(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水分蒸発手段は、前記吸気通路の前記水分保持手段上流側に排ガスを導入して、該水分保持手段が保持した水分を蒸発させる排ガス導入手段からなることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
前記保護部材は、前記吸気通路を形成する通路壁面に設けられた開口部に連続して、該通路壁面の外方へ突出して形成された副室によって構成され、該副室を形成する副室壁面に前記水分保持手段を配設すると共に、前記副室内中心部にガスセンサを配設したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
前記吸気通路は主吸気通路と、該主吸気通路から分流した吸気が流れる副吸気通路とを備え、前記副吸気通路に前記ガスセンサを配設すると共に、前記水分保持手段を該ガスセンサの前記副吸気通路上流側に該副吸気通路の流路断面を塞ぐように配設したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
前記水分蒸発手段は、該水分保持手段の温度を検出する第1温度検出手段と、吸気温度を検出する第2温度検出手段と、前記副室の上流側の前記吸気通路にエンジンの排ガスを導入するEGR装置と、前記第1温度検出手段と第2温度検出手段とが夫々検出した温度差が閾値以上の場合には前記EGR装置を作動させる制御装置と、を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、吸水性を有する多孔質保護層がセンサ素子を覆っている。吸水した水分はヒータ過熱部の熱で蒸発させており、排ガスの熱で乾燥させるものではない。 また、セラミック製の多孔質保護層は排ガス中に含まれるP、Ca、Zn、Siのオイル含有成分、K、Na,Pb等のガソリン添加物を吸着するので、多孔質保護層が汚れると共に、これらの物質が付着することによる吸水性能の劣化が生ずる不具合を有している。
【0008】
また、特許文献2では、A/Fセンサ取付部の底面にサージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分をせき止めるための環状凸部が設けられているが、A/Fセンサの下部は環状凸部よりサージタンクの内部空間側に突出しており、サージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分が環状凸部より落下し、吸気ガスに乗ってA/Fセンサの下部に付着する可能性があり、更に、該A/Fセンサの下部は常に吸気の主流に直接晒される状態となっているため、これらオイルや水分のA/Fセンサへの付着防止においては十分とは言えないものである。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、水滴がガスセンサに衝突するのを防止する保護部材と、該保護部材の少なくとも吸気通路上流側に配設され吸気中に混入した水滴を捕捉する水分保持手段と、該水分保持手段が保持した水分を蒸発させる水分蒸発手段とを備え、ガスセンサの被水割れ防止を図り、耐久信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、内燃機関の吸気通路に取付けられたガスセンサに、該吸気通路を流れる吸気に混入した水滴が付着するのを防止するガスセンサ被水防止構造において、
前記ガスセンサと、該ガスセンサを取付ける取付部を有すると共に、水滴が前記ガスセンサに衝突するのを防止する保護部材と、該保護部材の近傍に配設され吸気中に混入した水滴を捕捉する水分保持手段と、前記水分保持手段が保持した水分が所定量に達すると当該水分を加熱して蒸発させる水分蒸発手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
