特許第5707474号(P5707474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5707474ラドンを用いた空隙率測定装置及び測定方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707474
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】ラドンを用いた空隙率測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/08 20060101AFI20150409BHJP
   G01N 33/24 20060101ALN20150409BHJP
【FI】
   G01N15/08 J
   !G01N33/24 Z
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-240501(P2013-240501)
(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公開番号】特開2015-52580(P2015-52580A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2013年12月13日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0107469
(32)【優先日】2013年9月6日
(33)【優先権主張国】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日 平成25年 5月21日 掲載アドレス http://link.springer.com/article/10.1007/s10967−013−2546−3 掲載アドレスの管理者 Springer 掲載アドレスの刊行物名 Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry,2013,298,1359−1365
(73)【特許権者】
【識別番号】506081530
【氏名又は名称】コリア インスティチュート オブ ジオサイエンス アンド ミネラル リソースズ
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】イ ギル ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハ ギュ チョル
【審査官】 土岐 和雅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−209079(JP,A)
【文献】 特開2013−032956(JP,A)
【文献】 特開2008−203268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N15/00〜15/14、33/00〜33/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個のポートを有し、所定ガスの濃度を測定するガス成分検出器と、
2個のポートを有し、前記所定ガスを収容するガス容器と、
2個のポートを有し、空隙率を測定しようとする媒質を収容する媒質容器と、
前記ガス成分検出器、ガス容器、及び媒質容器の前記ポートを連結するパイプラインと、
前記パイプラインに設置されるバルブと、
を備え、
前記所定ガスは、ラドン及びヘリウムのうち、いずれか1つを含み、
前記パイプラインとバルブは、ガス成分検出器がガス容器及び媒質容器と連結されないようにする第1のループと、ガス成分検出器がガス容器とは連結され、媒質容器とは連結されないようにする第2のループと、ガス成分検出器がガス容器とは連結されず、媒質容器とは連結されるようにする第3のループとを構成するように配列及び設置されて、前記バルブが前記ループ間を切り換えることを特徴とする空隙率測定装置。
【請求項2】
前記ガス成分検出器の2個のポートがパイプラインによりガス容器の2個のポートと各々連結され、前記2個のパイプラインの中間にバルブが各々設置され、これらのバルブは、パイプラインにより互いに連結され、前記バルブの各々は、パイプラインにより媒質容器の2個のポートと連結され、前記バルブは、各々4方向バルブであることを特徴とする請求項1に記載の空隙率測定装置。
【請求項3】
前記ガス成分検出器、ガス容器、媒質容器は、直列に1つの閉ループをなすようにパイプラインにより互いに連結され、前記ガス容器の2個のポート近傍のパイプラインにバルブが各々設置され、これらのバルブは、パイプラインにより互いに連結され、前記媒質容器の2個のポート近傍のパイプラインにバルブが各々設置され、これらのバルブは、パイプラインにより互いに連結され、前記バルブは、3方向バルブであることを特徴とする請求項1に記載の空隙率測定装置。
【請求項4】
前記ガス成分検出器に隣接して設置されたポンプをさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空隙率測定装置。
【請求項5】
前記ガス成分検出器とポンプとは一体型であることを特徴とする請求項4に記載の空隙率測定装置。
【請求項6】
前記ガス容器の各々のポートには開閉バルブが備えられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空隙率測定装置。
【請求項7】
第1のループ上に設置される乾燥管をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空隙率測定装置。
【請求項8】
第3のループ上に設置される乾燥管をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空隙率測定装置。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の空隙率測定装置を備えるステップと、
