特許第5707658号(P5707658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5707658高速の再構成を伴うデジタル透明プロセッサを用いた人工衛星用信号経路指定能力の動的管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707658
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】高速の再構成を伴うデジタル透明プロセッサを用いた人工衛星用信号経路指定能力の動的管理
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/185 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
   H04B7/185
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-538258(P2012-538258)
(86)(22)【出願日】2010年10月1日
(65)【公表番号】特表2013-510529(P2013-510529A)
(43)【公表日】2013年3月21日
(86)【国際出願番号】EP2010064617
(87)【国際公開番号】WO2011057861
(87)【国際公開日】20110519
【審査請求日】2013年9月5日
(31)【優先権主張番号】0905402
(32)【優先日】2009年11月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505157485
【氏名又は名称】テールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ル ブルク、ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォワザン、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ガション、エレン
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第7542716(US,B2)
【文献】 特表2006−516867(JP,A)
【文献】 特開平01−200733(JP,A)
【文献】 特開2001−333006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工衛星用の信号の経路指定装置であって、デジタル透明プロセッサ(DTP1)により使用される、前記信号の経路を指定するための構成に従って、前記デジタル透明プロセッサ(DTP1)を含み、そして送信局により送信される一組の着信信号の一組の入力(IN)における受信と、受信局への対応する一組の発信信号の一組の出力(OUT)を経由する送信とを可能にし、前記入力(IN)が一組の入力チャンネル及びサブチャンネル(I1、I2、I3)と関連し、前記出力(OUT)が一組の出力チャンネル及びサブチャンネル(O1、O2、O3)と関連し、前記信号の経路指定の構成が、接続電子手段を経由して、それを介して着信信号が受信される少なくとも1つの入力(IN)と関連する、少なくとも1つの入力チャンネル又はサブチャンネル(I1)を、それを介して発信信号が送信される少なくとも1つの出力(OUT)と関連する、少なくとも1つの出力チャンネル又はサブチャンネル(O1)に接続する、一組の経路の決定を可能にする装置において、
入力チャンネル又はサブチャンネル(I1)と出力チャンネル又はサブチャンネル(O1)との間の経路が、10Hzを超える高い再構成周波数に等しい周波数で変更され得るように、前記デジタル透明プロセッサ(DTP1)が、前記再構成周波数における、信号の経路指定の素早い再構成に関する能力を有し、そして前記装置が信号経路指定の素早い再構成に関する前記能力を活用する手段(CTRL)をさらに含み、
周波数ホッピング・モードにおいて構成される、1つ以上の送信局により送信される着信信号の周波数変更法則に対して、信号経路指定の素早い再構成を同期化させるための手段(CTRL)をさらに含み、
周波数ホッピング・モードにおいて構成される、1つ以上の送信局により送信される着信信号の周波数変更法則に対して、信号経路指定の素早い再構成を同期化させるための前記手段(CTRL)が、前記周波数変更法則に適合した信号経路指定の、素早い再構成に対する前記手段(CTRL)指令との通信を、周波数ホッピング・モードにおいて構成される前記送信局が出来るようにする、専用の高速通信リンクを備え、
前記専用の高速通信リンクが、数kbit/s〜数十Mbit/sの範囲のデータ通信量を可能にする
とを特徴とする装置。
【請求項2】
前記経路指定の再構成周波数が1kHz〜20kHzの範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
