(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
高層建造物の解体に使用される超ロングアタッチメント付きの解体機を例にとって背景技術を説明する。
【0003】
この解体機は、
図10に示すように、ベースマシン3と、その前部に装着された作業アタッチメント4とから構成される。ベースマシン3は、クローラ式の下部走行体1と、この下部走行体1上に垂直軸まわりに旋回自在に搭載された上部旋回体2とから成る。
【0004】
作業アタッチメント4は、ベースマシン3(上部旋回体2)に起伏自在に取り付けられたブーム5と、作業範囲の拡大を目的としてこのブーム5の先端に水平軸まわりに回動可能に取り付けられた短尺のインターブーム6と、このインターブーム6の先端に水平軸まわりに回動可能に取り付けられたアーム7と、このアーム7の先端に取り付けられた作業装置8(図例ではニブラと称される圧砕装置を示す)とを具備する。
【0005】
ブーム5は、メインブーム5aと、その上段側に着脱自在に連結されたフロントブーム5bとからなる。解体機を輸送する場合には、ベースマシン3と作業アタッチメント4とに分解されて輸送される。このとき、メインブーム5aは、ベースマシン3に取り付けられた状態で輸送される。
【0006】
なお、フロントブーム5bは、通常、複数段のブーム体を着脱自在に連結して構成されるが、ここでは図の簡略化のため単一のものとして示す。
【0007】
また、作業アタッチメント4を作動させるシリンダ(油圧シリンダ)として、ブーム5(アタッチメント全体)を起伏させるブームシリンダ9と、インターブーム6を作動させるインターブームシリンダ10と、アーム7を作動させるアームシリンダ11、それに作業装置8を作動させる作業装置シリンダ12が設けられている。
【0008】
インターブーム、アーム両シリンダ10,11は、それぞれアタッチメント前面側においてブーム5(フロントブーム5b)とインターブーム6との間、インターブーム6とアーム7との間に設けられている。
【0009】
以上の構成は特許文献1に示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような超ロングアタッチメント付きの解体機を分解するときは、
図10の実線部分及び
図11に示すように作業アタッチメント4を、インターブーム6を境としてブーム5が上側、アーム7が下側となる三つ折れ状態に折り畳んで地上に置き、前記のようにベースマシン3とメインブーム5aの組と、メインブーム5aを除く作業アタッチメント4の組とに切り離して輸送する。
【0012】
この場合、作業アタッチメント4の組は、組全体が折り畳み姿勢のまま輸送される。
【0013】
ここで、上記のような構造の解体機では、インターブーム、アーム両シリンダ10,11が、同位相(アタッチメント折り畳み姿勢で上から見てアタッチメント幅方向の同じ位置)に配置されているため、両シリンダ10,11間にこれらが干渉しない間隔を保つ必要がある。
【0014】
このため、両シリンダ10,11の高さ方向の占有スペースが大きくなる。
【0015】
一方、
図11に示すように、インターブーム6に対するブーム5及びアーム7の取付ピンをX1,X2、インターブーム6に対する両シリンダ10,11の取付ピン(シリンダ推力の作用点)をY1,Y2とすると、インターブーム6及びアーム7を作動させる力は、X1−Y1間、X2−Y2間の距離(以下、モーメント長という)α1,α2に比例するため、必要な作動力を確保する上でモーメント長α1,α2に一定の大きさが必要となる。
【0016】
以上の結果、アタッチメント折り畳み姿勢でのブーム5とアーム7との距離、つまり、インターブーム6の長さL1が大きくなるため、アタッチメント4の地上高さ(先端高さH1及び全体高さH2)が大きくなる。
【0017】
このため、分解・組立作業が高所作業となり、安全性及び作業性の点で好ましくなかった。
【0018】
ここで、上記のような必要な動作力を確保するためのモーメント長を確保できるとともに、アタッチメント折り畳み姿勢でのアタッチメントの高さ寸法(いわゆる輸送高さ)を低くするために、アタッチメント折り畳み姿勢時において、インターブームシリンダ10およびアームシリンダ11をアタッチメント側面から見て交差するように配置した場合、アタッチメント伸長姿勢にして作業アタッチメントを分解または組立てする際に、各シリンダとインターブームとを接続する取付ピンが周囲のシリンダ等と干渉するおそれがあるので、当該取付ピンを抜き差しする作業が困難になる。