ガス容器及び媒質容器に所定ガス及び空隙率を測定しようとする媒質を各々収容するステップと、
前記第2のループを構成し、所定時間を維持するステップと、
前記第1のループを構成し、所定時間を維持した後、前記ガス成分検出器で前記第1のループ内の所定ガスの濃度を測定するステップと、
第3のループを構成し、所定時間を維持して所定ガスが前記媒質の空隙に充填されれば、前記ガス成分検出器で前記第3のループ内の所定ガスの濃度を測定するステップと、
第1及び第3のループ内の所定ガス濃度と、これらループの内部体積及び前記媒質の体積と、ループ内の所定ガスの物質収支とに基づいて媒質の空隙率を算出するステップと、
を含み、
前記所定ガスはラドン及びヘリウムのうち、いずれか1つを含むことを特徴とする空隙率測定方法。
【請求項10】
前記第2のループを構成するステップ前に、前記第1のループをさらに構成し、前記ガス成分検出器で前記第1のループ内の所定ガスのバックグラウンド濃度を測定するステップをさらに含み、前記第2のループを構成するステップ後の第1及び第2のループにおいて、前記ガス成分検出器で検出した所定ガスの濃度は、前記バックグラウンド濃度を差し引くことにより補正することを特徴とする請求項に記載の空隙率測定方法。
【請求項11】
前記ガス容器には、所定ガスが発生する固相物質を収容することを特徴とする請求項に記載の空隙率測定方法。
【請求項12】
前記空隙率測定装置の第1のループ上に乾燥管をさらに設置し、前記第2のループを構成するステップ前に、前記第1のループをさらに構成し、第1のループ内部の空気を循環させることにより、第1のループ内部の水分を除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の空隙率測定方法。
【請求項13】
前記空隙率測定装置の第3のループ上に乾燥管をさらに設置し、前記第2のループを構成するステップ前に、前記第3のループをさらに構成して第3のループ内部の空気を循環させることにより、第3のループ内部の水分を除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項に記載の空隙率測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象媒質の有効空隙率測定装置及び測定方法に関し、具体的には、不活性気体であるラドンを用いて岩石、土壌などの様々な媒質の有効空隙率を測定する測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
岩石の空隙率は、流体を保存することができる能力を表すものであって、石油、ガス、または地下水や鉱物資源の経済性を判断する重要な根拠となることができ、その他にも、様々な分野で活用されているので、これに対する正確な算出は極めて重要である。
【0003】
例えば、近年、地球温暖化問題を解決するために、二酸化炭素地中保存に対する研究が活発に行われており、これとともに、二酸化炭素保存対象の候補地選定のための調査が実施されている。実証及び商用化規模の二酸化炭素地中保存所を探すために、定量的な保存空間の規模と保存容量の評価とがなされなければならない。このためには、先に空隙率が最小8%以上の地層を探すことが求められている。
【0004】
また、岩石における風化及び透水性は、放射性廃棄物の地下洞窟への処分及び岩盤構造物の安定性確保並びに長期的な管理の側面で極めて重要な役割をする。これら岩石の風化及び透水性は、岩石の内部構造特性によって大きく影響を受ける。すなわち、岩石内部の空隙、微小クラックなどの量的程度によって風化が早く進行されることもある。また、岩石内部構造の量的評価は、その岩石の風化程度を定量的に評価できる手段になることもある。したがって、岩石の内部構造を3次元的に正確に把握するということは、岩盤構造物の長期的管理の側面で極めて重要である。
【0005】
炭酸塩岩は、極めて重要な貯留岩であって、炭酸塩岩の巌石学的特徴を理解することは、鉱区の経済性及び石油埋蔵量を評価するのに極めて重要である。特に、炭酸塩貯留岩の透水率を分析し予測する技術は、鉱区を開発するとき、資本のリスクを大幅に減らすのに有用に使用され得る。炭酸塩貯留岩の透水率は主に、貯留岩の空隙率、空隙間の連結性、貯留岩の温度、及びアスファルテン(asphaltene)の沈殿などに影響を受ける。しかし、これらの要因の中で貯留岩の空隙率が貯留岩の透水率に最も大きい影響を与えることと知られている。
【0006】
地盤を対象として液体状態で存在する物質の移動は、地盤を構成する土粒子間の連結された空隙を介して浸透する。また、岩盤では、風化、断層活動、不連続面、節理などにより形成されたクラック及び微小クラックに依存して移動することと知られている。したがって、このような移動のメカニズムとなる連結された全ての空間を有効空隙率の空間的意味で表すことができる。このような有効空隙率は、汚染物質の浸透経路、地下水の涵養量などを推定できる極めて重要なパラメータのうちの1つである。
【0007】
地盤を対象として降雨に対する地下水涵養及び指標から洩れた汚染物質の流入などを評価するためにも、地盤の物理的特性である空隙率と有効空隙率との把握が先行される必要がある。また、最近に台頭されている水資源の保護及び効率的な利用を目的として、未固結自由面帯水層である沖積層を対象として建設中である地下ダムの場合、対象地域の地下水貯留能力を推定するために、地盤の空隙率及び有効空隙率に対する測定が先行されなければならない。
【0008】
このような空隙率は、工学的に孤立された空隙の含み可否によって絶対空隙率(absolute porosity)または総空隙率(total porosity)と有効空隙率(effective porosity)とに分類することができる。絶対空隙率は、空間相互間の連結性可否とは関係なく、サンプル内に全ての空いた空間と総体積の比である。それに対し、有効空隙率は、孤立された空隙を除き、流体を通過させることができる互いに連結された全体空隙の総体積に対する百分率で定義される。
【0009】
