(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1から3のいずれか1項に記載の複数の半導体装置を、各前記半導体装置の前記第2の外部端子が配置されている面と、該半導体装置に隣接する他の前記半導体装置の前記第3の外部端子が配置されている面と、が互いに対向するように、複数積層する工程と、
積層された複数の前記半導体装置を互いに電気的に接続する工程と、
各前記半導体装置に含まれている前記放熱部をそれぞれ折り曲げて互いに熱的に接続する工程と、
各前記半導体装置に含まれている前記放熱部を折り曲げて、前記第2の外部端子が配置されている面を下と定義した場合において最上層に積層されている半導体装置に含まれている第1の半導体素子の第2の面、平板の第2の面又はその両方と熱的に接続する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている3次元実装型半導体装置106の各単体パッケージ105では、FPC102は半導体ベアチップ101に直接巻きつけられている。FPC102は、一般的な絶縁材料であるポリイミドから構成される。ポリイミドは金属などと比較して熱伝導性が低い。また、単体パッケージ105は、排熱を配慮した構造ではない。このため、半導体ベアチップ101から発生した熱は、単体パッケージ105の外部に逃げにくい。この問題は、高消費電力の半導体ベアチップ101が用いられる単体パッケージ105において顕著である。特に、多段に積層されたこのような単体パッケージ105から構成される3次元実装型半導体装置106では、下の段に配置されている単体パッケージ105内の半導体ベアチップ101で発生した熱は上側に逃げにくく、上の段に配置されている単体パッケージ105内の半導体ベアチップ101で発生した熱は下側に逃げにくい。この結果、各半導体ベアチップ101の温度が上昇するという問題点がある。
【0007】
特許文献2に開示されている3次元実装型半導体装置の各単体パッケージ210では、半導体ベアチップ203は、貫通穴202の内側に嵌め込まれ、かつ、フレーム201ごとFPC204によって包まれている。このため特許文献1の構造と同様に、半導体ベアチップ203から発生した熱は、単体パッケージの外部に逃げにくい。この問題は、高消費電力の半導体ベアチップ203が用いられる単体パッケージにおいて顕著である。特に、多段に積層されたこのような単体パッケージから構成される3次元実装型半導体装置では、下の段に配置されている単体パッケージ内の半導体ベアチップ203で発生した熱は上側に逃げにくく、上の段に配置されている単体パッケージ内部にある半導体ベアチップ203で発生した熱は下側に逃げにくい。このため、特許文献1が開示する3次元実装型半導体装置と同様に、各半導体ベアチップ203の温度が上昇するという問題点がある。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、小型かつ薄型であり放熱性能に優れる半導体装置、3次元実装型半導体装置、半導体モジュール、電子機器、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る半導体装置は、
互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とを有しその第1の面には外部端子が備えられている1つ以上の第1の半導体素子と、
互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とにそれぞれ導体層が形成されている放熱部と、互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とにそれぞれ配線パターンが形成されている配線パターン部と、を備え、
前記放熱部の第1の面と第2の面上の前記導体層はビアを介して互いに接続されており、前記配線パターン部の第1の面には第1の外部端子が備えられており、前記配線パターン部の第2の面には第2の外部端子及び第3の外部端子が備えられている1つの可撓性回路基板と、
を含み、
前記第1の半導体素子に備えられている前記外部端子と前記可撓性回路基板に備えられている前記第1の外部端子とは電気的に接続されており、
前記可撓性回路基板は、前記配線パターン部が前記第1の半導体素子の少なくとも一部分を包むように、折り曲げられて前記第1の半導体素子の第2の面に接着されており、
前記第2の外部端子は前記第1の半導体素子の第1の面上方に配置されており、
前記第3の外部端子は前記第1の半導体素子の第2の面上方に配置されている、
ことを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る半導体装置は、
互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とを有しその第1の面には外部端子が備えられている1つ以上の第1の半導体素子と、
互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とを有し、貫通穴又はその第1の面に形成された溝を有する平板と、
互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とにそれぞれ導体層が形成されている放熱部と、互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とにそれぞれ配線パターンが形成されている配線パターン部と、を備え、
前記放熱部の第1の面と第2の面上の前記導体層はビアを介して互いに接続されており、前記配線パターン部の第1の面には第1の外部端子が備えられており、前記配線パターン部の第2の面には第2の外部端子及び第3の外部端子が備えられている1つの可撓性回路基板と、
を含み、
前記第1の半導体素子に備えられている前記外部端子と前記可撓性回路基板に備えられている前記第1の外部端子とは電気的に接続されており、
前記貫通穴又は前記溝は前記第1の半導体素子を収容できる大きさを有しその内側には前記第1の半導体素子が収容されており、
前記可撓性回路基板は、前記配線パターン部が前記平板の少なくとも一部分を包むように、折り曲げられて前記平板の第2の面に接着されており、
前記平板の第1の面は前記可撓性回路基板の第1の面に接着されており、
前記第2の外部端子は、前記平板及び前記第1の半導体素子のうち少なくとも一方の第1の面上方に配置されており、
前記第3の外部端子は、前記平板及び前記第1の半導体素子のうち少なくとも一方の第2の面上方に配置されている、
ことを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る3次元実装型半導体装置は、
本発明の第1又は第2の観点に係る半導体装置と、
互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とを有しその第1の面には外部端子が備えられている1つ以上の第2の半導体素子と、
を含み、
前記第2の半導体素子は前記半導体装置の前記第3の外部端子が配置されている面に積層されており、
前記第3の外部端子と前記第2の半導体素子に備えられている前記外部端子とは電気的に接続されている、
ことを特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第
4の観点に係る3次元実装型半導体装置は、
本発明の第1又は第2の観点に係る半導体装置を複数備え、
各前記半導体装置の前記第2の外部端子が配置されている面と、該半導体装置に隣接する他の前記半導体装置の前記第3の外部端子が配置されている面と、が互いに対向するように、複数の前記半導体装置は積層され、且つ、各前記半導体装置の前記第2の外部端子と該半導体装置に隣接する前記他の前記半導体装置の前記第3の外部端子とは電気的に接続されており、
各前記半導体装置に含まれている前記放熱部はそれぞれ折り曲げられて互いに熱的に接続されており、且つ、前記第2の外部端子が配置されている面を下と定義した場合において最上層に積層されている半導体装置に含まれている前記第1の半導体素子の第2の面、前記平板の第2の面又はその両方と熱的に接続されている、
ことを特徴とする。
【0018】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第
5の観点に係る半導体モジュールは、
本発明の第1若しくは第2の観点に係る半導体装置又は本発明の第
3若しくは4の観点に係る3次元実装型半導体装
置と、
プリント回路基板と、を備え、
前記半導体装置又は前記3次元実装型半導体装置は前記プリント回路基板上に配置され前記プリント回路基板と電気的に接続されている、
ことを特徴とする。
【0019】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第
6の観点に係る電子機器は、
