特許第5707395号(P5707395)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5707395キャリアアグリゲーション方式の移動通信システムにおいて端末のランダムアクセス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707395
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】キャリアアグリゲーション方式の移動通信システムにおいて端末のランダムアクセス方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20150409BHJP
   H04W 74/08 20090101ALI20150409BHJP
【FI】
   H04W72/04 111
   H04W74/08
【請求項の数】18
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-513878(P2012-513878)
(86)(22)【出願日】2010年6月7日
(65)【公表番号】特表2012-529784(P2012-529784A)
(43)【公表日】2012年11月22日
(86)【国際出願番号】KR2010003629
(87)【国際公開番号】WO2010143847
(87)【国際公開日】20101216
【審査請求日】2013年6月5日
(31)【優先権主張番号】61/184,833
(32)【優先日】2009年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/219,366
(32)【優先日】2009年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ソン ドク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ソン フン
(72)【発明者】
【氏名】イ, スン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ヨン デ
(72)【発明者】
【氏名】パク, ソン ジュン
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−098716(JP,A)
【文献】 NTT DoCoMo,Initial Access Procedure for Asymmetric Wider Bandwidth in LTE-Advanced,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #54bis R1-083680,2008年 9月
【文献】 3GPP TS 36.321 V8.5.0,2009年 3月
【文献】 Ericsson,Carrier aggregation in LTE-Advanced,TSG-RAN WG1 #53bis R1-082468,2008年 6月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマリ搬送波および一つ以上のセカンダリ搬送波を用いてキャリアアグリゲーションをサポートする移動通信システムにおいてランダムアクセス手順を行う方法であって、前記方法は、UE(User Equipment)により実行され、
前記方法は、
eNB(evolved NodeB)前記プライマリ搬送波を通じてランダムアクセスプリアンブルを含む第1のメッセージを伝送することと
前記ランダムアクセスプリアンブルに対する応答として、第1のアップリンク(UL)認情報を含む第2のメッセージを、前記プライマリ搬送波を通じて受信することと
記第1のUL承認情報に対応するアップリンク無線リソースを通じて、前記UEの識別子情報を含む第3のメッセージを、前記eNBに伝送することと
前記eNBから前記UEの識別子情報により指示されるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信すること
を含み
前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信されたとき前記UEは、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順成功した手順と考慮し、
前記PDCCHが前記一つ以上のセカンダリ搬送波を通じて受信されたときには、前記UEは、前記衝突解決手順を失敗した手順と考慮する、方法。
【請求項2】
前記UEは、物理層モジュール及びMAC(Medium Access Control)層モジュールを含み、
前記物理層モジュールが前記MAC層モジュールへと前記プライマリ搬送波を通じた前記PDCCH受信通知するときに限って、前記MAC層モジュールは、前記衝突解決手順成功した判定する、請求項1に記載方法。
【請求項3】
前記UEの識別子情報は、前記UEのC−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier)を示すC−RNTI MAC(Medium Access Control)制御要素であり、前記ランダムアクセス手順は、前記UEより開始され
前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信され、前記PDCCHが前記UEC−RNTIを示し、前記PDCCHが新規データ伝送のための第2のアップリンク承認情報を含むときに、前記衝突解決手順が、成功した手順として考慮される、請求項1に記載方法。
【請求項4】
前記UEの識別子情報は、前記UEのC−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier)を示すC−RNTI MAC(Medium Access Control)制御要素であり、前記ランダムアクセス手順は、前記eNBの命令により開始され
前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信され、前記PDCCHが前記UEのC−RNTIを示すときに、前記衝突解決手順が、成功した手順として考慮される、請求項1に記載方法。
【請求項5】
前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信され、前記PDCCHが前記UEC−RNTIを示すときに、前記PDCCHが第2のUL承認情報を含む場合、及び前記PDCCHがダウンリンク割当情報を含む場において、前記衝突解決手順が、成功した手順として考慮される、請求項に記載方法。
【請求項6】
前記UEの識別子情報は、前記UEのC−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier)以外の識別子を含むUE衝突解決識別子MAC(Medium Access Control)制御要素であり、
前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信され、前記PDCCHが前記UEの臨時C−RNTIを示し、前記PDCCHに対応するPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)が前記UE衝突解決識別子MAC制御要素を含むときに、衝突解決手順が、成功した手順として考慮される、請求項1に記載方法。
【請求項7】
前記UEは、前記UEが前記C−RNTI MAC制御要素を含む第3のメッセージを前記eNBに伝送したときに限って、前記衝突解決手順成功したか否かを判定するために、前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信されたものか否かを考慮する、請求項に記載方法。
【請求項8】
前記UEは、前記第3のメッセージの伝送及び前記PDCCH受信と独立して、前記一つ以上のセカンダリ搬送波を通じたHARQ動作を行う、請求項1に記載方法。
【請求項9】
プライマリ搬送波および一つ以上のセカンダリ搬送波を用いてキャリアアグリゲーションをサポートする移動通信システムにおいてeNB(evolved NodeB)へのランダムアクセス手順を行うUEであって、
前記UEは、
複数の構成搬送波それぞれ対応する複数のHARQエンィティを含むMAC(Medium Access Control)層モジュールであって、前記MAC層モジュールは、前記プライマリ搬送波または前記一つ以上のセカンダリ搬送波を用いた信号伝送及び受信を制御するように構成される、MAC層モジュールと、
前記MAC層モジュール機能的に接続されるプロセッサであって前記プロセッサは、前記プライマリ搬送波または前記一つ以上のセカンダリ搬送波を通じて信号伝送及び受するように構成された物理層モジュールを含む、プロセッサ
を備え
前記eNBへとメッセージを伝送するのに用いられる前記プライマリ搬送波を通じて、前記UEの識別子情報により指示されるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)受信されたときに限って、前記プロセッサは、記メッセージの伝送による衝突解決手順成功した手順と考慮し、
前記PDCCHが前記一つ以上のセカンダリ搬送波を通じて受信されたときには、前記プロセッサは、前記衝突解決手順を失敗した手順と考慮する、UE
【請求項10】
前記MAC層モジュールは、さらに、前記物理層モジュールが前記MAC層モジュールへと前記プライマリ搬送波を通じた前記PDCCH受信通知するときに限って記衝突解決手順成功したかを判定するように構成される、請求項に記載のUE
【請求項11】
記メッセージは、前記UEの識別子情報であり、前記UEのC−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier)を示すC−RNTI MAC(Medium Access Control)制御要素を含み、
前記プロセッサは、前記ランダムアクセス手順が前記UEにより開始され、前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信され、前記PDCCHが前記UEC−RNTIを示し、前記PDCCHが新規データ伝送のためのアップリンク承認情報を含むときに、前記衝突解決手順成功した手順と考慮する、請求項に記載のUE
【請求項12】
