特許第5707404号(P5707404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5707404超高温プラスチック・チップパッケージ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707404
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】超高温プラスチック・チップパッケージ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/00 20060101AFI20150409BHJP
   C08G 63/60 20060101ALI20150409BHJP
   B29C 71/02 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   C08J7/00 301
   C08J7/00CER
   C08J7/00CEZ
   C08G63/60
   B29C71/02
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-525517(P2012-525517)
(86)(22)【出願日】2009年8月20日
(65)【公表番号】特表2013-502482(P2013-502482A)
(43)【公表日】2013年1月24日
(86)【国際出願番号】US2009054451
(87)【国際公開番号】WO2011022010
(87)【国際公開日】20110224
【審査請求日】2012年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】514197898
【氏名又は名称】アイキューエルピー,リミティッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】ツィムマーマン,マイケル
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−195029(JP,A)
【文献】 特開平05−287080(JP,A)
【文献】 特開平11−291350(JP,A)
【文献】 特開平11−291329(JP,A)
【文献】 特表2006−511643(JP,A)
【文献】 米国特許第03890283(US,A)
【文献】 特表2006−522466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 7/00− 7/02,7/12−7/18
C08J 5/00− 5/02,5/12−5/22
C08G63/00−64/42
B29C71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形されたポリマー材料の第1の融点を上昇させる方法であって、以下からなる:
第1の融点を有する第1のポリマー材料を所定の形状に成形し;
当該成形形状における第1のポリマー材料の温度を、毎時0.1℃〜10℃の第1の速度で第1の温度まで昇温し、第1の融点より高い第2の融点を有する第2のポリマー材料を形成し;
ここで、前記第1のポリマー材料は、第1の長さを有する少なくとも1個のポリマー鎖を有し、第2のポリマー材料は、第1のポリマー材料の第1の長さより長い第2の長さを有する少なくとも1個のポリマー鎖を有し;
前記第1のポリマー材料が液晶ポリマーであり;および
前記第1のポリマー材料が、ハイドロキノン、ビスフェノール、イソフタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸および2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から選ばれる少なくとも1つのモノマー単位からなり;
前記第1の温度が第1の融点以下10℃〜30℃で、少なくとも1時間保持され、中間体ポリマー材料を形成し、前記方法が更に前記中間体ポリマーの温度を毎時0.1℃〜10℃の第2の昇温速度で第2の融点以下40℃〜50℃の第2の温度に昇温し、第2のポリマー材料を形成する
【請求項2】
前記第1の温度が、第1の融点より高い請求項1の方法。
【請求項3】
前記第2の融点が340℃以上である請求項1の方法。
【請求項4】
前記第2の融点が355℃以上である請求項1の方法。
【請求項5】
前記第2の融点が390℃以上である請求項1の方法。
【請求項6】
前記第2の融点が少なくとも400℃である請求項1の方法。
【請求項7】
前記第2の融点が少なくとも420℃である請求項1の方法。
【請求項8】
前記第2の融点が前記第1の融点より少なくとも100℃高い、請求項1の方法。