このような構成にすることにより、吸気通路に取付けられたガスセンサの被水防止の保護部材に水分保持手段を設け、該水分保持手段が保持した水分は排ガスの熱で蒸発させるので、水分保持手段の保水限界を超えて、水滴となって滴下して、再びセンサに衝突することを防止できる効果を有する。
【0012】
また、本発明において好ましくは、前記水分蒸発手段は、前記吸気通路の前記水分保持手段上流側に排ガスを導入して、該水分保持手段が保持した水分を蒸発させる排ガス導入手段から構成するとよい。
【0013】
このような構成にすることにより、特別な熱源を必要とせず、コスト上昇を抑制できる効果を有している。
【0014】
また、本発明において好ましくは、前記水分保持手段は、不燃性の繊維をシート状にするとよい。
【0015】
このような構成にすることにより、水分保持手段は、不燃性の繊維をシート状にした物なので、吸水性がよく且つ、耐熱性を有するので変質(溶解して繊維間が溶着)等が防止でき、耐久性のある水分保持手段とすることができる。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記保護部材は、前記吸気通路を形成する通路壁面に設けられた開口部に連続して、該通路壁面の外方へ突出して形成された副室によって構成され、該副室を形成する副室壁面に前記水分保持手段を配設すると共に、前記副室内中心部にガスセンサを配設するとよい。
【0017】
このような構成にすることにより、吸気通路を形成する通路壁面に設けられた開口部に連続した副室内に空燃比センサを配置したので、吸気通路を流れる吸気に混入した水滴は主流に乗って流れるので、副室内に水滴が入り難くなると共に、副室内に入った水滴は水分保持手段により捉えられるので、ガスセンサが被水する確率を下げることができる。
【0018】
また、本発明において好ましくは、前記吸気通路は主吸気通路と、該主吸気通路から分流した吸気が流れる副吸気通路とを備え、前記副吸気通路に前記ガスセンサを配設すると共に、前記水分保持手段を該ガスセンサの前記副吸気通路上流側に該副吸気通路の流路断面を塞ぐように配設するとよい。
【0019】
副吸気通路にガスセンサを配設すると共に、水分保持手段を該ガスセンサの前記副吸気通路上流側に該副吸気通路の流路断面を塞ぐように配設することにより、吸気に含まれた水滴を確実に補足でき、ガスセンサの被水が防止され、該ガスセンサの信頼耐久性が向上する。
【0020】
また、本発明において好ましくは、前記水分蒸発手段は、該水分保持手段の温度を検出する第1温度検出手段と、吸気温度を検出する第2温度検出手段と、前記副室の上流側の前記吸気通路にエンジンの排ガスを導入するEGR装置と、前記第1温度検出手段と第2温度検出手段とが夫々検出した温度差が閾値以上の場合には前記EGR装置を作動させる制御装置とを備えるとよい。
【0021】
このような構成にすることにより、水分保持手段が水滴を保持すると温度が低下するのを利用して、吸気温度との差が閾値以上になったら、EGR装置を作動させて、排ガスの熱で水分保持手段の水分を蒸発させるようにして、水分保持手段の水分保持機能を回復させてガスセンサが被水するのを効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、水滴がガスセンサに衝突するのを防止する保護部材と、該保護部材の少なくとも吸気通路上流側に配設され吸気中に混入した水滴を捕捉する水分保持手段と、該水分保持手段が保持した水分を蒸発させる水分蒸発手段とを備えたので、ガスセンサの被水割れ防止して、耐久信頼性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0025】
車両に搭載されたディーゼルエンジンに本発明を適用した全体構成を
図1に基づいて説明する。
