特許第5707813号(P5707813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5707813
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】素子評価用半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20150409BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20150409BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20150409BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   G01R31/28 V
   H01L21/66 Y
   H01L21/66 F
   H01L27/04 T
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2010-214593(P2010-214593)
(22)【出願日】2010年9月25日
(65)【公開番号】特開2012-68174(P2012-68174A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2013年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111763
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100117455
【弁理士】
【氏名又は名称】千ヶ崎 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100163832
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直哉
(72)【発明者】
【氏名】浅野 正通
【審査官】 柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−012900(JP,A)
【文献】 特開平06−027205(JP,A)
【文献】 特開平07−014900(JP,A)
【文献】 特開平09−326473(JP,A)
【文献】 特開2002−074990(JP,A)
【文献】 特開2003−264457(JP,A)
【文献】 特開2004−241106(JP,A)
【文献】 特開2005−227129(JP,A)
【文献】 特開2010−050365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28−31/3193
H01L 21/66
21/822
27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ上に設けられた第1の高電位電源電極および前記第1の高電位電源電極に接続された第1の高電位電源線と、
前記半導体チップ上に設けられた第2の高電位電源電極および前記第2の高電位電源電極に接続された第2の高電位電源線と、
前記半導体チップ上に設けられた第1の低電位電源電極および前記第1の低電位電源電極に接続された第1の低電位電源線と、
前記半導体チップ上に設けられた第2の低電位電源電極および前記第2の低電位電源電極に接続された第2の低電位電源線と、
前記半導体チップ上に設けられた第1のモニタ電極および前記第1のモニタ電極に接続された第1のモニタ信号線と、
前記半導体チップ上に設けられた第2のモニタ電極および前記第2のモニタ電極に接続された第2のモニタ信号線と、
前記半導体チップ上に形成され、多段接続された複数の論理ゲートからなり、各論理ゲートが前記半導体チップの各辺の延在方向の1つであるX方向およびこのX方向と直交するY方向に離散して配置されたゲートチェーンであって、互いに前後した2個の論理ゲートのうちの一方が第1のグループに他方が第2のグループに属するように各論理ゲートがグループ分けされており、第1のグループに属する各論理ゲートが前記第1の高電位電源線および第1の低電位電源線を介して電源電圧の供給を受け、第2のグループに属する各論理ゲートが前記第2の高電位電源線および第2の低電位電源線を介して電源電圧の供給を受けるゲートチェーンと、
前記第1のグループに属する各論理ゲートの出力ノードの各々と前記第1のモニタ信号線との間に各々介挿された複数の第1のスイッチと、
前記第2のグループに属する各論理ゲートの出力ノードの各々と前記第2のモニタ信号線との間に各々介挿された複数の第2のスイッチと、
各々前記第1のスイッチに対応した第1Xアドレス一致線および前記第2のスイッチに対応した第2Xアドレス一致線からなる組であり、前記X方向に配列された複数のXアドレス一致線ペアと、
各々前記第1のスイッチに対応した第1Yアドレス一致線および前記第2のスイッチに対応した第2Yアドレス一致線からなる組であり、前記Y方向に配列された複数のYアドレス一致線ペアと、
前記第1のグループに属する各論理ゲートの出力ノードに各々対応付けて設けられており、前記複数の第1Xアドレス一致線のうちの1本および複数の第1Yアドレス一致線の1本に各々接続されており、当該第1Xアドレス一致線および当該第1Yアドレス一致線の両方がアクティブレベルとされることにより当該出力ノードに接続された前記第1のスイッチをONとする複数の第1アドレス一致検出部と、
前記第2のグループに属する各論理ゲートの出力ノードに各々対応付けて設けられており、前記複数の第2Xアドレス一致線のうちの1本および複数の第2Yアドレス一致線の1本に各々接続されており、当該第2Xアドレス一致線および当該第2Yアドレス一致線の両方がアクティブレベルとされることにより当該出力ノードに接続された前記第2のスイッチをONとする複数の第2アドレス一致検出部と、
モニタ対象とする1個または2個の論理ゲートの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスを発生するモニタアドレス発生手段と、
モニタ対象である論理ゲートが前記第1のグループに属する場合には、前記複数の第1Xアドレス一致線のうちXアドレスにより指定された第1Xアドレス一致線をアクティブレベルとし、モニタ対象である論理ゲートが前記第2のグループに属する場合には、前記複数の第2Xアドレス一致線のうちXアドレスにより指定された第2Xアドレス一致線をアクティブレベルとするXアドレスデコード手段と、
モニタ対象である論理ゲートが前記第1のグループに属する場合には、前記複数の第1Yアドレス一致線のうちYアドレスにより指定された第1Yアドレス一致線をアクティブレベルとし、モニタ対象である論理ゲートが前記第2のグループに属する場合には、前記複数の第2Yアドレス一致線のうちYアドレスにより指定された第2Yアドレス一致線をアクティブレベルとするYアドレスデコード手段と
を具備することを特徴とする素子評価用半導体集積回路。
【請求項2】
p型の半導体基板にn型の第1のウェルが形成され、前記第1のウェル内に前記第1のウェルよりも浅いp型の第2のウェルが形成され、前記半導体基板における前記第1のウェルが形成されていない領域にn型の第3のウェルが形成され、
前記ゲートチェーンを構成するPチャネルMOS電界効果トランジスタは、前記第1のウェル内の前記第2のウェルが形成されていない領域に形成され、前記ゲートチェーンを構成するNチャネルMOS電界効果トランジスタは前記第2のウェル内に形成され、
前記ゲートチェーン以外の回路を構成するPチャネルMOS電界効果トランジスタは、前記第3のウェル内に形成され、前記ゲートチェーン以外の回路を構成するNチャネルMOS電界効果トランジスタは前記半導体基板において前記第1のウェルおよび前記第3のウェルのいずれも形成されていない領域内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の素子評価用半導体集積回路。
【請求項3】
n型の半導体基板にp型の第1のウェルが形成され、前記第1のウェル内に前記第1のウェルよりも浅いn型の第2のウェルが形成され、前記半導体基板における前記第1のウェルが形成されていない領域にp型の第3のウェルが形成され、
前記ゲートチェーン以外の回路を構成するNチャネルMOS電界効果トランジスタは、前記第1のウェル内の前記第2のウェルが形成されていない領域に形成され、前記ゲートチェーン以外の回路を構成するPチャネルMOS電界効果トランジスタは前記第2のウェル内に形成され、
