(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プレートは、凹部を含み、かつ前記筐体は、該凹部内に係合可能なばね付きの部材を含むことにより、前記関節運動部材が中立位置で解除可能に保持されている、請求項1に記載の関節運動機構。
【図面の簡単な説明】
【0017】
様々な好適な実施形態が、図面を参照して本明細書中に記載されている。
【
図1】
図1は、ここに開示されている外科用ステープル留め装置の好適な一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されている外科用装置の上面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示されている外科用装置の側面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示されている外科用装置のハンドルアセンブリの部品が分解された状態の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示されている発射ロックアウト機構の一部分の断面図である。
【
図6】
図6は、外科用装置の逆進防止クラッチ機構の摺動プレートの斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1に示されている逆進防止クラッチ機構の拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、使い捨て装填ユニットを取り外した状態の非作動位置にある、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の側面断面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の回転部材、関節運動機構、および細長い本体部の部品が分解された状態の斜視図である。
【
図10A】
図10Aは、関節運動機構の並進部材と、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の細長い本体部の近位端との斜視図である。
【
図11】
図11は、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の関節運動機構のカム部材の斜視図である。
【
図12】
図12は、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の関節運動機構のカム部材の上面図である。
【
図12A】
図12Aは、
図1に示されている外科用ステープル留め装置によって使用可能な非関節運動型使い捨て装填ユニットの斜視図である。
【
図12B】
図12Bは、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の好適な関節運動型使い捨て装填ユニットの斜視図である。
【
図17】
図17は、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の阻止用プレートの側面斜視図である。
【
図18】
図18は、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の阻止用プレートの上面斜視図である。
【
図19】
図19は、
図1の外科用ステープル留め装置によって使用可能な使い捨て装填ユニットの斜視図である。
【
図20】
図20は、
図1の外科用ステープル留め装置によって使用可能な使い捨て装填ユニットの別の斜視図である。
【
図21】
図21は、
図1の外科用ステープル留め装置のツールアセンブリの部品が分解された状態の斜視図である。
【
図22】
図22は、アンビルアセンブリの遠位端の複数のステープル変形用空洞を示している拡大斜視図である。
【
図23】
図23は、
図1に示されている外科用ステープル留め装置のステープルカートリッジの遠位端の拡大斜視図である。
【
図26】
図26は、
図21に示されている作動用そり、プッシャ、およびファスナの拡大斜視図である。
【
図27】
図27は、
図19に示されている使い捨て装填ユニットの近位の筐体部分および取り付けアセンブリの部品が分解された状態の拡大斜視図である。
【
図28】
図28は、近位の筐体部分の遠位端部分に取り付けられる、
図19に示されている使い捨て装填ユニットの取り付けアセンブリの拡大斜視図である。
【
図29】
図29は、
図19に示されている使い捨て装填ユニットの近位の筐体部分および取り付けアセンブリの上側筐体片側が取り外された状態の拡大斜視図である。
【
図30】
図30は、
図19に示されている使い捨て装填ユニットの近位の筐体部分および取り付けアセンブリの上側筐体片側が取り外された状態の斜視図である。
【
図31】
図31は、軸方向の駆動アセンブリの部品が分解された状態の斜視図である。
【
図33】
図33は、
図31に示されている軸方向の駆動アセンブリの係止用デバイスを含む近位端の拡大斜視図である。
【
図34】
図34は、
図31に示されている軸方向の駆動アセンブリの遠位端の拡大斜視図である。
【
図35】
図35は、
図1に示されているステープル留め装置の細長い本体部の遠位端の拡大斜視図である。
【
図37】
図37は、
図27に示されている使い捨て装填ユニットの近位の筐体部分の下側筐体片側の拡大斜視図である。
【
図40】
図40は、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の、
図19の使い捨て装填ユニットが細長い本体部から取り外された状態の斜視図である。
【
図41】
図41は、
図19の使い捨て装填ユニットの、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の細長い本体部への取り付けの間の拡大斜視図である。
【
図42】
図42は、
図19の使い捨て装填ユニットの、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の細長い本体部への取り付けの間の別の拡大斜視図である。
【
図43A】
図43Aは、使い捨て装填ユニットを外科用ステープル留め装置の細長い本体部の中に挿入する間の、回転ノブ、関節運動機構、および感知機構の側面断面図である。
【
図45】
図45は、
図1の使い捨て装填ユニットの遠位端の、アンビルアセンブリと締め付けアセンブリとの間に組織が位置決めされた状態の側面断面図である。
【
図46】
図46は、可動ハンドルが作動位置にある状態のハンドルアセンブリの側面断面図である。
【
図48】
図48は、
図19の使い捨て装填ユニットの近位端と、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の細長い本体部の遠位端との、制御ロッドが部分的に前進した位置にある状態の断面図である。
【
図49】
図49は、
図1に示されている外科用ステープル留め装置のツールアセンブリの、締め付け位置で組織のまわりに位置決めされた状態の断面図である。
【
図50】
図50は、
図1のステープル留め装置のハンドルアセンブリの、装置の締め付けストロークの間の断面図である。
【
図51】
図51は、
図1に示されているステープル留め装置のツールアセンブリの遠位端の、装置を発射する間の側面断面図である。
【
図52】
図52は、
図1に示されているステープル留め装置のツールアセンブリの遠位端の、装置を発射した後の側面断面図である。
【
図53】
図53は、作動シャフトを引き込む間の、装置のハンドルアセンブリの側面断面図である。
【
図54】
図54は、緊急解放ボタンが作動する間の、ステープル留め装置のハンドルアセンブリの側面断面図である。
【
図55】
図55は、外科用ステープル留め装置の関節運動機構の上面図である。
【
図56】
図56は、
図1に示されている外科用ステープル留め装置の回転部材および関節運動機構の側面断面図である。
【
図57】
図57は、ステープル留め装置が関節運動する間の、細長い本体部の遠位端、取り付けアセンブリ、およびツールアセンブリの近位端の上面図である。
【
図58】
図58は、ツールアセンブリが関節運動する間の、外科用ステープル留め装置の斜視図である。
【
図59】
図59は、ツールアセンブリの関節運動および回転の間の、外科用ステープル留め装置の斜視図である。
【
図60】
図60は、関節運動する直前の、使い捨て装填ユニットの遠位端の上面図である。
【
図61】
図61は、ステープル留め装置が関節運動する間の、細長い本体部の遠位端、取り付けアセンブリ、およびツールアセンブリの近位端の上面図である。
【
図62】
図62は、係止用デバイスを引き込む間の、使い捨て装填ユニットの一部分の部分断面図である。
【
図63】
図63は、係止用デバイスが係止位置にある状態の、使い捨て装填ユニットの一部分の部分断面図である。
【
図64】
図64は、ここに開示されている関節運動機構の別の実施形態の斜視図である。
【
図65】
図65は、
図64に示されている関節運動機構の部品が分解された状態の斜視図である。
【
図66】
図66は、
