(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前側摺動機構(S2)は,前記リンク部材(40,41)の後部に摺動支持部材(45)を設け、該摺動支持部材(45)に一対の摺動案内部材(72,72)を設けると共に、該一対の摺動案内部材(72,72)で摺動部材(78,78)を前記左右の後側摺動機構(S1,S1)の摺動方向と同じ方向に案内する構成したことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
前記左右の連結支持部材(84,84)に左右の連動プレート(80,80)の下部を各々連結し、該左右の連動プレート(80,80)の上部に上下方向の長孔(82,82)を各々形成し、前記リンク部材(40,41)に設ける支持ピン(83)を左右の前記長孔(82,82)に差し込むと共に、前記左右の連動プレート(80,80)の下部に連結ピン(121)を差し込み、
該支持ピン(83)と連結ピン(121)の間に前記持上部材(120)を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の苗移植機。
前記走行車体(2)に施肥装置(5)を設け、前記苗植付部(4)に設ける複数の苗植付装置(52)のうち、機体左側の苗植付装置(52)と機体右側の苗植付装置(52)の入切を切り替える左右の部分条クラッチレバー(138a,138b)を設け、前記走行車体(2)の左右の後輪(11,11)に伝動する左右の後輪伝動機構(18,18)を上下回動自在に設け、
該走行車体(2)の後部にリンクベースフレーム(42)を設け、該リンクベースフレーム(42)に左右のモータシリンダ(122,122)を設け、該左右のモータシリンダ(122,122)の作動により上下方向に移動する左右の蓋体(123,123)を設け、該左右の蓋体(123,123)と左右の後輪伝動機構(18,18)の間に左右の上下動スプリング(124,124)を伸縮自在に設け、
前記苗植付部(4)に苗の減少と苗植付部(4)の左右方向における苗の減少量の偏りを検知する苗減少センサ(127)を設け、前記施肥装置(5)に肥料の減少と施肥装置(5)の左右方向における肥料の減少量の偏りを検知する肥料減少センサ(128)を設け、
該苗減少センサ(127)が検知する苗の減少、または該肥料減少センサ(128)が肥料の減少を検知したとき、機体左右のどちらか一側に偏って減少しているときは、減少量が小さい側の前記モータシリンダ(122)を作動させて後輪伝動機構(18)を上方回動させ、減少量が大きい側の前記モータシリンダ(122)を作動させて後輪伝動機構(18)を下方回動させるか、
または、前記左右の部分条クラッチレバー(138a,138b)のうち、切操作された側の前記モータシリンダ(122)を作動させて後輪伝動機構(18)を上方回動させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の苗移植機。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
この発明の実施例を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1〜
図9に示すのは、本発明を用いた一実施例である施肥装置を装着した施肥装置付き乗用型田植機である。
【0025】
図1及び2に示すとおり、この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付装置52が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0026】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。
【0027】
また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして左右の後輪ギアケース18,18がローリング自在に支持され、その左右の後輪ギアケース18,18から外向きに突出する後輪車軸17に後輪11,11が取り付けられている。
【0028】
なお、左右の後輪ギアケース18,18には、ミッションケース12の後壁から突出して設けた左右の後輪ギアケース18,18に連結した左右の後輪伝動軸18a,18aにて動力が伝達される構成となっている。
【0029】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST(油圧式無段変速装置)23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
【0030】
そして、走行動力は一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが左右後輪ギアケース18,18に伝達されて左右後輪11,11を駆動する。また、ミッションケース12の右側側面より取出された外部取出動力は、植付伝動軸26によって苗植付装置52へ伝動される。
【0031】
なお、施肥装置5の肥料繰出し機構へは、右後輪ギアケース18から動力が駆動軸にて取出されて伝動される。
前記エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。該座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、該フロントカバー32の上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。前記フロントカバー32内にはリザーバタンク16を設け、前記HST23と送油パイプ19で連結して高い位置からオイルをHST23に供給するようにしている。これにより、オイルがHST23に流下しやすくなるので、HST23がオイル不足により作動不良を起こすことが防止され、作業者が操作したとおりの走行速度の確保や進行方向の切り替え、発進や停止が可能となる。