室内における岩石の空隙率測定は、一般に飽和法(saturation method)を利用する。空隙率の定義から飽和法により算出された空隙率は有効空隙率であるということが分かる。飽和法では、飽和状態と乾燥状態の岩石の重量の差を利用して空隙の体積を算出することになり、したがって、岩石を100%飽和させることが空隙率測定の正確度を左右するようになる。韓国岩盤工学会と国際岩盤工学会では、真空を利用した飽和法を標準試験法として採択しているが、試験片を1時間以上800Pa(6torr)以下の真空状態で水浸して飽和させるようにしている。
【0010】
このとき、ポンピング速度が遅い真空ポンプを使用するか、いくつかの試験片を一度に飽和させようとするならば、長時間水浸して真空しなければならず、特に、試験片が水によく溶ける水溶性物質を含んでいると、表面乾燥飽水重量が減少するようになる。これ以外にも、水浸して真空することによる種々の短所がありうるが、その中で1つは、真空状態で水浸して飽和させるとき、試験片の表面に捕獲される空気である。標準試験法では、空気を除去するために周期的に撹乱させるようになっているが、現実的には極めて難しい措置である。それだけでなく、この空気とバッファ(buffer)の役割をする水のため、真空効率が劣り、さらには、水の量にも影響を受ける可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−315463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決するためのものであって、ラドンを用いて比較的簡単かつ正確に様々な媒質の空隙率を測定できる測定装置及び測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するための本発明の一態様に係る空隙率測定装置は、2個のポートを有し、所定ガスの濃度を測定するガス成分検出器と、2個のポートを有し、前記所定ガスを収容するガス容器と、2個のポートを有し、空隙率を測定しようとする媒質を収容する媒質容器と、前記ガス成分検出器、ガス容器、及び媒質容器の前記ポートを連結するパイプラインと、前記パイプラインに設置されるバルブとを備え、前記パイプラインとバルブは、ガス成分検出器がガス容器及び媒質容器と連結されないようにする第1のループと、ガス成分検出器がガス容器とは連結され、媒質容器とは連結されないようにする第2のループと、ガス成分検出器がガス容器とは連結されず、媒質容器とは連結されるようにする第3のループとを構成するように配列及び設置されて、前記バルブが前記ループ間を切り換える。
【0014】
好ましくは、前記ガス成分検出器の2個のポートがパイプラインによりガス容器の2個のポートと各々連結され、前記2個のパイプラインの中間にバルブが各々設置され、これらのバルブは、パイプラインにより互いに連結され、前記バルブの各々は、パイプラインにより媒質容器の2個のポートと連結され、前記バルブは、各々4方向バルブである。
【0015】
好ましくは、前記ガス成分検出器、ガス容器、媒質容器は、直列に1つの閉ループをなすようにパイプラインにより互いに連結され、前記ガス容器の2個のポート近傍のパイプラインにバルブが各々設置され、これらのバルブは、パイプラインにより互いに連結され、前記媒質容器の2個のポート近傍のパイプラインにバルブが各々設置され、これらのバルブは、パイプラインにより互いに連結され、前記バルブは、3方向バルブである。
【0016】
好ましくは、前記ガス成分検出器に隣接して設置されたポンプをさらに備える。
好ましくは、前記ガス成分検出器とポンプとは一体型である。
好ましくは、前記ガス容器の各々のポートには開閉バルブが備えられる。
好ましくは、第1のループ上に設置される乾燥管をさらに備える。
好ましくは、第3のループ上に設置される乾燥管をさらに備える。
好ましくは、前記所定ガスは、ラドン及びヘリウムのうち、いずれか1つを含む。
【0017】
本発明の他の一太陽に係る空隙率測定方法は、前述した空隙率測定装置を備えるステップと、ガス容器及び媒質容器に所定ガス及び空隙率を測定しようとする媒質を各々収容するステップと、前記第2のループを構成し、所定時間を維持するステップと、前記第1のループを構成し、所定時間を維持した後、前記ガス成分検出器で前記第1のループ内の所定ガスの濃度を測定するステップと、第3のループを構成し、所定時間を維持して所定ガスが前記媒質の空隙に充填されれば、前記ガス成分検出器で前記第3のループ内の所定ガスの濃度を測定するステップと、第1及び第3のループ内の所定ガス濃度と、これらループの内部体積及び前記媒質の体積と、ループ内の所定ガスの物質収支とに基づいて媒質の空隙率を算出するステップとを含む。
【0018】
好ましくは、前記第2のループを構成するステップ前に、前記第1のループをさらに構成し、前記ガス成分検出器で前記第1のループ内の所定ガスのバックグラウンド濃度を測定するステップをさらに含み、前記第2のループを構成するステップ後の第1及び第2のループにおいて、前記ガス成分検出器で検出した所定ガスの濃度は、前記バックグラウンド濃度を差し引くことにより補正する。
【0019】
好ましくは、前記所定ガスはラドン及びヘリウムのうち、いずれか1つを含む。
【0020】
好ましくは、前記ガス容器には、所定ガスが発生する固相物質を収容する。
【0021】
好ましくは、前記空隙率測定装置の第1のループ上に乾燥管をさらに設置し、前記第2のループを構成するステップ前に、前記第1のループをさらに構成し、第1のループ内部の空気を循環させることにより、第1のループ内部の水分を除去するステップをさらに含む。
【0022】
好ましくは、前記空隙率測定装置の第3のループ上に乾燥管をさらに設置し、前記第2のループを構成するステップ前に、前記第3のループをさらに構成して第3のループ内部の空気を循環させることにより、第3のループ内部の水分を除去するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0023】
上記のように構成された本発明に係るラドンを用いた空隙率測定装置及び測定方法はその構成が単純であって、様々な媒質の空隙率を簡単かつ正確に測定することができる。
