特許第5707446号(P5707446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707446
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】液流式染色装置
(51)【国際特許分類】
   D06B 3/28 20060101AFI20150409BHJP
   D06P 7/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   D06B3/28
   D06P7/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-119666(P2013-119666)
(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公開番号】特開2014-237902(P2014-237902A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2014年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
(72)【発明者】
【氏名】五反田 一志
(72)【発明者】
【氏名】若生 寛志
(72)【発明者】
【氏名】中根 幸治
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−105842(JP,A)
【文献】 特開昭62−215066(JP,A)
【文献】 特開2001−164455(JP,A)
【文献】 特開2008−280666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B1/00〜23/30
D06P1/00〜 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛を収容する滞留槽と、滞留槽に接続される第一端及び第二端を有する管路であって、滞留槽の内部に繋がり且つ滞留槽の内部とともに環状の循環路を形成する管路、及び該管路の第一端側において滞留槽に取り付けられる噴射部を有する移送系と、前記噴射部に液体を供給する給液系と、循環路と給液系とに繋がる回収路、及び該回収路から分岐し且つ循環路内の液体を循環路外に排出可能な状態と循環路内の液体を循環路外に排出不能な状態とに切替可能な排出路を有する排液系と、循環路に少なくとも染料及び還元剤を投入する投入系と、循環路に水を供給する給水系と、給液系から分岐し且つ前記回収路に繋がる測定用分岐路、及び該測定用分岐路内の液体の酸化還元電位を測定する電位測定器を有する測定ユニットとを備えることを特徴とする液流式染色装置。
【請求項2】
前記給水系が循環路に供給する水の供給条件を調整可能な給水調整系を備える請求項1に記載の液流式染色装置。
【請求項3】
前記測定ユニットの電位測定器によって測定された酸化還元電位を基に、投入系による還元剤の投入条件及び給水調整系による水の供給条件の少なくとも何れか一方を制御する制御部を備える請求項2に記載の液流式染色装置。
【請求項4】
前記制御部は、給水調整系による水の給水条件を連続的に又は所定の時間間隔で繰り返し調整するように構成される請求項3に記載の液流式染色装置。
【請求項5】
前記測定ユニットは、循環路内の液体のpHを測定するpH測定器を有する請求項1乃至4の何れか1項に記載の液流式染色装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛を染色する液流式染色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、布帛を染色する液流式染色装置として、例えば、布帛を収容する滞留槽と、滞留槽の内部に繋がる管路であって、滞留槽の内部とともに環状の循環路を形成する管路を有する移送系と、循環路に液体を供給する給液系と、循環路内の液体を滞留槽外に排出する排液系と、滞留槽に染料や助剤、還元剤等を投入する投入系と、滞留槽内に水を供給する給水系とを備えているものが提供されている。
【0003】
この種の液流式染色装置では、循環路に布帛とともに染料や助剤を含む液体を循環させることで、当該布帛を染色できるようになっている。より具体的に説明すると、例えば、この種の液流式染色装置を用いて、セルロース系繊維からなる布帛をスレン染料で染色する場合、まず、給水系から滞留槽内に給水し、循環路内に液体(水)を循環させる。そして、長尺な布帛を循環路(滞留槽及び管路)に通して、該布帛の両端部同士を結束する。
【0004】
これにより、長尺な布帛が循環路に収容される。そして、循環路で液体(水)と布帛を循環させながら、投入系から循環路に助剤を投入し、さらに、水に分散された染料を投入する。そして、助剤と染料とが循環路内の液体に均一に分散している状態にする。
【0005】
このようにした後に、投入系から還元剤を投入して循環路内の液体を還元する。これにより、水に分散している染料が溶解して布帛に染着する。
