特許第5708906号(P5708906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5708906氷の融解及びスリップ防止のための物質組成及び方法及び氷の融解及びスリップ防止のためのベタインの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5708906
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】氷の融解及びスリップ防止のための物質組成及び方法及び氷の融解及びスリップ防止のためのベタインの使用
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/18 20060101AFI20150409BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20150409BHJP
   C09K 3/14 20060101ALN20150409BHJP
【FI】
   C09K3/18
   C09K3/00 102
   !C09K3/14 540Z
【請求項の数】51
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2009-508410(P2009-508410)
(86)(22)【出願日】2007年5月7日
(65)【公表番号】特表2009-536239(P2009-536239A)
(43)【公表日】2009年10月8日
(86)【国際出願番号】FI2007050254
(87)【国際公開番号】WO2007128878
(87)【国際公開日】20071115
【審査請求日】2010年5月7日
(31)【優先権主張番号】20065295
(32)【優先日】2006年5月5日
(33)【優先権主張国】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504273748
【氏名又は名称】ダニスコ エイ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】ユティラ クリスティー
(72)【発明者】
【氏名】パアナネン ハンヌ
(72)【発明者】
【氏名】アラティポ ヴィレ
(72)【発明者】
【氏名】クーシスト ユハニ オー.
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−515092(JP,A)
【文献】 特開2004−059850(JP,A)
【文献】 特開平09−132772(JP,A)
【文献】 特表2004−510031(JP,A)
【文献】 特表2006−501322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/18、
C09K3/00、
E01H1/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷を融解するための及び/又はスリップを防止するための物質組成物であって、
該組成物は、ベタインと、酢酸塩、蟻酸塩、尿素及びそれらの混合物からなる群から選ばれたその他の氷融解剤との組み合わせを含み、且つ、
該ベタインが、トリメチルグリシン、トリメチルグリシン一水和物又はその活性誘導体であり、
該組み合わせ中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして30乃至95%であり、かつ、
該組み合わせ中のその他の氷融解剤の量が、固体総量に基づき計算されたものとして5乃至70%であることを特徴とする、
組成物。
【請求項2】
ベタインは溶液の形態でありそして該少なくとも1種のその他の氷融解剤は固体の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組み合わせがベタイン溶液及び固体蟻酸ナトリウムを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組み合わせがベタイン溶液及び固体酢酸ナトリウムを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
