(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709170
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】揺動選別式石抜装置
(51)【国際特許分類】
B07B 4/08 20060101AFI20150409BHJP
B07B 13/11 20060101ALI20150409BHJP
B07B 13/14 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
B07B4/08 A
B07B13/11 E
B07B13/14
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-283282(P2011-283282)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-132578(P2013-132578A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2013年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113919
【氏名又は名称】マルマス機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子
(74)【代理人】
【識別番号】100086450
【弁理士】
【氏名又は名称】菊谷 公男
(74)【代理人】
【識別番号】100175891
【弁理士】
【氏名又は名称】原 一敬
(72)【発明者】
【氏名】平野 治親
(72)【発明者】
【氏名】平野 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】若林 敏則
(72)【発明者】
【氏名】塚田 崇
(72)【発明者】
【氏名】村上 晴夫
【審査官】
鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−302261(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第19515349(DE,A1)
【文献】
特開平05−337443(JP,A)
【文献】
特開2006−314978(JP,A)
【文献】
特開昭62−277187(JP,A)
【文献】
実開昭53−020372(JP,U)
【文献】
仏国特許出願公開第02640165(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 4/08
B07B 13/11
B07B 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体風洞付き揺動選別部材と、その選別面を前下がりの選別角度に傾斜して前後を支持
する略並行の支持リンクと、揺動選別部材を揺り上げ動作させる駆動用偏心支軸とからな
る揺動選別式石抜装置において、
前記支持リンクを支持点から前後方向にそれぞれ延長して支持リンクと一体の延長アー
ムを形成し、それぞれの延長アームの延長端に、前記揺動選別部材のモーメントと個々に
釣合うバランスウェイトを設けて、これらのバランスウェイトを支持リンクそれぞれに作
用させることを特徴とする揺動選別式石抜装置。
【請求項2】
前後の前記バランスウェイトは、前記揺動選別部材の幅方向重心位置である選別板の幅
中央近傍に配置したことを特徴とする請求項1に記載の揺動選別式石抜装置。
【請求項3】
駆動用の前記偏心支軸には、その偏心モーメントと釣り合うバランスウェイトを設けた
ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の揺動選別式石抜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏心支軸によって揺動駆動される傾斜選別板を備える揺動選別式石抜装置に
関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の記載例のように、偏心支軸によって揺動駆動される傾斜選別板を前下がり
に備えた揺動選別式石抜装置が知られている。この石抜装置は、傾斜選別板の前後にそれ
ぞれの支持リンクを設けて一定振幅の揺り上げ動作するように偏心支軸によって駆動する
とともに、前側の支持リンクにバランスウェイトを設けて揺動選別部材の重量によるモー
メントと釣り合わせることにより、その揺動動力を小さく抑えることができる。
【0003】
しかしながら、上記石抜装置は、動力ロスの低減が可能となる一方で、揺動選別時の装
置全体の振動と騒音を招くことがあり、特に、支持フレームの軽量化を図った小型構成の
石抜装置において、相対的に大きな振幅動作の揺動反力が軽量の支持フレ―ムに伝わり、
結果として、装置全体の振動が避けられず、運転騒音と耐久性の点で問題を内包していた
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−314978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、小型構成の石抜装置にあっても、動力低減とともに、装置全体の振動
を抑えて安定動作を可能とする揺動選別式石抜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、一体風洞付き揺動選別部材と、その選別面を前下がりの選別角
度に傾斜して前後を支持する略並行の支持リンクと、揺動選別部材を揺り上げ動作させる
駆動用偏心支軸とからなる揺動選別式石抜装置において、
前記支持リンクを支持点から前後方向にそれぞれ延長して支持リンクと一体の延長アー
ムを形成し、それぞれの延長アームの延長端に、前記揺動選別部材のモーメントと個々に
釣合うバランスウェイトを設けて、これらのバランスウェイトを支持リンクそれぞれに作
用させることを特徴とする。
【0007】
削除
【0008】
請求項
2に係る発明は、請求項
1に係る発明において、前記両バランスウェイトは、前
記揺動選別部材の幅方向重心位置である選別板の幅中央近傍に配置したことを特徴とする。
