(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709229
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】熱過負荷保護装置およびそれを用いた構成
(51)【国際特許分類】
H01H 37/76 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
H01H37/76 G
H01H37/76 K
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-522262(P2013-522262)
(86)(22)【出願日】2011年8月5日
(65)【公表番号】特表2013-535789(P2013-535789A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】EP2011063517
(87)【国際公開番号】WO2012017070
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2013年3月8日
(31)【優先権主張番号】102010038070.9
(32)【優先日】2010年10月8日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102010036907.1
(32)【優先日】2010年8月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594070612
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】メーヤー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ポートナー、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】バーグ、ピーター
【審査官】
岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表平07−506213(JP,A)
【文献】
特開2009−212007(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02914108(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00−87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コンポーネントを保護する熱過負荷保護装置であって、
前記電気コンポーネントの接続点を短絡させるために、または、前記接続点のうちの少なくとも1つと前記熱過負荷保護装置の導電部との間の導電接続を切断するための切り替え部と、
前記切り替え部を適切な短絡位置または切断位置に切り替えるアクチュエータ装置と、
前記アクチュエータ装置を感温式にトリップさせるトリップ部と
を備え、
前記アクチュエータ装置は、非アクティブ状態からトリップ可能な状態へアクティブ化のために切り替え可能であり、
前記非アクティブ状態にあっては、前記トリップ部によりトリップされても前記アクチュエータ装置によって前記切り替え部を切り替えることができず、
前記トリップ可能な状態にあっては、前記アクチュエータ装置によって前記切り替え部を切り替えることができ、
前記アクチュエータ装置は、前記トリップ可能な状態において、前記切り替え部のラッチによって機械的にバイアスがかけられる、熱過負荷保護装置。
【請求項2】
前記トリップ部は、融解によってトリップされる融解部として形成される、請求項1に記載の熱過負荷保護装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ装置は、前記アクチュエータ装置の外形、または、前記切り替え部に対する前記アクチュエータ装置の配置を手動で変化させることで切り替え可能である、請求項1または2に記載の熱過負荷保護装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ装置は、少なくとも1つのバネ部を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の熱過負荷保護装置。
【請求項5】
前記バネ部はスナップドームである、請求項4に記載の熱過負荷保護装置。
【請求項6】
前記アクチュエータ装置は、膨張材料、形状記憶材料、および、形状が化学的に変化する材料のうちの少なくとも1つの材料を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱過負荷保護装置。
【請求項7】
前記切り替え部および前記アクチュエータ装置は、一体的に形成されている、または、一体的に形成された共通部を少なくとも1つ含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱過負荷保護装置。
