(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2通風部および前記第3通風部は共通の一つの開口部に含まれ、前記第1通風部は、前記一つの開口部から独立した他の開口部である、請求項1に記載の無人ヘリコプタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような無人ヘリコプタにおいて、近年、高性能のエンジンを搭載することが望まれている。しかしながら、高性能のエンジンを搭載した場合、エンジンの発熱量が大きくなり、エンジンの温度が上昇しやすくなる。これにより、ボディカバー内の温度が上昇しやすくなる。特に、無人ヘリコプタを高速で前進飛行させる場合には、エンジンの出力が高くなり、エンジンの発熱量が大きくなる。そこで、特許文献1の無人ヘリコプタでは、エンジンの温度上昇を抑制するために複数のラジエータを設けている。しかしながら、この場合、無人ヘリコプタの重量が増加する。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、重量の増加を抑制しつつボディカバー内の温度上昇を抑制できる無人ヘリコプタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の無人ヘリコプタは、メインロータと、メインロータを支持しかつ上下に延びるロータ軸と、メインロータの下方およびロータ軸よりも前方に設けられかつロータ軸を駆動するエンジンと、エンジンよりも前方に設けられかつエンジンの熱を放出するラジエータと、エンジンおよびラジエータを収容するボディカバーとを備え、ボディカバーは、ロータ軸が通る第1通風部と、第1通風部よりも前方に設けられかつラジエータに風を導く第2通風部と、第1通風部よりも前方でかつラジエータよりも後方に設けられる第3通風部と
、ボディカバーの前方からの風をボディカバー内に導く案内部とを有し、第3通風部の少なくとも一部は、第2通風部およびラジエータよりも上方に位置
し、案内部は、第2通風部よりも後方かつ上方に設けられ、正面視において下面が見えるようにボディカバーの前方斜め上方に向かって下から上に延びることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の無人ヘリコプタは、請求項1に記載の無人ヘリコプタにおいて、第1通風部、第2通風部、および第3通風部は互いに独立した開口部であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の無人ヘリコプタは、請求項1に記載の無人ヘリコプタにおいて、第2通風部および第3通風部は共通の一つの開口部に含まれ、第1通風部は、上記一つの開口部から独立した他の開口部であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の無人ヘリコプタは、請求項1に記載の無人ヘリコプタにおいて、第1通風部、第2通風部および第3通風部は共通の一つの開口部に含まれることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の無人ヘリコプタは、メインロータと、メインロータを支持しかつ上下に延びるロータ軸と、メインロータの下方およびロータ軸よりも前方に設けられかつロータ軸を駆動するエンジンと、エンジンよりも前方に設けられかつエンジンの熱を放出するラジエータと、エンジンおよびラジエータを収容するボディカバーとを備え、ボディカバーは、ロータ軸が通る第1通風部と、第1通風部よりも前方に設けられかつラジエータに風を導く第2通風部と、第1通風部よりも前方でかつラジエータよりも後方に設けられる第3通風部とを有し、第3通風部の少なくとも一部は、第2通風部およびラジエータよりも上方に位置し、第1通風部、第2通風部および第3通風部は互いに独立した開口部であり、第1通風部、第2通風部および第3通風部はボディカバーの上面に形成されていることを特徴とする。
請求項
6に記載の無人ヘリコプタは、請求項
5に記載の無人ヘリコプタにおいて、ボディカバーは、ボディカバーの前方からの風をボディカバー内に導く案内部をさらに有することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の無人ヘリコプタは、請求項2
または5に記載の無人ヘリコプタにおいて、ボディカバーは、ボディカバーの前方斜め上方に向かって下から上に延びる第1筒状部を含み、第3通風部は、第1筒状部の上端部に設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の無人ヘリコプタは、請求項2
または5に記載の無人ヘリコプタにおいて、第3通風部は下方に向かって開口することを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の無人ヘリコプタは、請求項8に記載の無人ヘリコプタにおいて、ボディカバーは、第3通風部を形成する上壁部および下壁部を含み、上壁部は、第3通風部から後方斜め上方に向かって前から後に延び、下壁部は、上壁部の下方において第3通風部から後方斜め上方に向かって前から後に延びることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の無人ヘリコプタは、請求項1から9のいずれかに記載の無人ヘリコプタにおいて、ボディカバーは、ボディカバー内に向かって延びる第2筒状部をさらに有することを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の無人ヘリコプタは、請求項1から10のいずれかに記載の無人ヘリコプタにおいて、第3通風部はエンジンの上方に設けられることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の無人ヘリコプタは、請求項1から11のいずれかに記載の無人ヘリコプタにおいて、ボディカバーは、第1通風部よりも後方に設けられる第4通風部をさらに有することを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の無人ヘリコプタは、請求項12に記載の無人ヘリコプタにおいて、エンジンを支持するフレームと、当該無人ヘリコプタの姿勢を検出する姿勢検出器とをさらに備え、第4通風部の少なくとも一部はフレームよりも上方でかつロータ軸よりも後方に位置し、姿勢検出器の少なくとも一部はフレームよりも上方でかつロータ軸よりも後方に位置することを特徴とする。
【0019】
請求項1