信号経路指定の素早い再構成に関する能力を活用するための前記手段(CTRL)が、前記デジタル透明プロセッサ(DTP1)と協調するコンピュータ・プログラムを実行するのに適合した、前記衛星内の機上装置で基本的に構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
同じ経路をとる必要がある複数の着信信号が、グループ化された着信信号に対応する唯一の発信信号が送信されるようなやり方でグループ化され得ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
各経路に対し、前記接続電子手段が次の機能:
・着信信号を抽出し、第一の中間信号を生み出すために、着信信号をフィルタリングする機能と、
・第二の中間信号を生み出すようなやり方で、前記第一の中間信号の出力を制御する機能と、
・第三の中間信号を生み出すようなやり方で、前記第二の中間信号の周波数を変更する機能と、
・必要とされる出力を用いて発信信号を生み出すようなやり方で、前記第三の中間信号のゲインを制御する機能と
を提供することを目的とする、一連の電子部品を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルプロセッサを含む通信衛星の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より正確にはこのタイプの、すなわちデジタルプロセッサ及び特にデジタル透明プロセッサを備える、人工衛星内の信号経路指定を管理する装置に関する。
【0003】
通信衛星の役割は、基本的に、増幅後に、アップリンクにおいて地上送信局により送信された信号を、ダウンリンクを経由して地上受信局に再送信することである。従って、この種の衛星は、地上送信局により送信され、衛星の一組の入力チャンネルにわたって分配された「アップリンク」信号に相当する、一組の着信信号を定常的に受信し、そして所定の構成に従い、出力チャンネルへとそれらの信号の経路を指定する。一組の発信信号がその後衛星により地上受信局へ送信される。これに関連して、衛星が装備しているデジタルプロセッサを経由する、衛星の機上における信号の経路指定が言及される。現在の人工衛星における信号の経路指定用の構成は、殆どの場合に静的である。それゆえ衛星によって一旦設定されると、それは変更不可能か又は少なくとも徐々に再構成され得る。
【0004】
現在使用されている衛星の中には、アナログプロセッサを備えるものもある。そのようなプロセッサは、入力チャンネルを、従来5〜50MHzの範囲にある帯域幅を有する出力チャンネルに接続する経路を生成する。しかしながら、現在開発されている衛星は、より小さく、よりプログラムによって制御可能な帯域幅の、より多数のチャンネルを各衛星が扱うことをとりわけ可能にし、入力と出力間の接続性を増すことを可能にするデジタルプロセッサを備え得る。
【0005】
本発明の文脈において、とりわけ関係するのはデジタル透明プロセッサを備えた通信衛星である。技術的に知られているように、デジタル透明プロセッサは、各入力チャンネルが、一般に数百kHz〜数MHzの範囲内にある可変幅のサブチャンネルへと分割されることを可能にする、デジタルプロセッサである。さらに、形容語「透明な」は「再生式の」と反対である。再生式のプロセッサは、送信された信号を復調することを目的とする処理を行なう。これは受信信号の形を変更しないデジタル透明プロセッサの目的ではない。
【0006】
従って、最近の幾つかの衛星は、任意の入力サブチャンネルから任意の出力サブチャンネルへの経路指定及び制御を可能にする、デジタル透明プロセッサを有する。これはまた、各サブチャンネル上の各信号に対して必要とされるゲインの最適化を可能にする。
【0007】
これに関連して、今日の技術の主な欠点は、使用されるデジタル透明プロセッサが静的又は準静的だということである。言い換えれば、例え最新のものであっても今日の人工衛星の機上における信号の経路指定の再構成は非常に遅い。衛星へのアップリンク信号が、時として1回/秒よりもずっと早い割合で周波数を変えるのに対して、信号の経路指定を1秒間に数回変えることは不可能である。従って、デジタルプロセッサは、受信信号の瞬時的な展開に追従できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、この主要な欠点を改善することである。