【0006】
そして、循環路内の液体を加熱した後に、給水系で循環路に水を供給する。これにより、布帛に染着された染料が酸化する。従って、染料が布帛に定着(固着)し、布帛を染色できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−105842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の液流式染色装置では、循環路内の染料を含んだ液体の状態(循環路内の液体の還元状態や、酸化状態等)を把握することができないため、作業者の経験に基づいて助剤や還元剤の投入や、給水系による水の供給が行われている。そのため、適正な条件で染料を布帛に染着させることや、水を適正な条件で循環路に供給することができないために均一な酸化ができず、染色後の布帛に色むらが生じることがあった。
【0009】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、色むらが生じないように布帛を染色することができる液流式染色装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液流式染色装置は、布帛を収容する滞留槽と、滞留槽に接続される第一端及び第二端を有する管路であって、滞留槽の内部に繋がり且つ滞留槽の内部とともに環状の循環路を形成する管路、及び該管路の第一端側において滞留槽に取り付けられる噴射部を有する移送系と、前記噴射部に液体を供給する給液系と、循環路と給液系とに繋がる回収路、及び該回収路から分岐し且つ循環路内の液体を循環路外に排出可能な状態と循環路内の液体を循環路外に排出不能な状態とに切替可能な排出路を有する排液系と、循環路に少なくとも染料及び還元剤を投入する投入系と、循環路に水を供給する給水系と、給液系から分岐し且つ前記回収路に繋がる測定用分岐路、及び該測定用分岐路内の液体の酸化還元電位を測定する電位測定器を有する測定ユニットとを備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成の液流式染色装置で布帛を染色するには、まず、給水系から循環路内に給水し、給液系により液体(水)を循環させ、長尺な布帛を循環路(滞留槽及び管路)に通して、該布帛の両端部同士を結束する。これにより、長尺な布帛が循環路に収容される。そして、循環路で液体(水)と布帛を循環させながら、投入系から循環路に染料を投入し、該染料を循環路内の液体に均一に分散させる。
【0012】
さらに、投入系から還元剤を投入して循環路内の液体を還元する。このようにすると、液体(水)に分散している染料が液体(水)に溶解することで布帛に染着する。
【0013】
上記構成の液流式染色装置では、給液系から滞留槽内に供給される液体の酸化還元電位を電位測定器で測定することができる。そのため、染料を布帛に染着させるにあたり、循環路内の液体の還元状態を確認することができる。従って、染料を適正な条件で布帛に染着させることができる。
【0014】
そして、給水系で循環路に水を供給し、布帛に染着している染料を酸化させる。これにより、染料が布帛に定着(固着)し、布帛が染色される。上記構成の液流式染色装置では、給水系で循環路に水を供給するにあたっても、循環路内の液体の還元状態を確認することができる。従って、水を適正な条件で循環路に供給することができる。
【0015】
また、本発明に係る液流式染色装置の一態様として、前記給水系が循環路に供給する水の供給条件を調整可能な給水調整系を備えるようにしてもよい。
【0016】
このようにすれば、循環路内の液体の還元状態を確認しつつ、給水系から滞留槽内に供給される水の供給条件を給水調整系で調整することができる。従って、循環路に過剰な量の水が供給されることで染料が急激に酸化されたり、循環路に供給される水の量が不足することで染料が十分に酸化されなかったりすることを防止できる。
【0017】
また、本発明に係る液流式染色装置の他態様として、前記測定ユニットの電位測定器によって測定された酸化還元電位を基に、投入系による還元剤の投入条件及び給水調整系による水の供給条件の少なくとも何れか一方を制御する制御部を備えるようにしてもよい。
【0018】
このようにすれば、投入系による還元剤の投入条件及び給水調整系による水の供給条件の少なくとも何れか一方が制御部によって制御されるため、より確実に、還元剤を適正な条件で循環路に投入したり、水を適正な条件で循環路に供給したりすることができる。染料を布帛に染着させるに適した状態にすることや、布帛に染料を定着させるに適した状態での水の供給をより確実に行うことができる。
【0019】
そして、本発明に係る液流式染色装置の別の態様として、前記制御部は、給水調整系による水の給水条件を連続的に又は所定の時間間隔で繰り返すように構成されていてもよい。
【0020】
このようにすれば、循環路に供給する水の給水条件を所定の時間間隔で繰り返し調整することができるため、染料が急激に酸化されたり、十分に酸化されなかったりすることをより確実に防止できる。
【0021】
