特許第5708558号(P5708558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5708558-作業機械 図000002
  • 特許5708558-作業機械 図000003
  • 特許5708558-作業機械 図000004
  • 特許5708558-作業機械 図000005
  • 特許5708558-作業機械 図000006
  • 特許5708558-作業機械 図000007
  • 特許5708558-作業機械 図000008
  • 特許5708558-作業機械 図000009
  • 特許5708558-作業機械 図000010
  • 特許5708558-作業機械 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5708558
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20150409BHJP
   F15B 15/14 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   E02F9/00 B
   F15B15/14 380D
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-112803(P2012-112803)
(22)【出願日】2012年5月16日
(65)【公開番号】特開2013-238075(P2013-238075A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2013年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 雄司
(72)【発明者】
【氏名】入枝 克哉
(72)【発明者】
【氏名】今岡 敬介
【審査官】 ▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−064345(JP,A)
【文献】 特開2010−255708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00 − 9/18
F15B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体の上に機械本体が設置された作業機械であって、
前記機械本体は、油圧制御によって作業動作を行うアタッチメントを備え、
前記アタッチメントは、
各々が揺動可能に連結された複数の支柱部材と、
前記支柱部材に設置された油圧シリンダと、
を有し、
前記油圧シリンダは、
2つの給油口が設けられた円柱状のシリンダ本体と、
一端が前記給油口の各々に接続され、他端が前記機械本体側から延びる油圧ホースに接続された一対の油圧配管と、
前記シリンダ本体に取り付けられ、前記一対の油圧配管を支持する支持部材と、
を有し、
前記支持部材は、
前記シリンダ本体の外周に締結して取り付けられる円環状の締結バンド部と、
前記一対の油圧配管の各々を挟持する一対のクランプ部と、
を有し、
前記一対のクランプ部が、前記締結バンド部から半径方向の外側に向かって互いに逆向きに突出しており、
前記油圧配管は、
前記シリンダ本体が延びる方向にねじ込むことによって前記給油口に締結され、当該シリンダ本体に沿って延びる第1管部と、
前記油圧ホースに締結され、前記第1管部と交差する方向に延びる第2管部と、
を有し、
前記第2管部が、前記クランプ部によって支持されていることを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記支持部材は、互いに締結される一対の要素部材で構成され、
前記要素部材の各々は、
前記クランプ部と、
前記締結バンド部を構成するバンド要素と、
を有し、
前記バンド要素は、
円弧状の締め付け部と、
前記締め付け部の両端の各々に設けられた締結部と、
を有し、
前記締結部に、前記シリンダ本体に取り付けた時に当該シリンダ本体と平行に延びる締結用の長孔が形成されている作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械に関し、その中でも特に、アタッチメントに設置された油圧シリンダの配管支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の支持構造は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0003】