本発明の第1
若しくは第2の観点に係る半導体装置
、本発明の第3若しくは第4の観点に係る3次元実装型半導体装置、又は、本発明の第5の観点に係る半導体モジュールを備える、
ことを特徴とする。
【0022】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第7の観点に係る半導体装置の製造方法は、
(a)互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とを有しその第1の面には外部端子が備えられている1つ以上の第1の半導体素子の前記外部端子と、(b)
互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とにそれぞれ導体層が形成されている放熱部と、互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とにそれぞれ配線パターンが形成されている配線パターン部と、を備え、
前記放熱部の第1の面と第2の面上の前記導体層はビアを介して互いに接続されており、前記配線パターン部の第1の面には第1の外部端子が備えられており、前記配線パターン部の第2の面には第2の外部端子及び第3の外部端子が備えられている1つの可撓性回路基板の前記第1の外部端子と、を電気的に接続する工程と、
前記配線パターン部が前記第1の半導体素子の少なくとも一部分を包むように前記可撓性回路基板を折り曲げて前記第1の半導体素子の第2の面に接着し、前記第2の外部端子を前記第1の半導体素子の第1の面上方に、前記第3の外部端子を前記第1の半導体素子の第2の面上方に、それぞれ配置する工程と、
前記放熱部を前記第1の半導体素子の一端から外側に延在させる工程と、
を含むことを特徴とする。
【0023】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第8の観点に係る半導体装置の製造方法は、
(a)互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面を有しその第1の面には外部端子が備えられている1つ以上の第1の半導体素子の前記外部端子と、(b)
互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とにそれぞれ導体層が形成されている放熱部と、互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とにそれぞれ配線パターンが形成されている配線パターン部と、を備え、
前記放熱部の第1の面と第2の面上の前記導体層はビアを介して互いに接続されており、前記配線パターン部の第1の面には第1の外部端子が備えられており、前記配線パターン部の第2の面には第2の外部端子及び第3の外部端子が備えられている1つの可撓性回路基板の前記第1の外部端子と、を電気的に接続する工程と、
互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とを有し、前記第1の半導体素子を収容できる大きさの貫通穴又はその第1の面に形成された溝を有する平板と、前記可撓性回路基板の第1の面と、を接着する工程と、
前記貫通穴又は前記溝の内側に前記第1の半導体素子を収容する工程と、
前記配線パターン部を前記平板の少なくとも一部分を包むように折り曲げて前記平板の第2の面の少なくとも一部分に接着し、前記第2の外部端子を前記平板の第1の面側に、前記第3の外部端子を前記平板の第2の面側に、それぞれ配置する工程と、
前記放熱部を前記平板の一端から外側に延在させる工程と、
を含むことを特徴とする。
【0024】
また、上記の目的を達成するために、本発明の第
9の観点に係る半導体装置の製造方法は、
本発明の第1又は第2の観点に係る複数の半導体装置を、各前記半導体装置の前記第2の外部端子が配置されている面と、該半導体装置に隣接する他の前記半導体装置の前記第3の外部端子が配置されている面と、が互いに対向するように、複数積層する工程と、
積層された複数の前記半導体装置を互いに電気的に接続する工程と、
各前記半導体装置に含まれている前
記放熱部をそれぞれ折り曲げて互いに熱的に接続する工程と、
各前記半導体装置に含まれている前記放熱部を折り曲げて、前記第2の外部端子が配置されている面を下と定義した場合において最上層に積層されている半導体装置に含まれている第1の半導体素子の第2の面、平板の第2の面又はその両方と熱的に接続する工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、小型かつ薄型でありながら放熱性能に優れる半導体装置、3次元実装型半導体装置及びそれらの製造方法を提供できる。これらの半導体装置は、半導体モジュール、電子機器に適している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の上面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置に用いられる可撓性回路基板を開かれた状態で示した上面図である。
【
図4C】可撓性回路基板の他の例を示す図であり、
図3におけるA−A’線断面図に相当する断面図である。
【
図4D】可撓性回路基板の他の例を示す図であり、
図3におけるB−B’線断面図に相当する断面図である。
【
図5】
図4に示す可撓性回路基板に半導体素子が実装された状態を示す上面図である。
【
図6】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法において、可撓性回路基板が折り曲げられて半導体素子が包まれる様子を説明するための図であり、(d)は(c)の拡大図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の第1変形例であって、可撓性回路基板上に半導体素子が実装され、可撓性回路基板が折り曲げられて半導体素子が包まれる様子を説明するための図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の第2変形例であって、可撓性回路基板上に半導体素子が実装され、可撓性回路基板が折り曲げられて半導体素子が包まれる様子を説明するための図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す上面図である。
【
図11】(a)は半導体素子が収容できるサイズの貫通穴が形成された平板を示す上面図であり、(b)はそのA−A’線断面図である。
【
図12】(a)は半導体素子が収容できるサイズの溝が形成された平板を示す上面図であり、(b)はそのA−A’線断面図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態に係る3次元実装型半導体装置を示す上面図である。
【
図15】本発明の第4の実施形態に係る半導体モジュールを示す上面図である。
【
図16C】第4の実施形態の変形例に係る半導体モジュールを示す断面図である。
【
図17】本発明の第5の実施形態に係る3次元実装型半導体装置を示す上面図である。
【
図19】本発明の第6の実施形態に係る3次元実装型半導体装置を示す上面図である。
【
図21A】本発明の第7の実施形態に係る3次元実装型半導体装置の製造方法を説明するための図であって、第2の実施形態に係る半導体装置が2段積層された状態を示す上面図である。
【
図21C】
図21Aにおいて下の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部が折り曲げられて、上の段に配置されている半導体装置に含まれている半導体素子の第2の面及び平板の第2の面と接着された状態を示す上面図である。
【
図21E】本発明の第7の実施形態に係る3次元実装型半導体装置の上面図であって、
図21Cにおいて上の段に配置されている放熱部が折り曲げられて、下の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部と接着された状態を示す上面図である。
【
図22A】本発明の第7の実施形態の変形例に係る3次元実装型半導体装置の製造方法を説明するための図であって、第2の実施形態に係る半導体装置が2段積層された状態を示す上面図である。
【
図22C】
図22Aにおいて上の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部が折り曲げられて、上の段に配置されている半導体装置に含まれている半導体素子の第2の面及び平板の第2の面と接着された状態を示す上面図である。
【
図22E】本発明の第7の実施形態の変形例に係る3次元実装型半導体装置の上面図であって、
図22Cにおいて下の段に配置されている放熱部が折り曲げられて、上の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部と接着された状態を示す上面図である。