【請求項9】
前記第1のポリマー材料が、熱可塑性または熱硬化性材料である、請求項1の方法。
【請求項10】
前記第1のポリマー材料が、−COOH,−OH,および−CHCOOHから選ばれる少なくとも1つの末端基を有する、請求項1の方法。
【請求項11】
前記第1のポリマー材料を合成する工程をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかの方法によって作られた液晶ポリマー。
【請求項13】
分子量が30,000g/モル以上を有する請求項12の材料。
【請求項14】
ポリマー当たり少なくとも平均200モノマー単位を有する請求項12の材料。
【請求項15】
回路パッケージとして構成された請求項12の材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
国家支援研究または開発に関する陳述
(適用なし)
【背景技術】
【0002】
本発明は、集積回路用の回路パッケージ、もっと詳しくは高融点を有するポリマーを含む回路パッケージに関する。
液晶ポリマーの如き種々のプラスチックが、消費者用製品、医療用機器および電子集積回路用のパッケージを含む、広範の製造製品に使用されている。多くの例において、プラスチックは1またはそれ以上の製品の工程中または製品の使用中のような製造後において、加熱される。例えば、多くの製品は射出成形によって製造され、それはプラスチックの軟化のために加熱し、その軟化されたプラスチックを金型に射出することを含む。そのプラスチックは金型の形状を呈し、その後の製造工程、およびできた製品の有用な寿命の間ずっとその形状を保持する。ある製造工程及び製品は、従来のプラスチックの融点よりも高い融点を有するプラスチックの使用を介して改良される。他の製造工程及び製品は、プラスチックがある形状に成形された後で、プラスチックのオリジナルの融点より高い温度を必要とする引き続く工程の前に、その融点が引き上げられたプラスチックを使用することによって利益がもたらされる。
【0003】
例えば、操作中に、マイクロエレクトロニクス回路パッケージにおける多くの機器は、高出力無線送信機に用いられるある種の集積回路の如くに、大量の熱を放散する。そのような集積回路において、半田がマイクロエレクトロニクス機器(「ダイス」)を金属その他の熱伝導性部品に(「フランジ」や「リードフレーム」を搭載するように)取付けるために用いられ、ダイスから金属部品への熱伝導が最大化される。一般的な用途において、金属部品はヒートシンクに取り付けられ、天然空気対流によるが如くに空気流を強制したり冷媒を循環したりして冷却される。
【0004】
金−錫(AuSn)および金−シリコン(AuSi)を含む種々の半田が、回路パッケージの金属部品にダイスを取り付けるために用いられる。ダイスが金属部品に取り付けられるときに、半田は、従来のプラスチックの融点を超える、AuSnに対して280〜390℃、或いはAuSiに対して390〜430℃の如き温度に加熱される。例えば、多くの既存のプラスチックは約300℃以下で溶融し、多くの液晶ポリマーは330℃近辺またはそれより少し高い温度で溶融する。
結果的に、既存のプラスチックは、既存の液晶ポリマーを含めて集積回路には使用できない。
その代わりに、メーカーは一般的にセラミック金属を使用する。しかし乍、セラミックスは他の集積回路の部品にろう付けされねばならない。ろう付けは、約800℃の高温プロセスで、集積回路において平坦性欠落(out−of−flatness)の如き機械的問題を起こす。さらに、セラミックスが関与する製造工程は高価である。
【0005】
一方で、プラスチックは比較的安価で、ある種の液晶ポリマーは優れた誘電特性およびその他特徴を有し、電子回路パッケージにおいては所望される。不運にも既存の液晶ポリマーおよびその他のプラスチックの比較的低い融点は、そのようなパッケージ用途において実用を妨げる。
【発明の概要】
【0006】
高融点のプラスチック材料およびそのようなプラスチック材料の製造方法が開示される。当該プラスチック材料は、高分子量ポリマーを含む。当該方法は、初期の重合工程が完了した後、そのプラスチック材料の重合を継続、または開始することによって、ポリマーの分子量を増加させる。初期重合は一般に液状で起こり、中間体の固体材料をもたらす(その程度において、液晶ポリマーの如きプラスチックは「固体」である)。如何なる場合も、初期重合によって作られた材料は(ここでは「中間体材料」と呼ばれる)、初期融点を有する。初期重合の後で、中間体材料は加熱され、さらに(二次的)重合が進行し、それによって材料のポリマー鎖を伸ばす。既に生成したポリマー鎖は長いポリマー鎖を形成するために互いに結合する。これらの長鎖のポリマー鎖は高分子量を有し、生じた最終材料は、中間体材料よりも高い融点を有する。例えば、高いまたは低い融点が達成されるけれども、約400℃超の融点を有するプラスチック材料は、開示された方法によって作られる。
