、上記したように液晶層LQの中間部を境界として、アレイ基板AR上の第1配向膜AL1の近傍での液晶分子LMの配向と対向基板CT上の第2配向膜AL2の近傍での液晶分子LMの配向は、上下で対称となる。このため、基板の法線方向から傾いた方向においても光学的に補償される。したがって、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が互いに平行、且つ、同じ向きである場合には、黒表示の場合に光漏れが少なく、高コントラスト比を実現することができ、表示品位を向上することが可能となる。
【0074】
なお、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が互いに平行且つ逆向きである場合、液晶層LQの断面において、液晶分子LMは、第1配向膜AL1の近傍、第2配向膜AL2の近傍、及び、液晶層LQの中間部において略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
【0075】
バックライト4からのバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶表示パネルLPNに入射した光の偏光状態は、液晶層LQを通過する際に液晶分子LMの配向状態によって異なる。OFF時においては、液晶層LQを通過した光は、第2偏光板PL2によって吸収される(黒表示)。
【0076】
一方、液晶層LQに電圧が印加された状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差(あるいは電界)が形成された状態(ON時)では、画素電極PEと共通電極CEとの間に基板と略平行な横電界(あるいは斜め電界)が形成される。液晶分子LMは、電界の影響を受け、その長軸が図中の実線で示したようにX−Y平面と略平行な平面内で回転する。
【0077】
図2に示した例では、画素電極PEと主共通電極CALとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の左下を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CARとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の右下を向くように配向する。
【0078】
このように、各画素PXにおいて、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成された状態では、液晶分子LMの配向方向は、画素電極PEと重なる位置を境界として複数の方向に分かれ、それぞれの配向方向でドメインを形成する。つまり、一画素PXには、複数のドメインが形成される。
【0079】
このようなON時には、バックライト4から液晶表示パネルLPNに入射したバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶層LQに入射したバックライト光は、その偏光状態が変化する。このようなON時においては、液晶層LQを通過した少なくとも一部の光は、第2偏光板PL2を透過する(白表示)。
【0080】
図4は、図2に示した液晶表示パネルLPNにおける画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界、及び、この電界による液晶分子LMのダイレクタと透過率との関係を説明するための図である。
【0081】
OFF状態では、液晶分子LMは、第2方向Yに略平行な方向に初期配向している。画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差が形成されたON状態では、液晶分子LMのダイレクタ(あるいは液晶分子LMの長軸方向)が、X−Y平面内で、第1偏光板PL1の第1偏光軸AX1及び第2偏光板PL2の第2偏光軸AX2に対して概ね45°ずれた状態となったときに、液晶の光学的な変調率が最も高くなる(つまり、開口部での透過率が最大となる)。
【0082】
図示した例では、ON状態となったとき、主共通電極CALと画素電極PEとの間の液晶分子LMのダイレクタはX−Y平面内で45°−225°の方位と略平行となり、主共通電極CARと画素電極PEとの間の液晶分子LMのダイレクタはX−Y平面内で135°−315°の方位と略平行となり、ピーク透過率が得られる。このとき、一画素あたりの透過率分布に着目すると、画素電極PE上及び共通電極CE上においては透過率が略ゼロとなる一方で、画素電極PEと共通電極CEとの間の電極間隙では、略全域に亘って高い透過率が得られる。
【0083】