ベタイン及び該その他の氷融解剤が、互いに独立して、固体形態又は溶液の形態にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ベタイン及び該その他の氷融解剤が、前記組み合わせにおいて、併用効果をもたらすように構成された混合物としてあるいは別々に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組み合わせがまた塩化物及び/又はその他の物質を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組み合わせが、腐食防止剤を含まないか、又は該組み合わせ中の腐食防止剤の量が、同様の氷融解効果をもたらすがしかしベタインを含まない相当する組み合わせにおけるよりも実質的に少ない、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組み合わせ中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして40乃至90%である、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組み合わせ中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして50乃至80%である、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組み合わせ中のその他の氷融解剤の量が、固体総量に基づき計算されたものとして10乃至60%である、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組み合わせ中のその他の氷融解剤の量が、固体総量に基づき計算されたものとして20乃至50%である、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組み合わせ中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして30乃至60%であり、そして該組み合わせ中の蟻酸ナトリウムの量が、固体総量に基づき計算されたものとして40乃至70%である、請求項3又は請求項4に記載の組成物。
【請求項14】
前記組み合わせ中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして40乃至50%であり、そして該組み合わせ中の蟻酸ナトリウムの量が、固体総量に基づき計算されたものとして50乃至60%である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組み合わせ中の少なくとも1種のその他の氷融解剤の量が、ベタインにより得られる氷融解及び/又はスリップ防止効果を改善するため十分な量である、請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記その他の氷融解剤の量が、氷を融解しそしてスリップの防止に関して、ベタインと共に、相乗効果を生み出す十分な量である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組み合わせ中の腐食効果が、同様の氷融解効果を生ずるがベタインを含まない組み合わせと比較して小さい、請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
適用対象の耐摩耗性における、前記組み合わせの弊害が、同様の氷融解効果を生み出すがベタインを含まない組み合わせと比較して小さい、請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
環境に対する前記組み合わせの有害な影響が、同様の氷融解効果を生み出すがベタインを含まない組み合わせと比較して小さい、請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
炭素−炭素繊維複合体ブレーキ部品の磨耗に対する、前記組み合わせの効果が、同様の氷融解効果を生み出すがベタインを含まない組み合わせと比較して小さい、請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
トリメチルグリシン、トリメチルグリシン一水和物又はそれらの活性誘導体であるベタインと、酢酸塩、蟻酸塩、尿素及びそれらの混合物からなる群から選ばれたその他の氷融解剤との組み合わせを含む物質組成物が、滑りやすい表面又は滑りやすくなりやすい表面
へ適用される、氷を融解するための及び/又はスリップを防止するための方法であって、該組み合わせ中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして30乃至95%であり、かつ、
該組み合わせ中のその他の氷融解剤の量が、固体総量に基づき計算されたものとして5乃至70%であることを特徴とする方法。
【請求項22】
