【文献】
WU L, et al.,Lenalidomide Enhancement of NK Cell-MediatedAntibody-Dependent Cellular Cytotoxicity (ADCC) Is Mediated by GranzymeB and FasL and Is Associated with Modification of SHIP-1, PLC-g2 and pERKand Enhanced Chemokine Production,Blood (ASH Annual Meeting Abstracts)[online],2007年,Vol.110, No 11, Part 2,p.296B(Abstract 4885),[retrieved on 2010.10.26] Retrieved from the Internet:<URL: http://abstracts.hematologylibrary.org/cgi/content/abstract/ashmtg;110/11/4885?maxtoshow=&hits=10&RESULTFORMAT=1&author1=Wu%2C+L&andorexacttitle=and&andorexacttitleabs=and&andorexactfulltext=and&searchid=1&FIRSTINDEX=0&sortspec=relevance&fdate=11/1/2007&tdate=11/30/2007&resourcetype=HWCIT>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヒトCCケモカイン受容体4(以下、CCR4とも称す)に特異的に結合する遺伝子組換え抗体であって、配列番号5、6および7で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子重鎖可変領域の相補性決定領域(以下、CDRとも称す)1、CDR2、およびCDR3、並びにそれぞれ配列番号8、9および10で示されるアミノ酸配列からなる抗体軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3を含む抗体と、レナリドマイドとを含むT細胞リンパ腫の医薬。
ヒトCCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体であって、配列番号5、6および7で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子重鎖可変領域の相補性決定領域(以下、CDRとも称す)1、CDR2、およびCDR3、並びにそれぞれ配列番号8、9および10で示されるアミノ酸配列からなる抗体軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3を含む抗体と、レナリドマイドとを併用して投与するためのT細胞リンパ腫の医薬。
前記T細胞リンパ腫が、成熟T細胞腫瘍、T細胞前リンパ球性白血病、T細胞大顆粒リンパ球性白血病、セザリー症候群、節外性NK/T細胞、リンパ腫(鼻型)、菌状息肉腫、原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫、皮下蜂窩織炎様T細胞リンパ腫、腸炎型T細胞リンパ腫、肝脾γδT細胞リンパ腫、血管免疫芽球型T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(非特定)、未分化大細胞型リンパ腫(ALK positive、ALK negative)、および成人T細胞白血病/リンパ腫から選ばれる少なくとも一つの腫瘍である請求項6に記載のT細胞リンパ腫の医薬。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の医薬の形態としては、CCR4に特異的に反応する遺伝子組換え抗体と、少なくとも1種類の薬剤を含む医薬、CCR4に特異的に反応する遺伝子組換え抗体と、少なくとも1種類の薬剤とを併用して投与するための医薬が挙げられる。
【0011】
ここで、CCR4に特異的に反応する遺伝子組換え抗体と、少なくとも1種類の薬剤を含む医薬、とは、それぞれの薬剤成分を混合させた合剤であってもよく、CCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体と少なくとも1種類の薬剤とを別々に調製し、これらの薬剤を併用して同時にまたは逐次的に投与する医薬であってもよい。それぞれの薬剤成分を混合させた合剤には、CCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体に少なくとも1種類の薬剤を結合させた融合抗体なども包含する。
【0012】
CCR4に特異的に反応する遺伝子組換え抗体と、少なくとも1種類の薬剤とを併用して投与するための医薬とは、CCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体と少なくとも1種類の薬剤とを別々に調製し、これらの薬剤を併用して同時にまたは逐次的に投与する医薬であってもよく、それぞれの薬剤成分を混合させた合剤であってもよい。それぞれの薬剤成分を混合させた合剤には、CCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体に少なくとも1種類の薬剤を結合させた融合抗体なども包含する。
【0013】
また、それぞれの薬剤を含有する医薬キットを調製し、これらの薬剤を同時にまたは逐次的に患者に投与してもよいし、混合させた後に患者に投与してもよい。
【0014】
CCR4に特異的に反応する遺伝子組換え抗体と、少なくとも1種類の薬剤とを逐次的に投与する場合、投与順序については制限されず、CCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体は少なくとも1種類の薬剤の前に、または後に投与することができる。逐次的とは、CCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体は少なくとも1種類の薬剤が、同じ時間枠内で治療的に作用することができるように、ある時間枠内に対象に対して次々に投与されることを意味する。
【0015】
本発明におけるCCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体としては、例えば、ヒトCCR4の細胞外領域に特異的に反応する遺伝子組換え抗体が挙げられる。中でも、ヒト血小板に反応性を示さない遺伝子組換え抗体、高い抗体依存性細胞傷害活性(以下、ADCC活性とも称す)を有する遺伝子組換え抗体などが好ましい。