【請求項8】
前記電気コンポーネントは、前記熱過負荷保護装置から分離可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱過負荷保護装置。
【請求項9】
導電経路支持部と、前記導電経路支持部の上に設けられた少なくとも1つの電気コンポーネントと、請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの熱過負荷保護装置とを備える構成。
【請求項10】
前記熱過負荷保護装置の前記切り替え部および前記アクチュエータ装置のうち少なくとも1つが、前記電気コンポーネントの接続点に直接接続された前記導電経路支持部の導電経路によって、または、前記トリップ部によって前記電気コンポーネント上に支持される、請求項9に記載の構成。
【請求項11】
前記熱過負荷保護装置の前記切り替え部および前記アクチュエータ装置のうち少なくとも1つが、前記接続点のうちの1つに接触する少なくとも1つの導電経路上に直接支持される、請求項9または10に記載の構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コンポーネント、特に電子コンポーネントを保護する熱過負荷保護装置に関する。当該過負荷保護装置は、コンポーネントの接続点の間を短絡させ、または、複数の接続点のうちの少なくとも1つと、過負荷保護装置の導電部との間の導電接続を切断する切り替え部と、切り替え部を短絡接続位置または切断位置に適宜切り替えるアクチュエータ装置と、感温式にアクチュエータ装置をトリップさせるトリップ部と備える。
【背景技術】
【0002】
このような過負荷保護装置は、独国特許出願第10 2008 022 794 A1号から公知である。当該特許文献では、避雷器の短絡電極同士を短絡させるバネ式の短絡バーを有する短絡素子と、過負荷保護装置をトリップさせる融解部とを備える熱過負荷保護装置を説明している。短絡素子の切り替え部を有するこの過負荷保護装置の実施形態に加えて、切断素子に対応する切り替え部が設けられた過負荷保護装置も考えられる。
【0003】
電子コンポーネントで過負荷が発生すると、公称動作範囲を外れてしまう場合がある。この場合に、損傷したコンポーネントでは絶縁耐性が劣化して電力変換に影響が出て、過度な熱が生じる。許容可能なしきい値を超えてコンポーネントが加熱されてしまうと、例えば、周囲の材料が損傷したり、排煙が発生したり、または、火災の原因になったりする場合がある。
【0004】
これらの危険は、回路経路支持部上に配設されている素子、例えば、表面実装可能な素子から成る装置でも発生する。このような装置を製造するためには、回路経路支持部(プリント回路基板:PCB)が、通常、自動装置によって、さまざまなコンポーネントに取り付けられ、ハンダ付けられる。このような組み立て法を採用しているために、設置空間が大幅に制約される場合が多い。同時に、局所的に生成された温度がトリップ部のトリップ温度にまで達する場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、必要な設置スペースが小さく、熱過負荷、短絡、または切断に対して確実に応答することができ、導電経路支持部への搭載プロセス、特に、表面搭載プロセスで温度が生じた場合にも組み立ての容易な熱過負荷保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立項の特徴を利用することで本発明によって実現される。本発明の有益な実施形態は、従属項に記載する。
【0007】
本発明に係る過負荷保護装置では、アクチュエータ装置が非アクティブ状態からアクティブ状態に切り替え可能であるが、非アクティブ状態にあっては、アクチュエータ装置によりトリップ部が利用されて切り替え部がトリップ可能状態になったとしても、アクチュエータ装置は切り替え部を切り替えることができない。従って、この文脈において「非アクティブ」および「トリップ可能」という用語は、切り替えによってアクティブ化されるアクチュエータ装置によってのみ、トリッププロセス中に短絡または切断に必要な力が加えられ、他方、非アクティブ化されているアクチュエータ装置は、たとえトリップ部によるトリップが生じても、力を加えない、または短絡または切断するに足る力を加えない、ということを意味している。このような過負荷保護装置は、ハンダ等の高温を伴う取り付け方法を利用する場合であっても、トリップさせる危険なく搭載を行うことができる。臨界ではない温度(uncritical temperature)になったとき、または、その他選択可能な時点においてのみ、アクティブ化が行われる。特に、アクティブ化を行う時点は、過負荷装置および電気コンポーネントのうち少なくともいずれかの搭載が完成したときであってよい。
【0008】
コンポーネントは、好適には、導電経路を含む導電経路支持部上の接続点を介して搭載される、または、搭載可能なコンポーネントであってよい。特に電気切り替え部の導電接続に切断部として設けられている導電部は、導電経路のいずれか、または、導電経路支持部の上に設けられ、導電経路のいずれかに接続されている導電部のいずれかである。導電接続は、コンポーネントを接続する接続部である。短絡は、特に、導電経路のうちの少なくとも1つを介した短絡である。