また、本発明に係る液流式染色装置のさらに別の態様として、前記測定ユニットは、循環路内の液体のpHを測定するpH測定器を有するようにしてもよい。
【0022】
このようにすれば、滞留槽に循環させている液体の酸化還元電位に加えてpHも測定することができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明の液流式染色装置によれば、色むらが生じないように布帛を染色することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る液流式染色装置の全体概要図である。
図2図2は、同実施形態に係る液流式染色装置の説明図であって、布帛を収容した染色層内に水を供給した状態の説明図である。
図3図3は、同実施形態に係る液流式染色装置の説明図であって、投入系から循環系統に染料を投入している状態の説明図である。
図4図4は、同実施形態に係る液流式染色装置の説明図であって、投入系から還元剤を投入している状態の説明図である。
図5図5は、同実施形態に係る液流式染色装置の説明図であって、給水系で循環系統に水を供給している状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る液流式染色装置について、添付図面を参照しつつ説明を行う。
【0026】
本実施形態に係る液流式染色装置は、図1に示すように、布帛(本実施形態では、綿や麻等のセルロース系繊維からなる布帛)Tを収容する滞留槽1と、滞留槽1の内部に繋がる管路20であって、滞留槽1の内部とともに環状の循環路(採番しない)を形成する管路20を有する移送系2と、該循環路に液体を供給する給液系3と、循環路内の液体を循環路外に排出する排液系4と、循環路に少なくとも染料及び還元剤を投入する投入系5と、循環路に水を供給する給水系6と、給液系から循環路に供給される液体の酸化還元電位を測定する電位測定器70を有する測定ユニット7とを備えている。また、液流式染色装置は、前記給水系が循環路に供給する水の供給条件を調整可能な給水調整系8を備えている。
【0027】
そして、液流式染色装置は、前記測定ユニット7の電位測定器70によって測定された酸化還元電位を基に、投入系5による還元剤の投入条件(例えば、還元剤の種類、投入する量、投入するタイミング等)及び給水調整系8による水の供給条件(例えば、供給する水の流速、流量、水を供給するタイミング等)の少なくとも何れか一方を制御する制御部9を備えている。
【0028】
さらに、液流式染色装置は、給液系3の途中位置に設けられる熱交換器Eを備えている。なお、本実施形態に係る液流式染色装置では、給液系3と排液系4とが流体的に接続されていることを前提として以下の説明を行うこととする。
【0029】
滞留槽1は、長尺な滞留槽本体10を有する。また、滞留槽本体10は、長手方向に第一端と該第一端とは反対側の第二端とを有する。
【0030】
移送系2は、管路20内に液体を噴射する噴射部21を有する。管路20は、長尺に形成されており、長手方向に第一端と該第一端とは反対側の第二端とを有する。そして、管路20の第一端は、滞留槽本体10の第一端側に接続され、管路20の第二端は、滞留槽本体10の第二端側に接続されている。
【0031】
噴射部21は、管路20の第一端側に取り付けられている。また、噴射部21には、後述する給液系3の給液路30が接続されている。そのため、噴射部21は、給液路30から流れ込む液体を管路20の第一端側に噴射することできるようになっている。これにより、液流式染色装置では、循環路内に液体を循環させることができ、また、液体の流れによって、布帛Tを循環路内で循環させることができるようになっている。
【0032】
給液系3は、移送系2(移送系2の噴射部21)と排液系4とに繋がる給液路30と、該給液路30と排液系4(後述する排液系4の排液路)とに繋がるメインポンプ31とを有する。給液路30には、熱交換器Eが接続されている。そして、メインポンプ31は、排液系4を流れる液体を給液路30に送り出すようになっている。
【0033】
排液系4は、循環路と給液系3とに繋がる回収路40と、該回収路40から分岐する排液路41とを有する。
【0034】
回収路40は、給液系3のメインポンプ31に繋がっている。そのため、排液系4は、回収路40からメインポンプ31に液体を流すことによって、循環路から排出された液体を循環路に再び供給できるようになっている。
【0035】
排液路41は、液流式染色装置外に液体を排出するようになっている。より具体的に説明すると、排液路41は、循環路よりも下方側から循環路内の液体を排出するようになっている。そのため、排液系4は、排液路41に循環路内の液体を流すことによって、循環路(滞留槽1)内の液面を調整することができるようになっている。
【0036】
投入系5は、給液系3(給液系3の給液路30)に繋がる取液路50と、該取液路50に繋がる投入槽51と、該投入槽51と排液系4(排液系4の回収路40)に繋がる注入路52とを有する。また、投入系5は、注入路52の途中位置に設けられる注入ポンプ53を有する。なお、投入系5は、染料や、還元剤に加えて、助剤や、酸化剤を循環路に投入できるようになっている。