【
図23A】本発明の第8の実施形態に係る3次元実装型半導体装置において下の段に配置される半導体装置を示す上面図である。
【
図23B】本発明の第8の実施形態に係る3次元実装型半導体装置において上の段に配置される半導体装置の上にヒートシンクが実装されている状態を、ヒートシンクを透視して示す上面図である。
【
図23C】
図23Aに示す半導体装置の上に、
図23Bに示す半導体装置及びヒートシンクが積層された状態を、ヒートシンクを透視して示す上面図である。
【
図23D】
図23Cにおいて下の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部が折り曲げられて、上の段に配置されている半導体装置の上に実装されているヒートシンクと接着された状態を、ヒートシンクを透視して示す上面図である。
【
図23E】本発明の第8の実施形態に係る3次元実装型半導体装置を示す上面図であって、
図23Dにおいて上の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部が折り曲げられて、下の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部と接着された状態を、ヒートシンクを透視して示す上面図である。
【
図24A】本発明の第9の実施形態に係る3次元実装型半導体装置において、下の段に配置される半導体装置の上面図である。
【
図24B】本発明の第9の実施形態に係る3次元実装型半導体装置において、上の段に配置される半導体装置の上に第3の半導体素子が実装された状態を、第3の半導体素子を透視して示す上面図である。
【
図24C】
図24Aに示す半導体装置の上に、
図24Bに示す半導体装置及び第3の半導体素子が積層された状態を、第3の半導体素子を透視して示す上面図である。
【
図24D】
図24Cにおいて下の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部が折り曲げられて、第3の半導体素子の第2の面と接着された状態を、第3の半導体素子を透視して示す上面図である。
【
図24E】本発明の第9の実施形態に係る3次元実装型半導体装置の上面図であって、
図24Dにおいて上の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部が折り曲げられて、下の段の半導体装置に含まれている放熱部と接着された状態を示す上面図である。
【
図25A】本発明の第10の実施形態に係る3次元実装型半導体装置において、下の段に配置される半導体装置を示す上面図である。
【
図25B】本発明の第10の実施形態に係る3次元実装型半導体装置において、上の段に配置される半導体装置の上に第3の半導体素子が実装され、さらにその上にヒートシンクが配置された状態を、ヒートシンクを透視して示す上面図である。
【
図25C】
図25Aに示す半導体装置の上に、
図25Bに示す半導体装置、第3の半導体素子及びヒートシンクが積層された状態を、ヒートシンクを透視して示す上面図である。
【
図25D】
図25Cにおいて下の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部が折り曲げられて、第3の半導体素子の上に配置されているヒートシンクと接着された状態を、ヒートシンクを透視して示す上面図である。
【
図25E】本発明の第10の実施形態に係る3次元実装型半導体装置の上面図であって、
図25Dにおいて上の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部が折り曲げられて、下の段に配置されている半導体装置に含まれている放熱部と接着された状態を、ヒートシンクを透視して示す上面図である。
【
図26】本発明の第11の実施形態に係る半導体モジュールの上面図である。
【
図28A】従来例に係る半導体装置の上面図である。
【
図29】
図28Aに示す半導体装置が複数積層された、従来例に係る3次元実装型半導体装置の側面断面図である。
【
図30A】他の従来例に係る半導体装置に用いられるフレームの斜視図である。
【
図30B】
図30Aに示すフレームと半導体ベアチップとが可撓性回路基板に実装された状態を示す斜視図である。
【
図30C】他の従来例に係る半導体装置の一部断面図である。
【
図31】他の従来例に係る半導体装置が複数積層された、従来例に係る3次元実装型半導体装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳しく述べる。
【0031】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置40の構成について説明する。
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置40は、
図1に示すように、可撓性回路基板1と第1の半導体素子4とを備えている。可撓性回路基板1は、
図3に示すように、配線パターン部2と放熱部3とから構成されている。配線パターン部2は、
図1、
図2A及び
図2Bに示すように折り曲げられて、第1の半導体素子4を包んでいる。放熱部3は、
図1及び
図2Aに示すように、第1の半導体素子4の外側に延在している。配線パターン部2と放熱部3とは、
図4A、
図4Bに示すように、共通する芯材として可撓性基材11を備える。可撓性回路基板1、配線パターン部2及び放熱部3は、互いに表裏の関係にある第1の面6と第2の面7とを備えている。
【0032】
配線パターン部2は、
図4Aに示すように、可撓性基材11の両面に絶縁層12を有する。絶縁層12は、配線パターン部2の第1の面6と第2の面7とを構成する。配線パターン部2の第1の面6と第2の面7とには、配線パターン(回路)が形成されている。配線パターン部2の第1の面6は第1の外部端子8及び接着層13を備え、配線パターン部2の第2の面7は第2の外部端子9及び第3の外部端子10を備える。第1の外部端子8及び第2の外部端子9は、配線パターン部2の中ほどに配置されている。一方、第3の外部端子10は、配線パターン部2の折りたたまれる両端に配置されている。なお、理解を容易にするため、
図1〜3では各外部端子は省略されている。
【0033】
放熱部3は、
図4Bに示すように、可撓性基材11の両面に表面が露出するように形成されている導体層15を有する。導体層15は、放熱部3の表面のほぼ全面を占める。導体層15は、例えば銅で形成されている。表面積を大きくすることで冷却効率を高めるため、導体層15の表面粗さは粗い(凹凸が大きい)。この表面粗さは、例えば、導体層15の表面を粗面処理することでもたらされる。可撓性回路基板11の第1の面6に露出している導体層15と、可撓性回路基板11の第2の面7に露出している導体層15とは、
図4Bに示すように、ビア14を介して電気的及び熱的に接続されている。
【0034】
図3に示すように、配線パターン部2と放熱部3とは長軸が互いに90度ずれて配置されている。なお、
図3中、破線で囲まれた領域18は、第1の半導体素子4が実装される領域を示している。配線パターン部2と放熱部3とは、配線パターン部2に伝えられた熱を効率よく放熱部3に伝えるために、例えば、絶縁性と熱伝導性とを有する樹脂材料等を介して熱的に接続されている。配線パターン部2と放熱部3とが電気的に接続されていることは必須要件ではない。
【0035】
第1の半導体素子4、配線パターン部2、及び放熱部3を上記のように接続することで、第1の半導体素子4で発生した熱は、配線パターン部2に伝えられ、さらに配線パターン部2と電気的及び熱的に接続された放熱部3へと伝えられる。このようにして、半導体装置40は効率よく冷却される。
【0036】
第1の半導体素子4は、互いに表裏の関係にある第1の面と第2の面とを有する。第1の面は、
図6(d)に示すように、端子41を備える。第1の半導体素子4のこの端子41と可撓性回路基板1の第1の外部端子8とは電気的に接続されている。半導体装置40では、配線パターン部2は折り曲げられているため、第2の外部端子9は第1の半導体素子4の第1の面上方に、第3の外部端子10は第1の半導体素子4の第2の面上方に、それぞれ位置する。半導体装置40の下面には、
図2A及び
図2Bに示すように、はんだボール5が配置されている。はんだボール5は、それぞれ第2の外部端子9と電気的に接続されている。
【0037】
半導体装置40に用いられる第1の半導体素子4の種類は特に限定されないが、例えば半導体ベアチップ、ボールグリッドアレイ(BGA)タイプの半導体パッケージ(ウエハレベルパッケージも含む)などが、小型で薄型の半導体装置を製造する場合に好ましい。特に、高速で動作し、且つ発熱量(消費電力)の大きい、DDR、DDR2、DDR3などを代表とする高速DRAM(Dynamic Random Access Memory)や、高速プロセッサーなどが好適である。また、光素子(光と電気とを変換する例えばフォトダイオード等のデバイス)の信号増幅処理を行うドライバーデバイスや電源デバイスなども発熱量(消費電力)が大きいので、本発明の半導体装置に用いる第1の半導体素子4として好適である。