前記物質組成物が、空港、道路、橋、階段、庭、横断歩道、舗装道路、斜面、並びにスリップ防止が必要な一定の特定の道路区間を含む、適用対象へ適用される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ベタインが、溶液として適用され、そして該少なくとも1種のその他の氷融解剤が固体の形態で適用される、請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ベタイン及びその他の氷融解剤が、互いに独立して、固体の形態又は溶液の形態で適用される、請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして40乃至90%であり、そして該組成物中の該その他の氷融解剤の量が、固体総量に基づき計算されたものとして10乃至60%である、請求項21乃至請求項24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして50乃至80%であり、そして該組成物中の該その他の氷融解剤の量が、固体総量に基づき計算されたものとして20乃至50%である、請求項21乃至請求項24の何れか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして30乃至60%であり、そして該組成物中の蟻酸ナトリウムの量が、固体総量に基づき計算されたものとして40乃至70%である、請求項21乃至請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして40乃至50%であり、そして該組成物中の蟻酸ナトリウムの量が、固体総量に基づき計算されたものとして50乃至60%である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ベタインの適用温度が−20℃乃至100℃である、請求項21乃至請求項28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ベタインの適用温度が20℃乃至60℃である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1種のその他の氷融解剤の量が、ベタインにより得られる氷融解及び/又はスリップ防止効果の改善に十分な量である、請求項21又は請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
ベタイン及び前記少なくとも1種の氷融解剤が適用にあたり又は適用前に混合される、請求項21乃至請求項31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
ベタイン及び少なくとも1種の氷融解剤が、相乗効果を生ずるように構成されて、同時に又は独立して適用される、請求項21乃至請求項28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記物質組成物が5乃至200g/mの量において滑りやすい表面へ適用される、
求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記物質組成物が10乃至50g/mの量において滑りやすい表面へ適用される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ベタインが、酢酸塩、蟻酸塩、尿素及びそれらの混合物からなる群から選ばれたその他の氷融解剤と、氷融解及び/又はスリップ防止用の組み合わせで物質組成物中に使用され、及び
該ベタインが、トリメチルグリシン、トリメチルグリシン一水和物又はその活性誘導体であり、
該組み合わせ中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして30乃至95%であり、かつ、
該組み合わせ中のその他の氷融解剤の量が、固体総量に基づき計算されたものとして5乃至70%である、
ところの氷を融解し及び/又はスリップを防止するためのベタインの使用。
【請求項37】
前記物質組成物が、空港、道路、橋、階段、庭、横断歩道、舗装道路、斜面、並びにスリップ防止が必要な一定の特定の道路区間を含む、適用対象へ適用される、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
ベタインが、溶液として適用され、そして該氷融解剤が固体形態で適用される、請求項36又は請求項37に記載の使用。
【請求項39】
前記固体が蟻酸ナトリウムである、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
ベタイン及び該その他の氷融解剤が、互いに独立して、固体形態、又は溶液の形態で適用される、請求項36又は請求項37に記載の使用。
【請求項41】
前記組成物中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして40乃至90%であり、そして該組成物中の該その他の氷融解剤が、固体総量に基づき計算されたものとして10乃至60%である、請求項36乃至請求項40の何れか1項に記載の使用。
【請求項42】
前記組成物中のベタインの量が、固体総量に基づき計算されたものとして50乃至80%であり、そして該組成物中の該その他の氷融解剤が、固体総量に基づき計算されたものとして20乃至50%である、請求項36乃至請求項40の何れか1項に記載の使用。
【請求項43】
ベタインの適用温度が−20℃乃至100℃である、請求項36乃至請求項42のいずれか1項に記載の使用。
【請求項44】
ベタインの適用温度が20℃乃至60℃である、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
