(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の給水システムをボイラシステムに適用した実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態のボイラシステム100を示す概略構成図である。
図1に示すように、第1実施形態のボイラシステム100は、軟水化装置110と、脱酸素装置120と、給水タンク130と、蒸気ボイラ140と、熱交換器150と、ヒートポンプ160と、を備える。また、第1実施形態のボイラシステム100は、流量計170と、補給水流通手段としての補給水バルブ171と、温度計172及び173と、水位計174と、制御手段としての制御部180と、を備える。更に、第1実施形態のボイラシステム100は、補給水ラインL110と、給水ラインL120と、補給水加温ラインL130と、を備える。なお、「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。また、本実施形態では、補給水ラインL110及び給水ラインL120を流通する水を総称して「補給水W1」という。
【0014】
軟水化装置110は、原水タンク(不図示)から供給される原水の硬度分を除去して、軟化水を生成する装置である。
【0015】
脱酸素装置120は、軟水化装置110で生成された補給水W1(軟化水)に含まれる溶存酸素を除去する装置である。
【0016】
給水タンク130は、補給水W1を貯留するタンクである。給水タンク130には、補給水ラインL110が接続されている。補給水W1は、補給水ラインL110を介して給水タンク130に補給される。また、給水タンク130は、給水ラインL120を介して蒸気ボイラ140と接続されている。給水タンク130に貯留された補給水W1は、蒸気ボイラ140に設けられた給水ポンプ(不図示)により給水ラインL120を介して蒸気ボイラ140に供給される。
【0017】
また、給水タンク130には、水位計174が設けられている。水位計174は、給水タンク130に貯留されている補給水W1の水位を計測する装置である。水位計174は、制御部180と電気的に接続されている。水位計174は、計測した補給水W1の水位に関する情報(信号)を制御部180に送信する。
【0018】
補給水ラインL110は、給水タンク130に補給水W1を供給するラインである。補給水ラインL110は、給水タンク130において、補給水W1の流入側に接続される。補給水ラインL110の一部は、熱交換器150(後述)の内部における水流路L1を構成する。
【0019】
補給水ラインL110の計測点J1には、流量計170が設けられている。計測点J1は、脱酸素装置120と補給水バルブ171との間に位置している。流量計170は、補給水ラインL110を流通する補給水W1の流量を計測する装置である。流量計170は、制御部180と電気的に接続されている。流量計170は、計測点J1で計測した補給水W1の流量FL1に関する情報(信号)を制御部180に送信する。
【0020】
補給水ラインL110には、補給水バルブ171が設けられている。補給水バルブ171は、脱酸素装置120と給水タンク130との間に設けられている。補給水バルブ171は、補給水ラインL110を流通する補給水W1の流量を制御するバルブである。補給水バルブ171は、制御部180と電気的に接続されている。補給水バルブ171における弁開度の調節は、制御部180から送信されるバルブ運転信号により制御される。
【0021】
本実施形態において、補給水バルブ171の弁は、開状態(弁開度100%)又は閉状態(弁開度0%)のいずれかに制御される。補給水バルブ171は、バルブ運転信号が「ON」のときには、弁を開状態とする。また、補給水バルブ171は、バルブ運転信号が「OFF」のときには、弁を閉状態とする。
【0022】
補給水ラインL110の計測点J2には、温度計172が設けられている。計測点J2は、補給水バルブ171と熱交換器150との間に位置している。計測点J2は、熱交換器150の近傍に位置することが好ましい。温度計172は、熱交換器150を通過する前の補給水W1の温度TS1(熱交換器150の入口温度)を計測する装置である。温度計172は、制御部180と電気的に接続されている。温度計172は、計測点J2で計測した補給水W1の温度TS1に関する情報(信号)を制御部180に送信する。
【0023】