図64に示されている関節運動機構の回転可能な部材の、下側クラッチが回転可能な部材のレセプタクルの中に位置決めされた状態の斜視図である。
【
図67】
図67は、
図65に示されている関節運動機構の上側クラッチおよび並進部材の底面図である。
【
図75】
図75は、
図64に示されている関節運動機構の、関節運動機構が非関節運動の位置にある状態の断面図である。
【
図77】
図77は、
図64に示されている関節運動機構の、関節運動レバーが回転した状態の上面図である。
【
図78】
図78は、
図64に示されている関節運動機構の、関節運動レバーが
図77に例示するように回転した状態の断面図である。
【
図80】
図80は、
図64に示されている関節運動機構の、関節運動レバーが回転し、かつ上側クラッチの突起部が下側クラッチの鋸歯と再係合した状態の断面図である。
【
図81】
図81は、ここに開示されている関節運動機構のさらに別の実施形態の斜視図である。
【
図82】
図82は、
図81に示されている関節運動機構の、回転可能な部材および機構カバーを取り外した状態の斜視図である。
【
図83】
図83は、
図81に示されている関節運動機構の、関節運動レバーおよび機構カバーを取り外した状態の斜視図である。
【
図84】
図84は、
図81に示されている関節運動機構の、関節運動機構が非関節運動の位置にある状態の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここに開示されている内視鏡的外科用ステープル留め装置の好適な実施形態が、ここで図面を参照して詳細に記載され、図面においては、同様な参照番号が、いくつかの図の各々における同一の要素または対応する要素を示している。
【0019】
図面において、および以下の説明においては、慣習的に、用語「近位」は、オペレータに最も近いステープル留め装置の端部を表し、一方で、用語「遠位」は、オペレータから最も遠い該装置の端部を表している。
【0020】
図1〜
図3は、概して参照番号10として示される、ここに開示されている外科用ステープル留め装置の一実施形態を例示している。簡潔には、外科用ステープル留め装置10は、ハンドルアセンブリ12と、細長い本体部14とを含んでいる。使い捨て装填ユニット(disposable loading unit)すなわちDLU16は、細長い本体部14の遠位端に解除可能に固定されている。使い捨て装填ユニット16は、ツールアセンブリ17を含み、ツールアセンブリ17は、複数の外科用ステープルを収納しているカートリッジアセンブリ18と、カートリッジアセンブリ18に対して移動可能に固定されているアンビルアセンブリ20とを有している。使い捨て装填ユニット16は、約30mm〜約60mmの長さがあるステープルの直線的な列を付与するように構成されている。他の長さ(例えば、45mm)のステープルの直線的な列を有する使い捨て装填ユニットもまた想到される。ハンドルアセンブリ12は、静止ハンドル部材22と、可動ハンドル部材24と、バレル部分26とを含んでいる。回転可能な部材28が、バレル部分26の前方端に好ましくは取り付けられることにより、細長い本体部14のハンドルアセンブリ12に対する回転を容易にしている。関節運動レバー30がまた、バレル部分26の前方端で回転ノブ28に隣接して好ましくは取り付けられることにより、ツールアセンブリ17の関節運動を容易にしている。以下で詳細に記載されるように、一対の引き込みノブ32が、外科用ステープル留め装置10を引き込み位置に戻すために、バレル部分26に沿って移動可能に位置決めされている。
【0021】
図4を参照すると、ハンドルアセンブリ12は、筐体36を含み、筐体36は、成型した筐体片側部分36aおよび36bから好ましくは形成され、ハンドルアセンブリ12の静止ハンドル部材22と、バレル部分26とを形成している(
図1を参照されたい)。可動ハンドル部材24は、筐体片側部分36aと36bとの間で旋回ピン38のまわりに旋回可能に支持されている。好ましくは、ねじりばねである付勢部材40が、可動ハンドル24を静止ハンドル22から離れるように付勢している。作動シャフト46は、筐体36のバレル部分26内で支持されており、かつ歯付きラック48を含んでいる。横方向に延びる翼部43aおよび43bを有するラック係合フィンガ43を有している駆動つめ42が、可動ハンドル24の一方の端に旋回ピン44のまわりで旋回可能に取り付けられている。また、好ましくは、ねじりばねである付勢部材50が、駆動つめ42の係合フィンガ43を作動シャフト46の歯付きラック48の方に推し進めるために位置決めされている。可動ハンドル24は、駆動つめ42の係合フィンガ43を作動シャフト46の歯付きラック48と接触して移動させるように旋回可能であることにより、作動シャフトを直線的に遠位の方向に前進させる。作動シャフト46の前方端は、制御ロッド52の近位端49を回転可能に受け入れ、それによって、作動シャフト46の直線的前進が、制御ロッド52の対応する直線的前進を引き起こす。ラック係合部材55を有する係止つめ54が、筐体36内で旋回ピン57のまわりに旋回可能に取り付けられ、かつ歯付きラック48の方に付勢部材56によって付勢されており、付勢部材56もまた、好ましくは、ねじりばねである。係止つめ54の係合部材55が、歯付きラック48と係合するように移動可能であることにより、作動シャフト46が、長手方向に固着した位置に保持される。
【0022】
一対の引き込みノブ32(
図1を参照されたい)を含む引き込み機構58が、作動シャフト46の近位端に結合ロッド60によって接続されている。結合ロッド60は、引き込みノブ32を受け入れる右の係合部分62aおよび左の係合部分62bと、中央部分62cとを含み、作動シャフト46の近位端に隣接して作動シャフト46中に形成された一対の長手方向のスロット34a内で並進するような寸法にされ、かつ並進するように構成されている。解放プレート64は、作動シャフト46と動作可能に関連づけられ、引き込みノブ32の操作に応答して作動シャフト46に対して動くように取り付けられている。間隔をおいて配置された一対のピン66が、作動シャフト46の横の面から外の方に延びることにより、解放プレート64に形成されている一対の対応する斜めのカムスロット68と係合する。引き込みノブ32が後ろの方に動かされると、ピン66が、作動シャフト46に対して下の方に、かつ歯付きラック48に対して下の方にプレート64を解放し得、それによって、解放プレート64の底の部分が歯付きラック48の下に延びて、駆動つめ42の係合フィンガ43を歯付きラック48から係合解除する。横方向スロット70が、結合ロッド60の中央部分62cを収容するように解放プレート64の近位端に形成されており、かつ細長いスロット34(
図1を参照されたい)が、結合ロッド60の長手方向の並進を受け入れるようにハンドルアセンブリ12のバレル部分26に規定されていることにより、引き込みノブ32が後ろの方に引かれるときには、作動シャフト46が引き込まれ、従って、制御ロッド52が後ろの方に引き込まれる。作動シャフト46は、ばね72によって近位方向に付勢され、ばね72は、一端がコネクタ74を介して結合ロッド部分62に固定され、かつ他端が作動シャフト46上のポスト76に固定されている。
【0023】
図5を同様に参照すると、ハンドルアセンブリ12は、発射ロックアウトアセンブリ80を含み、発射ロックアウトアセンブリ80は、プランジャ82と、旋回可能な係止部材83を含んでいる。プランジャ82は、付勢ばね84によって中央の位置に付勢されており、環状のテーパ付きカム作用表面85を含んでいる。プランジャ82の各々の端部は、筐体36(
図1を参照されたい)を通って静止ハンドル22の上端に隣接して延びている。旋回可能な係止部材83は、その遠位端において筐体片側部分36aと36bとの間で旋回ピン86のまわりに旋回可能に取り付けられており、かつ係止用表面88と、近位の延長部90とを含み、近位の延長部90は、その中に形成されたスロット89を有している。係止部材83が、ばね92によって反時計回りに(
図4に見られるように)付勢されて、係止用表面88が、作動シャフト46の遠位端に接する位置まで移動することにより、シャフト46の前進と、後のステープル留め装置10の発射とを防止している。環状のテーパ付きカム作用表面85は、近位の延長部90のテーパ付きスロット89の中に延びるように位置決めされている。いずれかのばね84の付勢に対向する、いずれかの方向のプランジャ82の横の動きが、テーパ付きカム作用表面85をテーパ付きスロット89の側壁と係合するように移動させることにより、
図4に見られるように、係止部材83を時計回りに旋回ピン86のまわりに旋回させて、阻止用表面88を作動シャフト46の前進と、従って、ステープル留め装置10の発射とを可能にする位置まで移動させる。阻止用表面88が、この位置でカム作用表面85のテーパ付き先端部を受け入れる凹部87によって保持されることにより、係止部材83が、反時計回りの位置で係止される。発射ロックアウトアセンブリ80の動作は、以下においてさらに例示される。
【0024】
図4、
図6および
図7を参照すると、ハンドル機構12はまた、逆進防止クラッチ機構を含み、該逆進防止クラッチ機構は、第一のシャフト96に回転可能に取り付けられている第一のギア94と、第二のシャフト100に取り付けられている第二のギア98と、筐体36内で摺動可能に取り付けられている摺動プレート102(
