(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
(衣料用液体漂白性組成物)
本発明の衣料用液体漂白性組成物(以下、単に液体漂白性組成物ということがある)は、過酸化水素(A)(以下、(A)成分)と、界面活性剤(B)(以下、(B)成分)と、キレート剤(C)(以下、(C)成分)と、カチオン性ポリマー(D)(以下、(D)成分)とを含有するものである。
漂白性組成物とは洗剤組成物と漂白剤組成物を包含するものである。漂白剤組成物とは、主に被洗浄物の漂白を目的とし、漂白力を重視した組成物であり、洗剤組成物とは、主に被洗浄物の洗浄を目的とし、漂白剤組成物よりは漂白力は劣るが、洗浄力を重視した組成物である。
【0024】
<(A)成分:過酸化水素>
本発明における(A)成分は過酸化水素である。(A)成分は、通常、酸化力を有し液体漂白性組成物の漂白作用を担うものである。本発明では、さらに(B)、(C)、(D)成分と併用することにより、特に、洗濯の際、風呂の残り湯等の微生物の多い洗濯水を使用した場合、洗濯水中の微生物が衣類に付着するのを抑制できる(菌移り抑制効果)。
【0025】
液体漂白性組成物中の(A)成分の含有量は、0.1質量%以上、好ましくは0.1〜5.0質量%、より好ましくは1〜5質量%である。上記範囲内であれば、より高い漂白効果が得られると共に、菌移り抑制効果、安定性にも優れた液体漂白性組成物とすることができる。0.1質量%未満では好ましい漂白効果、菌移り抑制効果が得られず、5質量%超では液体漂白性組成物を容器に入れて保存した際、容器が膨らむおそれがある。
【0026】
<(B)成分:界面活性剤>
本発明における(B)成分は、界面活性剤である。(B)成分は、液体漂白性組成物の用途に応じて選択でき、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アミドアミン塩型界面活性剤等が挙げられる。中でも、漂白性組成物の基本機能である、漂白力、洗浄力、安定性の観点から、非イオン性界面活性剤(b−1)及び陰イオン性界面活性剤(b−2)を用いることが好ましい。このような(B)成分と、(A)成分、(C)成分、(D)成分とを組み合わせることで、風呂の残り湯等の微生物を多く含む水(湯)を洗濯に使用した場合であっても、殺菌剤等により殺菌できない残存菌に対し、菌移り抑制効果を発揮できる。
【0027】
液体漂白性組成物中の(B)成分の含有量は、特に限定されず、例えば、1〜60質量%の範囲で決定することが好ましい。1質量%未満であると微生物又は微生物を含有する汚れの分散性が不十分となり、60質量%超であると液体漂白性組成物の保存安定性が低下する。加えて、液体漂白性組成物を漂白剤組成物として用いる場合、液体漂白性組成物中の(B)成分の含有量は、1〜30質量%が好ましく、1.5〜20質量%がより好ましい。また、液体漂白性組成物を洗剤組成物として用いる場合、液体漂白性組成物中の(B)成分の含有量は、20質量%超が好ましく、20質量%超60質量%以下とすることが好ましい。
【0028】
≪(b−1)成分:非イオン性界面活性剤≫
非イオン性界面活性剤(b−1)としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、アルキル(ポリ)グリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、アミンオキサイド等が挙げら、中でも、以下に示す化合物(1)〜(5)が好ましい。
【0029】
・化合物(1):下記一般式(1)で表される化合物
本発明における化合物(1)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0031】
式(1)中、R
1はアルキル基又はアルケニル基を示し、直鎖状でも、分岐を有するものでもよい。kはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
R
1で示されるアルキル基又はアルケニル基の炭素数は7〜18であり、好ましくは10〜16、より好ましくは12〜14である。具体的なアルキル基としては、例えば、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。また、アルケニル基としては、上記アルキル基に対応するアルケニル基が挙げられ、例えば、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基等が挙げられる。
化合物(1)は、同一のR
1で構成されていてもよいし、R
1が異なるものの混合物であってもよい。
【0032】
エチレンオキサイドの平均付加モル数kは3〜15であり、好ましくは3〜6が好適である。エチレンオキサイドの平均付加モル数がこの範囲内にあれば漂白剤として油シミに対する良好な漂白効果が得られる。加えて、良好な保存安定性が得られと共に、微生物又は微生物を含有する汚れの分散性を良好にでき、良好な菌移り抑制効果が得られる。
また、(b−1)成分が式(1)で表される化合物である場合、エチレンオキサイドのナロー率は、55質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、製品の香気を良好とする観点から80質量%以上がさらに好ましい。
本明細書中のナロー率とは、アルキレンオキサイドの付加モル数が異なるアルキレンオキサイド付加体の分布の割合を示し、下記の数式(S)で表されるものを意味する。
【0034】
式(S)中、kmaxは、全体のアルキレンオキサイド付加体中に最も多く存在するアルキレンオキサイド付加体のアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。
iはアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。
Yiは全体のアルキレンオキサイド付加体中に存在するアルキレンオキサイドの付加モル数がiであるアルキレンオキサイド付加体の割合(質量%)を示す。
【0035】
ナロー率が高い、即ち、エチレンオキサイドの分布がシャープな化合物(1)の製造方法は、特に限定されず、例えば、高級アルコールとエチレンオキサイドとから常法により合成した反応生成物から、蒸留等により必要分子量範囲のものを分取する方法が挙げられる。また、例えば、特定のアルコキシル化触媒を使用して脂肪族アルコール等にエチレンオキサイドを付加反応させることによって容易に得ることができる。この場合、アルコキシル化触媒としては、例えば特公平6−15038号公報に記載されているアルコキシル化触媒を使用することができる。具体的には、Al
3+、Ga
3+、In
3+、Tl
3+、Co
3+、Sc
3+、La
3+、Mn
2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等を使用することができる。また、例えば、式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、2種類以上のアルコールにエチレンオキサイドを付加させて製造してもよい。
【0036】