【0019】
そこで本発明は、アタッチメント折り畳み姿勢での輸送時のアタッチメントの高さ寸法を縮小して輸送性を改善するとともに、アタッチメント伸長姿勢におけるアタッチメントの分解または組立て作業を容易に行うことができる作業機械を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1の発明は、ベースマシンに作業アタッチメントが取り付けられた作業機械であって、前記作業アタッチメントは、前記ベースマシンに起伏自在に取り付けられたブームと、前記ブームの先端に水平軸まわりに回動自在に取り付けられたインターブームと、前記インターブームの先端に水平軸まわりに回動自在に取り付けられたアームと、前記アームの先端に取り付けられた作業装置とを具備するとともに、前記ブームを起伏させるブームシリンダと、前記作業アタッチメントを伸長して立ち上げた状態における当該作業アタッチメントの前面側で、かつ、前記ブームとインターブームとの間に設けられてインターブームを回動させる少なくとも1本のインターブームシリンダと、前記作業アタッチメントを伸長して立ち上げた状態における前記作業アタッチメントの前面側で、かつ、前記インターブームとアームとの間に設けられてアームを作動させる少なくとも1本のアームシリンダと、前記インターブームシリンダを前記インターブームに水平軸回りに回動自在に連結し、かつ、水平方向に移動して前記インターブームに抜き差しできるように取り付けられる第1取付ピンと、前記アームシリンダを前記インターブームに水平軸回りに回動自在に連結し、かつ、水平方向に移動して前記インターブームに抜き差しできるように取り付けられる第2取付ピンと、を備えており、前記第1取付ピンおよび前記第2取付ピンは、前記インターブームを境として前記ブームが上側、アームが下側となる三つ折れ式に折り畳んだアタッチメント折り畳み姿勢になったときには、アタッチメント側面から見て、前記インターブームシリンダおよび前記アームシリンダが互いに交差するように、前記第2取付ピンが前記第1取付ピンよりも上側に位置し、かつ、前記ブーム、インターブーム、およびアームが略直線状に伸びるアタッチメント伸長姿勢では、前記第1取付ピンおよび前記第2取付ピンが、それぞれ前記インターブームに抜き差しできるようにアタッチメント側面から当該第1取付ピンおよび当該第2取付ピンの頭部全体が見える位置となる、ように配置されていることを特徴とする作業機械である。
【0021】
かかる構成によれば、アタッチメント折り畳み姿勢では、インターブームシリンダおよびアームシリンダが交差して配置されるので、公知技術と比較して、同等のモーメント長を確保しながら、両シリンダの高さ方向の占有スペースを縮小することができる。
【0022】
しかも、ブーム、インターブーム、およびアームが略直線状に伸びるアタッチメント伸長姿勢では、インターブームシリンダとインターブームとが接続される第1取付ピンおよび上記アームシリンダと上記インターブームとが接続される第2取付ピンが、それぞれインターブームに抜き差しできるようにアタッチメント側面から当該第1取付ピンおよび当該第2取付ピンの頭部全体が見える位置になるように配置されているので、アタッチメント伸長姿勢にして作業アタッチメントを分解または組立てする際に、第1取付ピンおよび第2取付ピン同士またはこれら取付ピンとその周囲のシリンダとが干渉することなく、各シリンダとインターブームとを接続する取付ピンの抜き差し作業を容易に行うことが可能である。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、2本設けられた前記インターブームシリンダは、前記インターブームの幅方向に互いに離間して、前記第1取付ピンによって前記インターブームに連結され、前記アームシリンダは、前記2本のインターブームシリンダによって挟まれた位置で、前記第2取付ピンによって前記インターブームに連結され、前記第1取付ピンおよび前記第2取付ピンは、前記アタッチメントが水平方向に伸長している姿勢では、アタッチメント側面から見て、前記第1取付ピンが、前記第2取付ピンよりもアタッチメントの伸長方向における前側で、かつ、前記第2取付ピンの上側に位置するように、配置されているものである。
【0024】
