(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709252
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】冷凍機の制御装置及び冷凍機の制御方法
(51)【国際特許分類】
F25D 21/06 20060101AFI20150409BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20150409BHJP
F25B 5/02 20060101ALI20150409BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
F25D21/06 N
F25D21/06 Q
F25B47/02 570M
F25B47/02 570D
F25B47/02 570H
F25B5/02 B
F25D11/00 101E
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-25802(P2011-25802)
(22)【出願日】2011年2月9日
(65)【公開番号】特開2012-163300(P2012-163300A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2013年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 政幸
(72)【発明者】
【氏名】和氣 幸男
【審査官】
藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−287868(JP,A)
【文献】
特開平07−151432(JP,A)
【文献】
特開平07−282345(JP,A)
【文献】
特開2006−023045(JP,A)
【文献】
特開平09−126603(JP,A)
【文献】
特開昭60−165470(JP,A)
【文献】
特開2007−292458(JP,A)
【文献】
特開昭63−231182(JP,A)
【文献】
特開昭61−213568(JP,A)
【文献】
特開平08−014721(JP,A)
【文献】
実開昭57−193165(JP,U)
【文献】
特開平9−126624(JP,A)
【文献】
特開2009−236484(JP,A)
【文献】
特開2002−31470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/06
F25B 5/02
F25B 47/02
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともオープンショーケース及び、昼間に比べ夜間に又は夏期に比べ冬期にドア開閉が少なくなる冷却庫に冷媒を供給する冷凍機を制御する冷凍機の制御装置であって、
前記冷凍機から前記オープンショーケース及び前記冷却庫に前記冷媒を供給するための冷媒流路の途中に設けられ、前記冷凍機から前記冷媒流路を介する前記オープンショーケースへの前記冷媒の供給及び前記冷凍機から前記冷媒流路を介する前記冷却庫への前記冷媒の供給を制御する複数の開閉弁と、
前記オープンショーケース及び前記冷却庫の周囲環境が夜間又は冬期であるか否かを判断し、前記周囲環境が夜間又は冬期であると判断した場合のみ、前記オープンショーケースの除霜時間以外の時間帯に、前記冷却庫に対する前記冷媒の供給を一定期間停止し、前記オープンショーケースに対する前記冷媒の供給を行うように前記複数の開閉弁を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする冷凍機の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記オープンショーケースのプルダウンの間に、前記冷却庫に対する前記冷媒の供給を停止し、前記オープンショーケースに対する前記冷媒の供給を行うように前記複数の開閉弁を制御することを特徴とする請求項1記載の冷凍機の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記冷却庫の庫内温度を一定期間下げてから、前記冷却庫に対する前記冷媒の供給を一定期間停止するように前記複数の開閉弁を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の冷凍機の制御装置。
