(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709139
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】浮動細分化シールドケーブル組立体
(51)【国際特許分類】
H01B 11/18 20060101AFI20150409BHJP
H01B 7/17 20060101ALI20150409BHJP
H01P 3/06 20060101ALI20150409BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
H01B11/18 Z
H01B7/18 D
H01P3/06
H05K9/00 L
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-516932(P2011-516932)
(86)(22)【出願日】2009年5月8日
(65)【公表番号】特表2011-527092(P2011-527092A)
(43)【公表日】2011年10月20日
(86)【国際出願番号】CA2009000597
(87)【国際公開番号】WO2010003215
(87)【国際公開日】20100114
【審査請求日】2012年4月27日
(31)【優先権主張番号】2,636,936
(32)【優先日】2008年7月7日
(33)【優先権主張国】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】510318860
【氏名又は名称】イムリス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】シュ ハオチン
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】サンダース ジョン ケー.
【審査官】
小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−252237(JP,A)
【文献】
米国特許第06284971(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0037419(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 11/18
H01B 7/17
H01P 3/06
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MR磁石(10)を提供する段階と、
前記磁石内の患者テーブル(13)上に患者を配置する段階と、
RF伝送コイル(14)を用いてRF場を生成する段階と、
前記患者からMR信号を得る段階と、
通信ケーブル(21)の細長く軸方向に延出する内側導体構造(20)に、通信される信号を接続することにより、前記RF場において前記MR信号を通信する段階と、
前記細長く軸方向に延出する内側導体構造(20)のまわりを囲むように一定間隔で離間して配置された、前記ケーブルの軸方向に延出するシールド導体(23)を提供する段階とを備え、
前記シールド導体は、前記ケーブルの向かい合う端部間で連続的に延出するとともに、外部の場から前記細長く軸方向に延出する内側導体構造(20)をシールドするために、回路グランドに接続され、
前記内側導体構造(20)は、前記シールド導体から、その間に置かれた誘電材料(22)によって電気的に絶縁され、
さらに、
前記シールド導体を包むケーブル外被(26)を提供する段階を備える、磁気共鳴映像を得るための方法であって、
前記細長く軸方向に延出する内側導体構造(20)と前記シールド導体は、前記RF伝送コイル(14)によって生成される前記RF場に配され、このRF場は十分な強度及び期間とヒト組織に有害な熱傷をもたらすのに十分な温度までRF場に熱を発生させるように作用する波長とを有するものであり、
発生した熱の量は、
各々が前記シールド導体を囲み、かつ、各々が前記ケーブルの長さよりも短い長さを有する複数の細分化されたシールド導体部分を提供すること、
前記細分化されたシールド導体部分が、前記ケーブルに沿った位置に配されること、
前記細分化されたシールド導体部分が、他の細分化されたシールド導体部分に対して電気的に浮動するように、前記他の部分からそれぞれ電気的に分離されること、および
前記細分化されたシールド導体部分が、前記ケーブルの前記シールド導体に対して電気的に浮動するように、前記シールド導体から電気的に分離されること、
によって減少し、
ここで、前記細分化されたシールド導体部分は、ヒト組織に有害な熱傷をもたらすのに十分な温度までRF場の前記シールド導体の熱を減らすように前記シールド導体をシールドし、
前記細分化されたシールド導体部分各々の他の部分からの電気的分離は、ヒト組織に有害な熱傷をもたらすのに十分な温度まで前記RF場の前記細分化されたシールド導体部分の熱を減らすために、前記細分化されたシールド導体部分に沿った電流の発生を減らす
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
磁気共鳴イメージングシステムで、RF受信コイルが提供され、前記内側導体構造は、前記磁気共鳴イメージングシステムの前記RF受信コイルに接続される少なくとも1つの導体を含み、
複数の導体部分は、RF伝送によって生成されたRF場の均一性に干渉して、それによって画像中のアーチファクトを引き起こす前記ケーブルの電流を減少させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
内部に複数の受信コイルループを有するRF受信コイル構造が提供され、
前記細長く軸方向に延出する内側導体構造は、前記受信コイルループのそれぞれ1つと各々通信するための複数の内側導体要素を備え、
前記内側導体要素は、前記受信コイル構造から接続された前記ケーブル内に組み合わされ、