、5に記載の無人ヘリコプタでは、ホバリング時には、メインロータからの吹き降ろしの風が、第2通風部およびラジエータを通過してボディカバー内に導かれる。このとき、ラジエータが放熱され、エンジンの温度上昇が抑制される。第2通風部からボディカバー内に風が流入することによって、ボディカバー内の空気が第1通風部および第3通風部からボディカバー外に排出される。特に、メインロータの回転によってロータ軸周辺に上昇気流が発生することによって、ボディカバー内の空気が第1通風部を介してボディカバー外に効率よく排出される。このようにして、ボディカバー内の空気を効率よく入れ替えることができる。無人ヘリコプタが前進する際には、ホバリング時と同様に、メインロータからの吹き降ろしの風が、第2通風部およびラジエータを通過してボディカバー内に導かれる。また、第3通風部の少なくとも一部は、ラジエータよりも後方において第2通風部およびラジエータよりも上方に設けられるので、無人ヘリコプタの前方からの風が、第3通風部を介してボディカバー内に効率よく導かれる。第2通風部および第3通風部からボディカバー内に風が流入することによって、ボディカバー内の空気が第1通風部からボディカバー外に排出される。特に、ロータ軸周辺に上昇気流が発生することによって、第1通風部を介してボディカバー内の空気が効率よく排出される。無人ヘリコプタが後進する際には、ボディカバー内の空気が第1通風部および第3通風部からボディカバー外に排出される。特に、第1通風部よりも前方でかつラジエータよりも後方に第3通風部を設けることによって、ボディカバー内の空気が第3通風部を介してボディカバー外に効率よく排出される。以上のように、請求項1に記載の無人ヘリコプタでは、第1通風部、第2通風部および第3通風部を用いてボディカバー内の空気を効率よく入れ替えることができる。これにより、多数のラジエータを用いることなくボディカバー内の温度上昇を抑制できる。すなわち、無人ヘリコプタの重量の増加を抑制しつつボディカバー内の温度上昇を抑制できる。
請求項1に記載の無人ヘリコプタでは、前方からの風を案内部によって効率よくボディカバー内に導くことができる。また、簡単な構成でボディカバー内に風を導くことができる。
【0020】
請求項2
、5に記載の無人ヘリコプタでは、第1通風部、第2通風部、および第3通風部を、互いの影響を受けることなく適切に設計できる。したがって、たとえば、第2通風部および第3通風部からボディカバー内に導かれる風の流れにそれぞれ指向性を持たせるように第2通風部および第3通風部を形成することもできる。この場合、より効率よくボディカバー内の温度上昇を抑制できる。
【0021】
請求項3に記載の無人ヘリコプタでは、第2通風部および第3通風部が共通の一つの開口部に含まれるので、ボディカバーの製造が容易になる。
【0022】
請求項4に記載の無人ヘリコプタでは、第1通風部、第2通風部および第3通風部が共通の一つの開口部に含まれるので、ボディカバーの製造が容易になる。
【0023】
請求項
6に記載の無人ヘリコプタでは、前方からの風を案内部によって効率よくボディカバー内に導くことができる。
【0025】
請求項7に記載の無人ヘリコプタでは、第1筒状部がボディカバーの前方斜め上方に向かって下から上に延びかつ第1筒状部の上端部に第3通風部が設けられる。この場合、無人ヘリコプタの前方からの風に加えてメインロータからの吹き降ろしの風も第3通風部を介してボディカバー内に導くことができる。これにより、さらに効率よくボディカバー内の温度上昇を抑制できる。
【0026】
請求項8に記載の無人ヘリコプタでは、第3通風部からボディカバー内に雨水および塵埃等が入り込むことを抑制できる。
【0027】
請求項9に記載の無人ヘリコプタでは、雨水および塵埃等が第3通風部を通過したとしても、その雨水および塵埃等がボディカバー内に入り込むことを上壁部および下壁部によって十分に抑制できる。
【0028】
請求項10に記載の無人ヘリコプタでは、冷却対象(例えば、エンジン)に向くように第2筒状部を設けることによって、冷却対象を効率よく冷却できる。
【0029】
請求項11に記載の無人ヘリコプタでは、ホバリング時および後進時には、ボディカバー内の特にエンジン周辺の空気が第3通風部を介してボディカバー外に効率よく排出される。これにより、ボディカバー内の温度上昇を抑制できる。
【0030】
請求項12に記載の無人ヘリコプタでは、前進時には、ボディカバー内の空気が第4通風部からも排出される。これにより、ボディカバー内の空気をより効率よく入れ替えることができる。また、無人ヘリコプタが後進する際には、メインロータからの吹き降ろしの風および/または進行方向(後方)からの風を第4通風部からボディカバー内に導くことができる。これにより、無人ヘリコプタの後進時においても、ボディカバー内の温度上昇を抑制できる。
【0031】
請求項13に記載の無人ヘリコプタでは、第4通風部の少なくとも一部がフレームよりも上方でかつロータ軸よりも後方に位置するので、第2通風部および第3通風部から第4通風部へと導かれる風、または第4通風部から第1通風
部および第3通風部へと導かれる風がフレームの上方を通りやすくなる。ここで、この無人ヘリコプタでは、姿勢検出器の少なくとも一部もフレームよりも上方でかつロータ軸よりも後方に位置する。したがって、第2通風部および第3通風部から第4通風部へと導かれる風、または第4通風部から第1通風
部および第3通風部へと導かれる風によって、姿勢検出器を効率よく冷却できる。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、重量の増加を抑制しつつボディカバー内の温度上昇を抑制できる無人ヘリコプタが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る無人ヘリコプタ10(以下、ヘリコプタ10と略記する)を示す側面図である。この実施形態における前後、左右、上下とは、ヘリコプタ10の基本姿勢(マスト14が鉛直方向に対して平行になっているときの無人ヘリコプタ10の姿勢)を基準とした前後、左右、上下を意味する。なお、図中において、矢印Fは前方を示す。
【0035】
図1を参照して、ヘリコプタ10は、メインボディ12、マスト14、メインロータ16、テールボディ18およびテールロータ20を含む。この実施形態では、マスト14がロータ軸に相当する。
【0036】
メインボディ12は、フレーム22、ボディカバー24、一対の脚部26(
図1では左側の脚部26のみ図示)、一対の脚部28(
図1では左側の脚部28のみ図示)、および一対のスキッド30(
図1では左側のスキッド30のみ図示)を含む。
【0037】
フレーム22は、正面視において略矩形状を有しかつ前後方向に延びる。テールボディ18およびボディカバー24は、フレーム22に支持される。
【0038】
一対の脚部26は、フレーム22の両側面に取り付けられる。一対の脚部28は、一対の脚部26よりも後方においてフレーム22の両側面に取り付けられる。一対のスキッド30は、左右に並ぶように一対の脚部26および一対の脚部28に取り付けられる。具体的には、一方側(左側)のスキッド30は、一方側(左側)の脚部26,28に取り付けられ、他方側(右側)のスキッド30(図示せず)は、他方側(右側)の脚部26,28(図示せず)に取り付けられる。