【0032】
前記エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端部の左右両側には水平状のフロアステップ35を設ける。該フロアステップ35の左右前部には複数の貫通孔35a…を形成し、前記座席31に着座して機体を操縦する操縦者が左右前輪10,10を見て直進や旋回等の走行操作を状況に合わせて適切に操作しやすくと共に、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35の後部は、リヤステップを兼ねる後輪フェンダ36となっている。
【0033】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
前記昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本のアッパーリンク40と左右一対のロワーリンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、先端側には縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付装置52に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付装置52がローリング自在に連結されている。苗植付装置52のフレーム94に囲まれた位置にセンターフロート55の昇降を感知する感知部材93が設けられている。
【0034】
前記メインフレーム15に基部を回動自在に枢支した昇降油圧シリンダ46の先端をアッパーリンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部に連結して設けており、該昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、アッパーリンク40が上下に回動し、苗植付装置52がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0035】
苗植付装置52は4条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a…に供給すると苗送りベルト51b…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。
【0036】
苗植付装置52の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56a,56bがそれぞれ設けられている。該センターフロート55及び左右のサイドフロート56a,56bを圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、センターフロート55及び左右のサイドフロート56a,56bが泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52…により苗が植付けられる。
【0037】
前記センターフロート55及び左右のサイドフロート56a,56bは、圃場表土面の凹凸に従って前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時には前記センターフロート55の前部の上下動が前記感知部材93に設ける迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に合わせて前記昇降油油圧シリンダ46を伸縮させる油圧バルブを切り替えて苗植付装置52を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0038】
なお、前記センターロータ55は前側の左右幅が後側よりも幅広い平面視T字形に構成し、左右のサイドロータ56a,56bは、後側の左右方向中央部に空間部を有する平面視門形に構成する。これにより、左右のサイドロータ56a,56bの各空間部と、ゼンターロータ55と左右のサイドロータ56a,56bの後側の間隔部に、前記苗植付装置52…がそれぞれ苗を植え付ける構成となるので、苗はセンターフロート55及び左右のサイドフロート56a,56bに整地されて平坦になった圃場に植え付けられるため、植付深さが一定になり、苗の流失や生育不良の発生が防止される。
【0039】
図1及び
図3で示すとおり、前記施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を操出装置57の繰出部61…によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62…で前記センターフロート55及び左右のサイドフロート56a,56bの左右両側に取り付けた施肥ガイド62a…まで導き、施肥ガイド62a…の前側に設けた作溝体62b…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む構成としている。
【0040】
電動モータで駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバー59を経由して施肥ホース62…に吹き込まれ、施肥ホース62…内の肥料を風圧で施肥ガイド62aへ強制的に搬送するようになっている。このブロア58の空気吸引口を機体内側のエンジン20に向けて開口し、エンジン20の排気ガスを吸引する構成としている。
【0041】
操出装置57は、横長の機枠内に外周に凹溝を形成した操出軸を横架した従来の構成と同じであって、機枠49の後側を構成する後壁板54が下端の枢支軸53で枢支され、後壁板54の上側を取り外し後下方へ倒して内部に残留する肥料を転げ出す構成としている。
【0042】
