【実施例】
【0019】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。尚、『部』は重量部を表す。
(参考例1)
ビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂のプレポリマー(NC−3000FH、日本化薬製)の中で、軟化点75℃、粘度0.50Pa・s、エポキシ当量303g/eq.の性状を有するプレポリマーAを選択し、プレポリマーA各々70部に対し、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレン各々30部を別々に加えて溶解させ、固形分濃度70wt%のMEK、DMF、キシレンの各溶液品を得た。これらの溶液品約150gを200mlの広口ガラス瓶に入れ、密閉して、5℃の冷蔵庫で保管し、保存安定性試験を行った結果を表1に示す。
【0020】
(参考例2)
参考例1において、プレポリマーAの代わりにビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂のプレポリマー(NC−3000FH)の中で、軟化点79℃、粘度0.60Pa・s、エポキシ当量300g/eq.の性状を有するプレポリマーBを選択し、プレポリマーB各々60部に対し、MEK、DMF、キシレン各々40部を別々に加えて溶解させ、固形分濃度60wt%のMEK、DMF、キシレンの各溶液品を得た。これらの溶液品を使用し、参考例1と同様にして、保存安定性試験を行った結果を表1に示す。
【0021】
(参考例3)
参考例1において、プレポリマーAの代わりにビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂のプレポリマー(NC−3000FH)の中で、軟化点77℃、粘度0.55Pa・s、エポキシ当量290g/eq.の性状を有するプレポリマーCを選択し、プレポリマーC各々80部に対し、MEK、DMF、キシレン各々20部を別々に加えて溶解させ、固形分濃度80wt%のMEK、DMF、キシレンの各溶液品を得た。これらの溶液品を使用し、参考例1と同様にして、保存安定性試験を行った結果を表1に示す。
【0022】
(比較参考例1)
参考例1において、プレポリマーAの代わりにビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂(NC−3000、日本化薬製)の内、軟化点63℃、粘度0.30Pa・s、エポキシ当量288g/eq.の性状を有する樹脂Dを選択し、これを使用する以外は参考例1と同様に行い、保存安定性試験を行った結果を表1に示す。
【0023】
(比較参考例2)
参考例1において、プレポリマーAの代わりにビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬製)の中で、軟化点71℃、粘度0.43Pa・s、エポキシ当量264g/eq.の性状を有する樹脂Eを選択し、樹脂E各々50部に対し、MEK、DMF、キシレン各々50部を別々に加えて溶解させ、固形分濃度50wt%のMEK、DMF、キシレンの各溶液品を得た。これらの溶液品を使用し、参考例1と同様にして、保存安定性試験を行った結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
(判定方法):目視にて毎日観察、沈殿物が確認されたものを析出とした。(各n=3)
【0025】
(実施例1)
2,2−ビス(4-シアナトフェニル)プロパン50部を150℃に溶融させ撹拌しながら4時間反応させ、プレポリマーを得た。これをメチルエチルケトン50部に溶解しプレポリマー溶液とした後、参考例1で得られたビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂のプレポリマーのMEK溶液の5℃、30日間保管品(固形分濃度70wt%) 71.4部、オクチル酸亜鉛0.01部を混合しワニスを得た。(ワニスには樹脂の沈殿は認められなかった。)このワニスを厚さ0.1mmのEガラスクロス(WEA116H、日東紡製)に含浸させ、180℃で10分加熱乾燥させて、樹脂量50wt%のプリプレグを得た。このプリプレグを8枚重ね、その上下に12μmの電解銅箔を配置し、圧力30kg/cm、温度230℃で、120分間プレスを行い、厚さ0.8mmの銅張積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性測定結果を表2に示す。
【0026】
(実施例2)
参考例2で得られたビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂のプレポリマーのMEK溶液の5℃、30日間保管品(固形分濃度60wt%)80部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ESCN220H、住友化学製)30部、フェノールノボラック樹脂(TD2090、水酸基当量105、大日本インキ製)22部、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.01部を混合しワニスを得た。(ワニスには樹脂の沈殿は認められなかった。)これに水酸化アルミニウム(CL303、住友化学製)100部、モリブデン酸亜鉛をタルクに担持したもの(ケムガード911C、モリブデン酸亜鉛担持:10重量%、シャーウィン・ウィリアムズ社製)5部を加えて混合したワニスを使用して、実施例1と同様に行い、プリプレグを得た。このプリプレグを8枚重ね、その上下に12μmの電解銅箔を配置し、圧力30kg/cm、温度180℃で、120分間プレスを行い、厚さ0.8mmの銅張積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性測定結果を表2に示す。
【0027】
(実施例3)
実施例1で得られた2,2−ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー溶液(固形分濃度50wt%)100部、参考例3で得られたビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂のプレポリマーのMEK溶液の5℃、30日間保管品(固形分濃度80wt%)37.5部、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン (BMI-70、ケイ・アイ化成製)20部、オクチル酸亜鉛0.01部を混合しワニスを得た。(ワニスには樹脂の沈殿は認められなかった。)これに球状合成シリカ(SC2050、アドマテックス製)100部を加えて混合したワニスを使用して、実施例1と同様に行い、厚さ0.8mmの銅張積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性測定結果を表2に示す。
【0028】
(比較例1)
比較参考例1で得られたビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂のMEK溶液の5℃、30日間保管品(固形分濃度70wt%)71.4部、実施例1で得られた2,2−ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー溶液(固形分濃度50wt%)100部、オクチル酸亜鉛0.01部を混合しワニスを得た。(ワニスには白い沈殿物が認められた。)このワニスを使用して、実施例1と同様に行い、厚さ0.8mmの銅張積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性測定結果を表2に示す。
【0029】
(比較例2)
比較参考例2で得られたビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂のMEK溶液の5℃、30日間保管品(固形分濃度50wt%)100部、実施例1で得られた2,2−ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレポリマー溶液(固形分濃度50wt%)100部、オクチル酸亜鉛0.01部を混合しワニスを得た。(ワニスには白い沈殿物が認められた。)このワニスを使用して、実施例1と同様に行い、厚さ0.8mmの銅張積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性測定結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
(試験方法)
・エッチング後外観:300mm×300mm角の銅張積層板の銅箔をエッチング除去した後、外観を目視で観察。(n=3)
・銅箔ピール強度:JIS C6481に準拠して測定(n=5の平均値)
・半田耐熱性:50mm×50mm角の銅張積層板を、280℃半田槽に10分間フロートした後、外観を目視で観察。(n=3の平均値)
・Tg:JIS C6481に準拠しDMA法にて測定(n=3の平均値)