【請求項4】
前記冷却庫が備える蒸発器の着霜量を検出する検出センサをさらに備え、
前記制御部は、前記周囲環境が夜間又は冬期であると判断した場合、前記検出センサにより検出した前記着霜量に応じて、前記冷却庫の除霜運転を禁止することを特徴とする請求項1、2又は3記載の冷凍機の制御装置。
【請求項5】
少なくともオープンショーケース及び、昼間に比べ夜間に又は夏期に比べ冬期にドア開閉が少なくなる冷却庫に冷媒を供給する冷凍機を制御する冷凍機の制御方法であって、
前記オープンショーケース及び前記冷却庫の周囲環境が夜間又は冬期であるか否かを判断し、前記周囲環境が夜間又は冬期であると判断した場合のみ、前記オープンショーケースの除霜時間以外の時間帯に、前記冷却庫に対する前記冷媒の供給を一定期間停止し、前記オープンショーケースに対する前記冷媒の供給を行うことを特徴とする冷凍機の制御方法。
【請求項6】
前記オープンショーケースのプルダウンの間に、前記冷却庫に対する前記冷媒の供給を停止し、前記オープンショーケースに対する前記冷媒の供給を行うことを特徴とする請求項5記載の冷凍機の制御方法。
【請求項7】
前記冷却庫の庫内温度を一定期間下げてから、前記冷却庫に対する前記冷媒の供給を一定期間停止することを特徴とする請求項5又は6記載の冷凍機の制御方法。
【請求項8】
前記冷却庫が備える蒸発器の着霜量を検出し、
前記周囲環境が夜間又は冬期であると判断した場合、検出した前記着霜量に応じて、前記冷却庫の除霜運転を禁止することを特徴とする請求項5、6又は7記載の冷凍機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機の制御装置及び冷凍機の制御方法に関し、例えば、ショーケース及び冷却庫を一台で冷やす冷凍機の制御装置及び冷凍機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの各種店舗においては、冷蔵食品や冷凍食品、生鮮食品などの商品陳列用のショーケースが設置されており、さらに、商品陳列や商品保管用の冷蔵庫や冷凍庫などの冷却庫も設置されている。使用温度帯の近いショーケース及び冷却庫は一台の冷凍機により冷却される場合があり、その一台の冷凍機から冷媒がショーケース及び冷却庫に供給される。
【0003】
通常、ショーケースや冷却庫には、蒸発器が設けられている。この蒸発器には霜が着くため、蒸発器への着霜が多い使用温度帯の近いショーケースでは、除霜ヒータにより除霜(デフロスト)を行う必要がある。この除霜を行わないと、蒸発器の熱交換器としての機能が著しく低下し、要求される冷却性能を維持することができなくなってしまう。そこで、一般的には、毎日、一日数回、同時刻に除霜が行われている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−126603号公報
【特許文献2】特開平9−287868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の冷凍機は、一年中、昼夜ともに所定の設定温度に基づいて冷却庫を冷却する。ところが、夜間や冬期には、冷却庫のドア開閉は少なくなり、その庫内は外気の影響を受けなくなるため、庫内の商品温度はほとんど変動しない。このため、夜間や冬期には、冷却庫の庫内温度を昼間や夏期ほどきめ細かく制御する必要がなくなるが、実際には昼間や夏期と同じ制御を行っており、夜間や冬期に必要以上に庫内の商品を冷却している。
【0006】
また、夜間や冬期であっても、前述の冷凍機は、除霜後、冷却対象である商品の品質低下を防止するため、できるだけ早くショーケースの庫内温度を所定の設定温度に戻す必要がある。このとき、冷凍機はフル稼働で冷却運転を行うため、冷凍機の負荷が増え、冷凍機の消費電力が上昇してしまう。