図6および
図7)とを含んでいる。摺動プレート102は、係止つめの旋回ピン57のまわりで摺動可能に位置決めされるような寸法にされ、かつ位置決めされるように構成された細長いスロット104と、第二のギア98の歯とかみ合うように構成されたギアプレート106と、カム表面108とを含んでいる。引き込み位置においては、摺動プレート102のカム表面108が、係止つめ54と係合することにより、係止つめ54が、歯付きラック48と係合することを防止している。作動シャフト46は、作動シャフト46の動きの間に作動シャフト46の第一のギア94と係合するように位置決めされている近位のギア歯の組110bから間隔をおいて配置された遠位のギア歯の組110aを含んでいる。可動ハンドル24を旋回ピン38のまわりに旋回させることによって、作動シャフト46が前進するときには、作動シャフト46上の遠位のギア歯110aが、かみ合い、第一のギア94と、第一のシャフト96とを回転させる。第一のシャフト96が、ばねクラッチアセンブリによって第二のシャフト100に接続され、それによって、第一のシャフト96の回転が、第二のシャフト100の対応する回転を引き起こす。第二のシャフト100の回転が、摺動プレート102上のギアプレート106と係合している第二のギア98の対応する回転を引き起こすことにより、摺動プレート102の直線的な前進を引き起こす。摺動プレート102の直線的前進は、細長いスロット104の長さに限定される。摺動プレートがスロット104の長さを前進したときには、カム表面108が、係止つめ54を解放し、それによって、係止つめ54が、歯付きラック48と係合するように移動させられる。作動シャフト46の継続した前進は、ギア歯110bが、やがてギアプレート106と係合するようにギア歯110bを移動させる。しかしながら、摺動プレート102が長手方向の適正な位置に固着されるので、ばねクラッチが強制的に解放され、それによって、作動シャフト46の継続した遠位方向の前進が可能にされる。
【0025】
作動シャフト46が引き込み位置に戻される(上で論じたように、引き込みノブ34を近位方向に引くことによる)ときには、ギア歯110bが第一のギア94と係合して、第二のギア98を逆転方向に回転させることにより、摺動部材102が、筐体36内で近位方向に引き込まれる。摺動部材102の近位方向の動きが、係止つめ54と歯付きラック48との間の係合前に、カム表面108を係止つめ54の中に前進させることにより、係止つめ54を作動シャフト46の引き込みが可能になる位置まで推し進める。
【0026】
ここでまた
図4を参照すると、ハンドルアセンブリ12は、緊急復帰用ボタン112を含み、緊急復帰用ボタン112は、筐体36内で筐体片側部分36aと36bとの間に支持されている旋回部材114のまわりに旋回可能に取り付けられている。復帰用ボタン112は、バレル部分26の近位端に位置決めされている、外部から位置決めされる部材116を含んでいる。部材116が、係止つめ54の近位端と係合するように旋回部材114のまわりで移動可能であることにより、ステープル留め装置10の発射ストロークの間、ラック係合部材55を歯付きラック48と係合しないようにさせて、作動シャフト46の引き込みを可能にしている。上で論じたように、作動シャフト46が前進する締め付け部分の間、摺動プレート102が、つめ54をラック48から係合解除し、従って、復帰用ボタン112の作動は、作動シャフト46を引き込むことに必要ではない。
【0027】
図8は、細長い本体部14と、ハンドルアセンブリ12との相互接続を例示している。
図8〜
図10を参照すると、筐体36は、回転部材28の近位端に形成されている環状のリブ118を受け入れるように構成された環状のチャネル117を含み、回転部材28は好ましくは、成型された片側部分28aおよび28bから形成されている。環状のチャネル117およびリブ118が、回転部材28と、筐体36との間の相対的な回転を可能にしている。細長い本体部14は、内側筐体122と、外側ケーシング124とを含んでいる。内側筐体122は、外側ケーシング124内に受け入れられるような寸法にされており、かつ内部ボア126(
図8)を含み、内部ボア126は、内側筐体122を通って延び、かつ第一の関節運動リンク123と、制御ロッド52とを摺動可能に受け入れるような寸法にされている。筐体122の近位端とケーシング124との各々は、一対の真正面から対向する開口部130と128とをそれぞれ含み、開口部130と128とは、回転部材28の遠位端に形成された半径方向の突起部132を受け入れるような寸法にされている。突起部132と、開口部128および130とが、回転部材28と、細長い本体部14とを互いに対して長手方向に、かつ回転可能に固着的に固定している。従って、ハンドルアセンブリ12に対する回転ノブ28の回転が、ハンドルアセンブリ12に対する細長い本体部14の対応する回転を結果としてもたらす。
【0028】
関節運動機構120は、回転可能な部材28で支持されており、かつ関節運動レバー30と、カム部材136と、並進部材138と、第一の関節運動リンク123と(
図9)を含んでいる。関節運動レバー30は、旋回部材140のまわりに旋回可能に取り付けられ、旋回部材140は、回転部材28から外の方に延びており、好ましくは回転部材28とともに一体に形成されている。突起部142が、カム部材136と係合するために関節運動レバー30から下の方に延びている。
【0029】
図11および
図12を一時的に参照すると、カム部材136は、筐体144を含み、筐体144は、それの一方の側を通って延びている細長いスロット146と、それの他方の側に形成されている段付きのカム作用表面148とを有している。カム作用表面148の各々の段は、ステープル留め装置10が関節運動する特定の度合に対応している。5つの段が例示されているが、より少ない段またはより多い段が提供され得る。細長いスロット146は、関節運動レバー30に形成されている突起部142を受け入れるように構成されている。筐体144は、遠位の段付き部分150と、近位の段付き部分152とを含んでいる。近位の段付き部分152は、凹部154を含んでいる。
【0030】
ここでまた
図8〜
図10を参照し、さらに
図13〜
図15を参照すると、並進部材138は、複数の隆起部156を含み、複数の隆起部156は、回転部材28の内側壁に沿って形成された溝158内に摺動可能に受け入れられるように構成されている。隆起部156と溝158との間の係合は、回転部材28と並進部材138との相対的な回転を防止する一方で、回転部材28と並進部材138との相対的な直線的動きを可能にしている。並進部材138の遠位端は、アーム160を含み、アーム160は、関節運動リンク123(
図10Aを参照されたい)の近位端から延びているフィンガ164を受け入れるように構成された開口部162を含んでいる。非磨耗性の材料、例えば、テフロン(登録商標)から構成されている筐体168を有するピン166は、並進部材138に固定され、かつ段付きカム作用表面148内に受け入れられるような寸法にされている。
【0031】
組み立てられた状態では、カム部材136の近位および遠位の段付き部分150および152が、回転部材28に形成されているフランジ170および172の下に位置決めされることにより、カム部材136の動きが、ステープル留め装置10の長手方向の軸に対して横方向の動きに限定される。関節運動レバー30が旋回部材140のまわりで旋回させられるときには、カム部材136が、回転部材28上を横方向に移動させられることにより、段付きカム作用表面148が、ピン166に対して横方向に移動して、ピン166を段付きカム表面148に沿って近位方向または遠位方向に強制的に移動させる。ピン166が並進部材138に固着的に取り付けられるので、並進部材138が、近位方向または遠位方向に移動させられて、第一の作動リンク123の対応する近位方向の動きまたは遠位方向の動きをもたらす。
【0032】
図64〜
図80は、概して参照番号420として示される、ここに開示されている関節運動機構の別の実施形態を例示している。
図64および
図65を参照すると、関節運動機構420は、関節運動レバー422と、機構カバー424と、付勢部材426と、上側クラッチ428と、下側クラッチ430と、主シャフト432と、並進部材434とを含んでいる。関節運動機構の全体が、回転可能な部材438の上部片側部分438aに形成されているレセプタクル436で支持されているが、ハンドルアセンブリでも支持され得る。レセプタクル436は、実質的に円筒形の貫通ボアを規定しており、該貫通ボアは、下側クラッチ430を受け入れ、かつ支持するような寸法にされた肩部436aを有している。肩部436aは、1つ以上のタブ440を含んでいる。
【0033】
図66および
図70を同様に参照すると、下側クラッチ430は、外側リム部分442と、内側の円形の鋸歯状部分444とを含んでいる。外側リム部分442は、1つ以上の切り抜き446を含み、切り抜き446は、レセプタクル436の肩部436a上のタブ440を受け入れるような寸法にされている。下側クラッチ430が、レセプタクル436内で肩部436aの上に、タブ440が切り抜き446内に受け入れられるように位置決めされ、その結果として、下側クラッチ430がレセプタクル436内で回転することを防止される(