化合物(1)は、疎水性パラメーターlogP値が2.0〜5.0であることが好ましく、2.5〜4.5であることがより好ましい。logP値が2.0〜5.0であると、微生物又は微生物を含有する汚れとの親和性が高く、菌移り抑制効果に優れ、シミ汚れに対する洗浄力も良好である。logP値が2.5〜4.5であると、界面活性剤が低濃度であっても液体漂白性組成物を適度な粘度とし、例えば詰め替え時等の液はねを低減できる。このような式(1)の化合物としては、R
1=C
12H
25、k=5(logP=3.29)、R
1=C
14H
29、k=5(logP=4.08)、R
1=C
12H
25、k=10(logP=4.12)、R
1=C
12H
25、k=15(logP=4.94)等が挙げられる。
疎水性パラメーターは、対象とする化合物の性質を示すパラメーターとして一般的に用いられているものである。logP値におけるP(分配係数)は、水とオクタノールとの間における平衡状態での物質の活動度の比としてP=Co/Cwとして表される(ここでCoはオクタノール中の濃度、Cwは水中の濃度である)。疎水性パラメーターについては、例えば科学の領域増刊号122号(1979年)、第73頁に記載されている。
分配係数の測定方法としては、Flask Shaking法や薄層クロマトグラフ法、HPLCによる測定法が知られているが、Ghose,Pritchett,Crippenらのパラメーターを用いて計算によって算出できる(J.Comp.Chem.,9,80(1998))。
【0037】
・化合物(2):下記一般式(2)で表される化合物
本発明における化合物(2)は、下記一般式(2)で表される化合物である。
【0039】
式(2)中、x、yは、それぞれメチレン基の数を示す1以上の数である。
x+y=5〜13であり、好ましくは9〜11である。5未満であると微生物又は微生物を含有する汚れの分散性が不十分となり、13超であると液体漂白性組成物中での他の成分との相溶性が低下する。
zはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す5〜30の数であり、好ましくは5〜15である。5未満であると液体漂白性組成物の保存安定性が低下し、30超であると微生物又は微生物を含有する汚れの分散性が不十分となり、菌移り抑制効果が低下する。
【0040】
・化合物(3):下記一般式(3)で表される化合物
本発明における化合物(3)は、下記一般式(3)で表される化合物である。
【0042】
式(3)中、−[(C
2H
4O)
k1/(C
3H
6O)
m1]−は、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドがランダムに付加されていることを示す。
【0043】
式(3)中、R
2は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。R
2は、炭素数8〜18であり、好ましくは8〜16である。8未満であると微生物又は微生物を含有する汚れの分散性が不十分となり、18超であると液体漂白性組成物中での他の成分との相溶性が低下する。
k1、n1は、それぞれエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す1以上の数である。
k1+n1=3〜30であり、好ましくは、5〜15である。3未満であると液体漂白性組成物の保存安定性が低下し、30超であると微生物又は微生物を含有する汚れの分散性が不十分となり、菌移り抑制効果が低下する。
m1はプロピレンオキサイドの平均付加モル数を示す0.2〜5の数であり、好ましくは0.5〜5である。
【0044】
・化合物(4):下記一般式(4)で表される化合物
本発明における化合物(4)は、下記一般式(4)で表される化合物である。
【0046】
式(4)中、(C
2H
4O)
k2−(C
3H
6O)
m2−(C
2H
4O)
n2は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが各々ブロックで付加されていることを示す。
【0047】
式(4)中、R
3は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。R
3は、炭素数8〜18であり、好ましくは8〜16である。8未満であると微生物又は微生物を含有する汚れの分散性が不十分となり、18超であると液体漂白性組成物中での他の成分との相溶性が低下する。
k2、n2は、それぞれエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す1以上の数である。
k2+n2=3〜30であり、好ましくは、5〜15である。3未満であると液体漂白性組成物の保存安定性が低下し、30超であると微生物又は微生物を含有する汚れの分散性が不十分となり、菌移り抑制効果が低下する。
m2はプロピレンオキサイドの平均付加モル数を示す0.2〜5の数であり、好ましくは0.5〜5である。
【0048】
・化合物(5):下記一般式(5)で表される化合物
本発明における化合物(5)は、下記一般式(5)で表される化合物である。
【0049】
【化11】
式(5)中、R
4は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、好ましくは直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。
R
4は、炭素数9〜13であり、液体漂白性組成物の保存安定性、菌移り抑制効果の観点から11〜13が好ましい。9未満であると微生物又は微生物を含有する汚れの分散性が不十分となり、13超であると液体漂白性組成物中での他の成分との相溶性が低下する。
このように、R
4は、炭素数11〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましい。
【0050】
R
5は炭素数2〜4のアルキレン基であり、炭素数2〜3のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。R
5は、全てが同一のアルキレン基であってもよく、2種以上のアルキレン基が混在していてもよい。
R
6は炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくは、メチル基である。
pは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す5〜30の数であり、好ましくは12〜18である。5未満であると液体漂白性組成物の保存安定性が低下し、30超であると微生物又は微生物を含有する汚れの分散性が不十分となり、菌移り抑制効果が低下する。
【0051】
液体漂白性組成物を漂白剤組成物とする場合、漂白剤組成物は、他の衣料用洗剤と共に用いられることが多いことから、(B)成分の含有量が比較的少なく、保存中のゲル化や洗濯水への溶解性低下の懸念が少ないものである。このため、漂白剤組成物に用いる(b−1)成分としては、被洗濯物の油シミ(疎水性のシミ汚れ)に対する漂白効果を高めることを目的とし、化合物(1)、化合物(2)が好ましく、化合物(1)がより好ましい。
【0052】
液体漂白性組成物を濃縮タイプの漂白剤入りの洗剤組成物とする場合、(b−1)成分としては、化合物(2)〜(5)が好ましく、化合物(5)がより好ましい。このような(b−1)成分を用いることで、洗剤組成物は、(B)成分を高濃度に含有しても粘度の著しい増大(ゲル化)等を生じずに良好な液性を確保することができる。