前記内側導体要素は前記受信コイル構造で個別の経路へと分岐され、各々の経路は、前記内側導体要素のまわりで一定間隔で離間して囲むように配された前記経路の軸方向に延出するシールド導体を含み、前記経路の前記シールド導体は、外部のノイズから、前記内側導体要素をシールドするために回路グランドに接続され、
前記内側導体要素が、前記経路の前記シールド導体から電気的に絶縁され、各々が前記経路の前記シールド導体を囲むとともに前記経路の長さよりも短い長さを有する、前記経路の複数の細分化されたシールド導体部分が提供され、前記細分化されたシールド導体部分が前記経路に沿って軸方向に一定間隔で離間した位置に配され、前記細分化されたシールド導体部分は、前記経路の前記細分化されたシールド導体部分が前記経路の前記他の細分化されたシールド導体部分に対して電気的に浮動するように、前記他の部分から各々が電気的に分離し、前記経路の前記細分化されたシールド導体部分は、前記経路の前記シールド導体に対して電気的に浮動するように、前記経路の前記シールド導体から電気的に分離されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各々の細分化されたシールド導体部分の前記長さはλ/4未満であり、λは前記RF場の波長であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
各々の細分化されたシールド導体部分の前記長さはλ/8未満であり、λは前記RF場の波長であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記細分化されたシールド導体部分が環状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記細分化されたシールド導体部分が非磁性金属編組から形成されるか、または、包まれた非磁性ホイルテープから形成されか、または、非磁性金属編組と非磁性ホイルテープの組み合わせから形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記細分化されたシールド導体部分が、前記細分化されたシールド導体部分によって被覆されていない前記シールド導体の一部を残すように、軸方向に一定間隔で離間されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記細分化されたシールド導体部分は、各々の端部が次の隣接する前記細分化されたシールド導体部分の対応する端部に重複するように、配されることで、前記シールド導体が前記細分化されたシールド導体部分によって完全に被覆されるようになることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記細分化されたシールド導体部分がそれぞれ、前記シールド導体から、その間の誘電材料の層によって分離されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記細分化されたシールド導体部分が外側外被の下に配されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記細分化されたシールド導体部分はシース上に運ばれ、追加の外部ケーブル外被によって覆われ、
前記細分化されたシールド導体部分と前記外部ケーブル外被を有する前記シースは、
前記ケーブル外被上で係合されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドに引き起こされた電流が有害な効果を有し得る高いRF場で使用される同軸ケーブルに関する。磁気共鳴映像法の中で使用される高いRF場の中で使用された時、その発明は前記ケーブルに特に適用可能であるが、他のケーブルに適用可能である。本発明は、また本明細書に記載されている有利な構造を得るために従来の同軸ケーブルに適用することができる外被配置を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
多くの同軸ケーブルは、MRIに使用される高いRF場において使用されることが要求される。これらは、主として受信コイルアレイのみならず、ペースメーカー、ECG検査、電気生理学およびEEG監視で使用されるものなどの高いRF場と、深部脳刺激システム(DBS)に進入しなければならない他のケーブルをも含む。コイル・ケーブル上のコモンモード信号またはシールド電流は、伝送フェーズの間にコイル自体、または周囲の伝送体コイルなどの外部ソースによって、しばしば誘導される。身体伝送コイルによって生産された電流などの外部ソースによる電気的に誘導される電流は、大多数のシールド電流、すなわちケーブルの表面における熱の原因である。これらの電流と、結果として生じる熱は、患者に重大な加熱または熱傷を引き起こし得る。コモンモード電流は、またコイル・チューニング、すなわちフェーズドアレイコイル内でのコイル結合への影響により、画質を劣化させる。
【0003】
さらに、前記コイル内のケーブル、とりわけフェーズドアレイコイルの個々のコイルループに近接しているか、又は交差しているケーブルの、シールドでの電流の発生は、MRスキャナの磁場内で、伝送体コイルによって発生した均質なRF場の生成と干渉し得る。RF場のこの異質性は、得られた画像内にアーチファクトを生成することができる。
【0004】
誘電材料によって環状の導電性のシールドから分離された内部の軸方向に配向した細長い導体を有する同軸ケーブルの有利な使用は、長きにわたって知られている。そのような同軸ケーブルは、多数の他の用途と同様に磁気共鳴画像にも使用された。
【0005】
磁気共鳴画像技術と関係する重要な安全性に関することは、電気ケーブルに誘導されたRF電流による火傷や過度の加熱である。そのような局所的な火傷や日焼けの危険性を減らすために、MRスキャナのユーザーは、ケーブルと患者の接触を最小限にするように指示される。しかしながら、そのような接触は、ECGケーブル、表面コイルまたは共振器内コイルを使用する場合のような多くの実例において避けられない。