【0007】
開示されたプラスチック材料は、マイクロ電子回路用のパッケージ及びその他の有用な製品の作製に使用され得る。例えば、初期重合の前、後または最中に、材料が射出成形されて、金属フランジ上にフレームを形成する。フレームが硬化した後で、ここに開示されたように加熱され、さらに重合を進行させて、その融点を上げる。続いて、フレームを溶融せずに、ダイスがAuSiの如き半田を使ってフランジに取付けられる。
本発明のこれら及びその他の特徴、利点、態様および形態は、以下の発明の詳細な記載に基づいて当業者により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、以下の図面と一緒に発明の詳細な記載を参照してより十分に理解されるであろう。
【0009】
図1】公知技術に係るポリマー分子の構造式である。
図2図1のポリマー分子を合成するに用いられるモノマー分子の構造式である。
図3】本発明の1つの態様による二次重合工程の1部の間に、温度グラフが上昇する。
図4図3の二次重合工程の別の部分の間に温度グラフが上昇する。
図5】本発明の1つの態様により作られた液晶ポリマーの動的走査熱量計(DSC)のセットである。
図6】本発明の3つの態様によるその他のポリマー分子の合成に用いられた例示ポリマー分子の構造式である。
図7】本発明の幾つかの態様によるポリマー分子合成に用いられる例示のモノマー単位の構造式である。
図8】本発明の1つの態様により作られた電子回路パッケージの図である。
図9図8の回路パッケージの別の態様の部分断面図である。
図10図8の回路パッケージのさらに別の態様の部分断面図である。
図11A】鍵溝の1つの製造段階の間における鍵溝を示す図9の回路パッケージの断面図である。
図11B】鍵溝の別の製造段階の間における鍵溝を示す図9の回路パッケージの断面図である。
図11C】鍵溝のさらに別の製造段階の間における鍵溝を示す図9の回路パッケージの断面図である。
【発明の詳細な説明】
【0010】
2004年6月7日に出願された米国仮出願番号60/577,530、名称:「超高熱プラスチックパッケージおよび製造方法」は、ここに参照として組み入れられる。
【0011】
ポリマーは、多くの同一の比較的単純な、繰り返しの結合単位に配置された分子によって形成された化合物で、長い、規則的パターンの一般的には鎖を形成する。ポリマー鎖の結合単位は、一般に「モノマー単位」として参照される。図1は、例示ポリマー(例えばポリ塩化ビニル)の構造図である。「モノマー」は、ポリマーの合成に組立ブロックとして用いられる実際の分子である。図2は、ポリ塩化ビニルを合成するに用いられたモノマー(塩素化エテン)の構造図である。幾つかの重合の形体は付加重合、縮重合、反応重合を含み、知られている。
【0012】
熱、ラジカル、または別の触媒は、モノマーを変更する重合中にしばしば用いられる。重合中に、モノマーの電子および/または原子はポリマー鎖の形成のためにモノマーを一緒に結合すべく再配置される。電子および/または原子の再配置のために、ポリマー鎖の結合されたモノマー単位は、構成モノマーと同一ではない。例えば、炭素原子とモノマーの塩化エテン間の二重結合200(図2)は、重合中に破壊され、二重結合からの1つの電子対は、100(図1)で示されたようにモノマー単位を互いに結合するために用いられる。
【0013】
液晶は、液体の幾つかの特性および固体のその他の特性を発揮する材料である。液晶の1つの一般的形体は、液晶ポリマー(LCP)であるが、全ての液晶がポリマーではない。液晶形成材料分子は、「メソゲン」として知られる。液晶のメソゲンは、1つの好ましい方向に配向したメソゲン基の長軸を伴なった、長距離規則度を有する規則的な構造を形成し得る。液晶の液体のような性質は、これらメソゲン構造が容易に互いに流れ去ると云う事実から起こる。固体的性質は、構造自体が滑動が発生したときに邪魔されないことに起因する。
従来の重合工程においては、ポリマーはモノマーから一般的には液体の形体で作られ、そしてポリマー鎖が成長した後に、生じた材料は一般には冷却されて固体状である。
【0014】
ポリマーの分子量はそのポリマーの重合度、すなわち作られたポリマー鎖の長さに依存する。モノマーは一般に比較的分子量が小さいが、ポリマーは一般に数百万までのモノマー単位を含む。こうしてポリマーは一般に高い分子量を有する。ポリマーの融解温度、ガラス転移温度、熱変形温度、柔軟性の如き性質は、ポリマーの分子量に影響される。しかし乍、ポリマー材料の分子全ては、一般に同一の分子量をもたない。すなわち、重合中にある分子は他の分子よりも長くなるまで成長する。ポリマー材料の全ての分子は、必ずしも同じ長さである必要はなく、材料は単一の明確な融解温度を有することはない。その代わりに、材料はその温度が比較的小さな範囲に渡って上昇するにつれて次第に柔らかくなる。