前記ゲートチェーンを構成するNチャネルMOS電界効果トランジスタは、前記第3のウェル内に形成され、前記ゲートチェーンを構成するPチャネルMOS電界効果トランジスタは前記半導体基板において前記第1のウェルおよび前記第3のウェルのいずれも形成されていない領域内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の素子評価用半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、微細化プロセスにより製造される大規模な半導体集積回路の素子の特性ばらつきを高精度に評価するための素子評価用TEG(Test Element Group)として好適な素子評価用半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細プロセス化が進み、半導体チップに搭載する回路の大規模化、低電圧化および省電力化の要求が強くなってきている。特に省電力化に関しては、電力換算で現状の10分の1の目標が提示されている。しかしながら、微細化によりトランジスタの特性ばらつきの程度が大きくなり、さらに低電圧化により、トランジスタの特性ばらつきの回路動作への影響が大きくなったことから、安定して動作する大規模な半導体集積回路を高歩留まりで製造することが困難になってきている。そこで、半導体プロセスの最適化制御に用いる情報を取得するための手段として、大規模な数の素子を備えた素子評価用半導体集積回路を製造し、その評価を行うという手段が用いられる。この種の素子評価用半導体集積回路の一例として、大規模なインバータチェーンを備えたもの、具体的には図12に例示するように大規模な数のインバータを多段接続したリングオシレータを備えたものや、図13に例示するように半導体チップの全面に亙って多数のインバータを行列状に配置したものがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】2009年8月25日に開催されたSTARCフォーラム/シンポジウムの講演資料“グリーン化の切り札:極低電力回路・システム技術”、講演者:東京大学・桜井貴康、株式会社半導体理工学研究センター・篠原尋史
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の素子評価用半導体集積回路によれば、電源電圧等の動作条件を各種変えてインバータチェーンを動作させ、その動作確認を行うことにより、インバータチェーンを構成する大規模な数のトランジスタの電気的特性が全体的に適切なものになっているか否かといった観点でのグローバルな評価をすることができる。しかしながら、例えば非特許文献1においても報告されているように、比較的動作マージンの広いロジック回路においても、極低電圧の条件下では、局所的なトランジスタ特性のばらつき等に起因して、極一部の回路(インバータ等)が動作不能になり、これによりチップ全体が不良となる。従って、チップ全体の不良の原因を究明するためには、動作不能になっているインバータ等の回路を特定し、その回路の電気的特性を詳細に評価する必要がある。しかしながら、上述した従来の素子評価用半導体集積回路では、例えば図12のリングオシレータの電源電圧を低下させていった場合において、左から4番目のインバータが動作不能となり、リングオシレータの発振が止まった場合に、発振が止まったという事実を確認することはできても、動作不能になっているのが4番目のインバータであることを判定することはできない。図13の素子評価用半導体集積回路に関しても同様である。このように従来の素子評価用半導体集積回路は、大規模なインバータチェーンによる動作解析は可能であるが、膨大な数のインバータが存在するので、不良の原因となっているインバータを特定することができず、そのインバータにおけるトランジスタの特性を調べることができなかった。
【0005】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、インバータ等の論理ゲートからなる大規模なゲートチェーンを有し、そのゲートチェーンにおいて不良の原因となっている論理ゲートを特定することが容易な素子評価用半導体集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、多段接続された複数の論理ゲートからなるゲートチェーンと、モニタ信号線と、前記ゲートチェーンにおける各論理ゲートの出力ノードと前記モニタ信号線との間に各々介挿され、当該モニタユニットを指示する制御信号が与えられることにより、前記モニタ信号線に当該出力ノードの電圧に依存した信号を発生させる複数のモニタユニットと、前記ゲートチェーンにおける複数の論理ゲートの出力ノードを順次モニタ対象とし、モニタ対象とする論理ゲートの出力ノードに接続されたモニタユニットを指示する制御信号を発生するモニタユニット選択手段とを具備することを特徴とする素子評価用半導体集積回路を提供する。
【0007】
かかる発明によれば、各論理ゲートの出力ノードに接続された各モニタユニットが順次選択され、各モニタユニットにより、各論理ゲートの出力ノードの電圧に依存した信号がモニタ信号線に発生される。従って、モニタ信号線に発生する信号を監視することにより、ゲートチェーンを構成する複数の論理ゲートのうちのどの論理ゲートが動作不能になっているのかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の第1実施形態である素子評価用半導体集積回路の一部の構成を示す回路図である。
図2】同実施形態におけるインバータチェーンの回路構成例を示す回路図である。
図3】この発明の第2実施形態である素子評価用半導体集積回路の構成を示す回路図である。
図4】この発明の第3実施形態である素子評価用半導体集積回路のモニタユニットの構成を示す回路図である。
図5】この発明の第4実施形態である素子評価用半導体集積回路のモニタユニットの構成を示す回路図である。
図6】同実施形態によるモニタユニットを利用したインバータの出力電圧のモニタ方法の具体例を説明する図である。
図7】この発明の第5実施形態である素子評価用半導体集積回路の構成を示す回路図である。
図8】同素子評価用半導体集積回路の一部の構成を詳細に示す回路図である。
図9】同実施形態において、リングオシレータにおける所望のインバータの入出力伝達特性を測定する方法およびそのインバータにおけるNチャネルトランジスタ、Pチャネルトランジスタの電気的特性を測定する方法を示す図である。
図10】この発明による素子評価用半導体集積回路に適したダブルWELL構造の半導体チップの構成例を示す断面図である。
図11】この発明による素子評価用半導体集積回路に適したダブルWELL構造の半導体チップの他の構成例を示す断面図である。
図12】素子評価用半導体集積回路に用いられるリングオシレータの構成例を示す回路図である。
図13】素子評価用半導体集積回路に用いられるインバータチェーンの構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態である素子評価用半導体集積回路の一部の構成を示す回路図である。この素子評価用半導体集積回路は、ゲートチェーンの一形態であるインバータチェーンを有するとともに、このインバータチェーンを構成する各インバータの出力ノードの電圧を個別的に検出するモニタ手段を有している。
【0011】
図1において、モニタ信号線MONは、半導体チップ上においてインバータチェーンを構成する各インバータの近傍を通過するように配線されている。このモニタ信号線MONは、半導体チップ上に設けられたボンディングパッドに接続されている(図1では図示略)。従って、半導体集積回路の外部からモニタ信号線MONの電圧を確認することが可能である。
【0012】
また、図1には、インバータチェーンの一部として、相前後した2個のインバータINV1およびINV2が図示されている。そして、図1に示す例では、インバータINV1の出力ノードとモニタ信号線MONとの間にモニタユニットMUaが介挿されている。このモニタユニットMUaは、当該モニタユニットMUaを指示する信号が与えられることにより、モニタ信号線MONに当該出力ノード(この例ではインバータINV1の出力ノード)の電圧に依存した信号を発生させる回路である。図示は省略したが、インバータチェーンを構成する他のインバータの各出力ノードにも同様なモニタユニットMUaが接続されている。
【0013】
図1に示すように、モニタユニットMUaは、スイッチSWとアドレス一致検出部ADETとを有する。ここで、スイッチSWは、PチャネルMOS電界効果トランジスタ(以下、単にPチャネルトランジスタという)とNチャネルMOS電界効果トランジスタ(以下、単にNチャネルトランジスタという)とからなるCMOSアナログスイッチであり、インバータINV1の出力ノードとモニタ信号線MONとの間に介挿されている。
【0014】
アドレス一致検出部ADETには、アドレス一致信号AXおよびAYが与えられる。ここで、アドレス一致信号AXおよびAYについて説明する。本実施形態においてインバータチェーンを構成する各インバータは、半導体チップの一辺に沿った方向であるX方向およびこれと直交するY方向に沿って行列状に配置されている。そして、本実施形態では、各インバータの出力ノードは、当該出力ノードがX方向に沿って何番目に位置しているかを示すXアドレスと、Y方向に沿って何番目に位置しているかを示すYアドレスとを有しており、モニタ対象とするインバータの出力ノードがこのXアドレスとYアドレスにより特定されるようになっている。図1に示す例において、アドレス一致信号AXは、モニタ対象であるインバータの出力ノードのXアドレスがインバータINV1の出力ノードのXアドレスと一致しているときにアクティブレベルとなり、アドレス一致信号AYは、モニタ対象であるインバータの出力ノードのYアドレスがインバータINV1の出力ノードのYアドレスと一致しているときにアクティブレベルとなる。そして、アドレス一致検出部ADETは、図示の例ではNANDゲートとインバータにより構成されており、当該モニタユニットMUaを指示するアドレス一致信号が与えられること、より具体的にはアドレス一致信号AXおよびAYの両方がアクティブレベルになることにより、スイッチSWをONとする信号を出力する。