記メッセージは、前記UEの識別子情報であり、前記UEのC−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier)を示すC−RNTI MAC(Medium Access Control)制御要素を含み、
前記プロセッサは、前記ランダムアクセス手順が前記eNBの命令により開始され前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信され、前記PDCCHが前記UEC−RNTIを示すときに、前記衝突解決手順成功した手順と考慮する、請求項に記載のUE
【請求項13】
前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信され、前記PDCCHが前記UEC−RNTIを示すときに、前記プロセッサは、前記PDCCHがアップリンク承認情報を含む場合、及び前記PDCCHがダウンリンク割当情報を含む場において、前記衝突解決手順成功した手順と考慮する、請求項12に記載のUE
【請求項14】
記メッセージは、前記UEの識別子情報であり、前記UEのC−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier)以外の識別子を含むUE衝突解決識別子MAC制御要素を含み、
前記プロセッサは、前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信され、前記PDCCHが、前記UEの臨時C−RNTIを示し、前記PDCCHに対応するPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)が前記UE衝突解決識別子MAC制御要素を含むときに、前記衝突解決手順成功した手順と考慮する、請求項に記載のUE
【請求項15】
前記プロセッサは、前記C−RNTI MAC制御要素を含むメッセージ前記eNBに伝送されたときに限って、前記衝突解決手順成功したか否かを判定するために、前記PDCCHが前記プライマリ搬送波を通じて受信されたものであるか否かを考慮する、請求項11に記載のUE
【請求項16】
前記UEは、前記メッセージの伝送及び前記PDCCH受信と独立して、前記一つ以上のセカンダリ搬送波を通じたHARQ動作を行う、請求項に記載のUE
【請求項17】
前記プライマリ搬送波は、前記一つ以上のセカンダリ搬送波なしで使用可能なスタンドアロン搬送波であり、前記一つ以上のセカンダリ搬送波の各々は、前記プライマリ搬送波なしでは使用不可能な追加搬送波である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記プライマリ搬送波は、前記一つ以上のセカンダリ搬送波なしで使用可能なスタンドアロン搬送波であり、前記一つ以上のセカンダリ搬送波の各々は、前記プライマリ搬送波なしでは使用不可能な追加搬送波である、請求項9に記載のUE。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、複数の構成搬送波(Component Carrier)を用いて通信を行うキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)方式の移動通信システムにおいて端末が基地局にランダムアクセス手順を行う方法及びそのための端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LTEシステムは、UMTSシステムから進化した移動通信システムで、国際標準化機構である3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準が制定されており、その概略的なシステム構造が図1に示されている。
【0003】
図1は、LTEシステムの構造を説明するための図である。
【0004】
LTEシステム構造は、大きく、E−UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network)とEPC(Evolved Packet Core)とからなることができる。E−UTRANは、UE(User Equipment、端末)及びeNB(Evolved NodeB、基地局)で構成され、UE−eNBの間をUuインターフェース、eNB−eNBの間をX2インターフェースと呼ぶ。EPCは、制御プレーン(Control−plane)機能を担当するMME(Mobility Management Entity)及びユーザープレーン(User−plane)機能を担当するS−GW(Serving Gateway)で構成され、eNB−MMEの間をS1−MMEインターフェース、eNB−S−GWの間をS1−Uインターフェースと呼び、両者を総称してS1インターフェースとも呼ぶ。
【0005】
無線区間であるUuインターフェースには無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)が定義されており、これは、水平的には物理層(Physical Layer)、データリンク層(Data Link Layer)及びネットワーク層(Network Layer)からなり、垂直的にはユーザーデータの伝送のためのユーザープレーン(User Plane、U−plane)と制御信号(Signaling)伝達のための制御プレーン(Control Plane、C−plane)とに区別される。このような無線インターフェースプロトコルは、一般に、通信システムで広く知られた開放型システム間相互接続(Open System Interconnection;OSI)基準モデルの下位3つの層に基づき、物理層であるPHYを含むL1(第1の層)、MAC/RLC/PDCP層を含むL2(第2の層)、そしてRRC層を含むL3(第3の層)に区別することができる。これらは、UEとE−UTRANに対(pair)として存在し、Uuインターフェースのデータ伝送を担当する。
【0006】
以下、LTE−Aシステムについて説明する。
【0007】
LTE−A(Long−Term Evolution Advanced)システムは、LTEシステムを、ITU−R(International Telecommunication Union−Radiocommunication sector、国際電気通信連合−無線通信部門)で勧告する4世帯移動通信条件であるIMT−Advanced条件に合わせて発展させたシステムで、現在LTEシステム標準を開発した3GPPではLTE−Aシステム標準の開発が盛んである。
【0008】
LTE−Aシステムにおいて新しく追加される代表的な技術には、使用帯域幅を拡張し、且つ柔軟(flexible)に使用できるようにするキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)技術と、カバレッジ(coverage)を高め、グループ移動性(group mobility)を支援し、ユーザー中心のネットワーク配置を可能にする中継器技術とを挙げることができる。
【0009】
図2及び図3は、無線プロトコルの各層について説明するための図である。
【0010】
第1の層である物理(Physical;PHY)層は、物理チャネル(Physical Channel)を用いて上位層に情報伝送サービス(Information Transfer Service)を提供する。PHY層は、上位の媒体アクセス制御(Medium Access Control;MAC)層と伝送チャネル(Transport Channel)を通じて接続しており、この伝送チャネルを通じてMAC層とPHY層との間にデータが移動する。この場合、伝送チャネルは、大きく、チャネルが共有されるか否かによって専用(Dedicated)伝送チャネルと共用(Common)伝送チャネルとに区別される。そして、互いに異なるPHY層の間、すなわち、送信側のPHY層と受信側のPHY層との間は、無線リソースを用いた物理チャネルを通じてデータが移動する。
【0011】
第2の層には種々の層が存在する。まず、媒体アクセス制御(Medium Access Control;MAC)層は、種々の論理チャネル(Logical Channel)を種々の伝送チャネルにマッピングする役割を果たし、また、多数の論理チャネルを一つの伝送チャネルにマッピングする論理チャネル多重化(Multiplexing)の役割を果たす。MAC層は、上位層であるRLC層とは論理チャネルで接続されており、論理チャネルは、伝送される情報の種類によって制御プレーン(Control Plane)の情報を伝送する制御チャネル(Control Channel)とユーザープレーン(User Plane)の情報を伝送するトラフィックチャネル(Traffic Channel)とに大別される。
【0012】
第2の層の無線リンク制御(Radio Link Control;RLC)層は、上位層から受信したデータを分割(Segmentation)及び連結(Concatenation)して、下位層が無線区間でデータを伝送するのに適するようにデータサイズを調節する役割を担う。また、それぞれの無線ベアラー(Radio Bearer;RB)が要求する様々なQoSを保障可能にするために、TM(Transparent Mode、透過モード)、UM(Un−acknowledged Mode、非確認モード)、及びAM(Acknowledged Mode、確認モード)を含む3種類の動作モードを提供している。特に、AM RLCは、信頼できるデータ伝送のために、自動再送要求(Automatic Repeatand Request;ARQ)機能を用いた再伝送機能を実行している。
【0013】
第2の層のパケットデータコンバージェンス(Packet Data Convergence Protocol;PDCP)層は、IPv4やIPv6のようなIPパケット伝送時に、帯域幅の小さい無線区間で効率的に伝送するために、相対的にサイズが大きいとともに不要な制御情報を含んでいるIPパケットヘッダーサイズを減らすヘッダー圧縮(Header Compression)機能を実行する。これは、データのヘッダー(Header)部分で必須の情報のみを伝送するようにし、無線区間の伝送効率を増大させる役割を果たす。また、LTEシステムでは、PDCP層が保安(Security)機能も提供するが、これは第三者のデータ傍受を防止する暗号化(Ciphering)と、第三者のデータ操作を防止する完全性保護(Integrity protection)とで構成される。