ベタインが、氷の融解及び/又はスリップの防止に関して、その他の氷融解剤と共に、相乗効果をもたらすために十分な量で使用される、請求項36乃至請求項40のいずれか1項に記載の使用。
【請求項46】
ベタインが氷の融解中に腐食効果を減少させるために使用される、請求項36乃至請求項40のいずれか1項に記載の使用。
【請求項47】
ベタインが、処理された対象の耐磨耗性に対する氷融解剤の弊害を減少させるために使用される、請求項36乃至請求項40のいずれか1項に記載の使用。
【請求項48】
ベタインが、環境に対する氷融解剤の有害な効果を減少させるために使用される、請求項36乃至請求項40のいずれか1項に記載の使用。
【請求項49】
ベタインが、航空機において使用される炭素−炭素繊維複合体ブレーキ部品の磨耗に対する氷融解剤の効果を減少させるために使用される、請求項36乃至請求項40のいずれか1項に記載の使用。
【請求項50】
ベタインが、氷融解剤による地下水の汚染を減少させるために使用される、請求項36乃至請求項40のいずれか1項に記載の使用。
【請求項51】
ベタインが、氷融解剤に起因する環境へのPAH化合物の移行を減少させるために使用される、請求項36乃至請求項40のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は氷を融解するため及び/又はスリップを防止するためのベタインを含む物質組成に関し、又は、換言すれば、氷結防止及び滑り止め処理に関する。本発明はまた、当該物質組成物を使用することによる氷を融解するため及び/又はスリップを防止するための方法、並びに同様の目的のためのベタインの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
氷生成及びスリップの防止は、離陸及び着陸のための安全な状態を維持するために、並びに一般的な航空安全性のために、空港においては非常に重要である。空港において滑り止め処理のための最も重要な必要条件は、滑走路のアスファルト表面に於ける十分な摩擦を維持することにより航空の安全性を保証することである。滑走路舗装のための一定の摩擦の必要条件があり、そしてこれは空港において航空交通がある時はいつでも満たされなければならない。摩擦係数は、2つの固体物質の間の接触表面を説明する定数であり、そして、物体が互いに対して摺動する際に存在する摩擦の量を表わす。摩擦係数は常に0より大きくそして実際には常に1より少ない。空港に於ける摩擦の必要条件に関する限り、その値は通常少なくとも0.3、好ましくは0.4でなければならない。
【0003】
滑走路上の滑り止め処理のためには機械的方法が第一に用いられる。化学融解剤は、滑走路上に形成された霜及び氷を除去するため、並びに事前の滑り止め処理のために必要とされる。一般的に、氷融解剤は滑り止め処理のために使用され、所望により、粘度を増加させるために添加された、増粘剤、並びに、水、界面活性剤及び腐食防止剤とともに使用される。氷融解及び滑り止め剤の目的は、舗装道路の表面への氷の付着を妨害しそして弱めるためのものであり、その後、該表面がより容易に機械的に清掃され得る。
【0004】
道路のスリップ防止のために、氷溶融及び滑り止め剤として塩化物が主に用いられてきた。塩化ナトリウムのような、道路の維持管理において使用される物質は、航空機の金属部品並びに空港設備を急速にさびさせそして腐食するため、空港においては使用され得ない。さらに、塩化物は地下水質、土壌、植物及び土壌微生物において有害な効果を有する。伝統的には、尿素のような水溶性有機化合物が空港における氷の融解のために使用されてきた。しかし、尿素の使用は、特に窒素の富栄養化効果に起因して、非常な環境被害の原因となることが見出されたので、大部分で断念された。尿素の使用の結果として、地下水において酸素不足が起こり得、重金属の溶出速度が増加する。現在のところ、酢酸塩、液体酢酸カリウム及び固体酢酸ナトリウム、並びに蟻酸塩、蟻酸カリウム及び蟻酸ナトリウムが、空港において使用されている。塩化物及び尿素と比較して、酢酸塩及び蟻酸塩は、環境への弊害はより少ない。酢酸塩及び蟻酸塩は氷の溶融に効果的であるが、これらの欠点は金属及び電気設備の深刻な腐食を含む。酢酸塩及び蟻酸塩に基づく氷融解剤の導入後、アスファルト舗装道路の問題が空港において観測された。本発明に関して同様に重大なことは、酢酸塩及び蟻酸塩に基づく氷融解剤は、炭素繊維ブレーキ、金属表面及びはめ合わせ金属−金属表面を含む航空機材料における深刻な腐食を起こすことが見出されたという事実である。わずかな氷結防止剤によって引き起こされるこれらの全ての問題は、航空の安全性の危険性を高める。
【0005】
事前の滑り止めにおいては、固体及びしばしば顆粒状の氷融解剤は空気流の作用下で目的とする表面から容易に運び去られるため、液体の氷融解剤が、最も使用に適した氷融解剤の形態であることが見出された。さらに、顆粒状の氷融解剤は非常に局所的であり、そしてゆえにその効果はかなり遅く、そして適用量は実質的に液体又は湿潤した物質が用い