図66)。円形の鋸歯状部分444は、一連の浅い鋸歯448と、3つの間隔をおいて配置された深い鋸歯450とを含んでいる(
図70)。以下でさらに詳細に論じられるように、これらの鋸歯448および450は、角度の付いた壁を含んでおり、関節運動レバー422を複数の異なる関節運動位置に保持するように機能している。下側クラッチ430はまた、主シャフト432を受け入れるような寸法にされている中央の貫通ボア430aを規定している。
【0034】
図65、
図68および
図69を参照すると、上側クラッチ428は、ハブ部分452と、ベース部分454とを含んでいる。ハブ部分452は、中央貫通ボア428aと、ピン458を受け入れるような寸法にされているチャネル456とを規定している。ピン458が、関節運動レバー422の開口部460を通ってチャネル456の中に挿入されることにより、関節運動レバー422を上側クラッチ428に回転可能に固着している。ハブ部分422はまた、ピン464を受け入れるような寸法にされている細長いスロット462を含んでいる。ピン464が、スロット462と、主シャフト432に形成されたホール466とを通って挿入されることにより、上側クラッチ428を主シャフト432に回転可能に固着している。ピン464が、スロット462中で長手方向に摺動可能であることにより、上側クラッチ428が、主シャフト432に対して軸方向に移動することを可能にされている。
【0035】
上側クラッチのベース部分454は、上側の面469と、下側クラッチ430の鋸歯状部分444と並置される整列状態で位置決めされる下側の面468とを含んでいる(
図68)。下側の面468は、下側クラッチ430の深い鋸歯450および浅い鋸歯448内に受け入れられるように構成されている複数の間隔をおいて配置された突起部470を含んでいる。一実施形態において、突起部470は、三角形状の断面を有し、三角形を規定している壁は、三角形の頂点近くでより急勾配である。そのような形態は、突起部470の頂点が、浅い鋸歯448で受け入れられ、かつ実質的に突起部470の全体が、深い鋸歯450で受け入れられることを可能にし、従って、より確実な係合をもたらしている。突起部470の形状が、2つの部分と、2つの異なる係合表面とを有することにより、機構に対して2つの異なる縦の位置を規定している。
【0036】
図65、
図71および
図72を参照すると、主シャフト432は、実質的に円筒形の本体部分474と、ディスク形のベース部分476とを含んでいる。ベース部分476は、切り抜き478(
図72)を規定しており、かつカム部材または突出部480を含んでいる。ベース部分476は、環状の支持表面482(
図71)を規定している。本体部分474は、下側クラッチ430の中央貫通ボア430aと、上側クラッチ428の中央貫通ボア428aとを通って延びるような寸法にされ、それによって、ベース部分476が、回転可能な部材438のレセプタクル436内で上側クラッチ428と下側クラッチ430との下に位置決めされる。ベース部分476はまた、肩部486を規定する段付きの部分484を含んでいる。肩部486が、レセプタクル436に形成されている環状のシェルフ488(
図65)で支持され、それによって、主シャフト432が、回転可能な部材438のレセプタクル436内で回転可能に支持されている。
【0037】
図65、
図73および
図74を参照すると、機構カバー424は、上側クラッチ428のハブ部分452の通過を可能にするような寸法にされている開口部490を規定し、それによって、ハブ部分452が関節運動レバー422に回転可能に固着され得る。カバー424の内側の円筒形部分492(
図74)は、切り抜き494を含んでいる。カバー424が回転可能な部材438の上部片側部分438aのレセプタクル436に配置されるときには、カバー424の円筒形部分492の切り抜き494が、タブ440を受け入れ、円筒形部分492が、下側クラッチ430を肩部436aに向かって圧縮する(
図65)。カバー424は、溶接、接着材、または任意の公知の機械的取り付け構造(例えば、ねじ、リベットなど)を含む任意の公知の締結技術を用いて回転可能な部材に固定され得る。
【0038】
図65を参照すると、並進部材434は、曲がった本体部496を含み、曲がった本体部496は、カムスロット498と、切り抜き500と、関節運動リンク123(
図10A)の近位端と係合するように構成されている係合構造体504を有するアーム502とを規定している。係合構造体504は、フィンガ類似の突起部として例示されているが、並進部材434を関節運動リンク123(
図10A)に接続することを容易にする他の結合係合構造体が想定される。
【0039】
図67を同様に参照すると、並進部材434のカムスロット498は、主シャフト432のカム部材480を摺動可能に受け入れるような寸法にされている。上で論じたように、関節運動レバー422は、上側クラッチ428に回転可能に固着され、上側クラッチ428は、主シャフト432の本体部分474に回転可能に固着されている。従って、関節運動レバー422が回転するときには、上側クラッチ428と主シャフト432とがまた回転することにより、カム部材480を並進部材434に対して回転させる。示されていないが、並進部材434は、回転可能な部材438内の直線的な動きに限定される。従って、カム部材480が回転方向に駆動されるときには、並進部材434が、回転可能な部材438内で直線的に移動することを強制される。並進部材438が関節運動リンク123(
図10A)に締結されているので、並進部材438の直線的動きが、関節運動リンク123の直線的動きをもたらして、ツールアセンブリ17を関節運動させる。
【0040】
ここで
図65および
図75を参照すると、付勢部材426が、上側クラッチ428のベース部分454の上側の面469と、カバー424の内側表面510との間に位置決めされている。付勢部材は、上側クラッチ428の下側の面468(
図68)を下側クラッチ430の鋸歯状部分444(
図70)と係合するように推し進め、それによって、上側クラッチ428の間隔をおいて配置された突起部470が、下側クラッチ430の浅い鋸歯448または深い鋸歯450内に受け入れられる。突起部470と、鋸歯448および450との間の係合が、関節運動機構420を一定の位置に解除可能に固定し、それによって、ツールアセンブリ17(
図1)が、関節運動の一定の角度で解除可能に固定される。
図76を参照されたい。
【0041】
図77〜
図80を参照すると、関節運動レバー422が回転するときには、(上で論じられたように)上側クラッチ428と主シャフト432とが回転方向に駆動される。上側クラッチ428のベース部分454が、下側クラッチ428の鋸歯状部分444に対して回転するときには、三角の突起部470が、角度の付いた鋸歯448および450に向かって駆動される。これが起こるときには、上側クラッチ428が、付勢部材426(
図78)の付勢に対抗して上の方に推し進められることにより、突起部470が、鋸歯448または鋸歯450から係合解除されて(
図79)、上側クラッチ428の回転が、従って、主シャフト432の回転が可能にされる。その後、付勢部材426が、上側クラッチを下の方に推し進めることにより、突起部470が、次の鋸歯と係合するように推し進められる(
図80)。突起部470は、ツールアセンブリ17(
図1)が非関節運動の位置で本体部分14(
図1)と整列しているときには、深い鋸歯450内に受け入れられるように位置決めされていることが注目される。このことは、ツールアセンブリ17が非関節運動の位置から動くことに対して増大された抵抗を提供する。望ましくは、深い鋸歯450が、ツールアセンブリ17の非関節運動の位置に対応している。しかしながら、深い鋸歯は、動きに対して増大された抵抗を有する他の位置を提供するように機構の中に組み込まれ得る。
【0042】
図81〜
図84は、概して参照番号520として示される、ここに開示されている関節運動機構の別の実施形態を例示している。関節運動機構520は、単純、かつロバストであり、可動部品をほとんど必要としない。初めに
図81を参照すると、関節運動機構520は概して、上部片側部分522aと、底部片側部分522bとを含む回転可能な部材522を含んでいる。関節運動レバー524が、関節運動構成要素(本明細書の以下でさらに詳細に記載される)を作動させるために提供されている。レセプタクル526が、回転可能な部材522の上部片側部分522aに形成され、関節運動構成要素のすべてを実質的に封入し、かつ支持している。機構カバー528が、関節運動構成要素をレセプタクル526内に固定するために提供されている。機構カバー528は、溶接、接着材、または任意の公知の機械的取り付け構造(例えば、ねじ、リベットなど)を含む任意の公知の締結技術を用いて回転可能な部材522に固定され得る。
【0043】
ここで