【0039】
マスト14は、ボディカバー24から上方に突出するようにかつ回転可能に設けられる。マスト14の上端部に、メインロータ16が固定される。これにより、マスト14とメインロータ16とが一体的に回転する。テールボディ18は略円筒形状を有し、メインボディ12よりも後方に延びる。テールロータ20は、テールボディ18の後端部に回転可能に設けられる。
【0040】
図2は、ヘリコプタ10の内部構造を示す側面図である。なお、
図2においては、図面が煩雑になることを避けるために、ヘリコプタ10の内部構造を簡略化して示している。
図2を参照して、テールボディ18の前端部は、ボディカバー24内においてフレーム22の後端部に支持される。ボディカバー24は、エンジン32、ラジエータ34、トランスミッション36、電装品38、姿勢検出器40、スイッチユニット42および燃料タンク44を収容する。
【0041】
エンジン32は、メインロータ16の下方においてフレーム22の前端部に支持される。さらに、エンジン32は、マスト14よりも前方に位置する。エンジン32としては、たとえば、水平対向型の多気筒エンジンが用いられる。エンジン32よりも前方にラジエータ34が設けられる。この実施形態では、エンジン32の前方斜め上方にラジエータ34が設けられる。ラジエータ34は図示しない連結部材を介してエンジン32に連結され、エンジン32の熱を放出する。ラジエータ34は、平面視略長方形状を有し、その上面が前方斜め上方を向くように設けられる。
【0042】
トランスミッション36は、エンジン32の後方においてフレーム22に支持される。トランスミッション36は、エンジン32の図示しないクランクシャフトに連結される。トランスミッション36から上方に延びるようにマスト14が設けられ、トランスミッション36から後方に延びるように回転シャフト46が設けられる。回転シャフト46は、メインボディ12内およびテールボディ18内を前後方向に延びる。テールロータ20は、回転シャフト46の後端部に連結される。エンジン32が発生する駆動力は、トランスミッション36を介してマスト14および回転シャフト46に伝達される。これにより、マスト14および回転シャフト46が回転し、メインロータ16およびテールロータ20が回転する。
【0043】
マスト14の周りに、電装品38が設けられる。この実施形態では、電装品38は、メインロータ16のブレード角度を調整するための複数のサーボモータを含む。テールボディ18の前端部に、姿勢検出器40が支持される。姿勢検出器40は、ヘリコプタ10の姿勢を検出する。姿勢検出器40は、たとえば、ジャイロセンサを含む。
【0044】
姿勢検出器40の前方斜め上方に、スイッチユニット42が設けられる。スイッチユニット42の上端部は、メインボディ12から上方に突出する。スイッチユニット42は、複数のスイッチ(エンジンを始動するためのスタータスイッチ等)を有する。スイッチユニット42の前方に、燃料タンク44が設けられる。燃料タンク44の上端部は、メインボディ12から上方に突出する。
【0045】
フレーム22内に制御装置48が設けられる。制御装置48は、ヘリコプタ10に搭載される種々の装置を制御する。この実施形態では、制御装置48は、電装品38、姿勢検出器40およびスイッチユニット42に電気的に接続される。制御装置48は、姿勢検出器40が検出するヘリコプタ10の姿勢に基づいて電装品38を制御し、ヘリコプタ10の姿勢を調整する。
【0046】
図3は、ボディカバー24を示す斜視図であり、
図4は、ボディカバー24を示す平面図である。
図3および
図4を参照して、ボディカバー24は、左右対称形状を有する。ボディカバー24は、第1カバー50および第2カバー52を含む。
【0047】
図5は、第1カバー50を示す正面図であり、
図6は、第1カバー50を示す側面図であり、
図7は、第1カバー50を示す平面図であり、
図8は、第1カバー50を示す背面図である。
【0048】
図5〜
図8を参照して、この実施形態では、第1カバー50は左右に分割された構成を有し、一対のサイドカバー54を含む。一方のサイドカバー54は、他方のサイドカバー54を左右反転させた形状を有する。
図2を参照して、一対のサイドカバー54は、エンジン32、ラジエータ34、トランスミッション36、電装品38、姿勢検出器40、スイッチユニット42および燃料タンク44を左右から挟むように互いに固定される。
【0049】
図1〜
図3および
図6を参照して、第1カバー50は流線形状を有する。具体的には、
図6を参照して、第1カバー50は、側面視において、前端部50aから前後方向における中央部に向かって徐々に膨らみ、かつ後端部50bが後方斜め上方に向かって尖るように形成される。
【0050】
図3〜
図8を参照して、第1カバー50は、一対の膨出部56、一対の膨出部58および一対の膨出部60を含む。
図5、
図7および
図8を参照して、一対の膨出部56は第1カバー50の前部に設けられる。
図7を参照して、一対の膨出部56は、前端部50aから左右方向(ヘリコプタ10の幅方向)に徐々に膨らみつつ後方に延びる。
【0051】
図3〜
図6を参照して、各膨出部56は開口部56aを有する。この実施形態では、各開口部56aは、第1カバー50の幅方向における外側かつ前方に向かって開口する。
図5を参照して、開口部56aは、正面視において、外側に行くほど上下方向の幅が狭くなるように、第1カバー50の内側から外側に向かって斜め上方に延びる。
図6を参照して、開口部56aは、側面視において、後方に行くほど上下方向の幅が狭くなるように、前から後に向かって斜め上方に延びる。
【0052】
図3および
図6〜
図8を参照して、膨出部58,60は、第1カバー50の後部に設けられる。膨出部58は膨出部60の上方に設けられる。
図8を参照して、膨出部58は、背面視において外側かつ斜め上方に向かって膨らむように形成される。膨出部60は、背面視において外側かつ斜め下方に向かって膨らむように形成される。
【0053】
図6〜
図8を参照して、各膨出部58は略三角形状の開口部58aを有する。各開口部58aは、少なくとも上方および後方に向かって開口する。言い換えると、各開口部58aは、ヘリコプタ10の平面視および背面視において見えるように(隠れないように)形成される。この実施形態では、各開口部58aは、上方、後方および第1カバー50の幅方向における外側に向かって開口する。
図6を参照して、開口部58aは、水平面に対して角度D傾くように斜め下方に向かって上から下に延びる。水平面とは、マスト14に対して垂直となる平面を意味する。具体的には、開口部58aの最も上方に位置する点n1および最も下方に位置する点n2を通る直線が水平面に対して角度D傾くように開口部58aが設けられる。この実施形態では、角度Dは約20度である。角度Dは、たとえば、5度以上45度以下であることが好ましい。
