(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709183
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】インデックス付き冊子の製本方法及びこの製本方法で製本されたインデックス付き冊子
(51)【国際特許分類】
B42C 1/00 20060101AFI20150409BHJP
B42D 1/06 20060101ALI20150409BHJP
B42C 9/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
B42C1/00 A
B42D1/06
B42C9/00
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-167174(P2013-167174)
(22)【出願日】2013年8月10日
(65)【公開番号】特開2015-36194(P2015-36194A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2013年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】592093268
【氏名又は名称】コーホク印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088993
【弁理士】
【氏名又は名称】板野 嘉男
(72)【発明者】
【氏名】薮野 唯展
【審査官】
槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−023263(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3165907(JP,U)
【文献】
特開平09−267966(JP,A)
【文献】
特開2000−015953(JP,A)
【文献】
特開2006−007722(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3121172(JP,U)
【文献】
特開平03−266697(JP,A)
【文献】
特公平06−055962(JP,B2)
【文献】
特開2006−315255(JP,A)
【文献】
特開2001−315223(JP,A)
【文献】
特開2006−231849(JP,A)
【文献】
特開2010−005873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00−25/485
B65D 27/00−27/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉を移送しながら背側を揃えて平綴じ状に永久接着し、小口側を上の紙葉ほど短くして階段部とする丁合をして階段部を含む紙葉を疑似接着する製本方法において、階段部の一つ又は二つを含む上の紙葉の端の裏面と下の紙葉の階段部の内寄りとの間に接着力の弱い疑似接着糊を塗布して別々、かつ、順に押圧する一方で、最後に全体を上ローラと下ローラの間を通して永久接着と疑似接着を確保することを特徴とするインデックス付き冊子の製本方法。
【請求項2】
冊子の天及び/又は地が疑似接着される請求項1のインデックス付き冊子の製本方法。
【請求項3】
背側からいくらか入った最上葉と最下葉を除く各紙葉にミシン目で枠取りをした請求項1又は2いずれかのインデックス付き冊子の製本方法。
【請求項4】
枠取りの一つが返信用はがきである請求項3のインデックス付き冊子の製本方法。
【請求項5】
冊子全体が種々の形に打ち抜かれる請求項1〜4いずれかのインデックス付き冊子の製本方法。
【請求項6】
請求項1〜4いずれかの製本方法で製本されるインデックス付き冊子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインデックス付き冊子の製本方法及びこの製本方法で製本されたインデックス付き冊子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近は複数の紙葉に情報を記載して送付することがある。ここで、送付とは情報伝達を目的として郵送、ゆうメール、宅配業者のメール等のすべてを含むものであり、記載される情報も特定人に送付されることを前提として作成されるものもあれば、不特定人に送付用の、例えば、一般的な広告、宣伝用のものもある。このため、冊子はある程度の大判(A4程度)になり、枚数も3〜5枚程度になる。また、冊子の特定の紙葉には、返信用のはがきや封書を展開したものも付いており、枠をミシン目等で形成している。加えて、送付中に頁がパラパラと開いては具合が悪いので、一端は完全接着糊で綴じるものの、他端は疑似接着糊で仮止めして受取人が空けるようにしている。さらに、天と地も疑似接着糊で仮止めしているものもある。
