特許第5708983号(P5708983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5708983
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/08 20060101AFI20150409BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20150409BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150409BHJP
【FI】
   F21S8/08 100
   F21V19/00 510
   F21Y101:02
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2010-234910(P2010-234910)
(22)【出願日】2010年10月19日
(65)【公開番号】特開2011-228255(P2011-228255A)
(43)【公開日】2011年11月10日
【審査請求日】2013年4月22日
(31)【優先権主張番号】特願2010-75518(P2010-75518)
(32)【優先日】2010年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】石田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】高橋 章道
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】川越 真
(72)【発明者】
【氏名】倉持 裕行
【審査官】 川内野 真介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0080188(US,A1)
【文献】 特開2009−152170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21V 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に発光素子が実装された発光部と;
板状の一面側に前記発光部の裏面側が熱的に接続するように配設され、他面側にヒートシンクが形成された光学ユニットと;
厚さ方向に前記光学ユニットを挿通させる挿通孔が形成され、この挿通孔の裏側に前記ヒートシンク、前側に前記発光部が位置するように前記光学ユニットが取付けられたユニット取付板と;
前記発光部からの光を透過する平板プレートを有し前記ユニット取付板を内部に固定して密閉収容されている装置本体と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光学ユニットは、前記発光部からの配光を制御する配光制御部材を具備していることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光学ユニットは、前記取付板に着脱可能に取付られていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED(発光ダイオード)等の発光素子を有する複数の光学ユニットを光源として具備した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギや省メンテナンス等の観点から高出力、小型軽量、高寿命のLEDを光源として用いた照明装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この照明装置は、道路灯等に好適な照明装置であり、装置本体に取り付けた複数の取付台に、複数のLEDモジュールを取り付けて光源装置を構成し、この光源装置を、装置本体に取り付けたカバーガラスにより被覆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−242258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、照明用の光源として用いられるLEDは、ハイパワーダイオードであり、1個当りの発熱量が多く、この熱がLEDの近傍に蓄積すると、LEDの光出力の低下や寿命特性の劣化等を招く。
【0006】
これに対し、上記特許文献1記載の光学ユニットでは、装置本体にカバーガラスを設けた密閉空間内に、複数のLEDを具備した光源装置を配設するので、この密閉空間内に、複数のLEDの発熱が籠り易い。
【0007】
このために、LED自体の放熱性が低く、LEDの光出力が低下し、寿命特性の劣化を招き易いという課題がある。また、装置本体に固定した取付台に、複数のLEDモジュールを直接取り付けているので、仮にLEDモジュールの一部に不具合が発生した場合でも、その不具合のLEDモジュールのみを交換できず、照明装置全体を交換しなければならず、メンテナンスのコスト増を招くという課題もある。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、放熱性を向上できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願請求項1に係る発明は、基板上に発光素子が実装された発光部と、板状の一面側に前記発光部の裏面側が熱的に接続するように配設され、他面側にヒートシンクが形成された光学ユニットと、厚さ方向に前記光学ユニットを挿通させる挿通孔が形成され、この挿通孔の裏側に前記ヒートシンク、前側に前記発光部が位置するように前記光学ユニットが取付けられたユニット取付板と、前記発光部からの光を透過する平板プレートを有し前記ユニット取付板を内部に固定して密閉収容されている装置本体と、を具備していることを特徴とする照明装置。
