【実施例】
【0034】
以下、製造例、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、これらにより本発明の範囲が限定されることはない。なお、以下「部」とは重量部を示す。
【0035】
また、各例中、33重量%アマニ油粘度とは、樹脂とアマニ油を1対2重量比で加熱混合したものを、日本レオロジー(株)製コーン・アンド・プレート型粘度計を用いて25℃で測定した粘度である(以下、同様)。
【0036】
また、数平均分子量と重量平均分子量はいずれも、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)および市販のカラム(東ソー(株)製、TSK−GEL)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒として測定されたポリスチレン換算値であり、求めた数平均分子量と重量平均分子量より多分散度(Mw/Mn)を算出した。
【0037】
製造例1
((C)成分の製造)
撹拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、オクチルフェノール1,000部、92%パラホルムアルデヒド396部、キシレン584部および水500部を仕込み、撹拌下に50℃まで昇温した。次いで、同反応容器に45%水酸化ナトリウム溶液89部を仕込み、冷却しながら反応系を90℃まで徐々に昇温した後、2時間保温し、更に硫酸を滴下してpHを約6に調整した。その後、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、再度水洗した後に内容物を冷却して、レゾール型オクチルフェノール(C−1)の70重量%キシレン溶液を得た。
【0038】
製造例2
((C)成分の製造)
製造例1と同様の反応容器に、ブチルフェノール1,000部、92%パラホルムアルデヒド543部、キシレン646部および水500部を仕込み、撹拌下に50℃まで昇温した。次いで、同反応容器に45%水酸化ナトリウム溶液89部を仕込み、冷却しながら反応系を90℃まで徐々に昇温した後、2時間保温し、更に硫酸を滴下してpHを約6に調整した。その後、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、再度水洗した後に内容物を冷却して、レゾール型ブチルフェノール(C−2)の70重量%キシレン溶液を得た。
【0039】
製造例3
((C)成分の製造)
製造例1と同様の反応容器に、ノニルフェノール1,000部、92%パラホルムアルデヒド370部、キシレン573部および水500部を仕込み、撹拌下に50℃まで昇温した。次いで、同反応容器に45%水酸化ナトリウム溶液89部を仕込み、冷却しながら反応系を90℃まで徐々に昇温した後、2時間保温し、更に硫酸を滴下してpHを約6に調整した。その後、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、再度水洗した後に内容物を冷却して、レゾール型ノニルフェノール(C−3)の70重量%キシレン溶液を得た。
【0040】
参照例1
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、グリセリン93部を添加し、撹拌下に280℃まで昇温した。昇温後、トリフェニルホスファイト0.7部を仕込み、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、(C−1)成分の溶液500部(固形分350部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が2.5Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧することにより、ロジン変性フェノール樹脂(1)を得た。原料と物性を表1に示す(以下、同様。)。
【0041】
参照例2
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、グリセリン93部を添加し、撹拌下に280℃まで昇温した。昇温後、トリフェニルホスファイト2.5部を仕込み、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、(C−1)成分の溶液500部(固形分350部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が2.5Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧することにより、ロジン変性フェノール樹脂(2)を得た。
【0042】
参照例
3
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、グリセリン93部を添加し、撹拌下に280℃まで昇温した。昇温後、トリフェニルホスファイト4.8部を仕込み、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、(C−1)成分の溶液500部(固形分350部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が2.5Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧することにより、ロジン変性フェノール樹脂(3)を得た。
【0043】
参照例
4
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、グリセリン93部を添加し、撹拌下に280℃まで昇温した。昇温後、トリフェニルホスファイト2.5部を仕込み、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、(C−1)成分の溶液386部(固形分270部)、次いで(C−2)成分の溶液114部(固形分80部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が2.5Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧することにより、ロジン変性フェノール樹脂(4)を得た。
【0044】
参照例
5
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、グリセリン93部を添加し、撹拌下280℃まで昇温した。昇温後、トリフェニルホスファイト2.5部を仕込み、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、(C−1)成分の溶液357部(固形分250部)、次いで(C−3)成分の溶液143部(固形分100部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が2.5Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧することにより、ロジン変性フェノール樹脂(5)を得た。