【0038】
さらに半導体装置40では、可撓性回路基板1の配線パターン部2上に備えられている第2の外部端子9と第3の外部端子10とが、それぞれ半導体装置40の表と裏とに露出するように配置されている。この構造により、半導体装置40は、複数積層され、かつ、互いに電気的に接続され得る。また、半導体装置40は、他のデバイスと積層され、かつ、互いに電気的に接続もされ得る。このようにして、半導体装置40は3次元実装が可能である。複数の半導体装置40を積層することで、又は半導体装置40と別のデバイスとを積層することで、実装面積を削減することができる。
【0039】
上記構成により、小型かつ薄型の3次元実装可能な半導体装置40において、その冷却効率を高めることが可能となる。
【0040】
次に半導体装置40の製造方法について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図6(a)は
図5のA−A’線断面図であり、
図6(b)及び(c)は、そこから配線パターン部2が折り曲げられて第1の半導体素子4が包まれる様子を示す。第1の半導体素子4は、
図5に示すように、
図3で示した可撓性回路基板1上の領域18内に、第2の面17を上にして配置され、可撓性回路基板1と電気的に接続される。次に
図6に示すように、可撓性回路基板1に含まれている配線パターン部2のうち、第1の半導体素子4の外形から外側に延在している部分が折り曲げられる。さらに、配線パターン部2は、第1の半導体素子4を包むように折り曲げられて、第1の半導体素子4の第2の面17に接着される。このようにして、半導体装置40が完成する。
【0041】
第1の半導体素子4と可撓性回路基板1とを電気的に接続する方法は限定されないが、例えば第1の半導体素子4が半導体ベアチップである場合は、以下の方法をとることができる。まず、第1の半導体素子4(ここでは半導体ベアチップ)の端子の上にAuスタッドバンプボンダー装置を用いてAuスタッドバンプが形成される。次に、このAuスタッドバンプと可撓性回路基板1の第1の面6上にある第1の外部端子とが、フリップチップ実装マウンターを用いて位置合わせされる。続いて加熱、加圧、超音波の印加、等の処理が行われ、第1の半導体素子4と可撓性回路基板1とが電気的に接続される。この時、可撓性回路基板1の第1の面6の第1の外部端子8の表面には、Au薄膜又はSn系はんだ薄膜がスパッタ法又はメッキ法で形成されていることが好ましい。これらの薄膜が形成されていることにより、第1の外部端子8とAuスタッドバンプとのAu−Au接続又はAu−はんだ接続が可能になる。さらに、Au薄膜やSn系はんだ薄膜が形成される前に、第1の外部端子8の表面には、Ni等からなるバリアメタル層が下地として形成されていることが好ましい。これにより、AuやSn系はんだが配線材料(一般的にはCu)へ拡散することを防ぐことができる。
【0042】
第1の半導体素子4と可撓性回路基板1とを電気的に接続する他の方法では、第1の半導体素子4の端子上にはんだバンプが形成され、このはんだバンプが可撓性回路基板1の第1の面6上にある第1の外部端子8と接続される。この場合も第1の外部端子8の表面にはAu薄膜又はSn系はんだ薄膜がスパッタ法又はメッキ法で形成されていることが好ましい。さらに、これらの薄膜の下地としてNi等からなるバリアメタル層が第1の外部端子8の表面に形成されていることが好ましい。
【0043】
さらに、第1の半導体素子4がBGAタイプの半導体パッケージである場合は、以下のような方法で第1の半導体素子4と可撓性回路基板1とを電気的に接続することも可能である。まず、可撓性回路基板1の第1の面6上にある第1の外部端子8の上に、フラックスや予備はんだが印刷法などにより塗布される。次に、フリップチップ実装マウンターを用いて、第1の半導体素子4のBGAはんだボールと可撓性回路基板1の第1の外部端子8との位置合わせが行われる。この際加熱は行われず、第1の半導体素子4は低荷重で可撓性回路基板1上に仮搭載される。仮搭載時の荷重は限定されないが、一例を挙げれば、作成される半導体装置の面積が50〜150mm
2の場合、第1の半導体素子4に加えられる荷重は例えば約1Kgである。続いて、リフロー装置を用いてBGAはんだボールが溶融され、その後冷却される。このようにして、第1の半導体素子4と可撓性回路基板1とは電気的に接続される。この場合も第1の外部端子8の表面にはAu薄膜又はSn系はんだ薄膜がスパッタ法又はメッキ法で形成されていることが好ましい。さらに、これらの薄膜の下地としてNi等からなるバリアメタル層が第1の外部端子8の表面に形成されていることが好ましい。
【0044】
上記の場合において、可撓性回路基板1と第1の半導体素子4との接着は、例えば可撓性回路基板1の第1の面6上に形成されている接着層13を用いて行われる。別の方法では、第1の半導体素子4の表面にあらかじめ接着層が形成され、その接着層を利用して、可撓性回路基板1と第1の半導体素子4とが接着される。
【0045】
(変形例1)
第1の実施形態では、放熱部3と配線パターン部2とは電気的に接続されている必要はないが、放熱部3と配線パターン部2とは電気的に接続されていることがより好ましい。例えば、第1の半導体素子4と放熱部3とが導体(一般的には銅などの金属)を介して直接接続されていることが好ましい。このような構造とすることで、半導体装置40をより効率よく冷却することができる。
【0046】
(変形例2)
上記変形例1では、放熱部3が電気的に接続される配線パターン部2の部分は限定されないが、放熱部3が、第1の半導体素子4、ヒートシンク、ヒートスプレッダー又はプリント回路基板の一部と接続されている場合、配線パターン部2はグランドと接続するグランド配線部を有し、且つ、放熱部3はそのグランド配線部に電気的に接続されていることが好ましい。このような構造とすることで、グランドをより大きく取ることができる。そして、グランドノイズを低減させ、電気的な誤動作が起こる確率を最も低くすることができる。この結果、半導体装置40を安定して動作させることができる。
【0047】
(変形例3)
第1の実施形態では、放熱部3の導体層15の材質として銅(Cu)を用いたが、導体層15の材質はこれに限定されない。Cuの他に、例えばアルミニウム(Al)等の熱伝導率の高い材料を選択することができる。これらの材料を用いることで、半導体装置40の放熱効率を高めることができる。CuやAlは比較的安価であるため、コスト面でも好ましい。
【0048】
(変形例4)
第1の実施形態では、
図3、
図4A及び
図4Bに示すような構成の可撓性回路基板1が用いられる例を示したが、可撓性回路基板の構造はこれに限定されない。例えば、上記可撓性回路基板1では接着層13は配線パターン部2の第1面6の一部にのみ形成されているが、
図4C及び
図4Dに示すような、配線パターン部2の第1の面6のほぼ全面にわたって接着層13が形成されている可撓性回路基板を用いてもよい。このような構造の可撓性回路基板は、例えば半導体ベアチップが第1の半導体素子4として直接に当該可撓性回路基板に積層される場合に特に適している。なお、
図4C及び
図4Dでは、外部端子8の表面を接着層13が覆っているが、この場合、例えば、第1の半導体素子4の端子上にはんだバンプを形成し、該はんだバンプを接着層13を突き破りながら外部端子8まで挿入することで、第の半導体素子4の端子と外部端子8とを電気的に接続することができる。
【0049】
(変形例5)
第1の実施形態では、半導体装置40として放熱部3の両端が第1の半導体素子4の外側に延在している形態を示したが、放熱部3が延在している箇所は両端に限定されない。このような半導体装置50,60及びその製造方法を、
図7と
図8とそれぞれ示す。半導体装置40においては、放熱部3が第1の半導体素子4を実装する領域18の外側に延在する部分が両端にあったのに対し、半導体装置50,60では、放熱部3が第1の半導体素子4を実装する領域18の外側に延在する部分は1箇所だけとなっている。このように、放熱部3の数は、冷却効率や利用できる空間に応じて適した数を選択することができる。
【0050】
半導体装置50,60の製造においては、
図7及び
図8にそれぞれ示すように、第1の半導体素子4は、可撓性回路基板1の領域18上に配置され、可撓性回路基板1と電気的に接続される。続いて配線パターン部2のうち第1の半導体素子4の外側に延在している部分が、第1の半導体素子4を包むように折り曲げられる。このようにして、各変形例に係る半導体装置が完成する。この場合も、可撓性回路基板1の第2の外部端子9と第3の外部端子10とは、配線パターン部2が折り曲げられた後にそれぞれ半導体装置50,60の表と裏とに配置されるような位置に設けられている。