【0007】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、その目的は、冷凍機の消費電力を抑えることができる冷凍機の制御装置及び冷凍機の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1の特徴は、冷凍機の制御装置において、少なくともショーケース及び冷却庫に冷媒を供給する冷凍機を制御する冷凍機の制御装置であって、冷凍機からショーケース及び冷却庫に冷媒を供給するための冷媒流路の途中に設けられ、冷凍機から冷媒流路を介するショーケースへの冷媒の供給及び冷凍機から冷媒流路を介する冷却庫への冷媒の供給を制御する複数の開閉弁と、ショーケース及び冷却庫の周囲環境が夜間又は冬期であるか否かを判断し、周囲環境が夜間又は冬期であると判断した場合、ショーケースの除霜時間以外の時間帯に、冷却庫に対する冷媒の供給を一定期間停止し、ショーケースに対する冷媒の供給を行うように複数の開閉弁を制御する制御部とを備えることである。
【0009】
本発明に係る第2の特徴は、前述の第1の特徴に係る冷凍機の制御装置において、制御部は、ショーケースのプルダウンの間に、冷却庫に対する冷媒の供給を停止し、ショーケースに対する冷媒の供給を行うように複数の開閉弁を制御することである。
【0010】
本発明に係る第3の特徴は、前述の第1又は2の特徴に係る冷凍機の制御装置において、制御部は、冷却庫に対する冷媒の供給を一定期間停止する直前に、冷却庫の庫内温度を一定期間下げるように複数の開閉弁を制御することである。
【0011】
本発明に係る第4の特徴は、前述の第1、2又は3の特徴に係る冷凍機の制御装置において、制御部は、周囲環境が夜間又は冬期であると判断した場合、冷却庫が備える蒸発器の着霜量に応じて、冷却庫の除霜運転を禁止することである。
【0012】
本発明に係る第5の特徴は、冷凍機の制御方法において、少なくともショーケース及び冷却庫に冷媒を供給する冷凍機を制御する冷凍機の制御方法であって、ショーケース及び冷却庫の周囲環境が夜間又は冬期であるか否かを判断し、周囲環境が夜間又は冬期であると判断した場合、ショーケースの除霜時間以外の時間帯に、冷却庫に対する冷媒の供給を一定期間停止し、ショーケースに対する冷媒の供給を行うことである。
【0013】
本発明に係る第6の特徴は、前述の第5の特徴に係る冷凍機の制御方法において、ショーケースのプルダウンの間に、冷却庫に対する冷媒の供給を停止し、ショーケースに対する冷媒の供給を行うことである。
【0014】
本発明に係る第7の特徴は、前述の第5又は6の特徴に係る冷凍機の制御方法において、冷却庫に対する冷媒の供給を一定期間停止する直前に、冷却庫の庫内温度を一定期間下げることである。
【0015】
本発明に係る第8の特徴は、前述の第5、6又は7の特徴に係る冷凍機の制御方法において、周囲環境が夜間又は冬期であると判断した場合、冷却庫が備える蒸発器の着霜量に応じて、冷却庫の除霜運転を禁止することである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る第1又は第5の特徴によれば、周囲環境が夜間又は冬期であるとき、ショーケースの除霜時間以外の時間帯で、冷却庫に対する冷媒の供給が一定期間強制的に停止され、ショーケースに対する冷媒の供給だけが行われる。これにより、冷媒の供給対象はショーケースのみとなり、冷凍機の負荷を低減することが可能になるので、冷凍機の消費電力を抑えることができる。
【0017】
本発明に係る第2又は第6の特徴によれば、周囲環境が夜間又は冬期であるとき、ショーケースのプルダウンの間に、冷却庫に対する冷媒の供給が強制的に停止され、ショーケースに対する冷媒の供給だけが行われる。これにより、ショーケースのプルダウン中の冷凍機の負荷を低減することが可能になるので、冷凍機の消費電力を抑えることができ、また、消費電力を抑えつつショーケースに対する冷媒の供給量を増やすことも可能になるので、ショーケースのプルダウン時間を短縮することができる。さらに、このプルダウン時間の短縮により鮮度管理を向上させることができる。
【0018】
本発明に係る第3又は第7の特徴によれば、冷却庫に対する冷媒の供給が一定期間停止される直前に、冷却庫の庫内温度が強制的に一定期間下げられる。これにより、冷却庫の冷媒供給停止期間にその庫内温度が所定の設定温度より高くなることを抑えることができ、さらに、冷却庫の冷媒供給停止期間後にその庫内温度を所定の設定温度に戻す際の冷凍機の負荷を低減することができる。
【0019】