【0015】
従来の重合工程は、著しく高い分子量で、したがって、著しく高い融解温度および他の所望の機械的、電気的性質を有する材料を作製する能力に限界がある。開示された方法はさらに、長鎖分子を重合する。すなわち、ポリマー中のポリマー鎖は、一緒に結合して、長鎖を形成する。これは、然もなくは可能であるものよりも長鎖の、したがって、高分子量、および高融解温度を有する材料をもたらす。例えば、約100℃以上の融解温度の増加が可能である。
【0016】
有意なことに開示の方法は、従来の重合工程のあとで行なう。これは、ここにおいて「二次重合」として呼ばれる。こうして、開示された方法は、液状またはその他の状態のポリマー材料に対して実施するけれども、固体のポリマー材料に対しても実施される。
【0017】
1つの例示の方法において、図3および4に2つのグラフで説明されるように、初期融解温度(TM1)を有するポリマー材料は、さらに(二次的に)重合してその融解温度をTM2に高める。その材料の温度(従来の重合工程のあとで)は、その初期温度Tから増加され、材料の温度が、初期融解温度より約10℃低い第1の温度と、初期融解温度より約30℃低い第2の温度の間になるまで、毎時約0.1℃(R1)〜毎時約10℃(R2)の速度で上昇される。こうして、材料温度は、その材料の時間−温度プロファイルが領域300および302内に留まるように材料温度が領域302内になるまで上昇される。
【0018】
一旦この温度に到達すると、材料の温度は最短約1時間、図4のグラフに示されるように維持される。そうして、材料の温度は、所望の新しい融解温度より約40℃低い、第3温度(T3)と、所望の温度より約50℃低い第4温度(T4)の間になるまで、毎時約0.1℃(R3)〜約10℃(R4)の速度で上昇される。こうして、材料の時間−温度プロファイルが領域400および402内に留まるように、上昇される。1つの態様において、材料の温度は約340℃に上昇される。その他の態様では、温度は少なくとも約355℃及び390℃にそれぞれ上昇される。二次重合中に材料が上昇される最高温度は、ここでは「最終温度」と呼ばれる。
【0019】
図5は、本願開示の方法で調製された例示の液晶ポリマー材料の動的走査熱量計(DSC)のプロットを示す。DSCは、材料転移に伴なう熱の流れにおける変化を測定するに用いられる熱分析技術である。DSC測定は、吸熱及び発熱工程に於ける定性的および定量的の両方のデータを提供する。DSCは一般に、ポリマー材料のガラス転移温度および結晶融点を決定するために用いられる。各プロットのスパイク500は、各々の材料の融点を示す。これら融解温度は、約400℃を超えるが、初期融解温度は約280℃〜約370℃である。
例示のオリジナル材料は、「芳香族ポリエステル」または液晶ポリマーとして知られる材料の仲間の材料を含む。
【0020】
一態様において、オリジナルポリマー鎖の末端は、1つまたはそれ以上の以下の基を含む:COOH,OH,酢酸(図6に示す)。二次重合の1例において、元のポリマー鎖の幾つかの酸末端(COOH)基は、他のポリマー鎖のアセテート末端基と結合し、元のポリマー鎖の他の酸末端基は、さらに別のポリマー鎖上の残存OH基と結合し、大へん長いポリマー鎖を生じる。この実施例において、4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)(またはもっと一般的にp−ヒドロ安息香酸)、ハイドロキノン、ビスフェノール、テレフタル酸および/または2−ヒドキシ−6−ナフトエ酸形体のポリエステルモノマー単位は、好ましくはポリマー鎖に存在する。これらモノマー単位は概略的に図7に示される。一態様では、二次重合が架橋構造を生ずる。
【0021】
本願に開示の方法によって調製された、例示の超高分子量材料は、液晶ポリマー、すなわちHBAモノマー単位含有ポリマーで、二次重合中約390℃の最終温度まで加熱される。そのような材料は、約420℃より大なる融解温度を有する。もう1つの同様に調製された例示の材料は、分子量が約30,000g/molより大である。さらにもう1つの同様に調製された例示の材料は、約25,000psi(172MPaまたは1760kgf/cm)より大なる引張強度を有する。もう1つの同様に調製された例示の材料は、約2%より大なる伸びを示し、また更に別の同様に調製された材料は、約200より大なる繰り返しエステル基を有する。
【0022】
