(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
建屋のエレベータホールと昇降路との間には、エレベータに対する乗降部としての出入口が設けられ、この出入口に三方枠が据え付けられ、この三方枠の背面側に前記出入口を開閉する引き戸式のドアパネルが設けられている。
【0003】
前記出入口は通常時には前記ドアパネルにより閉鎖され、昇降路内を昇降するかごがその階のエレベータホールに着床した際に開放動作し、そのかごがエレベータホールから離れる際に閉合動作して前記出入口が閉鎖される。
【0004】
ところで、通常時に出入口はドアパネルで閉鎖されているとはいえ、そのドアパネルと三方枠との間には僅かな隙間があり、このためエレベータホールで火災が発生した際に、その煙が前記隙間を通して昇降路内に流入し、昇降路が煙を上昇させる煙突として働いて火勢が強まると共に、煙が他の階床にまで拡散し、入居者の避難を困難にしてしまう恐れがある。
【0005】
そこで、近年では、ドア機構の密閉性を高めることが重要な課題となっており、その一環として三方枠とドアパネルとの間の隙間をゴム等の弾性体からなる気密材で密閉して遮煙することが行われるようになってきている。
【0006】
すなわち、三方枠あるいはドアパネルに所定のピッチで複数のねじ穴を形成し、その各ねじ穴にねじを螺挿し、その複数のねじでゴム等の弾性体からなる気密材を固定するための保持材を三方枠あるいはドアパネルに取り付け、この気密材をドアパネル閉鎖時にそのドアパネルあるいは三方枠の表面に弾性的に接触させ、この気密材で三方枠とドアパネルとの間の隙間を密閉して煙の流通を遮断し、ドア機構の気密性を高めるようにしている。
【0007】
気密材の取り付けは、建屋に三方枠を据え付けた後において、その三方枠あるいはドアパネルに複数のねじで取り付ける現場作業により行われている。
【0008】
以下、気密材が保持材を介して、ドアパネルの戸袋側端部に複数のねじによって固定された例を
図12および
図13によって説明する。尚、
図12はドアパネル裏面図であり、向かって右側が戸袋側である。
図13は
図12のA―A線に沿う部分の断面図で、ドアパネルの戸袋方向端部水平方向断面図であり、戸当たり側は省略してある。17は気密材、7は取付ねじ、8はドアパネル、6は保持材、である。
【0009】
気密材17は保持材6に嵌入されており、ドアパネル8の戸袋方向端部に高さ方向に複数の取付ねじ7によって所定のピッチで、保持材6を介して固定されており、戸全閉時に当該気密材17が三方枠の側枠と当接して、気密性能を得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0025】
図1は本発明および従来技術に係る遮煙装置を備えるエレベータの乗降部をエレベータホール側から見た斜視図で、エレベータホール1の壁面には乗降部として出入口2が形成され、この出入口2の奥方側が乗りかごが昇降する昇降路となっている。尚、エレベータホール側から見た本発明と従来技術による乗降部の外観上の違いはない。
【0026】
出入口2には三方枠3が据え付けられ、この三方枠3は、左右側に配置された一対の側枠4と、これら側枠4の上部間に架設された上枠5とで門形に構成されている。
【0027】
そして三方枠3の背面側に、出入口2を開閉する例えば一対の両開き式のドアパネル8が設けられている。ドアパネル8は、図示しないがその上部に複数のドアローラを有し、その各ドアローラが建屋の壁面に水平に据え付けられたドアレールに転動自在に掛け合わされて左右方向に移動自在に懸架され、その左右方向の移動により出入口2が開閉されるようになっている。なお、出入口2の下部奥側部にはエレベータホール1の床面とほぼ面一に敷居9が水平に設けられ、この敷居9に沿ってドアパネル8が左右方向に移動する。
【実施例1】
【0028】
実施例1を
図2、
図4および
図5を用いて説明する。
【0029】
図2は、実施例1乃至実施例3に係るエレベータドアの遮煙装置が取り付けられた、
