【文献】
貝原俊也、藤井信忠、指尾健太郎、銭毅,モデルプラントを用いた実仮想融合型の生産管理手法に関する研究 A study on real-virtual interaction mothod for production management with model plant,生産システム部門講演会講演論文集,一般社団法人日本機械学会 ,2008年 7月 4日,71-72
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記自己の順位が1である場合に、前記処理数値変更手段により前記自己の処理数値が前記昇順決定のときはより大きい数値に、前記降順決定のときはより小さい数値に変更されたときに、当該変更によりさらに前記自己の順位が2以下である前記データ処理装置が、前記自己の処理数値を前記昇順決定のときはより小さい数値に、前記降順決定のときはより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記自己の順位を仮更新する順位仮更新手段をさらに備え、
前記順位仮更新手段は、
前記自己の順位が2以下であり、かつ前記自己の処理数値を、前記昇順決定の場合はより小さい数値に、前記降順決定の場合はより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記順位を仮更新する必要があることを自己の変更された前記処理数値、自己の仮更新前の前記順位と共に前記他のデータ処理装置に送信する仮更新通知手段と、
前記仮更新通知手段により、前記順位が仮更新される必要があることを受信した場合に、前記昇順決定のときは前記自己の順位が前記通知された順位より高く、かつ前記自己の処理数値が前記通知された処理数値よりも大きい数値のとき、前記降順決定のときは前記自己の順位が前記通知された順位より高く、かつ前記自己の処理数値が前記通知された処理数値よりも小さい数値のときに、前記自己の順位を一つ繰り下げることで前記自己の順位を仮更新し、当該仮更新結果を前記他のデータ処理装置に送信する第1の仮更新手段と、
前記自己の順位が2以下であり、かつ前記自己の処理数値を、前記昇順決定の場合はより小さい数値に、前記降順決定の場合はより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記仮更新結果を受信する毎に、当該仮更新結果が当該仮更新結果を送信した前記他のデータ処理装置が、前記仮更新において前記自己の順位を一つ繰り下げたことを示しているときは、前記自己の順位を一つ繰り上げることで前記自己の順位を順次仮更新する第2の仮更新手段とを有し、
前記順位更新手段により、前記自己の順位を決定する場合に、当該決定の前に前記順位仮更新手段により前記自己の順位を仮更新してから、前記順位更新手段により、前記自己の順位を決定することを特徴とする請求項1に記載のエレメントに対応付けられたデータ処理装置。
前記自己の順位が1である場合に、前記処理数値変更手段により前記自己の処理数値が前記昇順決定のときはより大きい数値に、前記降順決定のときはより小さい数値に変更されたときに、当該変更によりさらに前記自己の順位が2以下である前記データ処理装置が、前記自己の処理数値を前記昇順決定のときはより小さい数値に、前記降順決定のときはより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記自己の順位を仮更新する順位仮更新手段をさらに備え、
前記順位仮更新手段は、
前記自己の順位が2以下であり、かつ前記自己の処理数値を、前記昇順決定の場合はより小さい数値に、前記降順決定の場合はより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記順位を仮更新する必要があることを自己の変更された前記処理数値、自己の仮更新前の前記順位と共に前記他のデータ処理装置に送信し、前記自己の順位を1に初期化する仮更新通知手段と、
前記仮更新通知手段により、前記順位が仮更新される必要があることを受信した場合に、前記昇順決定のときは前記自己の順位が前記通知された順位より高く、かつ前記自己の処理数値が前記通知された処理数値よりも大きい数値のとき、前記降順決定のときは前記自己の順位が前記通知された順位より高く、かつ前記自己の処理数値が前記通知された処理数値よりも小さい数値のときに、前記自己の順位を一つ繰り下げることで前記自己の順位を仮更新し、前記昇順決定のときは前記通知された処理数値が前記自己の処理数値と比較して大きいとき、前記降順決定のときは前記通知された処理数値が前記自己の処理数値と比較して小さいとき、当該比較の結果を仮更新結果として前記他のデータ処理装置に送信する第1の仮更新手段と、
前記自己の順位が2以下であり、かつ前記自己の処理数値を前記昇順決定の場合はより小さい数値に、前記降順決定の場合はより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記仮更新結果を受信する毎に、前記昇順決定のときは当該仮更新結果が、当該仮更新結果を送信した前記他のデータ処理装置の前記処理数値よりも前記自己の処理数値が大きい、前記降順決定のときは当該仮更新結果が、当該仮更新結果を送信した前記他のデータ処理装置の前記処理数値よりも前記自己の処理数値が小さいことを示すときは、前記自己の順位を一つ繰り下げることで前記自己の順位を順次仮更新する第2の仮更新手段とを有し、
前記順位更新手段により、前記自己の順位を決定する場合に、当該決定の前に前記順位仮更新手段により前記自己の順位を仮更新してから、前記順位更新手段により、前記自己の順位を決定することを特徴とする請求項1に記載のエレメントに対応付けられたデータ処理装置。
前記エレメントが工作機械、加工機械、包装機械、メッキ機械、組立機械、搬送機械、測定機器、自動倉庫およびバッファの少なくともいずれかを備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のエレメントに対応付けられたデータ処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術では、システムにおいて、エレメントの増設、撤去および仕様変更が行われる毎に、エレメントの増設、撤去および仕様変更に対応するように、コンピュータ上に構築した各エレメントのモデルを変更する必要がある。このようなモデルの変更は煩雑である。
【0005】
本発明の目的は、複数のエレメントを含むシステム内で、シミュレーションを一例とする、システムに関する情報の操作を行うにあたって、システムにおけるエレメントの増設、撤去および仕様変更に容易に対応することができる、エレメントに対応付けられたデータ処理装置、複数の前記データ処理装置を含むシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のデータ処理装置は、互いにデータ通信可能に接続され、