図82を参照すると、関節運動機構521の関節運動構成要素がここで記載される。関節運動機構521の関節運動構成要素は、回転可能なプレートまたはディスク530を含み、回転可能なプレートまたはディスク530は、その中に形成された螺旋状のスロットまたは溝532を有している。シャフト534が、関節運動レバー524を回転可能なディスク530に接続するために提供されている。具体的には、シャフト534の上端部536が、関節運動レバー524に付着され、一方で、シャフト534の下端部538が、ディスク530に付着されている。
【0044】
関節運動構成要素は、曲がった本体部542を有する並進部材540をさらに含んでいる。アーム544が、曲がった本体部542から延び、かつアーム544の先端部548に形成されている係合構造体546で終わっている。係合構造体546は、関節運動リンク123(
図10A)の近位端と係合するように構成されている。関節運動リンク123は、細長い本体部14を通って延び、かつ装填ユニット16の第二の関節運動リンク256に接続されている。係合構造体546は、フィンガ類似の突起部として例示されているが、並進部材540を関節運動リンク123(
図10A)に接続することを容易にする他の結合係合構造体が想定される。具体的には示されていないが、並進部材540は、回転可能な部材522内で長手方向の直線的動きをするように拘束されている。
【0045】
並進部材540を回転可能な部材522内で関節運動レバー524の回転に応答して長手方向に移動させるために、ピンアセンブリ550が、並進部材540と関連づけられ、かつディスク530の螺旋溝532の中に延びている。螺旋溝532は、シャフト534に最も近い内側または第一の端部552と、シャフト534から最も遠い外側または第二の端部554とを含んでいる(
図83)。関節運動レバー524の回転が、ピンアセンブリ550を螺旋溝532の第一の端部552と、第二の端部554との間で移動させることにより、ピンアセンブリ550が、シャフト534に対して長手方向に移動させられる。シャフト534に対するピンアセンブリ550の動きが、回転可能な部材522内で並進部材540の直線的動きをもたらす。螺旋溝532は、作動時の力をほとんど必要とせず、かつ任意の位置で自己係止する大きな機械的利点を提供している。
【0046】
歯または鋸歯556が、ディスク530の外周558に形成され、かつ構造体と協働しており、該構造体は、以下でさらに詳細に論じられる、回転可能な部材522の上部片側522aに形成されているばね付きの係合構造体564を含み得ることにより、非常に細かな分解能を有する、ディスク530の回転の度合を示すインデックス機構を提供し、かつ触覚および可聴のフィードバックをオペレータに提供している。戻り止めまたは凹部560が、ディスク530に提供されることにより、本明細書の以下でさらに詳細に記載されるように、ツールアセンブリ17(
図1)が、一直線に本体部分14(
図1)と整列している非関節運動位置または中立位置にあるときには、触覚の表示をオペレータに与える。さらに、vノッチが、ディスク530の外周558に提供されることにより、中立位置の同様な表示を与え得る。
【0047】
ここで
図83を参照すると、本明細書において上に記載されたように、ディスク530の螺旋溝532内のピンアセンブリ550の動きが、回転可能な部材522内の並進部材540(
図82および
図84)の長手方向の動きを引き起こす。特定の実施形態において、螺旋溝532は、アルキメデスの螺旋形として形成されている。すなわち、螺旋溝532は、関節運動レバー524の一定の角運動または回転運動を並進部材540の一定の直線運動に変換するカムとして用いられ得る。この螺旋溝530のカムのアスペクトは、ツールアセンブリ17(
図1)の遅い、制御された関節運動を可能にする一方で、関節運動レバー524の大きな角移動を維持している。具体的には、ピンアセンブリ550が並進部材540に固定されているので、ピンアセンブリ550は、回転可能な部材522を通って延びる軸x−xに沿って並進部材540とともに直線的に移動するように拘束されている。ディスク530の中心まわりの一定の角速度は、螺旋溝532がx−x軸と交差するところのピンアセンブリ550の一定の直線運動を結果としてもたらす。あるいは、螺旋溝の形態は、関節運動部材の角回転の任意の所望の割合を、並進部材の直線的動きに対して提供するように選択され得る。例えば、螺旋溝の形態は、並進部材のより大きな直線的前進(従って、ツールアセンブリのより速い関節運動)を関節運動部材の中立位置近くで提供し、並進部材の低減された直線的前進(従って、ツールアセンブリのより遅い関節運動)を関節運動部材の中立位置からさらに遠くで提供するように選択され得る。
【0048】
この態様において、オペレータが関節運動レバー524を特定の量回すことは、ツールアセンブリ17(
図1)が特定の、かつ一定の量だけ関節運動させられることを保証している。上記のように、鋸歯556が、ディスク530に提供されることにより、ディスク530の回転の際に、可聴および触覚のフィードバックをオペレータに与える。ばね付きの摺動材564が、レセプタクル526内に形成されたチャネル566内に提供されている。ばね付きの摺動材564が、鋸歯556と係合することにより、このフィードバックを提供している。さらに、鋸歯556が均一に間隔をおいて配置されるので、オペレータによって感知される各々の触覚または可聴のフィードバックが、回転可能な部材522内の並進部材540の並進における一定の直線的な単位量を結果としてもたらすディスク530の回転における一定の単位量を示している。
【0049】
図84を同様に参照すると、示されているように、シャフト534の上端部536は平坦部568を含み、関節運動レバー524が平坦部568の上で固定されている。張力付与ねじ572を有するばね付きプランジャ570が、機構カバー528内に形成されたチャネル574内に提供されている。ばね付きプランジャ570が、ディスク530に沿って乗り、ツールアセンブリ17(
図1)が本体部分14(
図1)と長手方向の整列状態にあるときには、凹部560と係合するように構成されている。
【0050】
図84を参照すると、ピンアセンブリ550は、螺旋溝532の中に延びるピン576と、ピン576を並進部材540に接続するピンホルダー578とを含んでいる。本明細書において上記された上端部536に類似して、シャフト534の下端部538は、シャフト534の下端部538をディスク530に固定するための平坦部580を含んでいる。あるいは、シャフト534の下端部538は、様々な異なる技術、例えば、溶接、クリンピング(crimping)、ねじ込みなどを用いてディスク530に接続され得る。示されているように、シャフト534は、関節運動レバー524から、機構カバー528に形成されたボア582を通ってディスク530に延びている。
【0051】
図8〜
図10および
図16を参照すると、使い捨て装填ユニットの感知機構が、ステープル留め装置10内で細長い本体部14からハンドルアセンブリ12の中に延びている。感知機構は、センサ管176を含み、センサ管176は、細長い本体部14のボア26内で摺動可能に支持されている。センサ管176の遠位端は、細長い本体部14の遠位端に向かって位置決めされ、センサ管176の近位端は、一対のナブ(nub)180を介してセンサシリンダ178の遠位端に固定されている。センサリンク182の遠位端は、センサシリンダ178の近位端に固定されている。センサリンク182(
図8aおよび
図8cを参照されたい)は、旋回可能な係止部材83上のカム作用表面83aと係合するブルバス(bulbous)端部184を有している。使い捨て装填ユニット(図示されていない)が細長い本体部14の遠位端に挿入されるときには、使い捨て装填ユニットが、センサ管176の遠位端177と係合することにより、センサ管176を近位方向に駆動し、それによって、センサシリンダ178と、センサリンク182とを近位方向に駆動する。センサリンク182の近位方向の動きが、センサリンク182のブルバス端部184をカム作用表面83aの遠位方向に移動させることにより、係止部材83が、ばね92の付勢の下でステープル留め装置10の発射を可能にする位置から阻止位置まで旋回することを可能にしており、阻止位置では、阻止用部材83が、作動シャフト46と係合し、かつステープル留め装置10の発射を防止するように位置決めされる。センサリンク182と係止部材83とは、使い捨て装填ユニットが細長い本体部14に固定された後、発射ロックアウトアセンブリ80を最初に動作させることなく外科用ステープル留め装置10の発射を防止するように機能している。リンク182の近位方向の動きが、
図5に示されている位置に係止部材83が移動することを可能にすることは注目される。
【0052】
ここでまた
図9〜
図12を参照すると、カム部材136は凹部154を含んでいる。凹部154内に受け入れられるように構成されたナブ部分186を有する係止用リング184は、制御タブ部分188と、近位のフランジ部分190との間でセンサシリンダ178のまわりに位置決めされている。ばね192が、フランジ部分190と係止用リング184との間に位置決めされており、係止用リングをセンサシリンダ178のまわりで遠位方向に推し進めている。延びた挿入先端部193を有する関節運動型使い捨て装填ユニット16bがステープル留め装置10の細長い本体部14の遠位端の中に挿入されるときには、挿入先端部193が、タブ部分188を係止用リング184と係合するように近位方向に移動させることにより、係止用リング184およびナブ186をカム部材136の凹部154から近位方向に推し進める(