【0016】
ここで抗体がヒト血小板に反応性を示さないとは、抗体がヒト血小板と実質的に反応しないことをいい、具体的には、フローサイトメーターによる測定で反応性を示さないことをいう。
【0017】
また、本発明における抗体としては、好ましくは、配列番号1に示されるアミノ酸配列の1〜39、98〜112、176〜206または271〜284番目を含む領域、より好ましくは配列番号1に示されるアミノ酸配列の2〜29番目(配列番号2)、さらに好ましくは配列番号1に示されるアミノ酸配列の12〜29番目(配列番号3)、特に好ましくは配列番号1に示されるアミノ酸配列の13〜25番目(配列番号4)に、特異的に反応する抗体が挙げられる。また、国際公開第2005/053741号に記載のハイブリドーマKM2160(FERM BP−10090)が生産するCCR4に結合するモノクローナル抗体が認識するエピトープに特異的に反応する抗体などが挙げられる。
【0018】
また、本発明における抗体には、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合した糖鎖構造を認識するレクチン耐性を有する細胞(国際公開第02/31140号、国際公開第03/85118号、国際公開第03/85107号)で生産された抗体も包含される。
【0019】
本発明における遺伝子組換え抗体としては、例えば、ヒト化抗体およびヒト抗体等が挙げられる。
【0020】
ヒト化抗体としては、例えば、ヒト型キメラ抗体およびヒト型CDR移植抗体などが挙げられる。
【0021】
ヒト型キメラ抗体は、ヒト以外の動物の抗体H鎖V領域(以下、HVまたはVHとも称す)および抗体L鎖V領域(以下、LVまたはVLとも称す)とヒト抗体のH鎖C領域(以下、CHとも称す)およびヒト抗体のL鎖C領域(以下、CLとも称す)とからなる抗体を意味する。ヒト以外の動物としては、マウス、ラット、ハムスター、ラビット等、ハイブリドーマを作製することが可能であれば、いかなるものも用いることができる。
【0022】
本発明におけるヒト型キメラ抗体は、CCR4に特異的に反応するヒト以外の動物のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマより、VHおよびVLをコードするcDNAを取得し、ヒト抗体CHおよびヒト抗体CLをコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築し、該発現ベクターを宿主細胞へ導入することにより発現させ、製造することができる。
【0023】
ヒト型キメラ抗体のCHとしては、ヒトイムノグロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかなるものでもよいが、IgGクラスのものが好適であり、更にIgGクラスに属するγ1、γ2、γ3、およびγ4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型キメラ抗体のCLとしては、κクラスまたはλクラスのものを用いることができる。
【0024】
本発明におけるヒト型キメラ抗体としては、例えば、VHのCDR1、CDR2およびCDR3がそれぞれ配列番号5、配列番号6および配列番号7、VLのCDR1、CDR2およびCDR3がそれぞれ配列番号8、配列番号9および配列番号10で表されるアミノ酸配列を含むヒト型キメラ抗体、より具体的にはVHおよびVLのアミノ酸配列が、それぞれ配列番号11および配列番号12で表されるアミノ酸配列であるヒト型キメラ抗体が挙げられる。
【0025】
本発明におけるヒト型キメラ抗体として、さらに具体的には、例えば、VHのアミノ酸配列が配列番号11、CHがヒト抗体IgG1サブクラスのアミノ酸配列、VLが配列番号12で表されるアミノ酸配列、CLがヒト抗体κクラスのアミノ酸配列からなるヒト型キメラ抗体が挙げられる。例えば国際公開第01/64754号に開示された抗CCR4ヒト型キメラ抗体KM2760などが挙げられる。
【0026】
ヒト型CDR移植抗体は、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列をヒト抗体のVHおよびVLの適切な位置に移植した抗体をいう。
【0027】
本発明におけるヒト型CDR移植抗体は、CCR4に特異的に結合するヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列を任意のヒト抗体のVHおよびVLのフレームワーク(以下、FRとも称す)に移植したV領域をコードするcDNAを構築し、ヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAを有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させ、製造することができる。
【0028】
ヒト抗体のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列を選択方法としては、ヒト抗体由来のものであれば、いかなるものでも用いることができる。選択方法としては、例えば、Protein Data Bankなどのデータベースに登録されているヒト抗体のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列、並びにヒト抗体のVHおよびVLのFRの各サブグループの共通アミノ酸配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services,1991)などが挙げられる。
【0029】
本発明における抗体のCHとしては、hIgに属すればいかなるものでもよいが、IgGクラスのものが好適であり、さらにIgGクラスに属するγ1、γ2、γ3、およびγ4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型CDR移植抗体のCLとしては、κクラスまたはλクラスのものを用いることができる。
【0030】
本発明におけるヒト型CDR移植抗体としては、例えば、それぞれ配列番号5、6、7で表されるアミノ酸配列からなる抗体VHのCDR1、CDR2、CDR3および/またはそれぞれ配列番号8、9、および10で表されるアミノ酸配列からなるVLのCDR1、CDR2、CDR3を含むヒト型CDR移植抗体などが挙げられる。
【0031】
本発明におけるヒト型CDR移植抗体としては、VHが配列番号11で示されるアミノ酸配列を含み、かつ、VLが配列番号12で示されるアミノ酸配列を含むヒト型CDR移植抗体が好ましく用いられる。