それぞれが実作業を行う1つのエレメントに対応付けられた複数のデータ処理装置の一つであって、自己が対応付けられた前記エレメントの実作業に関する管理情報を記憶する管理情報記憶手段と、
シミュレーションにおける前記エレメントに関する作業の完了予定時刻を表す処理数値を記憶する処理数値記憶手段と、前記管理情報に基づき自己の前記処理数値を変更する処理数値変更手段と、各々の前記データ処理装置に共通する共通処理数値を記憶する共通処理数値記憶手段と、前記複数のデータ処理装置の間で、前記処理数値記憶手段に記憶された前記処理数値の順位を決定する順位決定手段と、決定された自己の前記順位を記憶する順位記憶手段と
、前記自己の順位を更新する順位更新手段とを備えており、前記順位決定手段は、前記順位記憶手段に記憶された前記自己の順位を1に初期化すると共に、前記自己の処理数値を他の前記データ処理装置に送信し、前記他のデータ処理装置から送信された他の前記処理数値を受信する毎に、順位を前記処理数値の昇順に従って決定する昇順決定の場合は、前記自己の処理数値が受信した前記処理数値より大きい数値のときに、順位を
前記処理数値の降順に
従って決定する降順決定の場合は、前記自己の処理数値が前記受信した処理数値より小さいときに、前記順位記憶手段に記憶された前記自己の順位を一つ繰り下げることによって、前記順位を決定し、前記処理数値変更手段は、前記自己の順位が1に決定された場合に、前記自己の処理数値を前記共通処理数値として前記共通処理数値記憶手段に記憶し、当該共通処理数値を前記他のデータ処理装置に送信すると共に、前記自己の処理数値を前記昇順決定の場合はより大きい数値に、前記降順決定の場合はより小さい数値に変更し、前記自己の順位が2以下に決定された場合に、受信した前記共通処理数値を前記共通処理数値記憶手段に記憶
し、前記順位更新手段は、前記自己の順位が1である場合に、前記処理数値変更手段により前記自己の処理数値が、前記昇順決定の場合にはより大きい数値に変更されたとき、前記降順決定の場合にはより小さい数値に変更されたとき、当該変更された前記処理数値を前記他のデータ処理装置に送信する更新通知手段と、前記他のデータ処理装置から前記変更された処理数値を受信した場合は、前記昇順決定のときには、前記自己の処理数値が当該受信した処理数値より小さい数値のとき、前記降順決定のときには、前記自己の処理数値が前記受信した処理数値より大きい数値のとき、前記自己の順位を一つ繰り上げることで前記順位の更新を行うと共に、当該更新結果を前記他のデータ処理装置に送信する第1の更新手段と、前記更新通知手段により、前記変更された処理数値を前記他のデータ処理装置に送信した場合は、前記更新結果を受信する毎に、当該更新結果が、当該更新結果を送信した前記他のデータ処理装置が前記更新において前記順位を繰り上げたことを示しているときは、前記自己の順位を一つ繰り下げることで、前記自己の順位を順次更新する第2の更新手段とを有し、一度、前記順位決定手段により前記自己の順位を決定した後は、前記順位更新手段により前記自己の順位を決定することを特徴とする。
【0007】
本発明によると、各データ処理装置は、対応付けられたエレメントの管理情報から、システムの情報の操作に関する処理数値を決定し、他のデータ処理装置との間でデータ通信を行いつつ、データ処理装置間で共通の共通処理数値を基準として、システムに関する情報の操作を行うため、エレメントの増設、撤去および仕様変更があったとしても、エレメントのモデルの変更が必要ない。このように、システムに関する情報の操作を行うにあたって、エレメントの増設、撤去および仕様変更に容易に対応することができる。また、処理数値の順位を、他のデータ処理装置の処理数値を受信して、順次比較して決定するため、容易に自己の処理数値の順位を決定することができる。
また、各データ処理装置が記憶している自己の順位を利用して自己の順位を更新することができる。このためさらに容易に自己の処理数値の順位を決定することができる。
さらに、各データ処理装置が、対応付けられたエレメントの管理情報からシミュレーションにおけるエレメントに関する作業の完了予定時刻を処理数値として決定し、他のデータ処理装置との間でデータ通信を行いつつ、シミュレーション内の共通処理数値である共通時刻を元に、シミュレーションを進行させるため、エレメントの増設、撤去および仕様変更があったとしても、シミュレーションのモデルを再構築する必要がなく、容易に対応することができる。
【0010】
第
2の発明のデータ処理装置は、前記第
1の発明において、前記自己の順位が1である場合に、前記処理数値変更手段により前記自己の処理数値が前記昇順決定のときはより大きい数値に、前記降順決定のときはより小さい数値に変更されたときに、当該変更によりさらに前記自己の順位が2以下である前記データ処理装置が、前記自己の処理数値を前記昇順決定のときはより小さい数値に、前記降順決定のときはより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記自己の順位を仮更新する順位仮更新手段をさらに備え、前記順位仮更新手段は、前記自己の順位が2以下であり、かつ前記自己の処理数値を、前記昇順決定の場合はより小さい数値に、前記降順決定の場合はより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記順位を仮更新する必要があることを自己の変更された前記処理数値、自己の仮更新前の前記順位と共に前記他のデータ処理装置に送信する仮更新通知手段と、前記仮更新通知手段により、前記順位が仮更新される必要があることを受信した場合に、前記昇順決定のときは前記自己の順位が前記通知された順位より高く、かつ前記自己の処理数値が前記通知された処理数値よりも大きい数値のとき、前記降順決定のときは前記自己の順位が前記通知された順位より高く、かつ前記自己の処理数値が前記通知された処理数値よりも小さい数値のときに、前記自己の順位を一つ繰り下げることで前記自己の順位を仮更新し、当該仮更新結果を前記他のデータ処理装置に送信する第1の仮更新手段と、前記自己の順位が2以下であり、かつ前記自己の処理数値を、前記昇順決定の場合はより小さい数値に、前記降順決定の場合はより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記仮更新結果を受信する毎に、当該仮更新結果が当該仮更新結果を送信した前記他のデータ処理装置が、前記仮更新において前記自己の順位を一つ繰り下げたことを示しているときは、前記自己の順位を一つ繰り上げることで前記自己の順位を順次仮更新する第2の仮更新手段とを有し、前記順位更新手段により、前記自己の順位を決定する場合に、当該決定の前に前記順位仮更新手段により前記自己の順位を仮更新してから、前記順位更新手段により、前記自己の順位を決定することを特徴とする。
【0011】