られた場合よりも高い。液体の氷融解剤はより容易に全表面に分布され、そして固体物質よりも実質的に多くの舗装道路表面を覆う。以前は、約50%の水を含む液体物質が霜及び薄氷の除去のために通常使用されていた。より厚い氷の除去のためには、必要に応じ滑走路の表面まで氷を融解させる、顆粒状の物質が必要とされ、その後その表面は除雪機による除雪又はブラシがけにより清掃される。現在のところは、氷の厚い層はめったに滑走路路上に形成されないため、空港における滑り止め処理のために液体物質が主に使用される(使用される物質全てのほぼ80%)。
【0006】
更なる理解の結果として、環境への配慮そして特に化学物質の蓄積及び環境に対するそれらの効果は、ますます重要視されてきた。特に、かつての氷融解剤に関する環境への配慮の観点において、スリップ防止において必要な効果を有する新規な氷融解剤の開発への大きな必要性がある。
【0007】
欧州特許出願公開第1034231号明細書は、10乃至60%のベタイン又はその誘導体を含む水溶液が、滑走路のための凍結防止剤として及び滑走路の滑り止め剤として使用される、滑り止め処理のための組成物を開示している。
【0008】
米国特許第6,596,189号明細書は、空港滑走路のための液体ベースの凍結防止組成物を開示し、該組成物は、炭素−炭素繊維複合材ブレーキにおいて最小の酸化触媒効果を示す。この組成物は、アルカリ及びアルカリ土類金属カルボキシレート及びアルコールの混合物を含み、そして該混合物に付加的に侵食防止剤が添加される。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1034231号明細書
【特許文献2】米国特許第6,596,189号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、氷を融解するため及び/又はスリップを防止するための物質組成物に関し、該組成物は、ベタインと、酢酸塩、蟻酸塩、尿素及びその混合物からなる群から選ばれたその他の氷融解剤との組み合わせを含む。本発明の組み合わせは、ベタインと該その他の氷融解剤との、効果的な氷結防止及び/又は滑り止め防止用組み合わせである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの実施態様において、ベタインは、溶液として存在し、そして少なくとも1種のその他の氷融解剤は固体形態において存在する。固体及び液体の氷融解剤の併用は、固体の氷融解剤が氷に穴を開けて、舗装道路表面に到達し、そしてこれが、液体氷融解剤が形成された穴を通過しそして氷と舗装道路表面の間に侵入することを可能にさせ、舗装道路表面から氷を分離する。該組成物は好ましくは、ベタイン溶液と、固体の蟻酸ナトリウム及び/又は酢酸ナトリウムとの組み合わせを含む。
【0011】
本発明はまた、ベタインと、酢酸塩、蟻酸塩、尿素及びその混合物からなる群から選ばれるその他の氷融解剤との組み合わせを含む組成物が、滑りやすい表面又はそうなり易い表面へ加えられるところの、氷を融解するため及び/又はスリップを防止するための方法に関する。該組み合わせは、表面の氷結防止及び/又は滑り止め処理の提供において効果的である。
【0012】
さらに、本発明は、氷を融解するため及び/又はスリップを防止するためのベタインの使用に関し、ベタインは、酢酸塩、蟻酸塩、尿素及びその混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のその他の氷融解剤と組み合わせて使用される。ベタインと該その他の剤との組み合わせは、氷結防止及び/又は滑り止め効果を提供する。
【0013】
本発明の組成物は、空港、道路、橋、階段、庭、舗装道路、斜面、並びに滑り止め防止処理が必要な一定の特定の道路区間を含む、望まれる適用対象へ適用される。ベタインは、その他の氷融解剤と共に、氷の融解及びスリップの防止に関し効率的な効果を提供するのに十分な量において使用される。本発明の好ましい実施態様において、ベタインは該その他の氷融解剤と相乗効果をもたらす。ベタインはまた、氷の融解における腐食作用を減少させ、処理される対象の耐摩耗性に対する氷融解剤の弊害を減少させ、環境に対する氷融解剤の有害な影響を減少させ、航空機に使用される炭素−炭素繊維複合ブレーキの部品の摩耗に対する氷融解剤の効果を減少させ、氷融解剤に起因する地下水の汚染を減少させ、そして氷融解剤に起因する環境へのPAH化合物の移行を減少させるために、使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明の詳細な説明
ベタインと酢酸塩、蟻酸塩又は尿素との組み合わせにより得られる改善された効果は、既に少量のその他の融解剤とともに効果的な氷融解剤又は滑り止め剤を提供し、また、上記に言及された従来使用された氷融解剤よりも腐食性の少なくそしてより環境に優しい代替手段を提供することが、見出された。また、該組み合わせの低い毒性は、該組み合わせを滑り止め処理における使用のための優れた代替手段とさせる。