洗剤組成物に化合物(5)を配合する場合、化合物(5)におけるアルキレンオキサイドのナロー率は、20質量%以上が好ましく、上限値としては実質的に80質量%以下が好ましく、20〜60質量%がより好ましく、低温での経時安定性の向上の観点から30〜45質量%がさらに好ましい。前記、ナロー率が高いほど、良好な洗浄力が得られる。
また、ナロー率が20質量%以上、特に30質量%以上であると、化合物(5)の原料臭気の少ない洗剤組成物が得られやすくなる。これは、化合物(5)に含まれる一般式(5)中のp=1又は2のアルキレンオキサイド付加体が少なくなるためと考えられる。ナロー率は、前記式(S)中のkをpに置き換えて算出することができる。
【0053】
また、前記ナロー率は、化合物(5)の製造方法等によって制御することができる。製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルにアルキレンオキサイドを付加重合させる方法(特開2000−144179号公報参照)により容易に製造することができる。
【0054】
上述した(b−1)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0055】
液体漂白性組成物中の(b−1)成分の含有量は、液体漂白性組成物の用途に応じて決定できる。
液体漂白性組成物を漂白剤組成物とする場合、液体漂白性組成物中の(b−1)成分の含有量は0.5質量%以上20質量%未満が好ましく、3質量%以上20質量%未満がより好ましい。0.5質量%以上であれば、(A)成分、(C)成分、(D)成分と併用することにより、微生物を含有する汚れを洗濯水中に良好に分散させ、被洗濯物に対する菌移り抑制効果をより向上できる。20質量%未満であれば、他の成分との配合バランスが取れ、疎水性シミ汚れに対する漂白効果の向上が図れる。
【0056】
また、液体漂白性組成物を洗剤組成物とする場合、液体漂白性組成物中の(b−1)成分の含有量は、20〜59質量%が好ましく、30〜55質量%がより好ましい。(b−1)成分の含有量が20質量%以上であると、良好な洗浄力が得られる。加えて、高濃度の(B)成分を含有する濃縮タイプの洗剤組成物とすることができ、濃縮タイプの洗剤組成物としての有効性(商品価値)が高くなる。(b−1)成分の含有量が59質量%以下であると、経時に伴う液表面での洗剤組成物のゲル化等が起きにくくなって、液表面において皮膜が形成されにくくなる。即ち、液安定性の向上が図れる。
また、(A)成分、(C)成分、(D)成分と組み合わせることで、高濃度に界面活性剤を含有する洗剤組成物としての機能を有し、微生物を含有する汚れの洗濯水への分散性を向上させ、被洗濯物に対する菌移り抑制効果をより高めることができる。
【0057】
≪(b−2)成分:陰イオン性界面活性剤≫
(b−2)成分は陰イオン性界面活性剤である。(b−2)成分は、柔軟剤等の使用に伴う被洗濯物の黄ばみを抑制できることに加え、高濃度に(B)成分を含有する場合において、液体漂白性組成物の液表面をゲル化しにくくすると共に、被洗濯物に対する菌移り抑制効果をさらに向上できる。
【0058】
(b−2)成分としては、特に限定されず、従来、洗剤組成物や、漂白剤組成物に配合されるものを用いることができる。中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(AES)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルカンスルホン酸塩が好適に用いられる。
【0059】
LASとしては、アルキル基の炭素数が8〜16のものが好ましく、炭素数10〜14のものがより好ましい。
ASとしては、アルキルの炭素数が10〜20のものが好ましい。
AESとしては、アルキル基の炭素数10〜20ものが好ましく、炭素数10〜14のものがより好ましい。また、エチレンオキサイドの平均付加モル数は、1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。
また、AESは、AESを構成するエチレンオキサイド付加体の分布割合が、好ましくは55質量%以上、より好ましくは55〜75質量%とされる。エチレンオキサイド付加体の分布割合は、質量基準で最も多く存在するエチレンオキサイド付加体のエチレンオキサイドの付加モル数を「tmax」とした際、全エチレンオキサイド付加体に対する(tmax−1)とtmaxと(tmax+1)のエチレンオキサイド付加体の合計の割合として求めることができる。
AOSとしては、アルキル基の炭素数が10〜20のものが好ましい。
アルカンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数が10〜20のものが好ましく、炭素数10〜14のものがより好ましい。さらに、2級アルカンスルホン酸塩であることが好ましい。
中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、AES、アルカンスルホン酸塩が好ましく、アルカンスルホン酸塩がより好ましい。
これらの(b−2)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0060】
(b−2)成分を構成する塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。中でも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
漂白性組成物中の(b−2)成分の含有量は、特に限定されないが、例えば、1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましく、2〜5質量%であることがさらに好ましい。1質量%以上であると、衣料に対する菌移り抑制効果のさらなる向上が図れないおそれがある。加えて、柔軟剤製品の使用に伴う被洗濯物の黄ばみ抑制効果が不十分となるおそれがあると共に、(B)成分を高濃度に含有した場合に液体漂白性組成物自体のゲル化を生じるおそれがある。
【0061】
本発明の液体漂白性組成物には、(b−1)成分、(b−2)成分以外の界面活性剤を用途や目的に応じ適宜用いることができる。
【0062】
<(C)成分:キレート剤>
本発明における(C)成分は、Ca
2+に対するキレート安定度定数の対数値が5.5以上、Fe
3+に対するキレート安定度定数の対数値が10以上、かつCu
2+に対するキレート安定度定数の対数値が10以上のキレート剤である。
【0063】
(C)成分は、Ca
2+に対するキレート安定度定数Kの常用対数値(logK=キレート定数)が5.5以上のものである。このような(C)成分を用いることで、菌移り抑制効果を発揮できる。
微生物を多く含む洗濯水中の微生物は、皮脂等(脂肪酸等を含む)の汚れの中に含有されていると考えられる。これらの汚れは、洗濯中に微生物と共に被洗濯物に付着し、その後、被洗濯物で微生物が増加してしまう。微生物を多く含む洗濯水中の汚れには、水道水や皮脂等の汚れ由来のカルシウムが含有され、これらが被洗濯物に付着するバインダーとなっていると推定される。(C)成分は、このカルシウムイオンに対するキレート効果の高いキレート剤を用いることが好ましく、後述する(D)成分と併用することにより、微生物を含有した汚れの被洗濯物への付着を抑制できる。
(C)成分のCa
2+に対するlogK値は、5.5以上であり、より好ましくは6.5以上である。Ca