【0015】
本実施形態では、インバータチェーンに対して電源電圧を供給する給電系統と、インバータチェーン以外の回路(モニタユニットMUaを含む)に対して電源電圧を供給する給電系統は別になっている。そして、本実施形態では、インバータチェーンに対して与える高電位電源電圧VDDCおよび低電位電源電圧VSSCをインバータチェーン以外の回路に対する電源電圧に対して独立に変化させることが可能である。従って、本実施形態によれば、インバータチェーンに関して次のような特性評価を行うことが可能である。
【0016】
すなわち、インバータチェーン以外の回路に対する電源電圧を十分に高く維持した状態で、インバータチェーンに対する電源電圧VDDC−VSSCを低下させ、インバータチェーンが動作しなくなった電源電圧において、複数のモニタユニットMUaにより、インバータチェーンを構成する各インバータの出力ノードを順次選択してモニタ信号線MONに接続し、半導体集積回路の外部からモニタ信号線MONを介して各インバータの出力ノードの電圧を確認するのである。
【0017】
この確認を行うことにより、インバータチェーンの動作を停止させている原因となっているインバータが判明する。具体的には、入力信号がLレベルであるのにHレベルを出力していないインバータ、入力信号がHレベルであるのにLレベルを出力していないインバータ、あるいはLレベルでもなく、Hレベルでもない中間レベルを出力しているインバータである。この動作停止の原因となっているインバータが判明すれば、後はそのインバータの電気的特性を詳細に調べることにより、動作不良を生じさせるプロセス上の原因を調べることができる。
【0018】
半導体集積回路の外部において、モニタ信号線MONに与えられるインバータの出力ノードの電圧を精度良く測定するためには、モニタユニットMUaのスイッチSWのON抵抗が十分に小さいことが望ましい。そのためには、モニタユニットMUa等のインバータチェーン以外の回路を高耐圧のトランジスタにより構成し、かつ、インバータチェーン以外の回路を十分に高い電源電圧で動作させることにより、スイッチSWを構成するPチャネルトランジスタおよびNチャネルトランジスタに十分に大きなゲート電圧を与えることが好ましい。
【0019】
インバータチェーンの回路構成に関しては、各種の態様が考えられる。図2(a)〜(e)は、各々その例を示すものである。図2(a)に示す例では、インバータチェーンは多数のインバータを閉ループ状に接続したリングオシレータとなっている。この例では、リングオシレータの途中のノードから半導体集積回路の外部に信号を取り出す出力バッファやボンディングパッドが設けられていない。従って、いずれかのモニタユニットMUaのスイッチSWをONにして、リングオシレータの途中のノードの信号をモニタ信号線MONに出力させ、半導体集積回路の外部からモニタ信号線MONの信号波形を観測し、リングオシレータが発振しているか否かを確認することとなる。
【0020】
図2(b)に示す例では、リングオシレータの途中のノードの信号を半導体集積回路の外部に取り出すための出力バッファOBおよびボンディングパッドが設けられている。この場合、リングオシレータの動作限界を求めるために、リングオシレータ以外の回路(出力バッファOBを含む)の電源電圧を高く維持した状態でリングオシレータの電源電圧を低下させてゆくので、出力バッファOBとしてはレベルシフト機能を持ったものが用いられる。
【0021】
図2(c)に示す例では、半導体集積回路の外部からの入力信号INがボンディングパッドおよび入力バッファIBを介してインバータチェーンに入力され、インバータチェーンの出力信号が出力バッファOBおよびボンディングパッドを介して半導体集積回路外部に出力されるようになっている。この構成は、外部からの入力信号INを変化させることによりインバータチェーンを構成する各インバータの出力ノードの電圧の期待値を変えることができる。従って、インバータチェーンの動作限界に関して、より詳細な調査を行うことができるという利点がある。図2(b)の場合と同様、この図2(c)の構成でも、出力バッファOBはレベルシフト機能を持ったものが用いられる。
【0022】
図2(d)の例では、リングオシレータの途中にNANDゲートが介挿されており、外部から与えるイネーブル信号ENにより、リングオシレータを発振させたり、停止させることができる。この場合、NANDゲートは、出力ノードおよび低電位電源線間に直列接続された2個のNチャネルトランジスタを含んでいる。従って、このNANDゲートがリングオシレータの動作を停止させる原因とならないように、NANDゲートの2個のNチャネルトランジスタを十分にトランジスタサイズの大きなものにしておくことが好ましい。
【0023】
図2(e)に示す例では、インバータを多段接続したインバータチェーンの先頭部分に、先頭のインバータに対する入力信号を最後尾のインバータの出力信号とするか、半導体集積回路の外部から与えられる入力信号INとするかを、外部から与えられる選択信号SELに基づいて切り換えるスイッチが設けられている。このスイッチは、例えばCMOSアナログスイッチにより構成されている。選択信号SELに基づいてスイッチを駆動する入力バッファIBは、インバータチェーンの電源電圧とは独立した十分に高い電源電圧が与えられる。この構成によれば、インバータチェーンをリングオシレータとして動作させるか、入力信号INに応答させるかを切り換えることができる。従って、インバータチェーンの動作限界に関して、より詳細な調査を行うことができるという利点がある。また、この構成では、スイッチを構成するPチャネルトランジスタおよびNチャネルトランジスタに対して十分に大きなゲート電圧が与えられるので、スイッチがインバータチェーンの動作停止の原因となるのを回避することができる。なお、図2(b)、図2(c)の出力バッファOBは、この例ではレベルシフトにより構成しているが、このレベルシフトにより動作マージンを決めないような設定が必要である。高精度の評価装置を用いる場合には、一般的な出力バッファに置き換えても良い。
【0024】
<第2実施形態>
図3はこの発明の第2実施形態である素子評価用半導体集積回路の構成を示す回路図である。図3において、インバータチェーン100は、半導体チップのX方向(図3では上から下へ向かう方向)およびY方向(図3では左から右へ向かう方向)に沿って行列状に配列されたL個(Lは奇数)のインバータにより構成されている。ここで、インバータチェーン100における各インバータは、全体として1つの閉ループをなすように、互いに隣り合ったインバータの出力端子と入力端子が接続され、リングオシレータを構成している。このインバータチェーン100の全インバータには、専用の電極(ボンディングパッド)および電源線を介して高電位電源電圧VDDCおよび低電位電源電圧VSSCが供給される。
【0025】
モニタ信号線MONは、インバータチェーン100を構成する各インバータに沿って半導体チップ上に配線され、モニタ電極としてのボンディングパッドに接続されている。インバータチェーン100の各インバータの出力ノードとこのモニタ信号線MONとの間にはモニタユニットMUが各々介挿されている。このモニタユニットMUは、モニタ対象となるインバータの出力ノードの電圧に依存した信号をモニタ信号線MONに発生させる回路であり、上述した第1実施形態のモニタユニットMUaでもよく、後述する第3実施形態のモニタユニットMUbあるいは第4実施形態のモニタユニットMUcであってもよい。
【0026】
インバータチェーン100が占める領域内において、X方向およびY方向に並んだ各インバータの出力ノードは、当該出力ノードがX方向に沿って何番目の出力ノードであるかを示すXアドレスと、当該出力ノードがY方向に沿って何番目の出力ノードであるかを示すYアドレスを有している。そして、インバータチェーン100が占める領域内には、Y方向に互いに離間して並び、X方向に延在するn本のYアドレス一致線AY(j)(j=0〜n−1)と、X方向に互いに離間して並び、Y方向に延在するm本のXアドレス一致線AX(i)(i=0〜m−1)とが配線されている。ここで、各Yアドレス一致線AY(j)(j=0〜n−1)は、Yアドレスがjである最大m個のインバータの各出力ノードに接続された各モニタユニットMUに各々接続されており、前掲図1のYアドレス一致線AYとしての役割を果たす。また、各Xアドレス一致線AX(i)(i=0〜m−1)は、Xアドレスがiである最大n個のインバータの各出力ノードに接続された各モニタユニットMUに各々接続されてり、前掲図1のXアドレス一致線AXとしての役割を果たす。
【0027】
モニタアドレス発生部MAGAは、インバータチェーン100の各インバータのうちモニタ対象とするインバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスを発生する回路である。このモニタアドレス発生部MAGAは、モード電極であるボンディングパッドと、クロック電極であるボンディングパッドに接続されている。モニタアドレス発生部MAGAには、モード電極を介してモード指定信号が与えられ、クロック電極を介してクロックが与えられる。
【0028】
モード指定信号が“0”であるとき、モニタアドレス発生部MAGAは、クロックのカウントを行わず、XアドレスおよびYアドレスの両方を0とする。一方、モード指定信号が“1”であるとき、モニタアドレス発生部MAGAは、クロックのカウントを行い、カウント値に基づいてXアドレスおよびYアドレスを更新する。
