【実施例】
【0072】
以下に本発明の実施例を比較例とともに説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
まず、実施例及び比較例で用いた化合物の略号や測定方法について説明する。
【0074】
<化合物の略号>
s−BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODA:オキシジアニリン(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)
PPD:p−フェニレンジアミン
BAPP:2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン
MBAA:ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
PVP:ポリビニルピロリドン
【0075】
<引張り破断強度の測定方法>
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
【0076】
<引張り破断伸度の測定方法>
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
【0077】
<引張り弾性率の測定方法>
引張り試験機(オリエンテック社製RTC−1225A)を用いて、ASTM D882に準拠して測定した。
【0078】
<表面及び体積抵抗率の測定方法>
ロレスタGP(三菱化学製)に接続した4探針プローブ(MCP−TP03P)を用いて、JIS K 7194に準拠して測定した。
【0079】
<固形分濃度>
ポリイミド前駆体溶液組成物のポリイミド換算した固形分濃度は、ポリイミド前駆体溶液組成物を350℃で30分間乾燥し、乾燥前の質量W1と乾燥後の質量W2とから次式によって求めた値である。
【0080】
固形分濃度(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
【0081】
<溶液粘度>
トキメック社製E型粘度計を用いて、30℃での溶液粘度を測定した。
【0082】
<溶液安定性>
フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、25℃の温度に調整された雰囲気中に保管し、1ヶ月後の溶液粘度変化が±10%以内のものを○、±10%を超えたものを×とした。
【0083】
<分散性評価>
フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の凝集物のサイズを、グラインドメーター線条法により観測した。
【0084】
<分散安定性(再凝集確認)>
フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、25℃の温度に調整された雰囲気中に保管し、1ヶ月後の凝集物をグラインドメーター線条法により観測した。
【0085】
<分散安定性(フィラーの沈降確認)>
フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、25℃の温度に調整された雰囲気中に14日間静置し、上層部及び下層部の固形分濃度を測定し、固形分濃度の差が±5%以内のものを○、±5%を超えたものを×とした。
【0086】
<実施例1>
(1−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.2質量%、溶液粘度51.0Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0087】
(1−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
NMP745gにケッチェンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラックECP−600JD、揮発分0.7質量%)30g及び上記(1−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物225gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、カーボンブラックを含有する分散溶液を得た(3質量%カーボン分散液)。
【0088】
(1−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液166.7g及びNMP275.8gを加え、これにODA37.46g(総量0.202モル)と、s−BPDA55.04g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このカーボンブラック5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物は、固形分濃度19.2質量%、溶液粘度50.5Pa・sで、溶液安定性は○であった。
【0089】
また、初期凝集物サイズは10μm、1ヶ月後の凝集物サイズは12μmであり再凝集は見られなかった。さらに14日間静置後の分散安定性も○であった(表1参照)。
【0090】
(1−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
このカーボンブラック5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を、基材のガラス板上にバーコーターによって塗布し、その塗膜を、減圧下25℃で30分間、脱泡及び予備乾燥した後で、常圧下、窒素ガス雰囲気下で熱風乾燥器に入れて、順次、120℃で60分間、150℃で30分間、200℃で10分間、250℃で10分間、400℃で10分間加熱処理をして、厚さが50μmのポリイミド膜を形成した。
【0091】
このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
【0092】
<実施例2>
(2−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
上記(1−a)と同様に調製し、固形分濃度18.3質量%、溶液粘度50.8Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0093】
(2−b)フィラーを含有する分散溶液の製造
上記(2−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−b)と同様にフィラーを含有する分散溶液を製造した(3質量%カーボン分散液)。
【0094】
(2−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表1に示した。
【0095】
(2−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(2−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
【0096】
<実施例3>
(3−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
溶媒としてNMPではなくDMAc400gを用いた以外は上記(1−a)と同様に調製し、固形分濃度17.9質量%、溶液粘度50.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0097】
(3−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
上記(3−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、溶媒としてNMPではなくDMAc745gを用いた以外は(1−b)と同様に製造した(3質量%カーボン分散液)。
【0098】
(3−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液333.3g及びDMAc151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表1に示した。
【0099】
(3−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(3−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
【0100】
<実施例4>
(4−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
上記(1−a)と同様に調製し、固形分濃度18.3質量%、溶液粘度51.2Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0101】
(4−b)フィラーを含有する分散溶液の製造
上記(4−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、フィラーを含有する分散溶液を(1−b)と同様に製造した(3質量%カーボン分散液)。
【0102】
(4−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA31.39g(総量0.202モル)と、s−BPDA46.11g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック15質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表1に示した。
【0103】
(4−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(4−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
【0104】
<実施例5>
(5−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
上記(1−a)と同様に調製し、固形分濃度18.0質量%、溶液粘度50.2Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0105】
(5−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
