特許第5709273号(P5709273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5709273埋込みナット、それを利用した積層部品および椅子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709273
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】埋込みナット、それを利用した積層部品および椅子
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/04 20060101AFI20150409BHJP
   F16B 12/14 20060101ALI20150409BHJP
   F16B 12/42 20060101ALI20150409BHJP
   A47C 7/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   F16B37/04 B
   F16B12/14
   F16B12/42 A
   A47C7/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-173250(P2012-173250)
(22)【出願日】2012年8月3日
(65)【公開番号】特開2014-31848(P2014-31848A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2013年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】507097785
【氏名又は名称】株式会社 天童木工
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(72)【発明者】
【氏名】西 塚 直 臣
(72)【発明者】
【氏名】小 野 慎 一
(72)【発明者】
【氏名】須 藤 孝 芳
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−004626(JP,A)
【文献】 実開昭54−060158(JP,U)
【文献】 仏国特許出願公開第01153986(FR,A1)
【文献】 特開2006−205574(JP,A)
【文献】 特開2001−280325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 37/04
F16B 12/14
F16B 12/42
A47C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定直径のネジ螺合孔を穿設した筒状ナット本体の埋込みがわとなる基端に、フランジ状の外端面が、該ネジ螺合孔軸心に対し、90°またはそれ以外の所定傾斜角度の何れか一方にて交叉状となる平端面状の定着用鍔部を設けると共に、同定着用鍔部の当該ネジ螺合孔軸心回り、180°以下の所定角度単位毎の周回りに均衡配置となるよう、直径寸法を同定着用鍔部周回り他部に対し、120%ないし150%拡張設定した2以上の掛止翼部を設け、定着用鍔部および各掛止翼部からなる回り止め用鍔とした上、同回り止め用鍔の定着用鍔部および各掛止翼部の、該外端面とは反対面であって当該ナット本体に面する環鍔状内端面は、求心がわ肉厚寸法を埋込み深さ寸法内にて厚肉化する一方、遠心がわに向かうほど曲率半径が大きくなる二次曲線状の断面輪郭線形状とするよう漸次、薄肉化し、外周縁肉厚寸法を1mm未満の最薄とするよう設定した段差解消面としてなるものとしたことを特徴とする埋込みナット。
【請求項2】
所定直径のネジ螺合孔を穿設した筒状ナット本体の埋込みがわとなる基端に、フランジ状の外端面が、該ネジ螺合孔軸心に対し、90°またはそれ以外の所定傾斜角度の何れか一方にて交叉状となる平端面状の定着用鍔部を設けると共に、同定着用鍔部の当該ネジ螺合孔軸心回り180°毎に均衡配置となるよう、長径寸法を同定着用鍔部周回り他部の短径寸法に対し、120%ないし150%拡張設定した2個の掛止翼部を設け、定着用鍔部および各掛止翼部からなる、楕円板状または長円板状何れか一方の回り止め用鍔とした上、同回り止め用鍔の定着用鍔部および各掛止翼部の、該外端面とは反対面であって当該ナット本体に面する環鍔状内端面は、求心がわ肉厚寸法を埋込み深さ寸法内にて厚肉化する一方、遠心がわに向かうほど曲率半径が大きくなる二次曲線状の断面輪郭線形状とするよう漸次、薄肉化し、外周縁肉厚寸法を1mm未満の最薄とするよう設定した段差解消面としてなるものとしたことを特徴とする埋込みナット。
【請求項3】
ナット本体および回り止め用鍔が、その全体を一体の合成樹脂成形品としてなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の埋込みナット。
【請求項4】