【0003】
ただ、あまり、紙葉の数を増やしても、送付できる情報には限度があり、多すぎるものは却って逆効果になることがある。そればかりか、目方も重くなって送料が高くつく。このような目的の冊子として疑似接着された小口側が階段になって露出した部分に当該紙葉のインデックスを記したインデックス付き冊子(以下、冊子)が特開2006−315252(特許文献1)として開示されている。しかし、この先行例のものは、冊子を中綴じにしているため、同じ幅の紙葉を使用することはできるが、小口側に段差部を形成するために折る位置を変えなければならない。また、中程を折るのであるから、奇数枚にはできない。さらに、紙葉の数が増えれば、折った個所で連続して重なり、背中が尖った形状になって体裁もよくない。
【0004】
そこで、特開2009−023263(特許文献2)には、平綴じ状の同様の冊子が提案されている。しかし、この先行例は階段部を有する疑似接着した小口側が処理中や処理後に剥離することを念頭にしており、その場合は再度加圧して疑似接着性を再現させるとある。しかし、このようなことが起こるのは十分に接着されていないからであり、このように階段部を有する部分では、段差があるため、一つローラでは十分な加圧力を与えられず、十分な接着力が得られていないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−315252号公報
【特許文献2】特開2009−023263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は冊子を平綴じとするとともに、階段部の疑似接着を小分けに行うようにして
完全に接着できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、紙葉を移送しながら背側を揃えて平綴じ状に永久接着し、小口側を上の紙葉ほど短くして階段部とする丁合をして階段部
を含む紙葉を疑似接着する製本方法において、階段部の一つ又は二つ
を含む上の紙葉の端の裏面と下の紙葉の階段部の内寄りとの間に接着力の弱い疑似接着糊を塗布して別々、かつ、順に押圧する一方で、最後に全体を上ローラと下ローラの間を通して永久接着と疑似接着を確保することを特徴とする
インデックス付き冊子の製本方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、請求項6に記載した、上記いずれかの製本方法で製本されることを特徴とするインデックス情報付き冊子を提供する。
【0009】
また、本発明は、以上の製本方法で製法されたインデックス情報付き冊子の露出部に送付人のマッチング情報を印刷した手段を提供する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によると、階段部で段差がある部分は加圧を分けて十分に加圧力が働くようにし、疑似接着糊といえども十分な接着力が発揮するようにする。また、紙片を折らないから、偶数枚でも可能であるし、冊子は平綴じであるから、先端(背)が尖ったりせずに体裁がよいものになる。なお、階段部はそれぞれ露出しており、当該紙葉のイッデックスや注意を引く惹句とすれば、未開封のままで放棄される事態が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】インデックス付き冊子の他の例の平面図である。
【
図7】インデックス付き冊子の変形例を示す平面図である。
【
図8】インデックス付き冊子の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、
図1は本発明に係る情報付き冊子の平面図、
図2は
図1のA−A断面図であり、この冊子1は「ゆうメール」が適用できて(重量3g以下)料金後納2である旨の表示がしてあるもので、A4サイズの五枚の紙葉3a〜3eを平閉じにしたものであるが、紙葉数はこれに限るものではない。そして、一番幅の狭い紙葉3eの中心に宛名4が記されている。
【0013】
各紙葉は平閉じであるから、背5は揃えてあり、十分な圧力をかけて完全接着糊6で接着している。ただし、小口7側は下の紙葉ほど長くなっており、上に行くほど幅が狭くなっている。したがって、小口7側では各紙葉の端で上の紙葉との間に階段部8が形成され、段差が覗くが、上の紙葉の端の裏面と下の紙葉の階段部8の内寄りとの間に接着力の弱い