2+に対するlogK値が5.5未満であると、カルシウムイオンを十分に捕捉できず、菌移り抑制効果が不十分となる。logKの上限値は特に制限されるものではないが、15以下である。
【0064】
(C)成分は、Fe
3+に対するlogK値が10以上のものであり、より好ましくはlogKが12以上のものである。過酸化水素を含む組成物中に微量の鉄イオンが存在すると、共存する(A)成分の安定性が低下して漂白効果が低下すると共に、菌移り抑制効果が不十分となる。加えて、液体漂白性組成物を保存した際、濁りや着色を生じる懸念がある。
Fe
3+に対するlogK値が10未満であると、鉄イオンを十分に捕捉することができず、漂白効果が低下すると共に、菌移り抑制効果が不十分となる。Fe
3+に対するlogKの上限値は特に制限されないが、30以下が好ましい。
【0065】
(C)成分は、Cu
2+に対するlogK値が10以上のものであり、より好ましくはlogKが12以上のものである。過酸化水素を含む組成物中に微量の銅イオンが存在すると、共存する(A)成分の安定性が低下して漂白効果が低下すると共に、菌移り抑制効果が不十分となる。加えて、液体漂白性組成物を保存した際、濁りや着色を生じる懸念がある。
Cu
2+に対するlogK値が10未満であると、銅イオンを十分に捕捉することができず、漂白効果が低下すると共に、菌移り抑制効果が不十分となる。Cu
2+に対するlogKの上限値は特に制限されないが、25以下が好ましい。
【0066】
キレート安定度定数は下記(I)式で求められる。
【0068】
金属イオンとキレート剤の平行反応・・・・M+AZ⇔MZ
AM:金属イオン、Z:キレート剤、MZ:錯塩、A:1個のMと結合するZの数、〔MZ
A〕:MZ
Aの濃度(mol/L)、〔M〕:Mの濃度(mol/L)、〔Z〕:Zの濃度(mol/L)を表す。
【0069】
(C)成分としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(logK値[ドータイトカタログ 第13版、1964年(株式会社同仁化学研究所及びBRIQUESTカタログ、1994年、ALBRIGHT & WILSONより];Ca
2+/Fe
3+/Cu
2+=6.5/16.2/12.5、以下同様に表す。)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(7.9/14.6/17.7)、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(9.4/19.6/23.2)等の有機ホスホン酸誘導体、ニトリロ三酢酸(6.41/15.87/12.96)、エチレンジアミン四酢酸(10.96/25.1/18.80)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(8.5/19.8/17.6)、ジエチレントリアミン5酢酸(10.74/28.6/21.53)、トリエチレンテトラミン6酢酸(10.06/26.8/19.2)等のアミノポリ酢酸類、ジカルボキシメチルグルタミン酸4ナトリウム(11.0/20.5/17.5)等の有機酸類が挙げられ、中でも有機ホスホン酸誘導体が好ましく、分子量の小さい1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸がより好ましい。1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸の主な市販品として、 BRIQUEST ADPA(オルブライトウィルソン社製)、キレストPH−210(キレスト社製)、DEQUEST2010(モンサント社製)等が挙げられるが、何れを使用しても同様の効果が得られる。
【0070】
液体漂白性組成物中の(C)成分の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましい。0.1質量%未満では、菌移り抑制効果が不十分となるおそれがあり、5質量%超では、液体漂白性組成物の安定性が損なわれるおそれがある。
【0071】
<(D)成分:カチオン性ポリマー>
本発明における(D)成分は、ビグアニド系ポリマー(以下、(d−1)成分)及びジメチルジアリルアンモニウム系ポリマー(以下、(d−2)成分)から選択される少なくとも1種以上のカチオン性ポリマーである。液体漂白性組成物は、(D)成分を含有することで、殺菌、抗菌効果を発揮すると共に、(C)成分と(D)成分とを含有することで、菌移り抑制効果を発揮できる。
【0072】
≪(d−1)成分:ビグアニド系ポリマー≫
(d−1)成分はビグアニド系ポリマーである。好適な(d−1)成分としては、例えば、下記一般式(6)で表されるポリヘキサメチレンビグアニド化合物等のポリアルキレンビグアニド化合物が挙げられる。
【0074】
上記式(6)中、qは2〜14であり、好ましくは11〜13、より好ましくは12である。
HYは有機酸又は無機酸を示し、塩酸、グルコン酸、酢酸が好ましく、塩酸がより好ましい。
【0075】
ポリヘキサメチレンビグアニド化合物は市販のものを用いることができ、上記一般式(6)のqが12である、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩、商品名Proxel IB(登録商標)が挙げられる。
【0076】
≪(d−2)成分:ジメチルジアリルアンモニウム系ポリマー≫ジ
(d−2)成分は、ジメチルジアリルアンモニウム系ポリマーである。好適な(d−2)成分としては、下記一般式(7)に示すジメチルジアリルアンモニウム塩を、重合して得られるポリマーが挙げられる。
【0078】
特に好ましいポリマーとしては、下記一般式(8)で表わされる。
【0080】
式(7)及び(8)中、X
−は、塩化物イオン、臭化物イオン等の任意の陰イオンを示す。cは、平均重合度であり、6〜30000の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜6000、さらに好ましくは30〜3000の範囲である。
【0081】
このような(d−2)成分の市販品としては、MERQUAT100(Calgon社製)、アデカカチオエースPD−50(株式会社ADEKA製)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業株式会社製)等が挙げられる。
【0082】
上述した(D)成分は、(d−1)成分及び(d−2)成分から選ばれる1種以上を使用することができ、中でも、菌移り抑制効果、抗菌効果の面から式(6)のqが12であるポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩が好ましい。このような、主鎖がカチオン性基を有するモノマーから構成されている(D)成分を用いることで、液体漂白性組成物は、菌移り抑制効果、抗菌効果を発揮できる。
【0083】
液体漂白性組成物中の(D)成分の含有量は、0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜2質量%がより好ましい。0.001質量%以上であれば、菌移り抑制効果及び抗菌効果が良好であり、2質量%を超えると液体漂白性組成物の保存安定性が低下する傾向にある。
【0084】