この第
2の発明によると、順位が1であるデータ処理装置が処理数値を変更したことにより、順位が2以下であるデータ処理装置が自己の順位が高くなる方向に処理数値を変更する必要が生じた場合にも、このデータ処理装置が処理数値を変更したことによる順位の変更を順位の仮更新として処理することができる。
【0012】
第
3の発明のデータ処理装置は、前記第
1の発明において、前記自己の順位が1である場合に、前記処理数値変更手段により前記自己の処理数値が前記昇順決定のときはより大きい数値に、前記降順決定のときはより小さい数値に変更されたときに、当該変更によりさらに前記自己の順位が2以下である前記データ処理装置が、前記自己の処理数値を前記昇順決定のときはより小さい数値に、前記降順決定のときはより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記自己の順位を仮更新する順位仮更新手段をさらに備え、前記順位仮更新手段は、前記自己の順位が2以下であり、かつ前記自己の処理数値を、前記昇順決定の場合はより小さい数値に、前記降順決定の場合はより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記順位を仮更新する必要があることを自己の変更された前記処理数値、自己の仮更新前の前記順位と共に前記他のデータ処理装置に送信し、前記自己の順位を1に初期化する仮更新通知手段と、前記仮更新通知手段により、前記順位が仮更新される必要があることを受信した場合に、前記昇順決定のときは前記自己の順位が前記通知された順位より高く、かつ前記自己の処理数値が前記通知された処理数値よりも大きい数値のとき、前記降順決定のときは前記自己の順位が前記通知された順位より高く、かつ前記自己の処理数値が前記通知された処理数値よりも小さい数値のときに、前記自己の順位を一つ繰り下げることで前記自己の順位を仮更新し、前記昇順決定のときは前記通知された処理数値が前記自己の処理数値と比較して大きいとき、前記降順決定のときは前記通知された処理数値が前記自己の処理数値と比較して小さいとき、当該比較の結果を仮更新結果として前記他のデータ処理装置に送信する第1の仮更新手段と、前記自己の順位が2以下であり、かつ前記自己の処理数値を前記昇順決定の場合はより小さい数値に、前記降順決定の場合はより大きい数値に変更する必要が生じたときに、前記仮更新結果を受信する毎に、前記昇順決定のときは当該仮更新結果が、当該仮更新結果を送信した前記他のデータ処理装置の前記処理数値よりも前記自己の処理数値が大きい、前記降順決定のときは当該仮更新結果が、当該仮更新結果を送信した前記他のデータ処理装置の前記処理数値よりも前記自己の処理数値が小さいことを示すときは、前記自己の順位を一つ繰り下げることで前記自己の順位を順次仮更新する第2の仮更新手段とを有し、前記順位更新手段により、前記自己の順位を決定する場合に、当該決定の前に前記順位仮更新手段により前記自己の順位を仮更新してから、前記順位更新手段により、前記自己の順位を決定することを特徴とする。
【0013】
この第
3の発明によると、第
2の発明とは異なったアルゴリズムで第
2の発明と同じ効果を得ることができる。
【0014】
第
4の発明のデータ処理装置は、前記第1の発明において前記データ処理装置に固有の識別番号を記憶する識別番号記憶手段をさらに備え、前記順位決定手段は、前記自己の処理数値と前記受信した処理数値とが同じ場合、当該処理数値を送信した前記データ処理装置から前記識別番号をさらに受信し、自己の前記識別番号が受信した前記識別番号より大きいとき、前記自己の処理数値が前記受信した処理数値より大きいとして処理し、前記自己の識別番号が前記受信した識別番号より小さいとき、前記自己の処理数値が前記受信した処理数値より小さいとして処理することを特徴とする。
【0015】
この第
4の発明によると、各データ処理装置が固有の識別番号を有することで、データ処理装置間で同じ処理数値を有している場合にも、各データ処理装置が自己の順位を順位の重複なく決定することができる。
【0016】
第
5の発明のデータ処理装置は、前記第1〜第
4の何れかの発明において前記エレメントが生産、運搬および配送の少なくともいずれかに関わる機械を備えていることを特徴とする。
【0017】
第
6の発明のデータ処理装置は、前記第1〜第
5の何れかの発明において前記エレメントが工作機械、加工機械、包装機械、メッキ機械、組立機械、搬送機械、測定機器、自動倉庫およびバッファの少なくともいずれかを備えていることを特徴とする。
【0020】
第
7の発明のシステムは、前記第1から第
6のいずれかの発明のデータ処理装置を複数含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、各データ処理装置は、対応付けられたエレメントの管理情報から、システムの情報の操作に関する処理数値を決定し、他のデータ処理装置との間でデータ通信を行いつつ、データ処理装置間で共通の共通処理数値を基準として、システムに関する情報の操作を行うため、エレメントの増設、撤去および仕様変更があったとしても、エレメントのモデルの変更等が必要ない。このように、システムに関する情報の操作を行うにあたって、エレメントの増設、撤去および仕様変更に容易に対応することができる。また、処理数値の順位を、他のデータ処理装置の処理数値を受信して、順次比較して決定するため、容易に自己の処理数値の順位を決定することができる。
また、各データ処理装置が記憶している自己の順位を利用して自己の順位を更新することができる。このためさらに容易に自己の処理数値の順位を決定することができる。
さらに、各データ処理装置が、対応付けられたエレメントの管理情報からシミュレーションにおけるエレメントに関する作業の完了予定時刻を処理数値として決定し、他のデータ処理装置との間でデータ通信を行いつつ、シミュレーション内の共通処理数値である共通時刻を元に、シミュレーションを進行させるため、エレメントの増設、撤去および仕様変更があったとしても、シミュレーションのモデルを再構築する必要がなく、容易に対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、システムの具体的な例として、回路基板製造システム1を取り上げる。
【0024】
図1は回路基板の製造に関わる装置が、ネットワークで接続された回路基板製造システム1であり、この回路基板製造システム1は、複数の作業装置2と、管理端末4とを備えている。複数の作業装置2と管理端末4とが、LAN(Local Area Network)3を介して、互いにデータ通信可能となっている。管理端末4は、回路基板製造システム1全体を管轄する端末であり、作業装置2間での通信の調整や、各作業装置2から送信される情報の監視などを行う。また、管理端末4は、各作業装置2の動作機構501の稼働状況のシミュレーションの進行を管理している。本実施例では、管理端末4は、作業装置2の動作機構501についての管理情報は有していない。
