特許第5707648号(P5707648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5707648
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】カップ運搬袋およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20150409BHJP
   B31B 23/26 20060101ALI20150409BHJP
   B31B 23/60 20060101ALI20150409BHJP
   B31B 23/74 20060101ALI20150409BHJP
   B31B 37/26 20060101ALI20150409BHJP
   B31B 37/60 20060101ALI20150409BHJP
   B31B 37/74 20060101ALI20150409BHJP
   B65D 30/10 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   B65D81/38 U
   B31B23/26
   B31B23/60
   B31B23/74
   B31B37/26
   B31B37/60
   B31B37/74
   B65D30/10 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-141145(P2014-141145)
(22)【出願日】2014年7月9日
【審査請求日】2014年9月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514174903
【氏名又は名称】株式会社ガルツ
(74)【代理人】
【識別番号】100148437
【弁理士】
【氏名又は名称】中出 朝夫
(72)【発明者】
【氏名】宮元 武壽
【審査官】 尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−179157(JP,A)
【文献】 特開2008−143599(JP,A)
【文献】 特開平02−205558(JP,A)
【文献】 特開2004−237987(JP,A)
【文献】 米国特許第5624048(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B31B 1/00−49/04
B65D 30/00−33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂材料からなる基材シート(1)を送り出して、側方を内側に折り込んでガゼット(2)を形成する一方、
前記ガゼット(2)の折返端部(21)に切込部(21a)を形成して、
次いで、ガゼット(2)の開口端(25)から当て板(A)を挿入した状態で、ガゼット(2)の胴部(22)の上下一対のシート重畳部を進行方向に沿って線状にそれぞれ一体に熱融着することにより前記折返端部(21)側を支持部(23)にした後、
前記当て板(A)を除去して、ガゼット(2)の側縁部(24)近傍のシート重畳部全てを当該側縁部(24)に沿って一体に熱融着するとともに、ガゼット(2)の開口端(25)近傍のシート重畳部全てを当該開口端(25)の縁部に沿って一体に熱融着して袋底(25a)を形成し、
こうして完成した袋基材の側縁を順次切り離すことによって、
前記支持部(23)の切込部(21a)および袋底(25a)にカップ(C)を支持可能で、かつ、ガゼット(2)の胴部(22)に空気層(22a)を有する袋体を連続的に成形可能であることを特徴とするカップ運搬袋の製造方法。
【請求項2】
熱可塑性樹脂材料からなる基材シート(1)を送り出して、両側方を内側にそれぞれ折り込んでガゼット(2・2)を形成する一方、
各ガゼット(2)の折返端部(21)にそれぞれ切込部(21a)を形成して、
次いで、各ガゼット(2)の開口端(25)から当て板(A)をそれぞれ挿入した状態で、ガゼット(2)の胴部(22)の上下一対のシート重畳部を進行方向に沿って線状にそれぞれ一体に熱融着することにより前記折返端部(21)側を支持部(23)にした後、
前記当て板(A)を除去して、ガゼット(2)の側縁部(24)近傍のシート重畳部全てを当該側縁部(24)に沿って一体に熱融着するとともに、ガゼット(2)の開口端(25)近傍のシート重畳部全てを当該開口端(25)の縁部に沿って一体に熱融着して袋底(25a)を形成し、
こうして対称的に完成した一対の袋基材の側縁を順次切り離すことによって、
前記支持部(23)の切込部(21a)および袋底(25a)にカップ(C)を支持可能で、かつ、ガゼット(2)の胴部(22)に空気層(22a)を有する袋体を連続的に成形可能であることを特徴とするカップ運搬袋の製造方法。
【請求項3】
熱可塑性樹脂材料からなる筒状の基材シート(1)を送り出して、側方を内側に折り込んでガゼット(2)を形成する一方、
前記基材シート(1)の上面を進行方向に沿って切開し、前記ガゼット(2)の折返端部(21)に切込部(21a)を形成することを特徴とする請求項1または2記載のカップ運搬袋の製造方法。
【請求項4】