【0051】
(変形例6)
第1の実施形態では、半導体装置40として第1の半導体素子4が1つだけ実装される例を示したが、可撓性回路基板1の上に2つ以上の第1の半導体素子4が実装されても構わない。こうした実装法によれば、第1の半導体素子4として半導体ベアチップやウエハレベルパッケージ等の小型デバイスを用いる場合に、第1の半導体素子4を限られた空間内に効率よく実装できるため、小型の半導体装置を提供できる。このような半導体装置について、以下に、第2の実施形態として詳細に説明する。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置70について説明する。半導体装置70は、
図9、
図10A及び
図10Bに示すように、可撓性回路基板1と、2つの第1の半導体素子4と、平板19と、を備える。可撓性回路基板1及び第1の半導体素子4の構造はそれぞれ第1の実施形態に係る半導体装置40に用いられているものと同様である。
【0053】
図11(a)及び(b)に示すように、平板19には第1の半導体素子4を収容できる大きさの貫通穴21が2箇所に形成されている。2つの第1の半導体素子4は、それぞれ貫通穴21内に収容されている。可撓性回路基板1の配線パターン部2は、
図9及び
図10Bに示すように、2つの第1の半導体素子4を平板19ごと包むように折り曲げられている。なお、平板19は、半導体装置70全体の機能を阻害しないものであれば、どのような素材でも構わない。平板19は、例えば、放熱性能の高い絶縁体から構成されてもよい。
【0054】
本実施形態に係る半導体装置70は、第1の実施形態に係る半導体装置40に類似しているが、第1の半導体素子4を収容できる大きさの貫通穴21を2つ有する平板19を備えており、この貫通穴21の内側にそれぞれ第1の半導体素子4が収容されている点で異なっている。それ以外は第1の実施形態に係る半導体装置40と同様である。第1の実施形態に係る半導体装置40と同様、第1の半導体素子4の外側に延在している放熱部3が第1の半導体素子4で発生する熱を効率的に冷却する役割の一端を担っている。この結果、半導体装置70は効率よく冷却される。
【0055】
第1の実施形態に係る半導体装置40と同様に、半導体装置70においても、放熱部3を構成する導体層15が可撓性回路基板1の配線パターン2の一部と電気的及び熱的に接続されていることが望ましい。これにより、第1の半導体素子4で発生した熱が配線パターン部2を介して放熱部3に効率よく伝わるため、半導体装置70の冷却効率を高めることができる。ここで配線パターンの一部とは例えばグランド配線部、信号配線部または電源配線部を指している。放熱部3が第1の半導体素子4や他の半導体素子、ヒートシンク又はプリント回路基板の一部と接続又は接着される場合を考慮すると、放熱部3が可撓性回路基板1の配線パターン部2のうち、グランド配線部と電気的に接続されている構造が好ましい。このようにすることで、電気的な誤動作を生じる確率が低い構造を実現できる。
【0056】
また、第1の実施形態に係る半導体装置40と同様に、半導体装置70においても、放熱部3の導体層15は露出している面積が大きいことが放熱効率を高める上で好ましい。放熱部3の全面に導体層15が露出している構造であれば、最も冷却効率を高めることができる。さらに、粗面化処理などにより放熱部3の表面粗さを粗く(凹凸を大きく)すれば、放熱部3の表面積を大きくできるので高い冷却効率を実現できる。放熱部3に用いられる導体層15としては、安価で熱伝導率の高いCu又はAl等が好ましい。これらを選択することにより、放熱効率が高められた半導体装置を安価で製造することができる。
【0057】
さらに、本実施形態によれば、本発明に係る半導体装置に共通する特徴の1つである薄型で3次元積層可能な平坦な形状を損なうことなく、半導体装置70の占有面積を用途に合わせて任意に調整することができる。
【0058】
ロジック系のデバイス等の外部端子数が多いデバイス、DRAM又はフラッシュメモリ等のチップシュリンクにより外形サイズが小さくなったメモリ、及び、外部端子数が少ないデバイスの中でも光素子デバイスでは、外部端子のピッチが狭い。これらの半導体素子を用いて作製された半導体装置は、他の部品や装置との接続が難しい場合がある。しかし、他の部材との接続を容易にするために、この半導体装置の配線を延長したり、この半導体装置に部品を付け加えたりすると、この半導体装置の厚みが増したり、この半導体装置の形状が平坦でなくなったりする。この結果、得られた半導体装置を複数積層して用いることが難しくなったり、得られた半導体装置を用いる際の空間の利用効率が低下したりするという問題がある。また、得られる半導体装置自体の占有面積も小さいため、自動検査装置などによる検査がしにくいという問題もある。
【0059】
一方、半導体装置70では、第1の半導体素子4は、平板19に形成されている貫通孔21の中に嵌め込まれている。
図10Bに示すように、平板19の厚みと第1の半導体素子4の厚みとはほぼ同一であるため、平板19を用いても半導体装置70の厚みが増すことはない。可撓性回路基板1の折り曲げ方、又は配線パターン部2の形状及び面積は、平板19の形状及び面積に合わせて定められる。平板19の形状及び面積、配線パターン部2の形状、面積及び各外部端子の配置を適切に選択することで、半導体装置70の占有面積を用途に合わせて任意に調整することができる。また、第1の半導体素子4の外部端子41を、それぞれ、第2の外部端子9及びはんだボール5に電気的に接続することで、第1の半導体素子4として外部端子のピッチが狭いデバイスが用いられる場合でも、薄型で3次元積層可能な平坦な形状を維持したまま、外部端子のピッチをユーザーが使いやすい幅に広げた半導体装置を実現することができる。
【0060】
(変形例7)
半導体装置70において、第1の半導体素子4と平板19との隙間22に、空気よりも熱伝導率の高い材料を挿入し、第1の半導体素子4と平板19とを熱的に接続してもよい。このようにすることで、第1の半導体素子4から発生する熱が隙間22に挿入された材料を介して平板19に直接伝わるので、さらに冷却効率を高めることができる。隙間22に挿入される空気よりも熱伝導率の高い材料としては、放熱ゲルや導電性樹脂などが挙げられる。これらの材料として熱伝導率が大きいものを選択すれば、より放熱効率を高めることができる。
【0061】
(変形例8)
第2の実施形態では、
図11(a)及び(b)に示すように貫通穴21が形成された平板19を用いる例を示したが、例えば
図12に示すように第1の半導体素子4を収容できる大きさの溝20が形成された平板19を用いても構わない。特に、上記変形例8のように、平板19と第1の半導体素子4との間の隙間22に空気よりも熱伝導率の高い材料が挿入される場合、平板19は溝20が形成されたものであることが好ましい。なぜならば、平板19として溝20が形成されたものを用い、第1の半導体素子4の第2の面と平板19との間にも熱伝導材料を挿入することで、平板19として貫通穴21が形成されたものを用いる場合に比べて平板19と第1の半導体素子4との接触面積をより大きくすることができ、放熱効率をさらに高めることができるからである。この場合において、第1の半導体素子4が配置される向きは限定されないが、通常は外部端子が露出するよう、第1の面が上を向くように配置される。
【0062】
(変形例9)
第2の実施形態では、第1の半導体素子4は2つであったが、第1の半導体素子4の数はこれに限られない。また、貫通穴21又は溝20は、第1の半導体素子4と同数もうけられていればよく、2箇所に限られない。貫通穴21又は溝20が1箇所、又は3箇所以上であって、それぞれの内部に第1の半導体素子4が収容されても構わない。
【0063】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る3次元実装型半導体装置80とその製造方法について説明する。3次元実装型半導体装置80は、
図13、
図14A及び
図14Bに示すように、第2の実施形態に係る半導体装置70の上と、その上に配置された第2の半導体素子23とから構成された3次元実装型の半導体装置である。第2の半導体素子23と、半導体装置70に備えられている第3の外部端子10とは、電気的に接続されている。
【0064】
3次元実装型半導体装置80においても、第2の実施形態に係る半導体装置70と同様、第1の半導体素子4の外側に延在している放熱部3が第1の半導体素子4及び第2の半導体素子23で発生する熱を効率的に冷却する役割の一端を担う。第2の半導体素子23で発生した熱は可撓性回路基板1の第3の外部端子10を介して配線パターン部2に伝えられ、さらに放熱部3に伝えられる。この結果、3次元実装型半導体装置80は効率よく冷却される。
【0065】