【0025】
作業装置2は、回路基板を製造するために必要な各工程の作業を行う。作業装置2aは、基材から基板を切り出す切り出し工程を行う。作業装置2bは、基材から切り出された基板に配線パターンを形成するパターン形成工程を行う。作業装置2cは、配線パターンが形成された基板に、スルーホール、スリットなどを形成する基板加工工程を行う。作業装置2dは、加工された基板に部品を実装する部品実装工程を行う。各作業装置2は、必要に応じて、管理端末4から、作業開始指示など、自己の作業に必要な情報を受信する。
【0026】
図2を参照しつつ、作業装置2の機能について説明する。作業装置2は、各工程の作業を行う動作機構501と、制御部502とを有している。
【0027】
制御部502は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き換え可能に記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。制御部502の各機能部は、これらハードウェアとEEPROM内のソフトウェアとが協働して構築されている。制御部502は、動作機構501についての情報を管理する管理情報記憶部504と、動作機構501の実際の動作を制御する動作制御部503と、動作機構501の稼働状況をシミュレーションするシミュレーション部505とを有している。
【0028】
管理情報記憶部504は、データ処理装置の動作機構501が行う作業の内容を記憶する作業内容記憶部506と、作業の内容に関連する動作機構501の動作を特定するための動作パラメータを記憶する動作パラメータ記憶部507とを有している。
【0029】
ここで作業とは、本実施例においては、作業装置2が担当する基板製造の各工程であり、例えば、作業装置2aの場合、基板を所定の位置に設置すること、基板の表面の状態が適正であるかを検査すること、基板を設定された外形寸法に切り出すことなどを示している。動作パラメータ記憶部507は、動作機構501の動作を特定するための動作パラメータを記憶する。ここで動作パラメータは、動作機構501の仕様に関わる各作業装置2固有の情報である。具体的な動作パラメータとしては、動作機構501に設けられた基板表面の検査のためのプローブを移動させるアクチュエータの駆動電圧、駆動信号や、基板を切り出すドリルの種類、ドリルを駆動するモータの設定回転数、駆動トルクなどが挙げられる。動作制御部503は、動作パラメータ記憶部507に記憶された動作パラメータに基づいて、作業内容記憶部506に記憶された実際の作業が行われるように、動作機構501を制御する。
【0030】
シミュレーション部505は、作業装置2が、動作機構501によって作業を行った場合の稼働状況をシミュレーションする。本実施例では、動作パラメータ記憶部507に記憶された動作パラメータに基づいて、作業内容記憶部506に記憶された作業内容を行ったときの作業の完了予定時刻Tを順次更新することで動作機構501の稼働状況をシミュレーションする。この完了予定時刻Tが本発明の処理数値に対応する。シミュレーション部505は、作業の完了予定時刻Tを記憶する完了予定時刻記憶部508と、完了予定時刻Tを変更する完了予定時刻変更部509と、全ての作業装置2間で共通する共通時刻Wを記憶する共通時刻記憶部510と、自己の完了予定時刻Tのシステム内での順位Pを決定する順位決定部511と、自己の順位Pを記憶する順位記憶部512と、前記順位Pを更新する順位更新部513と、前記順位Pを更新する場合に、ある作業装置2が完了予定時刻Tを変更する必要が生じたときに、前記順位Pを仮更新する順位仮更新部514と、各作業装置2を識別するための識別番号IDを記憶する識別番号記憶部515とを備えている。
【0031】
完了予定時刻記憶部508は、自己の完了予定時刻Tを記憶する。
【0032】
完了予定時刻変更部509は、自己の順位Pが1に決定された場合に、自己の完了予定時刻Tを、共通時刻Wとして共通時刻記憶部510に記憶し、この共通時刻Wを他のデータ処理装置に送信すると共に、自己の完了予定時刻Tをより遅い時刻に変更し、自己の順位Pが、2以下に決定された場合に、受信した共通時刻Wを共通時刻記憶部510に記憶する。
【0033】
共通時刻記憶部510は、各々の作業装置2に共通する共通時刻Wを記憶する。
【0034】
順位決定部511は、順位記憶部512に記憶された自己の順位Pを1に初期化すると共に、自己の完了予定時刻Tを他の作業装置2に送信し、他の作業装置2から送信された他の完了予定時刻Tを受信する毎に、自己の完了予定時刻Tが受信した完了予定時刻Tより遅い時刻のときに、順位記憶部512に記憶された自己の順位Pを一つ繰り下げることによって、順位Pを決定する。
【0035】
また、順位決定部511は、自己の完了予定時刻Tと受信した完了予定時刻Tとが同じ時刻の場合、受信した完了予定時刻Tを送信した作業装置2から識別番号IDをさらに受信し、自己の識別番号IDが、受信した識別番号IDより大きいとき、自己の完了予定時刻Tが受信した完了予定時刻Tより遅いとして処理し、自己の識別番号IDが、受信した識別番号IDより小さいとき、自己の完了予定時刻Tが受信した完了予定時刻Tより早いとして処理する。
【0036】
順位記憶部512は、決定された自己の順位Pを記憶する。
【0037】
順位更新部513は、更新通知部516と、第1更新部517と、第2更新部518とを有している。
【0038】
更新通知部516は、自己の順位Pが1である場合に、完了予定時刻変更部509により、自己の完了予定時刻Tがより遅い数値に変更されたとき、この変更された完了予定時刻Tを他の作業装置2に送信する。
【0039】
第1更新部517は、他の作業装置2から変更された完了予定時刻Tを受信した場合は、自己の完了予定時刻Tがこの受信した完了予定時刻Tより早いとき、自己の順位Pを一つ繰り上げることで順位Pの更新を行うと共に、更新結果Mを他の作業装置2に送信する。
【0040】
第2更新部518は、上述した更新通知部516により、変更された完了予定時刻Tを、他の作業装置2に送信した場合は、更新結果Mを受信する毎に、この更新結果Mが、この更新結果Mを送信した他の作業装置2が、更新において順位Pを繰り上げたことを示しているときは、自己の順位Pを一つ繰り下げることで自己の順位Pを順次更新する。
【0041】
そして、本実施形態において、順位更新部513は一度、順位決定部511により自己の順位Pを決定した後は、順位更新部513により、自己の順位Pを決定する。
【0042】
順位仮更新部514は、仮更新通知部519と、第1仮更新部520と、第2仮更新部521とを有している。
【0043】