【0029】
YデコーダYDECj(j=0〜n−1)は、Y方向に沿って配置され、Yアドレス一致線AY(j)(j=0〜n−1)に各々接続されており、全体としてYアドレスデコード回路を構成している。各YデコーダYDECj(j=0〜n−1)には、モニタアドレス発生部MAGAからYアドレスが供給される。YデコーダYDECj(j=0〜n−1)の各々は、YアドレスがjであるときにYアドレス一致線AY(j)をアクティブレベルとする。XデコーダXDECi(i=0〜m−1)は、X方向に沿って配置され、Xアドレス一致線AX(i)(i=0〜m−1)に各々接続されており、全体としてXアドレスデコード回路を構成している。各XデコーダXDECi(i=0〜m−1)には、モニタアドレス発生部MAGAからXアドレスが供給される。XデコーダXDECi(i=0〜m−1)の各々は、XアドレスがiであるときにXアドレス一致線AX(i)をアクティブレベルとする。
【0030】
モニタアドレス発生部MAGAの構成に関しては各種の態様が考えられる。ある好ましい態様において、モニタアドレス発生部MAGAは、クロックに同期して0〜n−1までのカウントを繰り返し行うn進カウンタと、このn進カウンタのカウント値がn−1から0に戻るときのクロックに同期して0〜m−1までのカウントを繰り返し行うm進カウンタを有する。ここで、n進カウンタおよびm進カウンタは、モード指定信号が“0”であるときはリセット状態となり、モード指定信号が“1”であるときにクロックのカウントを行う。そして、n進カウンタのカウント値がそのままYアドレスとして出力され、m進カウンタのカウント値がそのままXアドレスとして出力されるのである。
【0031】
インバータチェーン100において、リングオシレータの一部をなす連続したn個のインバータが最上の一行に左から右に順次並び、次の連続したn個のインバータが2番目の一行に左から右に順次並び、…という具合に、各インバータがいわばラスタスキャン順に並んでいる場合には、このようなモニタアドレス発生部MAGAが好都合である。この場合において、モニタアドレス発生部MAGAが順次出力するXアドレスおよびYアドレスを利用すると、リングオシレータにおける1番目のインバータの出力ノード、2番目のインバータの出力ノード、3番目のインバータの出力ノード、…という具合に、リングオシレータにおける信号の伝搬順に従って各インバータの出力ノードがモニタ信号線MONに順次接続される。従って、リングオシレータにおける信号の伝搬順序に従って各インバータの出力ノードの電圧を半導体集積回路の外部において確認し、各インバータの出力信号がHレベル、Lレベル、Hレベル、…という具合に規則的にレベル反転しているか、そのような規則性から外れる動作異常が起こっているかを容易に確認することができる。
【0032】
しかしながら、図3に示すように、リングオシレータを構成する各インバータがラスタスキャン順に並んでいない場合には、上記のようなモニタアドレス発生部MAGAを用いると、リングオシレータ内における信号の伝搬順序とは異なった順序で、各インバータの出力ノードが選択され、モニタ信号線MONに接続されることとなる。例えば図3の例において、リングオシレータでは、最上行の右端のインバータの次段のインバータは、その下の行の右端のインバータである。しかし、上記のモニタアドレス発生部MAGAが発生するXアドレス、Yアドレスに従って、インバータの出力ノードのモニタ信号線MONへの接続制御を行うと、最上行の右端のインバータの出力ノードがモニタ信号線MONへ接続された後、その下の行の左端のインバータの出力ノードがモニタ信号線MONへ接続されることとなる。
【0033】
従って、リングオシレータ内における信号の伝搬順序に従って各インバータの出力ノードの電圧を確認する必要がある場合には、モニタ信号線MONを介して半導体集積回路の外部に出力される各インバータの出力ノードの電圧をリングオシレータでの信号の伝搬順序となるように並び替える操作が必要になる。
【0034】
他の好ましい態様において、モニタアドレス発生部MAGAは、クロックに同期して0〜L−1までのカウントを行うL進カウンタとアドレス変換回路とを有する。ここで、L進カウンタのカウント値は、リングオシレータ内の所定のインバータを0番目のイバータとした場合に、モニタ対象であるインバータがリングオシレータ内での信号の伝搬方向に沿って何番目のインバータに当たるかを示す。そして、アドレス変換回路は、モニタ対象であるインバータの順位を示すカウント値を、当該インバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスの組に変換するのである。このようなアドレス変換回路は、例えばROMにより構成することが可能である。
【0035】
この態様によれば、リングオシレータを構成する各インバータがラスタスキャン順に並んでいない場合においても、リングオシレータ内における信号の伝搬順序に従って各インバータの出力ノードの電圧を半導体集積回路の外部に出力させることができる。
【0036】
以上の構成において、モニタアドレス発生部MAGA、YデコーダYDECj(j=0〜n−1)、XデコーダXDECi(i=0〜m−1)は、モニタ対象とする論理ゲートの出力ノードに接続されたモニタユニットMUを指示する制御信号を発生するモニタユニット選択手段を構成している。そして、インバータチェーン100以外の制御回路、具体的にはモニタユニット選択手段をなす各回路とm×n個のモニタユニットMUには、インバータチェーン100用のものとは別のボンディングパッドおよび電源線を介して高電位電源電圧VDDおよび低電位電源電圧VSSが供給される。従って、本実施形態によれば、インバータチェーン100に関して次のような特性評価を行うことが可能である。
【0037】
まず、モード指定信号を“0”とする。そして、インバータチェーン100以外の回路に対する電源電圧VDD−VSSを十分に高く維持した状態で、インバータチェーン100に対する電源電圧VDDC−VSSCを徐々に低下させる。この間、リングオシレータであるインバータチェーン100の発振動作を確認する。具体的にはモニタ信号線MONを介して半導体集積回路外部に出力されるリングオシレータの1番目のインバータの出力ノードの電圧を観測する。
【0038】
モニタ電極の出力信号波形からリングオシレータの発振が止まったことを確認すると、リングオシレータに対する電源電圧VDDC−VSSCを固定し、モード指定信号を“1”にする。これにより、リングオシレータを構成する各インバータの出力ノードが順次選択されてモニタ信号線MONに接続され、半導体集積回路の外部に各インバータの出力ノードの電圧が出力される。この各出力ノードの電圧を確認することにより、リングオシレータを停止させている原因となっているインバータを求める。このインバータの電気的特性を詳細に調べることにより、動作不良を生じさせるプロセス上の原因を調べるのである。
【0039】
<第3実施形態>
本実施形態では、上記第2実施形態(図3)におけるモニタユニットMUとして、図4に示すモニタユニットMUbを用いる。図示のように、モニタユニットMUbは、インバータチェーンを構成する各インバータの出力ノードとモニタ信号線MONとの間に直列に介挿された2個のNチャネルトランジスタNTYおよびNTXにより構成されている。
【0040】
ここで、NチャネルトランジスタNTYのゲートは図3におけるアドレス一致線AYj(j=0〜n−1)のいずれかであるアドレス一致線AYに接続され、NチャネルトランジスタNTXのゲートは図3におけるアドレス一致線AXi(i=0〜m−1)のいずれかであるアドレス一致線AXに接続されている。
【0041】
そして、モニタユニットMUbでは、アドレス一致線AYおよびAXの両方がアクティブレベルとなるとき、NチャネルトランジスタNTYおよびNTXの両方がONとなり、インバータ(図4の例ではインバータINV1)の出力ノードがNチャネルトランジスタNTYおよびNTXを直列に介してモニタ信号線MONに接続される。従って、XアドレスおよびYアドレスにより指定されたインバータの出力ノードの電圧を図3におけるモニタ電極から確認することが可能である。
【0042】
ここで、アドレス一致線AYおよびAXにアクティブレベルである電圧VDDが出力され、NチャネルトランジスタNTYおよびNTXがONになっている状態において、モード信号線MONのレベルの上限は、電圧VDDからNチャネルトランジスタの閾値電圧Vthnを差し引いた電圧VDD−Vthnとなる。何故ならばモード信号線MONの電圧がこの電圧VDD−Vthn以上になると、NチャネルトランジスタNTYおよびNTXのゲート−ソース間電圧がVthn以下となり、NチャネルトランジスタNTYおよびNTXがOFFとなるからである。従って、インバータの出力ノードが取りうる電圧の範囲が0V〜VDDCである場合には、この全範囲においてインバータの出力ノードの電圧を正確に測定できるようにするため、NチャネルトランジスタNTYおよびNTXのゲート電圧となる電源電圧VDDをインバータチェーン用電源電圧VDDCよりも閾値Vthn以上高くすることが求められる。
【0043】
また、NチャネルトランジスタNTY、NTXおよびこれらに対するゲート電圧を制御する周辺回路は高い電圧が印加されるので、0.5V系の低電圧トランジスタよりは、例えば1.8V系の高電圧トランジスタを用いるのが好ましい。