【0010】
本請求項以下の発明において、光学ユニットの発光素子としては、発光ダイオード(LED)や半導体レーザーなど、半導体を発光源とした発光素子を使用することができる。LEDの場合は例えばCOB(Chip On Board)やSMD型のLEDを好適に用いることができる。発光素子の個数、光学ユニットの個数は任意に選定できる。複数個の光学ユニットは、同一機能、性能を有するものでも、機能、性能が異なるものでもよい。
【0012】
ヒートシンクとしては、例えば複数の放熱フィン等であり、ユニット支持部の背面に直接取り付けることのほか一体形成することにより構成することができる。要は、発光部からの熱を効率よく放熱可能なように、発光部支持基板が取り付けられたユニット支持部の他面側にヒートシンクが配設されていればよい。
【0016】
ここで、装置本体は、例えばアルミダイカスト等からなる金属や、光を透過させない合成樹脂等で構成して光を遮断することが好ましいが、光障害とならない範囲で、多少光が漏れるものも許容される。光学ユニットの支持板は、金属や合成樹脂で形成できるが、発光素子がLEDである場合、アルミダイカスト等からなる金属製とし、これにLEDを熱伝導可能に配設することで,LEDの放熱を促進する構成とすることが好ましい。
【0017】
また、本発明の照明装置は、高速道路や一般道路等の道路灯、公園等屋外の照明をなす防犯灯などの屋外照明装置として好適に使用されるが、室内の廊下や通路等の長手方向(通路等が延びる方向)に所定の明るさを必要とする場所に設置される屋内用照明器具としても使用することができる。例えば防犯灯に使用する場合、装置本体の幅方向両側から光を斜め下方に出射して、道路の長手方向に沿って広範囲な配光を得るようにすることが好ましい。
【0019】
光学ユニットを取り付けた取付板を装置本体に取り付けるとは、取付板が装置本体に熱伝導可能に接触していればよく、その接触面積は大きい方が望ましい。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の光学ユニットによれば、発熱する発光部を有する光学ユニットにヒートシンクを一体に設けているので、発光部の発熱をユニット取付部を介し放熱できる。また、放熱性の高い複数の光学ユニットを光源として装置本体に配置しているので、照明装置全体としての放熱性を向上できる。このために、発光部の発熱に起因する昇温による光出力の低下と寿命特性の劣化を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施形態に係るLED光学ユニットを、その照射開口の正面側から見たときの斜視図。
図2】同,LED光学ユニットを背面から見たときの斜視図。
図3】本発明の一実施形態に係る照明装置を支柱上に配設した状態を俯仰したときの外観斜視図。
図4図1図2で示す照明装置を俯瞰したときの外観斜視図。
図5図1〜3で示す照明装置の正面図。
図6】同,平面図。
図7】同,左側面図。
図8】同,右側面図。
図9図1図8で示す照明装置の底面図。
図10図9のX−X線概略断面図。
図11図1図2で示すLED光学ユニットをユニット取付板に2個並設したときの平面図。
図12図1図2で示すLED光学ユニットを、その照射開口の正面から見たときの正面図。
図13図12で示すXIII−XIII線断面部の概略端面図。
図14】屈曲ポールに配設された照明装置の俯仰斜視図。
図15】本発明の第2の実施形態に係る照明装置の底面図。
図16】同,上蓋の内面平面図。
図17】同,側断面図。
図18図15図17で示すLED光学ユニットの平面図。
図19図15図17で示す反射体の斜視図。
図20図15図17で示す光学ユニットの反射作用を示す模式図。
図21図15図17で示す前方照射LED光学ユニットの側面図。
図22】同,後方照射LED光学ユニットの側面図。
図23図17のXXII−XXII線断面図。
図24図15図22で示す1台の照明装置を道路の十字状交差点の一隅角部外側に立設したときの配光特性を示す図。
図25】同,4台の照明装置を道路の十字状交差点に立設したときの合成配光特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0029】
図3は本発明の第1の実施形態に係る照明装置をポール(支柱)上に配設した状態を俯仰したときの外観斜視図、図4は同,照明装置自体を俯瞰したときの外観斜視図、図5は同,照明装置自体の正面図、図6は同,平面図である。
【0030】
これらの図で示すように本発明に係る照明装置1は、例えば高速道路や一般道路等の道路に、道路灯等として用いることができるので、以下、道路灯に適用した場合について説明する。図3に示すように照明装置1は、支柱である中空円柱または中空角柱等のポール2により例えば地上約10mの高さに配設される。ポール2は、例えば高速道路等の道路の幅方向端部外側において地面上に強固に立設され、道路の長手方向に所要のピッチを置いて複数立設される。図4図6に示すように、照明装置1は装置本体Aを有する。装置本体Aは、ケース本体3の図中上面の開口端3dに、カバーの一例である上蓋4をねじ止め等により固定することにより、このケース本体3の開口上端3dを密閉することにより構成される。
【0031】
図4に示すように、上蓋4は、例えばアルミニウムダイカスト等により、平面形状がほぼ長円形に形成され、照明対象の一例である道路(図示省略)の幅方向(図5図6では左右方向)に沿う長さWの方が道路の長手方向(図5図6では上下方向)に沿う長さlよりも長く形成されている。