図12Bを参照されたい)。ナブ186が凹部154から近位方向に位置決めされた状態では、カム部材136が、自由に横方向に移動して、ステープル留め装置10の関節運動をもたらす。非関節運動型使い捨て装填ユニットは、延びた挿入先端部を有していない(
図12Aを参照されたい)。従って、非関節運動型使い捨て装填ユニットが細長い本体部14に挿入されるときには、センサシリンダ178が、十分な距離を近位方向に引き込まれないことにより、ナブ186が、凹部154から移動させられない。従って、カム部材136は、凹部154に位置決めされている、係止用リング184のナブ186によって横方向に移動することを妨げられ、関節運動レバー30は、その中央の位置で係止される。
【0053】
図16〜
図18を参照すると、細長い本体部14の遠位端は、制御ロッド係止機構190を含み、制御ロッド係止機構190は、使い捨て装填ユニットを細長い本体部14の中に挿入する間、作動させられる。制御ロッド係止機構190は、阻止用プレート192を含み、阻止用プレート192は、ばね194によって遠位方向に付勢されており、かつ斜めのカム表面195を有する近位のフィンガ189を含んでいる。半円形の係合部材196が、ばね197によって制御ロッド52に向かって横方向に付勢されている。制御ロッド52は、係合部材196を受け入れるように構成された環状の凹部199を含んでいる。阻止用プレート192は、係合部材196から間隔をおいて配置される遠位の位置から、係合部材196の後ろに配置される近位の位置まで移動可能である。近位の位置において、係合部材196は、阻止用プレート192と係合することによって凹部199から付勢されることを防止されている。以下でさらに詳細に記載されるように、使い捨て装填ユニット16(
図1を参照されたい)を細長い本体部14の遠位端に挿入する間、使い捨て装填ユニットが、プレート192を近位の位置に推し進めるために細長い本体部14と係合するように回転するので、阻止用プレート192のカム表面195は、使い捨て装填ユニット16上のナブ254(
図30)によって係合される。凹部199内に位置決めされる係合部材196が、阻止用プレート192によって凹部199の中に保持され、一方で、ナブ254が、カム表面195と係合して、組み立ての間の制御ロッド52の長手方向の動きを防止する。使い捨て装填ユニット16が細長い本体部14に対して適切に位置決めされるときには、使い捨て装填ユニット16の近位端のナブ254が、カム表面195を通って離れることにより、ばね194が阻止用プレート192をその遠位の位置に戻ることを可能にして、制御ロッド52のその後の長手方向の動きが可能にされる。使い捨て装填ユニットのナブがカム表面195を通って離れるときには、使い捨て装填ユニット16が細長い本体部14に適切に固定されたことを示す可聴のクリック音が生成されることは注目される。
【0054】
図19および
図20を参照すると、使い捨て装填ユニット16は、本体部分14(
図1)の遠位端と解除可能に係合するように適合されている近位の筐体部分200を含んでいる。取り付けアセンブリ202は、筐体部分200の遠位端に旋回軸で固定されており、かつツールアセンブリ17の近位端を受け入れるように構成され、それによって、筐体部分200の長手方向の軸に垂直な軸まわりの取り付けアセンブリ202の旋回の動きがツールアセンブリ17の関節運動をもたらす。
【0055】
図21〜
図26を参照すると、ツールアセンブリ17は、好ましくは、アンビルアセンブリ20と、カートリッジアセンブリ18とを含んでいる。アンビルアセンブリ20は、ステープルを変形させる複数の凹面206(
図22)を有するアンビル部分204と、アンビル部分204の上表面に固定されて、それらの間に空洞210(
図24)を規定するカバープレート208とを含んでいる。カバープレート208は、ステープル留め装置10の締め付けおよび発射の間、組織の締めつけを防止するために提供されている。空洞210は、軸方向の駆動アセンブリ212(
図27を参照されたい)の遠位端を受け入れるような寸法にされている。長手方向のスロット214が、アンビル部分204を通って延びることにより、軸方向の駆動アセンブリ212の保持フランジ284が、アンビル空洞210の中を通過することを容易にしている。アンビル部分204に形成されたカム作用表面209が、軸方向の駆動アセンブリ212と係合するように位置決めされることにより、組織198の締め付けを容易にしている。アンビル部分204に形成されている一対の旋回部材211が、キャリヤ216に形成されたスロット213内に位置決めされることにより、アンビル部分が、開放位置と締め付け位置との間に導かれる。一対の安定化部材215が、キャリヤ216に形成されたそれぞれの肩部217と係合することにより、カム作用表面209が変形されるときに、アンビル部分204がステープルカートリッジ220に対して軸方向に摺動することを防止している。
【0056】
カートリッジアセンブリ18は、細長い支持チャネル218を規定するキャリヤ216を含んでいる。細長い支持チャネル218は、ステープルカートリッジ220を受け入れるような寸法にされ、かつ受け入れるように構成されている。ステープルカートリッジ220に沿って形成された対応するタブ222およびスロット224と、細長い支持チャネル218とが、ステープルカートリッジ220を支持チャネル218内に保持するように機能している。ステープルカートリッジ220に形成された一対の支持ストラット223が、キャリヤ216の側壁に載るように位置決めされることにより、さらにステープルカートリッジ220を支持チャネル218内に安定させる。
【0057】
ステープルカートリッジ220は、複数のファスナ226とプッシャ228とを受け入れるための保持スロット225を含んでいる。間隔をおいて別々に配置された複数の長手方向のスロット230が、ステープルカートリッジ220を通って延びることにより、作動用そり234の直立したカムくさび232を収容している。中央の長手方向のスロット282が、ステープルカートリッジ220に沿って延びることにより、ナイフブレード280の通過を容易にしている。外科用ステープラ10の動作の間に、作動用そり234が、ステープルカートリッジ220の長手方向のスロット230を通って並進することにより、カムくさび232が、プッシャ228と連続的に接触するように前進して、プッシャ228をスロット224内に垂直に並進させ、ファスナ226が、スロット224からアンビルアセンブリ20のステープル変形空洞206内に推し進められる。
【0058】
図27および
図28を参照すると、取り付けアセンブリ202は、上側取り付け部分236と、下側取り付け部分238とを含んでいる。各々の取り付け部分は、その各々の側にねじ付きボア240を含み、ねじ付きボア240は、そこにキャリヤ216の近位端を固定するねじ付きボルト242(
図21を参照されたい)を受け入れるような寸法にされている。中央に配置された一対の旋回部材244(
図21を参照されたい)が、一対の結合部材246を介して上側取り付け部分と下側取り付け部分との間に延び、一対の結合部材246は、筐体部分200の遠位端と係合している。結合部材246は、各々が筐体部分200の近位端に形成された溝250中に受け入れられるように構成された近位の連結部分248を含むことにより、取り付けアセンブリ202および筐体部分200が、それらに対して長手方向に固着した位置で保持されている。
【0059】
使い捨て装填ユニット16の筐体部分200は、上側筐体片側250と、外側ケーシング251内に収容されている下側筐体片側252とを含んでいる。筐体片側250の近位端は、細長い本体部14と解除可能に係合する係合ナブ254と、挿入先端部193とを含んでいる。ナブ254は、以下でさらに詳細に論じられる本体部14の遠位端とバヨネット式結合を形成している。筐体片側250および252は、軸方向の駆動アセンブリ212を摺動可能に受け入れるチャネル253を規定している。第二の関節運動リンク256は、筐体片側250と252との間に形成されたスロット258内で摺動可能に位置決めされるような寸法にされている。一対の停止(blow out)プレート254が、軸方向の駆動アセンブリ212の遠位端に隣接する筐体部分200の遠位端に隣接して位置決めされることにより、ツールアセンブリ17が関節運動する間、駆動アセンブリ212が、外の方に膨らむことを防止される。
【0060】
図29〜
図30を参照すると、第二の関節運動リンク256は、少なくとも1つの細長い金属プレートを含んでいる。好ましくは、2つ以上の金属プレートが、リンク256を形成するために積層される。関節運動リンク256の近位端は、第一の関節運動リンク123(
図9を参照されたい)と係合するように構成されたフック部分258を含み、関節運動リンク256の遠位端は、取り付けアセンブリ202に形成された突起部262と係合するような寸法にされているループ260を含んでいる。突起部262は、旋回ピン244から横方向にオフセットされ、それによって、第二の関節運動リンク256の直線的動きが、取り付けアセンブリ202を旋回ピン244のまわりに回転させて、ツールアセンブリ17を関節運動させる。