【0014】
第3の層の最上部に設けられている無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)層は、制御プレーンでのみ定義され、無線ベアラー(Radio Bearer;RB)の設定(Configuration)、再設定(Re−configuration)及び解除(Release)と関連して論理チャネル、伝送チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。ここで、RBは、端末とUTRANとの間のデータ伝達のために無線プロトコルの第1及び第2の層により提供される論理的通路(path)を意味し、一般に、RBが設定されるということは、特定サービスを提供するために必要な無線プロトコル層及びチャネルの特性を規定し、それぞれの具体的なパラメータ及び動作方法を設定することを意味する。RBはSRB(Signaling RB)とDRB(Data RB)とに分類され、SRBは制御プレーンでRRCメッセージを伝送する通路とされ、DRBはユーザープレーンでユーザーデータを伝送する通路とされる。
【0015】
以下では、LTE−Aシステムのキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation;以下、「CA」という。)について説明する。
【0016】
図4は、CA技術を説明するための図である。
【0017】
上述のように、LTE−A技術標準は、ITU(International Telecommunication Union)のIMT−Advancedの候補技術で、ITUのIMT−Advanced技術要求事項に見合うように設計されている。これにより、LTE−Aでは、ITUの要求事項を満たすために、既存LTEシステム対応帯域幅を拡張する議論が進行中である。LTE−Aシステムでは、帯域幅を拡張するために、既存LTEシステムで有し得る搬送波(Carrier)を構成搬送波(Component Carrier;以下、「CC」という。)と定義し、このようなCCを、図4に示すように、最大5個まで集めて使用する方案が議論されている。CCは、LTEシステムのように最大20MHzの帯域幅を有することができるため、LTE−A技術標準のCA技術は、最大100MHzまで帯域幅を拡張できる概念である。このように複数個のCCを集めて使用する技術をCAと呼ぶ。
【0018】
一方、以下では、LTEシステムで行われるランダムアクセス手順について具体的に説明する。
【0019】
LTEシステムにおいて、端末は、下記のような場合にランダムアクセス手順を行えばよい。
【0020】
−端末が基地局との接続(RRC Connection)なしに初期接続(initial access)をする場合
−端末がハンドオーバー手順において、ターゲット(target)セルに初めて接続する場合
−基地局の命令により要請される場合
−アップリンクの時間同期が合わない、または、無線リソースを要請するのに用いられる指定された無線リソースが割り当てられなかった状況で、アップリンクへのデータが発生する場合
−無線リンク失敗(radio link failure)またはハンドオーバー失敗(handover failure)時における復旧過程の場合
これに基づき、以下では一般の競合ベースのランダムアクセス手順について説明する。
【0021】
図5は、競合ベースのランダムアクセス手順において端末と基地局の動作を説明するための図である。
【0022】
(1)第1のメッセージの伝送
まず、端末は、システム情報またはハンドオーバー命令(Handover Command)を通じて指示されたランダムアクセスプリアンブルの集合から、任意に(randomly)一つのランダムアクセスプリアンブルを選択し、このランダムアクセスプリアンブルを伝送できるPRACH(Physical RACH)リソースを選択して伝送できる(S501)。
【0023】
(2)第2のメッセージの受信
端末は、上記段階S501のようにランダムアクセスプリアンブルを伝送した後、基地局がシステム情報またはハンドオーバー命令を通じて指示したランダムアクセス応答受信ウィンドウ内で、自身のランダムアクセス応答の受信を試みる(S502)。さらにいうと、ランダムアクセス応答情報はMAC PDUの形式で伝送され、該MAC PDUはPDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)を通じて伝達されればよい。また、このPDSCHで伝達される情報を端末が適切に受信するために、端末は、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)をモニタリングすることが好ましい。すなわち、PDCCHには、このPDSCHを受信すべき端末の情報と、PDSCHの無線リソースの周波数及び時間情報、そしPDSCHの伝送形式などが含まれていると好ましい。一応、端末が、自身に伝送されてくるPDCCHの受信に成功すると、このPDCCHの情報に基づき、PDSCHで伝送されるランダムアクセス応答を適切に受信することができる。そして、このランダムアクセス応答には、ランダムアクセスプリアンブル識別子(ID;例えば、RAPID(Random Access Preamble IDentifier))、アップリンク無線リソースを知らせるアップリンク承認(UL Grant)、臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)、そして時間同期補正値(Timing Advance Command:TAC)が含まれるとよい。
【0024】
上述したように、ランダムアクセス応答においてランダムアクセスプリアンブル識別子を必要とする理由は、一つのランダムアクセス応答には一つ以上の端末のためのランダムアクセス応答情報が含まれることがあり、アップリンク承認(UL Grant)、臨時セル識別子そしてTACがいずれの端末に有効であるかを知らせる必要があるためである。本段階で、端末は、段階S502で自身が選択したランダムアクセスプリアンブルと一致するランダムアクセスプリアンブル識別子を選択すると仮定する。これにより、端末はアップリンク承認(UL Grant)、臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)及び時間同期補正値(TAC)などを受信することができる。
【0025】
(3)第3のメッセージの伝送
端末が自身に有効なランダムアクセス応答を受信した場合は、該ランダムアクセス応答に含まれた情報をそれぞれ処理する。すなわち、端末は、TACを適用し、臨時セル識別子を保存する。また、有効なランダムアクセス応答受信に対応して伝送するデータをメッセージ3バッファーに保存することができる。
【0026】
一方、端末は、受信したUL承認を用いて、データ(すなわち、第3のメッセージ)を基地局に伝送する(S503)。第3のメッセージには端末の識別子が含まれなければならない。競合ベースのランダムアクセス手順において、基地局は、いかなる端末がランダムアクセス手順を行うか判断できず、後で衝突解決をするためには端末を識別しなければならないわけである。
【0027】
端末の識別子を含める方法としては、2種類の方法が議論された。その一つは、端末がランダムアクセス手順以前に既に該当のセルから割り当てられた有効なセル識別子を有しているとすれば、端末は、UL承認に対応するアップリンク伝送信号を通じて自身のセル識別子を伝送する。もう一つは、もしランダムアクセス手順以前に有効なセル識別子が割り当てられなかった場合は、端末は、自身の固有識別子(例えば、S−TMSIまたは任意ID(Random Id))を含めて伝送する。一般に、固有識別子は、セル識別子よりも長い。端末は、UL承認に対応するデータを伝送すると、衝突解決のためのタイマー(contention resolution timer;以下、「CRタイマー」という。)を開始する。
【0028】
(4)第4のメッセージの受信
端末が、ランダムアクセス応答に含まれたUL承認を通じて自身の識別子を含めたデータを伝送した後、衝突解決のために基地局の指示を待つ。すなわち、特定メッセージを受信するためにPDCCHの受信を試みる(S504)。このPDCCHを受信する方法としても2種類の方法が議論された。上述したように、UL承認に対応して伝送された第3のメッセージにおいて自身の識別子がセル識別子を用いて伝送された場合は、自身のセル識別子を用いてPDCCHの受信を試み、識別子が固有識別子である場合は、ランダムアクセス応答に含まれた臨時セル識別子を用いてPDCCHの受信を試みればよい。その後、前者の場合は、もし衝突解決タイマーが満了する前に自身のセル識別子を通じてPDCCHを受信すると、端末は正常にランダムアクセス手順が行なわれたと判断し、ランダムアクセス手順を終了する。後者の場合は、衝突解決タイマーが満了する前に、臨時セル識別子を通じてPDCCHを受信すると、該PDCCHが指示するPDSCHが伝達するデータを確認する。もし、このデータの内容に自身の固有識別子が含まれていると、端末は、正常にランダムアクセス手順が行なわれたと判断し、ランダムアクセス手順を終了する。
【0029】
一方、非競合ベースのランダムアクセス手順における動作は、図5に示す競合ベースのランダムアクセス手順と違い、第1のメッセージの伝送及び第2のメッセージの伝送だけでランダムアクセス手順が終了する。ただし、第1のメッセージとして端末が基地局にランダムアクセスプリアンブルを伝送する前に、端末には基地局からランダムアクセスプリアンブルが割り当てられ、端末は、この割り当てられたランダムアクセスプリアンブルを基地局に第1のメッセージとして伝送し、基地局からランダムアクセス応答を受信することで、ランダムアクセス手順が終了する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
一方、LTEシステムにおいて端末が基地局に競合ベースのランダムアクセスを試みる場合、他のBSR(Buffer Status Report)伝送に対するアップリンク承認(UL Grant)と混同して、誤った衝突解決手順終了が発生することがある。これは極めて例外的な場合であるが、LTE−Aシステムにおいて上述のCA技術が適用される場合、他のCCに関するアップリンク承認情報と混同して誤った衝突解決手順終了が発生する確率が高くなるという問題がある。