機枠49の左側部には操出軸の肥料操出量を調整する操出調整ギアのギア数に合わせたダイヤルギア47を設け、このダイヤルギア47のギア溝に係合して回転を係止するピアノ線48を機枠の前側に取り付けている。
【0043】
このダイヤルギア47の歯位置を操出調整ギアの歯位置と対応させているので、操出調整ギアの組付け時に組付け位置を調整し易い。
上記構成により、作溝体62b…で圃場に形成した施肥溝に肥料を放出し、苗の植付位置の近傍に肥料を供給することができるので、苗が肥料を効率的に吸収することができ、苗の生育が安定する。
【0044】
また、エンジン20の駆動に伴い生じる高温の排気ガスをブロア58が吸入し、この吸入した排気ガスで肥料を吹き飛ばして施肥ホース62…に案内することにより、肥料が吸った湿気や施肥ホース62…内の水分を乾燥させることができるので、肥料が施肥ホース62…内に付着して圃場まで送られなくなることが防止されるため、肥料が供給されず苗が生育不良を起こすことが防止されると共に、施肥ホース62…内に詰まった肥料の除去が不要となり、メンテナンス性が向上する。
【0045】
さらに、機枠49から後方へ向けて受板39を張り出して、該受板39上に戴置する受皿に前記後壁板54の後下方への回倒で転げでる残留肥料を受けたり、オペレータが苗マットを苗載台51に載置したり、肥料を肥料ホッパ60に供給する際の足踏みステップとして受板39を利用する。前記受板39の前側は平坦な面で構成し、肥料が昇降油圧シリンダ46側に零れることを防止すると共に、後側には周縁部が上方に盛り上がる形状の孔部29…を複数個設けてオペレータの足が滑らない構成としている。
【0046】
前記苗植付装置52の前側下部には、凹凸のある圃場表面を均して整地する整地ロータ機構27を設ける。該整地ロータ機構27は、前記左右のサイドフロート56a,56bの各々の前方に配置される、左右の整地ロータ27a,27bを組み合わせて構成する。
【0047】
また、前記苗載台51は、前記苗植付装置52のフレームを兼ねる伝動ケース50に基部が固定された矩形状の支持枠体65をレールとして支持ローラ(図示省略)で左右方向にスライドする構成である。
【0048】
なお、28,28は左右補助ステップであって、作業者が機体に乗り降りする時に足を載せるステップであり、作業者が機体に乗り降りする際の労力を軽減すると共に、安全性を向上させる機能を持つ。
【0049】
次に、整地ロータ機構27の支持構造と駆動構成について説明する。
図4〜
図9で示すとおり、前記苗載台51の支持枠体65の左右中間部にセンターフロート55及び左右のサイドフロート56a,56bを吊り下げる左右の支持杆66a,66bを設け、該支持杆66a,66bの前側下部に後側スライド機構S1で支持した取付杆67a,67bを設ける。そして、該取付杆67a,67bの下端部にロータ部リンク64a,64bを連結し、該ロータ部リンク64a,64bに整地ロータ支持フレーム68を設けると共に、該整地ロータ支持フレーム68の左右中央へ左右に僅かに傾動可能に伝動ケース90を取り付けている。
【0050】
前記取付杆67a,67bと整地ロータ支持フレーム68を連結するロータ部リンク64a,64bは、整地ロータ支持フレーム68の吊り金具63に設ける長穴63aにリンク64の一方のピン37を遊動可能に連結して取り付けることにより、整地ロータ支持フレーム68が左右方向に僅かに傾動可能に構成する。
【0051】
図4で示すとおり、前記伝動ケース90から左右に突出する駆動軸70a,70bにそれぞれ左右の取付軸69a,69bを連結し、該左右の取付軸69a,69bの左右外端側を整地ロータ支持フレーム68の側部支持プレート68a,68bに軸支している。該左右の取付軸69a,69bには、左右の整地ロータ27a,27bを構成する複数の整地羽根71…を左右方向に並べて装着する。
【0052】
なお、左右の取付軸69a,69bを四角、六角等の角軸で構成し、整地羽根71…の装着部(図示省略)を取付軸69a,69bの形状に合わせると、それぞれの整地羽根71…が圃場との接触によって取付軸69a,69b回りに回転することが防止され、左右の整地ロータ27a,27bで均等な整地を行うことができ、苗の植付深さが安定するため、苗の植付精度が向上する。
【0053】
前記伝動ケース90は、整地ロータ支持フレーム68の左右方向中央部にブラケット92を介して取り付け、該ブラケット92の前端部側を、昇降リンク装置3を構成する左右の縦リンク43の下側を連結する連結軸44の左右中央に設けた支持ステー45,45に上下スライド可能に取り付けている。さらに、前記ブラケット92の左右両側に機体前側に向かって突出する、側面視で三角形状の左右の支持プレート84,84を設ける。
【0054】
そして、前記支持ステー45,45を設け、該左右の支持ステー45,45に複数の鍔付ローラ72,72…を少なくとも4つ設け、該鍔付ローラ72…で左右の摺動ロッド78,78を挟み込んでスライド可能に装着し、前側スライド機構S2を構成する。また、該左右の摺動ロッド78,78の下端部は、前記左右の支持プレート84,84に連結する。
【0055】
前記鍔付ローラ72…は、
図9で示すとおり、左右の摺動ロッド78,78を上下二箇所で挟み込んで、苗植付装置52が上方回動する際に左右の摺動ロッド78,78が上下摺動する際、左右の整地ロータ27a,27bが駆動軸70a,70bを回動支点にして前後方向に回動することを規制する構成としている。
【0056】
また、
図5、
図6及び
図8で示すとおり、前記左右の支持杆66a,66bにそれぞれ側面視で三角形状のブラケット85,85を取り付け、該左右のブラケット85,85の上側に後方突出部85a,85bを形成し、整地ロータ上下位置調節レバー74a,74bの後端部に調節回動軸74c,74cをそれぞれ配置して、該整地ロータ上下位置調節レバー74a,74bを上下動自在に構成する。
【0057】