かかる構成によれば、2本のインターブームシリンダの間に1本または複数本のアームシリンダが配置された場合でも、アタッチメントが水平方向に伸長している姿勢では、アタッチメント側面から見て、2本のインターブームシリンダをインターブームに接続する第1取付ピンが、1本または複数本のアームシリンダをインターブームに接続する第2取付ピンよりもアタッチメントの伸長方向における前側で、かつ、第2取付ピンの上側になるように配置されていることにより、各シリンダのストローク長を確保しながら第1取付ピンおよび第2取付ピンがそれぞれインターブームに抜き差しすることが可能になっている。そのため、中間の1本または複数本のアームシリンダとインターブームとを接続する第2取付ピンの抜き差し作業は、第1取付ピンおよび2本のインターブームシリンダに干渉されることなく、容易に行うことが可能である。また、この構成では、1本のアームシリンダを用いた場合には、2本のインターブームシリンダとインターブームとを接続する第1取付ピンが1本のアームシリンダとインターブームとを接続する第2取付ピンよりも上に配置されているので、2本のインターブームシリンダがインターブームを回転させるためのモーメント長は、1本のアームシリンダがインターブームを回転させるためのモーメント長よりも短くなるが、2本のインターブームシリンダの駆動力は、1本のアームシリンダの駆動力よりも大きく設定することが容易であるので、作業機械の能力を維持できる。
【0025】
しかも、1本のアームシリンダを用いた場合には、アタッチメントを伸ばしてアタッチメント伸長姿勢で作業を行うとき、2本のインターブームシリンダは、当該アタッチメントの先端側から遠い位置に配置され、1本のアームシリンダは、アタッチメントの先端側に近い位置に配置される。これにより、アタッチメント先端側での幅方向へのアームシリンダの張り出しを抑制することが可能である。これにより、作業中におけるアームシリンダの破損のおそれを低くすることが可能である。しかも、アタッチメント先端側での幅方向へのアームシリンダの張り出しを抑制しているので、作業機械の運転席に座るオペレータがアタッチメント先端側を見るときにアームシリンダが邪魔になりにくいので、視認性が向上する。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1の構成において、2本設けられた前記アームシリンダは、前記インターブームの幅方向に互いに離間して、前記第2取付ピンによって前記インターブームに連結され、前記インターブームシリンダは、前記2本のアームシリンダによって挟まれた位置で、前記第1取付ピンによって前記インターブームに連結され、前記第1取付ピンおよび前記第2取付ピンは、前記アタッチメントが水平方向に伸長している姿勢では、アタッチメント側面から見て、前記第2取付ピンが、前記第1取付ピンよりもアタッチメントの伸長方向における後側で、かつ、前記第1取付ピンの上側に位置するように、配置されているものである。
【0027】
かかる構成によれば、2本のアームシリンダの間に1本または複数本のインターブームシリンダが配置された場合でも、アタッチメントが水平方向に伸長している姿勢では、アタッチメント側面から見て、2本のアームシリンダをインターブームに接続する第2取付ピンが、1本または複数本のインターブームシリンダをインターブームに接続する第1取付ピンよりもアタッチメントの伸長方向における後側で、かつ、第1取付ピンの上側になるように配置されることにより、各シリンダのストローク長を確保しながら第1取付ピンおよび第2取付ピンがそれぞれインターブームに抜き差しすることが可能になっている。そのため、中間の1本または複数本のインターブームシリンダとインターブームとを接続する第1取付ピンの抜き差し作業は、第2取付ピンおよび2本のアームシリンダに干渉されることなく、容易に行うことが可能である。また、この構成では、1本のインターブームシリンダを用いた場合には、2本のアームシリンダとインターブームとを接続する第2取付ピンが1本のインターブームシリンダとインターブームとを接続する第1取付ピンよりも上に配置されているので、2本のアームシリンダがインターブームを回転させるためのモーメント長は、1本のインターブームシリンダがインターブームを回転させるためのモーメント長よりも短くなるが、2本のアームシリンダの駆動力は、1本のインターブームシリンダの駆動力よりも大きく設定することが容易であるので、作業機械の能力を維持できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、アタッチメント折り畳み姿勢での輸送時のアタッチメントの高さ寸法を縮小して輸送性を改善することができる。それとともに、アタッチメント伸長姿勢におけるアタッチメントの分解または組立て作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の実施形態では、本発明の作業機械の一実施形態として、背景技術の説明に合わせて超ロングアタッチメント付き解体機を適用対象としている。