【0024】
特に、真空状態でない大気圧状態で空隙率を測定することができるので、測定過程が簡便であり、測定時間も極めて短い。さらに、非活性気体であるラドン(Rn−222)を用いるので、媒質との化学反応を起こさないため、空隙率を正確に測定することができる。
【0025】
また、ラドンは、自然界の放射性崩壊系列のうちの1つであるウラン系列で、半減期が3.82日である放射性核種であるから、放射能の強さを測定することによりこれを利用して比較的簡単かつ正確に媒質の空隙率を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の上記及び他の目的、特徴、及び利点は、次の添付図面と関連して与えられた好ましい実施形態の以下の説明から明白になるはずであろう。
図1】本発明の一実施形態に係る空隙率測定装置の概略図である。
図2図1に示された測定装置を利用して空隙率を測定する方法を説明するためのフローチャートである。
図3A図1に示された測定装置を利用して空隙率を測定するための各々のステップで形成されるループを示す図である。
図3B図1に示された測定装置を利用して空隙率を測定するための各々のステップで形成されるループを示す図である。
図3C図1に示された測定装置を利用して空隙率を測定するための各々のステップで形成されるループを示す図である。
図3D図1に示された測定装置を利用して空隙率を測定するための各々のステップで形成されるループを示す図である。
図4】本発明の変形実施形態に係る空隙率測定装置の概略図である。
図5A図4に示された測定装置を利用して空隙率を測定するための各々のステップで形成されるループを示す図である。
図5B図4に示された測定装置を利用して空隙率を測定するための各々のステップで形成されるループを示す図である。
図5C図4に示された測定装置を利用して空隙率を測定するための各々のステップで形成されるループを示す図である。
図5D図4に示された測定装置を利用して空隙率を測定するための各々のステップで形成されるループを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
次に紹介される実施形態等は、当業者に本発明の思想が十分に伝達され得るようにするために例として提供されるものである。したがって、本発明は、以下に説明された実施形態等に限定されず、他の形態で具体化されることもできる。図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは、便宜のために誇張されて表現されることもできる。明細書の全体にわたって同じ参照符号は同じ構成要素を表す。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る空隙率測定装置の概略図であり、図2は、図1に示された測定装置を利用して空隙率を測定する方法を説明するためのフローチャートであり、図3A図3Dは、図1に示された測定装置を利用して空隙率を測定するための各々のステップで構成されるループを示す図である。
【0030】
まず、図1に示すように、本発明の一実施形態に係る空隙率測定装置100は、ラドンガスの濃度を検出するためのラドン成分検出器110と、乾燥管115と、ラドンガスが収容されるラドン容器130と、空隙率を測定しようとする媒質160が収容される媒質容器150と、前記ラドン成分検出器110、ラドン容器130、及び媒質容器150を互いに連結するパイプラインPLと、パイプラインPLの所定位置に設置されて、前記ラドン成分検出器110、ラドン容器130、媒質容器150、及びパイプラインPLで構成される複数の所定ループを切り換える複数のバルブ172、174とを備える。本明細書においてラドンとは、特に他の言及がない限り、ラドン(Rn−220)を意味する。
【0031】
前記ラドン成分検出器110は、内部にポンプが装着された形態であって、ラドンガスの濃度を検出するための成分検出部と、前記パイプラインPLに各々連結された入力ポート112及び出力ポート114とを備える。本実施形態において使用されたラドン成分検出器110は、内部にポンプが装着されているため、前記ポンプの作動により入力ポート112に連結されたパイプラインPLを介してラドンガスが流入し、成分検出部によりその濃度が測定された後、出力ポート114を介して流出する。
【0032】
前記乾燥管115は、ラドン成分検出器110、媒質容器150、及び/又は媒質160内に存在する水分を除去するために選択的に備えられる。乾燥管115内には乾燥剤が満たされており、これは水分を含有すれば色が変わる。水分が全くないときと水分を含有して変色された乾燥剤の割合から乾燥状態を確認することができる。本実施形態において乾燥管115は、ラドン成分検出器110に隣接して配置されているが、これに限定されず、必要に応じて他の様々な位置に配置され得る。ただし、ラドン成分検出器110から水分を除去するためには、ラドン成分検出器110に隣接して配置されることが好ましい。
【0033】
前記ラドン容器130には、ラドンガスを収容するための密閉容器としてラドンガスを直接収容することができるが、ラドンが発生するラドン濃縮鉱物のような固相物質を収容することが好ましいこともある。前記ラドン容器130には2個のポート132、134が備えられて、前記パイプラインPLに各々連結される。ラドン容器130の2個のポート132、134には開閉バルブが各々設置されていることが好ましい。
【0034】
前記媒質容器150は、空隙率を測定しようとする媒質160を収容するための密閉容器である。媒質容器150には2個のポート152、154が備えられて、前記パイプラインPLに各々連結される。
【0035】
前記ラドン成分検出器110の入力ポート112及び出力ポート114は、2個のパイプラインPLによりラドン容器130の2個のポート132、134と各々連結される。このとき、前記2個のパイプラインPLの中間にバルブ172、174が各々設置され、これらのバルブ172、174は、パイプラインPLにより互いに連結される。また、前記バルブ172、174の各々は、パイプラインPLにより媒質容器150の2個のポート152、154に各々連結される。このとき、パイプラインPLに設置されたバルブ172、174は各々4方向バルブである。