図1中のドアパネル8の裏面図である。図面右側が戸袋側を表す。戸袋側とはドアパネルが開く方向である。前記ドアパネル8の戸袋側には、気密材を取り付けるための弾性部材10がリベット11などの締結材あるいは接着材等で、ドアパネル上部から下部に渡って取り付けられている。
【0030】
図4には
図2におけるA−A線に沿う部分の断面構造を示してあり、出入口2に設けられたドアパネル8はその閉鎖時に三方枠3の背面と対向し、側枠4の後部側の折返し板4aとドアパネル8の表面との間に隙間Gが生じている。
【0031】
気密材17は前記弾性部材10にはさみ込まれて、弾性的に取り付けられている。この気密材17はドアパネル8の高さとほぼ同じ長さを有し、この気密材17が側枠4の裏面折返し板4bに当接することにより前記隙間Gが密閉され、この密閉によりエレベータホール1側とドアパネル8の背面側の昇降路との間の空気流通経路が遮断されている。なお、ドアパネル8と三方枠3の上枠5の隙間およびドアパネル8の戸当たり部分の隙間は、ドアパネル8あるいは上枠5に取り付けられた気密材(図示せず)により密閉されている。
【0032】
したがって、エレベータホール1側で火災が発生したときの煙が昇降路側へ流入するような不都合が防止され、これにより昇降路による煙突化を防止して火勢の高まりや煙の他の階床への拡散を抑えることができる。
【0033】
図4に示した気密材17は保持材6に嵌入され、前記保持材6が前記弾性部材10に差し込まれて、前記ドアパネル8に固定されている。
【0034】
尚、前記保持材6はアルミニュウムの押し出し材などからなる。
【0035】
図5に示した気密材17は、保持材を介さず、直接、前記弾性部材10に差し込まれて固定されている。
【0036】
前記気密材17の硬度が低く、軟らかい材質の場合は、
図4に示したように、前記保持材6を介して前記弾性部材10に差し込んで、前記ドアパネル8に固定する方が、前記気密材17の脱着が容易で、作業効率が良い。
【0037】
一方、前記気密材17の硬度が高く、硬い材質の場合は、
図5に示したように、保持材を介さずに前記弾性部材10に差し込んで、前記ドアパネル8に固定しても、前記気密材17の脱着は容易であり、作業効率は悪くなることがなく、保持材を介するとかえって部品点数の増加になり、コストアップとなるため、保持材を介さず、前記弾性部材10に差し込んで、前記ドアパネル8に固定した方が良い。
【0038】
従って、前記気密材17の材質によって、保持材を介すか、介さないかを適宜使い分けるのが良い。
【0039】
前記ドアパネル8に取り付けられた前記気密材17は、
図4に示すように、前記保持材6を介す場合は、前記三方枠3の側枠4に当接する、例えばノの字状の一端を持ち、他端は前記保持材6に嵌入するための、前記保持材6の嵌入部と同形状の凸形状部分を有している。
【0040】
また、前記保持材6の一端は前記気密材17の嵌入部と同形状の凹形状部分を有しており、他端は、前記ドアパネルに固定された前記弾性部材10に差し込んで固定するための、基部6aを有している。
【0041】
前記弾性部材10は略L字状の断面を有し、一辺は前記ドアパネル8の裏面、折返し部分に前記リベット11あるいは接着剤等で固定されており、他辺は前記ドアパネル8の戸袋側端部に押し付けるように弾性力が付加される形状となり、挟み部10aを構成している。
【0042】
保持材6を介して、前記気密材17を前記ドアパネル8に取り付ける際には、
図4に示すように、まず前記気密材17の凸形状部分を前記保持材6の凹形状部分に嵌入し、前記保持材6の前記基部6aを前記弾性部材10の前記挟み部10aに差し込み、挟着する。
【0043】
このように、前記気密材17の硬度が低く、軟らかい材質の時は、前記保持材6を介して前記気密材17を前記弾性部材10に挟着すると良い。
【0044】
一方、前記気密材17の硬度が高く、硬い材質の場合を
図5に示す。保持材を介して前記弾性部材10に挟着する場合との相違点は、前記保持材6の前記基部6aの代わりに、
図5に示す、前記気密材17の基部17aを前記弾性部材10の挟み部10aに差し込み、挟着する点である。
【0045】