【0009】
トリップ部は、融解によりトリップする融解可能部として形成されると好適である。融解部の融解点によって、トリップ温度が決まるので、トリップ温度を材料の選択によって設定することができる。融解可能部は、例えば活物質等のホットメルトプラスチックまたはハンダを有する。
【0010】
ハンダ付けに比べると、ホットメルトプラスチックは、融解点における濃度の遷移が柔軟である。従ってホットメルトプラスチックでトリップ部を生成すると、トリップ後も元の位置に留まり、トリップ動作によって形状のみが変化して、短絡デバイスがコンポーネントを短絡することができる、という利点がある。
【0011】
切り替え部が導電部への少なくとも1つの接続点の導電接続を切断する切断デバイスとして形成される場合には、融解可能部は、導電接続内にハンダ付けされた接続であると好適である(切断させるために)。
【0012】
本発明の一部の好適な実施形態では、アクチュエータ装置は、アクチュエータ装置の外形、または、切り替え部に対するアクチュエータ装置の配置を手動で変化させることで切り替え可能である。従って、切り替えは、アクチュエータ装置の外形、または、切り替え部に対するアクチュエータ装置の配置を手動で変化させる手動の切り替えである。アクティブ化は、過負荷保護装置で直接行われてよい。アクティブ化する時点は、ユーザが自由に選択することができる。
【0013】
本発明の有利な一実施形態においては、アクチュエータ装置は、バネ部を含む少なくとも1つのバネ部を有する。アクチュエータ装置は、バネ部にバイアスをかけることで切り替えられる。
【0014】
特に、この場合のバネ部は、スナップドームであったり、スナップドームを有したりしてよい。スナップドームとは、クリッカー原理に基づいて機能するバネ部である。クリッカーとは、一片のバネ鋼からなるバネ部である。鋼は、安定状態、および、準安定状態となるよう打ち抜かれる。安定状態で力を受けることで湾曲するが、バネは窪ませられると、急に準安定状態になる。クリッカーのバネ部は、一般的にはドーム形式であり、またはドーム形式の領域を有しており、これは打ち抜き製法により生成される。本発明のこの実施形態では、バネ部に弛緩状態とバイアス状態とを生成するべく、2つの状態を利用すると好適である。この場合には切り替えは、張力のかかっていない状態からバイアス状態に切り替えることである。
【0015】
アクティブ材料としては、アクチュエータ装置は、この代わりに、またはこれに加えて、膨張材料、形状記憶材料、および、形状が化学的に変化する材料のうちの少なくとも1つの材料を有すると好適である。
【0016】
特に、切り替え状態にあるアクチュエータ装置は、切り替え部のラッチにより機械的にバイアスをかけるアクチュエータ装置である。従って、アクチュエータ装置の切り替え時には、アクチュエータ装置および切り替え部のうちの少なくとも一方の部分同士が、互いにラッチされて、それ以外のときには、互いに係合されて、アクチュエータ装置にバイアスをかける。
【0017】
これに代えて、またはこれに加えて、アクチュエータ装置は、アクチュエータ装置の各部分および各領域の相対的な配置によって切り替える(そしてアクティブ化する)ことができるデバイスであると好適である。アクチュエータ装置が、クリッカー原理(スナップドーム)によって機能するバネ部である場合には、配置は、バネ部の領域の窪みである。
【0018】
本発明の発展例では、切り替え部およびアクチュエータ装置が一体的に形成され、または、少なくとも一体的に形成された共通部を含む。こうすることで、必要な部材数を減らすことができ、切り替え部とアクチュエータ装置との間を明瞭に接続することができるようになる。
【0019】
本発明の好適な実施形態では、コンポーネントは、過負荷保護装置から、特に切り替え部から切り離すことができてよい。従ってコンポーネントと過負荷保護装置は、少なくとも原理上は、互いから独立した操作が可能である。特に、この自由度によって、コンポーネントおよび過負荷保護装置のうち少なくとも1つの搭載が簡単なものとなる。
【0020】
さらに本発明は、導電経路支持部と少なくとも1つのコンポーネントとを上に備え、上述した過負荷保護装置の少なくとも1つを備える構成に係る。コンポーネントは好適には、特に半導体ベース(サプレッサー・ダイオード、バリスタ)の上の避雷器、または気体充填避雷器、または抵抗器である。
【0021】
特にコンポーネントは、表面実装可能なコンポーネント(SMDコンポーネント)であってよく、好適には、リフローハンダ付けによって導電経路支持部の導電経路上に搭載されるとよい。
【0022】
本発明の1つの好適な実施形態では、過負荷保護装置の切り替え部およびアクチュエータ装置のうち少なくともいずれかが、トリップ部を介して(つまり間接接続)、または、コンポーネントの接続点に直接接続される導電経路支持部の導電経路を介して、コンポーネント上に支持される。特に、この代わりに、または、これに加えて、過負荷保護装置の切り替え部およびアクチュエータ装置のうち少なくともいずれかが、接続点のいずれかに接触する少なくとも1つの導電経路上に直接支持されていてもよい。