【0036】
このように、パイプラインPL及びバルブ172、174が連結及び設置された状態でバルブ172、174を制御することにより、媒質の空隙率算出に必要なラドンガス濃度を測定するための所定のループ(Loop−0、Loop−1、Loop−2、及びLoop−3)を構成するようになる。
【0037】
すなわち、バルブ172、174を制御することにより、図3A及び図3Cに太線で表示されたように、ラドン成分検出器110がラドン容器130及び媒質容器150と連結されないようにするループ(Loop−0またはLoop−1、すなわち、本実施形態の場合、図面符号110、172、174、115、110へと連結される閉ループ)を構成し、図3Bに太線で表示されたように、ラドン成分検出器110がラドン容器130とは連結され、媒質容器150とは連結されないようにするループ(Loop−2、すなわち、本実施形態の場合、図面符号110、172、130、174、115、110へと連結される閉ループ)を構成し、また、図3Dに太線で表示されたように、ラドン成分検出器110がラドン容器130とは連結されず、媒質容器150とは連結されるようにするループ(Loop−3、すなわち、本実施形態の場合、図面符号110、172、150、174、115、110へと連結される閉ループ)を構成するようになる。
【0038】
このとき、前記ループのうち、ループ(Loop−1)及びループ(Loop−3)の内部体積は、空隙率の算出に利用される。これらループ(Loop−1、Loop−3)の内部体積には、当該パイプラインPLの内部体積はもちろん、ラドン成分検出器110の入力ポート112から出力ポート114までの内部経路の体積、乾燥管115の内部空間の体積(乾燥剤の体積除外)、媒質容器150の内部空間の体積、媒質160の体積及び/又はバルブ172、174の内部空間の体積を含むということに留意すべきである。これらループの内部体積は、基本的に各ループ内に存在する巨視的空間の体積のみを考慮する。したがって、媒質容器150を含むループ(Loop−3)では、媒質容器150の内部空間の体積は、媒質容器150の全体内部体積からその内部に配置された媒質160の空隙を含む全体の体積を除いた体積である。
【0039】
次に、このように構成された測定装置100を利用して媒質160の空隙率を測定する方法について図2及び図3A図3Dを参照して説明する。
【0040】
まず、ラドン容器130及び媒質容器150にラドンガスまたはラドン濃縮鉱物及び媒質160を各々収容する(S110)。このとき、測定装置100は、ラドン成分検出器110がラドン容器130及び媒質容器150と連結されないようにバルブ172、174を作動させて、すなわち、図3Aに示されたように、ラドン成分検出器110の入力ポート112が乾燥管を経て出力ポート114にパイプラインPLを介して連結されて構成されたループ(Loop−0)状態になければならない。このとき、ラドン容器130のポート132、134に開閉バルブが各々設置されており、これを閉鎖した状態であれば、測定装置100は、いかなるループ状態にあっても関係ない。また、このときに収容される媒質160は、十分乾燥された状態であって、媒質160の空隙内に水分が存在すればいけない。
【0041】
次いで、図3Aに示されたループ(Loop−0)状態でラドン成分検出器110を作動させる。このとき、構成されるループ(Loop−0)内には測定室内の空気が存在する。ラドン成分検出器110の作動時、その内部に備えられたポンプによりループ(Loop−0)内の空気が循環しつつ、ラドン成分検出器110内の成分検出部がループ(Loop−0)内の空気中に基本的に存在するラドンガスのバックグラウンド濃度(C)を測定する(S120)。すなわち、ラドンガスのバックグラウンド濃度(C)は、測定室、具体的には、測定装置100及びパイプラインPL内に基本的に存在するラドンガスの濃度であって、向後構成されるループ(Loop−1、Loop−3)で測定されるラドンガスの濃度は、バックグラウンド濃度(C)を差し引いて補正することによりさらに正確に得られることができる。ただし、測定室に対する情報からラドンガスのバックグラウンド濃度が分かる場合であれば、バックグラウンド濃度(C)測定ステップが除外され得ることはもちろんである。
【0042】
このとき、ループ(Loop−0)には乾燥管115が含まれるため、ループ(Loop−0)を循環する空気は、乾燥管115を通りながら、ラドン成分検出器110及びパイプラインPL内の水分を除去するようになる。好ましくは、ラドン成分検出器110を含むループ(Loop−0)内の相対湿度が5%未満になるまでループ(Loop−0)内の空気を循環させた後、ラドンガスのバックグラウンド濃度(C)を測定することが好ましい。
【0043】
一方、ラドン容器130及び媒質容器150にラドンガス及び媒質を各々収容するステップS110と、ラドンガスのバックグラウンド濃度(C)を測定するステップS120とは順序が互いに変わっても関係ない。
【0044】
その後、バルブ172、174を作動させて、図3Bに示されたように、前記ラドン成分検出器110とラドン容器130とが連結されたループ(Loop−2)を構成し、ラドン容器130内に濃縮されていたラドンガスをループ(Loop−2)内に流入させる(S130)。このとき、ラドン容器130のポート132、134に開閉バルブが各々設置されている場合であれば、これらのバルブは開放状態になければならない。前記ループ(Loop−2)状態は、ほぼ10分ぐらい維持させることにより、ラドンガスをループ(Loop−2)内に均一に存在させる。このとき、ラドン成分検出器110内のポンプを作動させてラドンガスをループ(Loop−2)内で循環させることにより、均一状態に速かに到達できるようにする。
【0045】
