特許第5708709号(P5708709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5708709
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】コイン精米機
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
   B02B7/00 B
   B02B7/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-112891(P2013-112891)
(22)【出願日】2013年5月29日
(62)【分割の表示】特願2011-142007(P2011-142007)の分割
【原出願日】2011年6月27日
(65)【公開番号】特開2013-188747(P2013-188747A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2013年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加茂 吉博
(72)【発明者】
【氏名】高橋 努
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】喜安 一春
(72)【発明者】
【氏名】森 泰一
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−072871(JP,A)
【文献】 実開昭56−066733(JP,U)
【文献】 特開2001−198478(JP,A)
【文献】 特開2001−207664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 − 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋(T)内を、石抜装置(31)及び精米装置(2)を配置する機械室(4)と、操作盤(9)を配置する操作室(11)とに仕切壁(10)で前後に仕切り、
操作室(11)の正面側には正面外壁(12)及びドア(25)を設け、正面外壁(12)の上方から前側に向かって軒部(13)を張り出す構成とし、ドア(25)の上方の正面外壁(12)には吸気口(16)を設け、
軒部(13)の軒先部に電飾看板(20)を設け、
操作室(11)の天井部に吸気口(16)と吸入外気を機械室(4)に供給する供給口(17)とを連通する吸気室(15)を設け、
吸気室(15)の前端部に吸気口(16)のフィルタ(21)を設けたことを特徴とするコイン精米機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建屋式のコイン精米機に関する。
【背景技術】
【0002】
コイン精米機のおいて、籾摺装置の風選別部の吸引排塵機の外気を、投入ホッパの側部の外壁に形成の吸気口から吸入する技術(例えば、特許文献1参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−198478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、コイン精米機の投入用のホッパは、床面近くの低位置に、しかも建屋外壁面近くの位置に配置されることが多く、従ってこのホッパに近い外壁部に吸気口を設ける形態では、雨水が入り易くなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、
建屋(T)内を、石抜装置(31)及び精米装置(2)を配置する機械室(4)と、操作盤(9)を配置する操作室(11)とに仕切壁(10)で前後に仕切り、
操作室(11)の正面側には正面外壁(12)及びドア(25)を設け、正面外壁(12)の上方から前側に向かって軒部(13)を張り出す構成とし、ドア(25)の上方の正面外壁(12)には吸気口(16)を設け、
軒部(13)の軒先部に電飾看板(20)を設け、
操作室(11)の天井部に吸気口(16)と吸入外気を機械室(4)に供給する供給口(17)とを連通する吸気室(15)を設け、
吸気室(15)の前端部に吸気口(16)のフィルタ(21)を設けたことを特徴とするコイン精米機の構成とする。
【0006】
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明により、軒部(13)で雨水を阻止することができるため、雨水が吸気口(16)に入り込むのを防止できる。また、吸気室(15)の前端部にフィルタ(21)を設けたことでフィルタ(21)のメンテナンスを行い易い。また、フィルタ(21)の目詰まり状態が視認し易い。
【0008】
また、電飾看板(20)に昆虫類の飛来を受けるが、電飾看板(20)を吸気口(16)から離れた軒部(13)の軒先部に設けるため、吸気口(16)に昆虫が入り込み難い。
【0009】