ナット本体が、回り止め用鍔を一体化した基端とは反対がわの先端部に、別素材製の部品との接合用となる座金を一体化してなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の埋込みナット。
【請求項5】
表装用の板状体からなり、その裏面がわ接合面に、裏面板部の接合面を積層状に一体化して埋込み対象物とする表装板部を設け、同表装板部の裏面がわ接合面の1または複数の適所夫々に、請求項1ないし4何れか一項記載の埋込みナット回り止め用鍔の外端面を、接着剤を介して接合し、且つ、同表装板部に積層・一体化する場合の各埋込みナット対応箇所に、各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁との輪郭形状に合致する埋込み孔を夫々穿設した裏面板部を、各埋込み孔夫々に各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁とを嵌合状に、接着剤を介して接合すると共に、各埋込みナット配設箇所以外の表装板部および裏面板部の互いの接合面同士も、接着剤を介して密着・積層状に一体化し、それら一体化した表装板部および裏面板部の合計肉厚寸法内に、各埋込みナットの回り止め用鍔、および同ナット本体の少なくとも基端がわ所定範囲を、密着・埋設状に一体化してなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載の埋込みナットを利用した積層部品。
【請求項6】
複数枚の板状素材を積層・一体化してなる表装積層板の裏面がわとなる接合面の1または複数の適所夫々に、請求項1ないし4何れか一項記載の埋込みナット回り止め用鍔の外端面を、接着剤を介して接合し、且つ、同表装積層板に積層・一体化する場合の各埋込みナット対応箇所に、各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁との輪郭形状に合致する埋込み孔を夫々穿設した、複数枚の板状素材を積層・一体化してなる裏面積層板を、各埋込み孔夫々に各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁とを嵌合状に、接着剤を介して接合すると共に、各埋込みナット配設箇所以外の表装積層板および裏面積層板の互いの接合面同士も、接着剤を介して密着・積層状に一体化し、それら一体化した表装積層板および裏面積層板の合計肉厚寸法内に、各埋込みナットの回り止め用鍔、および同ナット本体の少なくとも基端がわ所定範囲を、密着・埋設状に一体化してなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載の埋込みナットを利用した積層部品。
【請求項7】
椅子用座面および/または椅子用背面の表装板部の裏面がわ接合面の1または複数の適所夫々に、請求項1ないし4何れか一項記載の埋込みナット回り止め用鍔の外端面を、接着剤を介して接合し、且つ、同表装板部に積層・一体化する場合の各埋込みナット対応箇所に、各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁との輪郭形状に合致する埋込み孔を夫々穿設した、椅子用座面および/または椅子用背面の裏面板部を、各埋込み孔夫々に各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁とを嵌合状に、接着剤を介して接合すると共に、各埋込みナット配設箇所以外の表装板部および裏面板部の互いの接合面同士も、接着剤を介して密着・積層状に一体化し、それら一体化した表装板部および裏面板部の合計肉厚寸法内に、各埋込みナット回り止め用鍔、および同ナット本体の少なくとも基端がわ所定範囲を、密着・埋設状に一体化し、椅子用座面板および/または椅子用背面板とした上、それら座面板および/または背面板に埋設・一体化した各埋込みナットを介して椅子用フレームおよび/または椅子用脚部を、雄ネジにて結合してなるものとした、請求項5記載の積層部品を利用した椅子。
【請求項8】
椅子用座面および/または椅子用背面の表装積層板の裏面がわとなる接合面の1または複数の適所夫々に、請求項1ないし4何れか一項記載の埋込みナットの回り止め用鍔の外端面を、接着剤を介して接合し、且つ、同表装積層板に積層・一体化する場合の対応各所に、各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁との輪郭形状に合致する埋込み孔を夫々穿設した、椅子用座面および/または椅子用背面の裏面積層板を、各埋込み孔に各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁とを嵌合状に、接着剤を介して接合すると共に、各埋込みナット配設箇所以外の表装積層板および裏面積層板の互いの接合面同士も、接着剤を介して密着・積層状に一体化し、それら一体化した表装積層板および