図2〜
図4を参照して、各開口部58a(
図6参照)には、ルーバー部材62が嵌め込まれる。
【0054】
図2を参照して、姿勢検出器40の少なくとも一部および開口部58a(後述の
図13参照)の少なくとも一部は、フレーム22よりも上方でかつマスト14よりも後方に位置する。この実施形態では、姿勢検出器40の全ておよび開口部58aの全てが、フレーム22よりも上方でかつマスト14よりも後方に位置する。
【0055】
図6〜
図8を参照して、各膨出部60は略三角形状の開口部60aを有する。開口部60aは、開口部58aよりも下方に設けられる。この実施形態では、各開口部60aは、下方、後方および第1カバー50の幅方向における外側に向かって開口する。
【0056】
図2を参照して、姿勢検出器40の少なくとも一部および開口部60a(後述の
図13参照)の少なくとも一部は、フレーム22よりも上方でかつマスト14よりも後方に位置する。この実施形態では、姿勢検出器40の全ておよび開口部60aの全てが、フレーム22よりも上方でかつマスト14よりも後方に位置する。
【0057】
図7を参照して、第1カバー50はさらに、開口部64,66,68,70,72および一対の開口部74を有する。
図5、
図7および
図8を参照して、開口部64は、下方に向かって開口しかつ前端部50aから後端部50bにかけて前後方向に延びるように、一対のサイドカバー54の下縁によって形成される。
【0058】
図3、
図5および
図7を参照して、開口部66は、上方に向かって開口するように、第1カバー50の上端部かつ平面視における略中央部に設けられる。開口部66は、平面視において円形状を有する。開口部66にはマスト14(
図1,2参照)が通される。
【0059】
開口部66よりも前方に開口部68が設けられる。開口部68は、前端部50aから後方斜め上方に向かって延びるように、第1カバー50の左右方向における中央部に設けられる。開口部68は、平面視において略長方形状を有する。
図3および
図4を参照して、開口部68には、第2カバー52が嵌め込まれる。第2カバー52については後述する。
【0060】
図5、
図7および
図8を参照して、開口部66よりも後方に開口部70が設けられ、開口部70よりも後方に開口部72が設けられる。開口部70,72はそれぞれ、上方に向かって開口しかつ第1カバー50の左右方向における中央部に設けられる。開口部70は、平面視において略円形状を有し、開口部72は、平面視において略五角形状を有する。開口部70には、燃料タンク44(
図2参照)の上端部が嵌め込まれ、開口部72にはスイッチユニット42(
図2参照)が嵌め込まれる。
【0061】
図6〜
図8を参照して、一対の開口部74は、開口部66の外側かつ斜め下方に設けられる。
図7および
図8を参照して、各開口部74は、外側かつ斜め上方に向かって開口する。
図2を参照して、各開口部74は、第1カバー50内に設けられる吸気管(図示せず)およびエアクリーナ(図示せず)を介してエンジン32に連通される。すなわち、この実施形態では、エンジン32は一対の開口部74から空気を吸入する。
【0062】
次に、第2カバー52について説明する。
図9は、第2カバー52を示す平面図(第2カバー52を矢印X方向(
図1参照)に見た図)であり、
図10は、第2カバー52を示す側面図である。また、
図11は、
図9のA−A線端面図であり、
図12は、
図9のB−B線断面図である。なお、
図10においては、後部80c(後述)および底部82b(後述)の左右方向における中央部分が点線で示されている。
【0063】
図3、
図4および
図9〜
図12を参照して、第2カバー52は、枠状の鍔状部76と板状の風受け部78とを有する。鍔状部76は、第2カバー52の外側に向かって拡がるように上から下に斜めに延びる。鍔状部76は、前後方向に延びる一対の側部76a、一対の側部76aの前端部を連結するように左右方向に延びる前部76b、および一対の側部76aの後端部を連結するように左右方向に延びる後部76cを含む。風受け部78は、一対の側部76aの前端部および前部76bから上方斜め前方に延びる。風受け部78は、前方に向かって凸となるように平面視において略U字形状を有する。
【0064】
第2カバー52はさらに、鍔状部76の内側において鍔状部76よりも下方まで延びる筒状部80と、筒状部80よりも後方に延びる正面視略U字状の仕切部82とを有する。筒状部80は、前後方向に延びる一対の側部80a、一対の側部80aの前端部を連結するように左右方向に延びる前部80b、および一対の側部80aの後端部を連結するように左右方向に延びる後部80cを含む。仕切部82は、前後方向に延びる一対の側部82aおよび一対の側部82aの下端部を連結するように左右方向に延びる底部82bを含む。
【0065】
一対の側部80aおよび一対の側部82aの上縁は、一対の側部76aの上縁に接続される。一対の側部80aの後端部は、一対の側部82aの前端部に接続される。前部80bの上縁は、風受け部78の下縁に接続される。後部80cの上縁と底部82bの前縁とが接続される。後部80cは、底部82bの前縁から前方斜め下方に向かって延びる。
図10および
図11を参照して、一対の側部80aの下端部および後部80cの下端部は、第2カバー52の内側に向かって延びる。
【0066】
図3、
図4および
図9〜
図12を参照して、筒状部80の下端部によって開口部84が形成され、後部76cの前縁および仕切部82の後縁によって開口部86が形成される。開口部84は、平面視において前後方向に延びる略長方形状に形成され、開口部86は、正面視において左右方向に延びる略長方形状に形成される。
【0067】
平面視において開口部84を複数(この実施形態では5つ)の領域に区切るように、複数(この実施形態では4つ)の羽板88が設けられる。各羽板88は、筒状部80の前部80bと後部80cとを連結するように前後方向に延びる。正面視において開口部86を複数(この実施形態では3つ)の領域に区切るように、複数(この実施形態では2つ)の羽板90が設けられる。各羽板90は、鍔状部76の後部76cと仕切部82の底部82bとを連結するように、上下方向および前後方向に延びる。
【0068】
図2を参照して、この実施形態では、第2カバー52の筒状部80が第1カバー50の開口部68に差し込まれる。筒状部80は、図示しない締結部材(たとえば、ボルトおよびナット等)によってラジエータ34の上面に固定される。これにより、ラジエータ34に第2カバー52が固定される。
【0069】
図13は、ヘリコプタ10の要部を示す側面図である。なお、