【0032】
ヒト抗体は、元来、ヒト体内に天然に存在する抗体を意味するが、最近の遺伝子工学的、細胞工学的、および発生工学的な技術の進歩により作製されたヒト抗体ファージライブラリー並びにヒト抗体産生トランスジェニック動物から得られる抗体なども含まれる。
【0033】
ヒト体内に天然に存在する抗体は、例えば、ヒト末梢血リンパ球を単離し、EBウイルスなどを感染させ不死化、クローニングすることにより、該抗体を産生するリンパ球を培養でき、培養物中より、該抗体を精製することができる。
【0034】
ヒト抗体ファージライブラリーは、ヒトB細胞から調製した抗体遺伝子をファージ遺伝子に挿入することにより、Fab、scFvなどの抗体断片をファージ表面に発現させたライブラリーである。
【0035】
前記ライブラリーはレパートリーを増やすために、人為的に変異を導入したライブラリーを用いることもできる。該ライブラリーより、抗原を固定化した基質に対する結合活性を指標として所望の抗原結合活性を有するファージを回収できる。該抗体断片は、さらに蛋白質工学的手法により、二本の完全なH鎖および二本の完全なL鎖からなるヒト抗体分子へ変換することもできる。
【0036】
ヒト抗体産生トランスジェニック動物は、ヒト抗体遺伝子が細胞内に組み込まれた動物を意味する。ヒト抗体産生トランスジェニック動物としては、例えば、マウスES細胞へヒト抗体遺伝子を導入し、該ES細胞をマウスの初期胚に移植後、発生させることにより作製されたヒト抗体産生トランスジェニックマウスなどが挙げられる。
【0037】
ヒト抗体産生トランスジェニック動物からのヒト抗体の作製方法は、通常の細胞融合法によるハイブリドーマ作製方法により、ヒト抗体産生ハイブリドーマを得、培養することで培養物中にヒト抗体を産生蓄積させることができる。
【0038】
トランスジェニック非ヒト動物としては、例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、マウス、ラット、ニワトリ、サルおよびウサギ等が挙げられる。
【0039】
本発明において、高いADCC活性を有する遺伝子組換え抗体としては、例えば、Fc領域にN−グリコシド結合複合型糖鎖を有する抗体分子からなる組成物であって、かつ該組成物中に含まれるFc領域に結合する全N−グリコシド結合複合型糖鎖のうち、糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖を有する遺伝子組換え抗体組成物が挙げられる。
【0040】
ここで高い抗体依存性細胞傷害活性とは、生体内で主として産生される抗体と比べ、ADCC活性が高いことをいう。
【0041】
なお、本発明において高いADCC活性を有する抗体を、以下、フコース非修飾抗体と称する。
【0042】
具体的には、例えば、CCR4に特異的に結合するフコース非修飾抗体であって、VHが配列番号11で示されるアミノ酸配列を含み、かつ、VLが配列番号12で示されるアミノ酸配列を含むヒト型CDR移植抗体(以下、KM8760とも称す)が挙げられる。
【0043】
抗体分子に含まれるFc領域には、N−グリコシド結合糖鎖が結合する。従って、抗体1分子あたり2本の糖鎖が結合している。
【0044】
N−グリコシド結合糖鎖としては、例えば、コア構造の非還元末端側にガラクトース−N−アセチルグルコサミン(以下、Gal−GlcNAcと表記する)の側鎖を並行して1ないしは複数本有し、更にGal−GlcNAcの非還元末端側にシアル酸、バイセクティングのN−アセチルグルコサミンなどを有するコンプレックス型(複合型)糖鎖を挙げることができる。
【0045】
本発明において、N−グリコシド結合複合型糖鎖は、下記化学式で示される。
【0047】
本発明において、CCR4に特異的に結合する遺伝子抗体は組成物として投与されてもよい。CCR4に特異的に結合する遺伝子抗体組成物のうち、Fc領域にN−グリコシド結合型糖鎖を有する抗体分子からなる遺伝子組換え抗体組成物は、上記の糖鎖構造を有していれば、単一の糖鎖構造を有する抗体分子から構成されていてもよいし、複数の異なる糖鎖構造を有する抗体分子から構成されていてもよい。すなわち、本発明の遺伝子組換え抗体組成物とは、単一または複数の異なる糖鎖構造を有する遺伝子組換え抗体分子からなる組成物をいう。
【0048】
抗体の糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖の割合としては、ADCC活性が増加すれば、いずれの割合の抗体も含まれるが、割合としては、例えば、20%以上が好ましく、51%−100%がより好ましく、80%−100%がさらに好ましく、90%−99%が特に好ましく、100%が最も好ましい。
【0049】
本発明において、フコースが結合していない糖鎖としては、上記で示された化学式中、還元末端側のN−アセチルグルコサミンにはフコースが結合していなければ、非還元末端の糖鎖の構造はいかなるものであってもよい。
【0050】
本発明において、糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していないとは、実質的にフコースが結合していないことをいう。実質的にフコースが結合していない抗体組成物とは、常法の糖鎖分析(国際公開第02/31140号、国際公開第03/85107号)において、フコースが実質的に検出できない程度の抗体組成物である場合をいう。
【0051】
実質的に検出できない程度とは、測定の検出限界以下であることをいう。全ての糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない遺伝子組換え抗体組成物は、最も高いADCC活性を有する。
【0052】
N−グリコシド結合複合型糖鎖をFc領域に有する抗体分子からなる組成物中に含まれる、糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖を有する抗体分子の割合は、以下の分析方法で決定することができる。
【0053】
分析方法としては、例えば、抗体分子からヒドラジン分解や酵素消化などの公知の方法[生物化学実験法23―糖蛋白質糖鎖研究法(学会出版センター)高橋禮子編(1989)]を用い、糖鎖を遊離させ、遊離させた糖鎖を蛍光標識又は同位元素標識し、標識した糖鎖をクロマトグラフィー法にて分離する方法、また、遊離させた糖鎖をHPAED−PAD法[ジャーナル・オブ・リキッド・クロマトグラフィー(J. Liq. Chromatogr.), 6, 1577(1983)]などが挙げられる。
【0054】