ガゼット(2)の側縁部(24)近傍のシート重畳部全てを当該側縁部(24)に沿って一体に熱融着するとき、
ガゼット(2)の開口端(25)側から折返端部(21)の手前までを熱融着することによって、側縁部(24)におけるカップ支持部(23)の下方側縁に開口部(26)をそれぞれ形成することを特徴とする請求項1または2記載のカップ運搬袋の製造方法。
【請求項5】
ガゼット(2)の開口端(25)近傍のシート重畳部全てを当該開口端(25)の縁部に沿って一体に熱融着した後、この一体融着部をガゼット内側に更に折り込んで、側縁部(24)近傍のシート重畳部全てを当該側縁部(24)に沿って一体に熱融着することによって、開口端(25)側を広げて袋本体を起立させることができようにすることを特徴とする請求項1または2記載のカップ運搬袋の製造方法。
【請求項6】
基材シート1の表面の一部を貫通せしめて把手部(3)を形成することを特徴とする請求項1または2記載のカップ運搬袋の製造方法。
【請求項7】
熱可塑性樹脂材料からなる基材シート(1)の側方が内側に折り込まれてガゼット(2)が形成されている一方、
前記ガゼット(2)の折返端部(21)に切込部(21a)が形成され、
ガゼット(2)の胴部(22)の一対のシート重畳部が線状にそれぞれ一体に熱融着されることにより前記折返端部(21)側を支持部(23)にして、かつ、
ガゼット(2)の側縁部(24)近傍のシート重畳部全てが当該側縁部(24)に沿って一体に熱融着されるとともに、ガゼット(2)の開口端(25)近傍のシート重畳部全てが当該開口端(25)の縁部に沿って一体に熱融着されて袋底(25a)が形成され、
前記支持部(23)の切込部(21a)および袋底(25a)にカップ(C)を支持可能で、かつ、ガゼット(2)の胴部(22)に空気層(22a)を有することを特徴とするカップ運搬袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の運搬用具の改良、更に詳しくは、簡素な工程で、一枚の基材シートから製造することができ、かつ、容器を安定的に保持可能であり、しかも、保温性にも優れたカップ運搬袋およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやファーストフード店などにおいて、カップ(栓で密封しないタイプの容器)に入ったコーヒーやジュースなどの飲み物をテイクアウトする場合、カップを直接手に持たずに安定的に運ぶことができると便利である。
【0003】
かかる運搬方法として、まず、カップを袋に直接入れることが考えられるが、カップの安定性に欠け、カップが袋の中で傾いて飲み物が漏れてしまうおそれがある。
【0004】
また、カップの姿勢保持のために、袋の底に厚紙などの穴あき台紙を敷いて、この穴にカップを起立させるものも存在するが、この台紙のセットに手間がかかり、商品の提供に時間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
更にまた、カップを手提げ式に運搬することができるものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、袋一枚につきカップを一個しか運搬できないし、しかも、カップの本体が外に露出しているため、カップが汚れたり、誤って飲み物が漏れた場合に周囲を汚してしまうおそれがある。
【0006】
更にまた、袋の開口部の保持片に設けた開口部を容器に挿通するものが開示されているが(例えば、特許文献2参照)、商品の提供の度にこの開口部を容器に挿通する作業は大変面倒であるし、特に、カップのような上部の開口径の方が大きいテーパ状の容器においては非常に困難な作業になってしまう。更に、袋体におけるカップ側面の被覆部分が薄いため、せっかくの熱い(冷たい)飲み物の保温が損なわれてしまうという問題があった。
【0007】
なお、袋体の製造工程の上で、シート材の複雑な貼合せ構造にすると、通常の製袋機における製造ラインの他に、別の材料部材の供給機構や融着機構などを付加する必要があるため、一枚のシート基材のみを使用材料として機能的な袋体を製造することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭60−182345号公報
【特許文献2】特開2008−80072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の容器の運搬用具に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、簡素な工程で、一枚の基材シートから製造することができ、かつ、容器を安定的に保持可能であり、しかも、保温性にも優れたカップ運搬袋およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0011】
即ち、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート1を送り出して、側方を内側に折り込んでガゼット2を形成する一方、
前記ガゼット2の折返端部21に切込部21aを形成して、
次いで、ガゼット2の開口端25から当て板Aを挿入した状態で、ガゼット2の胴部22の上下一対のシート重畳部を進行方向に沿って線状にそれぞれ一体に熱融着することにより前記折返端部21側を支持部23にした後、