前記気密材17が硬い材質であれば、前記気密材17の前記基部17aを前記弾性部材10の挟み部10aに差し込む作業も、比較的容易に行うことが可能である。
【0046】
このように、気密材17は保持材6の基部6aあるいは気密材17の基部17aを、弾性部材10の挟み部10aに差し込んで挟着するだけで、ねじおよび工具を用いる場合のような面倒で煩わしい作業を要することなく、また狭い作業スペース内であっても容易に能率よく取り付けることができる。したがって、特に高層の建屋の各階の三方枠3とドアパネル8の隙間に気密材17を取り付けるような場合に、より効率が向上する。
【0047】
一方、気密材17を取り外すときには、単に気密材17あるいは気密材17が嵌入された保持材6を弾性部材10から抜き取ればよく、ねじおよび工具を用いる場合のような面倒で煩わしい作業を要することがなく、容易に能率よく取り外すことができる。したがって、気密材17の交換が必要なときにその作業を効率よく行うことができる。また、保持材6を使用する場合は、気密材17のみを交換すれば良く、保持材は再利用することが可能であり、保持材を介さない場合に比べて、初期コストの増加のみで、ランニングコストは差異がない。
【0048】
保持材6を介する場合と介さない場合の双方が対応可能であるので、環境などによって、気密材17の材質を硬度の低いものから高いものまで自由に選定可能で、設計の自由度が広がる。
【0049】
尚、
図3に示すように、前記弾性部材10は、ドアパネル8の高さ方向とほぼ同一の長さに必ずしもする必要はなく、気密材17あるいは保持材6の強度に応じて、前記気密材17あるいは保持材6が変形しない程度に、部分的に配置しても良い。
【0050】
また、このような気密材17の取り付け構造は、側枠4とドアパネル8の隙間だけでなく、ドアパネル同士あるいはドアパネル8と上枠5あるいはドアパネル8と敷居9との隙間にも使用することが可能であることは当然である。
【実施例2】
【0051】
実施例2を
図2、
図6および
図7を用いて、実施例1に、前記気密材17の出代調整機能を追加した実施例2を説明する。
【0052】
実施例2の説明は実施例1と同様な点については省略し、主に相違点について説明する。
【0053】
図2は、実施例1乃至実施例3に係るエレベータドアの遮煙装置が取り付けられた、
図1中のドアパネル8の裏面図である。図面右側が戸袋側を表す。戸袋側とはドアパネルが開く方向である。前記ドアパネル8の戸袋側には、気密材を取り付けるための弾性部材10がリベット11などの締結材あるいは接着材等で、ドアパネル上部から下部に渡って取り付けられている。
【0054】
図6および
図7には
図2におけるA−A線に沿う部分の断面構造を示してあり、出入口2に設けられたドアパネル8はその閉鎖時に三方枠3の背面と対向し、側枠4の後部側の折返し板4aとドアパネル8の表面との間に隙間Gが生じている。
【0055】
気密材17は前記弾性部材10にはさみ込まれて、弾性的に取り付けられている。この気密材17はドアパネル8の高さとほぼ同じ長さを有し、この気密材17が側枠4の裏面折返し板4bに当接することにより前記隙間Gが密閉され、この密閉によりエレベータホール1側とドアパネル8の背面側の昇降路との間の空気流通経路が遮断されている。なお、ドアパネル8と三方枠3の上枠5の隙間およびドアパネル8の戸当たり部分の隙間は、ドアパネル8あるいは上枠5に取り付けられた気密材(図示せず)により密閉されている。
【0056】
図6において、保持材6の基部6aには、V溝6bが所望の位置に、前記保持材6の長手方向の全長に渡って、あるいは一部に形成されている。
【0057】
一方、弾性部材10の挟み部10aの先端は前記保持材6側に折れ曲がっている。
【0058】
前記弾性部材10の折れ曲がった挟み部10aの先端が前記保持材6の前記V溝6bに嵌り込み、前記気密材17を所望の出代とすることが可能である。
【0059】
また、副次的な効果として、前記保持材6の前記V溝6bが前記弾性部材10の挟み部10aの先端に引っ掛かり、前記保持材6が脱落しにくくなる。
【0060】
同様に、