【0031】
本実施形態の解体機は、
図1〜5に示されるように、ベースマシン23と、作業アタッチメント24とから構成されている。ベースマシン23は、クローラ式の下部走行体21と、この下部走行体21上に垂直軸まわりに旋回自在に搭載された上部旋回体22とによって構成されている。作業アタッチメント24は、ベースマシン23の前部に取り付けられている。
【0032】
作業アタッチメント24は、ベースマシン23(上部旋回体22)に起伏自在に取り付けられたブーム25(メインブーム25aとフロントブーム25bとインサートブーム25cとから成る)と、このフロントブーム25bの先端部25b2に上下方向に回動可能に取り付けられた短尺のインターブーム26と、このインターブーム26の先端に対して後端部27bが上下方向に回動可能に取り付けられたアーム27と、このアーム27の先端部に取り付けられたニブラ(
図10の符号8)などの作業装置(図示せず)とを具備している。
【0033】
作業アタッチメント24を作動させるシリンダとして、ブーム25(アタッチメント全体)を起伏させるブームシリンダ29と、インターブーム26を作動させるインターブームシリンダ30と、アーム27を作動させるアームシリンダ31、それに作業装置(図示せず)を作動させる作業装置シリンダ32が設けられている。
【0034】
さらに、インターブームシリンダ、アーム両シリンダ30,31は、それぞれアタッチメント前面側(すなわち、
図10に示されるようにアタッチメントを伸長して立ち上げた状態におけるアタッチメントの前面側)においてブーム25(フロントブーム25b)とインターブーム26との間、インターブーム26とアーム27との間に後述する取付ピン40a〜40dによって回動自在に連結されている。
【0035】
また、
図1〜2に示されるように、作業アタッチメント24の折り畳み輸送時には、同アタッチメント24を、インターブーム26を境としてブーム25が上側、アーム27が下側となる三つ折れ状態に折り畳んで地上に置き、ベースマシン23とメインブーム25aの組と、メインブーム25aを除く作業アタッチメント24の組と、インサートブーム25cとに切り離して輸送し、輸送後には、同じ状態で組み立てられる。
【0036】
上記の構成は、
図10〜11に示される公知技術の解体機とほぼ同じである。
【0037】
ただし、本実施形態の解体機では、2本のインターブームシリンダ30および1本のアームシリンダ31を備え、両シリンダ30、31が取付ピン40a〜40dによって以下のように配置されている点で異なる。
【0038】
図4及び
図5に示されるように、2本のインターブームシリンダ30は、インターブーム26の幅方向に互いに離間して、後述する第1取付ピン40aによってインターブーム26に連結されている。また、1本のアームシリンダ31は、
図5に示されるように、2本のインターブームシリンダ30によって挟まれた位置で、後述する第2取付ピン40bによってインターブーム26の突出部26a(
図3参照)に連結されている。
【0039】
図1〜4に示されるように、第1取付ピン40aは、インターブームシリンダ30の一方の端部30aをインターブーム26に水平軸回りに回動自在に連結する。第1取付ピン40aは、水平方向に移動してインターブーム26の前方寄り(
図3の左側)の位置に抜き差しできるように取り付けられる。
【0040】
第2取付ピン40bは、アームシリンダ31の一方の端部31aをインターブーム26の後方寄り(
図3の右側)の位置から下方に突出する突出部26aに水平軸回りに回動自在に連結する。第2取付ピン40bは、水平方向に移動してインターブーム26の後方寄りで、かつ、第1取付ピン40aよりも下方の位置に抜き差しできるように取り付けられる。
【0041】
第3取付ピン40cは、インターブームシリンダ30の他方の端部30bをフロントブーム25bの周面から突出する取付部25b1に水平軸回りに回動自在に連結する。第3取付ピン40cは、水平方向に移動してフロントブーム25bに抜き差しできるように取り付けられる。