【0032】
図4図8に示すように、上蓋4は、その図中上面を、そのほぼ中央部を頂部4aとする外方に膨出する湾曲面4bに形成している。この湾曲面4bには、外方に凸の前後一対の突条部4c,4dを上蓋4の長手方向に一体に連成している。
【0033】
これら突条部4c,4dは上蓋4の幅方向に所要の間隔を置いてほぼ平行に並設され、これら突条部4c,4dの間には、これら突条部4c,4dよりも低く、内側に凹弧状に凹む帯状の凹部4eを一体に連成している。
【0034】
この凹弧状凹部4eは、上蓋4の中央部4aから前端部(図5図6では左端部)4fと後端部(図5図6では右端部)4gに向けて漸次低くなる下り傾斜面4h,4iを上方に凸の湾曲面によりそれぞれ一体に連成している。すなわち、上蓋4は、その外面を、図4中矢印で示すように外気が長手方向と幅方向に流れる際の空気抵抗を低減する流線形に形成している。
【0035】
そして、図5に示すように上蓋4は、その後端部4gの後端を、ケース本体3の後端(図5では右端)上端部に回動可能に取り付け、図5中白矢印方向に開閉可能に構成し、開閉蓋に形成している。
【0036】
この開閉蓋4gの図4中下方にあるケース本体3の後端部(図5では右端部)の内部は、電気室3aに形成されている。この電気室3aは図5中破線で示す仕切壁3bにより後述する光源室3cと仕切られており、電源端子(図示省略)と、この電源端子に接続される電源線および点灯制御線の一端部を水密に収容している。
【0037】
図8に示すように電気室3aの図4中右端壁であるケース本体3の図5図6中右端壁には、図14で示す屈曲ポール2aの先端部を挿入させ、固定するポール挿入用横孔3dを有するポール結合部3daを形成している。
【0038】
図3に示すようにこの上蓋4の図中開口下端4jには、図中上下端に開口を形成した多角筒状のケース本体3がねじ止めにより着脱可能に結合される。ケース本体3は、上蓋4と結合される上端部3dの平面形状を、上蓋4の平面形状の長円形と同形同大のほぼ長円形に形成した多角形の偏平筒状に形成されており、側面3eを図中下端3fに向けて漸次縮小する傾斜面に形成している。ケース本体3の上端部3dには、光源室3cの図中上端のほぼ全面に挿通する大きな開口部(図示省略)が形成されている。
【0039】
図9はケース本体3の下端3fの底面図である。この図9に示すようにケース本体3は、その電気室3a側の後端部(図9では右端部)3gの下端部3fに、図3で示す例えば直棒状のポール2の先端部を挿入させ、固定させるポール挿入用縦孔3hを有するポール結合部3iを形成している。一方、ケース本体3は、その前端部(図9では左端部)3j側には、横長矩形の各角部を面取りしたような多角形の開口3kを形成している。この開口3kには透光体の一例である強化ガラスからなる透光プレート5を配設して照光部を形成し、光源室3cを水密かつ気密に密閉している。この光源室3c内には、複数の光学ユニットの一例であるLED光学ユニット6,6,…を複数列、例えば図9中、横4列に配列して収容している。
【0040】
これらLED光学ユニット6,6,…は、その4列の中心をケース本体3の前後方向(図9では左右方向)に通る中心軸Oを対称軸として左右(図9では上下)対称にそれぞれ所要数、例えば5台ずつを配設している。
【0041】
そして、これら各片側5台のLED光学ユニット6,6,…は、例えばその配列の内側in(中心軸O側)に、所要数、例えば2台を中心軸Oの軸方向に並設し、これらの外側outには、所要数、例えば3台を中心軸Oの軸方向に並設している。これら左右に配列されたLED光学ユニット6,6,…は、その照射開口6gを互いに左右方向反対側に向けてクロス配置することにより、これらLED光学ユニット6,6,…からの照射光がその下方で交差するようになっている。
【0042】
図10に示すように上蓋4とケース本体3との接合により装置本体Aが構成される。装置本体Aの内部空間は複数のLED光学ユニット6,6,…を収容する光源収容部7に形成され、この光源収容部7内では内側配列の各LED光学ユニット6inを、外側配列の各LED光学ユニット6outよりも上方、すなわち高い位置に配置し、図10中左右に配置された内,外側LED光学ユニット6in,6outは図中下方に向けて末広のハの字状に配列され、交差ハの字状に配列されている。また、内側の各LED光学ユニット6inは、近傍を照射するために、その照射光の光軸Laが透光プレート5の図10中上面に対して所要角度θa(例えば50°)になるように傾斜した状態で固定される。外側の各LED光学ユニット6outは、近傍よりも遠方を照射するために照射光の光軸Lbが透光プレート5の図10中上面に対して所要角度θb(例えば60°)になるように傾斜した状態で固定されている。
【0043】
図9図13に示すように各LED光学ユニット6は、発光部の一例であるLED(発光ダイオード)モジュール6a、その支持基板の一例であるセラミック基板6b、図12中、上下一対の平面ミラー6c,6d、図12中、左右一対の側面カーブミラー6e,6f、これら4枚のミラー6a〜6fを一体または一体的に結合してラッパ状角筒体に構成された反射筒6iを有する。反射筒6iはラッパ状に拡開する矩形状の照射開口6gと、その軸方向反対側でラッパ状に縮径する底部6jを有する。
【0044】
図12に示すようにLEDモジュール6aは、例えばCOB(Chip On Board)により青黄色系擬似白色発光ダイオードに構成されている。すなわち、LEDモジュール6aは、回路を形成したプリント基板上に、例えば青色発光のLED(発光ダイオード)ベア・チップの所要数(例えば196個)を所要列(例えば14行14列)のマトリクスにより配列して直接実装し、これらLEDベア・チップ上に、黄色発光の蛍光体を含有した樹脂を塗布し、シリコーン樹脂により封着し、基板上に例えばシリコーン樹脂などにより固着されている。