裏面積層板の合計肉厚寸法内に、各埋込みナットの回り止め用鍔、および同ナット本体の少なくとも基端がわ所定範囲を、密着・埋設状に一体化し、椅子用座面板および/または椅子用背面板とした上、それら座面板および/または背面板に埋設・一体化した各埋込みナットを介して椅子用フレームおよび/または椅子用脚部を、雄ネジにて結合してなるものとした、請求項6記載の積層部品を利用した椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品の内部に埋込み一体化してしまう埋込みナット、および、それを利用した部品や工業製品類に関連するものであり、特に埋込みナット、およびそれを利用した部品や製品を製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
家具などに用いる成形合板は、薄い木の板(単板)を接着剤にて貼り合わせ、治具を用いて様々な形状に成形するようにして製造するものであり、薄くても充分な強度が得られ、無垢の木材よりも薄い(細い)形状に加工することが可能となり、従来品に比較してより繊細なデザインを実現化できるという特徴を有しており、例えば、成形合板製の椅子は、合板を座面および背面が一体化した曲面形状に成形し、座面下に複数の埋込みナットを埋設し、それら各埋込みナットを利用して脚部上がわのフランジをネジやボルトなどによって締め付け、結合してなるものとするのが一般的な構造として知れているが、一般的な埋込みナットは、組立工程に際し、ネジやボルトの締め付け作業中に、埋込みナット自体が回転して埋込み対象物の埋設部分を破壊してしまい、組立不可能となってしまうことがあり、また、成形合板製の椅子を利用しているときに、椅子座面板や脚部などからの無理な荷重入力を受けた場合に、埋込みナット軸心に平行に打ち抜く方向や脱抜方向、または倒れ方向などの外的荷重が加わり、椅子座面板の一部に強い集中的荷重が加わり、埋込みナットの埋込み端角部による段差状の凸変形を生じて座面板天面の外観を損ねてしまったり、埋込みナットのガタつきや傾きを招いてしまったりするなどして、座面板の変形・破損にまで至らしめてしまうことも懸念された。
【0003】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、複数箇所にナットに代わるネジ孔を穿設してなる金属板を、椅子の座クッション下となる合成樹脂製座シェル上面に装着し、座シェル下面の左右に装着する肘当基端を夫々ボルト結合可能としてなるものや、同特許文献1(2)ないし1(9)に見られるような、各種製品などの肉厚内に埋設可能とした様々な埋込みナット類、および、同特許文献1(10)ないし1(13)のような、各種製品に対して容易に打ち込み、且つ、確りと一体化可能としてなる様々な打ち込みナット類などが散見される。
【0004】
しかし、特許文献1(1)に示されているように、金属板にネジ孔を穿設し、埋込みナットに置き換えたものは、椅子やその他の家具類の肉厚寸法内に当該金属板を一体化するよう内藏しなければならず、成型合板製の繊細なデザインが要求される家具などには、木材と金属という重量や強度、熱伝導率、熱膨張率、接着性などの性質が大きく異なる素材同士の一体化を非常に困難なものにしてしまうという難点があり、特許文献1(2),1(4),1(5),1(7),1(9)ないし1(12)のような埋込みナットや打ち込みナット類は、埋込みや打ち込みの作業性を高め、効率的に組み込み作業可能なものとしてあるものの、何れも製品への埋込みまたは打込みを完成した後に、ナット軸心に対する打込み方向、脱抜方向、および倒れ方向の大きな外力が加わると、装着した製品がわに変形や破損を招いたり、ナット自体の取付け姿勢に変化を来たしたり、弛んで脱落させてしまったりし易いという欠点を有していた。
【0005】
また、特許文献1(3)および1(13)に示されているものでは、製品肉厚内に確りと嵌合するボルト締め付け作業中に、不用意に回転してしまうのを阻止し、作業効率および良品率を高めることができるという利点を有するが、何れも、製品肉厚内深部がわに埋設する基端がわ座面の面積が狭く、大きな外力が加わった場合には、やはりナット自体の取付け姿勢を変化させ、最悪には弛んで脱落させてしまったりする虞がある外、特許文献1(6)および1(8)に開示されているもののように、製品肉厚内深部がわに埋設する基端がわ、または、ネジやボルトが螺着するがわとは反対がわの端部がわにフランジ状の定着力を高める部分を有し、大きな外力が加わった場合にも、該フランジ状の座面が外力を分散・吸収可能とし、耐久性を高めたものとするという利点は得られるものの、繊細なデザインを施した家具類などの薄肉中に埋設するようにしたケースなどには、該フランジ状部分が家具類の薄肉部分を変形させてしまったり、破損してしまうという事態を生じるという大きな課題を残すものであった。