【0006】
局所的な火傷や日焼けと、電気ケーブルに誘導された導電流を最小限にするために、GEメディカルシステムの磁気共鳴コイルのようないくつかの商用MRコイルは、例えば、患者の安全モジュールを使用する。この設計は、同軸ケーブル上の不平衡電流を減少させる。
【0007】
患者の安全性に加えて、この設計は、放射損およびコイル内のコモンモードノイズの減少に影響を与える。同様の、より重大な問題は、直腸内プローブ、食道プローブ及び血管内RFプローブなど、身体内に挿入されるコイルのために存在する。これらの器具が身体に接近するにつれて、患者にホットスポット又は火傷を負わせる危険性が増加する。また、空気中の波長と比較して、身体でRF信号の波長はおよそ9倍短い。その結果、短尺ケーブルへの電流誘導は可能である。したがって、意図された目的のために有効に性能を発揮する改善された同軸ケーブルのニーズがあり、同時に、望まれない患者への過度の加熱や火傷を惹き起し、それゆえアーチファクトを発生するRF場との干渉をし得る、シールド内の高い電流の発生を抑える。
【0008】
典型的には、ケーブルの長さに沿って一定間隔で離間した位置でケーブルに置かれるケーブルトラップの使用により同軸ケーブルのシールドへの電流の生成の効果は弱められる。これらは電流の生成を少なくするために作用する。
【0009】
[1998年4月7日に発行された特許文献1(ハウルトら)]に記載されたシステムにおけるような様々な動作を収容するためにケーブルが非常に長くなければならない場合に、これは特に悪化するので、磁石が患者およびシステムの他の要素に対して移動可能である医学的処置が開示されている。可動磁石システムは、神経外科患者に、より容易にイメージングを生じるために手術中のMRIを可能にし、肝臓、胸、針および心臓外科手術を受ける患者への追加の適用がある。この場合、非常に長い長さをもつケーブルと共に手術中のMRIコイル信号伝送ケーブル内での必要とされる多くのケーブルトラップは、ケーブルを特に使いにくくする。
【0010】
ケーブルトラップの一つのタイプでは、典型的にはシールドが螺旋形のインダクターを形成するように、螺旋形の支持部の周りをケーブルで包むことにより、ケーブルシールド編組から形成されたインダクターを含んでいる。一端で、銅導体は、ケーブルシールド編組に電気的に接続される、もう他端で、ケーブル上の望まれないシールド電流を減ずるために作用するタンク回路を形成するために、1つ以上のコンデンサーが、銅導体とシールドの間のインダクターと並列接続される。
【0011】
ケーブルトラップ配置では、シールド編組はケーブルに沿って連続的で、その長さに沿った複数の点でシールド、銅導体およびコンデンサーのインダクター部分によって定義されたタンク回路を形成した。
【0012】
ケーブルトラップは、ケーブルシールドに沿ったシールド電流を除去するか少なくすることにより、コイル性能を改善する。ケーブルトラップは、シールド電流を少なくするように設計されるが、ケーブルトラップのケーブルシールドから形成された螺旋インダクターは、伝送体コイルからRFパワーを受け取るためのアンテナとして有効に働き、ケーブルでする予期しない電流に関与する。
【0013】
実験は、銅導体が追加の熱に寄与したことを示した。このタイプのケーブルトラップは全面的なコイルとケーブル重量を増加させて、手術中の環境下で便利ではない。
【0014】
シールド電流の生成のセットはケーブルの形状に比例する。より大きな表面のケーブルはより小さな表面積のケーブルより多くのシールド電流を生成する。例えば、大きい径を備えたより長いケーブルは小さい直径を備えたより短いケーブルより多くの電流を生成する。
【0015】
また、シールド電流の発生はシステムRFパワーに比例する。例えば、3.0テスラシステムからの電力は、1.5テスラシステムからの電力および7.0テスラ以上のシステムのためのはるかに高い電力の4倍になり、3.0テスラシステムのために要求されるケーブルトラップの数は、ケーブルトラップの間の間隔を近接させている1.5Tシステムと比較してほぼ2倍になるだろう。7.0テスラ以上のシステムは、より接近している間隔を備えたより多くのケーブルトラップを必要とする。
【0016】
また必要とされる生のケーブルの追加的な長さ、螺旋状に包まれる場合、ケーブルトラップを形成するためにRFチェーンに否定的に影響する。
【0017】
多くのケーブル設計は前に以下のように提案された。2001年9月4日にジョンズ・ホプキンズ大学に発行された特許文献2(エイタラー)は、誘導無線周波数電流を阻害するように内側シールド部分と外側導体の細分化アウター・シールド部分の間で、高誘電率を備えた外部の誘電体層があるMRIの中で使用されるプローブ用の同軸ケーブルを開示している。したがって、開示された配置は、ケーブルシールド編組に細分化シールドの一端を接続し、また1/4波ケーブルトラップとして細分化シールドの自由端を使用する。
【0018】
2006年10月17日にバイオファンテクノロジーズ(Biophan technologies)に発行された特許文献3(グレイ)は、電圧補償ユニットが、バランスのとれた特性インピーダンスを有する単線式配線を備えたデバイスに対する誘導電圧効果を弱める配置を開示している。電圧補償ユニットは配線に接続された調整可能な補償回路を含んでいて、該補償回路は、配線に補足のインピーダンスを適用し、配線の特性インピーダンスを不均衡にして、それによって、誘導電圧の効果を弱める。
【0019】
2008年4月17日にフィリップスに発行された特許文献4(シュルツ)は、MRI装置で使用されるリードを開示し、当該MRI装置は半波長の整数倍と等しくない有限長の電磁結合素子を有する部分とリードとを接続する補助の電気デバイスを備えている。
【0020】