図1に示す本実施形態のディーゼルエンジン10において、シリンダブロック12の上部にシリンダヘッド14が設けられている。シリンダヘッド14には、シリンダブロック12内を往復運動するピストン13とシリンダヘッド14とで形成される燃焼室15の中央(各シリンダ中央)に燃料噴射装置16が設けられ、燃料噴射装置16の両側に、吸気導入部及び排ガス排出部が設けられている。該吸気導入部は、吸気マニホールド17を介して第2吸気管18に接続され、該排ガス排出部は、排気マニホールド19を介して第1排気管20に接続されている。
【0026】
第2吸気管18及び第1排気管20の途中に、第2吸気管18に設けられたコンプレッサ及び第1排気管20に設けられた排気タービンからなる過給機22が設けられている。過給機22より下流側の第2排気管21には、ディーゼル・パーティキュレート・フィルタを備えた排ガス浄化装置24が設けられている。過給機22の上流側の第1排気管20と過給機22の下流側の第2吸気管18とを接続する高圧EGR管26と、高圧EGR管26に介設され、EGRガスを浄化する触媒装置28と、高圧EGR管26の出口部に設けられ、高圧EGR管26を流れるEGRガスの流量を調節可能な高圧EGRバルブ30とからなる高圧EGR装置32が設けられている。
【0027】
過給機22の吸気系上流側には、過給機22の下流側の第2排気管21と過給機22の上流側の第1吸気管23とを接続する低圧EGR管34と、低圧EGR管34に介設された低圧EGRクーラ36と、低圧EGR管34の出口部に設けられ、低圧EGR管34を流れるEGRガスの流量を調節可能な低圧EGRバルブ37とからなる低圧EGR装置38が設けられている。
【0028】
過給機22の下流側の第2吸気管18に、吸気を冷却するインタークーラ40が設けられている。上流側の第1吸気管23の入口23aには、フィルタ装置42と、フィルタ装置42の下流側に、吸気流量を検出するエアフローセンサ44、吸気温度センサ46及び吸気湿度センサ48が設けられている。また、これらセンサの下流側の第1吸気管23及びインタークーラ下流側の第2吸気管18に、シリンダ内に吸引される吸気量を調節する吸気スロットル弁50及び52が設けられている。各吸気マニホールド17には、吸気温度センサ54、吸気圧力を検出するブーストセンサ56及びA/Fセンサ58が設けられている。
【0029】
ディーゼルエンジン10の運転開始で、排ガスeによって過給機22の排気タービンが駆動され、過給機22のコンプレッサによって大気が上流側の第1吸気管23に吸引される。また、前記各センサ類から検出信号がECU60に入力される。ECU60は、これらの検出信号に応じて、吸気スロットル弁50,52、EGRバルブ30、36、燃料噴射装置16、及びインタークーラ40に設けられたシャッタ装置(図示省略)及び電動ファン(図示省略)等を制御する。
【0030】
かかる構成において、中低負荷時には、高圧EGR装置32で多量の排ガスを第2吸気管18に再循環させ、排ガス中NOx量を低減する。高負荷時には、低圧EGR装置38から少量の排ガスを比較的高精度で第2吸気管18に再循環させ、排ガス中のNOx量を低減する。また、第2吸気管18に設けられた吸気温度センサ46、54及びA/Fセンサ58により、シリンダに導入される新吸気とEGRガスとの混合ガスの温度及びO
2濃度を検出し、これら検出信号をECU60に入力する。ECU60は、これらの検出信号に応じて、過給圧、低圧EGR装置38及び高圧EGR装置32から導入されるEGRガス量、燃料噴射装置16の燃料噴射量、噴射時期を制御する。これによって、排ガス中のNOx量を最小限に抑えることができる。なお、過給圧は、可変ベーンを備えた過給機の可変ベーンの角度調節、又はウェイストゲートを備えた過給機のウェイストゲートの開度調節等によって調節される。
【0031】
吸気の水蒸気含有可能量は、吸気aの圧力と温度に影響され、例えば、吸気aの圧力が低減すると増加し、吸気aの圧力が増加すると、減少する。また、吸気aの温度が低いと、減少し、吸気aの温度が高いと、増加する。また、水蒸気含有可能量に対する影響は、圧力より温度のほうが大きい。
【0032】