さらに、該左右の整地ロータ上下位置調節レバー74a,74bの把持部86の近傍に、左右の整地ロータ上下位置調節レバー74a,74bの折り曲げ部88が係止する複数の凹み溝87…を左右のブラケット85,85側に設け、折り曲げ部88を係止する凹み溝87…の位置を変えることで左右の整地ロータ上下位置調節レバー74a,74bを上下に調節可能にしている。
【0058】
なお、
図5で示すとおり、前記左右のブラケット85,85に前後一対の鍔付ローラ72,72…を上下二ヶ所に設け、該鍔付ローラ72,72…で前記取付杆67a,67bを前後から挟み込み、上下方向にスライドする案内形態とする。
【0059】
前記左右の整地ロータ上下位置調節レバー74a,74bの折り曲げ部88に前記左右の支持部材66a,66bの上端に設けるピン73が当たって整地ロータ支持フレーム68の苗植付装置52に対する上昇を制限する。また、前記左右の取付杆67a,67bの下端近くに設けるピン75と、支持枠体65側に設けるピン76との間に引張スプリング77を設けることにより、前記整地ロータ支持フレーム68を吊り下げる構成としている。
【0060】
また、
図9で示すとおり、前記左右の支持プレート84,84の前端部に回動ピン81を設け、該回動ピン81の左右両側部に左右の連動プレート80,80の下端部を回動自在に装着し、該左右の連動プレート80,80の上端部近くから上下方向中央部にかけて長孔82をそれぞれ形成する。そして、該左右の長孔82,82よりも下方に左右の連動プレート80,80を連結する連結ピン121を取り付ける。
【0061】
該連結ピン121は、回動ピン81よりも所定高さ上方に設ける。これにより、ロータ駆動ケース95から伝動ケース90への入力軸が通過する空間部が確保される。なお、前記持上スプリング120は張力が十分に確保されていれば長さは短くてよい。
【0062】
さらに、前記長孔82,82に昇降リンク装置3を構成するアッパーリンク40の下部側に設ける支持ピン83を差し込んで連結し、該支持ピン83と連結ピン121に亘って、苗植付装置52を下降させたとき整地ロータ機構27の左右方向中央部を上方に付勢する持上スプリング120を伸縮自在に設ける。
【0063】
該持上スプリング120は、上方付勢力を有し、この力で左右の連動プレート80,80と、左右の連動プレート80,80にそれぞれ連結されている支持プレート84,84と、左右の支持プレート84,84を取り付けるブラケット92と、ブラケット92に設けられた伝動ケース90と、伝動ケース90の左右両側に設けた左右の整地ロータ27a,27bを上方に付勢している。
【0064】
前記持上スプリング120は、前記左右の連動プレート80,80に形成した上下方向の長孔部82,82内に配置する支持ピン83に上端部を引っ掛け、左右の連動プレート80,80を連結する連結ピン121に下端部を引っ掛けており、前記アッパーリンク40を上昇させると支持ピン83が持上スプリング120を抑えて縮めながら長孔部82,82を下方向に移動する構成とすると共に、アッパーリンク40を下降させると支持ピン83が持上スプリング120を開放して伸ばしながら長孔部82,82を上方向に移動する構成とする。
【0065】
持上スプリング120の上方付勢力は、苗植付装置52を上昇させて左右の連動プレート80,80が上方にスライドし、支持ピン83が持上スプリング120を押し下げていく力で相殺されるため、苗植付装置52を上昇させる際は整地ロータ機構27を殆ど上方に付勢しなくなり、整地ロータ機構27がロワーリンク41に接触するまで上方スライドすることを防止している。
【0066】
上記構成により、苗植付装置52を上昇させる際、左右の整地ロータ上下位置調節レバー74a,74bの折り曲げ部88にピン73が接触するとロータ支持フレーム68の上昇が制限されることにより、整地ロータ機構27が上昇し過ぎてロワーリンク41,41に接触することを防止できるので、整地ロータ機構27やロワーリンク41,41が破損することが防止され、耐久性が向上する。
【0067】
また、苗植付装置52を下降させたとき、左右の引張スプリング77,77及び中央の持上スプリング120で整地ロータ機構27を上方に向けて付勢することにより、整地ロータ機構27を接地させる際に整地ロータ機構27が下方に下がり過ぎることを防止できるので、整地ロータ機構27が圃場の表面を掻き乱して荒らすことが防止されるため、苗の植付深さが安定し、苗の生育が良好になる。
【0068】
そして、左右の引張スプリング77,77及び中央の持上スプリング120で整地ロータ機構27の左右両側と左右方向中央部の三点を上方に付勢して支持する構成としたことにより、整地ロータ機構27の左右方向中央部に重量が集中して変形することを防止できるので、整地性が低下することが防止される。
【0069】
さらに、左右の摺動ロッド78,78を前後一対の鍔付ローラ72,72…で上下二ヶ所を挟み込んで前側スライド機構S2を構成したことにより、左右の摺動ロッド78,78が鍔付ローラ72,72…に案内されて上下方向に摺動する構成となるので、前側スライド機構S2と後側スライド機構S1が共に上下動して、整地ロータ機構27が上下方向に平行移動する構成になる。
【0070】
なお、
図10、
図11で示すとおり、上記の整地ロータ機構27の支持構造は、左右の整地ロータ27a,27bと、該左右の整地ロータ27a,27bの内側端部に設けるロータ伝動ケース27d、27eの前端部左右間に設ける中央の整地ロータ27cで構成する苗移植機に適用してもよい。
【0071】
上記の苗移植機に左右の引張スプリング77,77及び中央の持上スプリング120を設ける構成は、
図9で示すとおり、左右の整地ロータ27a,27bの後側上方を被覆する、円弧形状の左右の整地ロータカバー68a,68bの左右方向中央部付近に引張スプリング77,77をそれぞれ引っ掛けて設けると共に、中央の整地ロータ27cの後側上方を被覆する、円弧形状の中央の整地ロータカバー68cの左右方向中央部付近に持上スプリング120の下端部を引っ掛けて設けることによって為されるものとする。