【0042】
第4取付ピン40dは、アームシリンダ31の他方の端部31bをアーム27の周面から突出する取付部27aに水平軸回りに回動自在に連結する。第4取付ピン40dは、水平方向に移動してアーム27に抜き差しできるように取り付けられる。
【0043】
図1〜2に示されるように、作業アタッチメント24が、インターブーム26を境としてフロントブーム25bが上側、アーム27が下側となる三つ折れ式に折り畳んだアタッチメント折り畳み姿勢になったときには、アタッチメント側面から見て、第2取付ピン40bが第1取付ピン40aよりも上側になるように配置されるとともに、インターブームシリンダ30およびアームシリンダ31が互いに交差して配置される。
【0044】
一方、
図3に示されるように、作業アタッチメント24が、フロントブーム25b、インターブーム26、およびアーム27が略直線状に伸びるアタッチメントが水平方向に伸長している姿勢になったときには、第1取付ピン40aおよび第2取付ピン40bは、それぞれインターブーム26に抜き差しできるようにアタッチメント側面から当該第1取付ピン40aおよび当該第2取付ピン40bの頭部全体が見える位置になるように配置される。具体的には、インターブーム26の後方寄りの位置に設けられた突出部26aが2本のアームシリンダ30の間から下方へ突出するので、第1取付ピン40aは、第2取付ピン40bよりもアタッチメントの伸長方向における前側で、かつ、第2取付ピン40bの上側に配置される。
【0045】
これにより、第1取付ピン40aは、その周囲の第2取付ピン40bおよびアームシリンダ31に干渉されずにインターブーム26に容易に抜き差しすることが可能である。また、アタッチメントが水平方向に伸長している姿勢では、インターブーム26の突出部26aが第1取付ピン40aよりも下方に突出しているので、突出部26に取り付けられた第2取付ピン40bは、当該突出部26の両側に配置される第1取付ピン40aおよびアームシリンダ30に干渉されずにインターブーム26に容易に抜き差しすることが可能である。また、第1取付ピン40aは、第2取付ピン40bよりもアタッチメントの伸長方向における前側に配置されているので、インターブームシリンダ30およびアームシリンダ31のストローク長を確保できる。
【0046】
図3に示されるように、2本のインターブームシリンダ30とインターブーム26とが接続される第1取付ピン40aの位置は、1本のアームシリンダ31とインターブーム26とが接続される第2取付ピン40bの位置よりも高さHだけ高くなるように設定される。高さHは、2本のインターブームシリンダ30に干渉されずに当該2本のインターブームシリンダ30の間に位置する第2取付ピン40bを容易に着脱できる程度の高さに設定される。
【0047】
(本実施形態の特徴)
(1)
上記のように構成された本実施形態の作業機械では、
図1〜2に示されるように、アタッチメント折り畳み姿勢では、インターブームシリンダ30およびアームシリンダ31が交差して配置されるので、公知技術と比較して、同等のモーメント長を確保しながら、両シリンダ30、31の高さ方向の占有スペースを縮小することができる。
【0048】
すなわち、
図10〜11に示すように両シリンダ30、31を同位相で上下に分離して設けた公知技術と比較して、必要なモーメント長を確保しながら、両シリンダ30,31の高さ方向の占有スペースを縮小することができる。
【0049】
これにより、インターブーム26の長さだけでなく、折り畳み姿勢でのアタッチメント24全体の高さを低くし、分解・組立作業の安全性及び作業性を向上させることができる。
【0050】
また、アタッチメント輸送時の全高を低くできるため、トラック輸送が容易になり、コストダウンを実現することができるとともに、アタッチメント重心を低くできることで輸送時の安定性を向上させることができる。
【0051】
(2)
しかも、本実施形態の作業機械では、