上記(5−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、フィラーとしてケッチェンブラックではなくAMC(宇部興産社製)30gを用いた以外は(1−b)と同様に製造した(3質量%炭素繊維分散液)。
【0106】
(5−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%炭素繊維分散液166.7g及びNMP275.8gを加え、これにODA37.46g(総量0.202モル)と、s−BPDA55.04g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して炭素繊維5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表1に示した。
【0107】
(5−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(5−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
【0108】
<実施例6>
(6−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
上記(1−a)と同様に調製し、固形分濃度18.3質量%、溶液粘度50.8Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0109】
(6−b)フィラーを含有する分散溶液の製造
上記(6−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、フィラーを含有する分散溶液を(5−b)と同様に製造した(3質量%炭素繊維分散液)。
【0110】
(6−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%炭素繊維分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表1に示した。
【0111】
(6−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(6−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
【0112】
<実施例7>
(7−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
(1−a)と同様に調製し、固形分濃度18.2質量%、溶液粘度50.1Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0113】
(7−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
上記(7−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、フィラーとしてケッチェンブラックではなくファーネスブラック(デグサ社製、スペシャルブラック4、pH3.0、揮発分14.0質量%)30gを用いた以外は(1−b)と同様に製造した(3質量%カーボン分散液)。
【0114】
(7−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表1に示した。
【0115】
(7−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(7−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
【0116】
<実施例8>
(8−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
(1−a)と同様に調製し、固形分濃度18.4質量%、溶液粘度51.4Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0117】
(8−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
上記(8−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、フィラーとしてケッチェンブラックではなく窒化ホウ素(電気化学工業社製、SP−2、平均粒径4μm)30gを用いた以外は(1−b)と同様に製造した(3質量%窒化ホウ素分散液)。
【0118】
(8−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%窒化ホウ素分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して窒化ホウ素10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表1に示した。
【0119】
(8−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(8−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表1に示した。
【0120】
<実施例9>
(9−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
上記(1−a)と同様に調製し、固形分濃度18.2質量%、溶液粘度50.8Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0121】
(9−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
上記(9−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、フィラーとしてケッチェンブラックではなくシリカ(電気化学工業社製、UFP−80、平均粒径34nm)30gを用いた以外は(1−b)と同様に製造した(3質量%シリカ分散液)。
【0122】
(9−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%シリカ分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してシリカ10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表2に示した。
【0123】
(9−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(9−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
【0124】
<実施例10>
(10−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにPPD26.88g(0.249モル)と、s−BPDA73.12g(0.249モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.0質量%、溶液粘度49.7Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0125】
(10−b)フィラーを含有する分散溶液の製造
上記(10−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、フィラーを含有する分散溶液を(1−b)と同様に製造した(3質量%カーボン分散溶液)。
【0126】
(10−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA36.45g(0.182モル)と、s−BPDA60.86g(総量0.207モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表2に示した。
【0127】
(10−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(10−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
【0128】
<実施例11>
(11−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてDMAc400gを加え、これにPPD26.88g(0.249モル)と、s−BPDA73.12g(0.249モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.0質量%、溶液粘度49.7Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0129】
(11−b)フィラーを含有する分散溶液の製造
上記(11−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、フィラーを含有する分散溶液を(3−b)と同様に製造した(3質量%カーボン分散液)。
【0130】
(11−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液333.3g及びDMAc151.7gを加え、これにODA36.45g(0.182モル)と、s−BPDA60.86g(総量0.207モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表2に示した。
【0131】
(11−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(11−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
【0132】
<実施例12>
(12−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
上記(3−a)と同様に調製し、固形分濃度17.9質量%、溶液粘度50.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0133】
(12−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
DMAc895gにケッチェンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラックECP−600JD、揮発分0.7質量%)30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液組成物75gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、カーボンブラックを含有する分散溶液を得た(3質量%カーボン分散液)。