次いで、バルブ172、174を作動させて、図3Cに示されたように、ラドン成分検出器110の入力ポート112が乾燥管115を経て出力ポート114にパイプラインPLを介して連結されたループ(Loop−1)を構成し、所定時間を維持した後、ラドン成分検出器110内の成分検出部がループ(Loop−1)内のラドンガス濃度(C)を測定する(S140)。このとき、前記ループ(Loop−1)内のラドンガス濃度(C)は、前記ステップS120で測定されたラドンガスのバックグラウンド濃度(C)を差し引くことにより補正することが好ましい。実質的に、ループ(Loop−0)とループ(Loop−1)とは、同じ経路を有するが、ループ内に存在する物質の濃度が相違して、互いに区別したものである。
【0046】
次に、バルブ172、174を作動させて、図3Dに示されたように、前記ラドン成分検出器110と乾燥管115と媒質容器150とが連結されたループ(Loop−3)を構成し、ループ(Loop−3)内のラドンガスが平衡状態に到達した後のラドンガス濃度(C)を測定する(S150)。ここで平衡状態とは、図3Dに示されたようにループ(Loop−3)を構成すれば、ループ(Loop−1)内に存在していたラドンガスがループ(Loop−3)を介して媒質容器150内に流入し、流入したラドンガスは、その一部が媒質容器150内に収容された媒質160の空隙内に完全に充填された状態をいう。すなわち、前記測定されたラドンガスの濃度(C)は、媒質160の空隙内にラドンガスが完全に充填された状態に到達した後に測定された値である。このとき、前記ループ(Loop−3)内のラドンガス濃度(C)も前記ステップS120で測定されたラドンガスのバックグラウンド濃度(C)を差し引くことにより補正することが好ましい。
【0047】
このように、ループ(Loop−1、Loop−3)内のラドンガスの濃度(C、C)が測定されれば、次のような手続きにより空隙率を算出する(S160)。
【0048】
ループ(Loop−1)とループ(Loop−3)内のラドンガスの物質収支式(mass balance equation)は、次のとおりである。
*V=C*(V+V (式1)
【0049】
ここで、C及びCは、各々ループ(Loop−1)及びループ(Loop−3)でのラドンガス濃度であり、V及びVは、各々ループ(Loop−1)及びループ(Loop−3)の内部体積であり、Vは、媒質容器150内に収容された媒質160の空隙の体積である。C及びCは、前述したように、ステップS140及びステップS150で各々測定され、V及びVは、ラドン成分検出器110の内部経路の体積、乾燥管115の内部空間の体積(乾燥剤の体積除外)、媒質容器150内部空間の体積(媒質の体積除外)、及びパイプラインPLの内部体積から得ることができ、これについては、下記においてさらに説明する。
【0050】
前記式1を空隙の体積であるVに対してまとめると、次のとおりである。
すなわち、V=V*C/C−V(式2)
【0051】
したがって、空隙率Pは、その定義によって、
P(%)=100*V/V
=100*((C*V)/(C*V)−V/V)(式3)が算出される。
ここで、Vは媒質160の全体体積である。
【0052】
一方、V及びVの値は、各々次のとおりに算出され得る。
【0053】
まず、ループ(Loop−1)は、図面符号110、172、174、、115、110へと連結されるループであって、その内部体積であるVは、ラドン成分検出器110の入力ポート112から出力ポート114までの内部経路の体積と、乾燥管115の内部空間の体積(乾燥剤の体積除外)と、ラドン成分検出器110の入力ポート112からバルブ172、バルブ174、乾燥管、及びラドン成分検出器110の出力ポート114までのパイプラインPLの内部体積と、各バルブ172、174の内部経路の体積との合計である。ラドン成分検出器110の内部経路の体積、バルブ172、174の内部経路の体積、及び乾燥管115の内部空間の体積(乾燥剤除外)は、各々の規格または重量法のような従来方法により得ることができ、前記パイプラインPLの内部体積は、管の内径及び長さ、または重量法のような従来方法から求めることができる。
【0054】
前記重量法とは、密度を知っている流体、例えば、蒸溜水をパイプラインPL内に充填した後、充填された蒸溜水の質量から体積を求める方法である。
【0055】
ループ(Loop−3)は、図面符号110、172、150、174、115、110へと連結されるループであって、その内部体積であるVは、ラドン成分検出器110の入力ポート112から出力ポート114までの内部経路の体積と、乾燥管115の内部空間の体積(乾燥剤の体積除外)と、ラドン成分検出器110の入力ポート112からバルブ172、媒質容器150、バルブ174、乾燥管、及びラドン成分検出器110の出力ポート114までのパイプラインPLの内部体積と、媒質容器150の全体内部体積から媒質160の体積を差し引いた体積と、各バルブ172、174の内部経路の体積との合計である。ラドン成分検出器110の内部経路の体積、パイプラインPLの内部体積、及びバルブ172、174の内部経路の体積は、各々前述したように求めることができ、媒質容器150の全体内部体積は、容器の規格または重量法のような従来方法により得ることができる。
【0056】
前記構成要素の各々の内部体積は、前述した方法以外の他の様々な方法により求めることができることはもちろんである。例えば、ラドン成分検出器110の内部経路体積は、本発明の装置を利用して次のように求めることができる。
【0057】
前述した装置100において、媒質容器150に媒質を収容していない、空いている容器状態で前述したような空隙率測定方法の一部ステップ(S120ないしS150)を行う。すなわち、ラドンガスをラドン容器130に収容し、図3Aに示されたループ(Loop−0)状態でラドンガスのバックグラウンド濃度(C)を測定し(S120に対応)、図3Bに示されたループ(Loop−2)を構成して、ラドンガスをループ(Loop−2)内に均一に分布させ(S130に対応)、図3Cに示されたループ(Loop−1)でラドンガス濃度(C)を測定し(S140に対応)、図3Dに示されたループ(Loop−3)を構成して所定時間を維持した後、ループ(Loop−3)内のラドンガス濃度(C)を測定する(S150に対応)。次いで、次のような手続きにしたがってラドン成分検出器110の内部経路体積を算出する。