【0044】
<第4実施形態>
前掲図1のモニタユニットMUaおよび前掲図4のモニタユニットMUbは、モニタ対象であるインバータの出力ノードをモニタ信号線MONに接続し、インバータの出力電圧をモニタ信号線MONに直接出力させるものであった。これらのモニタユニットMUaおよびMUbを用いたモニタ方法は、インバータの出力電圧をモニタ電極に出力するものであるので、モニタ対象であるインバータの出力電圧を高精度で測定することができる。しかし、その反面、モニタユニットMUaまたはMUbがインバータの出力ノードにモニタ信号線MONを接続したとき、モニタ信号線MONの配線寄生容量がインバータの負荷となり、リングオシレータの測定に影響を与える可能性がある。例えばリングオシレータの1つのインバータの出力ノードをモニタユニットMUaまたはMUbによりモニタ信号線MONに接続し、リングオシレータの発振時におけるインバータの出力波形をモニタ信号線を介して観測している場合において、モニタ信号線MONに介在する配線寄生容量がリングオシレータの発振動作に影響を与える場合もある。また、電源電圧VDDCの低下によりリングオシレータの発振が停止した状態において、リングオシレータの各インバータの出力ノードを順次切り換えてモニタリングする際、切り換えの都度、あるインバータの出力ノードからモニタ信号線MONが切り離され、別のインバータの出力ノードにモニタ信号線MONが接続される、ということが起こる。その際、インバータの出力ノードに雑音が与えられ、各インバータの出力ノードの電圧が変わる可能性もある。本実施形態はこの問題に対処するものである。
【0045】
本実施形態では、上記第2実施形態(図3)におけるモニタユニットMUとして、図5に示すモニタユニットMUcを用いる。図5に示すように、本実施形態におけるモニタユニットMUcは、NチャネルトランジスタMONTと、デコードスイッチDSWとにより構成されている。
【0046】
ここで、NチャネルトランジスタMONTは、モニタ対象であるインバータ(図5の例ではインバータINV1)の出力ノードにゲートが接続され、電源線VSNにソースが接続されている。この電源線VSNは、例えばインバータチェーン以外の回路に低電位電源電圧VSSを供給するためのボンディングパッドに接続されている。
【0047】
そして、デコードスイッチDSWは、NチャネルトランジスタMONTのドレインとモニタ信号線MONとの間に介挿されている。このデコードスイッチDSWは、例えば前掲図1のアドレス一致検出部ADETとスイッチSWとからなる回路により構成されている。さらに詳述すると、モニタユニットMUcのデコードスイッチDSWは、NチャネルトランジスタMONTのドレインとモニタ信号線MONとの間に介挿されたスイッチSWと、アドレス一致検出部ADETを有している。ここで、アドレス一致検出部ADETは、アドレス一致信号AYおよびAXの両方がアクティブレベルになることにより、スイッチSWをONとし、NチャネルトランジスタMONTのドレインをモニタ信号線MONに接続するのである。
【0048】
このモニタ信号線MONがNチャネルトランジスタMONTのドレインに接続された状態では、モニタ電極からモニタ信号線MONを介してNチャネルトランジスタMONTにドレイン電流を流し込むことができる。その際、NチャネルトランジスタMONTのコンダクタンスは、モニタ対象であるインバータの出力ノードの電圧に依存して大きくなる。従って、例えばリングオシレータにおける1つのインバータの出力ノードをモニタ対象とし、リングオシレータを動作させる場合において、モニタ電極に所定の電圧を与えてモニタ電極から流れ込む電流の変化を監視することにより、リングオシレータが正常に発振しているか否かを半導体集積回路外部から監視することができる。この状態において、モニタ対象であるインバータの出力ノードには後段のインバータの他にNチャネルトランジスタMONTが接続されているのみなので、インバータの負荷は軽く、リングオシレータの動作への影響は僅かである。従って、リングオシレータの動作に大きな影響を与えることなく、リングオシレータの発振限界となる電源電圧VDDCの下限値を求めることができる。
【0049】
また、電源電圧VDDCが低下し、リングオシレータの発振が止まった状態では、モニタ対象とするインバータを切り換えつつ、インバータ毎に、モニタ電極に与える電圧(≒NチャネルトランジスタMONTのドレイン電圧)とモニタ電極に流れ込む電流(=NチャネルトランジスタMONTのドレイン電流)とを測定すればよい。ここで、別に用意された、トランジスタMONTと同一サイズのトランジスタの特性(例えばVG−ID特性)を測定しておけば、その測定結果からモニタ対象であるインバータの出力ノードの電圧を推定することができる。ここで、モニタ対象とするインバータの出力ノードを切り換えたとしても、リングオシレータの各インバータの負荷の状態は変化しない。従って、モニタ対象の切り換えがリングオシレータの状態に悪影響を与えることはない。
【0050】
次に図6を参照し、本実施形態によるモニタユニットMUcを利用したインバータの出力電圧のモニタ方法の具体例について説明する。図6(a)は、NチャネルトランジスタMONTにおいて、バックゲートバイアスが0Vの状態におけるゲート電圧VCGとドレイン電流Idとの関係を例示する図である。そして、図6(b)に示すモニタ方法では、モニタ電極およびデコードスイッチDSWを介してNチャネルトランジスタMONTのドレインに電圧VD=0.05Vを与え、電源線VSNを介して同NチャネルトランジスタMONTのソースに電圧VS=0Vを与えている。ここで、モニタ電極を介して与える電圧VDを0.05Vという低い電圧にしているのは、デコードスイッチDSWのON/OFFが切り換わるときにNチャネルトランジスタMONTのドレインおよびゲート間のカップリング容量を介してインバータチェーンのインバータの出力ノードに伝搬するスイッチングノイズを極力小さくするためである。
【0051】
この図6(a)および(b)に示す例において図6(a)に示すVCG−Id特性が既知である場合、図6(a)に例示すように、モニタ電極を介して流れ込む電流Id1を測定すれば、この電流Id1からモニタ対象のインバータの出力電圧VCGが0.3Vであることを推定することができる。
【0052】
ところで、モニタ対象であるインバータの出力電圧VCGがNチャネルトランジスタMONTの閾値電圧Vthn以下である領域では、図6(a)に示すように、NチャネルトランジスタMONTのドレイン電流Idは0となる。従って、この領域では、モニタ電極から流れ込む電流に基づいてインバータの出力電圧VCGを推定することはできない。
【0053】
そこで、モニタ対象であるインバータの出力電圧を広い範囲において精度良く測定するために、NチャネルトランジスタMONTの実効的な閾値電圧が0V以下となるように、NチャネルトランジスタMONTに負のバックゲートバイアスを与える。図6(d)に示す例では、基板電圧VBが0Vであるのに対して、NチャネルトランジスタMONTのソース電圧VSNを−0.2Vとし、−0.2Vのバックゲート電圧VSBを発生させ、NチャネルトランジスタMONTの実効的な閾値電圧を0V以下まで低下させている。また、NチャネルトランジスタMONTのソース電圧VSNを−0.2Vとしたことに伴い、モニタ電極から与えるドレイン電圧VDを−0.15Vとしている。このようにすることで、図6(c)に例示するように、インバータの出力電圧VCGが0Vであるときにもドレイン電流IdがNチャネルトランジスタMONTに流れ、インバータの出力電圧VCGが0V以上の広い範囲の領域において、ドレイン電流Idが出力電圧VCGの増加に応じて直線的に増加する。従って、広い範囲において、ドレイン電流Idからインバータの出力電圧VCGを精度良く推定することができる。図6(c)に示す例では、モニタ電極を介して流れ込む微弱なドレイン電流Id2が測定され、このドレイン電流Id2からモニタ対象であるインバータの出力電圧VCGが0.05Vと推定されている。
【0054】
なお、NチャネルトランジスタMONTのソースを形成するn+拡散層と基板との間の順方向電圧VFは約0.6Vであるので、NチャネルトランジスタMONTに与えるバックゲート電圧はこの順方向電圧以下とすることが好ましい。
【0055】
<第5実施形態>
図7はこの発明の第5実施形態である素子評価用半導体集積回路の構成を示す回路図、図8は同素子評価用半導体集積回路の一部の構成を詳細に示す回路図である。本実施形態は、インバータチェーン100を構成する各インバータの入出力伝達特性および個々のインバータを構成するNチャネルトランジスタおよびPチャネルトランジスタの電気的特性を個別的に測定することができるように上記第2実施形態に改良を加えたものである。
【0056】
本実施形態では、インバータチェーン100に電源電圧を供給するための給電系統として、高電位電源電圧VD1および低電位電源電圧VS1を供給するための各電極(ボンディングパッド)およびこれらに接続された電源線からなる第1の電源給電系統と、高電位電源電圧VD2および低電位電源電圧VS2を供給するための各電極(ボンディングパッド)およびこれらに接続された電源線からなる第2の電源給電系統とが設けられている。そして、インバータチェーン100を構成するインバータの各行に沿って、電源電圧VD1、VD2、VS1およびVS2を各々供給するための各電源線が各々配線されている。また、本実施形態では、モニタ電極が2個設けられ、これらのモニタ電極に各々接続されたモニタ信号線MON1およびMON2が、インバータチェーン100を構成するインバータの各行に沿って配線されている。