図13においては、テールボディ18、テールロータ20、一対の脚部26、一対の脚部28、一対のスキッド30、スイッチユニット42、燃料タンク44および回転シャフト46の図示を省略し、ボディカバー24を簡略化して示している。後述の
図14〜
図17および
図19〜
図23においても同様である。
【0070】
図13を参照して、第2カバー52は、開口部84が前方斜め上方を向くようにかつ開口部86が前方かつ僅かに斜め下方を向くようにラジエータ34に固定される。
図4を参照して、この実施形態では、第2カバー52は、ヘリコプタ10の平面視において開口部86が見えないようにラジエータ34に固定される。言い換えると、第2カバー52は、ヘリコプタ10の平面視において開口部86が後部76cによって隠れるようにラジエータ34に固定される。これにより、雨天時にヘリコプタ10を使用する場合でも、開口部86からボディカバー24内に雨水が入り込むことを抑制できる。
【0071】
図13を参照して、上述のようにラジエータ34に第2カバー52が固定されることによって、ボディカバー24において開口部66よりも前方に開口部84が設けられ、開口部66よりも前方でかつ開口部84およびラジエータ34よりも後方に開口部86が設けられる。開口部86は、開口部84およびラジエータ34よりも上方に設けられる。つまり、開口部86は開口部66と開口部84との間に設けられている。また、開口部86はエンジン32の上方に設けられる。第2カバー52の後部76cは、開口部84よりも後方かつ上方に設けられ、ボディカバー24の前方斜め上方に向かって下から上に延びる。この実施形態では、後部76cは、開口部86の上端部から後方斜め下方に向かって延びる。後部76cの上端は、風受け部78の上端よりも上方に位置する。したがって、ヘリコプタ10の正面視において後部76cの下面76dが見える。
【0072】
この実施形態では、開口部66が第1通風部に相当し、開口部84が第2通風部に相当し、開口部86が第3通風部に相当し、一対の開口部58aおよび一対の開口部60aが第4通風部に相当し、後部76cが案内部に相当する。
【0073】
次に、
図14〜
図16を参照しつつ、ボディカバー24内に流れる風について、ヘリコプタ10のホバリング時、前進時および後進時に分けて簡単に説明する。
図14は、ホバリング時のヘリコプタ10の要部の状態を示す側面図であり、
図15は、前進時のヘリコプタ10の要部の状態を示す側面図であり、
図16は、後進時のヘリコプタ10の要部の状態を示す側面図である。
【0074】
図14を参照して、ヘリコプタ10のホバリング時には、マスト14よりも前方において、メインロータ16からの吹き降ろしの風が直接あるいは風受け部78に沿って開口部84に向かって流れる。また、マスト14よりも後方において、メインロータ16からの吹き降ろしの風が一対の開口部58aに向かって流れる。メインロータ16からの吹き降ろしの風は、開口部84およびラジエータ34を通過してボディカバー24内に流入するとともに、一対の開口部58aを通過してボディカバー24内に流入する。開口部58a,84からボディカバー24内に風が流入することによって、ボディカバー24内の空気が一対の開口部56a、開口部64、開口部66、開口部86および一対の開口部60aからボディカバー24外に排出される。特に、メインロータ16の回転によってマスト14の周りに上昇気流が発生することによって、ボディカバー24内の空気が開口部66を介してボディカバー24外に効率よく排出される。
【0075】
図15を参照して、ヘリコプタ10が前進する際には、メインロータ16からの吹き降ろしの風が開口部84およびラジエータ34を通過してボディカバー24内に流入する。また、ヘリコプタ10の進行方向(前方)からの風が一対の開口部56aおよび開口部86を通過してボディカバー24内に流入する。開口部56a,84,86からボディカバー24内に風が流入することによって、ボディカバー24内の空気が開口部64、開口部66、一対の開口部58aおよび一対の開口部60aからボディカバー24外に排出される。また、マスト14の周りに上昇気流が発生することによって、ボディカバー24内の空気が開口部66を介してボディカバー24外に効率よく排出される。
【0076】
図16を参照して、ヘリコプタ10が後進する際には、ホバリング時と同様に、メインロータ16からの吹き降ろしの風が、開口部84およびラジエータ34を通過してボディカバー24内に流入するとともに、一対の開口部58aを通過してボディカバー24内に流入する。また、ヘリコプタ10の進行方向(後方)からの風が一対の開口部58aおよび一対の開口部60aを通過してボディカバー24内に流入する。開口部58a,60a,84からボディカバー24内に風が流入することによって、ボディカバー24内の空気が一対の開口部56a、開口部64、開口部66および開口部86からボディカバー24外に排出される。また、マスト14の周りに上昇気流が発生することによって、ボディカバー24内の空気が開口部66を介してボディカバー24外に効率よく排出される。
【0077】
このようにして、ヘリコプタ10においては、ホバリング時、前進時および後進時のいずれの場合にも、ボディカバー24内の空気を円滑に入れ替えることができる。
【0078】
以下、ヘリコプタ10の作用効果を説明する。
ヘリコプタ10のボディカバー24は、マスト14が通る開口部66と、開口部66よりも前方に設けられかつラジエータ34に風を導く開口部84と、開口部66よりも前方でかつラジエータ34よりも後方に設けられる開口部86とを有し、開口部86は、開口部84およびラジエータ34よりも上方に位置する。
【0079】
このような構成により、ホバリング時には、開口部84からボディカバー24内に風が流入するとともに、ボディカバー24内の空気が開口部66,86からボディカバー24外に排出される。ヘリコプタ10が前進する際には、開口部84,86からボディカバー24内に風が流入するとともに、ボディカバー24内の空気が開口部66からボディカバー24外に排出される。ヘリコプタ10が後進する際には、ボディカバー24内の空気が開口部6
6および開口部86からボディカバー24外に排出される。このように、ヘリコプタ10では、開口部66、開口部84および開口部86を用いてボディカバー24内の空気を効率よく入れ替えることができる。これにより、多数のラジエータを用いることなくボディカバー24内の温度上昇を抑制できる。すなわち、ヘリコプタ10の重量の増加を抑制しつつボディカバー24内の温度上昇を抑制できる。
【0080】
ヘリコプタ10では、開口部66、開口部84および開口部86は互いに独立して形成される。この場合、開口部66、開口部84および開口部86を、互いの影響を受けることなく適切に設計できる。したがって、開口部84,86からボディカバー24内に導かれる風の流れにそれぞれ指向性を持たせるように開口部84,86を形成することができる。これにより、より効率よくボディカバー24内の温度上昇を抑制できる。