従って、通信衛星の機上における信号の経路指定を、リアルタイムで再構成する可能性を提供するために、本発明は再構成不能又はゆっくりと再構成可能な、今日のデジタル透明プロセッサの代わりに、いわゆるアジャイル・デジタル透明プロセッサの使用を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、デジタル透明プロセッサにより使用される、信号の経路を指定するための構成に従って、デジタル透明プロセッサを含み、そして送信局により送信される一組の着信信号の一組の入力における受信と、受信局への対応する一組の発信信号の一組の出力を経由する送信とを可能にする、人工衛星用の信号の経路指定装置を提供し、前記入力は一組の入力チャンネル及びサブチャンネルと関連し、前記出力は一組の出力チャンネル及びサブチャンネルと関連し、前記信号の経路指定の構成は、接続電子手段を経由して、それを介して着信信号が受信される少なくとも1つの入力と関連する、少なくとも1つの入力チャンネル又はサブチャンネルを、それを介して発信信号が送信される少なくとも1つの出力と関連する、少なくとも1つの出力チャンネル又はサブチャンネルに接続する、一組の経路の決定を可能にし、入力チャンネル又はサブチャンネルと出力チャンネル又はサブチャンネルとの間の経路が、10Hzを超える高い再構成周波数に等しい周波数で変更され得るように、デジタル透明プロセッサが、前記再構成周波数における、信号の経路指定の素早い再構成に関する能力を有し、そして装置が信号経路指定の素早い再構成に関する前記能力を活用する手段をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、経路指定の再構成周波数は、1kHz〜20kHzの範囲内にある。
【0011】
信号経路指定の素早い再構成に関する能力を活用するための手段は、有利には、前記デジタル透明プロセッサと協調するコンピュータ・プログラムを実行するのに適合した、衛星内の機上装置で基本的に構成される。
【0012】
本発明による装置は、有利には、周波数ホッピング・モードにおいて構成される、1つ以上の送信局により送信される着信信号の周波数変更法則に対して、信号経路指定の素早い再構成を同期化させるための手段をさらに含む。
【0013】
本発明の好適な1つの実施形態において、周波数ホッピング・モードにて構成される、1つ以上の送信局により送信される着信信号の周波数変更法則に対して、信号経路指定の素早い再構成を同期化させるための前記手段は、前記周波数変更法則に適合した信号経路指定の、素早い再構成に対する前記手段指令との通信を、周波数ホッピング・モードにおいて構成される前記送信局が出来るようにする、専用の高速通信リンクを備える。
【0014】
上述の専用の高速通信リンクは、有利には毎秒数メガバイトのデータ通信量を可能にする。
【0015】
本発明の一実施形態において、同じ経路をとる必要がある複数の着信信号は、グループ化された前記着信信号に対応する唯一の発信信号が送信されるようなやり方でグループ化され得る。
【0016】
本発明による装置において、各経路に対し、接続電子手段は次の機能:
・着信信号を抽出し、第一の中間信号を生み出すために、着信信号をフィルタリングする機能と、
・第二の中間信号を生み出すようなやり方で、第一の中間信号の出力を制御する機能と、
・第三の中間信号を生み出すようなやり方で、第二の中間信号の周波数を変更する機能と、
・必要とされる出力を用いて発信信号を生み出すようなやり方で、第三の中間信号のゲインを制御する機能と
を提供することを目的とする、一連の電子部品を含み得る。
【0017】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図に関連する以下の記述に照らして明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】先行技術の人工衛星におけるアナログ処理による信号経路指定の一例の、単純化された図である。
図2】通信衛星の機上において信号経路を指定するための、「静的」デジタル透明プロセッサの既知の利用法の一例を示す図である。
図3】「アジャイル」・デジタル透明プロセッサの使用に基づく、本発明の原理を簡単な表現で説明するために用いられる図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、上記で与えられている形容語「透明な」の定義に適合した透明技術の通信衛星に関連する、今日の伝統的搭載機器の動作を説明するために用いられている図である。図1において、今日の従来の搭載機器は、入力チャンネルに関連する衛星の入力に対応した衛星の入口Aと、信号が地上に送信される出力チャンネルに関連する出力Sとの間に配置された様々なマイクロ波装置を、各チャンネルに対して装備していることが見られる。前記マイクロ波装置は一般に:
・衛星に入る信号をフィルタリングするフィルター装置Fと、
・出力制御装置Pと、
・信号の周波数を変える装置FQと、
・信号を地上に送信するために、前記信号に加えられるゲインを管理する装置Gと、
・場合によっては、出力測定装置及びゲインの自動制御装置、従って出力レベルの自動制御装置と、および
・場合によっては、信号の線形化又はプリディストーション用の装置と
である。
【0020】
さらに、発信信号が相互に多重化されている一方で、着信信号は逆多重化されている必要があり得る。
【0021】