【0057】
上記第2実施形態と同様、インバータチェーン100における各インバータはリングオシレータを構成している。リングオシレータを構成する各インバータは、同リングオシレータにおける信号の伝搬方向に沿った通し番号を有している。図7に示す例では、左上のインバータがリングオシレータにおける1番目のインバータとなっている。そして、リングオシレータの信号の伝搬方向に沿って、1番目のインバータから順に各インバータを数えていった場合において、奇数番のインバータでは、そのインバータの出力ノードとモード信号線MON1との間にモニタユニットMUが介挿され、偶数番のインバータでは、そのインバータの出力ノードとモード信号線MON2との間にモニタユニットMUが介挿されている。ここで、モニタユニットMUは、例えば前掲図1のモニタユニットMUaまたは前掲図4のモニタユニットMUbである。また、奇数番のインバータには上記第1の電源給電系統を介して高電位電源電圧VD1および低電位電源電圧VS1が与えられ、偶数番のインバータには上記第2の電源給電系統を介して高電位電源電圧VD2および低電位電源電圧VS2が与えられる。
【0058】
インバータチェーン100が占める領域内には、Y方向に沿って互いに離間して、n組のYアドレス一致線ペアAYo(j)(j=0〜n−1)およびAYe(j)(j=0〜n−1)が配線されている。また、インバータチェーン100が占める領域内には、X方向に沿って互いに離間して、m組のXアドレス一致線ペアAXo(i)(i=0〜m−1)およびAXe(i)(i=0〜m−1)が配線されている。ここで、各組のYアドレス一致線ペアAYo(j)およびAYe(j)は、Yアドレスがjである各インバータの各出力ノードの近傍を縫うように配線されている。これらのYアドレスがjである各インバータのうちリングオシレータにおいて奇数番のインバータとなっているものの出力ノードに接続されたモニタユニットMUにはYアドレス一致線AYo(j)が接続され、偶数番のインバータとなっているものの出力ノードに接続されたモニタユニットMUにはYアドレス一致線AYe(j)が接続されている。また、各組のXアドレス一致線ペアAXo(i)およびAXe(i)は、Xアドレスがiである各インバータの各出力ノードの近傍を縫うように配線されている。これらのXアドレスがiである各インバータのうちリングオシレータにおいて奇数番のインバータとなっているものの出力ノードに接続されたモニタユニットMUにはXアドレス一致線AXo(i)が接続され、偶数番のインバータとなっているものの出力ノードに接続されたモニタユニットMUにはXアドレス一致線AXe(i)が接続されている。
【0059】
本実施形態において、1種類のYアドレスjについて、2本のYアドレス一致線AYo(j)およびAYe(j)を設けているのは、例えば図7のインバータチェーンの最上行の左端のインバータの出力ノードとその下の行の左端のインバータの出力ノードの組等、Yアドレスを同じくする2個の出力ノードを同時にモニタ対象にすることを可能にするためである。また、1種類のXアドレスiについて、2本のXアドレス一致線AXo(i)およびAXe(i)を設けているのは、例えば図7のインバータチェーンの最上行の左端のインバータの出力ノードとその右隣のインバータの出力ノードの組等、Xアドレスを同じくする2個の出力ノードを同時にモニタ対象にすることを可能にするためである。モニタ対象を選択するための回路については後述する。
【0060】
図8には、インバータチェーン100における個々のインバータとモニタユニットMUとモニタ信号線MON1およびMON2との接続状態、各インバータとそれらに供給される電源電圧VD1、VD2、VS1およびVS2との関係、各モニタユニットMUと、アドレス一致線AYo(j)、AYe(j)、AXo(i)、AXe(i)との接続状態が詳細に例示されている。この図8において、INV1〜INV4は、図7における最上行の左端から並んだ4個のインバータである。これらのインバータINV1〜INV4の各出力ノードのXアドレスiはいずれも「0」である。また、インバータINV1〜INV4の各出力ノードのYアドレスjは、各々「0」〜「3」となっている。
【0061】
ここで、インバータINV1およびINV3は、リングオシレータにおいて奇数番のインバータである。従って、インバータINV1の出力ノードとモニタ信号線MON1との間にモニタユニットMU1が介挿され、インバータINV3の出力ノードとモニタ信号線MON1との間にモニタユニットMU3が介挿されている。そして、モニタユニットMU1にはアドレス一致線AYo(0)およびAXo(0)が接続され、モニタユニットMU3にはアドレス一致線AYo(2)およびAXo(0)が接続されている。また、インバータINV1およびINV3には高電位電源電圧VD1および低電位電源電圧VS1が与えられるようになっている。
【0062】
一方、インバータINV2およびINV4は、リングオシレータにおいて偶数番のインバータである。従って、インバータINV2の出力ノードとモニタ信号線MON2との間にモニタユニットMU2が介挿され、インバータINV4の出力ノードとモニタ信号線MON2との間にモニタユニットMU4が介挿されている。そして、モニタユニットMU2にはアドレス一致線AYe(1)およびAXe(0)が接続され、モニタユニットMU4にはアドレス一致線AYe(3)およびAXe(0)が接続されている。また、インバータINV2およびINV4には高電位電源電圧VD2および低電位電源電圧VS2が与えられるようになっている。
【0063】
図7において、モニタアドレス発生部MAGBは、インバータチェーン100の各インバータのうちモニタ対象とするインバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスを1組または2組発生する回路である。このモニタアドレス発生部MAGBには、2個のモード電極と、クロック電極と、プリセット電極が接続されている。モニタアドレス発生部MAGBには、モード電極を介してモード指定信号が与えられ、クロック電極を介してクロックが与えられる。
【0064】
モード指定信号が“00”であるとき、モニタアドレス発生部MAGBは、クロックのカウントを行わず、カウンタのカウント値を「0」とし、リングオシレータにおいてこのカウント値=「0」に対応した順位(1番)を持ったインバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスを生成し、奇数番アドレスデータとして出力する。モード指定信号が“01”であるとき、モニタアドレス発生部MAGBは、クロックのカウントを行い、リングオシレータ内においてカウント値が示す順位を持ったインバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスを生成する。そして、カウント値が示す順位が奇数番であるときは、生成したXアドレスおよびYアドレスを奇数番アドレスデータとして出力し、順位が偶数番であるときは、生成したXアドレスおよびYアドレスを偶数番アドレスデータとして出力する。すなわち、カウント値が「0」のときはリングオシレータにおいて1番目のインバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスを奇数番アドレスデータとして出力し、カウント値が「1」のときは2番目のインバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスを偶数番アドレスデータとして出力し、…という具合に、リングオシレータにおける各インバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスをクロックに同期して奇数番アドレスデータまたは偶数番アドレスデータとして順次出力するのである。
【0065】
モード指定信号が“10”であるとき、モニタアドレス発生部MAGBは、プリセットデータをプリセット電極から受け取って、クロックのカウントを行うカウンタにカウント値としてプリセットし、このカウント値が示す順位を持ったインバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスを生成する。そして、カウント値が示す順位が奇数番であるときは、生成したXアドレスおよびYアドレスを奇数番アドレスデータとして出力し、順位が偶数番であるときは、生成したXアドレスおよびYアドレスを偶数番アドレスデータとして出力する。
【0066】
モード指定信号が“11”であるとき、モニタアドレス発生部MAGBは、プリセットデータをプリセット電極から受け取って、クロックのカウントを行うカウンタにカウント値としてプリセットし、このカウント値が示す順位のインバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスを生成するとともに、順位が1つ前のインバータの出力ノードのXアドレスおよびYアドレスを生成する。そして、生成した二組のXアドレスおよびYアドレスの組の各々を奇数番アドレスデータまたは偶数番アドレスデータとして出力する。
【0067】