【0061】
図31〜
図34を同様に参照すると、軸方向の駆動アセンブリ212は、遠位の作業ヘッド268と、近位の係合部分270とを含む細長い駆動ビーム266を含んでいる。駆動ビーム266は、単一シートの材料または好ましくは複数の積層シートの材料から構成され得る。係合部分270は、一対の係合フィンガ270aおよび270bを含み、一対の係合フィンガ270aおよび270bは、駆動部材272に形成された一対の対応する保持スロット272aおよび272bと取り付け可能に係合するような寸法にされ、かつ係合するように構成されている。駆動部材272は、近位のポートホール274を含み、近位のポートホール274は、使い捨て装填ユニット16の近位端が外科用ステープル留め装置10の細長い本体部14と係合されるときに、制御ロッド52(
図35を参照されたい)の遠位端276を受け入れるように構成されている。
【0062】
駆動ビーム266の遠位端は、ナイフブレード280を支持する縦の支持ストラット278と、ステープル留め処置の間に作動用そり234の中央部分と係合する接触(abutment)表面283とによって規定されている。表面283の基部の表面285は、ステープルカートリッジ220の底部に沿って摺動可能に位置決めされた支持部材287を受け入れるように構成されている。ナイフブレード280は、ステープル留めされた体組織の列の間に切開を形成するために、ステープルカートリッジ220中の中央の長手方向のスロット282を通って作動用そり234のわずかに後ろを並進するように位置決めされている(
図30)。保持フランジ284は、縦のストラット278から遠位方向に突き出ており、その遠位端で円筒形のカムローラ286を支持している。カムローラ286は、アンビル部分204を体組織に対して締め付けるために、アンビル本体部204のカム表面209と係合するような寸法にされ、かつ係合するように構成されている。
【0063】
図36〜
図39を同様に参照すると、係止用デバイス288が、駆動部材270に旋回ピン290のまわりを旋回可能に固定されている。係止用デバイス288は、チャネル296を規定する一対の細長い滑走部292および294を含んでいる。ウェブ298は、滑走部292および294の上表面の一部分を接合し、駆動部材270の遠位の位置で駆動ビーム266に形成された細長いスロット298内に嵌るように構成され、かつ嵌るような寸法にされている。水平カム300および302が、滑走部292および294からそれぞれ延び、下側筐体片側252の内側表面に沿って収容されている。
図42に最もよく示されているように、ねじりばね304が、駆動部材270に隣接して位置決めされ、係止用デバイス288の水平カム300および302と係合することにより、係止用デバイス288が、棚部310の上に下側筐体片側252に向かって下の方に垂直に付勢されている。係止用デバイス288は、軸方向の駆動アセンブリ212によって筐体部分200を通って並進する。係止用デバイス288の動作は、以下に記載される。
【0064】
(操作順序)
図40〜
図44を参照すると、ステープル留め器具10を用いるために、使い捨て装填ユニット16が、最初に細長い本体部14の遠位端に固定される。上で論じたように、ステープル留め器具10は、約30mmと約60mmとの間のステープルの直線的な列を有する関節運動型および非関節運動型の使い捨て装填ユニットとともに用いられ得る。使い捨て装填ユニット16を細長い本体部14に固定するために、制御ロッド52の遠位端276が、使い捨て装填ユニット16の挿入先端部193の中に挿入され、挿入先端部193は、細長い本体部14の遠位端の中に
図41中の矢印「A」によって示されている方向に長手方向に摺動され、それによって、第二の関節運動リンク256のフック部分258が、細長い本体部314のチャネル310内で摺動する。ナブ254の各々が、細長い本体部14中のそれぞれのチャネル(図示されていない)で整列させられる。フック部分258がチャネル310の近位の壁312と係合するときには、使い捨て装填ユニット16が、
図41〜
図44中の矢印「B」によって示されている方向に回転することにより、第二の関節運動リンク256のフック部分258が、第一の関節運動リンク123のフィンガ164と係合するように移動させられる。ナブ254はまた、本体部14の環状のチャネル314内でバヨネット式結合を形成している。装填ユニット16の回転の間に、ナブ254が、初めにプレート192を
図41および
図43中の矢印「C」によって示されている方向に移動させるために、阻止用プレート192のカム表面195(
図41)と係合することにより、係合部材196が、制御ロッド52の凹部199に係止して、使い捨て装填ユニット16の取り付けの間、制御ロッド52の長手方向の動きを防止する。回転の最終段階の間に、ナブ254が、カム表面195から係合解除することにより、阻止用プレート192が、
図42および
図44中の矢印「D」によって示されている方向に係合部材196の後ろから移動することを可能にされて、制御ロッド52の長手方向の動きが再び可能にされる。
【0065】
図43および
図43Aを参照すると、挿入先端部193がセンサ管176の遠位端と係合するときには、使い捨て装填ユニット感知機構が作動させられる。挿入先端部193は、センサ管176と係合し、かつセンサ管176を
図43中の矢印「E」によって示されている方向に近位に移動させる。上で論じたように、センサ管176の近位方向の動きが、センサシリンダ178およびセンサリンク182の近位方向の動きを
図43A中の矢印「E」によって示されている方向にもたらすことにより、係止部材83が、
図43A中の矢印「Y」によって示されているように、作動シャフト46の動きを阻止しない位置からその動きを阻止する位置まで反時計回りに旋回させられる。
【0066】
図46〜
図49を参照すると、使い捨て装填ユニットをステープル留め器具10に取り付けた状態では、ツールアセンブリ17が、組織320(
図45)のまわりに位置決めされ得る。組織をアンビルアセンブリ20とカートリッジアセンブリ18との間で締め付けるために、可動ハンドル24が、
図46中の矢印「E」によって示されている方向にねじりばね40の付勢に対抗して移動させられることにより、駆動つめ42を作動シャフト46の肩部322と係合するように移動させる。肩部322と駆動つめ42との間の係合が、作動シャフト46を前進させ、従って、制御ロッド52を遠位方向に前進させる。制御ロッド52が、その遠位端で駆動ビーム266(
図48)を含む軸方向の駆動アセンブリ212に接続され、それによって、制御ロッド52の遠位方向の動きが、駆動ビーム266の遠位方向の動きを
図48および
図49中の矢印「F」によって示されている方向にもたらし、カムローラ286をアンビル部分204のカム表面209と係合するように移動させて、アンビル部分204を
図49中の矢印「G」によって示されている方向に推し進める。可動ハンドル24の1回の完全なストロークが、作動シャフト46を約15mm前進させ、この前進は、第一のストロークの間に組織を締め付けるには十分であるが、ステープルを発射するには十分でないことが注目される。
【0067】
逆進防止クラッチ機構に関して上で論じたように、可動ハンドル24の第一の(締め付け)ストロークの間、摺動プレート102(
図46)は、係止つめ54が歯付きラック48と係合することを防止している。ハンドル24が解放された後、作動シャフト46をその長手方向の位置に維持するために、係合部材324(
図47)が、係止部材83に提供されることにより、作動シャフト46の肩部326と係合し、シャフト46が、その長手方向の位置に保持される(
図47を参照されたい)。可動ハンドル24が解放されると、駆動つめ42が、ハンドル24をねじりばね40が静止ハンドル22から間隔をおいて配置された位置に戻しながら、ラック48の上に移動させられる。この位置において、駆動つめ42が、歯付きラック48と係合するように推し進められることにより、作動シャフト46が、その長手方向の固着位置に保持される。
【0068】
ステープルを発射するために、可動ハンドル24が、再び作動させられ、すなわち、別のストロークを通って移動させられる。上で論じたように、ステープル留め装置10は、約30mmと約60mmとの間のステープルの直線的な列を有する使い捨て装填ユニットを受け入れることが可能である。可動ハンドル24の各々のストロークが好ましくは、作動シャフト46を15mm前進させ、そして1つのストロークが、組織を締め付けるために必要とされるので、可動ハンドルは、ステープルを発射するために、(n+1)ストローク作動させられなければならない。ここで、nは、ステープル留め器具10に取り付けられた使い捨て装填ユニット中のステープルの直線的な列の長さを15mmで除算したものである。
【0069】
図50を参照すると、ステープルを発射することができる前に、発射ロックアウトアセンブリ80(
図4)が、係止用表面88をその阻止位置(
図47)から非阻止位置に移動させるために、作動させられなければならない。これは、プランジャ82を押し下げることによって遂行されて、カム作用表面85を係止部材83のスロット89の側壁と係合するように移動させることにより、係止部材83が、