補給水ラインL110の計測点J3には、温度計173が設けられている。計測点J3は、熱交換器150と給水タンク130との間に位置している。計測点J3は、熱交換器150の近傍に位置することが好ましい。温度計173は、熱交換器150を通過した後の補給水W1のTS2温度(熱交換器150の出口温度)を計測する装置である。温度計173は、制御部180と電気的に接続されている。温度計173は、計測点J3で計測した補給水W1の温度TS2に関する情報(信号)を制御部180に送信する。
【0024】
蒸気ボイラ140は、給水ラインL120を介して補給された補給水W1を加熱して蒸気を生成するボイラであり、貫流ボイラからなる。蒸気ボイラ140で生成された蒸気は、この蒸気を動力源又は熱源とする蒸気使用設備(不図示)に供給される。蒸気ボイラ140は、給水ラインL120と接続する給水ポンプ(不図示)を備える。
【0025】
給水ラインL120は、給水タンク130から蒸気ボイラ140に向けて補給水W1を補給するラインである。
【0026】
熱交換器150は、補給水加温ラインL130を流通する補給水W1と、ヒートポンプ160と接続された冷媒循環ラインL140(後述)を流通する冷媒(水)W2と、を熱交換する装置である。熱交換器150の内部には、補給水加温ラインL130の一部を構成する水流路L1と、冷媒循環ラインL140に接続された冷媒流路L2とが、互いに混ざることがないように近接して配置されている。
【0027】
補給水加温ラインL130を流通する補給水W1は、熱交換器150の水流路L1を通過したときに、熱交換器150の冷媒流路L2を流通する冷媒W2の放熱により加温される。加温された補給水W1は、熱交換器150から補給水加温ラインL130を介して給水ラインL120に供給される。一方、冷媒循環ラインL140を流通する冷媒W2は、熱交換器150を通過したときに、熱交換器150の水流路を流通する補給水W1に放熱することにより冷却される。冷却された冷媒W2は、冷媒循環ラインL140を介してヒートポンプ160の凝縮器(後述)に送られる。
【0028】
冷媒循環ラインL140は、熱交換器150の冷媒流路L2と、ヒートポンプ160の凝縮器と熱交換する冷媒流路(不図示)とを環状に接続するラインである。
【0029】
ヒートポンプ160は、内部冷媒(不図示)を介して、外部の熱源(不図示の空調機や食品機械等の各種の冷却器)で発生した熱(廃熱)を回収する装置である。ヒートポンプ160は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器(いずれも不図示)を備える。圧縮機は、気体の内部冷媒を圧縮し、高温・高圧にして凝縮器に送り出す。凝縮器は、内部冷媒の熱を冷媒W2に放出して、内部冷媒を冷却(液化)する。冷媒W2は、内部冷媒の放熱により温水となる。膨張弁は、内部冷媒の圧力を下げて、内部冷媒の温度を低下させる。蒸発器は、内部冷媒を熱源水W3により加温して蒸発(気化)させる。熱源水W3は、内部冷媒への放熱により冷水となる。
【0030】
ヒートポンプ160の蒸発器には、熱源水供給ラインL150と、熱源水戻しラインL160とが接続されている。熱源水供給ラインL150は、熱源からの熱源水W3が流通するラインである。熱源水戻しラインL160は、熱源に戻る熱源水W3が流通するラインである。
【0031】
なお、ヒートポンプ160の蒸発器に供給される熱源としては、熱源水W3とする水熱源式であれば、特定の構成に限定されない。熱源水W3は、ヒートポンプ160の熱源となる水である。熱源水W3としては、工業用水、井戸水、水道水だけでなく、ヒートポンプ160の蒸発器に対して腐食、スケール付着等による寿命や効率の低下を発生させない水質であれば、種々の装置の排水を用いることができる。また、ヒートポンプ160は、熱源を空気熱源とする空気熱源式のものであってもよく、特定の方式に限定されない。
【0032】
ヒートポンプ160の運転は、制御部180から送信されるHP運転信号により制御される。ヒートポンプ160は、HP運転信号が「ON」になると運転を開始する。また、ヒートポンプ160は、運転信号が「OFF」になると運転を停止する。
【0033】
制御部180は、ボイラシステム100において、補給水W1の流通及びヒートポンプ160の動作を制御する制御装置である。制御部180は、各種の演算処理を実行する中央処理装置、補給水温度制御プログラム等を記憶する記憶部、時間を計測するタイマー部、制御部180と接続された各機器との間で通信を行なう入出力部等を備える(いずれも不図示)。なお、
図1に示す破線は、制御部180と各計測装置及び制御対象装置との電気的な接続の経路を示す。
【0034】