2007年11月13日にジーイー・ヘルスケアに発行された特許文献5(ウーテラ)は、MRI装置に使用するためのリードを開示し、患者の安全性のために必要以上に信号対雑音比を妥協せずに、熱損傷の危険性を除去するために、リードは2つの連続した異なる抵抗特性ケーブル素子を含む。第1のケーブル素子によって患者に接続される第2のケーブル素子は、当該第2ケーブル素子におけるアンテナ共振を抑えるために、患者のケーブルの通常の高導電抵抗値から増加し、全抵抗を有している。第1ケーブル素子は患者の皮膚上の電極に接続されており、電磁誘導電流が患者に流れるのを防止するために、そして電磁誘導による当該ケーブルの過度の加熱を防止するために、前記第2のケーブル素子の全抵抗値より実質的に大きい全抵抗を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第5,735,278号
【特許文献2】米国特許第6,284,971号
【特許文献3】米国特許第7,123,013号
【特許文献4】米国特許第7,205,768号
【特許文献5】米国特許第7,294,785号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、RF場のそばのケーブルにおいて電流の発生が減少するRF場で信号を通信するためのケーブルを提供することを1つの目的とする。
【0023】
本発明の1つの態様によれば、シールドケーブルが提供され、該シールドケーブルは、ケーブルに沿って軸方向に延出するとともに、ケーブルの向かい合う端部間の信号を伝送するための電気的な接続を提供する内側導体構造と、内側導体構造のまわりで一定間隔で離間して包囲するように配置された軸方向に延出する外側シールド導体とを備え、該外側シールド導体は、外部場から内側導体構造をシールドするために、回路グランドへの接続のために、ケーブルの向かい合う端部間で連続的に延出し、該内側導体構造は、その間に置かれた誘電材料によって外側シールド導体から電気的に絶縁され、該シールドケーブルはさらに、外側シールド導体を各々囲む複数の編組または固体の導体部分を備え、この導体部分は、ケーブルに沿って軸方向に一定間隔で離間した位置に配され、この導体部分は、他の導体部分に対して電気的に浮動するように、他のものから各々電気的に分離され、この導体部分は、外側シールド導体に対して電気的に浮動するように、外側シールド導体から電気的に分離され、該シールドケーブルはさらに、導体部分および外側シールド導体を囲むケーブル外被とを備える。
【0024】
導体部分が環状であるほとんどの場合、導体部分が完全にケーブルを囲むが、このことは、その部分がシールド動作を実行する際の必須条件ではない。
【0025】
1つの実施例において、導体部分は編組から形成されるが、ホイルテープがシールド効果を減少させることが可能な編組内のワイヤ間の穴部に干渉するため、導体部分は、環状また螺旋状に包まれた非磁性金属ホイルテープで形成される。編組および固体導体の組み合わせも可能である。
【0026】
1つの実施例において、導体部分は軸方向に一定間隔で離間してもよく、つまり、一方の端部は、導体部分によって被覆されていない外側シールド導体の一部を残すように、次の隣接する端部から一定間隔で離間して配置されてもよい。しかしながら、高レベルの保護が必要な場合、導体部分は、外側シールド導体が導体部分によって完全に被覆されるように、配されることによって、各々の端部が次の隣接する導体部分の対応する端部で重複するようになってもよい。この場合、電気的に確実に分離するために、1つの部分の外側表面と次の隣接する部分の重複する内側表面との間に、誘電材料が適用されるだろう。これは、テフロン(登録商標)テープのような包まれたテープによって形成することができる。
【0027】
1つの実施形態において、導体部分が係合される外側シールド導体を囲む誘電材料から作られた連続的な外被が提供される。しかしながら、外側シールドからの導体部分の分離は、環状または螺旋状に包まれた非磁性金属ホイルテープのような他の材料によって形成することができる。
【0028】
特に、1つの重要な特徴は、導体部分は、RF場のケーブルの熱を減少させるように形作られて配され、好ましくは、導体部分は、磁気共鳴イメージングシステムのRF場のケーブルの熱を、ヒト組織に有害な熱傷をもたらすのに十分な温度未満の温度まで減少させるように形作られて配される。
【0029】
好ましくは、1.5テスラシステムまたはそれ以上のための導体部分は、最大10インチ未満の長さを有し、好ましくは、製造のための実際的な寸法である0.5から2.0インチの順序の長さを有し、一方で、ケーブルの操作を増強するレベルまで、シールド導体およびその一部内の誘導電流を確実に減少させる。
【0030】
導体部分が、全体構造一面に係合されたケーブル外被によって中間誘導層のまわりで係合される場合、上記の定義されたケーブルは、一体構造として形成することができる。しかしながら、代替的に、導体部分が、内部スリーブ部材と導体部分を囲む第2の外側外被を備えるケーブル外被上で摺動することによって係合する内部中空スリーブ部材上に運ばれる場合、ケーブル外被によって囲まれる同軸ケーブルを含む任意の既存の従来のケーブルを使用して、その構造を形成することができる。この技術は、完全なケーブルの製品を回避し、大量製造されるために廉価な構造の一部として、既存のケーブル構造の使用を認める。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、したがって、任意の既存の従来のケーブル上で使用するためのシールドアセンブリが提供され、該従来のケーブルは、本発明の主要な特徴であるシールドケーブルの効果を得るために同軸ケーブルを含み、該シールドアセンブリは、誘電材料から作られ、内部表面によって定義される中空内部とともに配される内部スリーブ部材を備え、該内部表面は、インストールされる際に同軸ケーブルを覆うために同軸ケーブルの外被上で摺動するように成形されて配され、該シールドアセンブリはさらに、内部スリーブ部材がインストールされる際に、同軸ケーブルを囲むように内部スリーブ部材上に運ばれる複数の導体部分を備え、導体部分の各々は、内部スリーブ部材を囲むとともに、内部スリーブ部材の長さよりも短い長さを有し、この導体部分は、内部スリーブ部材に沿って軸方向に一定間隔で離間した位置に配され、この導体部分は、他の導体部分から夫々電気的に分離されており、その結果、この導体部分は、他の導体部分に対して電気的に浮動しており、導体部分は、ケーブルから電気的に分離されており、その結果、導体部分は、ケーブルの要素に対して電気的に浮動しており、該シールドアセンブリはさらに、導体部分および内部スリーブ部材を囲むケーブル外被を備える。