液体漂白性組成物中の(C)成分/(D)成分で表される質量比は、1〜1000であることが特に好ましい。上記範囲内とすることで、相乗的に菌移り抑制効果を向上できる。(C)成分/(D)成分が1未満であると、洗濯水中のカルシウムを十分に捕捉できず、(D)成分の微生物を含む汚れに対する吸着が減少し、菌移り抑制効果が低下する傾向にある。一方、(C)成分/(D)成分が1000超であると、(C)成分のアニオン性部分と(D)成分が錯体を形成しやすくなる。(D)成分は、錯体を形成するとカチオン性が低下し、微生物を含む汚れへの吸着が減少して、菌移り抑制効果が低下する傾向にある。
【0085】
<任意成分>
液体漂白性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じ以下の任意成分を含有できる。
【0086】
≪漂白活性化剤≫
漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン、ペンタアセチルグルコース、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン等の有機過酸前駆体等が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できるが、中でもノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシ安息香酸が好ましく使用できる。
液体漂白性組成物中の漂白活性化剤の含有量は、漂白力の向上、保存安定性、経済性等の観点から、0.1〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0087】
≪ラジカルトラップ剤成分≫
ラジカルトラップ剤としては、好ましくはフェノール系ラジカルトラップ剤が使用される。特に、液体漂白性組成物のpHが5以上になると、上述の(C)成分の添加のみでは(A)成分の分解を十分に抑制できない場合があるが。このような場合において、フェノール系ラジカルトラップ剤を(C)成分と共に使用することが好ましい。また、液体漂白性組成物を衣類に塗布後、長時間放置してしまった際等には、(A)成分と反応性の高い金属等の成分により(A)成分の異常分解が起こり、被洗濯物が損傷される場合もある。
かかる場合において、フェノール系ラジカルトラップ剤が液体漂白性組成物に添加されていると、被洗濯物の損傷を抑制することができる。
フェノール系ラジカルトラップ剤とは、フェノール及びフェノール誘導体であり、前記フェノール誘導体としては、フェノール性のOH基を有する化合物、フェノール性のOH基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が好ましく挙げられる。置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。中でも、フェノール性のOH基を有する化合物がより好ましい。中でも、「G.E.Penketh,J.Appl.Chem」,7,512〜521頁(1957)に記載された酸化還元電位(O.P.)
0が1.25V以下の化合物が好ましく、0.75V以下の化合物がより好ましい。これらの中でも、さらに好ましくは、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられ、4−メトキシフェノールが特に好ましい。
液体漂白性組成物中のラジカルトラップ剤の含有量は、(A)成分の分解抑制効果や経済性等の観点から、0.01〜6質量%とすることが好ましく、0.05〜1質量%とすることがより好ましい。
【0088】
≪pH調整剤≫
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、クエン酸、ホスホン酸誘導体等の有機酸;ホウ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア等を使用できる。本発明の液体漂白性組成物のpHは2〜7とすることが好ましく、所望のpHとなるように、各種pH調整剤を用いることができる。
【0089】
≪ハイドロトロープ剤≫
ハイドロトロープ剤としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、重量平均分子量が約200のポリエチレングリコール、重量平均分子量が約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類等の水混和性の有機溶剤を用いることができる。前記有機溶剤の含有量は、液体漂白性組成物中、0.1〜15質量%であることが好ましい。
また、液体洗浄剤組成物には、パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩、尿素等の減粘剤又は可溶化剤を用いることができる。前記減粘剤又は可溶化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.01〜10質量%であることが好ましい。液体漂白性組成物の粘度はキャップ等を用いて計量する場合は10mPa・s〜300mPa・sに調整することが好ましい。
【0090】
≪無機塩類≫
無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が使用できる。
【0091】
≪ホウ酸化合物≫
ホウ酸化合物としては、例えばオルトホウ酸(H
3BO
3);ホウ酸イオン(BO
33−)もしくは(BO
45−)がつくる塩、又はこれらが縮合した陰イオンの塩(縮合ホウ酸塩)等が挙げられる。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられる。中でも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
上述したホウ酸化合物の中でも特に好適なものとしては、オルトホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸アンモニウム等が挙げられ、オルトホウ酸、四ホウ酸ナトリウムがより好ましい。前記四ホウ酸ナトリウムとしては、例えば四ホウ酸ナトリウム・5水塩、四ホウ酸ナトリウム・10水塩(ホウ砂)等の含水塩が特に好ましい。
ホウ酸化合物は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
液体漂白性組成物中のホウ酸化合物の含有量は、特に限定されず、0.2〜10.0質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。ホウ酸化合物として四ホウ酸ナトリウムの含水塩を用いた場合の含有量は、四ホウ酸ナトリウム(Na
2B
4O
7)換算で算出した濃度(即ち、Na
2B
4O
7量)を示す。
ホウ酸化合物の含有量が0.2質量%以上であると、特に液体漂白性組成物の水性のシミ汚れに対する除去効率が向上する。一方、ホウ酸化合物の含有量が10.0質量%以下であると、液体漂白性組成物を洗剤組成物として用いた時の低温における保存安定性が向上する。
【0092】
≪香料≫
液体漂白性組成物には、商品の付加価値向上等を目的として、香料を配合してもよい。
香料とは、香料原料単体、又は香料原料、香料用溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である香料組成物を含むものである。