【0045】
すなわち、図13に示すようにセラミック基板6bは、その前面ほぼ中央部に、LEDモジュール6aを、その発光面6aaを前方に若干突出させた状態で接着剤のシリコーン樹脂により固着される。また、この状態でLEDモジュール6aの発光面6aaが白色のセラミック基板6bの前面よりも若干前方へ突出する。
【0046】
図12中、反射筒6iは、左右一対の側面カーブミラー6e,6fを、例えばアルミニウム等の平板を所要角で湾曲形成して、その内面を鏡面等の反射面に形成し、その湾曲反射面を、照明対象の道路の幅方向の両側に向けて漸次拡開するように形成しており、LEDモジュール6aから道路の幅方向に照射される配光を主に制御する。すなわち、各LED光学ユニット6,6,…は図9に示すように中心軸Oの軸方向に沿う道路幅方向の配光特性を主に制御する。なお、図9中、各側面カーブミラー6e,6fの複数の平行縦線で表示している部分は、これら側面カーブミラー6e,6fの各湾曲内面(すなわち、反射面)をそれぞれ示している。
【0047】
一方、反射筒6iは、アルミニウム製の上下一対の平面ミラー6c,6dを図11図12に示すように左右一対の側面カーブミラー6e,6fに一体に結合して、照明開口6gに向けて漸次拡開する有底ラッパ状角筒体により反射筒6iに形成している。図1図12に示すように、このラッパ状反対筒6iは、その縮径側底部6jの中央部に、上記セラミック基板6bと嵌合させる嵌合開口部6kを形成している。この嵌合開口部6k内には、セラミック基板6bが収容される。この収容時では図13に示すように、このセラミック基板6bの前面6bcが反射筒6iの底部6jの内面6jcとほぼ面一となる。上下一対の平面ミラー6c,6dはその内面を鏡面等の反射面に形成すると共に、図中上下方向に所要の間隔を置いてほぼ平行に並設しているので、照射開口6gから外部へ照射される照射光を拡大するようには制御しない。また、図9に示すように上下一対の平面ミラー6c,6dはLEDモジュール6aの近傍において、放熱孔h,hをそれぞれ形成している。
【0048】
そして、これら平面、側面ミラー6c〜6fは装置本体Aがポール2により地上約10m程度の高さに配置されたときに、地上約7m程度の高さに一次反射光が集光するように構成されている。
【0049】
セラミック基板6bは、その背面を、図11図12で示すアルミニウム製等の金属製矩形平板状のユニット支持板9の前面9aに形成された嵌合開口部6k内に配設された状態において、セラミック基板6bの前面を、ユニット支持板9にねじ止めされた押えの一例である上下一対の板ばね8a,8bにより弾性的に支持している。すなわち、上下一対の板ばね8a,8bとユニット支持板9とによりセラミック基板6bを厚さ方向で弾性的に挟持している。
【0050】
これら板ばね8a,8bは、その上端と下端が反射筒6iの底部6jの上下各端にそれぞれねじ止めにより固定されている。これら板ばね8a,8bの各先端部は、セラミック基板6bの前面上に突出し、その各突出先端部には、図中上下方向に延在し、先端で開口するスリット8aa,8baをそれぞれ形成し、これらスリット8aa,8ba内に、セラミック基板6bの前面の上端と下端とにそれぞれ突設した縦長矩形の係合用小突起6ba,6bbを挿入させることにより、若干の遊びを持たせて支持している。図12中、符号6hはLEDモジュール6aに電気的かつ着脱可能に接続される給電用のコネクタである。コネクタ6hはリード線l(図1ではリード線lの一部を図示省略)により上記電気室3a内の電源端子に電気的に接続されている。
【0051】
図1図2に示すようにLED光学ユニット6は、そのユニット支持板9の背面9bに、アルミニウム製等金属製の複数の放熱用フィン9c,9dをヒートシンクの一例として一体形成されている。これら放熱フィン9c,9dの外方突出長さは、各々同じでもよく、図9図13に示すように並設方向の内側の数枚を外側のものよりも短くしてもよい。
【0052】
10、図11に示すように、このように構成されたLED光学ユニット6は、その複数個が帯板状のユニット取付板10にボルトやねじSa等により着脱可能に取り付けられる。
【0053】
すなわち、ユニット取付板10は、その板厚方向に複数の放熱フィン9c,9c,…を挿通させる矩形の挿通孔10aを形成している。この挿通孔10a内に複数の放熱フィン9c,9c,…を挿通させた状態でLED光学ユニット6の支持板9をユニット取付板10にねじSにより着脱可能に固定している。ユニット取付板10は、内側LED光学ユニット6inについては、例えば2台を横並びで並設し、外側LED光学ユニット6outについては、例えば3台を横並びで並設している。これらユニット取付板11は上記上蓋4の内面の所要の箇所に固定される。すなわち、全台のLED光学ユニット6,6,…は上蓋4の内面に着脱可能に固定される。この固定の際に、LED光学ユニット6,6,…のユニット支持板9の少なくとも一部を上蓋4の内面に直接または放熱性の高い金属板やヒートパイプ等の放熱体を介して接触させ、放熱性の向上を図っている。
【0054】
そして、このように構成されたLED光学ユニット6,6,…の一部に、例えば不点灯等の故障が発生した場合に、残りの点灯中のLED光学ユニット6,6,…の中心軸Oを対称軸とする左右対称性を確保するために、これらLED光学ユニット6,6,…に電気的に接続される電源系統を複数系統、例えば2系統設けている。
【0055】