【0081】
第2カバー52の鍔状部76の後部76cは、開口部84よりも後方かつ上方に設けられ、正面視において下面76dが見えるようにボディカバー24の前方斜め上方に向かって下から上に延びる。この場合、ヘリコプタ10の前方からの風を後部76cによって効率よくボディカバー24内に導くことができる。また、簡単な構成でボディカバー24内に風を導くことができる。
【0082】
ヘリコプタ10では、開口部86はエンジンの上方に位置する。このような構成により、ホバリング時および後進時には、ボディカバー24内のエンジン32周辺の空気が開口部86からボディカバー24外により排出されやすくなる。これにより、ボディカバー24内の温度上昇を抑制できる。
【0083】
ヘリコプタ10では、開口部66よりも後方に一対の開口部58aおよび一対の開口部60aが設けられる。この場合、ヘリコプタ10が前進する際には、ボディカバー24内の空気が一対の開口部58aおよび一対の開口部60aからも排出される。これにより、ボディカバー24内の空気をより効率よく入れ替えることができる。また、ヘリコプタ10が後進する際には、一対の開口部58aおよび一対の開口部60aからボディカバー24内に風を導くことができる。これにより、ヘリコプタ10の後進時においても、ボディカバー24内の温度上昇を抑制できる。
【0084】
ヘリコプタ10では、一対の開口部58aおよび一対の開口部60aの少なくとも一部はフレーム22よりも上方でかつマスト14よりも後方に位置する。この場合、開口部84および開口部86から一対の開口部58aおよび一対の開口部60aへと導かれる風、または一対の開口部58aおよび一対の開口部60aから開口部6
6および開口部86へと導かれる風がフレーム22の上方を通りやすくなる。ここで、ヘリコプタ10では、姿勢検出器40の少なくとも一部も、フレーム22よりも上方でかつマスト14よりも後方に位置する。したがって、開口部84および開口部86から一対の開口部58aおよび一対の開口部60aへと導かれる風、または一対の開口部58aおよび一対の開口部60aから開口部6
6および開口部86へと導かれる風によって、姿勢検出器40を効率よく冷却できる。
【0085】
なお、上述の第2カバー52において、複数の羽板88が設けられなくてもよく、複数の羽板90が設けられなくてもよい。
【0086】
図17は、この発明の他の実施形態に係るヘリコプタ10aの要部を示す側面図である。なお、以下の説明では、ヘリコプタ10aのうちヘリコプタ10と異なる構成を有する部分についてのみ説明し、ヘリコプタ10と同じ構成を有する部分についての説明は省略する。
【0087】
図17を参照して、ヘリコプタ10aが上述のヘリコプタ10と異なるのは、ボディカバー24の代わりにボディカバー24aを有する点である。ボディカバー24aがボディカバー24と異なるのは、第2カバー52の代わりに第2カバー92を有する点である。
【0088】
図18は、第2カバー92を示す側面図である。
図18を参照して、第2カバー92が第2カバー52と異なるのは、仕切部82(
図9参照)、複数の羽板88(
図9参照)および複数の羽板90(
図9参照)を有しない点ならびに筒状部80(
図9,10参照)の代わりに筒状部94を有する点である。
【0089】
筒状部94は、鍔状部76の内側において鍔状部76よりも下方まで延びる。筒状部94は、前後方向に延びる一対の側部94a(
図18においては、一方の側部94aのみ図示)、一対の側部94aの前端部を連結するように左右方向に延びる前部94b、および一対の側部94aの後端部を連結するように左右方向に延びる後部94cを有する。一対の側部94aの上縁は、一対の側部76aの上縁に接続される。前部94bの上縁は、風受け部78の下縁に接続される。後部94cの上縁は、後部76cの上縁に接続される。後部94cは、後部76cの上縁から、後方斜め下方に向かって延びる。第2カバー92においては、筒状部94の内面によって開口部96が形成される。
【0090】
図17を参照して、第2カバー92は、開口部96が前方斜め上方を向くようにラジエータ34に固定される。この実施形態では、筒状部94(
図18参照)が図示しない締結部材(たとえば、ボルトおよびナット等)によってラジエータ34の上面に固定される。
【0091】
ヘリコプタ10aでは、開口部96のうち、開口部66よりも前方に位置しかつラジエータ34に対応する領域96a(一点鎖線L1よりも前方の領域)が第2カバー52(
図13〜
図16参照)の開口部84(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。また、開口部96のうち、開口部66よりも前方でかつラジエータ34よりも後方において領域96aおよびラジエータ34よりも上方に位置する領域96b(一点鎖線L1よりも後方の領域)が第2カバー52(
図13〜
図16参照)の開口部86(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。さらに、領域96aよりも後方かつ上方に設けられ、ボディカバー24aの前方斜め上方に向かって下から上に延びる後部94cがボディカバー24(
図13〜
図16参照)の後部76c(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。すなわち、この実施形態では、領域96aが第2通風部に相当し、領域96bが第3通風部に相当し、後部94cが案内部に相当する。この実施形態では、後部94cは、開口部96(領域96b)の上縁の後端部から後方斜め下方に向かって延びる。
【0092】
上述のように、ヘリコプタ10aにおいては、領域96aがヘリコプタ10の開口部84と同様に機能し、領域96bがヘリコプタ10の開口部86と同様に機能し、後部94cがヘリコプタ10の後部76cと同様に機能する。これにより、ヘリコプタ10aにおいても、上述のヘリコプタ10と同様の作用効果が得られる。
【0093】
また、ヘリコプタ10aにおいては、第2カバー92の一つの開口部96に、第2通風部としての領域96aおよび第3通風部としての領域96bが含まれるので、第2カバー92の製造が容易になり、ボディカバー24aの製造が容易になる。
【0094】
なお、第2カバー92において、前部94bと後部94cとを連結するように、前後方向に延びる複数の羽板を設けてもよい。
【0095】
図19は、この発明のさらに他の実施形態に係るヘリコプタ10bの要部を示す側面図である。なお、以下の説明では、ヘリコプタ10bのうちヘリコプタ10と異なる構成を有する部分についてのみ説明し、ヘリコプタ10と同じ構成を有する部分についての説明は省略する。
【0096】