液体漂白性組成物中の香料の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.0001〜15質量%、より好ましくは0.001〜10質量%とされる。
【0093】
香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume
and Flavor Materials of NaturalOrigin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「Perfumery
MaterialPerformance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)及び「Flower oils and Floral CompoundsIn Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
【0094】
香料用溶剤としては、例えば、エタノール、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
香料組成物中の香料用溶剤の含有量は、好ましくは0.1〜99質量%、より好ましくは0.1〜10%質量とされる。
【0095】
香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられ、中でも、ジブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
香料組成中の香料安定化剤の含有量は、好ましくは0.0001〜10質量%、より好ましくは0.001〜5質量%とされる。
【0096】
(製造方法)
本発明の液体漂白性組成物の製造方法は、特に制限されず、常法に準じて製造することができる。
例えば、前記(A)〜(D)成分と、必要に応じて任意成分とを、各成分の純分換算量で所望の配合量になるように水(イオン交換水)に混合して溶解し、pH調整剤(酸性物質、アルカリ性物質)を用いて所定のpHになるように調整することにより、製造することができる。
【0097】
(収納容器)
液体漂白性組成物を収納する容器としては、特に限定されず、一般的に用いられている容器に収納することができる。例えば、計量キャップを備えたノズル型容器や中栓型容器、自動計量機構又は簡易計量機構を備えたスクイズ容器やポンプ容器、液を吹きかけるあるいは泡状に塗布するトリガー容器やスクイズ容器、液を塗りつける塗布面を持った塗布容器、詰め替え容器(パウチ、薄肉ボトル、付け替えボトル等)等が挙げられる。
本発明における液体漂白性組成物を収納する容器は特に規定しないが、過酸化水素製剤を収納する容器としては、例えば、特開2003−338997号公報、特開平11−100594号公報等に開示されているものが好ましい。
【0098】
(使用方法)
本発明の液体漂白性組成物の使用方法は、液体漂白性組成物を、洗濯時に被洗濯物と一緒に水に投入する方法、予め水に溶解しこれに被洗濯物を浸漬する方法等が挙げられる。
また、液体漂白性組成物を被洗濯物に塗布後、適宜放置し、その後、通常の洗濯を行ってもよい。
【0099】
上述の通り、本発明の液体漂白性組成物は、(A)〜(D)成分を含有することで、優れた菌移り抑制効果と抗菌効果を発揮する。特に、風呂の残り湯等の微生物を多く含む水を洗濯に用いた場合においても、菌移り抑制効果と抗菌効果が顕著である。
本発明の液体漂白性組成物が、菌移り抑制効果、抗菌効果を発揮する機構は定かではないが、次のように推定される。まず、(A)成分は、洗濯水中の微生物の一部を分解し、洗濯水中の生菌数を減少させる。加えて、(C)成分によって、微生物を含有する汚れ中に脂肪酸カルシウム等の形で存在するカルシウムを捕捉し、汚れ中の脂肪酸等のアニオン性部分にカチオン性を有する(D)成分が吸着しやすくなる。微生物を含む汚れは、その表面が(D)成分により覆われることで、洗濯水中での分散性が高められると共に、(B)成分によって洗濯水中に分散され、被洗濯物に対する微生物の付着を抑制することができると考えられる。加えて(D)成分は、被洗濯物に吸着し、洗濯後に抗菌効果を発揮し、被洗濯物に付着した微生物の増殖を抑制する。
この結果、液体漂白性組成物は、洗浄機能と漂白機能とに加え、菌移り抑制効果及び抗菌効果を発揮すると考えられる。
【実施例】
【0100】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0101】
(使用原料)
<(A)成分:過酸化水素>
A−1:過酸化水素(三菱ガス化学株式会社製)。
【0102】
<(B)成分:界面活性剤>
≪b−1:非イオン性界面活性剤≫
b−1−1:天然アルコール(C12/C14=7/3)に平均5モルのエチレンオキサイドを付加した非イオン性界面活性剤、エチレンオキサイドのナロー率は84質量%(ライオンケミカル株式会社製、NLME3−90(純分90質量%品)、表中の配合量は純分としての値(質量%)を示す。化合物(1)に相当。
b−1−2:C
11H
23CO(OC
2H
4)
15OCH
3/C
13H
27CO(OC
2H
4)
15OCH
3=8/2(質量比)の混合物、ナロー率33質量%、合成品。化合物(5)に相当。
b−1−3:天然アルコール(C12/C14=7/3)に4モルのエチレンオキサイドと2モルのプロピレンオキサイドをランダム付加させた後、10モルのエチレンオキサイドを付加させて得られた非イオン性界面活性剤。化合物(3)に相当。
b−1−4:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(株式会社日本触媒社製、「ソフタノール90」、上記一般式(2)中、x+y=9、z=9のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、x+y=11、z=の9ポリオキシエチレンアルキルエーテルの混合物)。
化合物(2)に相当。
b−1−5:天然アルコール(C12/C14=7/3)に平均8モルのエチレンオキサイドを付加した非イオン性界面活性剤。ライオンケミカル株式会社製、レオックスCC−80H−90(純分90質量%品)。化合物(1)に相当。
【0103】
≪b−2:陰イオン性界面活性剤≫
b−2−1:LAS、直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン株式会社製、「ライポンLH−200(LAS−H)」、純分96質量%)]を、水酸化ナトリウムで中和したもの。表中の配合量は、直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩としての値(質量%)を示す。
b−2−2:セカンダリーアルカンスルホン酸ナトリウム(クラリアントジャパン株式会社製、商品名「SAS30」(純分30%))、表中の配合量は純分としての値(質量%)を示す。
≪b−3:陽イオン性界面活性剤≫
b−3−1:ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(東京化成工(株)製)
【0104】
<(C)成分:キレート剤>
以下、Ca
2+キレート定数は、Ca
2+に対するlogK値、Fe
3+キレート定数は、Fe
3+に対するlogK値、Cu
2+キレート定数は、Cu
2+に対するlogK値を表す。