前記当て板Aを除去して、ガゼット2の側縁部24近傍のシート重畳部全てを当該側縁部24に沿って一体に熱融着するとともに、ガゼット2の開口端25近傍のシート重畳部全てを当該開口端25の縁部に沿って一体に熱融着して袋底25aを形成し、
こうして完成した袋基材の側縁を順次切り離すことによって、
前記支持部23の切込部21aおよび袋底25aにカップCを支持可能で、かつ、ガゼット2の胴部22に空気層22aを有する袋体を連続的に成形可能にするという技術的手段を採用したことによって、カップ運搬袋の製造方法を完成させた。
【0012】
また、本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート1を送り出して、両側方を内側にそれぞれ折り込んでガゼット2・2を形成する一方、
各ガゼット2の折返端部21にそれぞれ切込部21aを形成して、
次いで、各ガゼット2の開口端25から当て板Aをそれぞれ挿入した状態で、ガゼット2の胴部22の上下一対のシート重畳部を進行方向に沿って線状にそれぞれ一体に熱融着することにより前記折返端部21側を支持部23にした後、
前記当て板Aを除去して、ガゼット2の側縁部24近傍のシート重畳部全てを当該側縁部24に沿って一体に熱融着するとともに、ガゼット2の開口端25近傍のシート重畳部全てを当該開口端25の縁部に沿って一体に熱融着して袋底25aを形成し、
こうして対称的に完成した一対の袋基材の側縁を順次切り離すことによって、
前記支持部23の切込部21aおよび袋底25aにカップCを支持可能で、かつ、ガゼット2の胴部22に空気層22aを有する袋体を連続的に成形可能にするという技術的手段を採用することによっても、カップ運搬袋の製造方法を完成させた。
【0013】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、熱可塑性樹脂材料からなる筒状の基材シート1を送り出して、側方を内側に折り込んでガゼット2を形成する一方、
前記基材シート1の上面を進行方向に沿って切開し、前記ガゼット2の折返端部21に切込部21aを形成するという技術的手段を採用することができる。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ガゼット2の側縁部24近傍のシート重畳部を当該側縁部24に沿って一体に熱融着するとき、
ガゼット2の開口端25側から折返端部21の手前までを熱融着することによって、側縁部24におけるカップ支持部23の下方側縁に開口部26をそれぞれ形成するという技術的手段を採用することができる。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ガゼット2の開口端25近傍のシート重畳部全てを当該開口端25の縁部に沿って一体に熱融着した後、この一体融着部をガゼット内側に更に折り込んで、側縁部24近傍のシート重畳部全てを当該側縁部24に沿って一体に熱融着することによって、開口端25側を広げて袋本体を起立させることができようにするという技術的手段を採用することもできる。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、基材シート1の表面の一部を貫通せしめて把手部3を形成するという技術的手段を採用することもできる。
【0017】
また、本発明は、前記製造方法を用いて、ガゼット2の支持部23の切込部21aおよび袋底25aにカップCを支持可能で、かつ、ガゼット2の胴部22に空気層22aを有するカップ運搬袋を完成させた。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、熱可塑性樹脂材料からなる基材シートを送り出して、側方を内側に折り込んでガゼットを形成する一方、前記ガゼットの折返端部に切込部を形成して、次いで、ガゼットの開口端から当て板を挿入した状態で、ガゼットの胴部の上下一対のシート重畳部を進行方向に沿って線状にそれぞれ一体に熱融着することにより前記折返端部側を支持部にした後、前記当て板を除去して、ガゼットの側縁部近傍のシート重畳部全てを当該側縁部に沿って一体に熱融着するとともに、ガゼットの開口端近傍のシート重畳部全てを当該開口端の縁部に沿って一体に熱融着して袋底を形成し、こうして完成した袋基材の側縁を順次切り離すことによって、
前記支持部の切込部および袋底にカップを支持可能で、かつ、ガゼットの胴部に空気層を有する袋体を連続的に成形することができる。
【0019】
したがって、本発明の製造方法によれば、簡素な工程で、一枚の基材シートから製造することができるので、製袋機の製造ラインに別の材料部材を供給するためのアタッチメントや熱融着装置を付加する必要がなく、製造コストを低く抑えることができる。
【0020】
また、本発明の運搬袋は、ガゼットの支持部の切込部および袋底によって、カップを安定的に保持して運搬することができる。
【0021】
更にまた、胴部に形成された空気層が、外気との熱交換を緩和する機能を発揮するため、カップに収容された飲み物などに対する保温性にも優れていることから、産業上の利用価値は頗る大きい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程を表わす断面図である。