図19を参照して、ヘリコプタ10bが上述のヘリコプタ10と異なるのは、ボディカバー24の代わりにボディカバー24bを有する点である。ボディカバー24bがボディカバー24と異なるのは、第1カバー50の代わりに第1カバー98を有する点および第2カバー52の代わりに第2カバー100を有する点である。
【0097】
第1カバー98が第1カバー50と異なる点は、開口部66(
図7参照)および開口部68(
図7参照)の代わりに開口部98aを有する点である。開口部98aは、マスト14よりも後方から第1カバー98の前端部に向かって斜め下方に延びるように形成される。開口部98aに第2カバー100が嵌め込まれる。
【0098】
第2カバー100は、上述の第2カバー92(
図17,18参照)を前後方向に引き延ばしたような形状を有し、開口部102を有する。開口部102は、上述の第2カバー92の開口部96(
図17,18参照)を前後方向に引き延ばしたような形状を有する。第2カバー100は、上述の第2カバー92の後部94cと同様の構成を有する後部104を有する。第2カバー100は、開口部102が前方斜め上方を向くようにラジエータ34に固定される。この実施形態では、マスト14は開口部102を通る。
【0099】
ヘリコプタ10bでは、開口部102のうち、マスト14周辺の領域102a(一点鎖線L2よりも後方の領域)が第1カバー50(
図13〜
図16参照)の開口部66(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。開口部102のうち、領域102aよりも前方に位置しかつラジエータ34に対応する領域102b(一点鎖線L3よりも前方の領域)が第2カバー52(
図13〜
図16参照)の開口部84(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。開口部102のうち、領域102aよりも前方でかつラジエータ34よりも後方において領域102bおよびラジエータ34よりも上方に位置する領域102c(一点鎖線L2よりも前方でかつ一点鎖線L3よりも後方の領域)が第2カバー52(
図13〜
図16参照)の開口部86(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。さらに、領域102aよりも後方かつ上方に設けられ、ボディカバー24bの前方斜め上方に向かって下から上に延びる後部104がボディカバー24(
図13〜
図16参照)の後部76c(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。すなわち、この実施形態では、領域102aが第1通風部に相当し、領域102bが第2通風部に相当し、領域102cが第3通風部に相当し、後部104が案内部に相当する。この実施形態では、後部104は、開口部102(領域102a)の上縁の後端部から後方斜め下方に向かって延びる。
【0100】
上述のように、ヘリコプタ10bにおいては、領域102aがヘリコプタ10の開口部66と同様に機能し、領域102bがヘリコプタ10の開口部84と同様に機能し、領域102cがヘリコプタ10の開口部86と同様に機能し、後部104がヘリコプタ10の後部76cと同様に機能する。これにより、ヘリコプタ10bにおいても、上述のヘリコプタ10と同様の作用効果が得られる。
【0101】
また、ヘリコプタ10bにおいては、第2カバー100の一つの開口部102に、第1通風部としての領域102a、第2通風部としての領域102bおよび第3通風部としての領域102cが含まれるので、ボディカバー24bの製造が容易になる。
【0102】
なお、第2カバー100においても、前後方向に延びる複数の羽板を設けてもよい。
【0103】
図20は、この発明のその他の実施形態に係るヘリコプタ10cの要部を示す側面図である。なお、以下の説明では、ヘリコプタ10cのうちヘリコプタ10と異なる構成を有する部分についてのみ説明し、ヘリコプタ10と同じ構成を有する部分についての説明は省略する。
【0104】
図20を参照して、ヘリコプタ10cが上述のヘリコプタ10と異なるのは、ボディカバー24の代わりにボディカバー24cを有する点である。ボディカバー24cがボディカバー24と異なるのは、第2カバー52の代わりに第2カバー106を有する点である。
【0105】
第2カバー106が第2カバー52と異なるのは、仕切部82(
図3参照)および複数の羽板90(
図3参照)の代わりに第1筒状部108を有する点である。第1筒状部108は、開口部66よりも前方でかつ開口部84よりも後方の位置からボディカバー24cの前方斜め上方に向かって下から上に延びるように形成される。第1筒状部108は、その上端部に開口部108aを有する。開口部108aは、ボディカバー24cの前方斜め上方に向かって開口する。第1筒状部108の下縁は、鍔状部76の一対の側部76aの上縁、鍔状部76の後部76cの上縁、および筒状部80(
図3参照)の後部80cの上縁に接続される。
【0106】
ヘリコプタ10cでは、開口部66よりも前方でかつラジエータ34よりも後方において開口部84およびラジエータ34よりも上方に位置する開口部108aが第2カバー52(
図13〜
図16参照)の開口部86(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。すなわち、この実施形態では、開口部108aが第3通風部に相当する。
【0107】
上述のように、ヘリコプタ10cにおいては、開口部108aがヘリコプタ10の開口部86と同様に機能する。これにより、ヘリコプタ10cにおいても、上述のヘリコプタ10と同様の作用効果が得られる。また、ヘリコプタ10cにおいては、第1筒状部108がボディカバー24cの前方斜め上方に向かって下から上に延びかつ第1筒状部108の上端部に開口部108aが設けられる。この場合、ヘリコプタ10の前方からの風に加えてメインロータ16からの吹き降ろしの風も開口部108aを介してボディカバー24c内に導くことができる。これにより、さらに効率よくボディカバー24c内の温度上昇を抑制できる。
【0108】
図21は、この発明のさらにその他の実施形態に係るヘリコプタ10dの要部を示す側面図である。なお、以下の説明では、ヘリコプタ10dのうちヘリコプタ10と異なる構成を有する部分についてのみ説明し、ヘリコプタ10と同じ構成を有する部分についての説明は省略する。
【0109】
図21を参照して、ヘリコプタ10dが上述のヘリコプタ10と異なるのは、ボディカバー24の代わりにボディカバー24dを有する点である。ボディカバー24dがボディカバー24と異なるのは、第2カバー52の代わりに第2カバー110を有する点である。
【0110】
第2カバー110が第2カバー52と異なるのは、仕切部82(
図3参照)および複数の羽板90(