YデコーダYDECj(j=0〜n−1)は、Y方向に沿って配置され、Yアドレス一致線AYo(j)(j=0〜n−1)およびAYe(j)(j=0〜n−1)に各々接続されており、全体としてYアドレスデコード回路を構成している。YデコーダYDECj(j=0〜n−1)の各々は、モニタアドレス発生部MAGBから奇数番アドレスデータが出力されており、かつ、その奇数番アドレスデータにおけるYアドレスがjであるときにYアドレス一致線AYo(j)をアクティブレベルとする。また、YデコーダYDECj(j=0〜n−1)の各々は、モニタアドレス発生部MAGBから偶数番アドレスデータが出力されており、かつ、その偶数番アドレスデータにおけるYアドレスがjであるときにYアドレス一致線AYe(j)をアクティブレベルとする。
【0068】
XデコーダXDECi(i=0〜m−1)は、X方向に沿って配置され、Xアドレス一致線ペアAXo(i)(i=0〜m−1)およびAXe(i)(i=0〜m−1)に各々接続されており、全体としてXアドレスデコード回路を構成している。XデコーダXDECi(i=0〜m−1)の各々は、モニタアドレス発生部MAGBから奇数番アドレスデータが出力されており、かつ、その奇数番アドレスデータにおけるXアドレスがiであるときにXアドレス一致線AXo(i)をアクティブレベルとする。また、XデコーダXDECi(i=0〜m−1)の各々は、モニタアドレス発生部MAGBから偶数番アドレスデータが出力されており、かつ、その偶数番アドレスデータにおけるXアドレスがiであるときにXアドレス一致線AXe(i)をアクティブレベルとする。
【0069】
本実施形態の特徴は、モード指定信号が“11”である場合におけるモニタユニットの選択動作にある。ここで、具体例を挙げ、このモニタユニットの選択動作を説明する。まず、モード指定信号“11”が与えられた状態において、プリセットデータ「0」がモニタアドレス発生部MAGBに与えられたとする。この場合、モニタ対象は、図7のインバータチェーンの最上行の左端のインバータの出力ノードとその下の行の左端のインバータの出力ノードとなる。そこで、モニタアドレス発生部MAGBは、次の奇数番アドレスデータと偶数番アドレスデータの両方を出力する。
奇数番アドレスデータ:Xアドレスi=0、Yアドレスj=0
偶数番アドレスデータ:Xアドレスi=1、Yアドレスj=0
この結果、YデコーダYDEC0により、Yアドレス一致線AYo(0)がアクティブレベルとされ、XデコーダXDEC0によりXアドレス一致線AXo(0)がアクティブレベルとされ、最上行左端のインバータの出力ノードがモニタ信号線MON1に接続される。また、YデコーダYDEC0により、Yアドレス一致線AYe(0)がアクティブレベルとされ、XデコーダXDEC1によりXアドレス一致線AXe(1)がアクティブレベルとされ、第2行左端のインバータの出力ノードがモニタ信号線MON2に接続される。
【0070】
次に、モード指定信号“11”が与えられた状態において、プリセットデータ「1」がモニタアドレス発生部MAGBに与えられたとする。この場合、モニタ対象は、図7のインバータチェーンの最上行の左端のインバータの出力ノードとその右隣のインバータの出力ノードとなる。そこで、モニタアドレス発生部MAGBは、次の奇数番アドレスデータと偶数番アドレスデータの両方を出力する。
奇数番アドレスデータ:Xアドレスi=0、Yアドレスj=0
偶数番アドレスデータ:Xアドレスi=0、Yアドレスj=1
この結果、YデコーダYDEC0により、Yアドレス一致線AYo(0)がアクティブレベルとされ、XデコーダXDEC0によりXアドレス一致線AXo(0)がアクティブレベルとされ、最上行左端のインバータの出力ノードがモニタ信号線MON1に接続される。また、YデコーダYDEC1により、Yアドレス一致線AYe(1)がアクティブレベルとされ、XデコーダXDEC0によりXアドレス一致線AXe(0)がアクティブレベルとされ、最上行左から2番目のインバータの出力ノードがモニタ信号線MON2に接続される。
【0071】
以上の構成において、インバータチェーン100以外の制御回路には、インバータチェーン100用のものとは別のボンディングパッドおよび電源線を介して高電位電源電圧VDDおよび低電位電源電圧VSSが供給される。
【0072】
次に本実施形態による素子評価用半導体集積回路の評価方法の例を説明する。まず、モード指定信号を“00”とする。そして、インバータチェーン100以外の回路に対する電源電圧VDD−VSSを十分に高く維持した状態で、インバータチェーン100に対する電源電圧VD1−VS1およびVD2−VS2を徐々に低下させる。この間、リングオシレータであるインバータチェーン100の発振動作を確認する。具体的にはモニタ信号線MON1を介して半導体集積回路外部に出力されるリングオシレータの1番目のインバータの出力ノードの電圧を観測する。
【0073】
モニタ電極の出力信号波形からリングオシレータの発振が止まったことを確認すると、リングオシレータに対する電源電圧VD1−VS1およびVD2−VS2を固定し、モード指定信号を“01”にする。これにより、リングオシレータを構成する各インバータの出力ノードが順次選択され、奇数番のインバータの出力ノードはモニタ信号線MON1に、偶数番のインバータの出力ノードはモニタ信号線MON2に接続され、半導体集積回路の外部に各インバータの出力ノードの電圧が出力される。この各出力ノードの電圧を確認することにより、動作不能の状態にあり、リングオシレータを停止させている原因となっているインバータの順位を求める。
【0074】
リングオシレータにおいて動作不能となっているインバータの順位が判明した場合において、念のため、そのインバータの出力電圧を確認したい場合には、モード指定信号を“10”とし、そのインバータの順位を示すカウント値(順位から1を差し引いたデータ)をプリセットデータとしてプリセット電極からモニタアドレス発生部MAGBに与える。これにより当該インバータの出力ノードがモニタ信号線MON1またはMON2に接続される。従って、当該インバータの出力電圧を確認することができる。
【0075】
次に、図9を参照し、リングオシレータにおける所望のインバータの入出力伝達特性を測定する方法およびそのインバータにおけるNチャネルトランジスタ、Pチャネルトランジスタの電気的特性を測定する方法について説明する。
【0076】
測定対象であるインバータが例えば図8におけるインバータINV2である場合、このインバータINV2は、偶数番のインバータであるので、電源電圧VD2およびVS2が与えられており、その前後のインバータには電源電圧VD1およびVS1が与えられている。そこで、電源電圧VD1およびVS1をOFFにして、電源電圧VD1およびVS1を供給するための各電源線を開放状態とする。そして、モード指定信号を“11”とし、インバータINV2の順位に対応したカウント値「1」をプリセットデータとしてモニタアドレス発生部MAGBに与える。これによりモニタアドレス発生部MAGBからインバータINV1の出力ノードのXアドレスおよびYアドレスが奇数番アドレスデータとして出力され、インバータINV2の出力ノードのXアドレスおよびYアドレスが偶数番アドレスデータとして出力される。この結果、インバータINV1の出力ノード(すなわち、測定対象であるインバータINV2の入力ノード)がモニタユニットMU1を介してモニタ信号線MON1に接続され、測定対象であるインバータINV2の出力ノードがモニタユニットMU2を介してモニタ信号線MON2に接続される。この状態において、外部からモニタ信号線MON1に与える入力電圧VIN(すなわち、インバータINV2の入力電圧)を変化させつつ、モニタ出力線MON2に出力される出力電圧VOUT(すなわち、インバータINV2の出力電圧)を外部から観測すれば、インバータINV2の入出力伝達特性を得ることができる。
【0077】
測定対象であるインバータが例えば図8におけるインバータINV3である場合、このインバータINV3は、奇数番のインバータであるので、電源電圧VD1およびVS1が与えられており、その前後のインバータには電源電圧VD2およびVS2が与えられている。そこで、電源電圧VD2およびVS2をOFFにして、電源電圧VD2およびVS2を供給するための各電源線を開放状態とする。そして、モード指定信号を“11”とし、インバータINV3の順位に対応したカウント値「2」をプリセットデータとしてモニタアドレス発生部MAGBに与える。これによりモニタアドレス発生部MAGBからインバータINV3の出力ノードのXアドレスおよびYアドレスが奇数番アドレスデータとして出力され、インバータINV2の出力ノードのXアドレスおよびYアドレスが偶数番アドレスデータとして出力される。この結果、インバータINV2の出力ノード(すなわち、測定対象であるインバータINV3の入力ノード)がモニタユニットMU2を介してモニタ信号線MON2に接続され、測定対象であるインバータINV3の出力ノードがモニタユニットMU3を介してモニタ信号線MON1に接続される。この状態において、外部からモニタ信号線MON2に与える入力電圧VIN(すなわち、インバータINV3の入力電圧)を変化させつつ、モニタ出力線MON1に出力される出力電圧VOUT(すなわち、インバータINV3の出力電圧)を外部から観測すれば、インバータINV3の入出力伝達特性を得ることができる。
【0078】