本発明に係る第4又は第8の特徴によれば、周囲環境が夜間又は冬期であるとき、蒸発器の着霜量に応じて、冷却庫の除霜運転が禁止される。これにより、冷却庫の除霜ヒータへの無駄な通電が不要となるため、より確実に省エネルギー化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る冷却システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す冷却システムにおける除霜運転のタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図3】
図1に示す冷却システムにおける冷却運転処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図3に示す冷却運転処理の一部の強制省エネ運転処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る冷却システム1は、ショーケース2と、複数台の冷却庫3、4と、それらに共通の冷凍機5と、その冷凍機5からショーケース2及び各冷却庫3、4に冷媒を供給するための冷媒流路6と、各部を制御する制御装置7とを備えている。なお、ショーケース2及び各冷却庫3、4としては、使用温度帯の近いショーケース及び冷却庫が用いられる。
【0023】
ショーケース2は、蒸発器や膨張弁、除霜ヒータ(いずれも図示せず)などに加え、ショーケース2の庫内温度を測定する温度センサ2aを備えている。このショーケース2は、冷蔵食品や冷凍食品、生鮮食品などの陳列商品を冷却あるいは冷凍する。なお、ショーケース2としては、例えば、オープンショーケースなどが用いられる。
【0024】
各冷却庫3、4は、蒸発器や膨張弁、除霜ヒータ(いずれも図示せず)などに加え、冷却庫3、4の庫内温度を測定する温度センサ3a、4aを個別に備えている。これらの冷却庫3、4は、冷蔵食品や冷凍食品、生鮮食品などの保管商品を冷却あるいは冷凍する。なお、冷却庫3、4としては、例えば、冷蔵庫や冷凍庫、プレハブ冷蔵庫、プレハブ冷凍庫などが用いられる。
【0025】
冷凍機5は、圧縮機や凝縮器(いずれも図示せず)などを備えており、ショーケース2及び各冷却庫3、4に冷媒を供給する。この冷凍機5は、ショーケース2及び各冷却庫3、4の各々の系統に共通に用いられている。これらの系統を通過した冷媒は他の冷媒流路(図示せず)を介して冷凍機5に戻って循環する。この循環中に冷媒は圧縮、凝縮、膨張及び蒸発の四工程を繰り返すことになる。
【0026】
冷媒流路6は、ショーケース2及び各冷却庫3、4と、冷凍機5とを接続する流路であり、冷凍機5に対してショーケース2及び各冷却庫3、4が並列に接続されるように配設されている。この冷媒流路6としては、例えば、各部を接続するために銅管が用いられる。
【0027】
この冷媒流路6の途中には、各開閉弁6a、6b、6cが設けられている。開閉弁6aは冷凍機5とショーケース2との間に設けられており、ショーケース2に対する冷媒の流入を制御する。開閉弁6bは冷凍機5と冷却庫3との間に設けられており、冷却庫3に対する冷媒の流入を制御する。同様に、開閉弁6cも冷凍機5と冷却庫4との間に設けられており、冷却庫4に対する冷媒の流入を制御する。
【0028】
各開閉弁6a、6b、6cは制御装置7に電気的に接続されており、その駆動が制御装置7により制御される。開閉弁6aが制御装置7により開状態にされると、冷媒が冷凍機5からショーケース2に流れる。同様に、開閉弁6bが制御装置7により開状態にされると、冷媒が冷凍機5から冷却庫3に流れ、開閉弁6cが制御装置7により開状態にされると、冷媒が冷凍機5から冷却庫4に流れる。各開閉弁6a、6b、6cとしては、例えば、電磁弁などが用いられる。
【0029】
制御装置7は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータなどの制御部7aと、各種情報や各種プログラム等を記憶する記憶部7bと、操作者からの操作(情報入力のための入力操作など)を受け付ける操作部7cとを備えている。記憶部7bとしては、メモリやハードディスクドライブ(HDD)などが用いられる。この制御装置7は、冷凍機5に加え、各開閉弁6a、6c、6cやショーケース2の除霜ヒータ、各冷却庫3、4の除霜ヒータなどの駆動も制御する。制御装置7には、各温度センサ2a、3a、4aが電気的に接続されており、それらの温度センサ2a、3a、4aにより測定された各温度が入力される。