これによれば、万一、一系統の電源系統が何らかの原因により遮断した場合でも、残りの電源系統によりLED光学ユニット6,6,…を点灯させ、または点灯中の場合は、その点灯を維持することができる。
【0056】
また、これら複数の電源系統を、中心軸Oを対称軸とするLED光学ユニット6,6,…の点灯の左右対称性を維持するようにLED光学ユニット6,6,…に接続してもよい。
【0057】
例えば電源系統を2系統設け、その1系統を、4台の内側LED光学ユニット6in,6in,…にそれぞれ接続し、他の系統を、6台の外側LED光学ユニット6out,6out,…にそれぞれ接続してもよい。これによれば、万一、一系統が遮断した場合でも、内側または外側のLED光学ユニット6in,6out,…の一方を点灯させることができるうえに、その点灯時の左右対称性を維持することができる。
【0058】
そして、これら複数系統の電源線はケース本体3の電気室3a内の電源端子台の2次側に接続され、この電源端子台の1次側には、図示しない1次側の電源線を電気的に接続している。この1次側の電源線は中空のポール2内を通って図示しない電源装置に電気的に接続される。電源装置はLED光学ユニット6,6,…の点灯回路、その点灯を制御する制御装置(図示省略)を具備している。電源装置は図示しない箱状のケース内に収容され、地上で作業員が作業し易い地上高さでポール2の外面に配設されている。
【0059】
次に、この照明装置1の作用を説明する。
【0060】
LED光学ユニット6,6,…のLEDモジュール6aが複数系統の電源線により通電されると、このLEDモジュール6aが例えば白色光に発光する。この白色光は、上下一対の平面ミラー6c,6dと左右一対の側面ミラー6e,6fで反射して照射開口6gから透光プレート5側へ照射され、この透光プレート5を透過して照明対象の道路へ照射される。図10に示すように左右に配置されたLED光学ユニット6,6,…からの光はその下方で交差する。
【0061】
ところで、上下一対の平面ミラー6c,6dで反射された光は、これら上下一対の平面ミラー6c,6dが互いにほぼ平行に配設されているので、ほぼ拡がらずに主に道路の長手方向へ照射される。一方、左右一対の側面カーブミラー6e,6fにより反射された白色光は、これら側面カーブミラー6e,6fが道路の幅方向に向けて拡開しているので、主に道路の幅方向へ照射される。したがって、これら左右一対の側面カーブミラー6e,6fの拡開角度により、道路の幅方向へ照射される照射角を制御することができる。
【0062】
すなわち、この照明装置1は、各LED光学ユニット6毎に道路の幅方向への照射角を制御することができるので、漏れ光となる道路幅方向への配光を各LED光学ユニット6毎に適宜制御することにより、漏れ光を低減できる。これにより、被照明エリアの照明率を向上させ、低電力で目標照度を得ることができる。
【0063】
また、LED光学ユニット6の側面カーブミラー6e,6fの形状や拡開角度を適宜調整することにより、これら側面カーブミラー6e,6fで反射された一次反射光を道路の幅員以内に集光させることができる。また、照明装置1の地上高さを、ポール2の高さにより、例えば地上10mの高さに設置した場合には、地上高7mの範囲内に一次反射光を集光させることもできる。
【0064】
さらに、複数のLED光学ユニット6,6,…の道路幅方向の照射ポイントをみな同一にし、道路長手方向に均等な輝度分布となるように照射方向を振り分けることができる。
【0065】
そして、図10に示すように近傍照射用の内側LED光学ユニット6in,6in,…と、近傍よりも遠い遠方照射用のLED光学ユニット6out,6out,…の両者を具備しているので、照明装置1の近傍と遠方の両者を照明することができる。しかも、図9に示すように、対称軸(中心軸O)の左右(図9では上下)に、近傍照射用と遠方照射用のLED光学ユニット6,6,…で1組をなすLED光学ユニット6,6,…をそれぞれ配設して2組を構成すると共に、これら2組を左右対称に配置すると共に、図10に示すように照射部の透光プレート5に対してハの字状に傾斜させて対向させたので、この透光プレート5から外部へ照射される光の配光をハの字状に広げ、照明領域を拡大できると共に、透光プレート5の下方近傍において、左右からの照射光を交差(クロス)させるので、近傍照射の明るさを向上できる。
【0066】
また、遠方照射用のLED光学ユニット6out,6out,…の上方、すなわち上段に、近傍照射用のLED光学ユニット6in,6in,…を配置したので、近傍照射用のLED光学ユニット6in,6in,…は、遠方照射用のLED光学ユニット6out,6out,…の放熱により加熱され、外側LED光学ユニット6out,6out,…よりも高温になり、光出力が低下し易いが、近傍照射であるので、その影響は少ない。しかも、左右配置のLED光学ユニット6,6,…の照射光が交差するので、近傍の明るさがもともと高いので、近傍照射用LED光学ユニット6in,6inのLEDモジュール6aの光出力が昇温により低下しても、近傍照射光の低減の影響はさらに低い。
【0067】
これに対し、高い光出力が要求される遠方照射用のLED光学ユニット6out,6out,…は、近傍照射用LED光学ユニット6in,6in,…よりも下方の位置にあるので、近傍照射用LED光学ユニット6in,6in,…の放熱により加熱される程度が低い。このために、昇温により光出力の低下を低く抑制することができる。
【0068】
さらに、図9に示すようにLED光学ユニット6,6,…は、その図9中上下一対の平面ミラー6c,6dが、道路の長手方向で隣り合うように並設されているので、その道路の長手方向に照射される配光の長手方向の長さを拡大できる。
【0069】