【0072】
このとき、センターフロート55は、左右のサイドフロート56a,56bよりも、中央の整地ロータ27cが前進した分機体前寄りに上下回動自在に配置する。
上記の構成とすることにより、中央の整地ロータ27cが左右の整地ロータ27a,27bよりも先に圃場面を整地するため、センターフロート55が早期に圃場の深浅を検知することができるので、苗植付装置52が苗を圃場に植え付けるまでに適切な上下位置に移動可能となり、苗の植付深さが安定する。
【0073】
苗の植付深さが安定することにより、植え付けが浅過ぎて苗が風や水流に流されて欠株となることを防止できるので、収穫量が減少することが防止されると共に、作業者が手作業で苗を圃場に植え付ける作業が不要となるため、作業者の労力が軽減される。
【0074】
また、植付深さが深過ぎて苗が圃場深くまで埋まってしまい、水分や養分が過多になると共に日照量が不足することが防止されるので、苗が生育不良を起こしたり病害虫により生育途中で枯れてしまうことが防止され、収穫量の減少が防止される。
【0075】
前記左右の整地ロータ27a,27aを回転駆動する伝動ケース90への動力伝動は、
図7に示すとおり、機体の左右中央に設けるロータ駆動ケース95の入力軸95aと左ギアケース18から中央に向けて突出するロータ側出力軸18bを継手96で連結して動力を伝動する。
【0076】
該入力軸95aの回転は、ロータ伝動クラッチ97を介してベベルギア95b,95cでロータ駆動軸95dに伝動する。また、前記伝動ケース90の入力軸90aに外軸98の一端に固着したボス部99を固着し、外軸98の他端に固着したボス部100へスプライン嵌合した内軸101をロータ駆動軸95dに継手102で連結して、ロータ駆動軸95dの回転を入力軸90aに伝動する構成としている。
【0077】
さらに、前記内軸101の外周を伸縮ブーツ103で被覆し、該伸縮ブーツ103側が機体の前側上部側に位置する構成としたことにより、泥水が前記ボス部100と内軸101の嵌合部に侵入しない構成となるので、内軸101が泥土や錆により正常に回転しなくなることが防止されると共に、内部に入り込んだ水や泥土を除去する作業が不要となる。
【0078】
前記ロータ駆動ケース95は、機体の左右中央に設けているので左右の後輪11が上下してもミッションケース12との位置関係が変わることなく、伝動ケース90の上下動によるロータ駆動軸95dの上下回動は入力軸95aを中心に行われ、ロータ駆動ケース95と伝動ケース90の間隔変化は外軸98と内軸101のスライドによって吸収する。
【0079】
なお、ロータ駆動ケース95内にロータ伝動クラッチ97を設けず、該ロータ駆動ケース95と伝動ケース90を同一形状にして部品の共用化を図り、コストの低減を図る構成としてもよい。
【0080】
また、前記ロータ駆動ケース95のロータ伝動クラッチ97は、伝動ケース90への駆動力の断続を行う部材であるが、操作ワイヤWの一端をロータ伝動クラッチ97のシフター(切替具)に連携し、整地ロータクラッチレバー106で操作ワイヤWを作動させてロータ駆動軸95dへの動力を入切操作して整地ロータ機構27を駆動させる状態と停止させる状態とに切り替えられる構成としてもよい。
【0081】
あるいは、操作ワイヤWの他端を整地ロータ上下位置調節レバー74a,74b及び昇降リンク装置3に連携し、整地ロータ上下位置調節レバー74a,74bによる整地ロータ機構27の使用時における上下位置調節操作ではロータ伝動クラッチ97は入で整地ロータ機構27が駆動している状態となり、整地ロータ上下位置調節レバー74a,74bにて整地ロータ機構27を収納位置まで上動操作した時には、ロータ伝動クラッチ97は切で整地ロータ機構27が停止している状態となる構成としてもよい。
【0082】
また、苗植付装置52を植付け作業状態まで昇降リンク装置3で下げている時は、ロータ伝動クラッチ97は入で整地ロータ機構27が駆動している状態となり、苗植付装置52を非植付作業状態まで昇降リンク装置3で上げた時は、ロータ伝動クラッチ97は切で整地ロータ機構27が停止している状態となる。
【0083】
整地ロータクラッチレバー106は、
図8に示す如く、左右の支持部材66a,66bを連結する連結杆104の右側に設けるレバーガイド105に左右へ傾けてクラッチの入切操作を行うように設けている。連結杆104の左側に設けるレバーガイド109には、植付深さ調整レバー107と苗取り量調整レバー108を設けている。
【0084】
以下、本件苗移植機の別構成例について説明する。なお、この別構成例は、本件の主発明構成に加えることができるものであり、相互に存在を排除し合うものではない。
図13で示すとおり、リンクベースフレーム42の左右両側にモータシリンダ122,122の固定側を設け、該モータシリンダ122,122の伸縮側の下端部に断面視門型の蓋体123,123を固定して設ける。そして、該蓋体123,123に上下動スプリング124,124の上端部を伸縮自在に設け、該上下動スプリング124,124の下端部を左右の後輪ギアケース18,18の上部に取り付ける。
【0085】
該左右の後輪ギアケース18,18は、左右の後輪伝動軸18a,18a側に回動支点(図示省略)を設け、機体後側を上下方向に回動自在に構成する。また、フロントカバー32の上部に操作パネル32aを設け、該操作パネル32aに、左右のモータシリンダ122,122を別々に伸縮操作する独立スイングスイッチ125,125を設けることにより、独立スイング機構126を構成する。
【0086】
なお、独立スイングスイッチ125,125は左右のモータシリンダ122,122を別個に伸縮させることができれば、前後方向、左右方向どちらに並べてもよい。また、独立スイングスイッチ125,125を座席31の左側または右側、或いは左右両側に設けて、作業者が座席31の左右方向に手を伸ばして操作できる構成としてもよい。