本発明におけるCCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体組成物を生産する形質転換株は、抗体分子の可変領域および定常領域をコードするDNAを挿入した遺伝子組換え抗体組成物発現ベクターを動物細胞へ導入することにより、取得することができる。
【0055】
遺伝子組換え抗体組成物発現ベクターは、以下のように構築する(国際公開第02/31140号、国際公開第03/85107号)。
【0056】
前述のCHおよびCLをコードするDNAをそれぞれ動物細胞での発現ベクターに挿入することにより、動物細胞用発現ベクターを作製する。
【0057】
動物細胞用発現ベクターとしては、例えば、pAGE107(日本国特開平3−22979号公報;Miyaji H. et al., Cytotechnology, 3, 133−140(1990))、pAGE103(Mizukami T. and Itoh S., J. Biochem., 101, 1307−1310(1987))、pHSG274(Brady G. et al., Gene, 27, 223−232(1984))、pKCR(O’Hare K. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 78, 1527−1531(1981))、およびpSG1βd2−4(Miyaji H. et al., Cytotechnology, 4, 173−180(1990))等が挙げられる。動物細胞用発現ベクターに用いるプロモーターとエンハンサーとしては、例えば、SV40の初期プロモーターとエンハンサー(Mizukami T. and Itoh S., J. Biochem., 101, 1307−1310(1987))、モロニーマウス白血病ウイルスのLTRプロモーターとエンハンサー(Kuwana Y. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 149, 960−968(1987))、および免疫グロブリンH鎖のプロモーター(Mason J. O. et al., Cell, 41, 479−487(1985))とエンハンサー(Gillies S. D. et al., Cell, 33, 717−728(1983))等が挙げられる。
【0058】
遺伝子組換え抗体組成物発現用ベクターは、H鎖およびL鎖が別々のベクター上に存在するタイプおよび同一のベクター上に存在するタイプ(タンデム型)のどちらでも用いることができる。遺伝子組換え抗体組成物発現ベクターの構築のしやすさ、動物細胞への導入のし易さ、動物細胞内での抗体H鎖およびL鎖の発現量のバランスがとれる等の点でタンデム型の遺伝子組換え抗体組成物発現用ベクターの方が好ましい(Shitara K. et al., J. Immunol. Methods,167,271−278(1994))。タンデム型の遺伝子組換え抗体組成物発現用ベクターとしては、例えば、pKANTEX93(国際公開第97/10354号)、およびpEE18(Bentley K. J. et al.,Hybridoma,17,559−567(1998))等が挙げられる。
【0059】
構築された遺伝子組換え抗体組成物発現用ベクターのCHおよびCLをコードするDNAの上流に、各種抗原に対する抗体のVHおよびVLをコードするcDNAをクローニングすることにより、遺伝子組換え抗体組成物発現ベクターを構築することができる。
【0060】
宿主細胞への発現ベクターの導入法としては、例えば、エレクトロポレーション法(日本国特開平2−257891号公報; Miyaji H. et al., Cytotechnology,3,133−140(1990))等が挙げられる。
【0061】
本発明の遺伝子組換え抗体組成物を生産する宿主細胞としては、動物細胞、植物細胞、および微生物など、組換え蛋白質生産に一般に用いられる宿主細胞であればいかなるものも包含される。
【0062】
本発明の遺伝子組換え抗体組成物を生産する宿主細胞としては、例えば、チャイニーズハムスター卵巣組織由来CHO細胞、ラットミエローマ細胞株YB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞、マウスミエローマ細胞株NS0細胞、マウスミエローマ細胞株SP2/0−Ag14細胞、シリアンハムスター腎臓組織由来BHK細胞、ヒト白血病細胞株ナマルバ細胞、ミエローマ細胞と任意のB細胞とを用いて製造されたハイブリドーマ細胞、胚性幹細胞または受精卵細胞を用いることにより製造されたヒト以外のトランスジェニック動物に抗原を免疫して取得されたB細胞と任意のミエローマ細胞とを用いて製造されたハイブリドーマ細胞、および上記ミエローマ細胞と胚性幹細胞または受精卵細胞を用いることにより製造されたヒト以外のトランスジェニック動物に抗原を免疫して取得されたB細胞とを用いて製造されたハイブリドーマ細胞などが挙げられる。
【0063】
ADCC活性の高い遺伝子組換え抗体組成物を発現させる宿主細胞としては、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性を有する宿主細胞、例えば、N−グリコシド結合複合型糖鎖をFc領域に有する抗体分子からなる組成物であって、該組成物中に含まれるFc領域に結合する全N−グリコシド結合複合型糖鎖のうち、糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖の割合が20%以上である抗体組成物を生産する能力を有する宿主細胞、例えば、以下、(a)〜(c)に挙げる少なくとも1つの蛋白質の活性が低下または失活した細胞などが挙げられる。
(a) 細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素;
(b) N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素;
(c) 細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースのゴルジ体への輸送に関与する蛋白質(国際公開第02/31140号、国際公開第03/85107号)。
【0064】
上記宿主細胞としては、宿主細胞内のα1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子がノックアウトされた宿主細胞が好適に挙げられる(国際公開第02/31140号、国際公開第03/85107号)。
【0065】