なお、ソース配線S1の直上に位置する主共通電極CAL及びソース配線S2の直上に位置する主共通電極CARは、それぞれブラックマトリクスBMと対向しているが、これらの主共通電極CAL及び主共通電極CARは、ともにブラックマトリクスBMの第1方向Xに沿った幅と同等以下の幅を有しており、ブラックマトリクスBMと重なる位置よりも画素電極PEの側に延在していない。このため、一画素あたり、表示に寄与する開口部は、ブラックマトリクスBMの間もしくはソース配線S1とソース配線S2との間の領域のうち、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の領域に相当する。
【0084】
本実施形態によれば、光透過率の低い画素電極または共通電極上にスペーサーを設けることにより、スペーサーの周囲の液晶の配向乱れにより生ずる光漏れを防止し、広視野角かつ高コントラストの液晶表示装置が得られる。
【0085】
さらに、主画素電極上または共通電極上であり、かつゲート配線上または共通配線上にスペーサーを設けると、光透過率の低い領域が広いため、スペーサーの周囲の液晶の配向乱れにより生ずる光漏れをより効果的に防止して、広視野角かつ高コントラストの液晶表示装置が得られる。
【0086】
また、本実施形態によれば、画素電極PEと共通電極CEとの間の電極間隙において高い透過率が得られるため、一画素あたりの透過率を十分に高くするためには、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の電極間距離を拡大することで対応することが可能となる。また、画素ピッチが異なる製品仕様に対しては、電極間距離を変更する(つまり、画素PXの略中央に配置された画素電極PEに対して主共通電極CAの配置位置を変更する)ことで、図4に示したような透過率分布のピーク条件を利用することが可能となる。つまり、本実施形態の表示モードにおいては、比較的画素ピッチが大きな低解像度の製品仕様から比較的画素ピッチが小さい高解像度の製品仕様まで、微細な電極加工を必ずしも必要とせず、電極間距離の設定により種々の画素ピッチの製品を提供することが可能となる。したがって、高透過率且つ高解像度の要求を容易に実現することが可能となる。
【0087】
また、本実施形態によれば、図4に示したように、ブラックマトリクスBMと重なる領域での透過率分布に着目すると、透過率が十分に低下している。これは、共通電極CEの位置よりも当該画素の外側に電界の漏れが発生せず、また、ブラックマトリクスBMを挟んで隣接する画素間で不所望な横電界が生じないため、ブラックマトリクスBMと重なる領域の液晶分子がOFF時(あるいは黒表示時)と同様に初期配向状態を保っているためである。したがって、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
【0088】
また、アレイ基板ARと対向基板CTとの合わせずれが生じた際に、画素電極PEを挟んだ両側の共通電極CEとの水平電極間距離HDに差が生じることがある。しかしながら、このような合わせずれは、全ての画素PXに共通に生じるため、画素PX間での電界分布に相違はなく、画像の表示に及ぼす影響はきわめて小さい。また、例えアレイ基板ARと対向基板CTとの間で合わせズレが生じたとしても、隣接する画素への不所望な電界の漏れを抑制することが可能となる。このため、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態によれば、主共通電極CAは、それぞれソース配線Sと対向している。特に、主共通電極CAL及び主共通電極CARがそれぞれソース配線S1及びソース配線S2の直上に配置されている場合には、主共通電極CAL及び主共通電極CARがソース配線S1及びソース配線S2よりも画素電極PE側に配置された場合と比較して、開口部APを拡大することができ、画素PXの透過率を向上することが可能となる。
【0090】
また、主共通電極CAL及び主共通電極CARをそれぞれソース配線S1及びソース配線S2の直上に配置することによって、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の電極間距離を拡大することが可能となり、より水平に近い横電界を形成することが可能となる。このため、従来の構成であるIPSモード等の利点である広視野角化も維持することが可能となる。
【0091】
また、本実施形態によれば、一画素内に複数のドメインを形成することが可能となる。このため、複数の方向で視野角を光学的に補償することができ、広視野角化が可能となる。(SOL特有の効果)