【0037】
給水系6は、給水源(図示しない)の水を給水調整系8に送り込む給水ポンプ60を有する。
【0038】
測定ユニット7は、循環路に供給される液体のpHを測定するpH測定器71をさらに有する。また、測定ユニット7は、給液系3の給液路30と、排液系4の回収路40とに繋がる測定用分岐路72を有する。電位測定器70は、測定用分岐路72を流れる液体の酸化還元電位を測定するようになっている。そして、pH測定器71は、測定養分岐路を流れる液体のpHを測定するようになっている。
【0039】
給水調整系8は、排液系4の回収路40に繋がる給水路80と、給水系6から送り込まれる水の流量を調節する調節弁81(本実施形態では、二つの調節弁81a,81b)とを有する。
【0040】
制御部9は、前記測定ユニット7の電位測定器70によって測定された酸化還元電位を基に、投入系5による助剤の投入条件(例えば、助剤の種類、投入する量、投入するタイミング等)も制御するように構成されている。そして、制御部9は、給水調整系8による水の給水条件を所定の時間間隔で繰り返して調整するように構成されている。より具体的に説明すると、制御部9は、測定ユニット7の電位測定器70が計測した酸化還元電位を基にして各調節弁81a,81bを制御するようになっている。また、制御部は、所定の時間間隔毎に各調節弁を制御するようになっている。これにより、制御部9は、測定ユニット7の電位測定器70が計測した酸化還元電位を基に給水系6が循環路に供給する水の供給条件を所定の時間間隔で繰り返し調整するようになっている。
【0041】
熱交換器Eは、給液系3の途中位置に設けられている。そのため、液流式染色装置は、循環路に供給される液体を熱交換器Eで加熱冷却可能に構成されている。
【0042】
本実施形態に係る液流式染色装置は、以上の通りである。続いて、本実施形態に係る液流式染色装置の動作について、添付図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、スレン染料によって、セルロース繊維で構成される布帛Tの染色を行うことを前提に以下の説明を行う。
【0043】
液流式染色装置で布帛Tを染色するには、図2に示すように、まず、循環路(滞留槽1及び移送系2の管路20)に液体(水)R1を給水する。そして、液体(水)R1を循環させながら長尺な布帛Tを循環路(滞留槽1及び移送系2の管路20)に通して、該布帛Tの両端部同士を結束する。これにより、長尺な布帛Tが循環路に収容される。
【0044】
そして、図3に示すように、投入系5から循環路に助剤を投入する。さらに、投入系5から循環路に染料C(水に分散させた染料C)を投入する。そして、助剤と染料Cとを循環路内の液体(水)R1に均一に分散させる。(以下、水に分散させた染料等で均一な状態とした液体を染料浴R2とする)。なお、このとき、制御部9で助剤の投入条件を制御したうえで、循環路に助剤を投入するようにしてもよい。
【0045】
そして、制御部9が投入系5による循環路への還元剤Oの投入条件を調整する。より具体的に説明すると、測定ユニット7の電位測定器70で酸化還元電位を測定し、染料浴R2の状態が染料Cを布帛Tに染着させるに適した状態になっていることを確認しながら、制御部9が投入系5による還元剤Oの投入条件を制御し、図4に示すように、投入系5による循環路への還元剤O等の投入が行われる。これにより、還元剤Oが適正な条件で循環路に投入される。なお、測定ユニット7の電位測定器70で酸化還元電位を測定したときに、染料浴R2が十分に還元されていなければ、還元剤Oをさらに投入するようにしてもよい。
【0046】
このようにすると、染料浴R2の染料Cは、投入された還元剤Oによって溶解され、該染料Cが布帛Tに染着する(以下、染料浴R2を還元剤Oによって還元させた液体を染浴R3とする)。なお、循環路に投入する還元剤Oとしては、ハイドロサルファイト等を採用することができ、循環路に染料Cを投入した後に還元剤Oとしてハイドロサルファイトを投入したり、循環路に染料Cを投入し、さらに、苛性ソーダを投入した後に、還元剤Oとしてハイドロサルファイトを投入したりしてもよい。
【0047】
さらに、熱交換器Eによって、循環路内の液体を加熱し、給水系による循環路内への給水に移る。そして、制御部9が給液系3による循環路への水の供給条件を調整する。より具体的に説明すると、測定ユニット7の電位測定器70で酸化還元電位を測定し、染浴R3の状態が染料Cを布帛Tに固着させるに適した状態になっていることを確認したうえで、給液系3による循環路への水の供給条件を調整し、図5に示すように、給水系6による循環路への水Wの供給を行う。これにより、水Wが適正な条件で循環路に供給される。
【0048】