【0023】
好ましい実施形態に基づき添付した図面を参照しつつ本発明をさらに詳細に説明する。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】第1の実施形態に係る、電気接続を分離するための熱過負荷保護装置の概略図である。
【
図1B】第1の実施形態に係る、電気接続を分離するための熱過負荷保護装置の概略図である。
【
図1C】第1の実施形態に係る、電気接続を分離するための熱過負荷保護装置の概略図である。
【
図3A】第2の実施形態に係る、電気接続を切り離すための熱過負荷保護装置の概略図である。
【
図3B】第2の実施形態に係る、電気接続を切り離すための熱過負荷保護装置の概略図である。
【
図3C】第2の実施形態に係る、電気接続を切り離すための熱過負荷保護装置の概略図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態に係る、非アクティブ動作状態における電子コンポーネントおよび熱過負荷保護装置を示す。
【
図5】アクティブ動作状態の
図4のコンポーネントおよび熱過負荷保護装置を示す。
【
図6】トリップ動作状態の
図4および
図5のコンポーネントおよび熱過負荷保護装置を示す。
【
図7】本発明の第4の実施形態に係る、非アクティブ動作状態の電子コンポーネントおよび熱過負荷保護装置を示す。
【
図8】アクティブ動作状態の
図7のコンポーネントおよび熱過負荷保護装置を示す。
【
図9】トリップ動作状態の
図7のコンポーネントおよび熱過負荷保護装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1Aから
図1Cは、熱過負荷保護装置10の一部の概略図である。この部分は、
図4から
図9の具体的な実施形態に示す電気コンポーネント20の導電部16と接続点18との間の導電接続14を切断するための切り替え部12を含んでいる。この部分はさらに、アクチュエータ装置22と、アクチュエータ装置22を感温式にトリップさせるトリップ部24とを含んでいる。このトリップ部24は、
図1Aから
図1Cの例では、融解部26として形成されている。この融解部26は、導電接続14内にハンダ付けされた接続であり、このハンダ付けされた接続によって、接続された接続16に電流が流れる。
【0026】
図1Aは、非アクティブ状態の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する導電接続16を示しており、この非アクティブ状態においては、トリップ部24がトリップしたとしても、この状態ではアクチュエータ装置に力がかけられない(force-free)状態なので(F=0N)、アクチュエータ装置22が切り替え部12を切り替えない、または切り替えることができない。このケースでは、アクチュエータ装置22は、クリッカー原理により機能するバネ部28として形成されている。このバネ部28の各部分は切り替え部12と同時に利用される。切り替え部12およびアクチュエータ装置22は、このように一体的に形成されたバネ部28として形成される。
【0027】
図2は、このバネ部28の平面図である。バネ部28は3つのストリップ形状の領域30、32、34を有しており、これらが互いに平行に、且つ、バネ部28の端部領域36、38によってそれぞれの端部が固定接続されている。例えば打ち抜き製法によって、ストリップ形状の領域32の少なくとも1つは、他のストリップ形状の領域30、34よりも長くなっている。また打ち抜き製法により、これら他のストリップ形状の領域30、34は、例えば完全な平面形状となり、長いほうのストリップ形状の領域(例えば中央の領域)32が、好適な方向に膨らんだ形状となる。長いほうのストリップ形状の領域32を押して、反対の方向に窪ませると、バネ部28を、ある状態から、少なくとも一部の領域が反対方向に窪んだ別の状態に切り替えることができる。ある状態はF=0Nという力のかからない状態であり、バネ部28は、バイアスをかけられて他の状態になる。図示されているバネ部28はスナップドームではないので、依然として、同じ動作原理を有することができる(つまりクリッカーとして知られている動作原理)。
【0028】
バネ部28の1つの端部領域36は、同時に、切り替え部12の1つの端部領域36となるので、ハンダ接続として形成されている融解部26によって、接続点18に接続された状態に接続される。バネ部28の他の端部領域38は、同時に、切り替え部12の他の端部領域38となるので、導電部16に永久接続される。
【0029】
図1Bは、トリップ可能状態に切り換えられた後の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する導電接続16を示しており、この状態においては、切り替え部12が、アクチュエータ装置22によってトリップ部24を利用することでトリップ可能な状態に切り替えられている。