仮更新通知部519は、自己の順位Pが2以下であり、かつ加工された基板(以下、ワーク)の受け入れなどの割り込み作業によって、自己の完了予定時刻Tをより早い時刻に変更する必要が生じたときに、順位Pを仮更新する必要があることを、自己の変更された完了予定時刻T、自己の仮更新前の順位Pと共に他の作業装置2に送信する。
【0044】
第1仮更新部520は、仮更新通知部519により順位Pが仮更新される必要があることを受信した場合に、自己の順位Pが通知された順位Pより高く、かつ自己の完了予定時刻Tが通知された完了予定時刻Tよりも遅いとき、自己の順位Pを一つ繰り下げることで自己の順位Pを仮更新し、この仮更新結果Nを他の作業装置2に送信する。
【0045】
自己の順位Pが2以下であり、かつ自己の完了予定時刻Tを、より早い時刻に変更する必要が生じたときに、仮更新結果Nを受信する毎に、この仮更新結果Nが、仮更新結果Nを送信した他の作業装置2が、仮更新において自己の順位Pを一つ繰り下げたことを示しているときは、自己の順位Pを一つ繰り上げることで自己の順位Pを順次仮更新する。
【0046】
そして、順位仮更新部514は、自己の順位Pが1である場合に、完了予定時刻変更部509により、自己の完了予定時刻Tが、より遅い時刻に変更されたときに、この変更により、さらに自己の順位Pが2以下である作業装置2が、自己の完了予定時刻Tをより早い時刻に変更する必要が生じたときに、自己の順位Pを仮更新してから、順位更新部513により順位Pを決定する。
【0047】
識別番号記憶部515は、作業装置2に固有の識別番号IDを記憶する。
【0048】
順位記憶部512は、順位決定部511が決定した順位Pを記憶する。
【0049】
このように各作業装置2は、それぞれの担当する実作業を行いつつ、その動作機構501の制御部502が、動作機構501の管理情報に基づいて、動作機構501の稼働状況をシミュレーションする。本実施形態の動作機構501、制御部502がそれぞれ本発明のエレメント、データ処理装置に対応する。この動作機構501に対応付けられた制御部502は、従来のように動作機構501のモデルを有するコンピュータとは異なり、実際の動作機構501の管理情報を常に利用できるという著しい特徴がある。
【0050】
以下ではシミュレーションの進行について詳しく説明する。
【0051】
まず、シミュレーションの開始時のステップS1から、シミュレーションが3段階進行したステップS4までについて、順位Pが決定される状況を、図面3、4、および5を参照しながら説明する。
【0052】
図3は、シミュレーション開始時の順位Pの決定について説明する図である。図中右側に延びる矢印が時間の進行を示している。また、図中左側の縦線が、シミュレーション開始時間を示す。シミュレーション開始時において作業装置2aは、加工すべきシミュレーション上のワーク(以下、仮想ワーク)を有しており、その仮想作業が完了する完了予定時刻TがTa−1で示されている。作業装置2bおよび2dについても同様に、それぞれの完了予定時刻TがTb−1およびTd−1で示されている。作業装置2cは、シミュレーション開始時には加工すべきワークを有しておらず、完了予定時刻Tは仮に決定されており、本実施形態では、完了予定時刻記憶部508の許容できる最大値となっている。各作業装置2は、管理端末4からシミュレーションの開始メッセージを受信すると、順位決定部511により、他の作業装置2の完了予定時刻Tを受信し、その完了予定時刻Tを自己の完了予定時刻Tと比較して、自己の順位Pを決定する。
図3では右端に示したように完了予定時刻Tの順位Pは作業装置2a〜2dについてそれぞれ2、3、4、および1と決定される。このステップS1における順位Pの決定が、本発明の順位決定部511による順位Pの決定に対応する。
【0053】
図4は、シミュレーション開始時から、作業装置2dで仮想ワークの加工が完了し、作業装置2bへ仮想ワークの受け渡しを行ったステップS2と、その次のステップS3での順位Pの決定を説明するための図である。作業装置2dで仮想ワークの加工が完了して作業装置2bへの受け渡しが発生すると、ステップS1での作業装置2bの仮想ワークの加工の完了予定時刻Tb−1より早い時刻Tb−2に仮想ワークを受け入れる必要が生じている。このような割り込み作業が発生したため、順位仮更新部514によって、作業装置2の仮想作業の完了予定時刻Tの順位Pを仮更新する必要が生じる。仮想ワークの受け入れを行った作業装置2bは、自己の仮更新前の順位Pと、自己の割り込み作業によって変更された受け入れ作業の完了予定時刻Tb−2とを他の作業装置2に送信し、他の作業装置2は、受信した順位Pおよび完了予定時刻Tと、自己の順位Pおよび完了予定時刻Tとを比較して自己の順位Pを仮更新する。また、その仮更新結果Nは、他の作業装置2に送信され、作業装置2bは、その仮更新結果Nによって自己の順位Pを仮更新する。この順位Pの仮更新の結果が、
図4のS2の下に示されており、作業装置2a〜2dについてそれぞれ3、2、4、1である。このステップS1からステップS2への順位Pの変化が、本発明の順位Pの仮更新に対応する。
【0054】
その次のステップS3では、仮更新された順位Pが1である作業装置2dが、自己の完了予定時刻Tを、次の仮想作業の完了予定時刻Tに設定し、他の作業装置2に、その完了予定時刻Tを送信する。この完了予定時刻Tを受信した各作業装置2は、受信した完了予定時刻Tと、自己の完了予定時刻Tとを比較して自己の順位Pを更新する。また、その更新結果Mは、他の作業装置2に送信され、作業装置2dは、その更新結果Mによって自己の順位Pを更新する。この順位Pの更新の結果が、
図4のS3の下に示されており、作業装置2a〜2dについてそれぞれ2、1、4、3である。このステップS2からステップS3への順位Pの変化が、本発明の順位Pの更新に対応する。
【0055】
図5は、ステップS3から、作業装置2bが、次の仮想作業の完了予定時刻Tを、当初の完了予定時刻Tb−1に進めたステップS4での順位Pの更新を説明する図である。作業装置2bは、時刻Tb−2で仮想ワークの受け入れを完了した後、当初の仮想ワークの加工を続け、仮想ワークの加工の完了予定時刻Tb−1を自己の完了予定時刻Tとして設定する。その後は、上述したステップS2からS3への順位Pの更新と同様であり、順位Pの更新の結果は、
図5のS4の下に示すように作業装置2a〜2dについてそれぞれ1、2、4、3である。
【0056】
次に、シミュレーションのフローを、
図6から
図12に示すフローチャートに基づいて説明する。シミュレーションにおいては、各作業装置2の制御部502が以下に説明するフローを実行する。なお、以下簡単のため、フローを実行する主体を作業装置2として説明する。
【0057】