【0058】
ループ(Loop−1)とループ(Loop−3)内のラドンガスの物質収支式は、次のとおりである。
*V=C*V(式4)
【0059】
ループ(Loop−1)及びループ(Loop−3)の内部体積(V、V)をより具体的に区分すれば、次のとおりである。
【0060】
ループ(Loop−1)の内部体積(V)は、ラドン成分検出器110の内部経路体積(V)と、ループ(Loop−1)をなすパイプラインPLの内部体積(VP1)と、2個のバルブ172、174の内部経路体積(V)との合計である。すなわち、V=V+VP1+Vである。
【0061】
ループ(Loop−3)の内部体積(V)は、ラドン成分検出器110の内部経路体積(V)と、ループ(Loop−3)をなすパイプラインPLの内部体積(VP3)と、媒質容器150の内部体積(V)と、2個のバルブ172、174の内部経路体積(V)との合計である。すなわち、V=V+VP3+V+Vである。
【0062】
及びVを前記式4に代入すれば、次の式が得られる。
*(V+VP1+V)=C*(V+VP3+V+V) (式5)
【0063】
前記式5をラドン成分検出器110の内部経路体積Vに対してまとめると、
=(C*(VP3+V)−C*VP1+(C−C)*V)/(C−C) (式6)
が得られる。
【0064】
一方、前述した実施形態において、ラドン成分検出器110とバルブ172、174とは、測定者が各々個別的に作動させることもできるが、別の制御器をさらに設置して、ラドン容器130と媒質容器150とにラドンガス及び媒質160を収容した後、前述した測定ステップを自動に行うようにすることもできる。
【0065】
次に、本発明の変形実施形態に係る空隙率測定装置について説明する。図4は、本発明の変形実施形態に係る空隙率測定装置の概略図であり、図5A図5Dは、図4に示された測定装置を利用して空隙率を測定するための各々のステップで形成されるループを示す図である。
【0066】
本変形実施形態において、前述した実施形態の構成要素と同じ構成要素に対しては同じ図面符号を使用し、重複する説明は省略する。
【0067】
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る空隙率測定装置101は、ラドンガスの濃度を検出するためのラドン成分検出器120と、ポンプ122と、乾燥管115と、ラドンガスが収容されるラドン容器130と、空隙率を測定しようとする媒質が収容される媒質容器150と、前記構成要素を互いに連結するパイプラインPLと、パイプラインPLの所定位置に設置されて、前記ラドン成分検出器120、ポンプ122、乾燥管115、ラドン容器130、媒質容器150、及びパイプラインPLで構成される複数の所定ループを切り換える複数のバルブ182、184、186、188とを備える。
【0068】
前記ラドン成分検出器120は、ポンプが内蔵されていないという点を除いては、前述した実施形態のラドン成分検出器110と同じものであって、前述した実施形態のラドン成分検出器110の成分検出部に対応する構成要素であり、前記ポンプ122は、ラドン成分検出器110のポンプに対応する構成要素である。すなわち、本変形実施形態のラドン成分検出器120及びポンプ122は、前述した実施形態のラドン成分検出器110に内蔵された成分検出部とポンプとが分離された構成であって、ラドン成分検出器110と事実上同じ構成である。本発明に係る空隙率測定装置においてポンプは、構成されるループ内のラドンガスがループ内で均一な状態になることを助ける機能をするので、これは事実上選択的構成要素である。したがって、本変形実施形態では、ポンプ122を除くこともでき、前述した実施形態でもラドン成分検出器110はポンプが内蔵されていない形でありうる。
【0069】
前記乾燥管115、ラドン容器130、及び媒質容器150は、前述した実施形態の乾燥管115、ラドン容器130、及び媒質容器150と同様である。
【0070】
ラドン成分検出器120、ポンプ122、乾燥管115、ラドン容器130、及び媒質容器150は、直列に1つの閉ループをなすように前記パイプラインPLにより互いに連結され、ラドン容器130及び媒質容器150の各々を通過せずに迂回する経路が各々追加される。すなわち、ラドン容器130の2個のポート近傍のパイプラインPLにバルブ182、184が各々設置され、バルブ182、184は、パイプラインPLにより互いに連結され、媒質容器150の2個のポート近傍のパイプラインPLにバルブ186、188が各々設置され、バルブ186、188は、パイプラインPLにより互いに連結される。
【0071】
このように、パイプラインPL及びバルブ182、184、186、188が連結及び設置された状態でバルブ182、184、186、188を制御することにより、前述した一実施形態と同じ経路を有するループ(Loop−0、Loop−1、Loop−2、Loop−3)が構成され得る。
【0072】
すなわち、バルブ182、184、186、188を各々制御することにより、図5A及び図5Cに示されたように、ラドン成分検出器120がラドン容器130及び媒質容器150と連結されないようにするループ(Loop−0またはLoop−1、すなわち、本変形実施形態の場合、図面符号120、182、184、186、188、115、122、120へと連結される閉ループ)を構成し、図5Bに示されたように、ラドン成分検出器120がラドン容器130とは連結され、媒質容器150とは連結されないようにするループ(Loop−2、すなわち、本実施形態の場合、図面符号120、182、130、184、186、188、115、122、120へと連結される閉ループ)を構成し、また、図5Dに示されたように、ラドン成分検出器120がラドン容器130とは連結されず、媒質容器150とは連結されるようにするループ(Loop−3、すなわち、本実施形態の場合、図面符号120、182、184、186、150、188、115、122、120へと連結される閉ループ)を構成するようになる。