また、近傍照射用LED光学ユニット6in,6in,…と遠方照射用のLED光学ユニット6out,6out,…を上下2段に配置したので、これらを収容する上蓋4とケース本体3の平面形状の小型化を図ることができる。さらに、光源として小型、軽量、高出力のLEDを用いたので、その分、小型、軽量、高出力を図ることができる。
【0070】
さらに、上蓋4は、その上面上に、雨や雪、ほこり、粉塵、枯葉等が降下した場合には、これらは図4中矢印で示すように上蓋4の前後方向の下り湾曲面や幅方向の下り湾曲面により摺べり落ちるので、これらの堆積を低減できる。このために、メンテナンスを軽減できる。
【0071】
さらにまた、上蓋4は一対の山なりの突条4c,4dや湾曲凹部4eを形成することにより、表面積の増大を図っているので、放熱性を向上できる。また、上蓋4内の光源室3c内の自然対流を促進して放熱性を向上できる。
【0072】
なお、上記実施形態ではLED光学ユニット6,6,…を10台設けた場合について説明したが、本発明は、その台数に限定されるものではなく、10台以上でもよく、10台以下でもよい。さらに、対称軸Oの左右に配列される台数の配分も5台対5台に限定されるものではないが、左右対称の台数に配設されることが望ましい。
【0073】
さらに、各LED光学ユニット6はLEDモジュール6a、平面ミラー6c,6dおよび側面カーブミラー6e,6f、セラミック基板6b、ユニット支持板9、ヒートシンク9c,9cを一体的に組み付けることによりユニット化し、上蓋4に着脱自在に設けたので、各LED光学ユニット6毎に交換することができる。このために、LED光学ユニット6の一部に不具合が発生した場合でも、照明装置1全体を交換する場合に比してコスト低減を図ることができる。また、平面ミラー6c,6dや側面カーブミラー6e,6fの形状を変えることにより種々の配光要求に容易に対応することができる。さらに、LED光学ユニット6,6,…は1台毎にヒートシンク9c,9cを具備しているので、LEDモジュール6aの発熱の放熱性を向上できる。さらに、これらヒートシンク9c,9cは上蓋4の内面に伝熱可能に接触しているので、上蓋4から外部へ放熱できるので、さらなる放熱性の向上を図ることができる。
【0074】
さらにまた、LEDモジュール6aを伝熱性の高いセラミック基板6bの収容凹部内に収容しているので、LEDモジュール6aの発熱に対する放熱性を向上できる。また、一般に脆弱なセラミック基板6bを、ねじ止めせずに、一対の板ばね8a,8bにより弾性的に支持するので、セラミック基板6bの破損を低減できる。さらに、LEDモジュール6aの発光面6aaがセラミック基板6b前面(表面)とほぼ面一または若干前方にあるので、LEDモジュール6aの発光を、白色のセラミック基板6bの前面と、側面カーブミラー6e,6fにより反射することができ、その分、反射効率を向上できる。
【0075】
そして、図4に示すように上蓋4の外面形状を、その外面を幅方向と長手方向に流れる気流に対し空気抵抗を低減できる流線形に形成したので、例えば地上高さ10m等、高所に配置される照明装置1の風圧を低減できる。その結果、照明装置1を支持するポール2,2a自体の強度やその埋設基礎の支持強度の向上を共に図ることができる。なお、ポール挿入用横孔3dとポール挿入用縦孔3dの一方は、不使用時には図示しない閉塞板により密閉される。
【0076】
図15は本発明の第2の実施形態に係る照明装置1Aの底面図である。この照明装置1Aは、十字状交差点等の道路に好適に使用される道路灯であり、上記第1の実施形態に係る照明装置1における各LED光学ユニット6を、第2のLED光学ユニット6Aに置換した点に主な特徴を有する。
【0077】
第2のLED光学ユニット6Aは、上記LED光学ユニット6に対しては、その平面ミラー6c,6dと側面カーブミラー6e,6fを、図19で示す4面の反射ミラー6Ac6Ad,6Ae,6Afに置換する一方、図20で示す前方照射LED光学ユニット6Fと、図21で示す後方照射LED光学ユニット6Bを具備している点に主な特徴を有し、これ以外は上記LED光学ユニット6とほぼ同様であるので、図15図22中、同一または相当部分には同一符号を付して、その説明を一部省略している。
【0078】
すなわち、図15に示すように、複数の第2のLED光学ユニット6A,6A,…は、ケース本体3内に、複数列、例えば図15中、横4列に配列して収容されている。
【0079】
そして、これら第2のLED光学ユニット6A,6A,…は、その4列の中心をケース本体3の前後方向(図15では左右方向)に通る中心軸Oを対称軸として左右(図15では上下)対称にそれぞれ所要数、例えば5台を配設している。
【0080】
また、これら各片側の第2のLED光学ユニット6A,6A,…は、例えばその配列の内側in(中心軸O側)に、所要数、例えば2台を中心軸Oの軸方向に並設し、これらの外側outには、所要数、例えば3台を中心軸Oの軸方向に並設している。これら左右に配列されたLED光学ユニット6A,6A,…は、その照射開口6gを互いに左右方向反対側に向けてクロス配置することにより、これら第2のLED光学ユニット6A,6A,…からの照射光がその下方で交差するようになっている。
【0081】