【0032】
シールドアセンブリのこの配置は、したがって、上に記述されるのと同じ効果を得るために、同軸ケーブルを含む任意の既存の従来のケーブルとともに使用するのに便利である。
【0033】
本発明の第3の態様によれば、RF場内の信号を通信するための方法が提供され、この方法は、細長く軸方向に延出する内側導体または複数の導体に、通信される信号を接続する工程を備え、この内側導体または導体は、内側導体のまわりを囲むように一定間隔で離間して配置された、軸方向に延出する外側シールド導体を有し、内側導体と外側シールド導体の間に置かれた第1の誘電材料が提供され、外側シールド導体を囲むケーブル外被が提供され、内側導体および外側シールド導体は、ヒト組織に有害な熱傷をもたらすのに十分な温度まで熱を発生させるように作用する、十分な強度と期間および十分な波長のRF場に配され、この方法はさらに、以下の工程によって、ヒト組織に有害な熱傷をもたらすのに十分な温度未満まで熱を減少させる工程を備え、前記以下の工程は、外側シールド導体のまわりに配された第2の誘電材料を提供する工程と、第2の誘電材料の外側と、第2の誘電材料の外側表面を囲む各々の導体部分を有するケーブルに沿って一定間隔で離間して配置された外被の内側の複数の導体部分を提供する工程を備え、導体部分は、次の部分から夫々電気的に分離するように一定間隔で離間した軸方向にあり、導体部分は、第2の誘電材料によって外側シールド導体から電気的に分離され、導体部分が、RF場での熱を縮小させるために、外側シールド導体をシールドするように作用する場合、導体部分各々の次の部分からの電気的な分離は、そのような部分に沿った電流の発生を妨げる。
【0034】
この方法は、単一のケーブルまたは多導体ケーブルのいずれかに適用することができ、内部スリーブ部材および導体部分を囲む外被の本発明の第2の態様と共に使用することができる。
【0035】
RF場が磁気共鳴イメージングシステムでのRF伝送コイルによって生成される場合、上記の方法は特に適用される。しかしながら、本方法およびケーブルは、高いRF場が同軸ケーブルの外側シールド導体内でそれ以外に有害な電流を生成する状況で使用することができる。
【0036】
例えば、内側導体構造および外側シールド導体が、ヒト組織に有害な熱傷をもたらすのに十分な温度まで熱を発生させように作用する、十分な強度および期間と十分な波長のRF場に配される場合、複数の細分化シールド導体部分は、そのような熱傷を引き起こすのに十分な温度未満の温度まで熱を減少させるように、外側シールド導体に対して形成され、配置され、および、寸法を決められる。
【0037】
したがって、導体部分は、RF場における熱を減少させるために外側シールド導体をシールドするように作用し、その一方で、導体部分各々の他の部分からの電気的な分離は、その部分に沿った電流の発生を減少させる。
【0038】
1つの特定の実施例において、本方法は、RF受信コイルから信号を通信するために、磁気共鳴イメージングシステムで使用される。この配置では、内側導体構造は、磁気共鳴イメージングシステムのRF受信コイルに接続された少なくとも1つの導体を含んでいる。複数の導体部分は、RF伝送場の均一性に干渉してそれによって画像中のアーチファクトを引き起こすケーブルでの電流を減少させるように、外側シールド導体に対して配置される。導体部分は、伝送RF場によって引き起こされたケーブル内の電流の発生を減少させるために、外側シールド導体をシールドするように作用し、その一方で、導体部分各々の他の部分からの電気的な分離は、その部分に沿った電流の発生を減少させる。
【0039】
別の特定の実施例において、RF受信コイル構造が、その内部に複数の受信コイル部分を有する場合に、この方法が使用される。この実施例において、内側導体構造は、受信コイル中の個々のコイルループのそれぞれの1つとの通信のために、複数の導体要素を各々含んでいる。
【0040】
導体要素、つまり、個別の単一ワイヤまたは多数の同軸ケーブルのいずれかは、受信コイル構造からMRIシステムに接続されたケーブルに組み合わせられる。導体要素は、受信コイルで個別の経路へと分岐され、各々の経路は、内側導体要素のまわりで一定間隔で離間して配された経路の軸方向に延出する外側シールド導体を含み、先に記述されるように外側シールド導体を囲む複数の導体部分が提供される。
【0041】
好ましくは、各導体部分の長さはλ/4未満であり、λはRF場の波長であり、さらに好ましくは、各導体部分の長さはλ/8未満であり、λはRF場の波長である。
【0042】
本方法は、こうして、導体部分によって形成された絶縁体を、絶縁体を有する外側ケーブル編組シールドから分離させ、その結果、細分化されたシールドの各々の部分が、ケーブル編組上の直流を防ぐようになる。細分化されたシールドは、無視できる程度の電流を生成する。細分が小さければ小さいほど、生成される電流は少なくなる。
【0043】
浮動細分化シールドは、先行技術特許とは異なり、特にジョン・ホプキンズの特許とは、これらの特許が、シールド電流を受け入れ、次に、電流フローを阻止するいくつかの方法によって、電流を減衰するかまたは減少させるという点で異なる。本方法は、シールド電流がケーブルシールド上で発生するのを防ぐ。
【0044】