制御部180は、ボイラシステム100の運転中において、給水タンク130の水位に応じて、補給水W1の流通を制御する。このとき、制御部180は、ヒートポンプ160により補給水W1の水温を制御する。ここで、制御部180が、補給水W1の流通及び水温を制御する場合の動作を、
図2のタイムチャートを参照して説明する。
図2は、制御部180が補給水W1の流通及び水温を制御する場合のタイミングを示すタイムチャートである。
【0035】
本実施形態では、
図2に示すように、給水タンク130に貯留された補給水W1の水位を、LL、L、H、HHの4段階に区分している。給水タンク130における補給水W1の水位は、水位計174により計測され、制御部180に送信される。
【0036】
制御部180は、給水タンク130の水位がL〜Hの範囲となるように補給水W1の流通を制御する。本実施形態において、
図2に示す水位Lは、本発明における第1の水位である。
図2に示す水位Hは、第1の水位よりも高い水位であり、本発明における第2の水位である。
【0037】
また、
図2に示す水位LL及び水位HHは、警戒水位である。水位LLは、水位Lよりも低い水位である。また、水位HHは、水位Hよりも高い水位である。制御部180は、給水タンク130の水位がLL又はHHに達した場合には、警報を発する。また、給水タンク130の水位がLLに達した場合には、ボイラシステム100を緊急停止させる。
【0038】
制御部180は、給水タンク130の水位が水位L未満の場合には、給水タンク130への補給水W1の供給を開始すると共に、ヒートポンプ160により補給水W1の加温を開始する。また、制御部180は、給水タンク130の水位が水位H以上の場合には、給水タンク130への補給水W1の供給を停止すると共に、ヒートポンプ160による補給水W1の加温を停止する。
【0039】
図2に示すように、制御部180は、給水タンク130の水位が水位L未満の場合には、バルブ運転信号を「ON」にする。これにより、補給水バルブ171は開状態となり、補給水W1は給水タンク130に向けて流通する。
【0040】
制御部180は、バルブ運転信号を「ON」にしてから時間T1が経過した時点でHP運転信号を「ON」にする。時間T1は、補給水バルブ171を開状態としてから、熱交換器150の水流路L1に補給水W1が流通するのに要する時間である。時間T1は、例えば、熱交換器150の水流路L1に実際に補給水W1が流通させて時間を計測するか、或いは、配管の口径や長さ、単位時間当たりの流量等に基づいてシミュレーションを実施することにより取得することができる。
【0041】
このように、先にバルブ運転信号を「ON」にしてから時間T1が経過した後にHP運転信号を「ON」にすることにより、熱交換器150に補給水W1が流通している状態でヒートポンプ160の運転を開始することができる。この場合、熱交換器150を流通する補給水W1は、ヒートポンプ160により加温される。
【0042】
また、制御部180は、給水タンク130の水位が水位H以上の場合には、HP運転信号を「OFF」にする。これにより、ヒートポンプ160において圧縮機等の動作が停止する。ヒートポンプ160は、運転信号をOFFにしても、圧縮機を停止させるまでに一定の時間が必要となる。この間は、実質的にヒートポンプ160の運転が継続する。
【0043】
このため、制御部180は、HP運転信号を「OFF」にしてから時間T2が経過した時点でバルブ運転信号を「OFF」にする。時間T2は、圧縮機を停止するのに要する時間である。時間T2は、例えば、実際に圧縮機を停止するのに要する時間を計測することにより取得することができる。
【0044】
このように、先にHP運転信号を「OFF」にしてから時間T2が経過した後にバルブ運転信号を「OFF」にすることにより、熱交換器150に補給水W1が流通している状態でヒートポンプ160の運転を停止させることができる。
【0045】
次に、
図3に示すフローチャートに従って、制御部180が補給水W1の流通及び水温を制御する場合の処理手順について説明する。
図3に示すフローチャートの制御は、記憶部(不図示)に記憶された補給水温度制御プログラムに基づいて、制御部180により実行される。また、
図3に示すフローチャートの制御は、ボイラシステム100の運転中において、所定の時間間隔で周期的に実行される。
【0046】
ステップST101において、制御部180は、水位計174から給水タンク130に貯留されている補給水W1の水位Wを取得する。
【0047】