【0087】
上記構成により、独立スイングスイッチ125,125を操作してモータシリンダ122,122を伸縮させると、モータシリンダ122,122の伸縮に連動して上下動スプリング124,124が伸縮し、後輪ギアケース18,18が上下回動して左右の後輪11,11の接地位置を左右別々に上下動することにより、圃場内で苗移植機の左右に高低差が生じ、機体が左右どちらか一方に偏ることがあっても、左右の後輪11,11を上下動させて左右方向の水平状態を保つことができるので、直進走行性が向上すると共に、苗の植付姿勢が安定し、苗の植付精度が向上する。
【0088】
上記の独立スイング機構126を設けた苗移植機において、
図14及び
図16で示すとおり、複数条分(本件では4条)の苗を左右方向に並べて載せる苗載台51の上下方向略中央位置に、各条に苗が所定量未満に減少したことを報知する苗減少センサ127…を設け、該苗減少センサ127…の検知状態、及び非検知状態から、前記左右のモータシリンダ122,122を自動的に伸縮操作して、機体の左右バランスを維持する構成について説明する。
【0089】
前記苗載台51に苗を載置すると、苗の重量が加わって、その分機体後部に掛かる重量が大きくなる。しかしながら、全ての苗が各条均等に載っていれば、少なくとも機体の左右バランスは安定する。このため、全条分の苗減少スイッチ126…が苗の減少を検知していない状態では、左右のモータシリンダ122,122は、作業者が独立スイングスイッチ125,125を操作して設定した状態を維持する。
【0090】
苗の植付を進めていくと、次第に条ごとに苗の減少量が変わり、一条以上全条未満の苗減少センサ127…が苗の減少を検知することがある。
苗移植機によって圃場に移植される水稲の苗は、マット状にした土に種籾を播き、幼苗を移植可能な段階まで生育させて作るものであり、苗の植生位置を機械的に揃えることが非常に困難であるため、苗植付装置52の苗取り動作によって苗の消費量に差が生じることがあり、これにより苗減少センサ127…が検知状態となるタイミングに差が生じる。
【0091】
前記一条または複数条の苗減少センサ127…が苗の減少を検知し、他の条では苗の減少を検知していないと、苗の減少を検知していない側に重量が偏るため、左右のどちらかに機体のバランスが偏り、安定した直進走行や、苗の植え付けが困難になる。
【0092】
これを防止すべく、全条分の苗減少センサ127…が同時に苗の減少を検知する場合を除き、検知状態の苗減少センサ127…が少ない側、即ち苗の残りが多い側のモータシリンダ122を収縮させて上下動スプリング124の伸縮幅を小さくする構成とすると共に、検知状態の苗減少センサ127…が多い側、即ち苗の残りが少ない側のモータシリンダ122を伸張させて上下動スプリング124の伸縮幅を大きくする構成とすると、苗が残りが多い側の後輪ギアケース18が苗載台51の重量により上下動することを防止できると共に、苗の残りが少ない側の後輪ギアケース18は後輪11が接地する圃場の凹凸に合わせて上下動することができるので、圃場面の凹凸に対して苗植付装置52が適切な植付位置に揃いやすく、苗の植付精度が向上する。
【0093】
また、苗植付装置52の苗が多く残っている側が低くなり、センターフロート55が正確に上下回動して仰角を検知できず、苗の植付深さが適切な深さにならなくなることを防止できるので、苗の植付深さが安定し、植え付けの浅過ぎる苗が風や水流に流されて欠株が生じず収穫量が安定すると共に、植え付けの深過ぎる苗が生育不良を起こすことが防止される。
【0094】
上記構成は、
図15及び
図16で示すとおり、各植付条ごとの肥料を貯留する施肥ホッパ60内に肥料減少センサ128…を設け、該肥料減少センサ128…が全条分一斉に肥料が所定量未満になったことを検出する場合を除いて、検知状態の肥料減少センサ128…が多い側、即ち肥料の残りが少ない側のモータシリンダ122を収縮させて上下動スプリング124の伸縮幅を小さくする構成とすると共に、検知状態の苗減少センサ127…が少ない側、即ち肥料の残りが多い側のモータシリンダ122を伸張させて上下動スプリング124の伸縮幅を大きくする構成としてもよい。
【0095】
上記構成により、左右の後輪ギアケース18,18の上下回動量を左右略同一に揃えることができるので、圃場面の凹凸に対して苗植付装置52が適切な植付位置に揃いやすく、苗の植付精度が向上する。
【0096】
また、
図2及び
図13に示す苗移植機には、操作した二条の苗の植付動作を「切」にする左右の部分条クラッチレバー138a,138bを設けている。枕地付近の植付作業において、枕地での植付条数を確保すべく、該左右の部分条クラッチレバー138a,138bを操作して二条分の植付動作を「切」にした状態で苗の植付作業を行うことがあるが、部分条クラッチレバー138a,138bを「切」にした側は、その間苗載台51に載置した苗を消費しない。
【0097】
このため、枕地での植付作業を行う際、苗載台の左右バランスが部分条クラッチレバー138a,138bのうち「切」操作していた側に偏る傾向がある。
このため、
図16で示すとおり、左右の部分条クラッチレバー138a,138bの操作を検知する部分条操作センサ139a,139bを設け、該部分条操作センサ129a,129bが検知する部分条クラッチレバー138a,138bを「切」操作した側のモータシリンダ122を収縮させて上下動スプリング124の伸縮幅を小さくする構成とすることにより、苗載台51の重量により後輪ギアケース18の左右どちらか一方が圃場の凹凸を無視して上下動することを防止できるので、圃場面の凹凸に対して後輪11,11を適切な接地高さに揃えやすく、安定した走行が可能になり、作業性が向上する。
【0098】