特許文献1では、油圧シリンダの側面にブラケットが溶接されており、油圧配管に接続される落下防止弁が、そのブラケットを介して油圧シリンダに固定されている。
【0004】
特許文献2では、油圧配管に接続される機能弁が、締結バンドを用いてオフセットシリンダに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−295810号公報
【特許文献2】特開2000−64345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、油圧シリンダにブラケットを溶接すると、溶接作業に手間がかかるうえ、ブラケットが油圧シリンダに固定されてしまうため、油圧配管との位置合わせが難しい。
【0007】
その点、特許文献2のように締結バンドを用いて取り付ければ、取り付け作業が容易なうえ、締め付けを緩めれば締結バンドを動かすことができるので、油圧配管との位置合わせも容易である。
【0008】
従って、油圧シリンダに配管を支持する際も締結バンドが用いられる場合が多い。
【0009】
しかし、締結バンドを用いて油圧シリンダに配管を支持した場合、経時的に配管の支持位置がずれるおそれがある。この点、図1図3を用いて具体的に説明する。
【0010】
図1に、従来の油圧ショベルの一例を示す。図示の油圧ショベル100は、アーム101及びバケット102を左右に揺動させることができる機種である。この油圧ショベル100では、ブーム103が、ロアブーム103aと、オフセットブーム103bと、アッパーブーム103cとで構成されていて、オフセットブーム103bが左右に揺動する。
【0011】
アーム101にはバケット102を駆動するバケットシリンダ104が設けられ、アッパーブーム103cにはアーム101を駆動するアームシリンダ105が設けられている。これらの油圧シリンダ104,105に接続された油圧配管106等は、図中に矢印(破線)で示すように、アーム101やブーム103の内側に配策されている。
【0012】
図2にバケットシリンダ104を示す。図示のように、シリンダ本体104aの両端部には、給油口104bが各々設けられており、各給油口104bには、ブーム103側から延びる油圧ホース107と接続された油圧配管106(鋼管)が接続されている。各油圧配管106はクランプ部材108によってシリンダ本体104aに支持されている。
【0013】
図3に示すように、クランプ部材108は、クランプ部108aと、締結バンド部108bとを有している。締結バンド部108bはシリンダ本体104aに取り付けられ、クランプ部108aで油圧配管106を挟持している。なお、シリンダ本体104aの断面は簡略化して図示している。
【0014】
図1に矢印(実線)で示すように、作業時には、アーム101が揺動するため、その動作に伴って油圧ホース107は撓み変形する。それにより、油圧ホース107が接続されている油圧配管106には、図2に矢印で示す方向に繰り返し力が作用する。
【0015】
その結果、図3に矢印で示すように、経時的に締結バンド部108bがシリンダ本体104aの周方向に回動し、油圧配管106の支持位置にずれが生じる。油圧配管106の支持位置がずれると、油圧配管106の変形や、給油口104bとの接続不良を招くおそれがある。なお、バケットシリンダ104に限らず、アームシリンダ105においても同様の問題が発生し得る。
【0016】
そこで本発明の目的は、この種の油圧シリンダの配管支持構造を改良し、取り付けが容易で、位置ずれも防止できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る作業機械は、下部走行体の上に機械本体が設置された作業機械である。前記機械本体は、油圧制御によって作業動作を行うアタッチメントを備え、前記アタッチメントは、各々が揺動可能に連結された複数の支柱部材と、前記支柱部材に設置された油圧シリンダとを有している。前記油圧シリンダは、2つの給油口が設けられた円柱状のシリンダ本体と、一端が前記給油口の各々に接続され、他端が前記機械本体側から延びる油圧ホースに接続された一対の油圧配管と、前記シリンダ本体に取り付けられ、前記一対の油圧配管を支持する支持部材とを有している。