ステップST102において、制御部180は、水位Wが水位L未満か否かを判定する。このステップST102において、制御部180により、水位Wが水位L未満である(YES)と判定された場合には、処理はステップST103へ進む。また、ステップST102において、制御部180により、水位Wが水位L未満でない(NO)と判定された場合には、処理はステップST108へ進む。
【0048】
ステップST103において、制御部180は、バルブ運転信号を「ON」にする。
ステップST104において、制御部180は、タイマー部を起動して時間の計測を開始する。
【0049】
ステップST105において、制御部180は、時間T1が経過したか否かを判定する。このステップST105において、制御部180により、時間T1が経過した(YES)と判定された場合には、処理はステップST106へ進む。また、ステップST105において、制御部180により、時間T1が経過していない(NO)と判定された場合には、処理はステップST105へ戻る。
【0050】
ステップST106において、制御部180は、HP運転信号を「ON」にする。
ステップST107において、制御部180は、タイマー部で計測した時間をリセットして、本フローチャートの処理を終了する。
【0051】
一方、ステップST108において、制御部180は、水位Wが水位H以上か否かを判定する。このステップST108において、制御部180により、水位Wが水位H以上である(YES)と判定された場合には、処理はステップST109へ進む。また、ステップST108において、制御部180により、水位Wが水位H以上でない(NO)と判定された場合には、本フローチャートの処理を終了する。
【0052】
ステップST109において、制御部180は、HP運転信号を「OFF」にする。
ステップST110において、制御部180は、タイマー部を起動して時間の計測を開始する。
【0053】
ステップST111において、制御部180は、時間T2が経過したか否かを判定する。このステップST111において、制御部180により、時間T2が経過した(YES)と判定された場合には、処理はステップST112へ進む。また、ステップST111において、制御部180により、時間T2が経過していない(NO)と判定された場合には、処理はステップST111へ戻る。
【0054】
ステップST112において、制御部180は、バルブ運転信号を「OFF」にする。ステップST112に続いて、処理はステップST107へ進む。
【0055】
上述した第1実施形態のボイラシステム100によれば、例えば、以下のような効果を奏する。
本実施形態のボイラシステム100は、給水タンク130の水位が水位L未満の場合には、補給水バルブ171を開状態とし、その後、時間T1が経過した時点でヒートポンプ160の運転を開始する制御部180を備える。
そのため、熱交換器150に補給水W1が流通している状態でヒートポンプ160の運転を開始することができる。
【0056】
また、制御部180は、給水タンク130の水位が水位Lよりも高い水位H以上の場合には、ヒートポンプ160の運転を停止し、その後、時間T2が経過した時点で補給水バルブ171を閉状態とする。
そのため、熱交換器150に補給水W1が流通している状態でヒートポンプ160の運転を停止することができる。
【0057】
これによれば、熱交換器150への補給水W1の給水が無い状態でヒートポンプ160が運転されることがないので、冷媒配管の内部で冷媒の温度が急激に上昇することによりヒートポンプ160が異常停止するのをより確実に防止することができる。従って、本実施形態のボイラシステム100では、蒸気ボイラ140へ供給される補給水W1をヒートポンプ160により間欠的に加温する場合に、ヒートポンプ160をより安全に運転することができる。
【0058】
本実施形態のボイラシステム100では、補給水バルブ171のバルブ運転信号を「ON」にした後、及びヒートポンプ160のHP運転信号を「OFF」した後に、タイマー部により時間T1又はT2を計測している。
そのため、熱交換器150に補給水W1が流通している状態でヒートポンプ160の運転を開始又は停止する制御を簡易に実施することができる。
【0059】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点を中心に説明する。第2実施形態のボイラシステム100Aにおいて、第1実施形態のボイラシステム100と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。第2実施形態において、特に説明しない事項については、第1実施形態の説明が適宜に適用又は援用される。
【0060】