図7において、気密材17の基部17aには、V溝17bが所望の位置に、前記気密材17の長手方向の全長に渡って、あるいは一部に形成されている。
【0061】
一方、弾性部材10の挟み部10aの先端は前記気密材17側に折れ曲がっている。
【0062】
前記弾性部材10の折れ曲がった挟み部10aの先端が前記気密材17の前記V溝17bに嵌り込み、前記気密材17を所望の出代とすることが可能である。
【0063】
また、副次的な効果として、前記気密材17の前記V溝17bが前記弾性部材10の挟み部10aの先端に引っ掛かり、前記気密材17が脱落しにくくなる。
【0064】
このように、気密材17は保持材6の基部6aあるいは気密材17の基部17aを、弾性部材10の挟み部10aに差し込んで挟着するだけで、ねじおよび工具を用いる場合のような面倒で煩わしい作業を要することなく、また狭い作業スペース内であっても用意に能率よく取り付けることができる。したがって、特に高層の建屋の各階の三方枠3とドアパネル8の隙間に気密材17を取り付けるような場合に、より効率が向上する。このように実施例1の効果に加え、前記気密材17の出代の調整をすることなしに、最適の出代で気密材17を設置することができ、より作業効率が向上する。
【0065】
実施例2において、前記弾性部材10の挟み部10aの先端に代わり、
図4または
図5の挟み部10aのくの字形状に折れ曲がった部分が、前記保持材6の前記V溝6bあるいは前記気密材17の前記V溝17bに嵌りこんでも同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0066】
実施例3を
図2、
図8乃至
図11を用いて、実施例1に、前記気密材17の出代調整機能を追加した実施例2とは別の実施例3を説明する。
【0067】
実施例3の説明は実施例1と同様な点については省略し、主に相違点について説明する。
【0068】
図2は、実施例1乃至実施例3に係るエレベータドアの遮煙装置が取り付けられた、
図1中のドアパネル8の裏面図である。図面右側が戸袋側を表す。戸袋側とはドアパネルが開く方向である。前記ドアパネル8の戸袋側には、気密材を取り付けるための弾性部材10がリベット11などの締結材あるいは接着材等で、ドアパネル上部から下部に渡って取り付けられている。
【0069】
図8および
図10には
図2におけるA−A線に沿う部分の断面構造を示してあり、出入口2に設けられたドアパネル8はその閉鎖時に三方枠3の背面と対向し、側枠4の後部側の折返し板4aとドアパネル8の表面との間に隙間Gが生じている。
【0070】
気密材17は前記弾性部材10にはさみ込まれて、弾性的に取り付けられている。この気密材17はドアパネル8の高さとほぼ同じ長さを有し、この気密材17が側枠4の裏面折返し板4bに当接することにより前記隙間Gが密閉され、この密閉によりエレベータホール1側とドアパネル8の背面側の昇降路との間の空気流通経路が遮断されている。なお、ドアパネル8と三方枠3の上枠5の隙間およびドアパネル8の戸当たり部分の隙間は、ドアパネル8あるいは上枠5に取り付けられた気密材(図示せず)により密閉されている。
【0071】
図8において、保持材6の基部6aには、貫通穴または凹部6cが所望の位置に、前記保持材6の少なくとも一ヶ所に形成されている。
【0072】
一方、弾性部材10の前記保持材6と当接する側にはエンボス加工等によって、凸部13が形成されている。
【0073】
前記弾性部材10の凸部13が前記保持材6の前記貫通穴または凹部6cに嵌り込み、前記気密材17を所望の出代とすることが可能である。
【0074】
また、副次的な効果として、前記弾性部材10の凸部13が前記保持材6の前記貫通穴または凹部6cに引っ掛かり、前記保持材6が脱落しにくくなる。
【0075】
図9は実施例3の内、前記保持材6を介して前記気密材17を取り付けた場合の、前記ドアパネル8の上端部分の斜視図である。
【0076】
同様に、
図10において、気密材17の基部17aには、貫通穴または凹部17cが所望の位置に、前記気密材17の少なくとも一ヶ所に形成されている。
【0077】