従って、燃料が燃焼したとき、水が生成されるため、EGRガスの含有水蒸気量は新気より多い。また、EGRガスの温度は高いため、水蒸気含有可能量は新気より多くなる。従って、EGRガスが混合した後の吸気aの水蒸気量は、新気及びEGRガスに含まれる水蒸気量が合計される。過給機22によって過給された後、吸気aの圧力は上昇するが、温度も上昇するため、水蒸気含有可能量は若干多くなる。その後、吸気aがインタークーラ40で冷却されると、水蒸気含有可能量が減少し、吸気aの含有水蒸気量と水蒸気含有可能量との差が凝縮水生成量となる。
このようにして、吸気中に生成された凝縮水は、吸気aと伴に吸気通路62aを形成するサージタンク62を通過して吸気マニホールド17から燃焼室へ吸入される。これらの凝縮水がA/Fセンサ58等に付着する。
【0033】
(第1実施形態)
図1及び
図2に基づいて、本発明の第1実施形態について説明する。吸気aはサージタンク62の吸気通路62aをZ矢視の方向から吸気マニホールド17に入り、該吸気マニホールド17の分岐管17aからエンジン10の各燃焼室15に吸入される。
図2に示す通り、吸気aはサージタンク62の吸気通路62aをZ矢視の方向から吸気マニホールド17に入り、該吸気マニホールド17の分岐管17aからエンジン10の各燃焼室15に吸入される。
図3(A)は
図2のY部の部分拡大図を示し、
図3(B)は
図3(A)のX矢視図を示す。
吸気通路62aを形成する通路壁面62bには、開口部63aを有し、該開口部63aに連続して通路壁面62bから外方へ突出した空間部63sを有したA/Fセンサ(ガスセンサ)58の保護部材となる副室63が形成されている。
該副室63の中心部にはA/Fセンサ58が水平方向に配置されている。
【0034】
図3(A)に示すように、吸気aは吸気通路62aを矢印Z方向(下方から上方)に流れてくる。
吸気通路62aを形成する通路壁面62bに開口部63aが配設され、該開口部63aに連続して吸気通路62aの外方に突出した円筒状(環状)の副室壁面63bによって空間部63sが形成され、該円筒状の空間部63sの中心軸線CLが略水平方向になる副室63が形成される。
【0035】
開口部63aの吸気通路62aの上流側には、空間部63sに吸気aが導入され易くする導入傾斜面63cが形成されている。
そして、円筒状の中心軸線CL近傍に、該中心軸線CLに沿ってA/Fセンサ58は配設されている。
導入傾斜面63cの傾斜角度θ1は、導入傾斜面63cの延長線L1と、該延長線L1と副室壁面63bの交差する部分P1の接線とが成す角度θ2が鈍角になるように調整される。
即ち、傾斜角度θ1及び、副室壁面63bの曲率(接線方向)と空間部63s(開口部63a及び突出量)の大きさを調整する必要がある。
これは、導入された吸気aに混入されている水滴が副室壁面63bに衝突し、跳ね返った水滴がA/Fセンサ58に付着しないようにするものである。
即ち、副室63は吸気aに含まれる水滴がA/Fセンサ58に直接衝突しない保護部材を形成している。
また、傾斜角度θ1の延長線L1は、A/Fセンサ58に接する事が無いようにすると共に、A/Fセンサ58が延長線L1に対し、吸気通路62aの反対側に位置するように、配置されている。
【0036】
このような配置にすることにより、導入された吸気aが直接A/Fセンサ58に衝突しないようにして、A/Fセンサ58の被水防止効果を高めるものである。
また、
図3(B)は、
図3(A)のX矢視を示し、A/Fセンサ58は副室63の側壁面63eから略水平方向に配置されている。
そして、A/Fセンサ58の先端部58aは反対側の側壁面63fに対し隙間を有して配置されている。
更に、下壁面63dは吸気通路62a側に対し下方へ傾斜した面となっており、副室壁面63bに付着した水滴が下方へ流れ、傾斜した下壁面63dを伝わり吸気通路62aに流すようになっている。
【0037】
また、円筒状(環状)の副室壁面63bの環状部分には水分保持手段である吸水シート64が貼着されている。