図4は、本発明の第2実施形態のボイラシステム100Aを示す概略構成図である。また、
図5は、貯留部131の構造を示す概略斜視図である。
【0061】
図4に示すように、本実施形態では、補給水ラインL110の二次側(補給水W1の流出側)が、給水ラインL120の接続部J4に接続されている。接続部J4は、給水タンク130と蒸気ボイラ140との間に位置している。
【0062】
また、給水タンク130は、その内部に貯留部131を有する。貯留部131は、補給水ラインL110から給水ラインL120に流通する補給水W1の一部を一時的に保持するタンクである。貯留部131は、給水タンク130の内部であって、給水ラインL120が給水タンク130と接続する位置に設けられている。
【0063】
貯留部131は、
図5に示すように、略箱枠形に形成されている。貯留部131は、仕切り板、切り欠き133、134、及び135を備える。仕切り板132は、貯留部131の内部を2つに区分する板である。貯留部131の内部は、仕切り板132により貯留槽131a、131bに区分される。このうち、貯留槽131aには、給水ラインL120の一端側が接続されている。
【0064】
仕切り板132は、貯留部131の上部に隙間が形成される程度の高さを有する。これにより、貯留部131の内部に貯留された補給水W1は、仕切り板132の上部を通じて、貯留槽131a、131bの間を移動することができる。
【0065】
切り欠き133〜135は、給水タンク130において、貯留部131を除く領域(以下、「他の領域」という)に貯留されている補給水W1と、貯留部131に貯留されている補給水W1とを徐々に混合させるための開口である。なお、
図5では、かくれ線(破線)の図示を適宜に省略する。
【0066】
補給水ラインL110から給水ラインL120を経て給水タンク130に補給された補給水W1は、貯留部131の貯留槽131a、又は貯留槽131a及び131bに一時的に貯留される。すなわち、ヒートポンプ160により加温された補給水W1は、給水タンク130の他の領域に貯留されている補給水W1とすぐに混合することがない。
【0067】
また、貯留部131に貯留された補給水W1は、切り欠き133〜135を介して、すでに給水タンク130の他の領域に貯留されている補給水W1と徐々に混合する。従って、加温された補給水W1は、貯留部131において、その温度をすぐに下げることなく貯留される。
【0068】
貯留部131は、以下のように機能する。
図4において、蒸気ボイラ140へ補給される補給水W1の必要量と、補給水ラインL110から給水ラインL120に供給される補給水W1の量とがほぼ等しいとする。この場合には、熱交換器150により加温された補給水W1は、補給水ラインL110から給水ラインL120に供給され、優先的に蒸気ボイラ140に補給される。
【0069】
また、蒸気ボイラ140へ補給される補給水W1の必要量が、補給水ラインL110から給水ラインL120に供給される補給水W1の量を下回るとする。この場合には、余った分の補給水W1は、給水タンク130の貯留部131へ補給される。これにより、給水タンク130の貯留部131には、加温された補給水W1が貯留される。
【0070】
また、蒸気ボイラ140へ補給される補給水W1の必要量が、補給水ラインL110から給水ラインL120に供給される補給水W1の量を上回るとする。この場合には、足りない分の補給水W1が、給水タンク130から供給される。すなわち、補給水ラインL110から給水ラインL120に供給された補給水W1と、貯留部131に貯留されている補給水W1とが蒸気ボイラ140に補給される。
【0071】
上述した第2実施形態のボイラシステム100Aにおいて、補給水W1の温度制御を行なう場合の処理手順は、第1実施形態(
図3)に示すフローチャートと同じとなる。このため、第1実施形態のボイラシステム100における説明を援用して、第2実施形態のボイラシステム100Aにおける制御の説明を省略する。
【0072】
第2実施形態のボイラシステム100Aは、上述した第1実施形態のボイラシステム100と同様に、蒸気ボイラ140へ供給される補給水W1をヒートポンプ160により間欠的に加温する場合において、ヒートポンプ160をより安全に運転することができるという効果を奏する。更に、第2実施形態のボイラシステム100Aによれば、例えば、以下のような効果を奏する。
【0073】