一方、弾性部材10の前記気密材17と当接する側にはエンボス加工等によって、凸部13が形成されている。
【0078】
前記弾性部材10の前記凸部13が前記気密材17の前記貫通穴または凹部17cに嵌り込み、前記気密材17を所望の出代とすることが可能である。
【0079】
また、副次的な効果として、前記弾性部材10の凸部13が前記気密材17の前記貫通穴または凹部17cに引っ掛かり、前記気密材17が脱落しにくくなる
【0080】
このように、気密材17は保持材6の基部6aあるいは気密材17の基部17aを、弾性部材10の挟み部10aに差し込んで挟着するだけで、ねじおよび工具を用いる場合のような面倒で煩わしい作業を要することなく、また狭い作業スペース内であっても用意に能率よく取り付けることができる。したがって、特に高層の建屋の各階の三方枠3とドアパネル8の隙間に気密材17を取り付けるような場合に、より効率が向上する。このように実施例1の効果に加え、前記気密材17の出代の調整をすることなしに、最適の出代で気密材17を設置することができ、より作業効率が向上する
【0081】
図11は実施例3の内、前記保持材6を介さず、前記気密材17を取り付けた場合の、前記ドアパネル8の上端部分の斜視図である。
【実施例4】
【0082】
実施例4は実施例1乃至実施例3の弾性部材10に押さえ込み機構を追加した例である。実施例4を
図15(A)および(B)を用いて説明する。
【0083】
図15(A)および(B)は、実施例4に係るエレベータドアの断面構造であり、
図2におけるA−A線に沿う部分の断面構造に相当する図である。
【0084】
前記弾性部材10は略L字状の断面を有し、一辺は前記ドアパネル8の裏面、折返し部分にリベット11あるいは接着剤等で固定されており、他辺は前記ドアパネル8の戸袋側端部と所望の隙間をあけて取り付けられている。
【0085】
アングル27の一辺は前記弾性部材10の外側に、該弾性部材10を固定している前記リベット11で共締め、あるいは接着剤等で固定されており、他辺先端の外側にはヒンジ28の一辺が接着剤等で固定されている。
【0086】
前記ヒンジ28は、例えば、平蝶番である。
【0087】
前記ヒンジ28の他辺には、L字形状をした前記つまみ29の辺aが接着剤等で固定され、前記つまみ29の辺bが
図15(A)に示すように、戸袋側かつ塔内側に立ち上がるように配置する。
【0088】
図15(A)に示した気密材17は保持材6に嵌入され、前記保持材6が前記弾性部材10と前記ドアパネル8の隙間に差し込まれている。
【0089】
図15(B)に示すように、二点鎖線によってしめされた前記つまみ29を、前記ヒンジ28を介して、反時計回りに回動させることによって、前記つまみ29の一端が前記弾性部材10を押さえ込み、前記弾性部材10を前記保持材6に圧接させ、前記気密材17を嵌入された前記保持材6を、前記ドアパネル8に固定する。
【0090】
前記つまみ29によって、前記弾性部材10を前記保持材6側に押さえ込むことにより、確実に前記保持材6を固定することができる。
【0091】
また、図示しないが、前記ヒンジ28をばね蝶番にするなどして、常に前記つまみ29に対して反時計回りに回動付勢しても良い。ばね蝶番によって、前記つまみ29に前記弾性部材10を押さえ込む方向の力を与え、衝撃などによって、前記つまみ29が時計回りに回動し、前記保持材6が脱落することを防ぐことが可能である。ばね蝶番は、平蝶番にばねを組み込み、平蝶番が閉じる方向、あるいは開く方向に付勢した周知の技術である。
【0092】
逆に、前記気密材17を嵌入した前記保持材6を外す場合、まず前記つまみ29を時計回りに回動し、前記押さえ込む力を取り除いた後、前記保持材6を抜き取る。
【0093】
図15は前記気密材17を前記保持材6に嵌入させた場合を記載したが、前記弾性部材10は保持材を介さず、直接、前記弾性部材10と前記ドアパネル8の隙間に差し込んで固定しても良い。
【0094】
尚、
図3に示すように、前記弾性部材10、前記アングル27、前記ヒンジ28および前記つまみ29は、ドアパネル8の高さ方向とほぼ同一の長さに必ずしもする必要はなく、気密材17あるいは保持材6の強度に応じて、前記気密材17あるいは保持材6が変形しない程度に、部分的に配置しても良い。