【0031】
そこで、以下の説明では、CAの適用される移動通信システムにおいて端末が上述の混同無しで基地局にランダムアクセス手順を行う方法及びそのための端末装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記課題を解決するための本発明の一側面では、複数の構成搬送波(Component Carrier)を用いて通信を行うキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)方式の移動通信システムにおいて端末が基地局にランダムアクセス手順を行う方法であって、前記基地局に複数のアップリンク構成搬送波(以下、「ULCC」という。)のうちの第1のULCCを通じてランダムアクセスプリアンブルを伝送する段階と、前記ランダムアクセスプリアンブルに対する応答として、第1のアップリンク承認(UL grant)情報を含むランダムアクセス応答メッセージを、前記第1のULCCと対応関係を有する第1のダウンリンク構成搬送波(以下、「DLCC」という。)を通じて受信する段階と、前記第1のULCC内の前記第1のアップリンク承認情報に対応するアップリンク無線リソースを通じて、前記端末の識別子情報を含む第3のメッセージを前記基地局に伝送する段階と、前記基地局から第2のアップリンク承認情報を受信する段階と、を含み、前記端末は、前記第2のアップリンク承認(UL grant)情報が前記第1のDLCCを通じて受信された場合に限って、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理する、端末のランダムアクセス方法を提案する。
【0033】
すなわち、前記端末は、前記第2のアップリンク承認(UL grant)情報が前記第1のDLCCと異なる第2のDLCCを通じて受信された場合、前記第2のアップリンク承認情報を前記第3のメッセージの伝送による衝突解決メッセージと見なさないことを提案する。
【0034】
また、前記端末は、物理層モジュール及びMAC(Medium Access Control)層モジュールを含むことができ、前記端末は、前記物理層モジュールから前記第1のDLCCでPDCCH(Physical Downlink Control Channel)が受信されたことが通知される場合に限って、前記MAC層モジュールは、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したか否かを判定できる。
【0035】
また、前記端末の識別子情報は、前記端末のセル識別子(C−RNTI)を示すC−RNTI MAC制御要素(C−RNTI MAC Control Element)でよく、この場合、端末は、前記第2のアップリンク承認情報を含むPDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末のセル識別子を示す場合、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理できる。
【0036】
また、前記端末の識別子情報は、前記端末のC−RNTI以外の識別子を含む端末衝突解決MAC制御要素(UE Contention Resolution Identity MAC Control Element)でよく、この場合、端末は、前記第2のアップリンク承認情報を含むPDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末の臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)を示し、前記PDCCHに対応するPDSCHが前記端末衝突解決MAC制御要素を含む場合、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理できる。
【0037】
なお、前記端末は、前記C−RNTI MAC制御要素を含む第3のメッセージを前記基地局に伝送した場合に限って、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したか否かを判定をために、前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信されたものであるか否かを考慮することができる。
【0038】
また、前記端末は、前記第3のメッセージの伝送及び前記第2のアップリンク承認情報受信とは独立して、前記第1のULCCと異なる第2のULCC及び前記第1のDLCCと異なる第2のDLCCを通じたHARQ動作を行うことができる。
【0039】
一方、上記課題を解決するための本発明の他の側面では、複数の構成搬送波(Component Carrier)を用いて通信を行うキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)方式の移動通信システムにおいて基地局にランダムアクセス手順を行う端末装置であって、前記複数の構成搬送波のそれぞれに対応する複数のHARQエンディティを含み、前記複数のHARQエンディティを通じて複数のアップリンク構成搬送波(以下、「ULCC」)を通じた信号伝送及び前記複数のULCCにそれぞれ対応する複数のダウンリンク構成搬送波(以下、「DLCC」)を通じた信号受信を制御するMAC層モジュールと、前記MAC層モジュールと機能的に接続し、前記複数のULCCを通じた信号伝送及び前記複数のDLCCを通じた信号受信を行う物理層モジュールと、を備えるプロセッサを含み、前記プロセッサは、複数のULCCのうち、前記基地局に第3のメッセージを伝送するのに用いた第1のULCCと対応関係を有する第1のDLCCを通じてアップリンク承認情報を受信した場合に限って、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理するように構成される端末装置を提案する。
【0040】
ここで、前記プロセッサは、前記第1のDLCCと異なる第2のDLCCを通じて受信されたアップリンク承認情報を、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決メッセージと見なさないように構成されてもよい。
【0041】
また、前記物理層モジュールから前記第1のDLCCでPDCCHが受信されたことが通知される場合に限って、前記MAC層モジュールは、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したか否かを判定するように構成されてもよい。
【0042】
一方、前記第3のメッセージは、前記端末の識別子情報として、前記端末のセル識別子(C−RNTI)を示すC−RNTI MAC制御要素(C−RNTI MAC Control Element)を含むことができ、この場合、前記プロセッサは、前記アップリンク承認情報を含むPDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末のセル識別子を示す場合、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理できる。
【0043】
また、前記第3のメッセージは、前記端末の識別子情報として、前記端末のC−RNTI以外の識別子を含む端末衝突解決MAC制御要素を含むことができ、この場合、前記プロセッサは、前記アップリンク承認情報を含むPDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末の臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)を示し、前記PDCCHに対応するPDSCHが前記端末衝突解決MAC制御要素を含む場合、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理するように構成されてもよい。
【0044】
また、前記プロセッサは、前記C−RNTI MAC制御要素を含む第3のメッセージを前記基地局に伝送した場合に限って、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したか否かを判定するために、前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信されたものであるか否かを考慮することができる。
【0045】
上述の実施形態において、前記端末は、前記第3のメッセージの伝送及び前記アップリンク承認情報受信と独立して、前記第1のULCCと異なる第2のULCC及び前記第1のDLCCと異なる第2のDLCCを通じたHARQ動作を行うことができる。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
複数の構成搬送波(Component Carrier)を用いて通信を行うキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)方式の移動通信システムにおいて端末が基地局にランダムアクセス手順を行う方法であって、
前記基地局に複数のアップリンク構成搬送波(以下、「ULCC」という。)のうちの第1のULCCを通じてランダムアクセスプリアンブルを伝送し、
前記ランダムアクセスプリアンブルに対する応答として、第1のアップリンク承認(UL grant)情報を含むランダムアクセス応答メッセージを、前記第1のULCCと対応関係を有する第1のダウンリンク構成搬送波(以下、「DLCC」という。)を通じて受信し、
前記第1のULCC内の前記第1のアップリンク承認情報に対応するアップリンク無線リソースを通じて、前記端末の識別子情報を含む第3のメッセージを、前記基地局に伝送し、
前記基地局から前記端末識別子で指示されるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信すること、
を含み、
前記端末は、前記PDCCHが前記第1のDLCCを通じて受信された場合に限って、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理する、端末のランダムアクセス方法。
(項目2)
前記端末は、前記PDCCHが前記第1のDLCCと異なる第2のDLCCを通じて受信された場合、前記PDCCHを前記第3のメッセージの伝送による衝突解決メッセージと見なさない、項目1に記載の端末のランダムアクセス方法。