図3に示されるように、フロントブーム25b、インターブーム26、およびアーム27が略直線状に伸びるアタッチメント伸長姿勢において、インターブームシリンダ30とインターブーム26とが接続される第1取付ピン40aおよび上記アームシリンダ31と上記インターブーム26とが接続される第2取付ピン40bが、アタッチメント側面から見て、それぞれインターブーム26に抜き差しできるようにアタッチメント側面から当該第1取付ピン40aおよび当該第2取付ピン40bの頭部全体が見える位置になるように配置されているので、アタッチメント伸長姿勢にして作業アタッチメント24を分解または組立てする際に、第1取付ピン40aおよび第2取付ピン40b同士またはこれら取付ピン40a、40bとその周囲のシリンダ30、31とが干渉することなく、各シリンダ30、31とインターブーム26とを接続する取付ピン40a、40bの抜き差し作業を容易に行うことが可能である。
【0052】
(3)
また、本実施形態の作業機械では、
図3および
図5に示されるように、2本のインターブームシリンダ30の間に1本のアームシリンダ31が配置されていても、アタッチメントが水平方向に伸長している姿勢では、アタッチメント側面から見て、2本のインターブームシリンダ30をインターブーム26に接続する第1取付ピン40aが、1本のアームシリンダ31をインターブーム26に接続する第2取付ピン40bよりもアタッチメントの伸長方向における前側で、かつ、第2取付ピン40bの上側になるように配置されているので、各シリンダ30、31のストローク長を確保しながら第1取付ピン40aおよび第2取付ピン40bがそれぞれインターブーム26に抜き差しすることが可能になっている。そのため、中間の1本のアームシリンダ31とインターブーム26とを接続する第2取付ピン40bの抜き差し作業は、第1取付ピン40aおよび2本のインターブームシリンダ30に干渉されることなく、容易に行うことが可能である。
【0053】
(4)
また、この構成では、
図3に示されるように、2本のインターブームシリンダ30とインターブーム26とを接続する第1取付ピン40aが1本のアームシリンダ31とインターブーム26とを接続する第2取付ピン40bよりも上に配置されているので、2本のインターブームシリンダ30がインターブーム26を回転させるためのモーメント長β1は、1本のアームシリンダ31がインターブーム26を回転させるためのモーメント長β2よりも短くなるが、2本のインターブームシリンダ30の駆動力は、1本のアームシリンダ31の駆動力よりも大きく設定することが容易であるので、作業機械の能力を維持できる。
【0054】
(5)
また、本実施形態の作業機械では、作業アタッチメント24を伸ばしてアタッチメント伸長姿勢で作業を行うときには、2本のインターブームシリンダ30は、当該アタッチメント24の先端側(すなわち、作業装置シリンダ32および作業装置が取り付けられる側)から遠い位置に配置され、1本のアームシリンダ31は、アタッチメント24の先端側に近い位置に配置される。これにより、アタッチメント先端側での幅方向へのアームシリンダ31の張り出しを抑制することが可能である。これにより、作業中におけるアームシリンダ31の破損のおそれを低くすることが可能である。しかも、アタッチメント先端側での幅方向へのアームシリンダ31の張り出しを抑制しているので、作業機械の運転席に座るオペレータがアタッチメント先端側を見るときにアームシリンダ31が邪魔になりにくいので、視認性が向上する。
【0055】
さらに、作業機械全体の重量バランスを考えた場合、作業アタッチメント24において、ベースマシン23に近い側に2本のインターブームシリンダ30を配置し、遠い側に1本のアームシリンダ31を配置しているので、作業アタッチメント24の重心をベースマシン23に近づけることができ、作業機械が転倒するおそれを低減することができる。
【0056】
(変形例)
(A)
なお、上記の実施形態では、2本のインターブームシリンダ30の間に1本のアームシリンダ31を設けた例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2本のインターブームシリンダ30の間に複数本のアームシリンダ31を設けることも可能である。
【0057】
(B)
上記実施形態では、アタッチメントが水平方向に伸長している姿勢において、2本のインターブームシリンダ30とインターブーム26とが接続される第1取付ピン40aが1本のアームシリンダ31とインターブーム26とが接続される第2取付ピン40bよりも上方に位置しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その逆の配置、すなわち、
図6〜9に示されるように、2本のアームシリンダ131とインターブーム126とが接続される第2取付ピン140bが1本のインターブームシリンダ130とインターブーム126とが接続される第1取付ピン140aよりも上方に位置しているようにしてもよい。