【0030】
ここで、制御装置7はショーケース2及び各冷却庫3、4の温調運転を個別に庫内温度に応じて行う(個別温調運転)。すなわち、制御装置7は、制御部7aを用い、ショーケース2の温度センサ2aにより測定されたショーケース2の庫内温度に応じて、その庫内温度が所定の設定温度になるようにショーケース2の開閉弁6aを制御する。また、制御装置7は、冷却庫3の温度センサ3aにより測定された冷却庫3の庫内温度に応じて、その庫内温度が所定の設定温度になるように冷却庫3の開閉弁6bを制御する。この運転制御は冷却庫4でも同様である。このように温調運転はショーケース2及び各冷却庫3、4の間で個別に実行される。
【0031】
また、制御装置7はショーケース2及び各冷却庫3、4の除霜運転をスケジュールに基づいて行う。
図2に示すように、除霜運転(霜取り運転)は、毎日、ショーケース2及び冷却庫3、4毎に一日数回、同時刻に実行される。例えば、ショーケース2の除霜運転は、一日4回、9:00、15:00、21:00及び3:00の6時間毎に実行される。また、各冷却庫3、4の除霜運転も、一日4回、ショーケース2の除霜運転の開始時刻から3時間遅れの12:00、18:00、00:00及び6:00の6時間毎に実行される。なお、冷却庫3と冷却庫4との除霜運転は同じ時刻以外にも異なる時刻に実行されるようにしても良い。
【0032】
除霜運転は、ショーケース2及び冷却庫3、4の各々の蒸発器(図示せず)に付着した霜を除霜ヒータにより溶かす除霜(デフロスト)を行う運転である。このとき、除霜運転を行う装置に対応する開閉弁6a、6b、6cは閉じられ、その装置に対する冷媒の供給は停止される。この除霜にかかる除霜時間は、例えば、数十分から数時間までの範囲内で記憶部7bに設定されている。
【0033】
なお、除霜運転後には、必ず復帰運転であるプルダウンが実行される。このプルダウンとは、除霜により低下した庫内温度を所定の設定温度に復帰させることであり、プルダウン時間はその庫内温度が所定の設定温度に到達するまでの時間である。プルダウンでは、プルダウン時間を短縮するため、ひいては冷却対象である商品の品質低下を防止するため、通常、冷凍機5がフル稼働の冷却運転を行う。
【0034】
次に、前述の冷却システム1における冷却運転処理について説明する。なお、冷却システム1の制御装置7が制御部7aを用いて各種プログラム及び各種情報に基づき冷却運転処理(強制省エネ運転処理を含む)を実行する。
【0035】
図3に示すように、制御装置7は、まず、ショーケース2及び各冷却庫3、4を冷却する冷却運転を行い(ステップS1)、次いで、周囲環境が夜間や冬期などの冷凍機5にとって低負荷時であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0036】
ここで、制御装置7は、制御部7aを用いて、タイマーにより時刻が夜間(例えば、00:00〜6:00)であるか否かを判定したり、あるいは、カレンダー機能により季節が冬期(例えば、12月〜3月)であるか否かを判定したりすることによって、周囲環境が低負荷時、すなわち夜間又は冬期であるか否かを判断する。なお、夜間や冬期などの情報は記憶部7bに予め設定されている。また、この情報は操作部7cに対する入力操作により変更可能である。
【0037】
ステップS2において、周囲環境が低負荷時であると判断した場合には(ステップS2のYES)、ショーケース2及び各冷却庫3、4を強制的に連係させて省エネ運転する強制省エネ運転を行い(ステップS3)、周囲環境が低負荷時でないと判断した場合には(ステップS2のNO)、ショーケース2及び各冷却庫3、4を個別に温調運転する前述の個別温調運転を行う(ステップS4)。
【0038】
次いで、前述のステップS3の強制省エネ運転について説明する。
【0039】
図4に示すように、制御装置7は、まず、ショーケース2の庫内温度が所定の設定温度以上であるか否かを判断し(ステップS11)、ショーケース2の庫内温度が所定の設定温度以上であると判断した場合(ステップS11のYES)、ショーケース2の開閉弁6aを開く(ステップS12)。一方、ショーケース2の庫内温度が所定の設定温度以上でないと判断した場合には(ステップS11のNO)、ショーケース2の開閉弁6aを閉じる(ステップS13)。このようにしてショーケース2の庫内温度は所定の設定温度以下に維持される。なお、所定の設定温度は記憶部7bに予め設定されている。