第3の外部端子10と第2の半導体素子23とを電気的に接続する方法は特に限定されない。一例を挙げれば、各端子上にフラックス又は予備はんだが印刷法などにより塗布された後、フリップチップ実装マウンターを用いて各端子の位置合わせが行われ、半導体装置70上に第2の半導体素子23が低荷重で仮搭載される。仮搭載時の荷重は限定されないが、一例を挙げれば、作製される半導体装置の面積が50〜150mm
2の場合、第2の半導体素子23に加えられる荷重は例えば約1Kgである。続いて、リフロー装置を用いてはんだが溶融され、その後冷却される。このようにして、第3の外部端子10と第2の半導体素子23とは電気的に接続される。
【0066】
(変形例10)
第3の実施形態では、半導体装置70の上に第2の半導体素子23が積層され、電気的に接続される例を示したが、半導体装置はこれに限定されない。例えば、第2の実施形態に係る半導体装置70に代えて、第1の実施形態に係る半導体装置40が用いられてもよい。
【0067】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る半導体モジュール90について説明する。
図15、
図16A及び
図16Bに示すように、半導体モジュール90は、プリント回路基板24と、本発明の第3の実施形態に係る3次元実装型半導体装置80とを備える。3次元実装型半導体装置80は、プリント回路基板24上に配置され、プリント回路基板24上の配線と電気的に接続されている。3次元実装型半導体装置80は、先に述べたとおり、各半導体素子で発生する熱が可撓性回路基板1の第3の外部端子10を介して放熱部3に伝えられるため、効率よく冷却される。この結果、3次元実装型半導体装置80を備える半導体モジュール90は動作保証温度内に保たれやすく、誤動作が少ない。
【0068】
(変形例11)
図16Cは、半導体モジュール90の変形例である半導体モジュール100の断面図である。半導体モジュール90との違いは、3次元実装型半導体装置80の放熱部3の端部が折り曲げられてプリント回路基板24と熱的に接続されている点である。このような構造にすることにより、半導体モジュール100では、第1の半導体素子4又は第2の半導体素子23で発生した熱は放熱部3に伝えられ、さらにプリント回路基板24にも伝えられる。空冷が放熱部3だけでなくより面積の広いプリント回路基板24においても行われるため、半導体モジュール100はさらに効率良く冷却される。なお、放熱部3とプリント回路基板24との接続方法は特に限定されない。一例を挙げれば、プリント回路基板24のグランド端子(表面はCuまたはAuなど)と放熱部3の先端の導体層15とが、Sn系のはんだ又はAgを含んだ導電性接着剤などにより接続される。
【0069】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る3次元実装型半導体装置110とその製造方法について説明する。
図17、
図18A及び
図18Bに示すように、3次元実装型半導体装置110は、第3の実施形態に係る3次元半導体装置80と同じ要素から構成されている。3次元実装型半導体装置110と3次元実装型半導体装置80との違いは、
図18A及び
図18Bに示すように、放熱部3が折り曲げられて第2の半導体素子23の第2の面17に熱的に接続されている点である。
【0070】
このような構造にすることにより、第5の実施形態では、第2の半導体素子23から発生した熱は放熱部3に直接伝えられ、3次元実装型半導体装置110の下側(はんだボール5が配置されている側)へと拡散する。このように、3次元実装型半導体装置110は第2の半導体素子23から発生した熱を装置全体から放出することができるため、冷却効率が高い。特に、3次元実装型半導体装置110がプリント回路基板に実装された場合、第2の半導体素子23で発生した熱はプリント回路基板へと効率よく伝えられる。この結果、3次元実装型半導体装置80よりも効率よく第2の半導体素子23を冷却することが可能となる。
【0071】
放熱部3と第2の半導体素子23の第2の面17との接続方法は、特に限定されない。一例を挙げれば、半導体素子23の第2の面17又は放熱部3に貼り付けられた導電性接着フィルムによって、放熱部3と第2の半導体素子23の第2の面17とが接着されてもよい。3次元実装型半導体装置110の冷却効率を高めるためには熱伝導率が大きい材料が接着に用いられることが好ましいが、少なくとも空気よりも熱伝導率が大きい材料であれば本発明の効果を奏する。なお、以下の実施の形態においても、同様の接着方法を用いることができる。
【0072】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態に係る3次元実装型半導体装置120について説明する。
図19、
図20A及び
図20Bに示すように、3次元型半導体装置120では、3次元実装型半導体装置110とは異なり、第2の半導体素子23上にヒートシンク25が配置されており、放熱部3は折り曲げられて、ヒートシンク25と熱的に接続されている。このような構造にすることにより、第1の半導体素子4から発生した熱は、放熱部3を介してヒートシンク25へと伝達される。この結果、第2の半導体素子23だけでなく、第1の半導体素子4もより効率良く冷却される。
【0073】
(変形例12)
第6の実施形態では、第2の半導体素子23上にヒートシンク25が配置される例を示したが、第2の半導体素子23上に配置される部材は、ヒートシンク25に限られず、放熱部3からの熱を受け取り半導体装置の外部へと放出する機能を有するものであればよい。例えば、ヒートシンク25がヒートスプレッダーを介して第2の半導体素子23上に配置されてもよいし、第2の半導体素子23上にヒートシンク25の代わりにヒートスプレッダーのみが配置されていてもよい。また、ヒートシンク25の代わりに他の熱交換手段を第2の半導体素子25上に配置することも可能である。
【0074】
(変形例13)
第6の実施形態では、発明の理解を容易にするために1つの3次元実装型半導体装置120に対して1つのヒートシンク25が配置される例を示したが、ヒートスプレッダーやヒートシンクは1つの3次元半導体装置120に対して複数配置されてもよい。逆に、複数の3次元実装型半導体装置120に対して1つのヒートスプレッダー又はヒートシンクが組み合わせられてもよい。
【0075】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態に係る3次元実装型半導体装置130とその製造方法について説明する。3次元実装型半導体装置130は、
図21A及び
図21Bに示すように、第2の実施形態に係る2つの半導体装置70を、互いに長軸が90度ずれた状態で積層することで製造される。なお、ここでは上の段に配置されている半導体装置70の各部品と、下の段に配置されている半導体装置70の各部品とを区別するために新たな符号を用いて説明するが、各部品の構造は第2の実施形態に係る半導体装置70と同様である。参考のため、第2の実施形態において用いられた符号を括弧書きで併記している。
【0076】
図21A及び21Bに示すように、3次元実装型半導体装置130の製造においては、下の段に配置されている半導体装置70の放熱部26(3)は折り曲げられて、上の段の半導体装置70に含まれている第1の半導体素子29(4)及び平板19の第2の面と接着される。この後の3次元実装型半導体装置130を
図21C及び
図21Dに示す。次に、上の段の半導体装置70に含まれている放熱部27(3)も折り曲げられて、上の段の半導体装置70に含まれている第1の半導体素子29(4)、平板19及び下の段に配置されている半導体装置70の放熱部26(3)と接着される。この後の3次元実装型半導体装置130の上面図を
図21Eに示す。断面図は
図21Dと同様なので省略する。このようにして、3次元実装型半導体装置130は製造される。
【0077】
3次元実装型半導体装置130では、各半導体装置70の放熱部3(26及び27)がそれぞれ折り曲げられて、熱的に接続されている。各半導体装置70に含まれている複数の第1の半導体素子4から発生した熱は、これら放熱部3を通じて3次元実装型半導体装置130の表面全体に拡散し、放出される。このようにして、3次元実装型半導体装置130は効率よく冷却される。このため、3次元実装型半導体装置130は動作保証温度内に保たれやすく、誤動作が少ない。特に、3次元実装型半導体130がプリント回路基板に実装されている場合、上の段に配置されている半導体装置70に含まれている第1の半導体素子29(4)で発生した熱はプリント回路基板に伝えられ、プリント回路基板全体から効率よく外部へと放出される。
【0078】
(変形例14)
第7の実施形態では、下の段に配置されている半導体装置70の放熱部26(3)が折り曲げられた後、上の段に配置されている半導体装置70の放熱部27(3)が折り曲げられる製造工程を示したが、この順序は限定されない。各放熱部3が互いに熱的に接続されており、かつ、各半導体装置70に含まれている第1の半導体素子4から発生した熱が各放熱部3に伝えられるよう構成されていればよい。一例を挙げれば、