C−1:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ローディアジャパン株式会社製、商品名「フェリオックス115」)、Ca
2+キレート定数=6.5、Fe
3+キレート定数=16.2、Cu
2+キレート定数=12.5。
C−2(比較品):クエン酸1水塩(扶桑化学工業株式会社製)、Ca
2+キレート定数=4.68、Fe
3+キレート定数=12.5、Cu
2+キレート定数=4.35。
【0105】
<(D)成分:カチオン性ポリマー>
D−1:ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩、(アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製、商品名「Proxel IB」)
D−2:塩化ジメチルジアリルアンモニウムポリマー(NALCO社製、商品名「Merquat100」)
D−3(比較品):カチオン化セルロース(東邦化学工業株式会社製、商品名「カチナールHC−100」)
【0106】
(任意成分)
ホウ酸化合物:四ホウ酸ナトリウム・5水塩(Borax社製、商品名「Neobor」)。
ラジカルトラップ剤:4−メトキシフェノール(川口化学工業株式会社製、商品名「MQ−F」)。
ハイドロトロープ剤A:エタノール(NEDO社製、商品名「95vol%合成エタノール」)。
ブチルカルビトール(協和発酵工業(株)製、商品名「ブチルカルビトール95-P」。
モノエタノールアミン((株)日本触媒製、商品名「モノエタノールアミン水割り品(75%)」。
プロピレングリコール(BASF社製)。
また、pH調整剤として用いた硫酸及び水酸化ナトリウムの詳細は以下の通りである。
硫酸(東邦亜鉛(株)製。)
水酸化ナトリウム(鶴見曹達(株)製。)
香料組成物:表1〜6に記載の香料組成物A〜Dを用いた。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
【表5】
【0112】
【表6】
【0113】
(製造例1)b−1−2の合成
特開2000−144179号公報に記載の実施例における製造例1に準じて製造した合成品を用いた。
化学組成が2.5MgO・Al
2O
3・nH
2Oである水酸化アルミナ・マグネシウム(協和化学工業株式会社製、「キョーワード300」)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5規定の水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gとを4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温を行い、温度を180℃、圧力を0.3MPaに維持しつつ、エチレンオキサイド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。
さらに、反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒を濾別し、b−1−2を得た。
触媒に対するアルカリ添加量を調節することにより、b−1−2のナロー率を33質量%とした。
【0114】
(製造例2)b−1−3の合成
P&G社製の「CO−1270」224.4gと、30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次に温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを攪拌しながら酸化エチレン(ガス状)176gとプロピレンオキサイド116gを、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコールの液中に徐々に加えて反応させた。次に酸化エチレン(ガス状)440gを導入し、さらに反応させた。
添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応の酸化エチレンとプロピレンオキサイドを留去した。次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、b−1−3を得た。
【0115】
(評価方法)
<菌移り抑制効果A>
洗濯水として、成人男性4名が10分間ずつ入浴した風呂の残り湯(41℃、160L)の、入浴翌日のものを用いた。実施例1〜15、比較例1〜10(漂白剤組成物)については、洗剤(JAFET標準洗剤、繊維製品新機能評価協議会指定洗剤)1.2gと、各例の液体漂白性組成物0.6gとを、25℃に調整した残り湯900mLに添加して、洗浄液とした。実施例16〜26、比較例11〜18(洗剤組成物)については、各例の液体漂白性組成物0.6gを、25℃に調整した残り湯900mLに添加して、洗浄液とした。予めアルコール消毒したTerg−O−Tometer(上島製作所、洗浄力測定機MS−8220)を使用し、下記の手順で被洗濯物を洗濯し、試験布への菌移り抑制効果を評価した。
被洗濯物として滅菌済み3cm角のかなきん3号3枚(試験布)と、成人男性の1日着用靴下のつま先側から10cm分を3cm角で切り取った物(実汚垢布)2枚と、滅菌したメリヤス布を入れ、これを浴比(洗浄水/被洗濯物で表される質量比)20倍で、120rpm、25℃の条件下で洗浄した。被洗濯物の質量は、試験布、実汚垢布及びメリヤス布の合計である。
次いで1分間脱水し、900mLの25℃の水道水で2分間すすぎを行い、1分間脱水した。
脱水後、試験布に生菌数用フードスタンプ(日水製薬株式会社製)を押し付けて、37℃で24時間培養後、コロニー数を計測した。このコロニー数を下記評価基準に分類して評価した。
【0116】
≪評価基準≫
◎:0〜9個(ごくわずかに汚染)
○:10〜29個(軽度に汚染)
△:30〜99個(中程度に汚染)
×:100個以上(重度に汚染)
【0117】
<菌移り抑制効果B>
洗濯水として、水道環境が良くない地域の一般家庭水道蛇口から出た水道水を想定し、黄色ブドウ球菌(菌数1×10
6CFU/mL)及び有機物として、蛋白質(ゼラチン:新田ゼラチン(株)製、商品名「ゼラチンAPH−100」)10μg/mL添加したものを用いた。実施例1〜15、比較例1〜10(漂白剤組成物)については、洗剤(JAFET標準洗剤、繊維製品新機能評価協議会指定洗剤)1.2gと、各例の液体漂白性組成物0.6gとを、25℃に調整した洗濯水900mLに添加して、洗浄液とした。実施例16〜26、比較例11〜18(洗剤組成物)については、各例の液体漂白性組成物0.6gを、25℃に調整した洗濯水900mLに添加して、洗浄液とした。予めアルコール消毒したTerg−O−Tometer(上島製作所製、洗浄力測定機MS−8220)を使用し、下記の手順で被洗濯物を洗濯し、試験布への菌移り抑制効果を評価した。
被洗濯物として滅菌済み3cm角のかなきん3号3枚(試験布)と、成人男性の1日着用靴下のつま先側から10cm分を3cm角で切り取った物(実汚垢布)2枚と、滅菌したメリヤス布を入れ、これを浴比(洗浄水/被洗濯物で表される質量比)20倍で、120rpm、25℃の条件下で洗浄した。被洗濯物の質量は、試験布、実汚垢布及びメリヤス布の合計である。
次いで1分間脱水し、900mLの25℃の水道水で2分間すすぎを行い、1分間脱水した。
脱水後、試験布に生菌数用フードスタンプ(日水製薬株式会社製)を押し付けて、37℃で24時間培養後、コロニー数を計測した。このコロニー数を下記評価基準に分類して評価した。