苗載台51に全条分の苗を載置すると、当然苗載台51の重量が増加し、左右の後輪ギアケース18,18を設けた機体後部側に重量バランスが偏る。しかしそれ以上に、本願に示す苗移植機では、座席31に搭乗する作業者の体重(30〜100kg超)がより大きな重量バランスの偏りを生じさせる。苗移植機の後部に重量が集中すると、苗植付装置52が圃場面に接近しやすくなり、苗の植付深さが深くなるため、肥料や水分過多、日照不足等により苗が軟弱に育ち、病害虫や風害により枯れてしまい、収穫量が減少する問題がある。
【0099】
また、機体後部に重量が集中して掛かる状態で、左右の上下動スプリング124,124の伸縮幅が大きいと、圃場の凹凸がないにもかかわらず、左右の後輪ギアケース18,18が左右の上下動スプリング124,124の反応力により上下回動してしまい、苗の植付深さが乱れたり、苗が圃場に植え付けられず、欠株が生じたりする問題がある。
【0100】
この問題を解消すべく、
図13及び
図16で示すとおり、座席31の内部、または座席31とエンジンカバー30の間に、搭乗する作業者の重量を検知する重量検知センサ140を設け、該重量検知センサ140が検知した作業者の体重が重いほど左右のモータシリンダ122,122を収縮させて、左右の上下動スプリング124,124の伸縮幅を短くする構成とする。
【0101】
上記構成により、作業者の体重が重いほど左右の上下動スプリング124,124が自由に伸縮しにくくなるため、左右の後輪ギアケース18,18を圃場に大きな凹凸があるときのみ上下回動させることができるので、苗植付装置52の上下位置が頻繁に変化して苗の植付深さが不安定になることが防止され、苗が流されて欠株が生じることが防止されると共に、植付深さが深過ぎて、生育不良を起こすことが防止される。
【0102】
また、作業者が軽いときは左右の上下動スプリング124,124が自由に伸縮しやすいので、圃場の細かい凹凸に合わせて苗植付装置52を微細に上下動させることができるので、苗の植付深さが常に適切な深さになるので、苗の生育が安定し、作物の品質が向上する。
【0103】
図17で示すとおり、施肥ホッパ60に貯留されている肥料を圃場に移動させる施肥ホース62…の内部の壁面に沿って電熱線128…を螺旋状にそれぞれ設ける構成とする。該電熱線128…は各条の施肥ホース62…の内部に設ける構成とし、前記ブロア58を駆動するモータの始動と共に通電し、発熱する構成とする。前記施肥ホース62…は苗植付装置52の昇降の際に破損することを防止すべく、自由に屈曲することのできる柔軟性を有する、塩化ビニル等の比較的融点の低い合成樹脂で構成されるため、前記電熱線128…は60度程度の熱を発するものが望ましい。
【0104】
上記構成により、施肥ホース62…の内部の温度を高くし、施肥ホース62…に篭った湿気や、肥料に含まれる水分を乾燥させて、肥料が施肥ホース62…の内部に張り付いて詰まることを防止することができるので、肥料が圃場に供給されず、苗の生育が遅くなることが防止される。
【0105】
施肥ホース62…内の温度が高いことにより、もし肥料が少量張り付いたとしても、乾燥して剥がれやすくなると施肥ホース62…内を移動する風が肥料を剥がして移動させることができるので、無駄になる肥料が減少する。
【0106】
さらに、施肥ホース62…の内部に肥料が残留しにくいため、施肥ホース62…の掃除に要する労力や時間が軽減される。
施肥装置5のエアチャンバー59内を流れる肥料を搬送する風は、エンジン20の排気ガスを吸入してブロア58で吹き流しているものであるため、施肥ホース62…の上部側は高温になりやすく、下部側は水を張った圃場面に近いため低温になりやすい。このため、電熱線128…を銅や亜鉛で構成し、電流が高温側から低温側に流れると熱を解放するトムソン効果を利用し、施肥ホース62…の下部側で熱を解放する構成とすると、少ない電力消費で肥料の施肥ホース62…内への残留を防止できる。
【0107】
あるいは、エンジン20に熱伝導率の高い金属線を装着し、エンジン20の駆動により生じる熱を施肥ホース62…内に供給する構成とすると、低コストで目的を達成できる。
図12(a)(b)で示すとおり、前記駆動軸70a,70bの機体内側端部に安全スプリング129,129を伸縮自在に設け、前記駆動軸70a,70bと共に回転する従動爪部130a,130aをそれぞれ軸着し、該安全スプリング129,129で駆動爪部130a,130aを機体外側方向に付勢する構成とする。そして、該駆動爪部130a,130aと噛み合うと回転する従動爪部130b,130bを設けて、左右の安全クラッチ131,131を構成する。
【0108】
該従動爪部130b,130bには、前記複数の整地羽根71…を軸着する従動回転軸132a,132bを装着して、左右の整地ロータ27a,27bを構成する。
左右の安全クラッチ131,131は、左右の整地ロータ27a,27bが圃場に落ちている石を巻き込んだり、左右の駆動軸70a,70bに藁屑等を巻き込んだりして過負荷がかかると、左右の安全スプリング129,129が機体内側に収縮して駆動爪部130a,130aが従動爪部130b,130bから離間して、従動回転軸132a,132bの回転を停止させる構成としている。
【0109】
上記の構成としたことにより、左右の整地ロータ27a,27bのどちらか一方、または両方に過負荷が掛かると、安全クラッチ131,131が切れて回転を停止させることができるので、左右の整地ロータ27a,27b、及び整地ロータ機構27が破損することがなく、耐久性が向上する。
【0110】
また、安全クラッチ131,131を機体内側端部に設けたことにより、過負荷のかかった側の整地ロータ27a,27bだけを停止させることができるので、過負荷のかかっていない側の圃場面の整地を続けることができ、苗の植付精度が安定する。
【0111】
図18で示すとおり、前記左右のロータ伝動ケース27d,27dのどちらかの上部にラックギア133bを円弧面に沿う円弧形状で設け、該ラックギア133bに接触するピニオンギア133aを出力軸に設けた正逆転自在な回動モータ134を設けると共に、整地ロータ機構27の上下高さを調節するロータ調節レバー135を設ける構成とする。