(項目3)
前記端末は、物理層モジュール及びMAC(Medium Access Control)層モジュールを含み、
前記物理層モジュールから前記第1のDLCCで前記PDCCHが受信されたことが通知される場合に限って、前記MAC層モジュールは、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したか否かを判定する、項目1に記載の端末のランダムアクセス方法。
(項目4)
前記端末の識別子情報は、前記端末のセル識別子(C−RNTI)を示すC−RNTI MAC制御要素(C−RNTI MAC Control Element)であり、前記ランダムアクセス手順は、前記端末により自ら開始された手順であり、
前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末のセル識別子を示し、前記PDCCHが新規伝送のための第2のアップリンク承認情報を含む場合、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理する、項目1に記載の端末のランダムアクセス方法。
(項目5)
前記端末の識別子情報は、前記端末のセル識別子(C−RNTI)を示すC−RNTI MAC制御要素であり、前記ランダムアクセス手順は、前記基地局命令により開始された手順であり、
前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末のセル識別子を示す場合、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理する、項目1に記載の端末のランダムアクセス方法。
(項目6)
前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末のセル識別子を示す場合は、
前記PDCCHが第2のアップリンク承認情報を含むPDCCHである場合、前記PDCCHがダウンリンク割当(DLA ssignment)情報を含むPDCCHである場合とも、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理する、項目5に記載の端末のランダムアクセス方法。
(項目7)
前記端末の識別子情報は、前記端末のC−RNTI以外の識別子を含む端末衝突解決MAC制御要素(UE Contention Resolution Identity MAC Control Element)であり、
前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末の臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)を示し、前記PDCCHに対応するPDSCHが前記端末衝突解決MAC制御要素を含む場合、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理する、項目1に記載の端末のランダムアクセス方法。
(項目8)
前記端末は、前記C−RNTI MAC制御要素を含む第3のメッセージを前記基地局に伝送した場合に限って、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したか否かを判定するために、前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信されたものか否かを考慮する、項目7に記載の端末のランダムアクセス方法。
(項目9)
前記端末は、前記第3のメッセージの伝送及び前記PDCCH受信と独立して、前記第1のULCCと異なる第2のULCC及び前記第1のDLCCと異なる第2のDLCCを通じたHARQ動作を行う、項目1に記載の端末のランダムアクセス方法。
(項目10)
複数の構成搬送波(Component Carrier)を用いて通信を行うキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)方式の移動通信システムにおいて基地局にランダムアクセス手順を行う端末装置であって、
前記複数の構成搬送波のそれぞれに対応する複数のHARQエンティティを含み、前記複数のHARQエンティティを介して、複数のアップリンク構成搬送波(以下、「ULCC」)を通じた信号伝送、及び前記複数のULCCにそれぞれ対応する複数のダウンリンク構成搬送波(以下、「DLCC」)を通じた信号受信を制御するMAC層モジュールと、
前記MAC層モジュールと機能的に接続し、前記複数のULCCを通じた信号伝送及び前記複数のDLCCを通じた信号受信を行う物理層モジュールと、
を備えるプロセッサを含み、
前記プロセッサは、複数のULCCのうち、前記基地局に第3のメッセージを伝送するのに用いた第1のULCCと対応関係を有する第1のDLCCを通じて、前記端末装置の識別子で指示されるPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を受信した場合に限って、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理するように構成される、端末装置。
(項目11)
前記プロセッサは、前記第1のDLCCと異なる第2のDLCCを通じて受信されたPDCCHを、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決メッセージと見なさないように構成される、項目10に記載の端末装置。
(項目12)
前記物理層モジュールから前記第1のDLCCで前記PDCCHが受信されたことが通知される場合に限って、前記MAC層モジュールは、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したか否かを判定するように構成される、項目10に記載の端末装置。
(項目13)
前記第3のメッセージは、前記端末の識別子情報として、前記端末のセル識別子(C−RNTI)を示すC−RNTI MAC制御要素(C−RNTI MAC Control Element)を含み、
前記プロセッサは、前記ランダムアクセス手順が前記端末自ら開始した手順であり、前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末のセル識別子を示し、前記PDCCHが新規データ伝送のためのアップリンク承認情報を含む場合、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理する、項目10に記載の端末装置。
(項目14)
前記第3のメッセージは、前記端末の識別子情報として、前記端末のセル識別子(C−RNTI)を示すC−RNTI MAC制御要素(C−RNTI MAC Control Element)を含み、
前記プロセッサは、前記ランダムアクセス手順が前記基地局命令により開始された手順であり、前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末のセル識別子を示す場合、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理する、項目10に記載の端末装置。
(項目15)
前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが前記端末のセル識別子を示す場合は、
前記プロセッサは、前記PDCCHがアップリンク承認情報を含むPDCCHである場合、前記PDCCHがダウンリンク割当(DL Assignment)情報を含むPDCCHである場合の両方に対して、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理する、項目14に記載の端末装置。
(項目16)
前記第3のメッセージは、前記端末の識別子情報として、前記端末のC−RNTI以外の識別子を含む端末衝突解決MAC制御要素(UE Contention Resolution Identity MAC Control Element)を含み、
前記プロセッサは、前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信され、前記PDCCHが、前記端末の臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)を示し、前記PDCCHに対応するPDSCHが前記端末衝突解決MAC制御要素を含む場合、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したものと処理する、項目10に記載の端末装置。
(項目17)
前記プロセッサは、前記C−RNTI MAC制御要素を含む第3のメッセージを前記基地局に伝送した場合に限って、前記第3のメッセージの伝送による衝突解決手順に成功したか否かを判定するために、前記PDCCHが前記第1のDLCCで受信されたものであるか否かを考慮する、項目13に記載の端末装置。
(項目18)
前記端末は、前記第3のメッセージの伝送及び前記PDCCH受信と独立して、前記第1のULCCと異なる第2のULCC及び前記第1のDLCCと異なる第2のDLCCを通じたHARQ動作を行う、項目10に記載の端末装置。
【発明の効果】
【0046】
上記のような本発明の実施形態によれば、アップリンク承認信号の誤った解析により衝突解決手順が誤って終了することを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】LTEシステムの構造を説明するための図である。
図2】無線プロトコルの各層を説明するための図である。
図3】無線プロトコルの各層を説明するための図である。
図4】CA技術を説明するための図である。
図5】競合ベースのランダムアクセス手順において端末と基地局の動作を説明するための図である。
図6】端末が基地局に競合ベースのランダムアクセスを行う際に、端末が衝突解決手順で経験できる混同の一例を説明するための図である。
図7】LTE−Aシステムにおける競合ベースのランダムアクセス手順において、誤った衝突解決が発生する一例を示す図である。
図8】本発明の好適な一実施形態によって端末が基地局にランダムアクセスを行う方法を説明するための図である。
図9】本発明の一実施形態に係る端末及び基地局のプロセッサ構造を説明するための図である。