【0118】
≪評価基準≫
◎:0〜9個(ごくわずかに汚染)
○:10〜29個(軽度に汚染)
△:30〜99個(中程度に汚染)
×:100個以上(重度に汚染)
【0119】
<洗浄液に対する殺菌効果>
「<菌移り抑制効果A>」の評価に用いた風呂の残り湯及び洗浄後の洗浄液の菌数を測定し殺菌効果を評価した。
風呂の残り湯又は洗浄後の洗浄液1mLを、予め調製した50℃の標準寒天培地(日本製薬株式会社製)に混釈し、37℃で24時間培養後、コロニー数を測定し、生菌数(個/mL)を求めた。求めた生菌数から、下記(i)式により減数値を求めた。
【0120】
減数値=log
10(風呂の残り湯の生菌数)−log
10(洗浄後の洗浄液の生菌数) ・・・(i)
【0121】
求めた減数値を下記評価基準に分類して、洗浄液に対する殺菌効果を評価した。
≪評価基準≫
A:減数値が2.0以上
B:減少値が1.0以上、2.0未満
C:減少値が0超、1.0未満
D:減少値が0以下
【0122】
<抗菌効果>
実施例1〜15、比較例1〜10(漂白剤組成物)については、洗剤(JAFET標準洗剤、繊維製品新機能評価協議会指定洗剤)1.2gと、各例の液体漂白性組成物0.6gとを水道水900mLに添加して、洗浄液とした。実施例16〜26、比較例11〜18(洗剤組成物)については、各例の液体漂白性組成物0.6gを水道水900mLに添加して、洗浄液とした。
予めアルコール消毒したU.S.Testing社(米国)のTerg−O−Tometerを使用し、(120rpm、25℃)、滅菌済みの3cm角かなきん3号0.4gを滅菌したメリヤス布に入れ、浴比を20倍とし、120rpm、25℃の条件下で洗浄した。10分間洗浄し、次いで1分間脱水し、水道水900mLで2分間すすぎを行い、1分間脱水した。洗浄した3cm角かなきん3号をクリーンベンチで、24時間、室温にて乾燥し、試験布とした。
この試験布について、JIS L1902(繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果)の定量試験法(菌液吸収法)に準じ、下記(ii)式により静菌活性値を求めた。
【0123】
静菌活性値=(Mb−Ma)−(Mc−Md) ・・・(ii)
Ma:試験菌接種直後の標準布の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mb:試験菌接種後の標準布の35℃、18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mc:試験菌接種直後の試験布の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Md:試験菌接種後の試験布の35℃、18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数の平均値
標準布:未洗浄の滅菌済みの3cm角かなきん3号
試験菌:黄色ブドウ球菌
【0124】
(ii)式により求めた静菌活性値を下記評価基準に分類し、抗菌効果を評価した。
≪評価基準≫
A:静菌活性値が2.5超
B:静菌活性値が2.0〜2.5
C:静菌活性値が1.0以上、2.0未満
D:静菌活性値が0超、1.0未満
E:静菌活性値が0以下
【0125】
<保存安定性>
各例の液体漂白性組成物500mLをプラスチック製の容器に充填し、キャップを硬く閉め、50℃の恒温室に1ヶ月間放置し、容器の膨らみを、下記評価基準で目視判定した。
保存安定性の試験に用いた容器について、
図1を用いて説明する。
図1は、保存安定性の試験に用いた容器1の正面図である。
図1に示すように容器1は、容器本体3と、容器本体3の口部に螺合されたノズルキャップ部5と、ノズルキャップ部5に着脱自在に螺合された計量キャップ2とで概略構成されたものである。容器本体3は、平面視略円形の底部3bと、底部3bの周縁に立設された胴部3aとからなる有底円筒状のものである。底部3bは、その中央部Qが、容器本体3内部に向かって窪んだ形状とされている。
計量キャップ2は、キャップ本体2aとその下端側に形成されたネジ部2bとからなる一重構造の内嵌合式のキャップである。ノズルキャップ部5は図示されていないノズル部とキャップ本体とを備え、前記キャップ本体の上端側に、ネジ部2bが螺合するネジ部が形成された外嵌合式のものである。
【0126】
容器本体3は、高密度ポリエチレン(三井化学株式会社製)97質量%と、青色顔料(PE−MAZ MA1058ブルー、大日精化工業株式会社製)3質量%とからなり、胴部3aの平均肉厚が1.0mm、底部3bのくぼみ深さD=5.0mmとされたものである。ノズルキャップ5の材質は、ポリプロピレン(三井化学株式会社製)98.0質量%、黄色顔料(PP−M AZ MA 1732 イエロー、大日精化工業株式会社製)2.0質量%であり、計量キャップ2は、ポリプロピレン(三井化学株式会社製)100質量%である。この容器1は、満注量が575mLとされたものである。
【0127】
≪評価基準≫
◎:膨らみは認められない
○:胴部がわずかに膨らむ
△:胴部が明らかに膨らみ触るとぐらつく
×:底部が出て容器が傾く
【0128】
(実施例1〜26、比較例1〜18)
表7〜9の組成に従い、水以外の各原料(未配合原料がある場合、その原料は配合しない。)をビーカに投入し、全体量(全体量を100質量%とする。)が93質量%になるように水を入れて撹拌した。その後、pHを調整し、全体量が100質量%になるように残りの水を加えてバランスし、各例の液体漂白性組成物を製造した。
pH測定は、液体漂白性組成物を25℃に調整し、ガラス電極式pHメータ(製品名:ホリバF−22、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定方法は、JIS K3362−1998に準拠して行った。
得られた各例の漂白性組成物について、菌移り抑制効果、洗浄液に対する殺菌効果、抗菌効果及び保存安定性を評価し、その結果を表7〜9に示す。
ただし、実施例10、20、26は、参考例である。
【0129】
【表7】
【0130】
【表8】
【0131】
【表9】
【0132】
本発明を適用した実施例1〜26は、いずれも洗浄液に対する殺菌効果が「C」又は「D」であった。一方、本発明を適用していない比較例1〜18は、いずれも洗浄液に対する殺菌効果が「B」〜「D」であった。即ち、本発明を適用するか否かにかかわらず、洗浄液に対する殺菌力は、ほぼ同等であった。
本発明を適用した実施例1〜26は、いずれも菌移り抑制効果、抗菌効果が「○」又は「◎」であった。これに対し、(A)成分の含有量を0.1質量%未満とした比較例1、2、11、15〜18は、菌移り抑制効果が劣るものであった。また、(B)成分を1質量%未満とした比較例8は、菌移り抑制効果が劣るものであった。また、(C)成分に換えて比較品を用いた比較例9、14、(C)成分の含有量を0.1質量%未満又は5質量%超とした比較例3〜5、9、12、18は、菌移り抑制効果が劣るものであった。また、(D)成分の含有量を0.001質量%未満、又は2質量%超とした比較例4、6、7、10、13、18は、いずれも、菌移り抑制効果が低いものであった。
以上の結果から、本発明の液体漂白性組成物は、(A)〜(D)成分を備えることで、被洗濯物である衣料への微生物の付着を抑制すると共に、優れた抗菌効果を発揮できることが判った。