細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素としては、細胞内で糖鎖へのフコースの供給源である糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素であればいかなる酵素も包含される。
【0066】
細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素としては、例えば、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に影響を与える酵素などが挙げられる。
【0067】
細胞内の糖ヌクレオチドGDP−フコースは、de novoの合成経路またはSalvage合成経路により供給されている。したがって、当該合成経路に関与する酵素はすべて細胞内GDP−フコースの合成に関与する酵素に包含される。
【0068】
細胞内の糖ヌクレオチドGDP−フコースのde novoの合成経路に関与する酵素としては、例えば、GDP−mannose 4,6−dehydratase(GDP−マンノース4,6−デヒドラターゼ;以下、GMDと表記する)、GDP−keto−6−deoxymannose 3,5−epimerase, 4,6−reductase(GDP−ケト−デオキシマンノース 3,5−エピメラーゼ, 4,6−リダクターゼ;以下、Fxと表記する)などが挙げられる。
【0069】
細胞内の糖ヌクレオチドGDP−フコースのsalvage合成経路に関与する酵素としては、例えば、GDP−beta−L−fucose pyrophosphorylase(GDP−ベータ−L−フコース−ピロホスフォリラーゼ;以下、GFPPと表記する)、Fucokinase(フコキナーゼ)などが挙げられる。
【0070】
細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に影響を与える酵素としては、上述の細胞内の糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成経路に関与する酵素の活性に影響を与える酵素、該酵素の基質となる物質の構造に影響を与える酵素も包含される。
【0071】
N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素としては、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合する反応に関与する酵素であればいかなる酵素も包含される。
【0072】
N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合する反応に関与する酵素としては、例えば、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合する反応に影響を与える酵素であればいかなる酵素も包含される。具体的には、例えば、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼやα−L−フコシダーゼなどが挙げられる。
【0073】
また、N−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合する反応に影響を与える酵素としては、上述のN−グリコシド結合複合型糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する反応に関与する酵素の活性に影響を与える酵素、該酵素の基質となる物質の構造に影響を与える酵素も包含される。
【0074】
細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースのゴルジ体への輸送に関与する蛋白質としては、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースのゴルジ体への輸送に関与する蛋白質、または細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースをゴルジ体内へ輸送する反応に影響を与える蛋白質であればいかなる蛋白質も包含される。
【0075】
細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースのゴルジ体への輸送に関与する蛋白質としては、具体的には、例えば、GDP−フコーストランスポーターなどが挙げられる。
【0076】
また、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースをゴルジ体内へ輸送する反応に影響を与える蛋白質としては、上述の細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースのゴルジ体への輸送に関与する蛋白質の活性や発現に影響を与える蛋白質も包含される。
【0077】
上述の酵素活性が低下または欠失した細胞を取得する方法としては、目的とする酵素活性を低下または欠失させることができる手法であれば、いずれの手法でも用いることができる。具体的には、例えば、以下の(a)から(e)の手法などが挙げられる(国際公開第02/31140号、国際公開第03/85107号)。
(a)酵素の遺伝子を標的した遺伝子破壊の手法;
(b)酵素の遺伝子のドミナントネガティブ体を導入する手法;
(c)酵素についての突然変異を導入する手法;
(d)酵素の遺伝子の転写又は翻訳を抑制する手法;
(e)N−グリコシド結合糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性である株を選択する手法。
【0078】
N−グリコシド結合糖鎖還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位とフコースの1位がα結合した糖鎖構造を認識するレクチンとしては、該糖鎖構造を認識できるレクチンであれば、いずれのレクチンでも用いることができる。その具体的な例としては、例えば、レンズマメレクチンLCA(Lens Culinaris由来のLentil Agglutinin)、エンドウマメレクチンPSA(Pisum sativum由来のPea Lectin)、ソラマメレクチンVFA(Vicia faba由来のAgglutinin)、および、ヒイロチャワンタケレクチンAAL(Aleuria aurantia由来のLectin)等を挙げることができる。
【0079】
レクチンに耐性な細胞とは、レクチンを有効濃度与えたときにも、生育が阻害されない細胞を言う。有効濃度とは、ゲノム遺伝子が改変される以前の細胞(以下、親株とも称す)が正常に生育できない濃度以上である。有効濃度としては、ゲノム遺伝子が改変される以前の細胞が成育できない濃度と同濃度であることが好ましく、2〜5倍であることがより好ましく、10倍であることがさらに好ましく、20倍以上であるであることが最も好ましい。