上述の通り、開示されたプラスチック材料は、マイクロ電子回路用のパッケージを作製するのに用いられ得る。図8は、そのようなパッケージ800を示す。フランジ802は、高銅含有量の合金またはその他の適当な材料の如き高熱伝導性の材料でできている。フランジ802は、スロット(凹部)804を含み、それによってフランジは、ボルトによるように機械的にヒートシンク(図示せず)へ取付けられる。
【0023】
誘電フレーム806は開示された二次重合がポリマー材料に施される前にポリマー材料で作られる。フレーム806はフランジ802に射出成形される。ポリマー材料の混合(コンパウンディング)温度および射出成型のための成形温度の両方共、引き続く二次重合工程に用いられる温度より低い。図9及び10は、図8の回路パッケージ800の代わりの態様を部分的に切る取った図である。フランジ802は任意に凹型鍵溝900(図9)または凸型鍵1000(図10)を含み、射出成形中にその鍵溝または鍵へ、またはその周囲にプラスチック材料が射出される。鍵溝900はフランジ802内に図11A〜Cに示したように、シリーズの金型でフランジ802に徐々にスタンピングすることによって形成され得る。鍵1000は、同様に形成される。ポリマー材料はフランジ802に材料の融解温度に上がる前に射出成形されるので、従来温度、工程及び装置が射出成形工程に使用できる。
【0024】
フレーム806がフランジ802に射出成形されたあとで、開示に係る二次重合工程が上述のように行なわれ、フレーム806のプラスチック材料の融解温度は、プラスチック材料の末端使用温度が混合および成形温度より高くなるように上げられる。フレーム806の融解温度が昇温されたのちに、ダイス808(図8)がフランジ802のダイス取り付け領域812に半田810で取付けられた。フレーム806の融解温度が昇温されたので、フレーム806は、損傷なしにダイス808がフランジ802に半田付けされるときに、曝される温度に耐え得る。ワイヤ814は、複数のリード816にダイス808を電気的に接続する。
【0025】
のちに、蓋(図示せず)が、超音波溶接、エポキシ接着、その他の適当な方法でフレーム806に取付けられる。フランジ802、フレーム806、及び蓋はダイス808のために密封空隙を与える。空隙は、空にされるか、空気、不活性ガス、エポキシその他の適当な材料で充填される。フランジ802、フレーム806、及び蓋は、湿気、ガス、及びその他の汚染物の空隙への侵入を防ぐ。
【0026】
幾つかの回路パッケージは、フランジを含まない。これらのパッケージでは、フレームはリードフレームに成形され、ダイスは電気的に(そして、時には機械的および/または熱的に)リードフレームに接続される。二次重合の上記の方法は、そのようなフランジのないパッケージ及びその他の回路パッケージに適用される。簡略化のために、フレームが成形される回路パッケージにおける金属またはその他の材料は、今後はフランジと呼ぶ。さらに、回路パッケージに関して記載された二次重合工程は、他の部品に成形された部品を含む製造の他の成形品に適用され得る。
【0027】
熱可塑性プラスチックは、加熱によって繰り返し軟化され、および冷却による繰り返し硬化される材料である。このように、熱可塑性プラスチックは材料の再加熱によって再成形される。対照的に熱硬化性プラスチックは、熱、触媒、紫外線等の作用によって化学反応(「架橋」)が進行し、または進行した材料で、比較的不溶融性の状態になる材料である。一旦架橋されれば、熱硬化材料は未架橋の状態には戻ることができない。こうして、熱硬化材料は、軟化、または再成形を繰り返すことはできない。ここに開示された方法は、熱可塑性および熱硬化性材料に適用できる。例えば、回路パッケージのフレームは熱可塑性プラスチックまたは熱硬化性プラスチックから製作し得る。こうして、二次重合工程は既に成形され、固化した熱可塑性プラスチック材料に適用され、非常に高い融解温度を有する高分子量の熱可塑性プラスチックをもたらす。二次重合工程はまた、再び溶融しない熱硬化材料にも適用し得る。
【0028】
本発明は、上記の例示の態様を通じて記述されたが、ここに開示された発明のコンセプトから離脱しなければ、説明された態様の変更および変動をし得ることを当業者は理解するであろう。例えば、回路パッケージの製造の場合に、射出成形したあと、二次重合が行われるように記載されているが、二次重合は材料が射出成形される前にも、(回路パッケージ及びその他の成形品の製造中に)材料に施し得る。それ以上に、好ましい実施態様は種々の例示のモノマー、出発ポリマー、温度、その昇温速度および温度保持時間に関して記載されるところ、当業者はこれらの態様の置き換えが可能であると認識するであろう。このように、本発明は、添付した請求項の範囲および精神によって限定する場合を除いて、限定されたものとして見るべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C