【特許文献1】(1)特開平7−246127号公報 (2)特開平11−351223号公報 (3)特開2001−280325号公報 (4)特開2003−139119号公報 (5)特開2004−28147号公報 (6)特開2004−58591号公報 (7)特開2009−30810号公報 (8)実開平5−53555号公報 (9)実開平6−84013号公報 (10)特開平5−21139号公報 (11)特開平8−49716号公報 (12)特開2002−257108号公報 (13)特開2003−90319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種埋込みナットや打込みナットなどは、何れも埋込みや打込み作業性の向上を狙ったものが殆どであり、それら取付け対象製品の取付け箇所は、充分な肉厚寸法と強度とを有する堅牢な部品であることを前提とするものであって、例えば、繊細なデザインが重視される高級家具用の薄い部品や細い部品などの肉厚寸法内に埋設し、充分な耐久性を確保できる埋込みナット類は、これまでのところ存在せず、したがって、特に薄く、軽く、しかも高い強度を達成する成形合板製の家具類に対し、その薄肉板状部品の厚み方向に貫通することなく、表面がわの杢目を活かし、裏面がわのみにナットを露出状とする如く埋設し、商品価値を格段に高めることができるようにした埋込みナットについても、これまで全く存在しておらず、そのような状況の中、永年に亘って、より一層洗練された家具類の開発、製造に取り組み、日々そのための研鑽を続ける中で、是非とも、緻密にデザインされた家具を正確、且つ効率的に製造可能とすることができ、しかも耐久性に秀れた製品を実現化可能とするための各種埋込みナットや打込みナットなどにつき、早急な改良の必要性を痛感するに至ったものである。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、薄肉寸法の対象部品などにも効率的に組み込み可能であり、しかも対象物に埋設後は、ネジやボルトの螺合作業および回転性の外力にも不用意に回転しないよう確実に固定可能な上、ナット軸心の打抜き方向、脱抜方向、倒れ方向などの大きな外力が加わった場合にも、埋込み対象物の変形や破損およびナットの取付け姿勢の傾斜や脱落などを確実に防止できる新たな埋込みナット技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の埋込みナット、およびそれを利用した新規な構造の積層部品および新規構造の椅子を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の埋込みナットは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、所定直径のネジ螺合孔を穿設した筒状ナット本体の埋込みがわとなる基端に、フランジ状の外端面が、該ネジ螺合孔軸心に対し、90°またはそれ以外の所定傾斜角度の何れか一方にて交叉状となる平端面状の定着用鍔部を設けると共に、同定着用鍔部の当該ネジ螺合孔軸心回り、180°以下の所定角度単位毎の周回りに均衡配置となるよう、直径寸法を同定着用鍔部周回り他部に対し、120%ないし150%拡張設定した2以上の掛止翼部を設け、定着用鍔部および各掛止翼部からなる回り止め用鍔とした上、同回り止め用鍔の定着用鍔部および各掛止翼部の、該外端面とは反対面であって当該ナット本体に面する環鍔状内端面は、求心がわ肉厚寸法を埋込み深さ寸法内にて厚肉化する一方、遠心がわに向かうほど段階的か、または無段階的にかの何れかの断面輪郭線形状とするよう漸次、薄肉化し、外周縁肉厚寸法を1mm未満の最薄とするよう設定した段差解消面としてなるものとした埋込みナットと言える。
【0009】
更には、所定直径のネジ螺合孔を穿設した筒状ナット本体の埋込みがわとなる基端に、フランジ状の外端面が、該ネジ螺合孔軸心に対し、90°またはそれ以外の所定傾斜角度の何れか一方にて交叉状となる平端面状の定着用鍔部を設けると共に、同定着用鍔部の当該ネジ螺合孔軸心回り180°毎に均衡配置となるよう、長径寸法を同定着用鍔部周回り他部の短径寸法に対し、120%ないし150%拡張設定した2個の掛止翼部を設け、定着用鍔部および各掛止翼部からなる、楕円板状または長円板状何れか一方の回り止め用鍔とした上、同回り止め用鍔の定着用鍔部および各掛止翼部の、該外端面とは反対面であって当該ナット本体に面する環鍔状内端面は、求心がわ肉厚寸法を埋込み深さ寸法内にて厚肉化する一方、遠心がわに向かうほど曲率半径が大きくなる二次曲線状の断面輪郭線形状とするよう漸次、薄肉化し、外周縁肉厚寸法を1mm未満の最薄とするよう設定した段差解消面としてなるものとした構成からなる埋込みナットも包含される
【0010】
(関連する発明1)
上記した埋込みナットに関連し、この発明には、それを利用した積層部品も包含している。