【0112】
上記構成としたことにより、ロータ調節レバー135を操作して、整地ロータ機構27が圃場面と接触する上下位置を変更することができるので、圃場が硬く凹凸が多いときには整地ロータ機構27を下降させることにより、圃場面を確実に平らに均して、苗の植付深さを安定させることが可能となる。
【0113】
また、圃場が柔らかく、整地ロータ機構27を接触させると表層の泥土を撹拌してしまう圃場の場合は、整地ロータ機構27を上昇させて接触機会を最低限として整地を行う、あるいは整地ロータ機構27を圃場面から上方に離間させ、整地作業を行わない構成とすると、水よりも質量が大きく苗を押し流しやすい泥水流の発生を防止することができるので、泥水流に苗が押し流されて欠株が生じることが防止され、作物の収量が安定する。
【0114】
さらに、撹拌された泥が水を濁らせ、視認性を悪くすることが防止されるため、作業者は苗の生育状況や圃場に形成する直進の目印を確認することができ、苗の植付精度をさらに向上させることができる。
【0115】
上記のとおり、圃場の土質が柔らかく、左右の整地ロータ27a,27b及び中央の整地ロータ27cを接地させると泥水流が発生したり、水が濁ったりして作業条件が悪くなる圃場では、整地ロータ機構27を圃場面から上方に離間させることで、この問題を解決することができる。
【0116】
しかしながら、土質の柔らかい圃場であっても、圃場に凹凸が生じることはあり、この凹凸があると、センターフロート55はその部分で圃場が「浅い」と判断してしまい、苗植付装置52による植付深さが不安定になる問題がある。
【0117】
このため、ロータ調節レバー135を操作して整地ロータ機構27を上方に移動させた後、回動モータ134を作動させてピニオンギア133aを反時計回りに回転させ、ラックギア133bを前進させることにより、ロータ伝動ケース27d,27dの前端側が下方回動して中央の整地ロータ27cだけが圃場を接地させることができる。
【0118】
中央の整地ロータ27cだけが圃場面に接地することにより、センターフロート55が接地する圃場の整地作業を行うことができるので、センターフロート55が圃場の深浅の検出ミスをすることが防止され、苗の植付深さが安定する。
【0119】
また、左右の整地ロータ27a,27bが圃場の整地を行わないことにより、左右の整地ロータ27a,27bの回転に伴い生じる水流が左右のサイドフロート56,56に接触して機体の側方、特に苗を植え付けた側の条に波を立たせることを防止できるので、植え付けた苗が流されたり倒されたりすることが防止され、作業者が苗を植え付け直す作業が省略される。
【0120】
図19で示すとおり、左右のサイドフロート56,56の前側の上方屈曲面の下部に、圃場面に接地して整地する補助整地ローラ136をそれぞれ回転自在に設ける。該補助整地ローラ136,136は、圃場面との接触抵抗により回転して圃場を均すものであり、サイドフロート56の左右幅と略同じ左右長さとする。
【0121】
また、該補助整地ローラ136,136の後方に、前後方向に亘って複数の接地ローラ137…を回転自在に設ける。該接地ローラ137…は回転軸137aをサイドフロート56に所定範囲内で上下動可能に設け、サイドフロート56が接地状態でないときは下方に突出し、サイドフロート56が地面に接触すると上方に退避する構成とする。
【0122】
上記構成としたことにより、左右のサイドフロート56,56が圃場面に接触する直前に補助整地ローラ136,136で圃場面の凹凸を整地することができるので、左右のサイドフロート56,56が凹凸のある圃場面に接触することが防止されて、左右のサイドフロート56,56が破損しにくくなる。
【0123】
センターフロート55やサイドフロート56は合成樹脂を一体成型して構成するものであり、重量を軽減すべく内部は中空となっているものであるため、圃場の石等に接触して穴が開くと、穴から浸入する水や泥土により重量が増加してしまうため、特にセンターフロート55は、正確な圃場の深浅を検知できなくなる問題がある。
【0124】
このため、補助整地ローラ136,136で圃場面の凹凸を均し、石等の硬いものは土中に押し込んでおくことにより、サイドフロート56,56の破損が防止される。特に、補助整地ローラ136,136を硬質のプラスチックや金属で構成すると、上記の効果が向上する。
【0125】
なお、センターフロート55には補助整地ローラ136を設けないことにより、補助整地ローラ136が圃場面を均す際の上下動を圃場の深浅の変化と誤検知することを防止でき、苗の植付精度が向上する。
【0126】
但し、これではセンターフロート55が石等に接触して破損することを防止できないので、センターフロート55の上方屈曲部には、金属板(図示省略)等を貼り付けて、石等があれば土中に押し込める構成とするとよい。
【0127】
そして、補助搬送ローラ136,136よりも後ろ側に、前後方向に渡って複数の接地ローラ137…を設けたことにより、苗移植機を軽トラック等に積載するときや、路上で下降させる際に、サイドフロート56,56が軽トラックの荷台や地面に接触する前に接地ローラ137…を接触させて接地の衝撃を軽減することができるので、苗植付装置52の下降速度が速くてもサイドフロート56,56が荷台や地面に叩き付けられることが防止され、サイドフロート56,56の破損が防止される。
【0128】
また、接地ローラ137…は、サイドフロート56,56が接地すると上方に退避する構成であるため、サイドフロート56,56が圃場面を滑走する際に凹凸となることがなく、圃場面を平らに均すことができ、苗の植付精度が向上する。
【0129】
なお、接地ローラ137…はセンターフロート55に設けてもよいが、サイドフロート56,56に設けるものよりも、圃場側への突出量を抑えておき、圃場の深浅の誤検知を起こさない構成とすることが望ましい。