図1Cは、トリップ可能な状態に切り替えられた後の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する接続16が切り離された様子を示しており、切り替え部12が、アクチュエータ装置22によってトリップ部24を利用することでトリップ可能な状態に切り替えられて、その後でトリップ部24によってトリップされた状態を示している。
【0030】
バネ部28の、バイアスのかかった中央のストリップ形状の領域32は、1つの端部領域36が融解部26から離れており、導電接続14が切り離されている。
【0031】
図3Aから
図3Cに示す熱過負荷保護装置10のこの部分は、
図1Aから
図1Cに示す過負荷保護装置10に実質的に対応しているので、以下では差異のみを説明する。
【0032】
図3Aは、非アクティブ状態の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する導電接続16を示しており、この非アクティブ状態においては、トリップ部24がトリップしたとしても、この状態ではアクチュエータ装置が切り替え部12に切断力をかけられないので(F=0N)、アクチュエータ装置22が切り替え部12を切り替えない、または切り替えることができない。このケースではトリップ部24も融解部26として形成されている。
【0033】
図3Bは、トリップ可能状態に切り換えられた後の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する導電接続16を示しており、この状態においては、切り替え部12が、アクチュエータ装置22によってトリップ部24を利用することでトリップ可能な状態に切り替えられている。アクチュエータ装置22は、手動で与えられる力(矢印F)によって切り替え部12に対して旋回、湾曲して、切り替え部12のラッチ40によりアクチュエータ装置22に機械的なバイアスがかかり、他の状態に切り替えられる。この実施形態では、アクチュエータ装置22は「通常」のバネ部28として形成されており、後ろ側から係合されてラッチ40を形成する構造42を有しており、この構造が切り替え部12の1つの端部領域に後ろ側から係合する。
【0034】
図3Cは、トリップ可能な状態に切り替えられた後の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する接続16が切断された様子を示しており、切り替え部12が、アクチュエータ装置22によってトリップ部24を利用することでトリップ可能な状態に切り替えられて(
図3B)、その後でトリップ部24によってトリップされた状態を示している。アクチュエータ装置22のバイアスのかかったバネ部28は、1つの端部領域36が融解部26から離れており、導電接続14が切断されている。
【0035】
図4から
図6、
図7から
図9は、導電経路支持部(特にプリント配線基板PCB)44に電気コンポーネント20が搭載されている場合の、過負荷保護装置10を示している。このケースでは、コンポーネント20は、表面実装可能電子コンポーネントとして形成されており、接続点18、46により、リフローハンダ付けによって導電経路支持部44の導電経路48に電気的に接続されている。
【0036】
図4から
図6は、熱過負荷状態になると、過負荷保護構成10が、接続点18、46を、短絡バーとして形成されている切り替え部12によって短絡する、という構成を示している。導電切り替え部12は、コンポーネント20に対して配置される。切り替え部12は支持部44に固定される。切り替え部12の1つの端部領域36は、支持部44に固定された金属製短絡(short-circuit metal)である導電部50とともに電気スイッチを形成する。
【0037】
この場合、
図4は、非アクティブ状態の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する過負荷保護構成10を示しており、この非アクティブ状態においては、トリップ部24がトリップしたとしても、この状態ではアクチュエータ装置が切り替え部12に力をかけられないので、アクチュエータ装置22が切り替え部12を切り替えない、または切り替えることができない。このケースではトリップ部24も融解部26として形成されている。
【0038】
図5は、トリップ可能状態に切り換えられた後の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する過負荷保護構成10を示しており、この状態においては、切り替え部12が、アクチュエータ装置22によってトリップ部24を利用することでトリップ可能な状態に切り替えられている。アクチュエータ装置22は、手動で与えられる力により切り替え部12に対してバイアスされており、切り替え部12のラッチ(不図示)によってアクチュエータ装置22に機械的にバイアスがかかり、他の状態に切り替えられている。この実施形態では、アクチュエータ装置22はバネ部28として形成されている。