【0095】
また、このような気密材17の取り付け構造は、側枠4とドアパネル8の隙間だけでなく、ドアパネル同士あるいはドアパネル8と上枠5あるいはドアパネル8と敷居9との隙間にも使用することが可能であることは当然である。
【実施例5】
【0096】
実施例5は実施例1乃至実施例3の弾性部材10に実施例4とは異なる押さえ込み機構を追加した例である。実施例5を
図16(A)および(B)を用いて説明する。
【0097】
図16(A)および(B)は、実施例5に係るエレベータドアの断面構造であり、
図2におけるA−A線に沿う部分の断面構造に相当する図である。
【0098】
前記弾性部材10は略L字状の断面を有し、一辺は前記ドアパネル8の裏面、折返し部分にリベット11あるいは接着剤等で固定されており、他辺は前記ドアパネル8の戸袋側端部と所望の隙間をあけて取り付けられている。
【0099】
アングル27の一辺は前記弾性部材10の外側に、該弾性部材10を固定している前記リベット11で共締め、あるいは接着剤等で固定されており、他辺先端の内側にはヒンジ28の一辺が接着剤等で固定されている。
【0100】
前記ヒンジ28は、例えば、平蝶番である。
【0101】
前記ヒンジ28の他辺には、L字形状をした前記つまみ29の辺aが接着剤等で固定され、前記つまみ29の辺bが
図16(A)に示すように、戸袋側かつ乗場側に立ち上がるように配置する。
【0102】
図16(A)に示した気密材17は保持材6に嵌入され、前記保持材6が前記弾性部材10と前記ドアパネル8の隙間に差し込まれている。
【0103】
図16(B)に示すように、二点鎖線によってしめされた前記つまみ29を、前記ヒンジ28を介して、時計回りに回動させることによって、前記つまみ29の一端が前記弾性部材10を押さえ込み、前記弾性部材10を前記保持材6に圧接させ、前記気密材17を嵌入された前記保持材6を、前記ドアパネル8に固定する。
【0104】
前記つまみ29によって、前記弾性部材10を前記保持材6側に押さえ込むことにより、確実に前記保持材6を固定することができる。
【0105】
また、図示しないが、前記ヒンジ28をばね蝶番にするなどして、常に前記つまみ29に対して時計回りに回動付勢しても良い。ばね蝶番によって、前記つまみ29に前記弾性部材10を押さえ込む方向の力を与え、衝撃などによって、前記つまみ29が反時計回りに回動し、前記保持材6が脱落することを防ぐことが可能である。ばね蝶番は、平蝶番にばねを組み込み、平蝶番が閉じる方向、あるいは開く方向に付勢した周知の技術である。
【0106】
逆に、前記気密材17を嵌入した前記保持材6を外す場合、まず前記つまみ29を反時計周りに回動し、前記押さえ込む力を取り除いた後、前記保持材6を抜き取る。
【0107】
図16は前記気密材17を前記保持材6に嵌入させた場合を記載したが、前記弾性部材10は保持材を介さず、直接、前記弾性部材10と前記ドアパネル8の隙間に差し込んで固定しても良い。
【0108】
尚、
図3に示すように、前記弾性部材10、前記アングル27、前記ヒンジ28および前記つまみ29は、ドアパネル8の高さ方向とほぼ同一の長さに必ずしもする必要はなく、気密材17あるいは保持材6の強度に応じて、前記気密材17あるいは保持材6が変形しない程度に、部分的に配置しても良い。
【0109】
また、このような気密材17の取り付け構造は、側枠4とドアパネル8の隙間だけでなく、ドアパネル同士あるいはドアパネル8と上枠5あるいはドアパネル8と敷居9との隙間にも使用することが可能であることは当然である。
【0110】
各実施例は両開き扉について説明したが、片開き扉についても同様に適用可能である。
【0111】
各実施例は保持材または気密材の脱落防止として、少なくとも1本のねじで併用固定しても良い。
【0112】
本発明はエレベータ以外の遮煙性能を必要とする扉装置に適用することができる。
【0113】
各実施例の保持材は樹脂の射出成形品や樹脂の押し出し材であっても良い。