図10】本発明の一実施形態に係る端末及び基地局のプロセッサ構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明に係る好適な実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明するためのもので、本発明が実施できる唯一の実施形態を表すためのものではない。以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、当業者には、それらの具体的な細部事項なしにも本発明を実施できるということが理解できる。例えば、以下の詳細な説明は、移動通信システムが3GPP LTE系列システムであるとして具体的に説明するが、3GPP LTE系列システム特有の事項を除けば、他の任意の移動通信システムにも適用可能である。
【0049】
本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略されたり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示す場合もある。また、本明細書全体を通じて同一の構成要素には同一の図面符号を付して説明する。
【0050】
なお、以下の説明において、端末は、UE(User Equipment)、MS(Mobile Station)等を含む移動または固定型のユーザー端機器を総称するとする。また、基地局は、Node B、eNode B、BS(Base Station)などを含む、端末と通信するネットワーク端の任意のノードを総称するとする。
【0051】
上述したように、以下の説明では、CAの適用される移動通信システムにおいて、端末が衝突解決手順において混同無しで基地局にランダムアクセス手順を行う方法及びそのための端末装置を提供する。そのために、まず、衝突解決手順についてより具体的に説明し、かつ、上述した混同を防止できる方案を説明する。
【0052】
ランダムアクセス手順において衝突が発生する理由は、基本的に、ランダムアクセスプリアンブルの数が有限であることにある。すなわち、基地局は、全ての端末に端末固有のランダムアクセスプリアンブルを付与できず、端末は共通のランダムアクセスプリアンブルから任意に一つを選択して伝送することになる。そのため、同一のPRACHリソースを通じて二つ以上の端末が同一のランダムアクセスプリアンブルを選択して伝送する場合が発生するが、基地局では一つの端末から伝送される一つのランダムアクセスプリアンブルと判断してしまう。これにより、基地局はランダムアクセス応答を端末に伝送し、このランダムアクセス応答を一つの端末が受信すると予測する。しかし、上述したように、衝突が発生することがあるため、二つ以上の端末が一つのランダムアクセス応答を受信し、各断末はそれぞれランダムアクセス応答の受信に応じた動作を行うことになる。すなわち、ランダムアクセス応答に含まれた一つのアップリンク承認(UL Grant)を用いて、二つ以上の端末が互いに異なるデータを同一の無線リソースで伝送するという問題が発生することがある。
【0053】
そのため、当該データの伝送は全て失敗することもあり、端末の位置または伝送パワーによって特定端末のデータのみを基地局で受信することもある。後者の場合、二つ以上の端末はいずれも自身のデータ伝送に成功したと仮定するため、基地局は、競合に敗した端末に失敗事実に関する情報を知らせなければならない。このように競合の失敗または成功に関する情報を知らせることを、衝突解決(Contention Resolution)という。
【0054】
衝突解決方法には、2種類のものがある。その一方法は、衝突解決タイマー(Contention Resolution Timer;以下、「CR」タイマーという。)を用いる方法であり、他の方法は、成功した端末の識別子を端末に伝送する方法である。前者の場合は、端末がランダムアクセス手順の前に既に固有のセル識別子(C−RNTI)を有している場合に用いられる。すなわち、既にセル識別子を有している端末は、ランダムアクセス応答に基づいて自身のセル識別子を含むデータを基地局に伝送し、衝突解決タイマーを起動する。そして、衝突解決タイマーが満了する前に、自身のセル識別子の含まれたPDCCH情報を受信すると、端末は、自身が競合に成功したと判断し、ランダムアクセス手順を正常に終了する。一方、もし衝突解決タイマーが満了する前に、自身のセル識別子の含まれたPDCCHを受信できないと、自身が競合に失敗したと判断し、端末は、ランダムアクセス手順を再び行う、または、上位層に失敗事実を通報する。
【0055】
衝突解決方法のうち、後者の方法、すなわち、成功した端末の識別子を伝送する方法は、端末がランダムアクセス手順の前に固有のセル識別子がない場合に用いられる。すなわち、端末自身がセル識別子を有していない場合、ランダムアクセス応答に含まれたアップリンク承認(UL Grant)情報に基づき、データにセル識別子よりも上位識別子(S−TMSIまたはランダムアクセスID(Random Id);以下、端末衝突解決識別子MAC制御要素(UE Contention Resolution Identity MAC control element)と総称する場合もある。)を含めて伝送し、端末は、衝突解決タイマーを起動する。衝突解決タイマーが満了する前に、自身の上位識別子を含むデータがDL−SCHで伝送された場合、端末は、ランダムアクセス手順に成功したと判断すればいい。一方、衝突解決タイマーが満了する前に、自身の上位識別子を含むデータがDL−SCHで伝送されないと、端末は、ランダムアクセス手順に失敗したと判断する。
【0056】
上述したような衝突解決の概念に基づき、衝突解決手順において端末が経験できるような混同について説明する。
【0057】
図6は、端末が基地局に競合ベースのランダムアクセスを行う際に、端末が衝突解決手順で経験できるような混同の一例を説明するための図である。
【0058】
まず、段階1で、端末は、新しいデータの発生により、BSR(Buffer Status Report;以下、「BSR(A)」という。)を基地局に伝送することがある。この場合、端末は、当該BSR(A)を伝送するためのアップリンクの無線リソースを有していると仮定する。
【0059】
一方、段階2では、端末に、現在のバッファーに保存されているデータよりも優先順位の高いデータが再び発生したと仮定する。この事実を基地局に報告するために、端末は、他のBSR(B)を基地局に伝送しなければならない。しかし、この場合は、該BSR(B)を伝送するためのアップリンクの無線リソースを有していないと仮定する。すなわち、当該無線リソースを基地局に要請するために、端末は、競合ベースのランダムアクセス手順を行うと仮定する。
【0060】
一方、基地局は、このランダムアクセス手順においてメッセージ3または第3のメッセージを正確に受信するまでは、現在、端末がランダムアクセス手順を行っているかどうか判断できない。図6の例において、基地局は、端末が伝送した第3のメッセージを正確に受信していない状況で、以前に受け取ったBSR(A)に対するアップリンク承認(UL grant)を端末に伝送すると仮定する。しかし、端末は、このアップリンク承認を、BSR(B)を伝送するためのランダムアクセス手順の衝突解決メッセージと判断し、ランダムアクセス手順が成功したと判断することがある。そのため、端末が伝送しようとするBSR(B)は損失することがある。
【0061】
LTEシステムでは、図6に示す誤った衝突解決によりBSR伝送損失という問題が生じることがあったが、その発生頻度が少ないため、大きな問題にはならなかった。しかし、LTE−Aシステムでは、端末が複数個のULCCとDLCCを使用することから、競合ベースのランダムアクセス手順において誤った衝突解決によるBSR伝送損失の発生頻度が増加し、問題とされることがある。
【0062】
図7は、LTE−Aシステムにおける競合ベースのランダムアクセス手順において誤った衝突解決が発生する一例を示す図である。
【0063】
図7で、端末(UE)及び基地局(eNB)はそれぞれ、2個のDLCC(DL(A)及びDL(B))、2個のULCC(UL(A)及びUL(B))を用いて通信を行うと仮定する。具体的に、ULCCであるUL(A)とDLCCであるDL(A)とが、そしてULCCであるUL(B)とDLCCであるDL(B)とが互いに接続されていると仮定する。端末は、基地局から受信したシステム情報から、利用可能なCC情報及びUL/DLCC間の接続情報を獲得できる。
【0064】
図7を参照すると、段階S701で、端末は、新しいデータの発生によりBSR(Buffer Status Report;以下、「BSR(A)」という。)をULCC(A)を通じて基地局に伝送するとする。この場合、端末は、このBSR(A)を伝送するためのアップリンクの無線リソースを有していると仮定する。段階S701で伝送されたBSR(A)に対して基地局がNACKを伝送する場合(S702)、端末はBSR(A)を再伝送してもよい(S703)。
【0065】
一方、端末に、現在のバッファーに保存されているデータよりも優先順位の高いデータが再び発生したとする。この事実を基地局に報告するために、端末は、他のBSR(B)を基地局に伝送しなければならない。しかし、この場合、端末は、このBSR(B)を伝送するためのアップリンクの無線リソースを有していないと仮定する。すなわち、当該無線リソースを基地局に要請するために、端末は、競合ベースのランダムアクセス手順をULCC(A)を通じて行うと仮定する。そのために、端末は、第1のメッセージをULCC(A)を通じて伝送し(S704)、基地局は、これに対する応答として第2のメッセージをDLCC(A)を通じて端末に伝送できる。このように受信した第2のメッセージのアップリンク承認情報に基づき、端末は、端末識別子を含む第3のメッセージを、ULCC(A)を通じて基地局に伝送できる(S706)。
【0066】
一方、基地局は、このランダムアクセス手順において第3のメッセージを正確に受信するまでは、現在、端末がランダムアクセス手順を行っているかどうか判断できない。図7の例で、基地局は、端末が伝送した第3のメッセージを正確に受信できなかった状況で、以前に受け取ったBSR(A)に対するアップリンク承認を、DLCC(B)を通じて端末に伝送する場合を仮定する(S707)。この場合、端末は、段階S707で受信したアップリンク承認情報を、BSR(B)を伝送するためのランダムアクセス手順の衝突解決メッセージと判断し、該当のランダムアクセス手順に成功したと判断することがあり、よって、端末が伝送しようとするBSR(B)は損失することがある。