【0015】
ここで用いられる用語“組成物”は、1又はそれ以上の物質を指し、混合物または別々に、互いに独立して、固体形態でも液体としてもあり得る。典型的な組成物は本質的に、2種の有効な氷融解及び/又は滑り止め剤の組み合わせからなる。用語“組成物”は、処理された表面への該物質の同時または別々の適用を含むが、該物質は単独の氷結防止及び/又は滑り止め作用を提供するように適応されている。最善の作用は該物質の相乗効果を通じて提供される。本発明によれば、組成物を形成する該物質、即ち、溶液状及び/又は固体としてのベタイン及び該その他の氷融解剤は、適用前に、あるいは適用にあたり、混合され得る。
【0016】
ここで用いられる用語“ベタイン”は、トリメチルグリシン、トリメチルグリシン一水和物又はその活性誘導体を指す。該活性誘導体は、トリメチルグリシンのクエン酸塩、酢酸塩及び蟻酸塩のような有機塩を指し、該塩は水溶液中においてベタインを形成する。ベタインは通常天然物由来であり、例えば、テンサイから抽出され又は生化学的方法により得られる。幾つかの報告は、ベタインは通常の水と同程度の腐食しか起こさないことを示した。金属表面へのベタインの粘着性は弱く、そして炭素繊維ブレーキの酸化を起こさない。
【0017】
ここで用いられる用語“氷融解剤”は、氷の形成を防ぐ目的の氷結防止物質を指し、即ち、事前の滑り止め処理の補助として機能するために及び/又は既に形成された氷又は霜を溶かしそして分離するためのものであり、そして、該氷又は霜は機械的方法により、例えばブラシにより又は除雪機により、表面から除去され得る。本発明において言及されるその他の氷融解剤は、尿素、酢酸塩、蟻酸塩及び/又はその混合物を意味する。
【0018】
ここで用いられる用語“スリップ防止”又は“滑り止め処理”は、その目的が表面のスリップ及び氷の形成を防止することである手段を指す。スリップ防止又は滑り止め処理はまた、既に形成された氷の融解、そして化学的又は機械的方法によるその除去を指し得る。
【0019】
ここで用いられる用語“固体総量”は、固体形態で組み合せ中に存在する有効成分の総量を指す。本発明において、物質の量は、質量パーセントとして総量と比較された。
【0020】
ここで用いられる用語“適用温度”は、物質の組み合わせが滑りやすくなりやすい表面へ適用される、氷融解物質の組み合わせの最初の温度を指す。
【0021】
ここで用いられる用語“空港”は、主に滑走路と誘導路を指すが、その他の空港の戸外の区域もまた含み得る。
【0022】
ベタイン及び該その他の氷融解剤は、混合物としてあるいは別々に、物質の組み合わせ中に存在するが、しかしこれらは単独の融解操作に関する相乗効果が得られるような方法で、表面に適用される。ベタイン及び該その他の氷融解剤は互いに独立して、固体形態又は溶液の形態にある。該溶媒は、水、又はエタノールのようなその他の好適な溶媒、又は溶媒の混合物を含み得る。組み合わせ中の該ベタインの量は、固体総量に基づき計算されたものとして30乃至95%、好ましくは40乃至90%、最も好ましくは50乃至80%である。組み合わせ中の該その他の氷融解剤の量は、固体総量に基づき計算されたものとして5乃至70%、好ましくは10乃至60%、最も好ましくは20乃至50%である。
【0023】
最も好ましくは、本発明は、ベタイン溶液と固体蟻酸ナトリウムの組み合わせに関する。該組み合わせ中のベタイン溶液の量は、固体総量に基づき計算されたものとして30乃至60%、好ましくは40乃至50%であり、そして固体蟻酸ナトリウムは、固体総量に基づき計算されたものとして40乃至70%、好ましくは50乃至60%である。蟻酸ナトリウムは、ベタインの融解効果を非常に増加させ、そして該組み合わせはしたがって、氷の融解及びスリップ防止に関して相乗効果をもたらす。適用段階中のベタイン溶液の温度を上昇させることは、組み合わせの融解効率を非常に増加させる。
【0024】
上記の化合物に加えて、該組み合わせは、塩化物及び/又は当該分野において一般的に知られているその他の物質を含み得る。本発明による全ての個々の物質は、関連化学物質に関するSAE航空宇宙材料規格(Aerospace Material Specification)(AMS1435)により承認された。
【0025】
本発明による組み合わせは実質的に、腐食防止剤がないか又は組み合わせ中の腐食防止剤の量が、同様の氷融解効果を提供するがベタインを含まない相当する組み合わせにおけるものよりも実質的に少ない。それらの名のとおり、腐食防止剤は典型的には、表面への物質に起因する腐食の速度を遅らせるか又は妨げるために凍結防止剤へ添加される。腐食において、材料は、溶解により又はさもなければ周囲の物質との反応のどちらかにより環境の作用に起因するダメージを受ける。
【0026】