図6は、シミュレーションの全体のフローを説明するための図である。管理端末4からの指示により、シミュレーションが開始されると、すべての作業装置2は、それぞれ初期処理を行う(S101)。そして、初期処理において決定された順位Pを元に(S102)、その順位Pが1である場合は、SIM権利者処理を行い(S103)、順位Pが2以下である場合は、SIM参加者処理を行う(S104)。その後、それぞれの作業装置2は、シミュレーションを続行するか否かを判断し(S105)、続行する場合は、SIM権利者処理またはSIM参加者処理において更新された順位Pに基づいて、再びSIM権利者処理またはSIM参加者処理を行う。
【0058】
図7は、初期処理のフローを説明するための図である。初期処理が開始されると、作業装置2は、まず管理端末4からシミュレーションの終了時刻TEを受信する(S201)。この終了時刻TEは、その後の処理においてシミュレーションを続行するか否かを判断する際に用いられる。次に作業装置2は、加工すべき仮想ワークの有無、状態、仮想ワークの受け入れの有無、および自己の動作機構501の状態に基づいて、仮想ワークの加工または仮想ワークの受け入れを完了する完了予定時刻Tを決定する(S202)。なお、加工すべき仮想ワークが無い場合は、自己の完了予定時刻Tを、
図3から
図5の作業装置2cの完了予定時刻Tc−1に示すように、完了予定時刻記憶部508が許容できる最も遅い時刻とする。この完了予定時刻Tの決定が完了すると、以下の処理(順位決定処理)を実行して自己の順位Pを決定する。作業装置2は、自己の順位Pを1に初期化してから(S203)、自己の完了予定時刻Tを、自己の識別番号IDと共に他の作業装置2に送信する(S204)。その後、他の作業装置2から送信された完了予定時刻Tと識別番号IDを受信する毎(S205)に以下の処理を行う。まず自己の完了予定時刻Tが、受信した完了予定時刻T2よりも遅い時刻である場合は、自己の順位Pを1つ繰り下げる(S206、S209)。自己の完了予定時刻Tが、受信した完了予定時刻T2と同じ時刻である場合は、自己の識別番号IDが、受信した識別番号ID2より大きい数値のときは、自己の順位Pを1つ繰り下げ、そうでないときは、自己の順位Pを維持する(S206、S207、S208、S209)。そして、自己の完了予定時刻Tが、受信した完了予定時刻T2より早い時刻である場合は、自己の順位Pを維持する(S206、S207)。このような処理を、すべての作業装置2から完了予定時刻Tと識別番号IDを受信するまで繰り返す(S210)。
【0059】
本実施例では、管理端末4が、すべての作業装置2の完了予定時刻Tと識別番号IDの送信を確認して、作業装置2に全受信完了のメッセージを送信する。
【0060】
このようにして、全受信完了のメッセージを受信すると、初期処理は終了し、それぞれの作業装置2は、自己の作業の完了予定時刻Tとその順位Pの決定を完了する。
【0061】
図8は、SIM権利者処理を説明するための図である。SIM権利者処理が開始されると、まず自己の完了予定時刻Tを共通時刻Wに代入して(S301)、他の作業装置2に送信する(S302)。この共通時刻Wは、順位Pが1である作業装置2(以下、SIM権利者)のみが設定できる時刻であり、全ての作業装置2間で共有される。そして、この共通時刻Wが、終了時刻TEよりも早い時刻の場合は、加工を完了した仮想ワークを、次の工程の加工を担当する作業装置2に受け渡す必要があるか否かを判断する(S303、S304)。本実施例では、最終工程の部品実装を担当する作業装置2dのみ、仮想ワークを他の作業装置2に受け渡す必要がない。仮想ワークを受け渡す必要がある場合、次の工程を担当する作業装置2の識別番号ID3を選択し、その識別番号ID3を有する作業装置2に、仮想ワークの受け入れが完了する受け入れ完了予定時刻T3を送信する(S305)。この後、受け入れ先の作業装置2からのソート完了のメッセージの受信を待つ(S306)。ソート完了のメッセージを受信すると、共通時刻Wを基準として、再び加工すべき仮想ワークの有無、状態、仮想ワークの受け入れの有無、および自己の動作機構501の状態に基づいて、仮想ワークの加工または仮想ワークの受け入れを完了する完了予定時刻Tを決定する(S307)。そして、以下の処理を実行して、自己の順位Pを更新する。まず、作業装置2は、決定した完了予定時刻Tを、他の作業装置2に送信する(S308、更新通知処理)。そして、送信した完了予定時刻Tに対して、他の作業装置2が送信する更新結果Mを受信する毎(S309)に、自己の順位Pにその更新結果Mを加えることで、順次、自己の順位Pを更新する(S310)。この更新を、全ての作業装置2から更新結果Mを受信するまで繰り返す(S311、第2更新処理)。第1更新処理については後述する。
【0062】
本実施例では、管理端末4が、完了予定時刻Tを送信した作業装置2以外の全ての作業装置2の更新結果Mの送信を確認して、SIM権利者となっている作業装置2に、全受信完了のメッセージを送信する。
【0063】
なお、共通時刻Wが、終了時刻TEよりも遅い時刻である場合には、SIM権利者である作業装置2は、シミュレーションを終了する終了メッセージを他の作業装置2に送信する。
【0064】
このようにして、全受信完了のメッセージを受信するか、終了メッセージを送信してSIM権利者処理は終了し、SIM権利者となった作業装置2は、共通時刻Wの設定と送信、シミュレーション終了か否かの判断、および自己の完了予定時刻Tとその順位Pとの更新を完了する。
【0065】
図9、10および11は、SIM参加者処理を説明するための図である。SIM参加者処理は、上述した更新通知処理および第2更新処理に対応する処理、仮想ワークの受け入れを行う場合に実行する処理、仮想ワークの受け入れによって順位Pの仮更新が必要と通知された場合に実行する処理の3つの部分に分けられる。これらの部分が、それぞれ
図9、
図10、および
図11に対応する。
【0066】
まず、
図9を参照しつつ、更新通知処理および第2更新処理に対応する処理について説明する。この部分は、SIM参加者の順位更新処理に対応し、SIM権利者となった作業装置2が送信した完了予定時刻T2を受信した場合(S401)、自己の完了予定時刻Tが、受信した完了予定時刻T2よりも早い時刻であれば、更新結果Mを1に設定し(S402、S403)、そうでないときは、更新結果Mを0に設定する(S402、S404)。そして、更新結果Mを1に設定した場合にのみ、自己の順位Pを1つ繰り上げる(S405)。その後、更新結果Mを、他の作業装置2に送信して、SIM参加者処理を終了する(第1更新処理)。
【0067】
次に、
図10を参照しつつ、仮想ワークの受け入れを行う場合に実行する処理について説明する。仮想ワークの受け入れ完了予定時刻T3を受信した場合(S501)、受信した完了予定時刻T3が、自己の完了予定時刻Tより早い時刻であるとき(S502)は、自己の完了予定時刻Tを、受信した完了予定時刻T3に変更する(S503)。そして、以下に述べる処理を行う。まず、変更した完了予定時刻Tと自己の順位Pとを他の作業装置2に送信する(S504、仮更新通知処理)。この完了予定時刻Tと順位Pとを受信した作業装置2から返信される仮更新結果Nを受信する毎(S505)に、自己の順位Pからその仮更新結果Nを差し引いて、自己の順位を、順次、仮更新する(S506)。そして、これをワークの受け入れ先の作業装置2以外の全ての作業装置2から受信するまで繰り返す(S507、第2仮更新処理)。