【0067】
上述したように、CA技術の適用されるシステムにおいて端末の混同を防止するために、本発明の一実施形態では、端末が衝突解決のための制御信号を特定DLCCを通じて受信した場合に限って、該当のランダムアクセス手順の衝突解決に成功したと判定するように設定することを提案する。すなわち、端末が第3のメッセージを伝送したULCCに対応するDLCCを通じてアップリンク承認情報を受信しないと、本実施形態に係る端末は、当該アップリンク承認信号が衝突解決手順のためのアップリンク承認信号でないと見なすことを提案する。
【0068】
図8は、本発明の好適な一実施形態によって端末が基地局にランダムアクセス手順を行う方法を説明するための図である。
【0069】
図8の例で、端末は、基地局からCA機能のために、2個のULCC(以下、UL(A)とUL(B)という。)と2個のDLCC(以下、DL(A)とDL(B)という。)を使用できるように設定されていると仮定する。そして、UL(A)はDL(A)とマッピングされており、UL(B)はDL(B)とマッピングされているとする。また、UL(A)とUL(B)は両方ともランダムアクセス手順を行えるようにPRACHリソースが設定されているとする。
【0070】
端末は、競合ベースのランダムアクセス手順を行うために、ランダムアクセスプリアンブルをUL(A)を通じて基地局に伝送できる(S801)。これに対する応答として、基地局は、ランダムアクセス応答を、UL(A)とマッピングされたDL(A)を通じて端末に伝送できる(S802)。端末は、このランダムアクセス応答に含まれたアップリンク承認情報に基づき、第3のメッセージをUL(A)を通じて伝送できる(S803)。この第3のメッセージには端末の識別子が含まれており、本実施形態では、この端末識別子がセル識別子(C−RNTI)であるとする。本実施形態では、端末の識別子をxyzとする。
【0071】
端末は、基地局から端末の識別子であるxyzが含まれた衝突解決メッセージを、基地局からDL(B)を通じて受信することができる(S804)。さらにいうと、この衝突解決メッセージは、アップリンク承認情報を含むとともに、端末のセル識別子であるxyzを表すPDCCHであるとする。しかし、本実施形態に係る端末は、アップリンク承認情報を含むPDCCHが、ランダムアクセスプリアンブルまたは第3のメッセージが伝送されたULCC(A)に対応するDLCC(A)を通じて受信された場合にのみ、それを衝突解決メッセージと判断するとする。したがって、端末は、DL(B)で伝送されたアップリンク承認信号を衝突解決メッセージと判断しないことを提案する(S805)。これにより、端末は、衝突解決タイマーが満了するまで継続して衝突解決メッセージの受信を試みる。
【0072】
以降、端末は、端末の識別子であるxyzを含むアップリンク承認信号をDL(A)を通じて基地局から受信することができる(S806)。このとき、端末の衝突解決タイマーは満了以前であるとする。これにより、このアップリンク承認信号がランダムアクセスプリアンブルまたは第3のメッセージを伝送したUL(A)とマッピングされたDL(A)で受信されたため、端末はそれを衝突解決メッセージと判断し、該当の識別子が一致するか否かなどを判定できる(S808)。本例で、端末は、ランダムアクセスプリアンブル伝送及び第3のメッセージの伝送に用いられたULCC(A)に対応するDLCC(A)を通じて、アップリンク承認情報を含むとともに端末識別子xyzを示すPDCCHを受信したため、該当のランダムアクセス手順に成功したと判定できる。
【0073】
図8を参照して上述したように、受信されたアップリンク承認信号が衝突解決メッセージとして用いられうるか否かを判定するにあって、受信されたDLCCを確認することは、端末がランダムアクセス手順の前にセル識別子(C−RNTI)を含む場合に限定すればよい。ランダムアクセス手順の開始前に端末がセル識別子(C−RNTI)を含まず、端末衝突解決識別子制御要素を用いて衝突解決を試みる場合、臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)を示すPDCCHを受信し、これに対応するPDSCHに、該当の端末衝突解決識別子制御要素が含まれているか否か判定しなければならず、よって、図7を参照して上述したように、他のBSRに対するアップリンク承認情報と混同する可能性が殆どないわけである。ただし、本発明は、全ての競合ベースのランダムアクセス手順に対して第4のメッセージを受信したDLCCを考慮するように設定されてもよい。
【0074】
図8を参照して上述したように、端末が第1のメッセージ/第3のメッセージの伝送に用いたULCCに対応するDLCCを通じて受信したアップリンク承認情報のみを衝突解決メッセージと見なすようにするための具体的な設定は、下記の通りである。
【0075】
一般に、端末のMAC層で行われるランダムアクセス手順において衝突解決アルゴリズムは、下記の通りである。
【0076】
[表1]
下位層(すなわち、物理層)からPDCCH受信が通知された場合、端末は、
(1)第3のメッセージにC−RNTI MAC制御要素を含む場合(すなわち、ランダムアクセス手順の開始前に端末がセル識別子を含む場合)、
(A)このランダムアクセス手順が競合ベースのランダムアクセス手順であり(すなわち、ランダムアクセス手順がMACサブ層で開始され)、受信されたPDCCHがセル識別子(C−RNTI)を示し、新規伝送のためのアップリンク承認情報を含む場合、または、
(B)このランダムアクセス手順が非競合ベースのランダムアクセス手順であり(すなわち、ランダムアクセス手順がPDCCH命令により開始され)、受信されたPDCCHがセル識別子を示す場合、
(a)該当の衝突解決手順に成功したと判断し、
(b)衝突解決タイマーを中断する。
【0077】
(2)これと違い、第3のメッセージにCCCH SDUを含み、受信されたPDCCHが端末の臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)を示し、受信されたMAC PDUが成功的にデコーディングされた場合、
(A)衝突解決タイマーを中断し、
(B)当該MAC PDUが端末衝突解決識別子制御要素を含み、この端末衝突解決識別子制御要素が、端末が第3のメッセージで伝送したCCCH SDUとマッチングする場合(すなわち、端末が伝送した端末識別子と一致する場合)、
(a)当該衝突解決手順に成功したと見なし、
(b)ランダムアクセスに用いられた臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)をセル識別子(C−RNTI)と設定する。
【0078】
上記表1のようなアルゴリズムに、本発明の一実施形態によって端末がアップリンク承認信号を受信したDLCCを考慮する方法は、下記の通りである。
【0079】
[表2]
下位層(すなわち、物理層)から、ランダムアクセスプリアンブル伝送または第3のメッセージの伝送に用いられたULCCに対応するDLCCを通じてPDCCH受信が通知された場合、端末は、
(1)第3のメッセージにC−RNTI MAC制御要素を含む場合(すなわち、ランダムアクセス手順の開始前に端末がセル識別子を含む場合)、
(A)このランダムアクセス手順が競合ベースのランダムアクセス手順であり(すなわち、ランダムアクセス手順がMACサブ層で開始され)、受信されたPDCCHがセル識別子(C−RNTI)を示し、新規伝送のためのアップリンク承認情報を含む場合、または、
(B)このランダムアクセス手順が非競合ベースのランダムアクセス手順であり(すなわち、ランダムアクセス手順がPDCCH命令により開始され)、受信されたPDCCHがセル識別子を示す場合、
(a)当該衝突解決手順に成功したと判断し、
(b)衝突解決タイマーを中断する。
【0080】
(2)これと違い、第3のメッセージにCCCH SDUを含み、受信されたPDCCHが端末の臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)を示し、受信されたMAC PDUが成功的にデコーディングされた場合、
(A)衝突解決タイマーを中断し、
(B)当該MAC PDUが端末衝突解決識別子制御要素を含み、この端末衝突解決識別子制御要素が、端末が第3のメッセージで伝送したCCCH SDUとマッチングする場合(すなわち、端末が伝送した端末識別子と一致する場合)、
(a)当該衝突解決手順に成功したと見なし、
(b)ランダムアクセスに用いられた臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)をセル識別子(C−RNTI)と設定する。
【0081】
一方、本発明の一実施形態によってランダムアクセス手順の開始前に端末がセル識別子を有しており、ランダムアクセス手順が端末自体、具体的に、端末のMAC下位層(MAC sublayer)により開始された場合に限定して、アップリンク承認信号を受信したDLCCを考慮する場合は、下記の通りである。
【0082】
[表3]
下位層(すなわち、物理層)からPDCCH受信が通知された場合、端末は、
(1)第3のメッセージにC−RNTI MAC制御要素を含む場合(すなわち、ランダムアクセス手順の開始前に端末がセル識別子を含む場合)、
(A)このランダムアクセス手順が競合ベースのランダムアクセス手順であり(すなわち、ランダムアクセス手順がMACサブ層で開始され)、受信されたPDCCHが、ランダムアクセスプリアンブル伝送または第3のメッセージの伝送に用いられたULCCに対応するDLCCを通じて受信され、受信されたPDCCHがセル識別子(C−RNTI)を示し、新規伝送のためのアップリンク承認情報を含む場合、または
(B)このランダムアクセス手順が非競合ベースのランダムアクセス手順であり(すなわち、ランダムアクセス手順がPDCCH命令により開始され)、受信されたPDCCHがセル識別子を示す場合、
(a)当該衝突解決手順に成功したと判断し、
(b)衝突解決タイマーを中断する。
【0083】
(2)これと違い、第3のメッセージにCCCH SDUを含み、受信されたPDCCHが端末の臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)を示し、受信されたMAC PDUが成功的にデコーディングされた場合、