第2実施形態のボイラシステム100Aにおいて、補給水ラインL110は、給水ラインL120に接続されている。これによれば、熱交換器150において加温された補給水W1を、蒸気ボイラ140に直接供給することができる。そのため、加温した補給水W1を給水タンク130から蒸気ボイラ140に供給する場合に比べて、蒸気ボイラ140により高温の補給水W1を供給することができる。従って、蒸気ボイラ140の燃焼効率を向上させることができる。
【0074】
また、第2実施形態のボイラシステム100Aは、補給水ラインL110から給水ラインL120を介して給水タンク130に向けて流通する補給水W1を一時的に保持する貯留部131を備える。これによれば、蒸気ボイラ140に供給される補給水W1の必要量が、補給水ラインL110から供給される量を下回る場合には、余った分の補給水W1を貯留部131に貯留することができる。貯留部131では、貯留された補給水W1の温度が急激に下がらないため、補給水W1の温度を出来る限り保持した状態で貯留することができる。
【0075】
また、蒸気ボイラ140に供給される補給水W1の必要量が、補給水ラインL110から供給される量を上回る場合には、足りない分の補給水W1を、給水タンク130から供給することができる。このときには、給水タンク130の貯留部131に貯留されている補給水W1が優先的に給水ラインL120を介して蒸気ボイラ140に供給される。このため、蒸気ボイラ140により高温の補給水W1を供給することができる。
【0076】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0077】
本実施形態では、補給水バルブ171のバルブ運転信号を「ON」にした後、時間T1が経過した時点でヒートポンプ160のHP運転信号を「ON」している(
図3:ステップST103〜ST106参照)。しかし、これに限らず、例えば、補給水バルブ171のバルブ運転信号を「ON」した後、補給水バルブ171から送信されるバルブ開信号を検知した時点でヒートポンプ160のHP運転信号を「ON」してもよい。
【0078】
また、補給水バルブ171のバルブ運転信号を「ON」した後、流量計170(
図1参照)で計測した補給水W1の流量が規定流量に達した時点でヒートポンプ160のHP運転信号を「ON」してもよい。この場合には、熱交換器150に補給水W1が確実に流通している状態でヒートポンプ160の運転を開始することができるので、システムの信頼性をより高めることができる。
【0079】
また、本実施形態では、ヒートポンプ160のHP運転信号を「OFF」した後、時間T2が経過した時点で補給水バルブ171のバルブ運転信号を「OFF」している。他の実施形態として、例えば、熱交換器150における補給水W1の温度に基づいて補給水バルブ171のバルブ運転信号を「OFF」してもよい。
【0080】
すなわち、ヒートポンプ160のHP運転信号を「OFF」した後、温度計173により熱交換器150を通過した補給水W1の温度TS2を取得し、温度計172により熱交換器150を通過する前の補給水W1の温度TS1を取得する。そして、温度TS2≦温度TS1+tの条件を満たした時点で補給水バルブ171のバルブ運転信号を「OFF」してもよい。なお、「t」は、温度TS2との温度差を調節するために設定される値である。
【0081】
なお、本実施形態の制御と、上述した他の実施形態における制御とは、適宜に組み合わせが可能である。
例えば、補給水バルブ171のバルブ運転信号を「ON」した後、流量計170で計測した補給水W1の流量が規定流量に達した時点でヒートポンプ160のHP運転信号を「ON」する制御と、ヒートポンプ160のHP運転信号を「OFF」した後、時間T2が経過した時点で補給水バルブ171のバルブ運転信号を「OFF」する制御とを組み合わせてもよい。
【0082】
また、補給水バルブ171のバルブ運転信号を「ON」した後、補給水バルブ171のバルブ開信号を検知した時点でヒートポンプ160のHP運転信号を「ON」する制御と、ヒートポンプ160のHP運転信号を「OFF」した後、熱交換器150における補給水W1の温度に基づいて補給水バルブ171のバルブ運転信号を「OFF」する制御とを組み合わせてもよい。
【0083】
第2実施形態において、貯留部131は、給水タンク130の内部であって、給水ラインL120が給水タンク130と接続する位置に設けられている。しかし、これに限らず、貯留部131を、給水タンク130と蒸気ボイラ140との間の給水ラインL120に設けてもよい。
【0084】
第1及び第2実施形態では、ヒートポンプ160の内部冷媒(不図示)と熱交換した冷媒W2により補給水W1を加温する構成について説明した。しかし、これに限らず、ヒートポンプ160の内部冷媒と補給水W1とを直接に熱交換する構成としてもよい。