【0073】
本変形実施形態では、前述した一実施形態と比較してパイプライン及びバルブの連結構成が多少変形され、バルブの個数が増加した。本変形実施形態で使用されるバルブは、その個数が増加するが、4方向でない3方向バルブである。
【0074】
実質的に、バルブ182とバルブ188とを結合して1つの4方向バルブに代替し、バルブ184とバルブ186とを結合して1つの4方向バルブに代替すれば、前述した一実施形態と同じ構成となる。
【0075】
このように構成された測定装置101を利用して媒質の空隙率を測定する方法は、前述した実施形態で説明された測定方法と同様である。
【0076】
すなわち、ラドン容器130と媒質容器150とにラドンガス及び媒質を各々収容し(S110)、図5Aに示されたループ(Loop−0)状態でラドン成分検出器110を乾燥させた後、ラドンガスのバックグラウンド濃度(C)を測定し(S120)、図5Bに示されたループ(Loop−2)を構成してラドンガスをループ(Loop−2)内に均一に存在させ(S130)、図5Cに示されたループ(Loop−1)でラドンガス濃度(C)を測定し(S140)、図5Dに示されたループ(Loop−3)で平衡状態に到達したラドンガスの濃度(C)を測定する(S150)。このように、ラドンガスの濃度(C、C)が測定されれば、前述した式3によってラドン空隙率Pを算出する(S160)。
【0077】
このような変形実施形態において、ラドン成分検出器120とポンプ122とバルブ182、184、186、188とは、測定者が各々個別的に作動させることもできるが、別の制御器をさらに設置して、ラドン容器130と媒質容器150とにラドンガス及び媒質160を収容した後、前記した測定ステップを自動に行うようにすることもできる。
【0078】
一方、前記実施形態及び変形実施形態において各構成要素、すなわち、ラドン成分検出器110または120、乾燥管115、ラドン容器130、媒質容器150、パイプラインPL、及びバルブが互いに連結され、ループ(Loop−0、Loop−1、Loop−2、及びLoop−3)を各々構成することができれば、それらの位置及び順序を変えていかなる他の形態でも変形が可能である。ただし、ポンプ122が含まれる場合、前記ポンプ122は、ラドン成分検出器120に隣接して設置されなければならない。
【0079】
また、前記乾燥管115は、ラドン成分検出器110または120に隣接して設置されて、ループ(Loop−1)が構成された状態でループ(Loop−1)内の空気を循環させることにより、ラドン成分検出器110または120内部の水分を除去することにより、より正確な測定を可能なようにする。このようにループ(Loop−0)を構成した後、ループ(Loop−2)を構成する前にループ(Loop−3)を構成し、ループ(Loop−3)内の空気を循環させるステップを追加することができる。この場合、媒質160を媒質容器150に収容するステップS110で媒質160が十分乾燥されていなとしても、前記追加ステップで乾燥管115により媒質容器150及びそれに収容された媒質160に含まれた水分を除去することにより、より正確な媒質の空隙率を得ることができる。このとき、追加ステップのループ(Loop−3)は、ループ(Loop−2)を構成する以前であるため、ループ(Loop−3)内には測定室の空気が含まれている。すなわち、追加ステップのループ(Loop−3)は、ステップS150で構成されるループ(Loop−3)と同じ形のループであるが、ループ内の成分が相違している。
【0080】
このように、本発明は、ラドンガスが媒質の空隙に充填されることにより、ラドンガスの濃度が変わり、そのような変化に基づいて媒質の空隙率を測定する。ラドンは、自然放射性系列のウラン系列(U−238)、アクチニウム系列(U−235)、そして、トリウム系列(Th−232)の3種類の自然放射性崩壊系列から生成され、ラドンは、Rn−222(半減期3.82日)、Rn−219(半減期3.96秒)、及びRn−220(半減期55.6秒)の3つの同位元素として存在する。これら3つのラドン同位元素のうち、半減期が3.82日として最も長いRn−222を通常ラドンといい、本発明で使用されるラドンはRn−222である。
【0081】
本発明において、媒質の空隙に充填されるガスとしてラドンを選択した理由は、ラドン(Rn−222)は、放射能の強さを測定することにより、その濃度を比較的簡単かつ正確に分かることができるためである。ラドンの他にも、ヘリウム(He)が媒質の空隙に充填されるガスとして用いられ得る。
【0082】
また、このような方式により算出された空隙率は、空隙率の定義から有効空隙率であるということが分かる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態について例示的に説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有した者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、前述した実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものでなく、単によりよく理解できるように説明するためのものと理解されなければならない。本発明の権利範囲は、このような実施形態によって限定されず、下記の請求の範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0084】
100、101 空隙率測定装置
110、120 ラドン成分検出器
115 乾燥管
122 ポンプ
130 ラドン容器
150 媒質容器
172、174、182、184、186、188 バルブ
PL パイプライン
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D