なお、上記の例では、液晶分子LMの初期配向方向が第2方向Yと平行である場合について説明したが、液晶分子LMの初期配向方向は、図2に示したように、第2方向Yを斜めに交差する斜め方向Dであっても良い。ここで、第2方向Yに対する初期配向方向Dのなす角度θ1は、0°より大きく45°より小さい角度である。なお、このなす角度θ1については、5°〜30°程度、より望ましくは20°以下とすることが液晶分子LMの配向制御の観点で極めて有効である。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yに対して0°乃至20°の範囲内の方向と略平行であることが望ましい。
【0092】
また、上記の例では、液晶層LQが正(ポジ型)の誘電率異方性を有する液晶材料によって構成された場合について説明したが、液晶層LQは、誘電率異方性が負(ネガ型)の液晶材料によって構成されていても良い。但し、詳しい説明は省略するが、誘電率異方性が正負逆となる関係上、ネガ型液晶材料の場合、上記したなす角度θ1が45°〜90°、望ましくは70°以上とすることが好ましい。
【0093】
なお、ON時においても、画素電極PE上あるいは共通電極CE上では、横電界がほとんど形成されない(あるいは、液晶分子LMを駆動するのに十分な電界が形成されない)ため、液晶分子LMは、OFF時と同様に初期配向方向からほとんど動かない。このため、画素電極PE及び共通電極CEがITOなどの光透過性の導電材料によって形成されていても、これらの領域ではバックライト光がほとんど透過せず、ON時において表示にほとんど寄与しない。したがって、画素電極PE及び共通電極CEは、必ずしも透明な導電材料によって形成される必要はなく、アルミニウムや銀、銅などの導電材料を用いて形成しても良い。
【0094】
図5は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。
【0095】
この構造例は、図2に示した構造例と比較して、補助容量線C1が画素PXの上側端部に配置され、補助容量線C2が画素PXの下側端部に配置され、ゲート配線G1が画素PXの略中央部に配置されている点で相違している。
【0096】
すなわち、補助容量線C1及び補助容量線C2は、第1方向Xに沿って延出している。ゲート配線Gは、隣接する補助容量線C1と補助容量線C2との間に配置され、第1方向Xに沿って延出している。ソース配線S1及びソース配線S2は、第2方向Yに沿って延出している。なお、画素PXにおいて、ソース配線S1が左側端部に配置されている点、ソース配線S2が右側端部に配置されている点、スイッチング素子SWがゲート配線G1及びソース配線S1に電気的に接続され且つソース配線S1及びゲート配1と重なる領域に形成されている点については、図2に示した構造例と同様である。
【0097】
画素電極PEは、画素PXの上側端部において補助容量線C1と重なるコンタクト部PCと、コンタクト部PCから画素PXの下側端部付近に亘って第2方向Yに沿って延出した主画素電極PAとを備えている。このような画素電極PEは、コンタクト部PCにおいて、コンタクトホールCHを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されている。
【0098】
共通電極CEは、図2に示した構造例と同様に、X−Y平面において、画素電極PEを挟んで両側に配置されている。
【0099】
また、図2に示した構造例と同様に、スペーサーは、画素電極PE上または主共通電極CA上に少なくとも1つ形成される。
【0100】
また、スペーサーは、好ましくは、画素電極PE上または主共通電極CA上であり、かつゲート配線G上または共通配線としての補助容量上である領域に形成される。このような領域として、例えば、画素電極PEと補助容量が交差するコンタクト部PC内の領域SS8、共通電極CAと補助容量とが交差する領域SS9,SS11,SS12,SS14、及び共通電極CAとゲート配線Gが交差する領域SS10,SS13があげられ、スペーサーは、これらの領域のうち少なくとも1つの領域に形成することができる。さらに好ましくは、スペーサーは、少なくともコンタクト部PC中に設けられる。
【0101】
また、図2に示した構造例と同様に、2以上のスペーサーを設ける場合、互いに高さの異なるスペーサーを適用することができる。高さの異なるスペーサーを設けることにより、液晶表示装置の面押しに対し強度が強くしつつ、低温環境下において外部衝撃等により液晶層中に発生する気泡を抑制できる。
【0102】
このような構造例においても、図2に示した構造例と同様の効果が得られる。
【0103】
図6は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。
【0104】
この構造例は、図2に示した構造例と比較して、共通電極CEが一画素PXを取り囲むように格子状に形成された点で相違している。
【0105】