図22A〜22Dに示すように、上の段に配置されている半導体装置70の放熱部27(3)が先に折り曲げられた後、下の段に配置されている半導体装置70の放熱部26(3)が折り曲げられてもよい。このようにして製造された3次元実装型半導体装置140も、3次元実装型半導体装置130と同様の効果を奏する。
【0079】
(変形例15)
第7の実施形態では、各半導体装置70と各放熱部3との間に、各放熱部3、上の段の半導体装置70の第1の半導体素子29(4)、及び、平板19とが直接的又は間接的に熱的に接続されることで形成された複数の放熱経路が存在するが、こうした放熱経路は各半導体装置70ついて少なくとも1つ存在すればよい。例えば、第7の実施形態では、下の段に配置されている半導体装置70の放熱部26(3)は折り曲げられて、上の段の半導体装置70に含まれている第1の半導体素子29(4)と、平板19の第2の面と、両方と接着されている例を示したが、放熱部26(3)が接着される対象はどちらか1つであってもよい。同様に、上の段の半導体装置70に含まれている放熱部27(3)が接着される対象は、上の段の半導体装置70に含まれている第1の半導体素子29(4)、平板19及び下の段に配置されている半導体装置70の放熱部26(3)のうち、放熱部26(3)を含む1つ又は2つであってもよい。これは、上述の変形例14にも適用可能である。
【0080】
(変形例16)
第7の実施形態及びその変形例14及び15では発明の理解を容易にするために第2の実施形態に係る2つの半導体装置70が積層された3次元実装型半導体装置130,140を例として示したが、用いられる半導体装置70の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。この場合、各半導体装置70の放熱部3はそれぞれ折り曲げられて互いに熱的に接続される。さらに各半導体装置70の放熱部3は、最上段に配置されている半導体装置70に含まれている第1の半導体素子4若しくは平板19又はその両方と、熱的に接続される。
【0081】
(変形例17)
第7の実施形態では、第2の実施形態に係る半導体装置70を用いたが、積層される半導体装置はこれに限られない。例えば、第1の実施形態に係る半導体装置40を複数積層することで3次元実装型半導体装置を製造してもよい。あるいは、第1の実施形態に係る半導体装置40と第2の実施形態に係る半導体装置70とをそれぞれ1つ以上組み合わせて積層することで3次元実装型半導体装置を製造してもよい。これは以下に説明する実施形態においても同様である。
【0082】
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態に係る3次元実装型半導体装置150について説明する。
図23A〜23Eは、3次元実装型半導体装置150とその製造方法を説明するための上面図である。3次元実装型半導体装置150は、1つの半導体装置70の上に、他の1つの半導体装置70が長軸が90度ずれた状態で配置され、さらにその上にヒートシンク25が配置された構造を有する。ヒートシンク25以外の構成要素は第7の実施形態に係る3次元実装型半導体装置130と同様であり、その製造方法も同様である。まず、
図23Aに示す半導体装置70の上に、
図23Bに示すヒートシンク25が最上層に配置された別の半導体装置70が積層される。この後の3次元実装型半導体装置150の上面図を
図23Cに示す。次に、
図23Dに示すように、下の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部26(3)が折り曲げられ、ヒートシンク25に接着される。続いて
図23Eに示すように、上の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部27(3)が折り曲げられ、下の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部26(3)及びヒートシンク25と接着される。このようにして、3次元実装型半導体装置150が製造される。
【0083】
3次元実装型半導体装置150は、第7の実施形態に係る3次元実装型半導体装置130と構造が類似しているが、最上部に位置する半導体装置70の上にヒートシンク25が配置され、このヒートシンク25に各放熱部3が直接的又は間接的に熱的に接続されている点が異なっている。このような構造にすることにより、下の段に配置されている半導体装置で発生した熱は、下の段の半導体装置に含まれている放熱部26(3)を介してヒートシンク25へと伝えられ、外部へと放出される。この結果、積層された全ての半導体装置がより効率よく冷却される。
【0084】
ここで、ヒートシンク25と、上の段に配置されている半導体装置70に含まれている半導体素子29(4)及び平板30との接着に用いられる接着材料は、熱伝導率が空気よりも大きい材料であれば良いが、できるだけ熱伝導率が大きい材料、例えば導電性接着剤であることが好ましい。また接着材料は液状のものよりも、フィルム状の材料である方が、ヒートシンク25が接着された後のヒートシンクの表面の平坦性が良くなるため好ましい。
【0085】
(変形例18)
第8の実施形態では、2つの半導体装置70が積層された3次元実装型半導体装置150を例として示したが、用いられる半導体装置70の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。この場合、各半導体装置70の放熱部3はそれぞれ折り曲げられて互いに熱的に接続される。さらに、各半導体装置70の放熱部3は、最上段に配置されているヒートシンク25とも直接的又は間接的に、熱的に接続される。
【0086】
(変形例19)
第8の実施形態では、ヒートシンク25と各放熱部3との間に、ヒートシンク25と各放熱部3とが直接的又は間接的に熱的に接続されることで形成された複数の放熱経路が存在するが、こうした放熱経路は少なくとも1つ存在すればよい。例えば、第8の実施形態では、下の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部26(3)及びヒートシンク25と接着された後、上の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部27(3)が折り曲げられる例を示したが、第7の実施形態に係る3次元実装型半導体装置130の場合と同様、この順序は特に限定されない。また、上の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部27(3)が接着される対象は下の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部26(3)のみであってもよい。
【0087】
(変形例20)
第8の実施形態では、半導体装置70の上にヒートシンク25が配置される例を示したが、例えばヒートスプレッダーであってもよく、ヒートスプレッダーを介してヒートシンク25が配置されていてもよい。また、ヒートシンク25の代わりに他の熱交換手段が配置されてもよい。
【0088】
(変形例21)
第8の実施形態では、1つの3次元実装型半導体装置150に対して1つのヒートシンク25が配置される例を示したが、ヒートスプレッダーやヒートシンクは1つの3次元半導体装置150に対して複数配置されてもよい。逆に、複数の3次元実装型半導体装置150に対して1つのヒートスプレッダー又はヒートシンクが組み合わせられてもよい。
【0089】
(第9の実施形態)
次に、本発明の第9の実施形態に係る3次元実装型半導体装置160とその製造方法について説明する。
図24A〜24Eは、3次元実装型半導体装置160とその製造方法を説明するための上面図である。3次元実装型半導体装置160は、1つの半導体装置70の上に他の1つの半導体装置70が長軸が90度ずれた状態で配置され、さらにその上に第3の半導体素子33が配置された構造を有する。第3の半導体素子33以外の構成要素は第7の実施形態に係る3次元実装型半導体装置130と同様であり、その製造方法も同様である。まず、
図24Aに示す半導体装置70の上に、
図24Bに示す第3の半導体素子33が最上層に配置された別の半導体装置70が積層される。この後の3次元実装型半導体装置160の上面図を
図24Cに示す。次に、
図24Dに示すように、下の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部26(3)が折り曲げられ、第3の半導体素子33に接着される。続いて