【0018】
そして、前記支持部材は、前記シリンダ本体の外周に締結して取り付けられる円環状の締結バンド部と、前記一対の油圧配管の各々を挟持する一対のクランプ部とを有し、前記一対のクランプ部が、前記締結バンド部から半径方向の外側に向かって互いに逆向きに突出している。
【0019】
すなわち、このように構成された作業機械によれば、機械本体側から延びる油圧ホースは支柱部材の揺動に伴って撓み変形を繰り返すが、その油圧ホースに接続された油圧配管を支持した一対のクランプ部が、シリンダ本体から逆向きに突出しているので、各油圧配管に作用する力のモーメントが相殺される。両油圧配管に作用する力のタイミングや大きさはほぼ同じであるため、締結バンド部を回動させる力はほとんど発生しない。従って、経時的な油圧配管の支持位置のずれが防止でき、油圧配管を安定して支持できる。
【0020】
支持部材は、締結バンド部によってシリンダ本体に取り付けられるため、容易に取り付けることができるし、取り付け位置の調整も容易である。
【0021】
具体的には、前記油圧配管は、前記シリンダ本体が延びる方向にねじ込むことによって前記給油口に締結されている。当該シリンダ本体に沿って延びる第1管部と、前記油圧ホースに締結され、前記第1管部と交差する方向に延びる第2管部とを有している。前記第2管部が、前記クランプ部によって支持されている。
【0022】
この場合、油圧配管の取り付け作業性に優れる利点がある。すなわち、油圧配管をシリンダ本体に取り付ける際には、支持部材や各油圧配管を仮止めした後、本締めが行われる。まず最初は、一方の油圧配管の第1管部をシリンダ本体が延びる方向にねじ込んで本締めされるが、この作業機械では、第1管部と交差する方向に延びる第2管部が挟持されているため、油圧配管の回動を阻止できる。従って、位置ずれを生じることなく、第1管部を給油口に容易に本締めできる。
【0023】
第2管部を挟持して油圧配管の回動を阻止した結果、締結バンド部に回動させる力が作用することになるが、反対側に油圧配管が仮止めされているため、締結バンド部の回動も阻止できる。
【0024】
より具体的には、前記支持部材は、互いに締結される一対の要素部材で構成されている。前記要素部材の各々は、前記クランプ部と、前記締結バンド部を構成するバンド要素とを有している。前記バンド要素は、円弧状の締め付け部と、前記締め付け部の両端の各々に設けられた締結部とを有している。そして、前記締結部に、前記シリンダ本体に取り付けた時に当該シリンダ本体と平行に延びる締結用の長孔が形成されている。
【0025】
この場合、更に油圧配管の取り付け作業性に優れる利点がある。すなわち、通常、給油口への油圧配管の締め込み量はばらつくため、給油口から第2管部までの距離は一定にはならない。従って、両クランプ部の位置が一定であると、両油圧配管の挟持位置がずれた場合に、第2管部が挟持できなくなってしまう。
【0026】
それに対し、この作業機械では、締結バンド部を構成している2つの要素部材の各々にクランプ部が設けられ、締結部にシリンダ本体と平行に延びる長孔が形成されているので、長孔の長さ分だけ、シリンダ本体が延びる方向に要素部材をずらして両クランプ部の位置が調整できる。従って、両油圧配管の挟持位置がずれた場合でも支障なく第2管部を挟持できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、アタッチメントに設置された油圧シリンダの配管支持構造に関し、容易に取り付けることができ、位置ずれも防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来の油圧ショベルの一例を示す概略斜視図である。
図2図1の油圧ショベルに設置された油圧配管を示す概略図である。
図3図2におけるA−A線から見た概略断面図である。
図4】本実施形態の油圧ショベルの一例を示す概略斜視図である。
図5図4の油圧ショベルに設置された油圧配管を示す概略図である。
図6図4の油圧ショベルの支持構造を示す概略斜視図である。
図7図6の支持構造の分解斜視図である。
図8図5におけるB−B線から見た概略断面図である。
図9】支持構造の変形例を示す概略斜視図である。
図10】支持構造の変形例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。便宜上、特に言及しない限り、説明で用いる前後左右等の方向は、図4に示す矢印に従うものとする。