すなわち、共通電極CEは、上記した主共通電極CAの他に、第1方向Xに沿って延出した副共通電極CBを含んでいる。これらの主共通電極CA及び副共通電極CBは、一体的あるいは連続的に形成されている。
【0106】
副共通電極CBは、ゲート配線Gの各々と対向している。図示した例では、副共通電極CBは第1方向Xに沿って2本平行に並んでおり、以下では、これらを区別するために、図中の上側の副共通電極をCBUと称し、図中の下側の副共通電極をCBBと称する。副共通電極CBUは、画素PXの上側端部に配置され、ゲート配線G1と対向している。つまり、副共通電極CBUは、当該画素PXとその上側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。また、副共通電極CBBは、画素PXの下側端部に配置され、ゲート配線G2と対向している。つまり、副共通電極CBBは、当該画素PXとその下側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。
【0107】
スペーサーが形成される領域は、図2と同様である。
【0108】
このような構造例においても、図2に示した構造例と同様の効果が得られる。
【0109】
図7は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。
【0110】
この構造例は、図5に示した構造例と比較して、共通電極CEが一画素PXを取り囲むように格子状に形成された点で相違している。
【0111】
すなわち、共通電極CEは、上記した主共通電極CAの他に、第1方向Xに沿って延出した副共通電極CBを含んでいる。これらの主共通電極CA及び副共通電極CBは、一体的あるいは連続的に形成されている。副共通電極CBは、補助容量線Cの各々と対向している。画素PXの上側端部に配置された副共通電極CBUは、補助容量線C1と対向している。また、画素PXの下側端部に配置された副共通電極CBBは、補助容量線C2と対向している。
【0112】
スペーサーが形成される領域は、図5と同様である。
【0113】
このような構造例においても、図2に示した構造例と同様の効果が得られる。
【0114】
なお、本実施形態においては、共通電極CEは、対向基板CTに備えられた主共通電極CAに加えて、アレイ基板ARに備えられ主共通電極CAと対向する(あるいはソース配線Sと対向する)第2主共通電極を備えていても良い。この第2主共通電極は、主共通電極CAと略平行に延出し、しかも、主共通電極CAと同電位である。このような第2主共通電極を設けることにより、ソース配線Sからの不所望な電界をシールドすることが可能である。また、共通電極CEは、対向基板CTに備えられた主共通電極CAに加えて、アレイ基板ARに備えられゲート配線Gや補助容量線Cと対向する第2副共通電極を備えていても良い。この第2副共通電極は、主共通電極CAと交差する方向に延出し、しかも、主共通電極CAと同電位である。このような第2副共通電極を設けたことにより、ゲート配線Gや補助容量線Cからの不所望な電界をシールドすることが可能である。このような第2主共通電極や第2副共通電極を備えた構成によれば、更なる表示品位の劣化を抑制することが可能となる。
【0115】
また、本実施形態においては、画素電極PEは、主画素電極PAと交差する方向に延出した副画素電極を備えていても良い。この副画素電極は、コンタクトホールを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されるコンタクト部PCの機能を有していても良い。副画素電極を画素PXの略中央に設けた場合、画素電極PEは、十字状となる。このような副画素電極を設けたことにより、一画素PXにおいてより多くのドメインを形成することが可能となり、視野角を拡大することが可能となる。
【0116】
また、本実施形態においては、画素電極PEは、第1方向Xに間隔をおいて略平行に並んだ複数の主画素電極PAを備えていても良い。この場合、隣接する主画素電極PAの間には主共通電極CEが配置され、主画素電極PAと主共通電極CAとを第1方向Xに沿って交互に配置する関係を維持する。
【0117】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の劣化を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
LPN…液晶表示パネル、AR…アレイ基板、CT…対向基板、LQ…液晶層
PE…画素電極、PA…主画素電極、PC…コンタクト部、
CE…共通電極、CA…主共通電極、SP…スペーサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7