従って、先行技術の搭載機器において、衛星の機上で実行される全ての動作、すなわち上で説明されたような、場合によっては可能性のある周波数の変化、受信信号の出力制限、又はそれらの信号に加えられるゲインの管理は、各々のチャンネルのレベルにおいて行なわれる。各チャンネルに対して必要とされる帯域幅は、一般におよそ20MHz〜40MHz以上であり得るため、これは不利である。別の欠点は、着信信号に対して行なわれる操作が、各サブチャンネル用に個別化され得ないという事実にある。その結果、或るチャンネルが様々なサブチャンネルを含む場合、すなわち原則として個別化された処理を必要とし得る様々な別個の着信信号をサポートする場合、機上で行なわれる処理は各チャンネルに対して固有であり、それゆえ全てのサブチャンネルに対して同一である。
【0022】
これらの技術から生じる欠点は、本質的に、とりわけサブチャンネルの経路指定を個別化されたやり方で管理出来ないことによる、使用における柔軟性の欠如及び、各種の入力点と出力点の間の接続性に関する欠陥に反映される。
【0023】
これらの技術は、従ってますます多くの入力及び出力、それゆえますます高い接続性、及びさらなる安全性、並びにそれゆえ大きなチャンネル幅を必要とする、今日の要求に不適合である。
【0024】
これらの欠点に対する部分的な改善のために、先行技術は、デジタル透明プロセッサの使用を既に採用しており、その動作が図2によって例証されている。
【0025】
図2の図解は、各入力が1つ以上の入力チャンネル又はサブチャンネルI1〜IXと関連する一組の入力点IN及び、それに1つ以上の出力チャンネル又はサブチャンネルO1〜OYが接続される一組の出力点OUTを有する、最近の通信衛星の搭載機器の、非常に単純化された表現である。図2に表わされる搭載機器は、さらにデジタル透明プロセッサDTP0を含む。最近の先行技術におけるデジタル透明プロセッサの使用は、接続性の多重度の問題を部分的に解決できるようにする。それゆえ、デジタル透明プロセッサDTP0は、個々にチャンネル及びサブチャンネルI1〜IXを管理し、それらに個別化されたデジタル処理及び個別化されたゲインを加え、それらを任意の出力チャンネル又はサブチャンネルO1〜OYに接続することが可能である。従って、デジタル透明プロセッサDTP0は、任意の入力の入口又は点INから任意の出力手段又は点OUTへの、チャンネル又はサブチャンネルの経路指定及び制御と、それを出力スペクトルの任意の部分内に、すなわち出力点OUTの任意の適合する周波数に位置付けることを可能にする。このタイプの技術はまた、各チャンネル又はサブチャンネルに関連するゲインを調整することができ得るために、今日の通信衛星の能力を最適化できるようにする。
【0026】
今日のデジタル透明プロセッサDTP0の問題は、それらがチャンネルの「静的な」経路指定のみを可能にするという事実にある。衛星の機上において信号の経路指定をするための構成は固定されている。それは、一般に1時間かかる遅い再構成によってのみ、使用中変更されることができ、それは着信信号が変動する速さには全く適合しない。従って、送信局により衛星に向けて送信された信号が「周波数ホッピング」モードに移行するとき、「周波数ホッピング帯域」と呼ばれる、信号によって占められる全帯域幅は、所定の時間に信号によって占められる帯域よりも遥かに大きくなり、それに関しては一方で基本的に送信されるべき情報の量に依存する。デジタル透明プロセッサDTP0を用いて、衛星の機上における経路指定の構成は固定されるか、又はゆっくりと再構成され得る。衛星のチャンネル構成はそれゆえかなり広く、従って限られた衛星の帯域幅に対しては少数のチャンネル又はサブチャンネルを課するホッピング帯域に適合しなければならない。それに反してチャンネル構成が、本発明により推奨されるような、そして以下で与えられる図3の説明によるアジャイル・デジタル透明プロセッサによって、素早く再構成され得るようになる場合、サブチャンネルの構成はアップリンク信号の速い変動に追従し、「瞬時の有用な帯域」(“instantaneous useful band”)と呼ばれる、所定の時間における信号の真に有用な帯域に適合し得る。この瞬時の帯域は、ホッピング帯域よりも1〜3桁小さく、サブチャンネルの数は1〜3桁増加し、接続性もまた1〜3桁増すことを可能にし得る。
【0027】
デジタル透明プロセッサDTP0が用いるべき周波数プランは、次に前記送信局からの遠隔制御によって定義される。従って、今日のデジタル透明プロセッサDTP0は、「周波数ホッピング」モードで機上において信号を処理し、送信する能力を提示しない。それらはサブチャンネルを少なくともホッピング帯域に等しい帯域幅に拡大することによってのみ、それらの経路を指定でき、DTP0のサブチャンネル構成によって達成される、増加した接続性の利点を失う。
【0028】
さらに、サブチャンネルI1〜IXが「周波数ホッピング」モードに移行し、デジタル透明プロセッサDTP0の様々な出力、従って様々なチャンネル又はサブチャンネルO1〜OYへ経路指定される傾向がある場合、この拘束は、ダウンリンク上を含めて、すなわち通信衛星の出力において、「周波数ホッピング」モードに関連する全てのチャンネル及びサブチャンネルの切り替えを強制し、それは出力点OUTにおける衝突を防ぐために、「周波数ホッピング」モードに切り替えるデジタル透明プロセッサDTP0内で、全ての通信量が処理されるように素早く導き得る。