【0068】
本実施例では、管理端末4が、仮想ワークの受け入れ完了予定時刻T3を送信した作業装置2以外の全ての作業装置2の仮更新結果Nの送信を確認して、仮想ワークの受け入れを行う作業装置2に、全受信完了のメッセージを送信する。
【0069】
その後、他の作業装置2に、順位の仮更新の完了を示すソート完了のメッセージを送信する(S508)。なお、受信した仮想ワークの受け入れ完了予定時刻T3が、自己の完了予定時刻Tよりも遅い時刻である場合には、順位の仮更新は必要なく、ソート完了のメッセージのみを他の作業装置2に送信する(S508)。ソート完了のメッセージを送信した後は、順位Pの更新のためSIM権利者となった作業装置2から完了予定時刻Tが送信されるのを待つ。
【0070】
最後に、
図11を参照しつつ、仮想ワークの受け入れによって順位の仮更新が必要と通知された場合の処理について説明する。仮想ワークを受け入れる作業装置2から、順位P2と完了予定時刻T2を受信する(S601)と、以下の処理を行う。自己の順位Pが、受信した順位P2より高い場合(S602)、かつ自己の完了予定時刻Tが受信した完了予定時刻T2より遅い時刻である場合(S603)にのみ仮更新結果Nを1に設定し(S605)、自己の順位Pを1つ繰り下げる(S607)。そして、他の場合には、仮更新結果Nを0に設定して(S604、S606)、ワークを受け入れる作業装置2に送信する(S608、第1仮更新処理)。その後は、仮想ワークの受け入れを行う場合に実行する処理の場合と同様に、順位の更新のためSIM権利者となった作業装置2から、完了予定時刻Tが送信されるのを待つ。
【0071】
なお、他の作業装置2から完了予定時刻T、仮想ワークの受け入れ完了予定時刻T3、および順位Pと完了予定時刻Tの他に、シミュレーションの終了のための終了メッセージを受信した場合(S609)は、SIM参加者処理を終了する。
【0072】
ここで、本実施形態の変更形態について説明する。変更形態は、本実施形態と順位Pの仮更新の手順のみが異なっている。以下、本実施形態と同じ部分については、同じ符号を付して説明を省略し、本実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0073】
図12の変更形態のSIM権利者処理において、仮想ワークの受け渡しの完了予定時刻T3を送信した後(S305)、仮更新結果Nを自動的に1に設定して(S701)他の作業装置2に送信する(S702)。また、
図13の変更形態のSIM参加者処理において、仮想ワークの受け入れ完了予定時刻T3を受信して(S501)、順位の仮更新のため、自己の完了予定時刻Tおよび順位Pを送信した後(S504)に、自己の順位を1に初期化する(S703)。そして、受信した仮更新結果Nを、自己の順位Pに加え合わせることで、自己の順位Pを仮更新する(S704)。それに対応して、
図14のSIM参加者処理では、自己の順位Pが受信した順位P2よりも高く(S602)、かつ自己の完了予定時刻Tが受信した完了予定時刻T2よりも早い時刻の場合(S603)にのみ仮更新結果Nを1に設定し(S705)、他の場合は、仮更新結果Nを0に設定して(S706、S707)他の作業装置2に送信する(S608)。なお、本実施形態では、自己の順位Pが受信した順位P2よりも低い場合、自己の完了予定時刻Tが受信した完了予定時刻T2より早い時刻となることはなく、結果として、仮更新結果Nを1に設定するのは、受信した完了予定時刻T2が、自己の完了予定時刻Tと比較して遅い時刻である場合となる。
【0074】
本実施形態によると、互いにデータ通信可能に接続され、動作機構501に対応付けられた複数の制御部502の一つは、自己が対応付けられた動作機構501の実作業に関する管理情報を記憶する管理情報記憶部504と、作業の完了予定時刻を記憶する完了予定時刻記憶部508と、管理情報に基づき自己の完了予定時刻Tを変更する完了予定時刻変更部509と、各々の制御部502に共通する共通時刻Wを記憶する共通時刻記憶手段と、前記複数の制御部502の間で完了予定時刻記憶部508に記憶された完了予定時刻Tの順位Pを決定する順位決定部511と、決定された自己の順位Pを記憶する順位記憶部512とを備えている。順位決定部511は、順位記憶部512に記憶された自己の順位Pを1に初期化すると共に、自己の完了予定時刻Tを他の制御部502に送信し、他の制御部502から送信された他の完了予定時刻Tを受信する毎に、自己の完了予定時刻Tが受信した完了予定時刻Tより遅い時刻のときに、順位記憶部512に記憶された自己の順位Pを一つ繰り下げることによって順位Pを決定し、完了予定時刻変更部509は、自己の順位Pが1に決定された場合に、自己の完了予定時刻Tを共通時刻Wとして共通時刻記憶部510に記憶し、共通時刻Wを他の制御部502に送信すると共に、自己の完了予定時刻Tをより遅い時刻に変更し、自己の順位Pが2以下に決定された場合に、受信した共通時刻Wを共通時刻記憶部510に記憶する。
【0075】
本発明によると、各制御部502は、対応付けられた動作機構501の管理情報に基づいて、回路基板製造システム1のシミュレーションにおいて、作業の完了予定時刻Tを決定し、他の制御部502との間でデータ通信を行いつつ、制御部502間で共通の共通時刻Wを基準として、回路基板製造システム1に関するシミュレーションを行うため、作業装置2の増設、撤去および仕様変更があったとしても、動作機構501のモデルの変更が必要ない。このように、回路基板製造システム1に関するシミュレーションを行うにあたって、作業装置2の増設、撤去および仕様変更に容易に対応することができる。また、完了予定時刻Tの順位Pを、他の制御部502の完了予定時刻Tを受信して、順次、比較して決定するため、容易に自己の完了予定時刻Tの順位Pを決定することができる。
【0076】
本実施形態の制御部502はさらに、自己の順位Pを更新する順位更新部513をさらに備えており、順位更新部513は、自己の順位Pが1である場合に、完了予定時刻変更部509により自己の完了予定時刻Tがより遅い時刻に変更されたとき、この変更された完了予定時刻Tを他の制御部502に送信する更新通知部516と、他の制御部502から変更された完了予定時刻Tを受信した場合は、自己の完了予定時刻Tが受信した完了予定時刻Tより早い時刻のとき、自己の順位Pを一つ繰り上げることで順位Pの更新を行うと共に、この更新結果Mを他の制御部502に送信する第1更新部517と、更新通知部516により、変更された完了予定時刻Tを他の制御部502に送信した場合は、更新結果Mを受信する毎に、この更新結果Mが更新結果Mを送信した他の制御部502が、更新において順位Pを繰り上げたことを示しているときは、自己の順位Pを一つ繰り下げることで自己の順位Pを順次更新する第2更新部518とを有し、一度、順位決定部511により自己の順位Pを決定した後は、順位更新部513により自己の順位Pを決定する。