【0134】
(12−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液333.3g及びDMAc83.0gを加え、これにODA39.89g(総量0.202モル)と、s−BPDA58.61g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表2に示した。
【0135】
(12−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(12−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
【0136】
<実施例13>
(13−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
上記(3−a)と同様に調製し、固形分濃度17.9質量%、溶液粘度50.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0137】
(13−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
DMAc520gにケッチェンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラックECP−600JD、揮発分0.7質量%)30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液組成物450gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、カーボンブラックを含有する分散溶液を得た(3質量%カーボン分散液)。
【0138】
(13−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液333.3g及びDMAc106.7gを加え、これにODA36.85g(総量0.202モル)と、s−BPDA54.15g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表2に示した。
【0139】
(13−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(13−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
【0140】
<実施例14>
(14−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
上記(3−a)と同様に調製し、固形分濃度17.9質量%、溶液粘度50.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0141】
(14−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
DMAc575gにケッチェンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラックECP−600JD、揮発分0.7質量%)50g及び上記(14−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物375gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、カーボンブラックを含有する分散溶液を得た(5質量%カーボン分散液)。
【0142】
(14−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記5質量%カーボン分散液200.0g及びDMAc225.0gを加え、これにODA37.46g(総量0.202モル)と、s−BPDA55.04g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表2に示した。
【0143】
(14−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(14−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
【0144】
<実施例15>
(15−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
上記(3−a)と同様に調製し、固形分濃度17.9質量%、溶液粘度50.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0145】
(15−b)フィラーを含有する分散溶液の製造
上記(15−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、フィラーを含有する分散溶液を(3−b)と同様に製造した(3質量%カーボン分散溶液)。
【0146】
(15−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液166.7g及びDMAc245.8gを加え、これにBAPP53.88g(0.131モル)と、s−BPDA38.62g(総量0.146モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表2に示した。
【0147】
(15−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(15−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
【0148】
<実施例16>
(16−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
上記(3−a)と同様に調製し、固形分濃度17.9質量%、溶液粘度50.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0149】
(16−b)フィラーを含有する分散溶液の製造
上記(16−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、フィラーを含有する分散溶液を(3−b)と同様に製造した(3質量%カーボン分散液)。
【0150】
(16−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液166.7g及びDMAc245.8gを加え、これにODA24.92g(総量0.140モル)及びMBAA15.27g(0.053モル)と、s−BPDA52.31g(総量0.193モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表2に示した。
【0151】
(16−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(16−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表2に示した。
【0152】
<比較例1>
(1’−a)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gと、ケッチェンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラックECP−600JD、揮発分0.7質量%)10gとを加え、1時間撹拌後、ODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラックを10質量%含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このカーボンブラックを10質量%含有するポリイミド前駆体溶液組成物は、固形分濃度20.3質量%、溶液粘度50.5Pa・sで、溶液安定性は×であった。
【0153】
また、初期凝集物サイズは40μm、1ヶ月後の凝集物サイズは85μmであり、再凝集が見られたが、14日間静置後の分散安定性は○であった(表3参照)。
【0154】
(1’−b)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(1’−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表3に示した。
【0155】
<比較例2>
(2’−a)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
フィラーとして、ケッチェンブラックではなくAMC(宇部興産社製)10gを用いた以外は(1’−a)と同様にして、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して炭素繊維を10質量%含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表3に示した。
【0156】
(2’−b)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(2’−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表3に示した。
【0157】
<比較例3>
(3’−a)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
フィラーとして、ケッチェンブラックではなく窒化ホウ素(電気化学工業社製、SP−2、平均粒径4μm)10gを用いた以外は(1’−a)と同様にして、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して窒化ホウ素を10質量%含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表3に示した。
【0158】
(3’−b)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(3’−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表3に示した。
【0159】
<比較例4>