【0040】
また、制御装置7は、前述のステップS11の処理と並行して、冷却庫3の庫内温度が所定の設定温度以上であるか否かを判断し(ステップS14)、冷却庫3の庫内温度が所定の設定温度以上であると判断した場合(ステップS14のYES)、冷却庫3の開閉弁6bを開く(ステップS15)。一方、冷却庫3の庫内温度が所定の設定温度以上でないと判断した場合には(ステップS14のNO)、冷却庫3の開閉弁6bを閉じる(ステップS16)。このようにして冷却庫3の庫内温度は所定の設定温度以下に維持される。このとき、冷却庫4に対しても同様な処理が行われる。なお、所定の設定温度は記憶部7bに予め設定されている。
【0041】
その後、制御装置7は、現在時刻がショーケース2の除霜運転時間(除霜運転の開始時刻)であるか否かを判断し(ステップS17)、現在時刻がショーケース2の除霜運転時間でないと判断した場合(ステップS17のNO)、処理を前述のステップS1に戻す。一方、現在時刻がショーケース2の除霜運転時間であると判断した場合には(ステップS17のYES)、除霜運転のため、ショーケース2の開閉弁6aを閉じる(ステップS18)。なお、開閉弁6aが前述のステップS13で閉状態であれば、そのまま閉状態を維持する。ショーケース2の除霜運転時間は記憶部7bにタイミングチャート(
図2参照)として予め設定されている。
【0042】
また、制御装置7は、前述のステップS18の処理と並行して、冷却庫3の開閉弁6bを強制的に所定の一定時間開く(ステップS19)。なお、開閉弁6bが前述のステップS15で開状態であれば、そのまま開状態を維持する。一定時間は、例えば、数十分程度とショーケース2の除霜時間(数十分から数時間)と同じかそれより短い時間である。このように開閉弁6bが一定時間開状態となることで、冷却庫3の庫内温度は所定の設定温度より低い温度まで下がることになる。このとき、冷却庫4に対しても同様な処理が行われる。なお、所定の一定時間は記憶部7bに予め設定されている。
【0043】
次に、制御装置7は、ショーケース2の除霜運転が終了したか否かを判断し(ステップS20)、ショーケース2の除霜運転の終了に待機する(ステップS20のNO)。ショーケース2の除霜運転が終了したと判断すると(ステップS20のYES)、除霜運転からの復帰(プルダウン)のため、ショーケース2の開閉弁6aを開き(ステップS21)、強制的に冷却庫3の開閉弁6bを閉じる(ステップS22)。このとき、冷却庫4に対しても同様な処理が行われる。
【0044】
その後、制御装置7は、ショーケース2の庫内温度が所定の設定温度以下であるか否かを判断し(ステップS23)、ショーケース2の庫内温度が所定の設定温度以下になることに待機する(ステップS23のNO)。ショーケース2の庫内温度が所定の設定温度以下になったと判断すると(ステップS23のYES)、処理をステップS1(
図3参照)に戻す。
【0045】
このような冷却運転処理では、周囲環境が夜間又は冬期である場合に、ショーケース2のプルダウンの間、各冷却庫3、4の各々の開閉弁6b、6cが閉じられる。これにより、プルダウンの間、各冷却庫3、4に対する冷媒の供給が強制的に停止され、ショーケース2に対する冷媒の供給だけが行われることになる。したがって、冷媒の供給対象はショーケース2のみとなり、冷凍機5の負荷が低減されるので、冷凍機5の消費電力を抑えることができる。なお、開閉弁6b及び開閉弁6cの両方ではなく、どちらか一方だけが閉じられた場合でも、冷凍機5の負荷は低減されるので、冷凍機5の消費電力を抑えることができる。
【0046】
また、ショーケース2のプルダウンに応じて各冷却庫3、4の各々の開閉弁6b、6cが閉状態となる前、すなわちショーケース2のプルダウンの直前(例えば、プルダウンの数十分前)に、一定時間(例えば、数十分)、各冷却庫3、4の各々の開閉弁6b、6cは開状態にされ、各冷却庫3、4は強制的に冷却される。これにより、各冷却庫3、4の庫内温度は所定の設定温度より低い温度まで下がることになる。このため、各冷却庫3、4の冷媒供給停止期間にそれらの庫内温度が所定の設定温度より高くなることを抑えることができる。さらに、各冷却庫3、4の冷媒供給停止期間後にそれらの庫内温度を所定の設定温度に戻す際の冷凍機5の負荷を低減することができる。