【0039】
図6は、トリップ部24のトリップ後に、短絡バーとして形成されている切り替え部12によって短絡されたコンポーネント20を示している。アクチュエータ装置22のバイアスのかかったバネ部28は、1つの端部領域が融解部26から離れており、フック形状の導電部50および相応しい導電経路によって短絡(不図示)が形成される。
【0040】
以下の利点が得られる。つまり、過負荷保護装置10は、搭載時において力がかからない構造である。過負荷保護装置は、単純にはめ合わせることで支持部44に搭載することができる(特にはめ合わせを自動化することにより)。ハンダプロセス用の固定または押下プロセスが不要である。装置は、搭載およびハンダプロセスの後に切り替え部12とバネ部28とを互いにラッチする(または窪みに押し込む)ことでアクティブ化することができる。
【0041】
動作状態においては、バネ部28と支持部44上の融解部26との接続点とで形成されるスイッチを開状態にする。コンポーネント20にアクティブ化温度を超える、許容範囲外の熱が加わると、トリップ可能状態にある装置10がアクティブ化される。アクティブ化温度(ハンダ融解点)を超えると、バネ部28の張力によって、形成されたスイッチが閉状態になり、これによりコンポーネント20が安全な状態に変換される。
【0042】
図7から
図9は、熱過負荷状態になった場合に、過負荷保護構成10が過負荷保護装置10の導電部16と接続点18のいずれかとの間の導電接続14を切断する構成を示す。この構成は、
図3Aから
図3Cに示す構成に実質的に対応している。
【0043】
導電切り替え部12は、コンポーネント20に対して配置される。切り替え部12は支持部44に固定される。切り替え部12の1つの端部領域36は、支持部44の接触点とともに電気スイッチを形成する。
【0044】
図7は、非アクティブ状態の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する過負荷保護構成10を示しており、この非アクティブ状態においては、トリップ部24がトリップしたとしても、この状態ではアクチュエータ装置が切り替え部12に力をかけられないので、アクチュエータ装置22が切り替え部12を切り替えない、または切り替えることができない。このケースではトリップ部24も融解部26として形成されている。
【0045】
図8は、トリップ可能状態に切り換えられた後の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する導電接続16を示しており、この状態においては、切り替え部12が、アクチュエータ装置22によってトリップ部24を利用することでトリップ可能な状態に切り替えられている。アクチュエータ装置22は、手動で与えられる力によって切り替え部12に対して湾曲して、切り替え部12のラッチ40によってアクチュエータ装置22に機械的にバイアスがかかり、他の状態に切り替えられている。アクチュエータ装置22は、後ろ側から係合されてラッチ40を形成する構造42を有しており、この構造が切り替え部12の1つの端部領域に後ろ側から係合する(不図示)。
【0046】
図9は、トリップ可能状態に切り換えられた後の、切り替え部12とアクチュエータ装置22とを有する切断された接続16を示しており、切り替え部12が、アクチュエータ装置22によってトリップ部24を利用することでトリップ可能な状態に切り替えられて、その後でトリップ部24によってトリップされた状態を示している。アクチュエータ装置22のバイアスのかかったバネ部28は、1つの端部領域が融解部26から離れており、導電接続14が切り離されている。
【0047】
以下の利点が得られる。つまり、過負荷保護装置10は、搭載状態において力がかからない構造である。過負荷保護装置は、単純にはめ合わせることで支持部44に搭載することができる(特にはめ合わせを自動化することにより)。ハンダプロセス用の固定または押下プロセスが不要である。装置は、搭載およびハンダプロセスの後に切り替え部12とバネ部28とを互いにラッチする(または窪みに押し込む)ことでアクティブ化することができる。
【0048】
動作状態においては、バネ部28と支持部44上の誘拐部26との接続点とで形成されるスイッチを開状態にする。コンポーネント20にアクティブ化温度を超える、許容範囲外の熱が加わると、トリップ可能状態にある装置10がアクティブ化する。アクティブ化温度(ハンダ融解点)を超えると、バネ部28の張力によって、形成されたスイッチが閉状態になり、これによりコンポーネント20が安全な状態に変換される。
【符号の説明】
【0049】
10 過負荷保護装置、12 切り替え部、14 導電接続、16 導電部、18 接続点、20 コンポーネント、22 アクチュエータ装置、24 トリップ部、26 融解部、28 バネ部、30 ストリップ形状の領域、32 ストリップ形状の領域、34 ストリップ形状の領域、36 端部領域、38 端部領域、40 ラッチ、42 後ろ側から係合する構造、44 導電経路支持部、46 接続点、48 導電経路、50 導電部、F 矢印