実験的テストは、本明細書に記載されているように、細分化および浮動補足シールドの使用を介して、ケーブル熱を著しく低下させることができることを示している。したがって、第1の連続的なシールドの外側に、浮動細分化シールドを追加することで、RF伝送コイルからの電力が第1のシールドに達するのを防ぐことによって、ケーブルの第1シールド内のコモンモード電流を防ぐかまたは減少させることができる。細分化された補足シールド内のギャップは、細分化されたシールド中の電流フローを防ぐ。
【0045】
浮動細分化シールドケーブル設計は、様々なケーブルの熱を減少させるために使用することができる。応用例は、カテーテル、ECG、深部脳刺激(DBS)に使用されるコイルとの通信に使用されるケーブルを含み、また、ペースメーカーさえも、それらをMRに安全にするように本発明から利益を得ることができる。外部の連続的なシールドを備えたワイヤを含む任意の導電性ワイヤは、本発明によって保護することができる。
【0046】
本明細書に記載されている配置は、MRIコイルの実施形態内での以下の特徴のいくつかまたは全部を提供することができる:
身体伝送コイルによって引き起こされるRXケーブル中のシールド電流の顕著な減少と、したがって、ケーブルの熱の減少と患者の患者安全性の増加。
減少したシールド電流による全体的な画像性能の向上と、コイルの同調、フェーズドアレイコイル中のコイルとコイルの結合、RFBi場での変形を減少させることによる画像均一性、および、画像SNRを改善することによる画質の向上。
生のケーブル長を、1.5Tに関して3つのケーブルトラップに基づいてほぼ4フィート短くし、3Tに関しては、ほぼ8フィート短くし、こうして、全体的なコイルおよびケーブルアセンブリの重量を減少させる。
浮動細分化シールド概念は、電流コイル設計と共に使用されてもよい。
革新的なデザインによる製造しやすさの増加。
ケーブル外被(またはケーブルホース)材料は、防水であるように選択され、臨床外科手術で使用される術中コイルのために殺菌することができる。
【0047】
これは、ケーブル編組上のシールド電流を減少させるために、コスト効率が良く、より効率的な方法である。この方法は、多数の応用例において、患者の安全性を高めるだろう。
本明細書に記載されている配置は、従来のケーブルトラップと置き換えるために使用することができ、したがってケーブルの総重量を著しく減少させる。
【0048】
代替的に、この配置は、シールドケーブルに沿って一定間隔で離間した位置に配置された従来のケーブルトラップと共に使用することができ、その結果、シールドケーブルが、さらに熱効果を減少させ、ケーブルの所定の長さで必要とされるケーブルトラップの数を減少させるために、ケーブルトラップと共に使用されるようになる。
【0049】
この場合、ケーブルトラップそれ自体のハウジングは、導体部分の別の1つとして使用することができ、このハウジングは、ケーブルトラップのケーブルのその部分を囲むように、非磁性の導体材料で内部表面上を覆われ、ハウジング上の導体材料は、ケーブルの他の導体部分から分離され、ケーブルトラップ内部の外側シールド導体から分離される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面と共に記述される。
【
図1】単一導体を有する本発明による通信ケーブルの概略図である。
【
図2】複数の導体を有する本発明による通信ケーブル概略図である。
【
図3】本発明による通信ケーブル用のシールドスリーブ部材の概略図である。
【
図4】
図1の単一導体と類似するが重なる胴体部分を含む単一導体を有する、本発明による通信ケーブルの断面図である。
【
図5】ケーブルトラップを含む本発明による通信ケーブルの断面図である。
【
図6】
図1のケーブルを使用する、MRIシステムの概略図である。
【
図7】複数のコイルループを含む、
図6のMRシステム用の受信コイルの概略図である。
【0051】
図などにおいて、参照文字は、異なる図内の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図6には、磁気共鳴イメージングシステムが概略的に示されており、当該磁気共鳴イメージングシステムは、穴(11)を有する磁石を備え、患者テーブル(13)上で、患者(12)は穴(11)に挿入され得る。さらに当該システムは、RF伝送体コイル(14)を含み、当該RF伝送体コイル(14)は前記穴内でRF場を発生する。
【0053】
さらに当該システムは、一般的に参照符号(15)で表示された受信コイルシステムをさらに含み、当該受信コイルシステムは、穴内に位置づけられるアイエスオーセンター(isocenter)に位置し、従来の方法で人体から生成された信号を受信する。RF制御システム(17)は、伝送体コイル(14)を制御し、かつ受信コイル(15)から信号を受信するように作用する。ケーブル(16)は、穴内に収容されたコイル組立体に接続するために、患者の横側の穴内で切断されなければならない。
【0054】
図7には、受信コイル組立体(15)が示されており、当該受信コイル組立体(15)は、この構成において複数の受信コイルループ(15A)、(15B)、(15C)及び(15D)を含む。これらループの各々が、信号伝送同軸ケーブルおよび制御線バンドル部分(16A)、(16B)、(16C)及び(16D)に接続され、それによって、前記ループから受信した信号は、より大きい複数の同軸ケーブル及び制御線バンドル(16)を介して、RF制御システム(17)に送信することができる。受信コイル組立体(15)内では、したがって、個々の受信コイルループとの結合のために受信コイル組立体内の様々な位置に、受信コイル組立体を形成する構造を通過する複数の導体が位置づけられる。示された構成は、非常に単純な特徴であり、そのような受信コイル組立体が重複部分の接続を含んで極めて複雑であり、それによって前記信号の信号通信ケーブル部の配線は、前記構成を通して比較的複雑であることが認識されるだろう。受信コイルループは、それぞれ、ループ及びその個々の通信バンドルにできるだけ近接して位置づけられるそれぞれの予備増幅器(18)に接続される。
【0055】