さらに、図23に示すように上蓋4とケース本体3との接合により、その内部空間は複数の第2のLED光学ユニット6A,6A,…を収容する光源収容部7に形成され、この光源収容部7内では内側配列の各LED光学ユニット6inを、外側配列の各LED光学ユニット6outよりも、上方、すなわち高い位置(上段)に配置し、図23中左右に配置された内,外側LED光学ユニット6in,6outは図中下方に向けて末広のハの字状の交差ハの字状に配列され、左右の内,外側配列の各LED光学ユニット6in,6outの照射光が、これらの図中下方で交差する。また、内側の各LED光学ユニット6inは、近傍を照射するために、その照射光の光軸Laが透光プレート5の図23中上面に対して所要角度θa(例えば50°)になるように傾斜した状態で固定される。外側の各LED光学ユニット6outは、近傍よりも遠方を照射するために照射光の光軸Lbが透光プレート5の図23中上面に対して所要角度θb(例えば60°)になるように傾斜した状態で固定されている。
【0082】
図18に示すように各LED光学ユニット6Aは、発光部の一例であるLED(発光ダイオード)モジュール6a、その支持基板の一例であるセラミック基板6b、このセラミック基板6bの外周四辺を、反射体の一例である4面の反射ミラー6Ac,6Ad,6Ae,6Afにより長方形状に囲んでいる。これら反射ミラー6Ac,6Ad,6Ae,6Afはアルミニウム板金等により形成され、各内面は鏡面加工により反射面に形成されている。
【0083】
図19に示すように各反射ミラー6Ac〜6Afは大きさや形状や高さがそれぞれ相違し、互いに対向する反射ミラー、例えば6Acと6Ae、6Adと6Afの一方、6Ae,6Afは他方6Ac,6Adよりも低く(6Ae>6Ac,6Af>6Ad)形成され、高さの高い一方の反射ミラー6Ac,6Adで反射した光が対向する反射ミラー6Ac,6Afで再び反射せずに、その上方を照射(通光)させることにより、より遠方へ光を照射するようになっている。
【0084】
このために、図15図16に示すように各第2のLED光学ユニット6Aは、中心軸O(対称軸)にほぼ平行で、かつ各LED光学ユニット6Aの中で中心軸O側に位置する反射面としては、反射ミラー6Ac〜6Adの中で高さの最も高い反射ミラー6Acを配置している。このために、図15図16中、左右方向の外側方へ、より遠くに光を照射することができる。
【0085】
図18に示すLEDモジュール6aは、例えばCOB(Chip On Board)により青黄色系擬似白色発光ダイオードに構成されている。すなわち、LEDモジュール6aは、回路を形成したプリント基板上に、例えば青色発光のLED(発光ダイオード)ベア・チップの所要数(例えば196個)を所要列(例えば14行14列)のマトリクスにより配列して直接実装し、これらLEDベア・チップ上に、黄色発光の蛍光体を含有した樹脂を塗布し、シリコーン樹脂により封着し、基板上に例えばシリコーン樹脂などにより固着されている。
【0086】
セラミック基板6bは、その前面に、LEDモジュール6aを、その発光面6aaをセラミック基板6bの前面6bcよりも前方に若干突出させて外部に露出させた状態で接着剤のシリコーン樹脂により固着される。また、この固着状態でLEDモジュール6aの発光面6aaが白色のセラミック基板6bの前面6bcよりも若干前方へ突出する位置になるように構成されている。
【0087】
そして、図18に示すように第2のLED光学ユニット6Aは、LEDモジュール6aを、高さの最も高い反射ミラー6Acに対向する低い反射ミラー6Ae寄りに偏心させて配設している。これは低い反射ミラー6Aeよりも反射光を遠方へ照射できる最も高い反射ミラー6Acから光源であるLEDモジュール6aを遠ざけることにより、この反射ミラー6Acでの入射角を、発光部のLEDモジュール6aに近い反射ミラー6Aeよりも小さくできるので、この反射ミラー6Acによる反射光の照射距離の延伸を図ることができる。
【0088】
図20はこのLED光学ユニット6Aの高さの高い反射ミラー6Acと、これと対向しこれよりも高さが低い反射ミラー6Aeの反射作用を示す模式図である。図20に示すように発光部のLEDモジュール6aの光が高さの低い反射ミラー6Aeで反射すると、この反射光がこの反射ミラー6Aeに対向する高さの高い反射ミラー6Acで再び反射し、上蓋4の幅方向(図20では左右方向)の比較的内側(in)の近傍に照射される。この近傍照射では、LEDモジュール6aの発光が高さの低い反射ミラー6Aeと高い反射ミラー6Acで2回反射されるので、反射ロスによりやや光束が低下するが、近傍に照射されるので、近傍照射としては十分な光度である。
【0089】
一方、LEDモジュール6aからの光が高さの高い反射ミラー6Acで反射した場合には、この高さの高い反射ミラー6Acが一方の反射ミラー6AeよりもLEDモジュール6aから遠い位置にあるので、その分、この高い反射ミラー6Acに入射される光の入斜角が小さくなる。このために、この反射ミラー6Acでは小さい反射角で反射され、上蓋4の幅方向外側の遠方に照射される。この場合は、反射ミラー6Acでの反射が1回であるので、その分、近傍照射よりも反射による光束は強く、その分、遠くまで照射することができる。
【0090】
そして、これら複数のLED光学ユニット6Aは、上蓋4内の幅方向中心を長手方向(図20の図面の表裏方向)に延在する幅方向中心軸に対して図中、左右対称に配置されているので、この上蓋4の図20中、直下の水平面上の照度の均斉度の向上を図ることができる。
【0091】
また、上蓋4の幅方向中心軸に対して一方の側にそれぞれ配設された複数のLED光学ユニット6A,6Aは、図中上下2段に配置され、上蓋4の幅方向で隣り合うLED光学ユニット6A,6A同士は段差を有するので、これらLED光学ユニット6A,6Aから照射される照射光が一方のLED光学ユニット6Aにより遮光され、影が発生することを防止または低減できる。
【0092】
なお、本模式図は、反射ミラー6Acおよび6Aeの反射作用を示しているが、LED光学ユニット6Aの反射ミラー6Adおよび6Adも同様に、高さの異なる反射ミラーにより、後方(遠方)照射および、後方(近傍)照射することができる。