(A)衝突解決タイマーを中断し、
(B)当該MAC PDUが端末衝突解決識別子制御要素を含み、この端末衝突解決識別子制御要素が、端末が第3のメッセージで伝送したCCCH SDUとマッチングする場合(すなわち、端末が伝送した端末識別子と一致する場合)、
(a)当該衝突解決手順に成功したと見なし、
(b)ランダムアクセスに用いられた臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)をセル識別子(C−RNTI)と設定する。
【0084】
一方、本発明の一実施形態によってランダムアクセス手順の開始前に端末がセル識別子を有しており、ランダムアクセス手順が基地局命令、具体的に、PDCCH命令により開始された場合に限定して、アップリンク承認信号を受信したDLCCを考慮する場合には、下記の通りになる。
【0085】
[表4]
下位層(すなわち、物理層)からPDCCH受信が通知された場合、端末は、
(1)第3のメッセージにC−RNTI MAC制御要素を含む場合(すなわち、ランダムアクセス手順の開始前に端末がセル識別子を含む場合)、
(A)このランダムアクセス手順が競合ベースのランダムアクセス手順であり(すなわち、ランダムアクセス手順がMACサブ層で開始され)、受信されたPDCCHがセル識別子(C−RNTI)を示し、新規伝送のためのアップリンク承認情報を含む場合、または
(B)このランダムアクセス手順が非競合ベースのランダムアクセス手順であり(すなわち、ランダムアクセス手順がPDCCH命令により開始され)、受信されたPDCCHが、ランダムアクセスプリアンブル伝送または第3のメッセージの伝送に用いられたULCCに対応するDLCCを通じて受信され、受信されたPDCCHがセル識別子を示す場合、
(a)当該衝突解決手順に成功したと判断し、
(b)衝突解決タイマーを中断する。
【0086】
(2)これと違い、第3のメッセージにCCCH SDUを含み、受信されたPDCCHが端末の臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)を示し、受信されたMAC PDUが成功的にデコーディングされた場合、
(A)衝突解決タイマーを中断し、
(B)該当MAC PDUが端末衝突解決識別子制御要素を含み、この端末衝突解決識別子制御要素が、端末が第3のメッセージで伝送したCCCH SDUとマッチングする場合(すなわち、端末が伝送した端末識別子と一致する場合)、
(a)当該衝突解決手順に成功したと見なし、
(b)ランダムアクセスに用いられた臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)をセル識別子(C−RNTI)と設定する。
【0087】
一方、本発明の他の一実施形態において、端末がランダムアクセス手順の開始前にセル識別子を有しない場合に限って、アップリンク承認信号を受信したDLCCを考慮する場合は、下記のアルゴリズムを用いることができる。
【0088】
[表5]
下位層(すなわち、物理層)からPDCCH受信が通知された場合、端末は、
(1)第3のメッセージにC−RNTI MAC制御要素を含む場合(すなわち、ランダムアクセス手順の開始前に端末がセル識別子を含む場合)、
(A)このランダムアクセス手順が競合ベースのランダムアクセス手順であり(すなわち、ランダムアクセス手順がMACサブ層で開始され)、受信されたPDCCHがセル識別子(C−RNTI)を示し、新規伝送のためのアップリンク承認情報を含む場合、または
(B)このランダムアクセス手順が非競合ベースのランダムアクセス手順であり(すなわち、ランダムアクセス手順がPDCCH命令により開始され)、受信されたPDCCHがセル識別子を示す場合、
(a)当該衝突解決手順に成功したと判断し、
(b)衝突解決タイマーを中断する。
【0089】
(2)これと違い、第3のメッセージにCCCH SDUを含み、受信されたPDCCHが端末の臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)を示し、受信されたMAC PDUが成功的にデコーディングされた場合、
(A)衝突解決タイマーを中断し、
(B)受信されたPDCCHが、ランダムアクセスプリアンブル伝送または第3のメッセージの伝送に用いられたULCCに対応するDLCCを通じて受信され、当該MAC PDUが端末衝突解決識別子制御要素を含み、この端末衝突解決識別子制御要素が、端末が第3のメッセージで伝送したCCCH SDUとマッチングする場合(すなわち、端末が伝送した端末識別子と一致する場合)、
(a)当該衝突解決手順に成功したと見なし、
(b)ランダムアクセスに用いられた臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)をセル識別子(C−RNTI)と設定する。
【0090】
上記の表2乃至表5に表したアルゴリズムは、互いに結合して用いられてもよい。
【0091】
一方、以下では、上述したように、基地局にランダムアクセス手順を行うための端末及び基地局の装置構成について説明する。
【0092】
端末及び基地局装置は、機種によって、アンテナ、プロセッサなどを含む。ただし、以下の説明は、上述した動作を制御するためのプロセッサ構成について重点的に説明する。
【0093】
まず、端末及び基地局のプロセッサは、図2及び図3を参照して説明したような層構造を有することができる。ただし、本発明の各実施形態によって、CAを適用したシステムに用いられるために、端末及び基地局のプロセッサは、下記のような構造を有することを提案する。
【0094】
図9及び図10は、本発明の一実施形態に係る端末及び基地局のプロセッサ構造を説明するための図である。
【0095】
具体的に、図9は、上述したような方法を行うための基地局のダウンリンクの第2の層構造を、図10は、上述したような方法を行うための端末のアップリンクの第2の層構造を示している。
【0096】
CA技術は、第2の層(Layer 2)におけるMAC層に多くの影響を与えることになる。例えば、CAを用いるシステムでは、複数個のCCを使用し、一つのHARQ個体は一つのCCを管理するため、本実施形態に係る端末及び基地局のプロセッサにおけるMAC層は、複数個のHARQ個体と関連した動作を行わねばならない。また、各HARQ個体は、独立して伝送ブロック(Transport Block)が処理されるため、CAでは、複数個のCCを通じて複数個の伝送ブロックを同一の時間に送信または受信することが可能になる。
【0097】
すなわち、本実施形態に係る端末及び基地局のMAC層モジュールは、複数のHARQエンディティを含み、複数のHARQエンディティは、複数のCAのそれぞれの処理を担当することができる。図9に示すように、基地局プロセッサのMAC層モジュールの場合、複数のCCにそれぞれ対応する複数のHARQエンディティを、各端末(例えば、UE1、UE2)別に多重化する多重化モジュールを含むことができ、全体端末に対するスケジューリング/優先順位処理のためのモジュールを含むことができる。また、図10に示すように、端末プロセッサのMAC層モジュールも同様、複数のCCにそれぞれ対応する複数のHARQエンディティを含み、アップリンクリソースに対するスケジューリング/優先順位を処理するためのモジュールを含むことができる。
【0098】
以下では、上記の第2の層構造を持つ端末装置を、上述したランダムアクセス動作の観点からより具体的に説明する。
【0099】
まず、端末プロセッサは、ネットワークにRRC接続または再接続のための論理チャネル信号を生成するRRC(Radio Resource Control)層モジュールを含む。例えば、RRC接続要請メッセージは、CCCHにマッピングされて後述のMAC層に伝達されてもよい。
【0100】
MAC層モジュールは、RRC接続/再接続のための論理チャネル信号(例えば、CCCH)をMAC PDUフォーマットにマッピングし、これを伝送チャネルとして物理層に伝達することができる。ここで、この伝送チャネルは、複数のHARQエンディティのいずれか一つを用いて伝送することができる。物理層モジュールは、これを物理チャネル(例えば、PDSCH)にマッピングして基地局に伝送することができる。上述したRRC接続/再接続のための信号の場合、ランダムアクセス手順で伝送される第3のメッセージとして基地局に伝送されればよい。一方、ランダムアクセス手順における第1及び第2のメッセージは、HARQエンディティによらず、物理層の決定によって伝送されればよい。
【0101】
一方、本実施形態に係る端末プロセッサは、衝突解決手順において受信されるアップリンク承認信号が、ランダムアクセスプリアンブル伝送または第3のメッセージの伝送に用いられたULCCに対応するDLCCを通じて受信されない場合、当該アップリンク承認信号は衝突解決メッセージでないと見なすように設定されることを提案する。具体的に、本発明の一実施形態に係るプロセッサのMAC層を、上記の表2乃至表5に表したような衝突解決アルゴリズムを行うように構成することができる。上記の表2乃至表5のアルゴリズムは、ソフトウェア的にまたはハードウェア的にMAC層モジュールに具現されればよい。
【0102】
以上、開示された本発明の好適な実施例についての詳細な説明は、当業者が本発明を具体化し実施できるように提供された。以上では本発明の好適な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当該技術の分野における熟練した当業者には、添付した特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域を逸脱しない範囲内で、本発明を種々に修正及び変更可能であるということが理解できるであろう。したがって、本発明は、ここに開示した実施形態に制限されるものではなく、ここに開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えるためのものである。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上の説明では、本発明を、3GPP LTE系列システムに適用される形態を中心に説明したが、本発明は、複数の構成搬送波を組み合わせて用いる種々の移動通信システムに同一または均等な原理として用いることもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10