【0077】
これによると、各制御部502が記憶している自己の順位Pを利用して、自己の順位Pを更新することができる。このため第1の発明よりさらに容易に、自己の完了予定時刻Tの順位を決定することができる。
【0078】
本実施形態の制御部502は、さらに、第2の発明において自己の順位Pが1である場合に、完了予定時刻変更部509により、自己の完了予定時刻Tがより遅い時刻に変更されたときに、この変更によりさらに自己の順位Pが2以下である制御部502が自己の完了予定時刻Tをより早い時刻に変更する必要が生じたときに、自己の順位Pを仮更新する順位仮更新部514をさらに備え、順位仮更新部514は、自己の順位Pが2以下であり、かつ自己の完了予定時刻Tをより早い時刻に変更する必要が生じたときに、順位Pを仮更新する必要があることを、自己の変更された完了予定時刻T、自己の仮更新前の順位Pと共に、他の制御部502に通知する仮更新通知部519と、仮更新通知部519により順位Pが仮更新される必要があることを通知された場合に、自己の順位Pが通知された順位Pより高く、かつ自己の完了予定時刻Tが通知された完了予定時刻Tよりも遅い時刻のときに、自己の順位Pを一つ繰り下げることで、自己の順位Pを仮更新し、この仮更新結果Nを、他の制御部502に送信する第1仮更新部520と、自己の順位Pが2以下であり、かつ自己の完了予定時刻Tをより早い時刻に変更する必要が生じたときに、仮更新結果Nを受信する毎に、この仮更新結果Nが、仮更新結果Nを送信した他の制御部502が仮更新において自己の順位Pを一つ繰り下げたことを示しているときは、自己の順位Pを一つ繰り上げることで、自己の順位Pを順次仮更新する第2仮更新部521とを有し、順位更新部513により、自己の順位Pを決定する場合に、この決定の前に、順位仮更新部514により自己の順位Pを仮更新してから、順位更新部513により、自己の順位Pを決定する。
【0079】
これによると、順位Pが1である制御部502が、完了予定時刻Tを変更したことにより、順位Pが2以下である制御部502が、より早い時刻に完了予定時刻Tを変更する必要が生じた場合にも、この制御部502が、完了予定時刻Tを変更したことによる順位Pの変更を、順位Pの仮更新として処理することができる。
【0080】
本実施形態の変更形態の制御部502は、自己の順位Pが1である場合に、完了予定時刻変更部509により自己の完了予定時刻Tがより遅い時刻に変更されたときに、この変更によりさらに自己の順位Pが2以下である制御部502が、自己の完了予定時刻Tをより早い時刻に変更する必要が生じたときに、自己の順位Pを仮更新する順位仮更新部514をさらに備え、順位仮更新部514は、自己の順位Pが2以下であり、かつ自己の完了予定時刻Tをより早い時刻に変更する必要が生じたときに、順位Pを仮更新する必要があることを、自己の変更された完了予定時刻T、自己の仮更新前の順位Pと共に、他の制御部502に送信し、自己の順位Pを1に初期化する仮更新通知部519と、仮更新通知部519により順位Pが仮更新される必要があることを受信した場合に、自己の順位Pが通知された順位Pより高く、かつ自己の完了予定時刻Tが通知された完了予定時刻Tよりも遅い時刻のときに、自己の順位Pを一つ繰り下げることで自己の順位Pを仮更新し、通知された完了予定時刻Tが、自己の完了予定時刻Tと比較して遅い時刻のとき、この比較の結果を仮更新結果Nとして、他の制御部502に送信する第1仮更新部520と、自己の順位Pが2以下であり、かつ自己の完了予定時刻Tをより早い時刻に変更する必要が生じたときに、仮更新結果Nを受信する毎に、この仮更新結果Nが、仮更新結果Nを送信した他の制御部502の完了予定時刻Tよりも自己の完了予定時刻Tがより遅い時刻であることを示すときは、自己の順位Pを一つ繰り下げることで、自己の順位Pを順次仮更新する第2仮更新部521とを有し、順位更新部513により、自己の順位Pを決定する場合に、この決定の前に順位仮更新部514により、自己の順位Pを仮更新してから、順位更新部513により、自己の順位Pを決定する。
【0081】
これによると、本実施形態とは異なった手順で、本実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0082】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な変更が可能なものである。以下にその例を挙げる。
【0083】
まず、順位決定部511は、シミュレーションの初期処理の順位の決定でのみ機能しているが、本実施形態のようにシミュレーションの進行において、順位更新部513により順位を更新する代わりに、順位決定部511を機能させることにより、順位を更新することもできる。
【0084】
また、本実施形態においては、特定の信号を全ての作業装置2から受信したことを、管理端末4が、確認していたが、それぞれの作業装置2の制御部502に、識別番号リスト記憶部を設けて、シミュレーションの初期処理において、シミュレーションに関与する作業装置2の識別番号IDのリストを作成し、その後はそのリストを元に、全ての作業装置2から信号を受信したか否かを判断することもできる。
【0085】
また、本実施形態においては、処理数値を作業の完了予定時刻とし、時刻が早いほど順位が高いとしたが、これは一例であって、処理数値として他のものを設定することもできるし、順位の決定方法としても例えば時刻が遅いほど順位が高いとすることもできる。
【0086】
また、本実施形態では、作業装置2間での通信の調整や、各作業装置2から送信される情報の監視、各作業装置2の動作機構501の稼働状況のシミュレーションの進行を管理する管理端末4を備えたシステムを取り上げたが、それぞれの作業装置2の制御部502が、全体として、これらの機能を代替できれば、管理端末4を有しないシステムに本発明を適用することもできる。
【0087】
上述の実施形態では、処理数値を作業の完了予定時刻Tとしているが、処理数値の例としては、これ以外にも対象となるシミュレーションの内容に応じて、解析対象物重量、負荷に対する各種耐量など様々な数値が考えられる。
【0088】
本実施形態では、本発明を回路基板製造システム1に適用した例について説明したが、本発明は他の生産システム、例えば半導体ウエハ生産システム、自動車生産システムなど何らかの物理的形態を持つ商品の生産システムに、適用可能である。また、作業装置2も上述した生産システムの形態に応じて、実施例に示した作業装置2の他に、各種のNC工作機械、NC工作機械を多機能化したマシニングセンタなどに適用可能である。