【0080】
生育が阻害されないレクチンの有効濃度は、細胞株に応じて適宜定めればよく、通常のレクチンの有効濃度は10μg/mL〜10mg/mLであることが好ましく、0.5mg/mL〜2.0mg/mLであることがより好ましい。
【0081】
本発明の医薬おいて、少なくとも1種類の薬剤としては、例えば、免疫調整剤であるレナリドマイド、およびアクチミドが挙げられる。
【0082】
上記薬剤は、単独で高用量を生体内に投与した場合には、副作用を生じることが懸念される。しかしながら、本発明においては、CCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体と上記薬剤を組み合わせることにより、上記薬剤を低用量で用いることができる。
【0083】
したがって、十分な治療効果に加えて、副作用を軽減することができる。また、上記の薬剤のみで病態が完治することは稀であり、多くの患者は再発を経験する。本発明においてはCCR4に特異的に結合する遺伝子組換え抗体と上記薬剤を組み合わせることにより、より強い薬効を期待できる。
【0084】
本発明の医薬は、以下に挙げる他の薬剤または方法と併用することもできる。
【0085】
上記他の薬剤または方法としては、例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンを組み合わせたCHOP療法、ドキソルビシンの代わりにピラルビシンを組み合わせたTHP−COP療法等のCHOP様療法、CHOP療法にエトポシドを追加したEPOCH療法、エトポシド、シスプラチン、メチルプレドニゾロン、およびシタラビンを組み合わせたESHAP療法、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾロン、ラニムスチン、ビンデシン、エトポシド、およびカルボプラチンを組み合わせたLSG15療法、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾロン、ラニムスチン、ビンデシン、エトポシド、カルボプラチン、シタラビン、およびメトトレキサートを組み合わせた改良型LSG15療法(modified LSG15療法、mLSG15療法とも称す)、並びにドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、およびダカルバジンを組み合わせたABVD療法などの多剤化学療法剤および分子標的薬剤などが挙げられる。
【0086】
分子標的薬剤としては、例えば、核酸アナログ、モノクローナル抗体、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害剤)、葉酸アナログ、シグナル阻害剤、およびプロテアソーム阻害剤などが挙げられる。
【0087】
葉酸アナログとしては、例えば、ゲムシタビン(Gemcitabine)、クラドリビン(Cladribine)、フルダラビン(Fludarabine)、ペントスタチン(Pentostatin)、フォロデシン(Forodesine)、およびプララトレキセート(Pralatrexate)などが挙げられる。
【0088】
モノクローナル抗体としては、例えば、アレムツズマブ(Alemtuzumab)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、SGN−30、Iratumumab、ザノリブマブ(Zanolimumab)、シブリズマブ(Siplizumab)、およびデニリューキン ジフティトクス(Denileukin diftitox)などが挙げられる。
【0089】
HDAC阻害剤としては、例えば、ボリノスタット(Vorinostat)、ベリノスタット(Belinostat)、パノビノスタット(Panobinostat)、およびロミデプシン(Romidepsin)などが挙げられる。
【0090】
シグナル阻害剤としては、例えば、エンザスタウリン(Enzastaurin)などが挙げられる。
【0091】
プロテアソーム阻害剤としては、例えば、ボルテゾミブ(Bortezomib)などが挙げられる。
【0092】
本発明の医薬において、少なくとも一種の薬剤としては、例えば、ゲムシタビン、クラドリビン、フルダラビン、ペントスタチン、フォロデシン、アレムツズマブ、ベバシズマブ、SGN−30、Iratumumab、ザノリブマブ、シブリズマブ、デニリューキン ジフティトクス、ボリノスタット、ベリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシン、プララトレキセート、エンザスタウリン、およびボルテゾミブ、並びにこれらの薬剤の組み合わせが挙げられる。
【0093】
本発明の医薬は、CCR4を発現している腫瘍であれば、癌種を問わず用いることができる。腫瘍の具体例としては、例えば、造血器腫瘍が挙げられる。
【0094】
造血器腫瘍としては、例えば、急性白血病、慢性白血病、非ホジキン病、ホジキン病(またはホジキンリンパ腫)などが挙げられる。
【0095】
急性白血病としては、例えば、急性リンパ性白血病などが挙げられる。
【0096】
慢性白血病としては、例えば、慢性リンパ性白血病などが挙げられる。
【0097】
非ホジキン病としては、例えば、前駆Tリンパ芽球型白血病/リンパ腫、成熟T細胞腫瘍およびNK細胞腫瘍などが挙げられる。
【0098】
成熟T細胞腫瘍およびNK細胞腫瘍としては、例えば、T細胞前リンパ球性白血病、T細胞大顆粒リンパ球性白血病、セザリー症候群、NK細胞性白血病、節外性NK/T細胞リンパ腫(鼻型)、菌状息肉腫、原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫、皮下蜂窩織炎様T細胞リンパ腫、腸炎型T細胞リンパ腫、肝脾γδT細胞リンパ腫、血管免疫芽球型T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(非特定)、未分化大細胞型リンパ腫(ALK positive、 ALK negative)、および成人T細胞白血病/リンパ腫などが挙げられる。
【0099】
ホジキンリンパ腫としては、例えば、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、および古典的ホジキンリンパ腫などが挙げられる。古典的ホジキンリンパ腫としては、例えば、結節硬化型、リンパ球豊富型、混合型、およびリンパ球減少型などが挙げられる。
【0100】