凍結防止剤組成物の温度は、適用の開始時には周囲の空気の温度であり得、例えば、−20℃乃至+10℃であるが、しかし本発明者らは、加温が融解効率を非常に改善することを見出した。本発明に関する方法によると、ベタインの温度は従って気温以上に上昇され、例えば、+10℃乃至+100℃、好ましい適用温度は+20℃乃至+60℃である。該その他の氷融解剤がベタインとの混合物として適用される場合、その組み合わせの適用温度は、上記範囲に従う。
【0027】
本発明によれば、滑走路に適用される融解剤の組み合わせの量は、5乃至200g/m2、好ましくは、10乃至50g/m2である。空港の滑り止め処理に必要とされる物質の量は通常少なくとも1乃至2トンであるため、使用される氷融解剤は環境に優しく、空港作業員の作業に安全であることが重要である。本発明による組み合わせに起因する弊害は、その他の、同様の氷融解効果を提供する従来使用されてきた物質に起因する弊害よりも明らかに小さいことが見出された。
【0028】
空港において氷を融解する化学物質の適用のために使用される設備は、道路整備に用いられるものと同様の設備、即ち、ディスク式及びスプレー式適用装置を主に含む。唯一の違いは適用装置の大きさとなり、空港においては適用装置の大きさは道路整備設備のものと比較して3倍である。ディスク式適用装置により、固体及び溶液は同時に適用され得、一方スプレー式適用装置は溶液を適用するためにのみ用いられ得る。
【0029】
本発明の適用対象は、空港、道路、橋、階段、庭、横断歩道、舗装道路及び斜面並びにスリップの防止において特別な注意を必要とする一定の特別な道路区域を含む。スリップの防止に関する限り最も重要な場所は、スリップが危険を起こし易いところである。滑り止め処理は、気象状態における変化がスリップの非常な増加を引き起こす場合はいつでも速やかに開始される。
【0030】
本発明によれば、ベタイン及び該その他の氷融解剤類は、互いに独立して、固体形態又は溶液の形態で適用される。好ましい実施態様において、ベタインは溶液として適用されそして該その他の氷融解剤は固体形態で適用される。好ましくは、該固体形態物質は蟻酸ナトリウムである。
【0031】
組み合わせ中の少なくとも1種のその他の氷融解剤の量は、ベタインにより得られる氷融解及び/又は滑り止め効果を改善するのに十分な量である。さらに、該その他の氷融解剤の量は好ましくは、ベタインと組み合わせて、氷の融解及びスリップ防止に関する相乗効果を生み出すのに十分な量である。実験により、非常に少量のその他の氷融解剤がベタイン溶液の氷融解能を非常に改善しそして、その組み合わせはまた腐食及び環境効果に関する非常な改善をもたらすことが驚くべきことに見出された。
【0032】
該その他の氷融解剤との組み合わせにおいて、ベタインは、同様の氷融解効果を生じるがベタインを含まないその他の組み合わせと比較して幾つかの利点をもたらす。該組成物は低い腐食作用を有し、適用対象の耐摩耗性におけるより少ない悪影響を有し、特に塗装のダメージを減少させ、環境へのより少ない有害な影響を有し、そして航空機において使用される炭素−炭層繊維複合体ブレーキの部品の磨耗における効果が、同様の氷融解効果を生じるがベタインを含まないその他の組み合わせと比較して少ない。
【0033】
氷融解剤により引き起こされる地下水の汚染を減少させることにおけるベタインの組み合わせの効果は重要である。氷融解剤は通常水溶性であり、そして自然に放出される際に、それらは地下水に浸出し、それによって以前に使用された有害物質が環境問題を引き起こす。塩化物による地下水の汚染は交通量の多い道路においては重要な問題である。したがって、地下水の汚染の防止は非常に重要な環境問題を構成する。
【0034】
今日使用されている氷融解剤は、アスファルト中の結合剤として使用されるビチューメンからPAH化合物を抽出することにより、それらの環境への移行を起こし得る。PAH化合物は多環芳香族炭化水素であり、食物連鎖中に蓄積する。これらの最も重要な健康被害はそれらの癌を引き起こす能力を含む。ベタインの組み合わせは、氷融解剤に起因する環境へのPAH化合物の移行を減少させることを可能にする。
【0035】
以下の実施例は、本発明を説明するが、決してその範囲を限定すること意図されたものではない。実施例中の百分率は、特に指定のない限り質量で計算される。
【実施例】
【0036】
実施例1
試験において、氷融解剤の異なる組み合わせ及び異なる混合比の融解効率を、時間との関連で互いに比較した。試験された組み合わせは基本的に2種の氷融解剤及び水から成る
。試験において、時間との関連における氷への透過率を、表面へ固体物質をまず添加することにより測定した。30分後、氷中へ溶けた穴の深さを測定し、その後、液体の氷融解剤をさらに添加した。穴の深さを、水溶液の添加後10、30及び60分後に測定した。全試験の間、試験温度は−2℃であった。氷融解剤は融解された氷中で希釈され、従ってその性能は時間関数に応じて対数的に減少することが知られているため、実験は90分後で終了した。
【0037】
実験に供した固体−液体物質混合比及び相当する物質の量を表1に示す。
【0038】
表1:異なる系列に於ける物質の混合比及び量。
【表1】