【0030】
図4に、本発明を適用した油圧ショベル1(作業機械の一例)を示す。油圧ショベル1には、クローラ型の下部走行体2と、その上に設置された機械本体3とが備えられている。機械本体3は、下部走行体2に旋回自在に支持されたフレーム4や、そのフレーム4の上に設置された、キャブ5や機械室6、アタッチメント7などで構成されている。
【0031】
キャブ5は、オペレータが乗り込む箱形の運転室であり、機械室6には、下部走行体2やアタッチメント7を駆動する駆動装置や油圧機器などが収容されている。アタッチメント7は、油圧制御によって作業動作を行う作業装置であり、バケット11やアーム12、ブーム13などで構成されている。
【0032】
バケット11は、掘削等を行う容器状の作業部材であり、アーム12やブーム13は、バケット11を支持する支柱部材である。この機種の場合、ブーム13は、ロアブーム13aと、オフセットブーム13bと、アッパーブーム13cとで構成されている。
【0033】
バケット11の基端部分は、アーム12の先端部分に軸支され、アーム12の基端部分は、アッパーブーム13cの先端部分に軸支されている。アッパーブーム13cの基端部分は、オフセットブーム13bの先端部分に軸支され、オフセットブーム13bの基端部分は、ロアブーム13aの先端部分に軸支されている。そして、ロアブーム13aの基端部分は、フレーム4に設けられた縦板4aに軸支されている。
【0034】
バケット11、アーム12及びロアブーム13aは、機械本体3の左右幅方向に延びる回動軸J1回りに回動し、オフセットブーム13b及びアッパーブーム13cは、上下鉛直方向に延びる回動軸J2回りに回動する。
【0035】
アーム12等の支柱部材には、油圧シリンダ15が設置されている。具体的には、アーム12には、バケット11を駆動するバケットシリンダ15Aが設置され、アッパーブーム13cには、アーム12を駆動するアームシリンダ15Bが設置され、オフセットブーム13bを駆動するオフセットシリンダ15Cは、オフセットブーム13bの内部に設置されている。ブーム13を駆動するブームシリンダ15Dは、フレーム4に設置されている。
【0036】
バケット11等は、バケットシリンダ15A等の伸縮動作に応じて作動する。具体的には、バケット11、アーム12及びロアブーム13aは、バケットシリンダ15A、アームシリンダ15B及びブームシリンダ15Dの伸縮動作に連動して、いずれもその基端部を支点に、機械本体3の前後方向を上下に揺動する。オフセットブーム13b及びアッパーブーム13cは、オフセットシリンダ15Cの伸縮動作に連動して、いずれもその基端部を支点に左右に揺動する。
【0037】
機械室6から延びる複数の油圧配管16等が、ブーム13やアーム12の内側を通って配策され、図4に矢印(破線)で示すように、バケットシリンダ15Aやアームシリンダ15Bに接続されている。
【0038】
図5に、バケットシリンダ15Aを拡大して示す。バケットシリンダ15Aは、円柱状の外観を有するシリンダ本体21や一対の油圧配管22,22、支持部材30などで構成されている。なお、アームシリンダ15Bの構成も同様である。
【0039】
シリンダ本体21は、公知のピストン構造を有する部分であり、円筒状のシリンダ筐体21aと、シリンダ筐体21aに出入自在に収容されたピストンロッド21bとを有している。シリンダ筐体21aの基端部には、支持側のアーム12に連結される軸支部21cが設けられ、ピストンロッド21bの先端部には、駆動側のバケット11に連結される軸支部21dが設けられている。シリンダ筐体21aの両端部分の各々には、シリンダ本体21が延びる方向に開口するL字状の給油口21eが設けられていて、これら給油口21eの開口に油圧配管22が接続されている。
【0040】
油圧配管22は、いずれも鋼管からなり、シリンダ本体21に沿って延びる第1管部22aと、屈曲部22bを介して第1管部22aに連なり、第1管部22aと交差する方向に延びる第2管部22cとを有している。第1管部22a側の端部は、各給油口21eに接続されている。詳しくは、第1管部22aは、シリンダ本体21が延びる方向にねじ込むことによって給油口21eに締結されている。第2管部22c側の端部は、アーム12側から延びる油圧ホース23に接続されている。
【0041】