吸水シート25は、不燃性の繊維(例えばグラスファイバー等)をシート状にしたものであり、吸水性がよく且つ、耐熱性を有するので変質(溶解して繊維間が溶着)等がなく耐久性が高い。
更に、シート温度センサ59は円筒状(環状)の副室壁面63bの底部近傍に穿設された貫通孔63gに取付けられている。シート温度センサ59の先端部が吸水シート25に接触し、温度検出を行う。シート温度センサ59による温度検出は吸水シート25に凝結水が溜まると温度が変化するのを利用して、吸水シート64の吸着量を判断するようになっている。
【0038】
吸水シート64の吸着量がある一定量(吸水シート64が吸着しきれずに、凝縮水が吸水シート64から滴となって滴下する前の凝縮水吸着量)になると、シート温度センサ59と吸気温度センサ54に基づいて制御装置を内蔵したECU60からの信号に基づいて高圧EGR装置32(
図1参照)の高圧EGRバルブ30が作動して、吸気通路62a内に高圧・高温(排気マニホールド19から排出された直後)の排ガスEが流れ、排ガス温度によって吸水シート64の凝結水は蒸気となって吸気aと共に燃焼室へ導入される。
このシート温度センサ59と吸気温度センサ54とに基づいて制御装置を内蔵したECU60からの信号に基づいて高圧EGR装置32の高圧EGRバルブ30を作動することで、水分蒸発手段である排ガス導入手段を構成している。
【0039】
図6に、EGR導入制御のフローチャート図に基づいて、EGR導入制御方法を説明する。
ステップS1からスタートし、ステップ2において、車両が走行中か又は、停車中でエンジンがアイドリング状態かの判断(走行中Skm/H>0km/H)して、アイドリング状態ならNOを選択してステップS7に移り、高圧EGR装置を作動させて、吸水シート64の水分を蒸発させる。ステップS2で車両が走行中の場合にはYESを選択してステップS3に進む。ステップS3において吸気温度センサ54にて吸気温度Tin検出する。ステップS4にてシート温度センサ59にてシート温度Tsw検出する。凝結水が吸水シート64に溜まることによりシート温度センサ59の検出温度が変化してくる。ステップS5において、検知温度の差の絶対値(|吸気温度Tin―シート温度Tsw|)を求める。
これは、吸水していない場合はTsw=Tin又は、Tin >Tswの場合だけでなく,Tin <Tswの場合(吸気よりも吸水された水温度が高い場合)も吸水シート64が満水と判断するため、検知温度の絶対差で制御している。
ステップS6において、ステップS5で求めた検知温度の絶対差が閾値以上の場合、水分の蒸発で検知温度が低くなるので、吸水シート64の凝結水保持能力が限界と判断して、YESを選択しステップS7に進む。ステップS7にてEGR(高圧)装置の作動を行う。ステップS8でリターンして、吸水シート64の凝結水保持能力が回復するまで繰返される。
また、ステップS6において、検知温度の絶対差が閾値以下の場合、NOを選択してステップS8に進み、ステップS8にてリターンして、吸水シート64の凝結水保持能力を監視する制御が繰返される。
これにより吸水シート64は除湿状態が保たれ、吸気aの流動抵抗の低減及び、吸水シート64の水滴が吸気に乗ってA/Fセンサ58に衝突(被水)することが確実に防止できる。
【0040】
吸気通路に取付けられたA/Fセンサ58の被水防止の保護部材に吸水シート25を設け、該吸水シート25が保持した水分は排ガスの熱で蒸発させるので、吸水シート64の保水限界を超えて、水滴となって滴下し、再びA/Fセンサ58に衝突することを防止できる効果を有する。
また、吸水シート64は、不燃性の繊維をシート状にした物なので、吸水性がよく且つ、耐熱性を有するので変質(溶解して繊維間が溶着)等がなく耐久性が高い。
更に、吸水シート64が水滴を保持すると温度が変化するのを利用して、吸気温度Tinとシート温度Tswとの差が閾値以上になったら、高圧EGR装置32を作動させて、排ガスの熱で吸水シート64の水分を蒸発させるようにして、A/Fセンサ58が被水するのを効果的に防止できる。