【0039】
表2乃至4は、得られた結果及び誤差(mm)を示す。
【0040】
固体蟻酸ナトリウム及びベタイン水溶液の融解効率は、蟻酸ナトリウム単独のものよりも低かったが、蟻酸ナトリウムとベタインを含む組み合わせは、全ての混合比においてかなり効率的であることが示された。その結果は、少量の蟻酸ナトリウムであっても非常にベタインの融解効率に作用することを示した。ベタインと蟻酸のナトリウムの組み合わせを使用することによって得られる融解効率は、全ての混合比において純粋なベタイン混合物の融解効率よりも約100%高値であった。
【0041】
表2: 固体物質14.2%及び液体溶液85.8%(50%濃度)を含む物質混合物の結果及び誤差(mm)。
【表2】
【0042】
表3:固体物質33.3%及び液体溶液66.7%(50%濃度)を含む物質混合物の結果及び誤差(mm)。
【表3】
【0043】
表4:固体物質60%及び液体溶液40%(50%濃度)を含む物質混合物の結果及び誤差(mm)。
【表4】
【0044】
実施例2
通常は、氷融解剤の温度は戸外の温度と等しい。この実験では融解効率における加温した氷融解剤の作用を研究した。物質の融解効率を20℃及び60℃の温度において検討した。全試験を通じて、試験温度は−2℃であった。表5に、加温した物質の結果及び誤差(mm)を示す。加温は、物質の融解効率にある程度作用した。表中に示された物質の用量は、同量の固体が氷を融解するよう計算された。
【0045】
ベタイン(50及び65%)の適用温度が60℃の場合、物質の融解効率は、20℃の適用温度における効率よりも約20乃至34%高値であった。20℃の適用温度において、60分におけるベタインの融解効率は蟻酸カリウムの融解効率の47%であった。60℃の開始温度において相当する比率は53%であった。蟻酸カリウムの加温は、ベタインによるもののような融解効率における同様の更なる利点をもたらさなかった。
【0046】
物質の初期の加温は、蟻酸カリウムのものよりも比較的より大きくベタインの融解効率に作用した。もし物質の初期の加温がスリップ防止における補助として使用されたならば、該物質の融解効率に関して更なる利点が得られ得る。
【0047】
表5:加温した物質についての結果及び誤差(mm)。65%の濃度のベタイン溶液は20℃の物質温度においては行わなかった。
【表5】
【0048】
実施例3
通常は、氷融解剤の温度は戸外の温度と等しい。この実験では融解効率における加温した氷融解剤の組み合わせの効果を研究した。物質の組み合わせの融解効率を20℃及び60℃の温度において検討した。全試験を通じて、試験温度は−2℃であった。表6に結果(mm)を示す。加温は、物質の融解効率にある程度作用した。純粋なベタイン及び蟻酸カリウム溶液の濃度は50質量%であった。
【0049】
ベタイン及び蟻酸カリウムの混合物の適用温度が60℃の場合、物質の融解効率は、20℃の適用温度における効率よりも明らかに高値であった。もし物質の初期の加温がスリップ防止における補助として使用されたならば、物質の融解効率に関して更なる利点が得られ得る。
【0050】
表6:加温した物質についての結果(mm)。65%ベタイン溶液と35%蟻酸カリウムの組み合わせは20℃の物質温度においては行わなかった。
【表6】
【0051】
実施例4
試験において、氷融解剤の異なる組み合わせ及び異なる混合比の融解効率を、時間との関連で互いに比較した。試験において、時間との関連における氷への透過率を、表面へ液体物質混合物をまず添加することにより測定した。穴の深さを、液体溶液の添加後10、30及び60分後に測定した。試験の間、試験温度は−2℃かまたは−10℃のどちらかであった。
【0052】
蟻酸カリウムとベタイン溶液の濃度は50質量%であった。NaCl溶液の凝固点は濃度23質量%において最も低くそしてこれは氷結防止作業において広く使用されているため、塩化ナトリウム及びベタインの混合物は、23質量%のNaCl及び50質量%のベタインを含んだ。表7及び8は、化合物の乾燥含量、そしてまた実際に計算された濃度(質量%)を示す。
【0053】
ベタイン及び蟻酸カリウムの混合物は、氷の融解において効果的であった。しかし、ベタインは塩化ナトリウムの融解効率における多大な効果は有していなかった。
【0054】
表7:−2℃における氷融解剤の異なる組み合わせの融解効率(mm).
【表7】
【0055】
表8:−10℃における氷融解剤の異なる組み合わせの融解効率(mm).
【表8】
【0056】
実施例5
本試験において、実施例3と同様の方法で、氷融解剤の異なる組み合わせ及び異なる混合比の融解効率を、時間との関連で互いに比較した。試験において、時間との関連における氷への透過率を、表面へ液体物質混合物を添加することによりミリメートル(mm)で測定した。穴の深さを、水溶液の添加後10、30及び60分後に測定した。試験の間、試験温度は全ての時間において−2℃であった。
【0057】
表9:−2℃における氷融解剤の異なる組み合わせの融解効率(mm).
【表9】