本発明の医薬の投与と併用することができる療法としては、例えば、手術、輸血、免疫療法、生物学的療法、および放射線療法、並びにその他の非薬剤的療法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
本発明の医薬の効果は、動物モデルを用いたin vivo抗腫瘍活性を測定することによって調べることができる。
【0102】
動物モデルとしては、例えば、ヒト癌組織由来の培養細胞株をマウスに移植した異種移植モデルが挙げられる。異種移植モデルはスキッドマウス等の免疫不全マウスの皮下、皮内、腹腔内、および静脈内等様々な部位にヒト癌細胞株を移植することにより作製することができる。
【0103】
上記動物モデルを用いて抗体の単独投与、薬剤の単独投与の効果と、本発明の医薬の効果とを比較することにより、本発明の医薬の効果を評価することができる。
【0104】
本発明の医薬は、単独で投与することも可能ではあるが、通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として提供するのが好ましい。
【0105】
投与経路は、治療に際して最も効果的なものを使用するのが好ましい。投与経路としては、例えば、経口投与、または口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内等の非経口投与を挙げることができる。蛋白質製剤の場合、静脈内投与が好ましい。
【0106】
投与形態としては、例えば、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤、軟膏、およびテープ剤等が挙げられる。
【0107】
経口投与に適当な製剤としては、例えば、乳剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、および顆粒剤等が挙げられる。
【0108】
乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール、および果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコール等のグリコール類、ごま油、オリーブ油、および大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、並びにストロベリーフレーバー、およびペパーミント等のフレーバー類等を添加剤として用いて製造できる。
【0109】
カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、およびマンニトール等の賦形剤、デンプン、およびアルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、およびタルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、およびゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、並びにグリセリン等の可塑剤等を添加剤として用いて製造できる。
【0110】
非経口投与に適当な製剤としては、例えば、注射剤、座剤、および噴霧剤等が挙げられる。
【0111】
注射剤は、例えば、塩溶液、またはブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる担体等を用いて調製される。
【0112】
座剤は、例えば、カカオ脂、水素化脂肪またはカルボン酸等の担体を用いて調製される。
【0113】
また、噴霧剤は該医薬そのもの、ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ該医薬を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体等を用いて調製される。
【0114】
担体として具体的には、例えば、乳糖、およびグリセリン等が挙げられる。該医薬および用いる担体の性質により、エアロゾル、ドライパウダー等の製剤が可能である。また、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示した成分を添加することもできる。
【0115】
投与量または投与回数は、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等により異なるが、通常成人1回当たり抗体量として0.01〜5mg/kgであることが好ましい。抗体と併用する薬剤は、単独で臨床に用いられる場合の投与量と同用量またはそれより少ない用量であることが好ましい。
【実施例1】
【0116】
抗CCR4抗体とレナリドマイド併用投与による抗腫瘍効果(1)
HH細胞(ヒト
皮膚T細胞リンパ腫、ATCC番号:CRL−2105)を1×10
7個/mLでDulbecco’s phosphate buffered saline without calcium chloride and magnesium chloride(PBS,インビトロジェン社製)に懸濁し、SCIDマウス(日本クレア社より入手、雄)の腹側部皮内に100μL移植した。細胞移植後7日目にノギスによって腫瘍径を測定し、次式より腫瘍体積を算出した。
【0117】
(式)腫瘍体積=短径×短径×長径×0.5
【0118】
腫瘍体積が41から93mm
3の範囲内の個体を選抜し、平均腫瘍体積が均一になるように群分けした後に下記のA〜Dの投与群を設定した。群分けした日をDay0とした。
A. 陰性対照群:媒体投与
B. KM8760単独投与群:Day0、7、および14に20mg/kg投与
C. レナリドマイド単独投与群:Day0から13に1mg/kgで毎日投与
D. KM8760+レナリドマイド併用投与群:各単独投与群と同じスケジュール、用量で投与
【0119】
実験は各群8匹で行った。KM8760は生理食塩水(大塚製薬社製)で希釈調製し、尾静脈内より投与した。0.5%のメチルセルロースを溶解した生理食塩水にレナリドマイドを懸濁し、腹腔内に投与した。経日的に腫瘍体積を測定した。抗腫瘍効果の判定は、各測定日の腫瘍体積をDay0における腫瘍体積で除した値(V/V0)の平均値の比較により行った。
【0120】
各群のV/V0の平均値の経日的変化を
図1に示す。
図1に示すように、KM8760とレナリドマイドの併用投与は、レナリドマイド単独あるいは抗体単独よりも高い増殖抑制効果を示した。
【0121】
表1に陰性対照群に対する有意差検定(One−way ANOVA、Dunnett検定)の結果を示す。また、P<0.05の場合を有意差ありとし、表中*で示した。
【0122】
【表1】