前述の米国特許第5,735,278号に記載されたような構成では、ケーブルが移動磁石システムを収容するように要求され、手術中に切断することが要求されるので、磁石はテーブル上で、患者に対して移動するが、これは多くの場合、特に長尺ケーブル(16)の場合に必要となる。
【0056】
上記のMRIシステムに関して生じる特定の問題は、伝送コイルによって生成されたハイパワーRF場の内部にある任意のケーブルが、ケーブルの外部の金属シールド上の誘導電流を受信しかねないということである。これらは典型的には、受け入れられない加熱を引き起すのに充分な程度の電流である。加えて、誘導電流は受信コイルに伝え、そのため外来のRF場を発生しかねない。当該RF場は伝送場の均一性と干渉し、そのため画像内部でアーチファクトを生成する。
【0057】
この課題はもちろん周知であり、典型的に採用された解決手段は、ケーブルに沿って一定間隔で離間した位置で、いわゆるケーブルトラップを提供することである。前記ケーブルトラップの数はRF場に依存し、それによって、特定のRF場について、ケーブルトラップ間には所定の間隔が必要である。したがって、MRIシステムにおいて増大したパワーにより当該場が増加する状況、または、ケーブル長さが増加する状態で、増大したパワーにより領域が増加される状態において、ケーブルトラップを支持するケーブルは、重量が増加し、取り扱いが困難である。ケーブルは、同様に、患者が加熱した導体に近づかないように、厚い絶縁層を支持しなければならない。これらの要件はすべて、ケーブルの重量及び構造を、ケーブルが使いにくくなる状態にまで著しく増大させる。
【0058】
図1には、本発明の構造が示され、当該構造は、上述のとおり、熱とアーチファクトを減少するように、外側導電性シールド中で誘導された電流を減少するために使用することができる。したがって、
図1は、誘電体層(22)と、外側の編組みされた非磁性金属シールド導体(23)によって取り囲まれ、単一の内側導体(20)を備えたケーブル(21)を示している。これらの従来の構成要素に加えて、ケーブルに沿って一定間隔で離間した位置で一連の一定間隔で離間した非磁性金属導体部分(25)によって被覆される、付加的な円筒状の周囲の誘電体層(24)が提供される。導体部分(25)のまわりで、従来の構造の外側外被(26)が提供される。外側外被(26)は単に周囲の保護を提供するための誘電材料からなるもの、あるいは、伝熱を少なくする発泡性絶縁層を含むものであってもよい。
【0059】
円筒状の外側の保護する導体(23)がケーブルに沿って連続的であり、それによって、導体(23)における電流を接地するために、回路グランドに接続され得る。この同軸ケーブルがコイルに接続され、それによって、受信された信号はケーブルに沿ってRFシステム制御に送信され、連続的なシールド(23)によるRFノイズ作用からシールドされる。
【0060】
図1に示される実施形態における導体部分(25)が一定間隔で離間され、それによって、導体部分の間に裸領域(25A)を残して、1つの導体部分の端部がつぎに隣接した導体部分の隣接端部から軸方向に離間されている。
【0061】
前述のとおりに、導体部分は外側シールド導体(23)を、その長さに沿って電磁誘導電流からシールドするために作用する。したがって、外側導体部分(25)は、層(24)によって導体(23)から電気的に分離される。有効に編組導体(23)上の電流を少なくするために、外側導体部分(25)はシールドとして作用する。また、導体部分(25)は、つぎの部分から電気的に分離され、かつ他の部分から電気的に分離され、そして生成された任意の電流が各導体部分において無視できて、したがって、生成された熱の量が減少される。
【0062】
図2には
図1の実施形態に類似した実施形態が示されており、単一の中心導体(20)が個々の導体要素(20B)の複数(20A)と置換され、これらの同軸ケーブルおよび制御線から構成されている。これは、もちろん内径を生成し、当該内径はケーブル(21)の内径より大きく、それにより、
図2のケーブル(21A)は大径の内側誘電体層(22A)を含み、内側誘電体装置(22A)はシールド(23A)、別の誘電体層(24)、及び個々の導体部分(25)によって囲まれている。外被(26A)は前述のとおりに構造を囲む。
【0063】
図3において、代替的な配置が示され、該配置は、1以上の個々の内部導体が誘電体層によって囲まれ、該誘電体層が順に外部シールド層と外部外被によって囲まれる構造を利用して、従来のケーブルと共に使用される。
図3の実施形態において、内部スリーブ部材(27)が提供され、該スリーブ部材は、その長さに沿って一定間隔で離間した位置で複数の導体部分(25)を運ぶ。スリーブ部分と導体部分は、外側外被(26B)によって覆われる。スリーブ部分(27)は内側表面(27A)を有し、この内側表面(27A)は、ケーブルを囲むように、滑りばめとして従来の外被上を摺動することができる。この表面は、シールドされる同軸ケーブルまたはワイヤの外被に該スリーブを永久的に張り付けるために、熱で活性化させた接着剤で被覆されてもよい。このようにして、従来のケーブルは使用することができ、内部スリーブ、導体部分、および、外部外被によって提供される
図3に示す構造を準備することによって、そのシールド効果を補充することができる。
【0064】
ここで、
図4に目を向けると、中心導体(20)、誘電体層(22)、外側シールド(23)、および、外被(26)を含む
図1の構造に類似する構造が断面図で示されている。
【0065】
この実施形態において、導体部分(25)は、導体部分(25)に重複する付加的な導体部分(25B)によって補足される。したがって、導体(23)内の外部シールドの長さ全体が、導体部分(25)および(25B)によって被覆されているので、露わな部分または裸部分(25A)は存在しない。導体部分(25)の外部には、絶縁体または誘電体層(28)が提供され、この絶縁体または誘電体層(28)は、導体部分が互いから電気的に分離され、共通のシールド層(23)から電気的に分離されるように、導体部分(25)から導体部分(25B)を分離する。したがって、示されるように、導体部分(25B)は、それぞれ、隣接する導体部分(25)の端部(25E)および(25F)に重複する端部(25c)および(25D)を有する。その重複は、ごく少量に減らされるか、または、用いられる導体部分の量を最小化しながら、導体部分によってシールド導体(23)の全体がシールドされるという意図で、端部がほぼ直接重なっている場所まで減らされてもよいことが認識されるだろう。