【0041】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、
図4(A)、及び(B)に基づいて説明する。
尚、第2実施形態はガスセンサであるA/Fセンサ(空燃比センサ)の配置構造が異なる以外は同じなので、エンジンシステムの説明は省略し、同一部品は同一符号を付し、説明は省略する。
尚、EGR導入制御方法の説明は第1実施形態と同じなので省略する。
【0042】
図4(A)は
図2のY部に相当する部分拡大図を示し、(B)は(A)のP矢視を示す。
図4(A)に示すとおり、吸気通路53はA/Fセンサ58の装着部近傍を隔壁53fによって主吸気通路53aと副吸気通路53bとに区分して分流させる構造になっている。
主吸気通路53aは主にエンジン10に吸気aを送る吸気通路であり、副吸気通路53bはA/Fセンサ58の検知機能を高めるための吸気通路となっている。
副吸気通路53bには吸気通路53を形成する吸気管壁面53cにA/Fセンサ58が装着されている。A/Fセンサ58の副吸気通路53b上流側に間隔を有して、A/Fセンサ58の保護部材と水分保持手段を兼ねた吸水シート51が装着されている。
【0043】
吸水シート51は副吸気通路53bの通路断面全体を塞ぐように装着されている。
吸水シート51はシート本体51aと、シート本体51aの周囲には、該シート本体51aを保持するための保持部材51b、51cとで構成されている。
シート本体51aは、不燃性の繊維(例えばグラスファイバー等)をシート状にしたものであり、吸水性がよく且つ、耐熱性を有するので変質(溶解して繊維間が溶着)等がなく耐久性が高い。
従って、吸気aの通過性が良く、且つ水分および吸気中に含まれている不純物の除去が容易にできる。
吸水シート51は、シート本体51aの周囲に配設された保持部材51b、51cを介して副吸気通路53bの内周面に固着される。
【0044】
吸水シート51の吸気a流通方向中間部には、A/Fセンサ58のセンサ部分がシート本体51aに埋め込まれるように装着されている。
そして、A/Fセンサ58は吸水シート51の重力方向下側に位置させてある。
吸水シート51に捕捉された水滴が下方に下がり、上下方向に含水量のアンバランスが生じても、安全サイドに制御できるようにしてある。
【0045】
吸水シート51の吸着量がある一定量(吸水シート51が吸着しきれずに、凝縮水が吸水シート25から滴となって吸気aに乗って下流側(A/Fセンサ58側)に流れる状態になるまえに、シート温度センサ59と吸気温度センサ54に基づいて制御装置を内蔵したECU60からの信号に基づいて高圧EGR装置32(
図1参照)の高圧EGRバルブ30が作動して、吸気通路62a内に高圧・高温(排気マニホールド19から排出された直後)の排ガスEが流れ、排ガス温度によって吸水シート25の凝結水は蒸気となって吸気aと共に燃焼室へ導入される。
尚、EGR導入制御方法の説明は第1実施形態と同じなので省略する。
【0046】
副吸気通路53bにA/Fセンサ58を配設すると共に、吸水シート51を該A/Fセンサ58の副吸気通路53b上流側に、該副吸気通路53bの流路断面を塞ぐように配設することにより、吸気aに含まれた水滴を確実に補足でき、ガスセンサであるA/Fセンサ58の被水が防止され、該A/Fセンサ58の信頼耐久性が向上する。
【0047】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、
図5(A)、及び(B)に基づいて説明する。
尚、第3実施形態はガスセンサであるA/Fセンサ(空燃比センサ)の配置構造が異なる以外は第1実施形態に同じなので、エンジンシステムの説明は省略し、同一部品は同一符号を付し、説明は省略する。
【0048】
図5(A)は
図2のY部に相当する部分拡大図を示し、(B)は(A)のA−A断面図を示す。