【0123】
表1に示すように、Day10においては、単剤投与群と陰性対照群の間に有意差は無いが、併用投与群と陰性対照群の間には有意差を認めた。
【0124】
各群のV/V0を陰性対照群のV/V0で除した値(T/C)を表2に示す。表中、*はT/Cの実測値が理論値よりも小さい場合を示す。
【0125】
【表2】
【0126】
表2に示すように、KM8760の薬効と、レナリドマイドの薬効が単純に加算された時のT/Cの理論値、すなわち各単独投与群のT/Cを掛け合わせた値と比べると、実際の併用投与群のT/Cは、Day4、10、14、17、および21において小さい値を示した。
【0127】
以上より、KM8760とレナリドマイドの併用投与は、それぞれの単独投与より、高い抗腫瘍効果を示すことが明らかになった。
【実施例2】
【0128】
抗CCR4抗体とレナリドマイド併用投与による抗腫瘍効果(2)
HH細胞(ヒト
皮膚T細胞リンパ腫、ATCC番号:CRL−2105)を2×10
8個/mLでDulbecco’s phosphate buffered saline without calcium chloride and magnesium chloride(PBS,インビトロジェン社製)に懸濁し、SCIDマウス(日本クレア社より入手、雄)の腹側部皮内に100μL移植した。細胞移植後7日目にノギスによって腫瘍径を測定し、次式より腫瘍体積を算出した。
【0129】
(式)腫瘍体積=短径×短径×長径×0.5
【0130】
腫瘍体積が51から79mm
3の範囲内の個体を選抜し、平均腫瘍体積が均一になるように群分けした後に下記のA〜Dの投与群を設定した。群分けした日をDay0とした。
A. 陰性対照群:媒体投与
B. KM8760単独投与群:Day0、7、14、および21に20mg/kg投与
C. レナリドマイド単独投与群:Day0から13に1mg/kgで毎日投与
D. KM8760+レナリドマイド併用投与群:各単独投与群と同じスケジュール、用量で投与
【0131】
実験は各群12匹で行った。KM8760は生理食塩水(大塚製薬社製)で希釈調製し、尾静脈内より投与した。0.5%のメチルセルロースを溶解した生理食塩水にレナリドマイドを懸濁し、腹腔内に投与した。経日的に腫瘍体積を測定し、抗腫瘍効果の判定は、各測定日の腫瘍体積をDay0における腫瘍体積で除した値(V/V0)の平均値の比較により行った。
【0132】
各群のV/V0の平均値の経日的変化を
図2に示す。
図2に示したように、KM8760とレナリドマイドの併用投与群は、レナリドマイド単独投与群あるいは抗体単独投与群よりも高い増殖抑制効果を示した。
【0133】
表3に各単独投与群と併用投与群の有意差検定(Steel−Dwass検定)の結果を示す。表中、naは該当なし(not applicable)であることを示す。また、P<0.05の場合を有意差ありとし、表中*で示した。
【0134】
【表3】
【0135】
表3に示すように、レナリドマイド単独投与群と併用投与群の間には、すべての時点で有意差を認めた。KM8760単独投与群と併用投与群の間には、Day19、Day21の時点が有意差を認められた。
【0136】
各群のV/V0を陰性対照群のV/V0で除した値(T/C)を表4に示す。表中、*はT/Cの実測値が理論値よりも小さい場合を示す。
【0137】
【表4】
【0138】
表4に示すように、KM8760の薬効と、レナリドマイドの薬効が単純に加算された時のT/Cの理論値、すなわち各単独投与群のT/Cを掛け合わせた値と比べると、実際の併用投与群のT/Cは、Day14を除くすべての時点において小さい値を示した。
【0139】
以上より、KM8760とレナリドマイドの併用投与は、それぞれの単独投与より、高い抗腫瘍効果を示すことが明らかになった。
【実施例3】
【0140】
レナリドマイドと抗CCR4抗体の併用処置による抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性増強
【0141】
健常人末梢血からFicoll−paque(GEヘルスケア社製)を用いた密度勾配遠心により単核球(hPBMC)を取得した。hPBMCを、10%FBSと1%ペニシリン・ストレプトマイシン溶液(ナカライテスク社製)を含むRPMI1640培地(以後、単に培地と記載する)に懸濁し、レナリドマイドを最終濃度が0.1、1、10μMになるように添加した。1、3または5日間37℃にてインキュベートし、その後hPBMCを培地で1回洗浄し、培地で約5×10
6個/mLに調整し、これをエフェクター細胞とした。
【0142】
約100μLの培地に懸濁した1×10
6個のHH細胞と、20μLの
51Cr溶液(NEZ030、パーキンエルマー社製)を混合し、37℃で2から4時間程度インキュベートすることでHH細胞を放射ラベルした。放射ラベルしたHH細胞を培地で3回洗浄後、約2×10
5個/mLに調整し、これをターゲット細胞とした。
【0143】
KM8760を、培地で0.03、0.3、3μg/mLの濃度に調整しこれを抗体溶液とした。
【0144】
エフェクター細胞、ターゲット細胞、抗体溶液をそれぞれ50μLずつ、96穴丸底プレート上で混合し(エフェクター細胞:ターゲット細胞=25:1、抗体最終濃度=0.01、0.1、1μg/mL)、37℃で4時間インキュベートした。プレートを遠心し、上清50μLをLumaPlate(パーキンエルマー社製)に移して乾燥させ、マイクロプレート用液体シンチレーションカウンター(TopCount、パーキンエルマー社製)でCMPを測定した。ここで、CPMとは、1分当たりのカウント数である。細胞障害率(Lysis%)は以下の式で求めた。
【0145】
Lysis%=(サンプルのCPM−自然遊離のCPM)/(最大遊離のCPM−自然遊離のCPM)×100
【0146】
なお、自然遊離のCPMは、エフェクター細胞および抗体非存在下でのCPM、最大遊離のCPMは、抗体非存在下、エフェクター細胞の変わりに1%NP−40を混合したときのCPMである。
【0147】
結果を
図3に示す。
図3に示すように、レナリドマイドで処理することによりKM8760のADCC活性は明らかに増強した。
【0148】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2009年9月10日付けで出願された日本特許出願(特願2009−209218)および2009年9月11日付けで出願された米国仮特許出願(61/241,558)に基づいており、その全体が引用により援用される。
また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。