図2】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程を表わす断面図である。
図3】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程を表わす上面図である。
図4】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程を表わす上面図である。
図5】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程を表わす上面図である。
図6】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程を表わす上面図である。
図7】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程を表わす上面図である。
図8】本発明の実施形態のカップ運搬袋の構造を表わす断面図である。
図9】本発明の実施形態のカップ運搬袋の使用状態を表わす斜視図である。
図10】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程の変形例を表わす上面図である。
図11】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程の変形例を表わす上面図である。
図12】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程の変形例を表わす上面図である。
図13】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程の変形例を表わす上面図である。
図14】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程の変形例を表わす上面図である。
図15】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程の変形例を表わす上面図である。
図16】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程の変形例を表わす上面図である。
図17】本発明の実施形態のカップ運搬袋の製造工程の変形例を表わす上面図である。
図18】本発明の実施形態のカップ運搬袋の変形例を表わす上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を図1から図18に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものは基材シートであり、この基材シート1は、熱可塑性樹脂材料からなるシートである。本実施形態では、この樹脂材料としてポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂を採用することが好ましい。
【0024】
また、符号2で指示するものはガゼットであり、このガゼット2は、前記基材シート1の側方を内側に折り込んで形成される基材シート1の一部である。
【0025】
しかして、本発明のカップ運搬袋の製造方法について以下に説明する。なお、本実施形態では、連続的に送り出される基材シート1における1製造単位のみを図示するものであり、更に、より効率的に袋体を製造することができる、左右対称的に2枚分を同時成形できるものについて説明する。
【0026】
まず、公知の製袋機を用いて、図1に示すように、熱可塑性樹脂材料からなる基材シート1をコンベア等で移送される製造ラインに送り出して、両側方を内側にそれぞれ折り込んでガゼット2・2を形成する。この際、基材シート1は一枚もののシートを採用することもできるが(図1参照)、成形の容易性から筒状のもの(図2参照)を採用することが好ましい。
【0027】
そして、ガゼット2において、折返端部21に切込部21aを形成する。前記基材シート1が筒状の場合は、図2に示すように、中央上面(図中の中心線)を進行方向に沿って切開し、この切開部分からカッターを入れて、折返端部21に切込部21aを形成する。この切込部21aは、袋体においてカップを挿通して支持する目的で形成されるものであり、形状は問わないが、図3に示すような切込線形状にすることにより、打ち抜きの切れ端が廃材になるのを防ぐことができる。
【0028】
次いで、各ガゼット2の開口端25から当て板Aをそれぞれ挿入した状態で、ガゼット2の胴部22の上下一対のシート重畳部を進行方向に沿って線状にそれぞれ一体に熱融着(ヒートシール)することにより前記折返端部21側を支持部23にする(図4参照)。この支持部23は、カップ収容時にカップ上部を支持する部分である。
【0029】
ガゼット2に挿入されたこの当て板Aにより、当て板Aの上面と下面の両方(2枚ずつ)から各シート重畳部を独立して熱融着することができる。なお、本実施形態では、熱融着部分は、一直線状のものを1本形成するが、複数本形成したり、曲線、破線などの形状にすることもできる。
【0030】