【0066】
シールド導体(23)は、典型的には編組であるか、螺旋形に包まれた非磁性金属ホイルから形成することができる。誘電体層は、典型的には押し出された外被であるが、テフロン(登録商標)テープのような包まれたテープから形成することもできる。テフロン(登録商標)テープは、滑りやすく、したがって、必要に応じて、摺動動作を許可するという長所を有する。
【0067】
誘電体層(24)は、連続的な円筒状スリーブとして示されるが、その機能が基本的なシールド層(23)から、細分化されたシールド導体部分(25)を主に分離することであるので、誘電体層(24)は部分的に形成することができ、こうして、誘電体層(24)は、
図1、2および3に示される配置において、細分化されたシールド導体部分の真下にのみ配される必要がある。
【0068】
ここで、
図5に目を向けると、代替的な配置が示され、この配置は、シールド層での電流の発生をさらに減少させるために併用して使用される、上記のシールド配置と従来のケーブルトラップの両方を利用する。
【0069】
図5では、このように、
図1または2に示される構造である、ケーブル部分(121)および(221)が示される。したがって、ケーブル部分(121)および(221)は、誘電体層(124)および(224)によって被覆されるシールド層(123)および(223)を含んでいる。このまわりに、細分化されたシールド導体部分(125)および(225)が、外被(126)および(226)と一緒に提供される。ケーブルトラップ(30)は、これらのケーブル部分間に配される。ケーブルトラップは外部ハウジング(31)を備え、該外部ハウジングは、外被(126)および(226)の端部上に留められ、これらの外被間領域に橋を架けるように作用する。ハウジング(31)の内部で、外被は剥ぎ取られ、内部導体およびシールド(123)によって定義されたケーブル部分は、ケーブルの剥ぎ取られた部分の螺旋状部分を形成するために、支持部(32)の周辺に巻きつけられる。剥ぎ取られたケーブル部分のこの螺旋状の被覆は、外部シールド(123)を、インダクターを定義する螺旋状コイルにする。このインダクターの外部周辺には、ハウジング(31)の内部に配される非磁性金属導体(34)が提供される。ハウジング内部において、円筒状のシールド層(35)が提供される。このシールド層は、伝導性を有する非磁性金属物質のスプレー被覆によって形成することができる。シールド層(35)は、導体(34)から電気的に分離されるように、導体(34)から分離して維持される。一般に、これは、支持部(32)上に導体を取り付けることによって達成され、その結果、導体が、ハウジング(31)およびその内部層(35)から放射状に分離して一定間隔で離間して維持されるようになる。導体(34)は、半田接合部(37)によって1つの端部でシールド層(123)に電気的に取り付けられる。導体のもう1つの端部には、半田接合部(39)および(40)によって、導体とシールドにも取り付けられるコンデンサー(38)が提供される。このように、巻き付けられたシールド層によって定義されるインダクターと、コンデンサー(40)は、タンク回路を形成し、該タンク回路は、連続的なシールド層(123)および(223)に沿って形成される傾向のある電流に対する高インピーダンスを定義するように作用する。
【0070】
導電層(35)は、シールド(123)から電気的に分離され、細分化されたシールド導体部分(125)および(225)から電気的に分離され、その結果、導電層(35)は、ケーブル部分(121)と(221)の端部間のケーブルトラップの該部分を囲む導電性部分の別の部分として作用するようになる。
【0071】
ここで、
図7に目を向けると、ケーブル(16)は、
図1、2、3、または4の構造だけによって形成された上記の構造、または、
図5に示されるケーブルトラップを含む構造である。この配置では、ケーブルは、
図2に示されるタイプの多導体ケーブルである。ケーブルが受信コイル構造(15)に入る位置で、ケーブルシールド材料は、個別の導体部分(16A)、(16B)、(16C)、および、(16D)を暴露するために開かれて除去される。その後、これらの導体は、夫々の個別のコイルループ用のプリアンプに接続されるか、または、直接コイルループに接続されるかのいずれかである。外部構造物のまわりで、不注意な電気的接続を防ぐ外被または被覆が提供される。したがって、ケーブル部分(16A)乃至(16D)の各々は、
図1または
図2に示される構造そのものである。
【0072】
このように、受信コイル構造の内部にこれらのケーブル部分が存在することによって、制御線上またはこれらの同軸ケーブルのシールド導体上での電流の発生を回避する。
熱効果がこの領域でさほど重要でなくなる一方で、シールド導体上に電流が存在することで、さもなければ、コイル部分(15A)乃至(15D)で外部のRF場が提供され、伝送体コイルからRF場に干渉して、アーチファクトが発生するだろう。したがって、個々のケーブル部分は、本明細書に記載されている同じ概念を使用することで、同じ概念および配置を使用するその導体内の電流を減少させる。
【0073】
本明細書に上記の如く記載された私の発明において、様々な変更を行うことができ、同じように、多くの明らかに多種多様な実施形態が、特許請求の範囲の範囲と精神を逸脱することなく、該精神と範囲内でなされることができるため、添付の明細書に包含されているすべての事は、単に例示目的でのみ解釈され、限定する意味では解釈されないことを理解されたい。