疑似接着糊9を塗布し、引っ張ると剥がれるようにしている。なお、露出した階段部8の部分に当該頁には何が記載されているかを推察できる情報(インデックス情報10)を印刷しておけば未開封のままで捨てられる事態が少ない。なお、この情報の多寡で階段部8の幅を変えることもある。また、OCRやバーコード或いはQRコード(登録商標)等のマッチング情報11を階段部8に印刷し、その全数を検査カメラで読み取ってデータ照合し、ミスマッチを防ぐこともできる。さらに、検査結果のログ取りもでき、品質保証として活用できる。
【0014】
ところで、この冊子は特定の者に送られる場合と広告や宣伝を目的として不特定の者に送られる場合がある。前者には前者特有の情報が記載されており、他の人に送られる冊子に綴られるものと組み合わされると具合が悪い。そこで、この階段部8には、当該特定人と一致する記号、番号、符号といった上記とは異なるマッチング情報11を付記してミスマッチを防ぐこともある。
【0015】
なお、これら冊子は製本機で流れ作業として簡単にできる。
図5それを示す断面説明図、図、
図6は側面説明図であるが、いずれにしても両側にピン15を有するコンベア16で搬送しながら作業をする。すなわち、予め所要の事項が印刷してある幅の違う紙葉をロールに巻き、上手から幅の長いものから順に出てくるようにフレームに設けておく(図示省略)。そして、一枚出ると、階段部8の内側になる部分には疑似接着糊9、背5側には完全接着糊6を塗布し、その上に次に幅の長いものを同様の操作をして載せて流し、最後に縦カット12(天をカットするともいう)と横カット13(地をカットするともいう)をすれば完成する。
【0016】
ところで、この場合、一つのローラ17で押圧しただけでは、接着力が弱いとはいえ疑似接着糊9を使用する各階段部8の接着が十分ではない。そこで、階段部8ごとにローラ17(1)〜17(3)で押圧するやり方をとる(紙葉が五枚であるから)。この場合、一つの階段部8に一つのローラ17(1)〜17(3)を押圧する場合もあれば、二つの階段部8にわたって一つのローラ17(1)〜17(3)で押圧することもある。いずれも紙葉の厚さにより、厚いものほど押圧力が強くなるようにしておく。もちろん、ローラ17の下には硬い下敷き18を置いておく(これもローラとしてもよい)。なお、移送途中のコンベア16の間には紙葉が落下しない程度に下敷き18を敷いておくが、最後に全体を押圧するときには上ローラ17aと下ローラ17bの間を通す。
【0017】
以上は基本的な例であるが、この他、種々の変形例をとることがある。例えば、疑似接着は天(縦カット)12や地(横カット)13の一定範囲と共に行ってもよい。こうすると、紙葉3は完全に隠れ、情報は完全に秘匿される。また、背5側からいくらか入った内部の各紙葉3に破れ難い(溝線でない幅が広い)ミシン目14を形成することも考えられる。こうすると、頁を引っくり返したときに当該頁が元に戻らず安定するし、切り取って永久保存版にするときに便利である。
【0018】
この他、形状についても以上は方形のものを示したが、種々の形状のものにできる。つまり、糊付けは背側における搬送方向に線状に付けた永久接着糊と同じく小口側の疑似接着糊及び天12や地13の糊付けのようにあるパターンでの枠糊付けも可能であるから、方形以外のものも可能である。
図7は奇抜さを狙ったものであるが、全体を自動車の形状に打ち抜いたものである。これにも階段部8を設けてインデックス情報10を付すが、これによると、まず、自動車の形状自体に奇抜な感を覚え、次に、複数の紙葉3が用いられて捲れるのであるから、多くの情報を伝達できる上に各紙葉3のインデックス情報10で当該紙葉のあらましの記述がわかる。インデックス情報10として「主要装備」「グレード・価格」「スタイル・インテリア」と付してあり、インデックス情報10の典型的な例かもわからない。
【0019】
図8も他の例であるが、本例のものは最上葉の紙葉3を内側に折り込む二枚組とするとともに、最下葉の紙葉3よりもわずかに短くし、疑似接着したときに他の階段部8を覆うようにして秘匿性を守ったものである。更なる秘匿性ということであるなら、天12と地13を疑似接着しておけばよい。さらに、枠取りの一つを返信用(注文用)のはがき19とし、宛名人とマッチングして印刷しておけば、返信人の記載の手間も省けるし、同葉、同面に印刷するのであるから、間違うこともないし、コストも安くてすむ。なお、二枚組とするのは最上葉の紙葉3に限らないし、幅を短くして階段部8としてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 ゆうメール(ゆうメール)
2 料金後納
3 紙葉
4 宛名
5 背
6 完全接着糊
7 小口
8 階段部
9 疑似接着糊
10 インデックス情報
11 マッチング情報
12 天(縦カット)
13 地(横カット)
14 ミシン目
15 ピン
16 コンベア
17 ローラ
18 下敷き
19 返信用はがき