図5(A)に示すように、吸気通路62aを形成する通路壁面62bには、A/Fセンサ58が装着されている。A/Fセンサ58の吸気通路62a上流側には、吸気a中に含まれている凝結水がA/Fセンサ58に直接衝突するのを防止する保護部材であるカバー部材61が配設されている。
58aはA/Fセンサ58が検知した値をECU60に送信する送信線である。
【0049】
カバー部材61は縦断面がほぼZ状をなし、上辺61aがA/Fセンサ58と共に通路壁面62bに取付けられている。縦壁面61bは吸気通路62aの中央側に突出し、横断面が半円弧状になっており、該半円弧状の幅Wは吸気通路62aを流れる吸気aに含まれる凝結水が直接当たらないような幅を有している。下辺61cは吸気通路62aの上流側へ向け屈曲した辺となっている。
そして、縦壁面61bの吸気通路62aの上流側面には、水分保持手段である吸水シート25が貼着されている。
吸水シート25は、不燃性の繊維(例えばグラスファイバー等)をシート状にしたものであり、吸水性がよく且つ、耐熱性を有するので変質(溶解して繊維間が溶着)等がなく耐久性が高い。
【0050】
更に、縦壁面61bの吸気通路62aの下流側面には、吸水シート25の温度を検出する第1温度検出手段であるシート温度センサ59が配設されている。
シート温度センサ59は縦壁面61bの下辺61c近傍に穿設された貫通孔61dを介してシート温度センサ59の先端部が吸水シート25に接触し、温度検出を行う。
また、
図5(B)に示すように、カバー部材61の両端縁には、A/Fセンサ58側に吸気aが回るようにすると共に、吸気aが直接A/Fセンサ58に衝突しないように、吸気がUターンするガイド部材61eが装着されている。
温度検出は吸水シート25に凝結水が溜まると温度が変化するのを利用して、吸水シート25の吸着量を判断するようになっている。
59aはシート温度センサ59の検知温度をECU60に送信する送信線である。
【0051】
吸水シート25の吸着量がある一定量(吸水シート25が吸着しきれずに、凝縮水が吸水シート25から滴となって滴下する前の凝縮水吸着量)になると、シート温度センサ59と吸気温度センサ54に基づいて制御装置を内蔵したECU60からの信号に基づいて高圧EGR装置32(
図1参照)の高圧EGRバルブ30が作動して、吸気通路62a内に高圧・高温(排気マニホールド19から排出された直後)の排ガスEが流れ、排ガス温度によって吸水シート25の凝結水は蒸気となって吸気aと共に燃焼室へ導入される。
尚、EGR導入制御方法の説明は第1実施形態と同じなので省略する。
【0052】
吸気通路に取付けられたA/Fセンサ58の被水防止の保護部材に吸水シート25を設け、該吸水シート25が保持した水分は排ガスの熱で蒸発させるので、吸水シート25の保水限界を超えて、水滴となって滴下し、再びA/Fセンサ58に衝突することを防止できる効果を有する。
また、吸水シート25は、不燃性の繊維をシート状にした物なので、吸水性がよく且つ、耐熱性を有するので変質(溶解して繊維間が溶着)等がなく耐久性が高い。
更に、吸水シート25が水滴を保持すると温度が変化するのを利用して、吸気温度Tinとシート温度Tswとの差が閾値以上になったら、高圧EGR装置32を作動させて、排ガスの熱で吸水シート25の水分を蒸発させるようにして、A/Fセンサ58が被水するのを効果的に防止できる。
【0053】
このような構造にすることにより、吸気通路62aを流れる吸気aは導入傾斜面63cに沿って空間部63s内に導入され、円筒状の副室壁面63bに沿って円周状に回転し、該空間部63s内で加速され、加速された吸気aに乗った水滴は比重の大きい水滴は遠心力により吸水シート64に付着し、吸気aの水滴が分離され、A/Fセンサ58の被水を防止できる。
また、吸水シート64に吸着した水滴は、高温・高圧の排ガス(EGR)によって蒸発(蒸気)するので、A/Fセンサ58に蒸気が衝突しても被水割れを効果的に防止することができる。