【0058】
すなわち、
図7〜9に示されるように、2本のアームシリンダ131は、インターブーム126の幅方向に互いに離間して、後述する第2取付ピン140bによってインターブーム126に連結されている。また、1本のインターブームシリンダ130は、
図9に示されるように、2本のアームシリンダ131によって挟まれた位置で、後述する第1取付ピン140aによってインターブーム126の突出部126a(
図7参照)に連結されている。
【0059】
図7〜9に示されるように、第1取付ピン140aは、インターブームシリンダ130の一方の端部130aをインターブーム126の前方寄り(
図7の左側)の位置から下方に突出する突出部126aに水平軸回りに回動自在に連結する。第1取付ピン140aは、水平方向に移動してインターブーム126の前方寄りの位置に抜き差しできるように取り付けられる。
【0060】
第2取付ピン140bは、アームシリンダ131の一方の端部131aをインターブーム126に水平軸回りに回動自在に連結する。第2取付ピン140bは、水平方向に移動してインターブーム126の後方寄り(
図7の右側)で、かつ、第1取付ピン140aよりも上方の位置に抜き差しできるように取り付けられる。
【0061】
第3取付ピン140cは、インターブームシリンダ130の他方の端部130bをフロントブーム125bの周面から突出する取付部125b1に水平軸回りに回動自在に連結する。第3取付ピン140cは、水平方向に移動してフロントブーム125bに抜き差しできるように取り付けられる。
【0062】
第4取付ピン140dは、アームシリンダ131の他方の端部131bをアーム127の周面から突出する取付部127aに水平軸回りに回動自在に連結する。第4取付ピン140dは、水平方向に移動してアーム127に抜き差しできるように取り付けられる。
【0063】
このように、2本のアームシリンダ131の間に1本のインターブームシリンダ130が配置された場合でも、
図7に示されるように、アタッチメントが水平方向に伸長している姿勢では、第1取付ピン140aおよび第2取付ピン140bがそれぞれインターブーム126に抜き差しできるようにアタッチメント側面から当該第1取付ピン140aおよび当該第2取付ピン140bの頭部全体が見える位置になるように配置される。具体的には、アタッチメント側面から見て、2本のアームシリンダ131をインターブーム126に接続する第2取付ピン140bが、1本のインターブームシリンダ130をインターブーム126に接続する第1取付ピン140aよりもアタッチメントの伸長方向における後側で、かつ、第1取付ピン140aの上側になるように配置されることにより、各シリンダ130、131のストローク長を確保しながら第1取付ピン140aおよび第2取付ピン140bがそれぞれインターブーム126に抜き差しすることが可能になっている。そのため、中間の1本のインターブームシリンダ130とインターブーム126とを接続する第1取付ピン140aの抜き差し作業は、第2取付ピン140bおよび2本のアームシリンダ131に干渉されることなく、容易に行うことが可能である。
【0064】
また、この構成では、
図7に示されるように、2本のアームシリンダ131とインターブーム126とを接続する第2取付ピン140bが1本のインターブームシリンダ130とインターブーム126とを接続する第1取付ピン140aよりも上に配置されているので、2本のアームシリンダ131がインターブーム126を回転させるためのモーメント長β4は、1本のインターブームシリンダ130がインターブーム126を回転させるためのモーメント長β3よりも短くなるが、2本のアームシリンダ131の駆動力は、1本のインターブームシリンダ130の駆動力よりも大きく設定することが容易であるので、作業機械の能力を維持できる。
【0065】
なお、上記のように2本のアームシリンダ131の間に1本のインターブームシリンダ130を設けた構成だけでなく、2本のアームシリンダ131の間に複数本のインターブームシリンダ130を設けることも可能である。
【0066】
(C)
以上の実施形態では、本発明の作業機械の一例として解体機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アタッチメント先端にマグネットを取り付けたリフマグ機等の他の作業機械にも広く適用することができる。