さらに、本実施形態では、制御部9が給水系6の循環路内に供給する水Wの供給条件を所定の時間間隔で繰り返し調整する。このようにすると、布帛Tに染着された染料Cが除々に酸化されて布帛Tに固着する。これにより、布帛Tが染色される。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る液流式染色装置によれば、測定ユニット7の電位測定器70で酸化還元電位を測定することができるため、染料浴R2の還元状態を確認することができる。そのため、投入系5によって、染料Cを適正な条件で循環路に投入することができる。
【0050】
また、循環路に循環させている染浴の酸化還元電位を測定ユニット7の電位測定器70で確認することもできるため、還元浴R2の還元状態も確認することができる。そのため、給液系3によって、水Wを適正な条件で循環路に投入することができる。
【0051】
従って、本実施形態に係る液流式染色装置によれば、布帛Tを染色する作業を適正なタイミングで行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【0052】
そして、制御部が測定ユニット7の電位測定器70が計測した酸化還元電位を基に給水系6が循環路内に供給する水Wの供給条件を所定の時間間隔で繰り返し調整するようになっているため、循環路内に徐々に水Wを供給することができる。従って、染料Cを急激に酸化させることを防止でき、布帛Tに色むらが生じることを防止することができる。
【0053】
さらに、排液路41が循環路の下方側に繋がっており、循環路内を循環させている液体を該循環路の下方側から排出するようになっているため、排液路41から循環路内に空気が入り込むことを防止でき、染料Cを急激に酸化させてしまうことを防止できる。
【0054】
尚、本発明の液流式染色装置は、上記内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更し得ることは勿論のことである。
【0055】
上記実施形態において、滞留槽本体10は長尺に形成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、滞留槽本体10は円筒状等に形成されていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態において、給液系3と排液系4とは、流体的に接続されていたが、これに限定されるものではなく、給液系3から循環路に供給した液体が全て排液系4を通じて液流式染色装置外に排出されるようにしてもよい。ただし、このようにする場合、給水路80を給液系3の給液路30に繋ぐことが必要になる。
【0057】
また、上記実施形態において、特に言及しなかったが、投入系5は、測定ユニット7の電位測定器70が計測した酸化還元電位が所定の値に到達したときに、循環路への還元剤Oの投入が完了するように構成されていてもよい。このようにする場合、投入系5は、測定ユニット7の電位測定器70が計測した酸化還元電位が所定の値を基に還元剤Oを投入する速度や、速度を調整できるようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態において、制御部9は、給水調整系8による水の給水条件を所定の時間間隔で繰り返して調整するように構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、制御部9は、給水調整系8による水の給水条件を連続的に繰り返して調整するように構成されていてもよい。より具体的に説明すると、制御部9は、給水系6で循環路内に供給する水Wの供給条件の調節と循環路への水Wの供給とを連続的に繰り返して調整するようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、循環路内に染料Cを投入した後に、還元剤Oを投入するようにしていたが、これに限定されるものではなく、例えば、還元剤Oを循環路内に投入した後に染料Cを投入するようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態において、特に言及しなかったが、給水調整系8は、測定ユニット7の電位測定器70が計測した酸化還元電位が所定の値に到達したときに、水Wを循環路に投入するように構成されていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態において、特に言及しなかったが、染料Cが布帛Tに固着させた後に、酸化剤をさらに投入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…滞留槽、2…移送系、3…給液系、4…排液系、5…投入系、6…給水系、7…測定ユニット、8…給水調整系、9…制御部、10…滞留槽本体、20…管路、21…噴射部、30…給液路、31…メインポンプ、40…回収路、41…排液路、50…取液路、51…投入槽、52…注入路、53…注入ポンプ、60…給水ポンプ、70…電位測定器、71…測定器、72…測定用分岐路、80…給水路、81…調節弁、81a,81b…調節弁、81a,81b…各調節弁、C…染料、E…熱交換器、O…還元剤、R1…液体、R2…染料浴、R3…染浴、T…布帛、W…水
図1
図2
図3
図4
図5