【0009】
請求項
3に係る発明は、請求項1から請求項
2のいずれかに係る発明において、前記駆
動用偏心支軸には、その偏心モーメントと釣り合うバランスウェイトを設けたことを特徴
とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明により、傾斜姿勢の揺動選別部材の前後でそれぞれの支持リンクの
バランスウェイトによって個々に釣合をとることにより、揺動選別部材の重力によるモー
メントを最小限度に抑えて揺動駆動できるとともに、揺動動作による重心まわりのモーメ
ントが小さく抑えられる。したがって、支持フレームの軽量化を図った小型構成の石抜装
置においても、駆動動力の低減とともに、装置全体の振動が抑えられて安定動作が可能と
なる。
【0011】
加えて、前記バランスウェイトは、前記それぞれの支持リンクを支持点から前後方向に
延長した延長アームの延長端位置に取付けたことから、延長アームの長さとウェイト質量
を小さく抑えてコンパクトに構成することができる。
【0012】
請求項
2に係る発明により、請求項
1に係る発明の効果に加え、前記両バランスウェイ
トは、前記揺動選別部材の選別板部の幅方向の中央に配置したことから、揺動選別部材の
幅方向のバランスにより安定姿勢が確保されるので、装置全体の幅方向の振動が抑えられ
て安定動作が可能となる。
【0013】
請求項
3に係る発明により、請求項1から請求項
2のいずれかに係る発明の効果に加え
、前記駆動用偏心支軸には、その偏心モーメントと釣り合うバランスウェイトを設けたこ
とから、駆動用偏心支軸についてのバランスウェイトにより、駆動部から生じる装置全体
の振動および騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】石抜機のテンショナを含む内部機器の透視背面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつ
つ説明する。
図1、
図2は、石抜装置1の内部機器を透視表示した側面図および背面図である。
この石抜装置1は、箱状構成の外装材による支持フレーム2に、風洞3aと一体構成の
揺動選別部材3と、その多孔選別面を前下がりの選別角度に傾斜して前後を支持する略並
行の支持リンク4a,4bと、揺動選別部材3と連結して偏心回転動作によって揺動させ
る偏心支軸5と、ベルト伝動によって動力供給する電動機6と、揺動選別部材3に臨む穀
粒ホッパ7等により構成される。
【0016】
揺動選別部材3は、網目状構成の選別板11を上部に傾斜して備え、その下方を風洞3
aとして構成するとともに、選別板11の片側方に戻し用のシュート11aを付設する。
風洞3aには、その左右を貫通して支持フレーム2に軸支した送風羽根12を内設する。
また、風洞3aと後方の偏心支軸5との間をリンク5aによって連結し、このリンク5a
との釣合用のバランスウェイト5b,5bを偏心支軸5に取付ける。これら偏心支軸5お
よび送風羽根12の駆動のために、支持フレーム2の外側配置のテンショナ13aを備え
た伝動ベルト13により電動機6と連結する。
【0017】
また、揺動選別部材3の前後の支持リンク4a,4bは、
図3にその側面図を示すよう
に、風洞3aの前後位置に支軸21a,21bを設け、それぞれの両端を下から支えるよ
うに支持フレーム2に設けた支点22a,22bにそれぞれ軸支し、さらにそれぞれの支
点22a,22bから後方に延長アーム23a,23bを支持リンク4a,4bの1〜1
.5倍の長さに延長形成して延長端の左右間を連結する架材24a,24bを介してそれ
ぞれにバランスウェイト25a,25bを取付ける。それぞれのバランスウェイト25a
,25bは、
図4に前側の支持リンクの展開平面図を示すように、揺動選別部材3の幅方
向重心位置として、選別板11の幅W寸法の中心近傍位置に配置する。
【0018】
上記構成の石抜装置1は、電動機6の動力により、選別板11の下方から送風羽根12
の送風を受けつつ偏心支軸5からリンク5aを介して揺動選別部材3が傾斜姿勢で前後に
揺動動作されることから、穀粒ホッパ7から選別板11に供給された穀粒中の比重の大き
い石が選別板11の網目により傾斜上部に移動して上端口から排出することができ、また
、比重が小さい上層の穀粒が傾斜下部に移動して装置正面側の下端口に分別される。
【0019】
この場合において、傾斜姿勢の揺動選別部材3の前後それぞれで支持リンク4a,4b
に取付けたバランスウェイト25a,25bによって個々に釣り合いをとることにより、
揺動選別部材3の重力によるモーメントを最小限度に抑えて揺動駆動できるとともに、揺
動動作による重心まわりのモーメントが小さく抑えられる。したがって、支持フレーム2
の軽量化を図った小型構成の石抜装置においても、駆動動力の低減とともに、装置全体の
振動が抑えられて安定動作が可能となる。
【0020】
また、前後のバランスウェイト25a,25bは、それぞれの支持リンク4a,4bを
支持点22a,22bから前後方向に延長した延長アーム23a,23bに取付けたこと
から、延長アーム23a,23bの長さとバランスウェイト25a,25bの質量を小さ
く抑えてコンパクトに構成することができる。
【0021】
さらに、前後のバランスウェイト25a,25bは、それぞれ揺動選別部材3の選別板
11の幅方向の中央に配置したことから、選別板11の片側方に軽量のシュート11aを
付設した構成であっても、揺動選別部材3の幅方向のバランスにより安定姿勢が確保され
るので、装置全体の幅方向の振動が抑えられて安定動作が可能となる。
また、3箇所目のバランス手段として、駆動用偏心支軸5には、その偏心モーメントと
釣り合うバランスウェイト5b,5bを設けて駆動用偏心支軸5から生じる装置全体の振
動および騒音を低減することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 石抜装置
2 支持フレーム
3 揺動選別部材
3a 風洞
4a,4b 支持リンク
5 偏心支軸
5a リンク
5b バランスウェイト
11 選別板
11a シュート
21a,21b 支軸
22a,22b 支点
23a,23b 延長アーム
24a,24b 架材
25a,25b バランスウェイト
W 選別板幅