図3参照)の代わりにラビリンス部112を有する点である。ラビリンス部112は、上壁部112a、下壁部112bおよび後壁部112cを含む。上壁部112aは、正面視逆U字形状を有し、一対の側部76aの上縁を連結するように左右方向に延びる。下壁部112bは、上壁部112aの下方において、上壁部112aの両縁(左縁および右縁)を連結するように左右方向に延びる。下壁部112bの前縁は、筒状部80(
図3参照)の後部80cの上縁に接続される。後壁部112cは、上壁部112aの後縁および鍔状部76の後部76cの上縁を連結する。下壁部112bの後縁と後壁部112cおよび後部76cとの間には、空気を流すための十分な隙間が形成される。
【0111】
ラビリンス部112においては、上壁部112aの前縁および下壁部112bの前縁によって開口部114が形成される。開口部114は、少なくとも下方に向かって開口する。この実施形態では、開口部114は、前方斜め下方に向かって開口する。上壁部112aおよび下壁部112bは、開口部114から後方斜め上方に向かって前から後に延びる。ヘリコプタ10dでは、開口部114が第2カバー52(
図13〜
図16参照)の開口部86(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。すなわち、この実施形態では、開口部114が第3通風部に相当する。
【0112】
上述のように、ヘリコプタ10dにおいては、開口部114がヘリコプタ10の開口部86と同様に機能する。これにより、ヘリコプタ10dにおいても、上述のヘリコプタ10と同様の作用効果が得られる。
【0113】
また、ヘリコプタ10dでは、開口部114は、前方斜め下方に向かって開口する。これにより、開口部114からボディカバー24d内に雨水および塵埃等が入り込むことを抑制できる。さらにヘリコプタ10dでは、上壁部112aおよび下壁部112bは、開口部114から後方斜め上方に向かって前から後に延びる。この場合、雨水および塵埃等が開口部114を通過したとしても、その雨水および塵埃等がボディカバー24d内に入り込むことを上壁部112aおよび下壁部112bによって十分に抑制できる。
【0114】
図22は、この発明の他の実施形態に係るヘリコプタ10eの要部を示す側面図である。なお、以下の説明では、ヘリコプタ10eのうちヘリコプタ10と異なる構成を有する部分についてのみ説明し、ヘリコプタ10と同じ構成を有する部分についての説明は省略する。
【0115】
図22を参照して、ヘリコプタ10eが上述のヘリコプタ10と異なるのは、ボディカバー24の代わりにボディカバー24eを有する点である。ボディカバー24eがボディカバー24と異なるのは、第2カバー52の代わりに第2カバー116および板状の案内部118を有する点である。
【0116】
第2カバー116は、第2カバー52(
図9参照)のB−B線よりも後方部分を取り除いた形状を有する。ヘリコプタ10eでは、開口部68のうち第2カバー116よりも後方の領域が開口部120となる。案内部118は、開口部120の後端部から前方斜め上方に向かって延びるように、第1カバー50に取り付けられる。案内部118の上端は、風受け部78の上端よりも上方に位置する。したがって、ヘリコプタ10eの正面視において案内部118の下面118aが見える。
【0117】
ヘリコプタ10eでは、開口部66よりも前方でかつラジエータ34よりも後方において開口部84およびラジエータ34よりも上方に位置する開口部120が第2カバー52(
図13〜
図16参照)の開口部86(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。すなわち、この実施形態では、開口部120が第3通風部に相当する。また、開口部84よりも後方かつ上方に設けられ、ボディカバー24eの前方斜め上方に向かって下から上に延びる案内部118がボディカバー24(
図13〜
図16参照)の後部76c(
図13〜
図16参照)と同様に機能する。
【0118】
上述のように、ヘリコプタ10eにおいては、開口部120がヘリコプタ10の開口部86と同様に機能し、案内部118がヘリコプタ10の後部76cと同様に機能する。これにより、ヘリコプタ10eにおいても、上述のヘリコプタ10と同様の作用効果が得られる。
【0119】
なお、第2カバー116の代わりに、公知のラジエータカバーを用いてもよい。また、案内部118と同様の形状を有する案内部を第1カバーの一部として形成してもよい。
【0120】
図23は、この発明のその他の実施形態に係るヘリコプタ10fの要部を示す側面図である。なお、以下の説明では、ヘリコプタ10fのうちヘリコプタ10と異なる構成を有する部分についてのみ説明し、ヘリコプタ10と同じ構成を有する部分についての説明は省略する。
【0121】
図23を参照して、ヘリコプタ10fが上述のヘリコプタ10と異なるのは、ボディカバー24の代わりにボディカバー24fを有する点である。ボディカバー24fがボディカバー24と異なるのは、第2カバー52の代わりに第2カバー122を有する点である。第2カバー122が第2カバー52と異なるのは、ボディカバー24f(第1カバー50)内に向かって延びる第2筒状部124をさらに有する点である。
【0122】
第2筒状部124は、仕切部82(一対の側部82a(
図3参照)および底部82b)の後縁および後部76cの前縁から後方斜め下方に向かって延びるように形成される。この実施形態では、第2筒状部124の下端部は、エンジン32、トランスミッション36および電装品38に向かって開口する。
【0123】
ヘリコプタ10fでは、ヘリコプタ10において得られる作用効果に加えてさらに以下の作用効果が得られる。すなわち、ヘリコプタ10fでは、開口部86を通過してボディカバー24f内に流入する風を、第2筒状部124によってエンジン32、トランスミッション36および電装品38に円滑に導くことができる。これにより、エンジン32、トランスミッション36および電装品38を効率よく冷却できる。
【0124】
なお、第2筒状部の形状は上述の例に限定されない。たとえば、第2筒状部の一部が後部76cの前縁に接続されるのではなく、後部76cの後縁に接続されてもよい。
【0125】
上述のヘリコプタ10a〜10eにおいても、ヘリコプタ10fと同様に第2筒状部を設けてもよい。
【0126】
上述のヘリコプタ10〜10fにおいて、第1カバーと第2カバーとを一体的に形成してもよい。
【0127】
上記においては、第3通風部が第2通風部よりも後方でかつ第2通風部およびラジエータよりも上方に位置する場合の実施形態について説明したが、第3通風部の一部が第2通風部および/またはラジエータよりも下方に位置してもよい。
【0128】
上述の実施形態では、一対の開口部58aおよび一対の開口部60aを第4通風部の一例として説明したが、一対の開口部58aまたは一対の開口部60aが設けられなくてもよい。この場合、一対の開口部58aおよび一対の開口部60aのいずれか一方が第4通風部に相当する。