【0093】
セラミック基板6bは、その背面を図18で示すアルミニウム製等の金属製矩形平板状のユニット支持板9の前面9aに形成された嵌合開口部6k内に配設された状態において、セラミック基板6bの前面を、ユニット支持板9にねじ止めされた押えの一例である上下一対の板ばね8a,8bにより弾性的に支持している。すなわち、上下一対の板ばね8a,8bとユニット支持板9とによりセラミック基板6bを厚さ方向で弾性的に挟持している。
【0094】
これら板ばね8a,8bは、その上端と下端がユニット支持板9の上下各端にそれぞれねじ止めにより固定されている。このように構成されたLED光学ユニット6は、その複数個が帯板状のユニット取付板10にボルトやねじSa等により着脱可能に取り付けられる。ユニット取付板10は、第2の内側LED光学ユニット6Ain(上段)については、例えば2台を横並びで並設し、外側LED光学ユニット6Aout(下段)については、例えば3台を横並びで並設している。これらユニット取付板10は、上記上蓋4の内面に一体に突設された取付ボスにねじ止めにより固着され、所要の箇所に固定される。すなわち、全台の第2のLED光学ユニット6A,6A,…は上蓋4の内面に着脱可能に固定される。この固定の際に、第2のLED光学ユニット6A,6A,…のユニット支持板9の少なくとも一部を上蓋4の内面に直接または放熱性の高い金属板やヒートパイプ等の放熱体を介して接触させ、放熱性の向上を図っている。
【0095】
そして、このように構成された第2のLED光学ユニット6A,6A,…の電源系統を複数系統、例えば2系統設けている。すなわち、複数の電源系統を、中心軸Oを対称軸とする第2のLED光学ユニット6A,6A,…の点灯の左側と右側とに別々に設けてもよい。これによれば、一系統に故障があった場合でも、他系統に故障がなければ、左右の一方の第2のLED光学ユニット6A,6A,…を点灯させることができ、全台不点を防止できる。
【0096】
そして、第2のLED光学ユニット6Aは、図21で示す前方照射LED光学ユニット6Fと、図22で示す後方照射LED光学ユニット6Bとを具備している。図21に示すように前方照射LED光学ユニット6Fは、LEDモジュール6aの発光面6aaとセラミック基板6bの前面6bcを、前方F側、すなわち、支柱のポール2の反対側に向けるように傾斜させる楔状の前方用スペーサ11を具備している。スペーサ11は、アルミダイカスト等、放熱性の優れたものが好ましい。
【0097】
図15図16に示すように、前方照射LED光学ユニット6Fはケース本体3の後部において、上下(内,外側)2段に配設され、左右4対、すなわち、合計8台が配設されている。
【0098】
一方、図22に示すように後方照射LED光学ユニット6Bは、LEDモジュール6aの発光面6aaとセラミック基板6bの前面6bcを後方Bへ向けるように傾斜させるアルミダイカスト製等の楔状の後方用スペーサ12を具備している。この後方照射LED光学ユニット6Bは、図15図16で示すようにケース本体3内の前部に左右一対配設されている。
【0099】
図24はこのように構成された第2の実施形態に係る照明装置1Aの1台を、例えば十字状の道路交差点の隅角部の外側に立設したときの配光特性を示す。照明装置1Aは、その頭部を道路交差点の中心OAに向けて立設されている。
【0100】
この照明装置1Aの配光特性は、ケース本体3の前部に配置された左右2つの後方照射LED光学ユニット6B,6Bにより、後方Bの左右両方向へそれぞれ照射されたときの左右の後方配光13a,13bと、ケース本体3の後部配置された左右4対、合計8台の前方照射LED光学ユニット6F,6F,…により前方Fへ照射されたときの前方配光14とを有する。
【0101】
したがって、照明装置1Aの配光は、ほぼ三角形状の前方配光14と後方配光13a,13bとが合成されたほぼ長円状の合成配光15となる。この合成配光15は、照明装置1を立設した交差点道路の一隅角部を中心にほぼ長円状に照明することができ、交差点中心OAと照明装置1Aを設置した2つの横断舗道16a,16bを含む領域も照明することができる。
【0102】
図25はこの交差点隅角部に4台の照明装置1A,1A,…を立設したときの合成配光17を示す。この合成配光17によれば、交差点中心OAから4台の照明装置1A,1A,…の若干後方を含む半径内を照明することができ、交差点の4つの横断舗道16a〜16dの全部を照明できる。
【0103】
以上、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1,1A…照明装置、2,2a…ポール(支柱)、3…ケース本体(装置本体の一部)、3a…電気室、3d…ポール挿入用横孔、3h…ポール挿入用縦孔、4…上蓋(装置本体の一部)、4a…頂部、4c,4d…一対の突条、4h…湾曲凹部、5…透光プレート、6,6A…LED光学ユニット、6a…LEDモジュール、6aa…LEDモジュールの発光面、6c,6d…平面ミラー、6e,6f…側面カーブミラー、6Ac〜6Ae…反射ミラー、6B…後方照射LED光学ユニット、6F…前方照射LED光学ユニット、6in…内側LED光学ユニット、6out…外側LED光学ユニット、7…光源収容部、8a,8b…一対の板ばね(押え)、9…ユニット支持板、9c,9c…放熱フィン(ヒートシンク)、10…ユニット取付板、A…装置本体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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