一対の油圧配管22,22は、シリンダ本体21を間に挟むように、シリンダ本体21の両側に位置しており、各油圧配管22の第2管部22cは、シリンダ本体21の中間部位に位置している。第2管部22c側の端部は、シリンダ本体21に対して左右対称となるように、シリンダ本体21の両側に位置している。
【0042】
図5図6に示すように、両第2管部22cは、その端部をアーム12側に臨む同じ方向に向けた状態で、略平行に配置されている。そして、これら第2管部22cが、シリンダ本体21に取り付けられた支持部材30によって支持されている。
【0043】
支持部材30は、締結バンド部31や一対のクランプ部41を有している。締結バンド部31は、円環状の外観を有し、シリンダ本体21の外周に締結して取り付けられている。各油圧配管22は、クランプ部41によって挟持されている。
【0044】
図7図8に詳しく示すように、支持部材30は、互いに締結される一対の要素部材33,33で構成されている。本実施形態では、共用できるように、両要素部材33に同一の部材が用いられている。各要素部材33は、締結バンド部31を構成するバンド要素34と、1つのクランプ部41とを有している。なお、図8のシリンダ本体21の断面は簡略化してある。
【0045】
バンド要素34は、帯状鋼板を曲げ加工して形成された断面円弧状の締め付け部35と、締め付け部35の両端に設けられた鍔状の締結部36、詳しくは第1締結部36a及び第2締結部36bを有している。第1締結部36aには、締結用の長孔38が形成されており、第2締結部36bには、ナットNが接合された締結用の丸孔37が形成されている。長孔38は、シリンダ本体21に取り付けた時にシリンダ本体21と平行に延びるように形成されている。
【0046】
各要素部材33のバンド要素34は、シリンダ筐体21aの外周を挟み込み、各々の第1締結部36aと第2締結部36bとが接合するように互いに突き合わされている。丸孔37と長孔38に挿入されたボルトBをナットNに締め付けて、第1締結部36aと第2締結部36bとが締結されている。そうすることによって、締め付け部35がシリンダ本体21に圧着され、締結バンド部31がシリンダ本体21に取り付けられている。
【0047】
クランプ部41は、ブラケット部42やクランプ部材43などで構成されている。ブラケット部42は、上壁面に締結孔42aが形成された門型の断面を有する金属片からなり、その両脚壁部分が締め付け部35の外周面に固定されている。クランプ部材43は、ブロック状の部材であり、ボルト挿入孔44aが形成されたクランプ基部44と、ボルト挿入孔44aと直交する方向にクランプ基部44から張り出した張出腕部45とを有している。
【0048】
クランプ部材43は、ボルト挿入孔44aに挿入したボルトBをブラケット部42の締結孔42aにねじ込むことにより、ブラケット部42に片持ち状に支持される。ブラケット部42と張出腕部45との間に油圧配管22を入れ込み、ボルトを締め付けることで、第2管部22cは、シリンダ本体21の半径方向における内外から、張出腕部45とブラケット部42とで挟持される。
【0049】
両要素部材33,33をシリンダ本体21に取り付けた時、一対のクランプ部41,41は、締結バンド部31から半径方向の外側に向かって互いに逆向きに突出するように構成されている。
【0050】
なお、本実施形態では、両クランプ部41,41が真逆に突出するように構成されているが、真逆でなくてもよい。図8に示すように、横断面において、少なくとも、各クランプ部41が、アーム12の揺動方向に延びた、シリンダ本体21の直径線Dを挟んでその両側に位置していればよい。
【0051】
作業時にはアーム12が揺動するため、そのアーム12の動作に伴い、両油圧配管22,22に接続されている油圧ホース23,23は撓み変形を繰り返す。その際、各油圧配管22には、油圧ホース23の反発力により、図8に矢印で示す方向に繰り返し力が作用する。
【0052】
この油圧ショベル1では、油圧配管22を支持した一対のクランプ部41,41が、シリンダ本体21から逆向きに突出した状態となっているため、各油圧配管22に作用する力のモーメントが相殺される。両油圧配管22,22に作用する力のタイミングや大きさはほぼ同じであるため、締結バンド部31を回動させる力はほとんど発生しない。従って、経時的に油圧配管22の支持位置がずれることなく油圧配管22を安定して支持できる。
【0053】