次にトランジスタの電気的特性の測定方法を説明する。測定対象がインバータINV2のPチャネルトランジスタTP2である場合、インバータINV2の入出力伝達特性の測定の場合と同様に、電源電圧VD1およびVS1をOFFとし、インバータINV1の出力ノードをモニタユニットMU1を介してモニタ信号線MON1に接続し、インバータINV2の出力ノードをモニタユニットMU2を介してモニタ信号線MON2に接続する。さらに電源電圧VS2をOFFにして、NチャネルトランジスタTN2のドレイン電流の流路を開放する。この状態において、外部からモニタ信号線MON1を介してPチャネルトランジスタTP2にゲート電圧Vgを与え、モニタ信号線MON2を介してPチャネルトランジスタTP2にドレイン電圧Vdを与える。そして、外部からモニタ信号線MON2を介してPチャネルトランジスタTP2に流れるドレイン電流を測定する。
【0079】
一方、測定対象がインバータINV2のNチャネルトランジスタTN2である場合には、PチャネルトランジスタTP2の場合と同様、電源電圧VD1およびVS1をOFFとし、インバータINV1の出力ノードをモニタユニットMU1を介してモニタ信号線MON1に接続し、インバータINV2の出力ノードをモニタユニットMU2を介してモニタ信号線MON2に接続する。さらに電源電圧VD2をOFFにして、PチャネルトランジスタTP2のドレイン電流の流路を開放する。この状態において、外部からモニタ信号線MON1を介してNチャネルトランジスタTN2にゲート電圧Vgを与え、モニタ信号線MON2を介してNチャネルトランジスタTN2にドレイン電圧Vdを与える。そして、外部からモニタ信号線MON2を介してNチャネルトランジスタTN2に流れるドレイン電流を測定する。
【0080】
以上のように、本実施形態によれば、リングオシレータに対する電源電圧を低下させた結果、リングオシレータの発振が停止した場合に、リングオシレータにおいて動作不能となっているインバータを容易に判定することができるとともに、そのインバータに入出力伝達特性、そのインバータを構成するPチャネルトランジスタおよびNチャネルトランジスタの電気的特性を容易に測定することができる。
【0081】
<第6実施形態>
図10は、この発明による素子評価用半導体集積回路に適したダブルWELL構造の半導体チップの構成例を示す断面図である。
【0082】
この例では、p型の半導体基板P−Subにn型の第1のウェルDEEP−NWELLが形成される。この第1のウェルDEEP−NWELLの内側の領域が0.5V系のトランジスタが構成される0.5V系MOS領域となっている。また、第1のウェルDEEP−NWELLの外側の領域が1.8V系のトランジスタが構成される1.8V系MOS領域となっている。そして、第1のウェルDEEP−NWELL内には、第1のウェルDEEP−NWELLよりも浅いp型の第2のウェルPWELLが形成されている。一方、半導体基板P−Subにおける第1のウェルDEEP−NWELLが形成されていない領域には、n型の第3のウェルNWELLが形成されている。
【0083】
そして、上記第1〜第5実施形態におけるインバータチェーンを構成する各トランジスタは、図10の右半分に示す0.5V系MOS領域に形成される。さらに詳述すると、同インバータチェーンにおけるPチャネルトランジスタは、第1のウェルDEEP−NWELL内の第2のウェルPWELLが形成されていない領域に形成され、インバータチェーンを構成するNチャネルトランジスタは第2のウェル内PWELLに形成される。
【0084】
また、上記第1〜第5実施形態においてインバータチェーン以外の制御回路を構成する各トランジスタは、図10の左半分に示す1.8V系MOS領域に形成される。さらに詳述すると、同制御回路を構成するPチャネルトランジスタは、第3のウェルNWELL内に形成され、同制御回路を構成するNチャネルトランジスタは半導体基板P−Subにおいて第1のウェルDEEP−NWELLおよび第3のウェルNWELLのいずれも形成されていない領域内に形成される。
【0085】
このような構造によれば、1.8V系MOS領域のトランジスタと0.5V系MOS領域のトランジスタとを電気的に分離することができるので、良好にインバータチェーンの測定を行うことができる。この構造を例えば上記第4実施形態(図5)の素子評価用半導体集積回路に採用した場合、VSub=VSS=VSN=−0.3V、VDD=1.8V、VD=−0.25V、VSSC=0V、VDDC=0.5Vとすることにより、良好な測定を行うことができる。
【0086】
なお、この例では、1.8V系MOS領域のNチャネルトランジスタを半導体基板P−Subに直接形成したが、濃度調整のために、図10に破線で示すように、別のp型のウェルPWELLを形成し、このp型のウェル内にNチャネルトランジスタを形成しても良い。また、この例では、0.5V系のPチャネルトランジスタを第1のウェルDEEP−NWELL内に直接形成したが、濃度調整のために、図10に破線で示すように、第1のウェルDEEP−NWELL内に別のn型のウェルNWELLを形成し、このウェル内に0.5V系のPチャネルトランジスタを形成しても良い。
【0087】
<第7実施形態>
図11は、この発明による素子評価用半導体集積回路に適したダブルWELL構造の半導体チップの他の構成例を示す断面図である。上記第6実施形態では、半導体基板としてp型の基板P−Subを用いた。これに対し、本実施形態では、n型の半導体基板N−Subを用いる。
【0088】
この例では、n型の半導体基板N−Subにp型の第1のウェルDEEP−PWELLが形成される。この第1のウェルDEEP−PWELLの内側の領域が1.8V系のトランジスタが構成される1.8V系MOS領域となっている。また、第1のウェルDEEP−PWELLの外側の領域が0.5V系のトランジスタが構成される0.5V系MOS領域となっている。そして、第1のウェルDEEP−PWELL内には、第1のウェルDEEP−PWELLよりも浅いn型の第2のウェルNWELLが形成されている。一方、半導体基板N−Subにおける第1のウェルDEEP−PWELLが形成されていない領域には、p型の第3のウェルPWELLが形成されている。
【0089】
そして、上記第1〜第5実施形態において、インバータチェーン以外の制御回路を構成する1.8V系のNチャネルトランジスタは、第1のウェルDEEP−PWELL内の第2のウェルNWELLが形成されていない領域に形成され、インバータチェーン以外の制御回路を構成する1.8V系のPチャネルトランジスタは第2のウェルNWELL内に形成される。また、インバータチェーンを構成する0.5V系のNチャネルトランジスタは、第3のウェルPWELL内に形成され、インバータチェーンを構成する0.5V系のPチャネルトランジスタは半導体基板N−Subにおいて第1のウェルDEEP−PWELLおよび第3のウェルPWELLのいずれも形成されていない領域内に形成される。
本実施形態においても上記第6実施形態と同様な効果が得られる。
【0090】
なお、この例では、0.5V系MOS領域のPチャネルトランジスタを半導体基板N−Subに直接形成したが、濃度調整のために、図11に破線で示すように、別のn型のウェルNWELLを形成し、このn型のウェル内にPチャネルトランジスタを形成しても良い。また、この例では、1.8V系のNチャネルトランジスタを第1のウェルDEEP−PWELL内に直接形成したが、濃度調整のために、図11に破線で示すように、第1のウェルDEEP−PWELL内に別のp型のウェルPWELLを形成し、このウェル内に1.8V系のNチャネルトランジスタを形成しても良い。
【0091】
以上、この発明の第1〜第7実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)モニタユニットを選択するための手段として、インバータチェーンのインバータ段数と同じステージ数のシフトレジスタを設けてもよい。この態様では、シフトレジスタの各ステージの出力信号をインバータチェーンの各インバータの出力ノードに設けられた各モニタユニットに供給し、シフトレジスタの各ステージの出力信号により各モニタユニットのスイッチのON/OFFを制御する。具体的には、シフトレジスタの全ステージをリセット後、ビット“1”をシフトレジスタに順次シフトさせ、各インバータの出力ノードのうちモニタ信号線に接続する出力ノードを順次切り換える。
(2)XアドレスとYアドレスの組み合わせの種類数と、インバータチェーンを構成するインバータの段数は一致してなくてもよい。
(3)上記各実施形態では、ゲートチェーンの一例としてインバータチェーンを用いたが、NANDゲート、NORゲート等、インバータ以外の論理ゲートを複数段接続したゲートチェーンを用いて素子評価用半導体集積回路を構成してもよい。
【符号の説明】
【0092】
MUa,MUb,MUc,MU,MU1〜MU4……モニタユニット、MON,MON1,MON2……モニタ信号線、SW……スイッチ、ADET……アドレス一致検出部、IB……入力バッファ、OB……出力バッファ、100……インバータチェーン、MAGA,MAGB……モニタアドレス発生部、YDECj(j=0〜n−1)……Yデコーダ、XDECi(i=0〜m−1)……Xデコーダ、AY(j)(j=0〜n−1)……Yアドレス一致線、AX(i)(i=0〜m−1)……Xアドレス一致線、NTX,NTY,MONT……Nチャネルトランジスタ、DSW……デコードスイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13