また、フィルタ(21)によってろ過された外気を機械室(4)内に供給することができる。
また、操作室(11)の天井部に吸気口(16)と吸入外気を機械室(4)に供給する供給口(17)とを連通する吸気室(15)を設けることで機械室(4)内の騒音が操作室(11)に伝播し難い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】コイン精米機の平面図
図2】側面から見たコイン精米機の内部を説明する図
図3】側面から見た機械室の内部を説明する図
図4】建屋の側断面図。
図5】籾摺、精米行程のフローチャート。
図6】吸気室を示す斜視図。
図7】吸気室の別実施の形態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面に基づいて、コイン精米機は、建屋Tを使用して、内部を仕切壁10で前後に仕切り、正面側に精米利用者が出入りして運転操作する操作室11を形成し、この奥側に籾摺装置1や精米装置2、及びこれらに付帯する機器、装置等を配置構成する機械室4を形成する。操作室11は、正面外壁12と、奥側の仕切壁10と、左右両側の側壁22と、天井14によって形成されて、正面外壁12部にドア口25を設けて、精米利用者はこのドア口25を開いて操作室11に出入りして精米運転することができる。又、建屋Tは屋根23を有し、この屋根2の下方の適宜間隔位置に天井14を設けている。
【0012】
図例では、操作室11にのみ一部乃至全面に亘って天井14を設けた形態としている。この天井14と上側の屋根23との間の間隔の空間24を利用して吸気室15を構成している。
【0013】
操作室11の仕切壁10には、中央上部に操作盤9を設けて、精米料金を投入する料金投入器(コインメック)や、籾摺、精米を運転開始するための操作スイッチ等を有して、これらを所定の手順で操作選択することによって、持込精米量に応じた時間の籾摺、乃至精米運転を自動的に行うことができ、精米目的の白米を取出すことができる。仕切壁10の左右一側端寄り位置には籾米や玄米等を持込投入する投入ホッパ27の籾玄米投入口5を形成し、他側端寄り位置に白米を取出す白米ホッパ30の白米取出口6を形成する。
【0014】
籾玄米投入口5の手前下部には持込精米袋を受ける袋受台26を設け、投入ホッパ27に供給された籾、乃至玄米は、この投入ホッパ27底部のオーガ28の駆動によって奥側の第一昇降機29へ持込むことができる。又、精米利用者は、この白米ホッパ30の取出口から取出される白米を袋詰して持帰えることができる。
【0015】
機械室4には、籾摺装置1をインペラ形態として構成し、精米装置2を螺旋転子形態として構成している。又、前記籾摺装置1と精米装置2との各行程間に石抜装置31を配置し、精米装置2から発生する糠を吸引処理する糠処理部32等を配置する。
【0016】
投入ホッパ27に籾を投入したときには、第一昇降機で籾米を揚穀し、シュータ33を経てインペラ形態の籾摺装置1へ供給する。そして、インペラの回転によって衝撃脱ぷして、摺出米をシュータ41から風選装置34へ供給して、吸引排塵機3で玄米と籾殻とに風選する。この風選装置34で選別された玄米は、シュータ35を経て石抜装置31へ流下供給して、傾斜揺動選別盤の上面を流動させることによって比重選別させて、比重の大きい砂、礫を石抜口36へ排出させ、比重の小さい玄米を玄米口37から第二昇降機38へ流入させる。
【0017】
風選装置34には、選別風を吸引して排出吸引排塵機3が設けられ、排風筒39を機械室4の後壁40から外側へ貫通する。
吸引排塵機3は、摺出米を風選する風選装置34の選別風路42に選別風を流して、この摺出米の籾殻や塵埃等を吸引排除するもので、この選別風路42の基端部には吸引口43を形成して、機械室4の内気を吸引して選別風とする。
【0018】
石抜装置31で石抜された玄米は、第二昇降気38を経て精米装置2へ供給されて精米される。精米された白米は白米ホッパ30に取出され、精米装置2で発生した糠は、糠吸引ファン48により糠処理部32へ空気搬送され、サイクロン44及び糠筒45を経て、各糠袋46へ搬送されて袋詰される。
【0019】
玄米を籾玄米投入口5から投入ホッパ27へ投入して精米作用を行う場合は、この玄米を第一昇降機29からシュータ33を経てインペラ形態の籾摺装置1へ搬入させながら、このインペラの回転によって玄米搬送して、この風選装置34を通して石抜装置31へ搬送供給する形態とする。この場合は、インペラの高速回転による玄米損傷を少なくするため、前記操作盤9における操作スイッチ8によって玄米の精米モードを指定することによって、インペラの回転を低速位置に減速連動して、単に揚穀搬送の作用を行わせる形態とすることができる。
【0020】
操作室11の正面外壁12上部には、軒下周り適宜長さ及び深さに張出して覆う軒部13を形成し、操作室11の天井14部に沿ってこの全幅、又は一部幅に亘って形成する吸気室15の吸気口16を軒部13内に開口連通し、この吸気室15の奥端口17を機械室4に連通させて、吸引排塵機3の吸引外気を軒部13の下方の空間に形成する軒空間18部から吸入させる構成とする。