【0047】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、ショーケース2及び各冷却庫3、4の周囲環境が夜間又は冬期であるか否かが判断され、その周囲環境が夜間又は冬期であると判断された場合には、ショーケース2の除霜時間以外の時間帯に、各冷却庫3、4に対する冷媒の供給を一定期間停止し、ショーケース2に対する冷媒の供給を行うように各開閉弁6a、6b、6cが制御される。これにより、周囲環境が夜間又は冬期であるとき、ショーケース2の除霜時間以外の時間帯で、各冷却庫3、4に対する冷媒の供給が一定期間強制的に停止され、ショーケース2に対する冷媒の供給だけが行われることになる。その結果、冷媒の供給対象はショーケース2のみとなり、冷凍機5の負荷を低減することが可能になるので、冷凍機5の消費電力を抑えることができる。
【0048】
特に、周囲環境が夜間又は冬期であるとき、ショーケース2のプルダウンの間に、各冷却庫3、4に対する冷媒の供給を停止し、ショーケース2に対する冷媒の供給を行うように各開閉弁6a、6b、6cが制御される。これにより、周囲環境が夜間又は冬期であるとき、ショーケース2のプルダウンの間に、各冷却庫3、4に対する冷媒の供給が強制的に停止され、ショーケース2に対する冷媒の供給だけが行われる。したがって、ショーケース2のプルダウン中の冷凍機5の負荷を低減することが可能となるので、冷凍機5の消費電力を抑えることができ、また、消費電力を抑えつつショーケース2に対する冷媒の供給量を増やすことも可能になるので、ショーケース2のプルダウン時間を短縮することができる。加えて、このプルダウン時間の短縮により鮮度管理を向上させることができる。
【0049】
さらに、各冷却庫3、4に対する冷媒の供給を一定期間停止する直前に、各冷却庫3、4の庫内温度を一定期間下げるように各開閉弁6a、6b、6cが制御される。これにより、各冷却庫3、4に対する冷媒の供給が一定期間停止される直前に、各冷却庫3、4の庫内温度が強制的に一定期間下げられる。その結果、各冷却庫3、4の冷媒供給停止期間にそれらの庫内温度が所定の設定温度より高くなることを抑えることができ、さらに、各冷却庫3、4の冷媒供給停止期間後にそれらの庫内温度を所定の設定温度に戻す際の冷凍機5の負荷を低減することができる。
【0050】
また、周囲環境が夜間又は冬期であると判断した場合には、各冷却庫3、4が備える蒸発器の着霜量に応じて、各冷却庫3、4の除霜運転が禁止されるようにしても良い。この場合には、周囲環境が夜間又は冬期であって蒸発器の着霜量が少ないとき、各冷却庫3、4の除霜運転が禁止されることから、各冷却庫3、4の除霜ヒータへの無駄な通電が不要となるので、より確実に省エネルギー化を実現することができる。蒸発器の着霜量は、例えば、着霜量を検出する検出センサや冷却運転時間(積算時間)などから求められる。
【0051】
なお、本発明は、前述の実施形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0052】
前述の実施形態においては、制御装置7は、タイマーにより時刻が夜間であるか否かを判定したり、あるいは、カレンダー機能により季節が冬期であるか否かを判定したりすることによって、周囲環境が低負荷時であるか否かを判断しているが、これに限るものではなく、例えば、操作部7cが備えるボタンが押されたか否かを判断することによって、周囲環境が低負荷時であるか否かを判断するようにしても良い。この場合には、店員などの操作者が店舗内の温度などを温度計により確認し、その温度が所定値よりも低くなっていたとき、操作部7cのボタンを押下する。また、前述の実施形態において、一台の冷凍機5により冷却されるショーケース2あるいは冷却庫3、4の個数は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0053】
1 冷却システム
2 ショーケース
2a 温度センサ
3 冷却庫
3a 温度センサ
4 冷却庫
4a 温度センサ
5 冷凍機
6 冷媒流路
6a 開閉弁
6b 開閉弁
6c 開閉弁
7 制御装置
7a 制御部
7b 記憶部
7c 操作部