図24Eに示すように、上の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部27(3)が折り曲げられ、下の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部26(3)及び第3の半導体素子33と接着される。このようにして、3次元実装型半導体装置160が製造される。
【0090】
3次元実装型半導体装置160は、第7の実施形態に係る3次元実装型半導体装置130と構造が類似しているが、最上部に位置する半導体装置70の上に第3の半導体素子33が配置され、この第3の半導体素子33と各放熱部3とが直接的又は間接的に、熱的に接続されている点が異なっている。このような構造にすることにより、最上部に位置する第3の半導体素子33で発生した熱と、その下に配置されている各半導体装置70で発生した熱とが、各放熱部3を介して3次元実装型半導体装置160の下側に伝えられる。この結果、3次元実装型半導体装置160は、効率よく冷却される。特に、3次元実装型半導体装置160がプリント回路基板に実装された場合、熱はプリント回路基板にも伝えられ、効率よく外部へと放出される。この結果、3次元実装型半導体装置160をより効率よく冷却することが可能となる。
【0091】
(変形例22)
第9の実施形態では、2つの半導体装置70が積層された3次元実装型半導体装置160を例として示したが、用いられる半導体装置70の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。この場合、各半導体装置70の放熱部3はそれぞれ折り曲げられて互いに熱的に接続され、かつ、第3の半導体素子33と直接的又は間接的に、熱的に接続される。
【0092】
(第10の実施形態)
次に、本発明の第10の実施形態に係る3次元実装型半導体装置170について説明する。
図25A〜25Eは、3次元実装型半導体装置170とその製造方法を説明するための上面図である。3次元実装型半導体装置170は、1つの半導体装置70の上に、他の1つの半導体装置70が長軸が90度ずれた状態で配置され、その上に第3の半導体素子33が配置され、さらにその上にヒートシンク25が配置された構造を有する。ヒートシンク25以外の構成要素は第9の実施形態に係る3次元実装型半導体装置160と同様であり、その製造方法も同様である。まず、
図25Aに示すよう2つの半導体装置70の上に、
図25Bに示すヒートシンク25が最上層に配置された第3の半導体素子33が積層される。この後の3次元実装型半導体装置170の上面図を
図25Cに示す。次に、
図25Dに示すように、下の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部26(3)が折り曲げられ、ヒートシンク25に接着される。続いて
図25Eに示すように、上の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部27(3)が折り曲げられ、下の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部26(3)及びヒートシンク25と接着される。このようにして、3次元実装型半導体装置170が製造される。
【0093】
3次元実装型半導体装置170の構造は、第9の実施形態に係る半導体装置160の構造と類似しているが、第3の半導体素子33上にヒートシンク25が配置されており、このヒートシンク25に各放熱部3が直接的又は間接的に、熱的に接続されている点が異なっている。このような構造にすることにより、第3の半導体素子33及び各半導体装置70で発生した熱は、各放熱部3を介してヒートシンク25へと伝えられ、外部へと放出される。この結果、積層された全ての半導体装置70及び第3の半導体素子33がより効率よく冷却される。
【0094】
(変形例23)
第10の実施形態では、2つの半導体装置70が積層された3次元実装型半導体装置170を例として示したが、用いられる半導体装置70の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。この場合、各半導体装置70の放熱部3はそれぞれ折り曲げられて互いに熱的に接続される。さらに、各半導体装置70の放熱部3は、最上段に配置されているヒートシンク25とも直接的又は間接的に、熱的に接続される。
【0095】
(変形例24)
第10の実施形態では、ヒートシンク25と各放熱部3との間に、ヒートシンク25と各放熱部3とが直接的又は間接的に熱的に接続されることで形成された複数の放熱経路が存在するが、こうした放熱経路は少なくとも1つ存在すればよい。例えば、第10の実施形態では、下の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部26(3)が折り曲げられてヒートシンク25と接着された後、上の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部27(3)が折り曲げられる例を示したが、この順序は限定されない。また、放熱部27(3)が接着される対象は、下の段に配置されている半導体装置70に含まれている放熱部26(3)のみであってもよい。
【0096】
(変形例25)
第10の実施形態では、半導体装置70の上にヒートシンク25が配置される例を示したが、例えばヒートスプレッダーであってもよく、又はヒートスプレッダーを介してヒートシンク25が配置されていてもよい。また、ヒートシンク25の代わりに他の熱交換手段を配置することも可能である。
【0097】
(変形例26)
第10の実施形態では、1つの3次元実装型半導体装置170に対して1つのヒートシンク25が配置される例を示したが、ヒートスプレッダーやヒートシンクは1つの3次元半導体装置170に対して複数配置されてもよい。逆に、複数の3次元実装型半導体装置170に対して1つのヒートスプレッダーやヒートシンクが組み合わせられてもよい。
【0098】
(第11の実施形態)
次に、本発明の第11の実施形態に係る半導体モジュール180について説明する。半導体モジュール180は、
図26、
図27A及び
図27Bに示すように、第6の実施形態に係る3次元実装型半導体装置120が、プリント回路基板24に実装されたものである。
【0099】
半導体モジュール180は、3次元実装型半導体装置120を備える。3次元実装型半導体装置120は、先に述べたように、用いるデバイスの発熱量が大きい場合であっても効率よく冷却されるため、過熱による誤動作を起こしにくい。さらに、各半導体素子から発生した熱は、各放熱部3を介してヒートシンク25及びプリント回路基板24へと伝えられ、外部へと放出される。このため、半導体モジュール180は動作保証温度内に保たれやすく、誤動作を起こしにくい高性能な半導体モジュールである。
【0100】
(変形例27)
第11の実施形態では、プリント回路基板24に3次元実装型半導体装置120が実装された半導体モジュール180を例として示したが、実装される半導体装置はこれに限られない。本発明に係る半導体装置のいずれを用いた場合でも同様に、過熱による誤動作を起こしにくい高性能な半導体モジュールを得ることができる。特に、複数の半導体装置が積層された3次元実装型半導体装置を用いれば、半導体モジュールの小型化も同時に実現できる。
【0101】
以上、実施の形態を複数挙げて本発明について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施の形態に限定されるものではないことは言うまでも無い。当業者により為される改良、置換、組み合わせ等は、本発明の要旨を超えない限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0102】
これまでに述べたように、本発明の半導体装置は放熱性能に優れる。このため、温度上昇を半導体素子の動作保証温度以下に抑えることができ、半導体装置に用いるデバイスが発熱量が大きくて高性能な半導体素子(高速プロッセッサー、高速メモリなど)であっても、半導体素子の誤動作を招くことなく、高性能な半導体装置を提供できる。特に、本発明に係る3次元実装型半導体装置を半導体モジュールや電子機器に搭載することによって、実装面積を小さくすることができる。その結果、小型の電子機器や、それに用いるプリント回路基板を小型化でき、配線層数も減らすことができるので、軽量で安価な半導体モジュール、電子機器を提供できる。本発明が適用される電子機器としては、例えば高精細な画像や3次元的に動く画像を画面に映し出す必要があるアミューズメント機器、家庭用ゲーム機、医療機器、パーソナルコンピューター、スーパーコンピューター、カーナビゲーション、車載モジュール、直立歩行が可能なロボット、などが好適である。
【0103】
本出願は、2009年11月27日に出願された、日本国特許出願特願2009−270848号に基づく。本明細書中に、その明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照して取り込むものとする。