支持部材30は、締結バンド部31によってシリンダ本体21に取り付けられるため、容易に取り付けることができるし、取り付け位置の調整も容易である。
【0054】
しかも、本実施形態の場合、油圧配管22の取り付け作業性にも優れる利点がある。すなわち、油圧配管22をシリンダ本体21に取り付ける際には、支持部材30や各油圧配管22を所定の取り付け状態に仮止めした後、本締めが行われる。
【0055】
本締めでは、まず、一方の油圧配管22の第1管部22aが給油口21eに本締めされる。このとき、第1管部22aはシリンダ本体21が延びる方向にねじ込まれる。従って、図1図3に示した従来機種のように、シリンダ本体21に沿って延びる油圧配管22を、シリンダ本体21に直交する方向から挟み付けて挟持していると、油圧配管22が回動するため、作業性が悪い。
【0056】
それに対し、この油圧ショベル1では、第1管部22aと交差する方向に延びる第2管部22cが挟持されているため、油圧配管22の回動を阻止できる。従って、第1管部22aを給油口21eに容易に本締めできる。
【0057】
この場合、第2管部22cを挟持して油圧配管22の回動を阻止したことにより、締結バンド部31に回動させる力が作用するが、その反対側に仮止めされている油圧配管22により、締結バンド部31の回動も阻止できる。
【0058】
更に、油圧配管22の長さは製造時のばらつきによって一定でないし、締結時の締め込み量も一定でないため、給油口21eから第2管部22cまでの距離もまちまちである。従って、両クランプ部41,41の位置が一定であると、両油圧配管22,22の挟持位置がずれた場合に、第2管部22cが挟持できなくなる。
【0059】
それに対し、この油圧ショベル1では、締結バンド部31が2つの要素部材33で構成され、各要素部材33にクランプ部41が設けられ、締結部36にシリンダ本体21と平行に延びる長孔38が形成されている。従って、長孔38の長さ分だけ、シリンダ本体21が延びる方向に要素部材33をずらして両クランプ部41,41の位置が調整できるので、両油圧配管22,22の挟持位置がずれた場合でも第2管部22cを挟持できる。
【0060】
また、本実施形態の支持部材30では、クランプ部41が一方の締結部36の側に偏って位置している。従って、両要素部材33の締結部36どうしを締結する際、締結部36の一方が広い空間に面して締結し易くなっている。
【0061】
従って、この油圧ショベル1であれば、油圧シリンダ15に油圧配管22を容易に取り付けることができ、取り付け後にも安定して油圧配管22を支持することができる。
【0062】
なお、本発明にかかる作業機械は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0063】
例えば、上述した実施形態では、シリンダ本体21と交差する方向に延びる第2管部22cを、シリンダ本体21の半径方向における内外から挟持した例を示したが、それには限らない。
【0064】
図9に示すように、シリンダ本体21が延びる方向から第2管部22cを挟持してもよい。また、図10に示すように、第1管部22aを、シリンダ本体21の半径方向における内外から挟持してもよい。左右で挟持方向が異なっていてもよい。
【0065】
作業機械は油圧ショベルに限らないし、油圧ショベルの機種も上述した機種に限らない。バケットシリンダに限らず、アームシリンダ等、アタッチメントに設置されている他の油圧シリンダにも適用できる。
【0066】
第2締結部に丸孔だけを形成し、別部材のナットを用いて締結してもよい。また、第1締結部及び第2締結部の両方を長孔にしてもよい。そうすれば、位置ずれの調整範囲を増加させることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 油圧ショベル(作業機械)
2 下部走行体
3 機械本体
7 アタッチメント
11 バケット
12 アーム(支柱部材)
13 ブーム(支柱部材)
15 油圧シリンダ
21 シリンダ本体
21e 給油口
22 油圧配管
22a 第1管部
22b 屈曲部
22c 第2管部
23 油圧ホース
30 支持部材
31 締結バンド部
33 要素部材
34 バンド要素
35 締め付け部
36 締結部
38 長孔
41 クランプ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10