然る後、前記当て板Aを除去(基材シート1の移送により、当て板A設置位置を通過)して、ガゼット2の側縁部24近傍のシート重畳部全てを当該側縁部24に沿って一体に熱融着するとともに(図5参照)、ガゼット2の開口端25近傍のシート重畳部全てを当該開口端25の縁部に沿って一体に熱融着して袋底25aを形成する(図6参照)。この場合の熱融着部位は、前記胴部22における場合とは異なり、シート重畳部(4枚)全てである(図7参照)。なお、後述するタイミングでも構わないが、この側縁部24に沿って一体に熱融着すると同時に、一袋単位ごとを切り離す裁断動作を行うこともできる。
【0031】
そして、本実施形態では、袋体を手提げ状に保持できるようにするために把手部3を形成する。この把手部3の形態としては、図7に示すように切り欠いた開口部を設けることができる。また、必要に応じて、袋上部の両隅角部を曲線的に面取りすることもできる。
【0032】
こうして対称的に完成した一対の袋基材を、側縁部24および中心線において順次切り離すことによって、前記支持部23の切込部21aおよび袋底25aにカップCを支持可能で、かつ、ガゼット2の胴部22に空気層22aを有する袋体を連続的に成形することができるのである(図8参照)。
【0033】
本実施形態では、ガゼット2の側縁部24近傍のシート重畳部を当該側縁部24に沿って一体に熱融着するとき、ガゼット2の開口端25側から折返端部21の手前までを熱融着することによって、側縁部24におけるカップ支持部23の下方側縁に開口部26をそれぞれ形成することができる(図9参照)。この開口部26には、砂糖やミルク、マドラーなどの飲み物やカップに収容する食品の附属品を挿入して保持することができる。
【0034】
なお、本実施形態における把手部3の形態の変形例として、図10に示すように、基材シート1の表面の一部を貫通せしめることによって成形し、打ち抜きの切れ端が廃材になるのを防ぐことができる。
【0035】
また、図11に示すように、袋上部の両端のみをそれぞれ残存させて、これらシート重畳部を一体に熱融着することによって、把手部3を形成することもできる。更にまた、折返端部21の切込部21aは、略半円状に形成してカップ断面に適合させて安定せしめることもできるし、図12に示すような弧状の折返し形状にして、切込部21aの端縁から裂けることを防止することもできる。
【0036】
なお、上記方法にあっては、熱融着の位置および順序を入れ替えても同様の袋体が得られる。また、図13に示すように、ガゼット2において、折返端部21に切込部21aを複数形成して、複数のカップを運搬できるようにすることもできる。
【0037】
また、本発明の運搬袋は、図14に示すように、1袋単位ずつ成形することもできるし、図示しないが、製造工程において基材シート1の進行方向が90度異なる方向の場合でも、1袋単位のものを成形することが可能である。
【0038】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、胴部22における熱融着位置によって、支持部23の大きさを調節することができる。
【0039】
また、図15に示すように、ガゼット2の側縁部24近傍のシート重畳部全てを当該側縁部24に沿って一体に熱融着する際には、開口端25側にかけて狭くなるように斜行してテーパ状に熱融着することもでき、カップをより安定的に保持することができる。
【0040】
更にまた、図16に示すように、まず、ガゼット2の開口端25近傍のシート重畳部全てを当該開口端25の縁部に沿って一体に熱融着した後、図17に示すように、この一体融着部をガゼット内側に更に折り込んで、図18に示すように、側縁部24近傍のシート重畳部全てを当該側縁部24に沿って一体に熱融着することによって、開口端25側を広げて袋本体を起立させることができ、使い勝手を向上させることもできる。
【0041】
更にまた、把手部3の開口部の形状や袋体の輪郭形状などは、装飾デザインに応じて任意に設計することができ、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0042】
1 基材シート
2 ガゼット
21 折返端部
21a 切込部
22 胴部
22a 空気層
23 カップ支持部
24 側縁部
25 開口端
25a 袋底
26 開口部
3 把手部
C カップ
A 当て板
【要約】
【課題】 簡素な工程で、一枚の基材シートから製造することができ、かつ、容器を安定的に保持可能であり、しかも、保温性にも優れたカップ運搬袋およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂材料からなる基材シート1を送り出して、側方を内側に折り込んでガゼット2を形成する一方、前記ガゼット2の折返端部21に切込部21aを形成して、次いで、ガゼット2の開口端25から当て板Aを挿入した状態で、ガゼット2の胴部22の上下一対のシート重畳部を進行方向に沿って線状にそれぞれ一体に熱融着することにより前記折返端部21側を支持部23にした後、前記当て板Aを除去して、ガゼット2の側縁部24近傍のシート重畳部全てを当該側縁部24に沿って一体に熱融着するとともに、ガゼット2の開口端25近傍のシート重畳部全てを当該開口端25の縁部に沿って一体に熱融着して袋底25aを形成し、こうして完成した袋基材の側縁を順次切り離す。
【選択図】 図9
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