【0029】
これによって、例え「周波数ホッピング」通信の使用が、とりわけ衛星へのアップリンクに対して有用であるとしても、ダウンリンクもまた「周波数ホッピング」モードになるであろう。
【0030】
その結果、幾つかのサブチャンネルが「周波数ホッピング」モードに移行するや否や、もはや今日の世代のデジタル透明プロセッサDTP0を用いて、サブチャンネルを個々に管理することは不可能である。これは衛星からのダウンリンク上の帯域幅の過剰消費において反映される。
【0031】
本発明との関連において、いわゆるアジャイル・デジタル透明プロセッサが開発されたのは、今日のデジタル透明プロセッサにおける前述の欠点を緩和するためである。これらのアジャイル・デジタル透明プロセッサは、非常に速く再構成可能であり、特に各周波数のホッピングに適合できるという利点を有する。
【0032】
図3はアジャイル・デジタル透明プロセッサを装備した、搭載機器の動作を図式的に示す。
【0033】
図3に部分的及び図式的に示される搭載機器は、一組の入力点I1、I2、I3及び一組の出力O1、O2、O3を有する。入力チャンネルとサブチャンネルI1、I2、I3、及び出力チャンネルとサブチャンネルO1、O2、O3は、数百MHzの帯域幅を持ち得る。デジタル透明プロセッサDTP1は「アジャイル」である、すなわち非常に速く再構成可能であるという固有の特徴を有する。
【0034】
従ってアジャイル・デジタル透明プロセッサDTP1は、「周波数ホッピング」モードにおける例えばI1と、そして固定周波数で動作するその他の例えばI2とI3との複数チャンネル又はサブチャンネルを、並行して管理することができる。事実、本発明のデジタル透明プロセッサDTP1は、衛星の機上における信号の経路指定の再構成をリアルタイムで可能にする、望ましくは機上装置である装置CTRLを用いて構成され得る。本発明の好適な実施形態において、アジャイル・デジタル透明プロセッサDTP1による衛星の機上における信号の経路指定の再構成は、衛星へのアップリンク信号が「周波数ホッピング」モードであるとき、周波数変化のタイミングに同期化される。図3が示すように、アジャイル・デジタル透明プロセッサDTP1は、一組のサブチャンネルIDTP及び一組の出力サブチャンネルODTPを有する。機上における信号の経路指定の構成は、図3の矢印が示すように、衛星の機上における接続性を管理することにある。入力チャンネル又はサブチャンネルI1、I2、I3は処理され、出力チャンネル又はサブチャンネルO1、O2、O3に接続される。本発明の固有の特徴は、衛星の機上における前記信号の経路指定の構成を非常に速く変更する、アジャイル・デジタル透明プロセッサDTP1によって提供される機能、及びダウンリンク信号の周波数に関する位置決定にある。アジャイル・デジタル透明プロセッサDTP1の出力信号の、この可変周波数の位置決定は、固定周波数信号に対して完全な逆拡散を構成し得るか、又は各信号の周波数位置の素早い制御を通じて、アップリンクの拡散とは異なる再拡散を構成し得る。
【0035】
この機能を提供するため、本発明は、デジタル透明プロセッサDTP1により、衛星の機上における信号経路指定の構成のリアルタイムでの変更を可能にする、望ましくはアップリンク信号の周波数変化に同期化された、制御装置CTRLの使用に立脚する。この目的のために、専用の高速通信リンクは、制御装置CTRLがアップリンク信号の周波数変化に関する情報を追跡できるようにし、前記情報はアップリンク信号を「周波数ホッピング」モードで送信する地上局によって送信される。
【0036】
これに関連して、専用の高速リンクはアップリンク信号の周波数変化のタイミングと一致しなければならず、前記アップリンク信号は同じクロック基準で同期化される必要があり、前記クロック基準はまた衛星の機上においても分配される必要があることに注意されたい。これは、衛星の機上における信号経路指定の再構成のタイミングを、アジャイル・デジタル透明プロセッサDTP1を経由して、「周波数ホッピング」モードで、アップリンク信号の周波数変化のタイミングに同期化させる可能性を保証できるようにする。
【0037】
要約すると、本発明は、通信衛星に関連してアジャイル・デジタル透明プロセッサを開発及び使用することにある。
【0038】
本発明は、ホッピング帯域とも呼ばれる、アップリンクの拡散帯域と、衛星内の信号の経路指定用に使われる帯域との非相関を可能にする、主要な利点を有する。ダウンリンクに対して使用される帯域もまた、瞬時の有用な帯域に制限されるか、又はアジャイルDTPの出力における、可変周波数の位置決定により発生する拡散によって広げられ得る。これによって、本発明は一方で、広帯域におけるアップリンクの拡散の可能性による、通信衛星の保護能力の最適化と、他方で、サブチャンネル数が増やされることができ、ダウンリンクにおいて使われる帯域幅が瞬時の有用な通信帯域に制限されることが可能であり、アップリンクの拡散帯域にまで広げられ得ないため、前記通信衛星の接続性及び全体的能力の最適化とを可能にする。
図1
図2
図3