【0021】
籾摺装置1や運転によって発生する籾殻は風選選別を行う吸引排塵機3の駆動によって吸引選別されて建屋外へ排出される。また精米運転で発生する糠は糠吸引ファン48による空気搬送で糠処理部32へ搬送処理される。
【0022】
籾摺装置1の吸引排風機3や糠吸引ファン48による吸引風は、操作室11の正面外壁12の外側上部に位置する吸気口18から外気を吸入して、吸気口16から操作室11の天井14と建屋Tの屋根23との間の吸気室15を経て奥端口17を通過して機械室4内へ吸引される。
【0023】
又、吸気口16の正面に対向して垂下した軒部13の前縁部19に沿って電飾看板20を設ける。
前記コイン精米機の建屋の正面外壁12の上方部に張出形成される軒部13は、単なる屋根の軒を突出させただけの形態ではなく、この軒下に適宜高さに垂下の前縁部19を形成して、帽子状形態に構成するもので、この前縁部19の正面に電飾看板20を設ける。また、この電飾看板20を軒先部に形成して前縁部19とし構成することもできる。このような軒部13の電飾看板20は電光により昆虫類の飛来を受けるが、吸気口16は、この電飾看板20、及び軒部13前縁部19の裏側内部に形成されるため、昆虫の飛来、及び吸気室15内への侵入を阻止する。
【0024】
更には、前記軒部13の吸気口16部にフィルタ21を設ける。
前記のように機械室4の吸引排塵機3の駆動によって、前記軒部13で覆われた軒空間18から外気を吸入して、操作室11上方の天井14部の吸気室15を経てこの機械室4内へ吸引する。このときこの軒空間18、又は吸気室15の前端に設ける吸気口16部にはフィルタ21を設け、このフィルタ21によって吸入外気が濾過される。このフィルタ21によって濾過されたきれいな外気が機械室4の選別風として供給される。また、長時間の運転によりこのフィルタ21が目詰りすると、前記軒空間18、又は吸気口16から取外して清掃する。フィルタ21は奥端口17側に設けても良いが、メンテナンスを考慮すると吸気口16に設けるのが望ましい。
【0025】
吸気室15は、図6に示すように、建屋の操作室11の天井14部、乃至天井裏間隔部24に、方形断面形状の吸気室15を設けて、この正面側の吸気16を正面外壁12上部に開口し、奥端口17を仕切壁10上端の機械室4に開口連通する形態である。これら吸気室15の外周部の天井14裏間隔部24は、少なくとも前端部の吸気口16周りの前壁49で仕切閉鎖されて、この前端ダクト口16においてのみ正面側の軒部13の内側部に連通する構成としても良い。
【0026】
あるいは、天井裏間隔部24を操作室11の全幅にわたって吸気室15とすることで、吸引ダクト15の断面積を広く形成して、吸引抵抗を小さくして騒音を低減することができ、吸気口18からの雨水等の吸引を少なくすることもできる。この構成だと、前記操作室11の天井14部に構成の吸気室15を、単に正面外壁12上部の軒部13内に連通させるだけの構成を主体とするものである簡潔であり、吸気室15に特別の部材を用いないため、安価に吸気室15を形成することができる。
【0027】
また吸気室15は、図7に示すように、吸気室15の前端ダクト口16の外側部に上下U字状形態に屈曲する吸気風路50を形成した吸気ボックス51を設けることで、吸気口18部の吸引騒音を軽減し、吸気風路50の底部に虫や、塵埃等を沈下させて防塵対策を簡易に構成することもできる。この吸気ボックス51の前側に軒部13の前縁部19を位置させて、これらの前後間隔部に吸気口18を形成して、前記U字状の吸気風路50の上端部に連通させている。
【0028】
また吸気室15は、吸引ダクトの形態で操作室11の天井14部の建屋Tの屋根23との間の天井裏間隔24に設ける構成としてもよい。
本実施の形態で記載した各種吸気室の構成の効果について、以下記載する。
【0029】
機械室4の装置各部の内、吸引排塵機3の騒音が特に大きい。本実施の形態で示す各種吸気室15の構成にすることで、吸引排塵機3の騒音が操作室11に伝播しにくい。また、建屋外側への騒音も低減され、建屋の近隣への騒音を低減できる。また、雨水が軒部13及び軒部13の前縁部19により吸気室15に入り込むのを阻止することができる。また、天井裏間隔24をそのまま吸気室15とすることで特別な部材を要さない。フィルタ21を吸気室15の前端の吸気口16に設けることで、管理者のメンテナンスがし易い。また、フィルタ21の目詰り状態が建屋の外側から視認し易い。また、吸気室15内に昆虫の死骸等が溜まりにくい。
【符号の説明】
【0030】
1 籾摺装置
2 精米装置
3 吸引排塵機
4 機械室
5 籾玄米投入口
6 白米取出口
7 料金投入器
9 操作盤
10 仕切壁
11 操作室
12 正面外壁
13 軒部
14 天井
15 吸気室
16 吸気口
17 奥端口
18 軒空間
19 前縁部
20 電飾看板
21 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7