図50(
図5もまた参照されたい)中の矢印「G」によって示されている方向に旋回させられる。その後、移動可能なハンドル24が、適切な数のストロークを作動させられることにより、作動シャフト46を、従って、制御ロッド52および駆動ビーム266を
図51および
図52中の矢印「H」によって示されている方向に遠位に前進させて、作動用そり234が、ステープルカートリッジ220を通って前進することにより、ステープルの排出をもたらし得る。可動ハンドル54の第一のストロークすなわち締め付けストロークの後(第二のストロークの間)、摺動部材102が、係止つめ54の上を通過することにより、ねじりばね56が、係止つめ54を
図50中の矢印「I」によって示されている方向に歯付きラック48と係合するように移動させることを可能にされて、作動シャフト46が、その長手方向の位置で保持されることは注目される。
【0070】
図53を参照すると、ステープルを発射した後に作動シャフト46を、従って、制御ロッド52および駆動部材266を引き込むために、引き込みノブ32(
図1を参照されたい)が、近位方向に引かれることにより、ピン66が、解放プレート64を
図53中の矢印「J」によって示されている方向に歯48上を移動させて、駆動つめ42が、歯48との係合から係合解除される。逆進防止クラッチ機構に関して上で論じたように、係止つめ54が、摺動プレート102によって、歯付きラック48(図示されていない)との係合から外れるように推し進められることにより、駆動つめ42が歯48から係合解除された後に、作動シャフト46が、矢印「L」によって示されている方向に近位に移動されることを可能にする。
【0071】
図54を参照すると、ステープル留め装置を発射する前に、すなわち、係止つめが歯付きラック48と現在係合されているときに、作動シャフト46を引き込むために、緊急復帰用ボタン112が、
図54中の矢印「Z」によって示されている方向に押されることにより、係止つめ54が、歯付きラック48から係合解除される。上で論じたように、引き込みノブ32(
図1)がまた、駆動つめ42をラック48から解放するために、同時に後ろの方に引かれなければならない。
【0072】
図55〜
図61を参照すると、関節運動型使い捨て装填ユニットが細長い本体部14に固定され、関節運動レバー30が
図55中の矢印「M」によって示されている方向に旋回させられるときには、カム部材136が、突起部142(
図10)によって回転ノブ28のフランジ170と172との間を矢印「N」によって示されている方向に横方向に移動させられる。並進部材138が、隆起部156(
図13)によって回転することを妨げられているので、並進部材138に固着して固定されているピン166が、段付きカム表面148に沿って移動することを強制される。ピン166の動きが、並進部材138の対応する動きを
図55および
図56中の矢印「P」によって示されている方向に引き起こすことにより、第一の関節運動リンク123が、遠位の方向に前進させられる。第一の関節運動リンク123の遠位端が、取り付けアセンブリ202の突起部262に接続されている第二の関節運動リンク256(
図42)の近位端と係合することにより、第二のリンク256が、
図57中の矢印「Q」によって示されている方向に前進させられる。突起部262は、旋回部材244から横方向にオフセットされ、それによって、第二の関節運動リンク256の遠位方向の前進が、取り付けアセンブリ202を、従って、ツールアセンブリ17を
図57および
図58中の矢印「R」によって示されている方向に旋回させる。
図59においては、回転部材28が、回転することにより、細長い本体部14が、その長手方向の軸のまわりに回転し、一方で、ツールアセンブリ17が関節運動され得ることが注目される。
【0073】
図60〜
図61は、ツールアセンブリ17の関節運動を上記とは反対方向で例示している。
図55に見られるように、第二の関節運動リンク256が、関節運動レバー30を反時計回りの方向(図示されていない)に回転させることによって引き込まれるときには、ピン66が、段付きカム作用表面148に沿って近位方向に移動することを強制され、並進部材138と、第一の関節運動リンク123とを近位方向に移動させる。第一の関節運動リンク123の近位方向の動きが、第二の関節運動リンク256を
図58中の矢印「S」によって示されているように、近位方向に移動させることにより、ツールアセンブリ17が、
図61中の矢印「T」によって示されているように、時計回りの方向に回転させられる。
【0074】
図12を参照すると、隣接する段付き部分340の間のピン166(
図9)の動きが、ツールアセンブリ17に、22.5度の関節運動をさせる。カム作用表面148は、5つの段付き部分340を含んでいる。第三の段付き部分が、関節運動していないツールアセンブリの位置に対応するのに対して、第一および第五の段付き部分は、ツールアセンブリ17の45度までの関節運動に対応している。各々の段付き部分が平坦であることにより、ピン166が各々の段付き部分と係合されるときには、関節運動レバー30が、一定の位置で保持される。
【0075】
ここで
図37、
図39、
図62および
図63を参照すると、一連のロックアウト動作が詳細に記載される。
図39において、ロックアウトデバイス288が、それの事前発射の位置で、水平カム300および302が下側筐体片側252(
図37)の側壁に形成された突起部330の上部に載っている状態で示されている。この位置において、係止用デバイス288が、下側筐体片側252の底部表面に形成された突起部332との整列状態から外れて持ち上げられ、ウェブ298が、駆動ビーム266で規定されたシェルフ334と長手方向の並置状態にある。この構成は、アンビル部20(
図38)が、使い捨て装填ユニット16を無効にする係止用デバイス288を作動させることなく外科医が位置に満足するまで、ステープル留めされる組織上で開放され、かつ組織上に再配置されることを可能にしている。
【0076】
図62に示されているように、駆動ビーム266の遠位方向の動きの際に、係止用デバイス288が、突起部330(図示されていない)から外れ、基部の下側筐体片側252と係合するように、ばね304によって突起部332に対して遠位方向に付勢されている。係止用デバイス288は、装置の発射を通じて、この構成のままである。
【0077】
駆動ビーム266が
図62中の矢印「U」によって示されている方向に引き込まれる際に、係止用デバイス288が、突起部330の下を通過し、係止用デバイス288の最も遠位の部分が突起部332の近位になるまで、突起部332を乗り越える。ばね304が、係止用デバイス288を突起部332と並置された整列状態に付勢して、使い捨て装填ユニットを効果的に無効にしている。装置を再作動する試みがなされる場合には、制御ロッド52が、表面が、旋回ピン342について一瞬分与するために対角線的に傾斜する係止用デバイス288の近位端の表面に接する、係止用デバイス288の遠位端が、突起部332と接触するように回転方向に推し進められる。
図63中の矢印「W」によって示されている方向の継続した遠位方向の力が、係止用デバイスに付与されるモーメントを増大させることだけに役立ち、従って、係止用デバイスが、突起部332に接し、制御ロッド52の遠位方向の移動を妨げる。
【0078】
ここでまた
図41〜
図44を参照すると、無効にされた使い捨て装填ユニットまたは係止された使い捨て装填ユニットは、使い捨て装填ユニット16を
図41、
図42および
図44中の矢印「B」によって示されている方向と反対方向に回転させることによって、細長い本体部14の遠位端から取り外されることにより、第二の関節運動リンク256のフック部分258が、第一の関節運動リンク123のフィンガ164から係合解除され、ナブ254が、細長い本体部14のチャネル314内から係合解除され得る。回転の後、使い捨て装填ユニット16が、
図41中の矢印「A」によって示されている方向と反対方向に摺動されることにより、本体部14が、使い捨て装填ユニット16から取り外され得る。その後、上記のように、追加の関節運動型および/または非関節運動型の使い捨て装填ユニットが、細長い本体部の遠位端に固定されることにより、追加の外科用ステープル留め処置および/または切断処置が実行され得る。上で論じたように、各々の使い捨て装填ユニットは、約30mmから約60mmまで変化するステープルの直線的な列を含み得る。
【0079】
様々な修正が、本明細書中に開示されている実施形態になされ得ることが理解される。例えば、ステープル留め装置は、ステープルを付与する必要がないが、むしろ当該分野で公知のように、2部品型のファスナを付与し得る。さらに、ステープルまたはファスナの直線的な列の長さが、特定の外科的処置の要件を満たすように修正され得る。従って、作動シャフトの単一ストロークの長さ、および/または使い捨て装填ユニット内のステープルおよび/またはファスナの直線的な列の長さは、それに応じて変化し得る。従って、上記の説明は、限定としてではなく単に好適な実施形態の例示と解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲の内で他の修正を想到するであろう。