【0047】
参照例6
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、ペンタリスリトール103部を添加し、撹拌下に280℃まで昇温した。昇温後、トリフェニルホスファイト2.5部を仕込み、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、(C−1)成分の溶液500部(固形分350部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が2.5Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧することにより、ロジン変性フェノール樹脂(8)を得た。
【0048】
実施例
1
製造例1と同様の反応容器に、トール油ロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、グリセリン93部を添加し、撹拌下に280℃まで昇温した。昇温後、トリフェニルホスファイト2.5部を仕込み、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、(C−1)成分の溶液500部(固形分350部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が2.5Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧することにより、ロジン変性フェノール樹脂(9)を得た。原料と物性を表1に示す(以下、同様。)。
【0049】
実施例
2
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、グリセリン93部を添加し、撹拌下に280℃まで昇温した。昇温後、トリフェニルホスファイト2.5部を仕込み、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、(C−1)成分の溶液357部(固形分250部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が2.5Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧することにより、ロジン変性フェノール樹脂(10)を得た。原料と物性を表1に示す(以下、同様。)。
【0050】
参照例
7
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、グリセリン93部を添加し、撹拌下に280℃まで昇温した。昇温後、トリフェニルホスファイト2.5部を仕込み、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、(C−1)成分の溶液600部(固形分420部)を230〜260℃の温度範囲内で4時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が2.5Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧することにより、ロジン変性フェノール樹脂(11)を得た。原料と物性を表1に示す(以下、同様。)。
【0051】
比較例1
製造例1と同様の反応容器に、ガムロジン1,000部を仕込み、撹拌下に220℃まで昇温して溶融させた。ついで、(C−1)成分の溶液571部(固形分400部)を、4時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン84部及びパラトルエンスルホン酸2.0部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で酸価が25以下となるまで反応させた。その後、0.02MPaで10分間減圧することにより、ロジン変性フェノール樹脂(1’)を得た。
【0052】
比較例2
実施例2において、トリフェニルホスファイトを0.3部に変更した他は同様にして、ロジン変性フェノール樹脂(2’)を得た。
【0053】
比較例3
実施例2において、トリフェニルホスファイトを5.3部に変更した他は同様にして、ロジン変性フェノール樹脂(3’)を得たが、多量の不溶物が発生していたため、物性は測定しなかった。
【0056】
(ワニスの調製)
実施例1のロジン変性フェノール樹脂(1)を45.0部、アマニ油を10.0部、AFソルベント7号(JX日鉱日石エネルギー(株)製、非芳香族石油系溶剤)を43.5部、容器に仕込み、200℃で30分間混合した後、80℃まで冷却した。次いで、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート(商品名ケロープEP−2、ホープ製薬(株)製)1.5部を加え、200℃まで加熱して1時間ゲル化反応させることにより、ゲルワニスを得た。他の実施例および比較例の樹脂についても同様にしてゲルワニスを得た。
【0057】
(印刷インキの調製)
前記実施例および比較例のゲルワニスを用い、次の配合割合で3本ロールミルにより練肉して印刷インキを調製した。
フタロシアニンブルー(藍顔料) 18重量部
ゲルワニス 62〜70重量部
日石AFソルベント7号 12〜20重量部
上記配合に基づいて30℃、400rpmにおけるインコメーターのタック値が6.5±0.5、25℃におけるスプレッドメーターのフロー値(直径値)が38.0±1.0となるよう適宜調製した。
【0058】
(印刷インキの性能試験)
実施例及び比較例の各ゲルワニスを用いて調製した印刷インキの諸性能を評価した。結果を表1に示す。
【0059】
(光沢)
インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、23℃、50%R.H.にて24時間調湿し、60゜−60゜の反射率を光沢計により測定した。
【0060】
(流動性)
25℃に空調された室内において、インキ1.3mlを地平面と60゜の角度をなすガラス板の上端に置き、30分間に流動した距離を測定した。数値が大きいほど流動性が良好であることを示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1中、TPPはトリフェニルホスファイトを、ガムRoはガムロジンを、トール油Roはトール油ロジンを、MAn−Roは無水マレイン酸変性ロジンを、Glyはグリセリンを、Penはペンタエリスリトールをそれぞれ表す。