(4’−a)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
NMP745gに窒化ホウ素(電気化学工業社製、SP−2、平均粒径4μm)30g及びPVP(日本触媒社製、K−30)30gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、窒化ホウ素を含有する分散溶液を得た(3質量%窒化ホウ素分散液)。
【0160】
(4’−b)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%窒化ホウ素分散液333.3g及びNMP151.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して窒化ホウ素を10質量%含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表3に示した。
【0161】
(4’−c)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(4’−b)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表3に示した。
【0162】
<比較例5>
(5’−a)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.5質量%、溶液粘度195.0Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物にケッチェンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラックECP−600JD、揮発分0.7質量%)5gを添加後、3本ロールで処理し、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラックを5質量%含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表3に示した。
【0163】
(5’−b)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(5’−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表3に示した。
【0164】
<比較例6>
(6’−a)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、溶媒としてNMP400gを加え、これにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、固形分濃度18.5質量%、溶液粘度207.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物にAMC(宇部興産社製)5gを添加後、3本ロールで処理し、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して炭素繊維5質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表3に示した。
【0165】
(6’−b)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(6’−a)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表3に示した。
【0166】
<比較例7>
(7’−a)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
NMP400gにAMC(宇部興産社製)10g及びODA(分子量:200.26)40.50g(0.202モル)を添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、炭素繊維を含有する分散溶液を得た(2.2質量%炭素繊維分散液)。
【0167】
(7’−b)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記で得られた2.2質量%炭素繊維分散液450.5gにs−BPDA59.50g(0.202モル)を加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表3に示した。
【0168】
(7’−c)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(7’−b)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表3に示した。
【0169】
<比較例8>
(8’−a)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
NMP400gにAMC(宇部興産社製)22.76g及びラウリルジメチルアミンオキシド(花王社製、アンヒトール20N、有効成分35%)32.51gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、炭素繊維を含有する分散溶液を得た(5質量%炭素繊維分散液)。
【0170】
(8’−b)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記5質量%炭素繊維分散液400gにODA40.50g(0.202モル)と、s−BPDA59.50g(0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対して炭素繊維10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表3に示した。
【0171】
(8’−c)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(8’−b)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表3に示した。
【0172】
<比較例9>
(9’−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
(3−a)と同様に調製し、固形分濃度17.9質量%、溶液粘度50.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0173】
(9’−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
DMAc932.5gにケッチェンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラックECP−600JD、揮発分0.7質量%)30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液組成物37.5gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、カーボンブラックを含有する分散溶液を得た(3質量%カーボン分散液)。
【0174】
(9’−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液333.3g及びDMAc79.2gを加え、これにODA40.20g(総量0.202モル)と、s−BPDA59.05g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表3に示した。
【0175】
(9’−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(9’−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表3に示した。
【0176】
<比較例10>
(10’−a)フィラーを含有する前のポリイミド前駆体溶液組成物の調製
(3−a)と同様に調製し、固形分濃度17.9質量%、溶液粘度50.5Pa・sのポリイミド前駆体溶液組成物を得た。
【0177】
(10’−b)フィラーを含有する分散溶液の製造方法
DMAc220gにケッチェンブラック(ライオン社製、ケッチェンブラックECP−600JD、揮発分0.7質量%)30g及び上記で得られたポリイミド前駆体溶液組成物750gを添加し、ボールミル(ボール径2mm及び6mmを併用)を用いて室温にて16時間混合を行い、カーボンブラックを含有する分散溶液を得た(3質量%カーボン分散液)。
【0178】
(10’−c)フィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入・排出管を備えた内容積500mlのガラス製の反応容器に、上記3質量%カーボン分散液333.3g及びDMAc126.7gを加え、これにODA34.42g(総量0.202モル)と、s−BPDA50.58g(総量0.202モル)とを加え、50℃で10時間撹拌して、ポリイミド前駆体溶液組成物全量に対してカーボンブラック10質量%を含有するポリイミド前駆体溶液組成物を得た。このポリイミド前駆体溶液組成物の特性を表3に示した。
【0179】
(10’−d)フィラーを含有するポリイミド膜の製造方法
上記(10’−c)で得られたポリイミド前駆体溶液組成物を用いて、(1−d)と同様にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の特性等について結果を表3に示した。
【0180】
【表1】
【0181】
【表2】
【0182】
【表3】
【0183】
以上の結果より、分散剤としてポリイミド前駆体溶液組成物を用いたフィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物は溶液安定性が高く、さらに再凝集、沈降などが見られず良好な分散安定性を示した。また分散安定性が高いフィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物から得られたフィラーを含有するポリイミド膜は良好な機械特性、電気特性などを示した。
【0184】
分散剤を用いない、あるいは分散剤にアミノ化合物、界面活性剤などを用いたポリイミド前駆体溶液組成物は溶液安定性が悪く、さらに再凝集、沈降などが見られるなど分散安定性が非常に悪かった。また分散安定性が悪いフィラーを含有するポリイミド前駆体溶液組成物から得られたフィラーを含有するポリイミド膜は、機械特性に劣るという結果であった。