即ち、表装用の板状体からなり、その裏面がわ接合面に、裏面板部の接合面を積層状に一体化して埋込み対象物とする表装板部を設け、同表装板部の裏面がわ接合面の1または複数の適所夫々に、この発明の基本をなす前記埋込みナット回り止め用鍔の外端面を、接着剤を介して接合し、且つ、同表装板部に積層・一体化する場合の各埋込みナット対応箇所に、各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁との輪郭形状に合致する埋込み孔を夫々穿設した裏面板部を、各埋込み孔夫々に各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁とを嵌合状に、接着剤を介して接合すると共に、各埋込みナット配設箇所以外の表装板部および裏面板部の互いの接合面同士も、接着剤を介して密着・積層状に一体化し、それら一体化した表装板部および裏面板部の合計肉厚寸法内に、各埋込みナットの回り止め用鍔、および同ナット本体の少なくとも基端がわ所定範囲を、密着・埋設状に一体化してなるものとした、この発明の基本をなす前記埋込みナットを利用した積層部品である。
【0011】
この積層部品を、表現を変えて示すと、複数枚の板状素材を積層・一体化してなる表装積層板の裏面がわとなる接合面の1または複数の適所夫々に、この発明の基本をなす前記埋込みナット回り止め用鍔の外端面を、接着剤を介して接合し、且つ、同表装積層板に積層・一体化する場合の各埋込みナット対応箇所に、各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁との輪郭形状に合致する埋込み孔を夫々穿設した、複数枚の板状素材を積層・一体化してなる裏面積層板を、各埋込み孔夫々に各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁とを嵌合状に、接着剤を介して接合すると共に、各埋込みナット配設箇所以外の表装積層板および裏面積層板の互いの接合面同士も、接着剤を介して密着・積層状に一体化し、それら一体化した表装積層板および裏面積層板の合計肉厚寸法内に、各埋込みナットの回り止め用鍔、および同ナット本体の少なくとも基端がわ所定範囲を、密着・埋設状に一体化してなるものとした、この発明の基本をなす前記埋込みナットを利用した積層部品となる。
【0012】
(関連する発明2)
上記した積層部品に関連し、この発明には、それらを利用した椅子も包含する。
即ち、椅子用座面および/または椅子用背面の表装板部の裏面がわ接合面の1または複数の適所夫々に、この発明の基本をなす前記埋込みナット回り止め用鍔の外端面を、接着剤を介して接合し、且つ、同表装板部に積層・一体化する場合の各埋込みナット対応箇所に、各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁との輪郭形状に合致する埋込み孔を夫々穿設した、椅子用座面および/または椅子用背面の裏面板部を、各埋込み孔夫々に各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁とを嵌合状に、接着剤を介して接合すると共に、各埋込みナット配設箇所以外の表装板部および裏面板部の互いの接合面同士も、接着剤を介して密着・積層状に一体化し、それら一体化した表装板部および裏面板部の合計肉厚寸法内に、各埋込みナット回り止め用鍔、および同ナット本体の少なくとも基端がわ所定範囲を、密着・埋設状に一体化し、椅子用座面板および/または椅子用背面板とした上、それら座面板および/または背面板に埋設・一体化した各埋込みナットを介して椅子用フレームおよび/または椅子用脚部を、雄ネジにて結合してなるものとした、この発明の基本をなす前記埋込みナット利用の積層部品を用いた椅子である。
【0013】
この発明が包含している上記する椅子を、より具体的なものとして示すと、椅子用座面および/または椅子用背面の表装積層板の裏面がわとなる接合面の1または複数の適所夫々に、この発明の基本をなす前記埋込みナットの回り止め用鍔の外端面を、接着剤を介して接合し、且つ、同表装積層板に積層・一体化する場合の対応各所に、各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁との輪郭形状に合致する埋込み孔を夫々穿設した、椅子用座面および/または椅子用背面の裏面積層板を、各埋込み孔に各埋込みナットのナット本体、および同回り止め用鍔の環鍔状内端面と外周縁とを嵌合状に、接着剤を介して接合すると共に、各埋込みナット配設箇所以外の表装積層板および裏面積層板の互いの接合面同士も、接着剤を介して密着・積層状に一体化し、それら一体化した表装積層板および裏面積層板の合計肉厚寸法内に、各埋込みナットの回り止め用鍔、および同ナット本体の少なくとも基端がわ所定範囲を、密着・埋設状に一体化し、椅子用座面板および/または椅子用背面板とした上、それら座面板および/または背面板に埋設・一体化した各埋込みナットを介して椅子用フレームおよび/または椅子用脚部を、雄ネジにて結合してなるものとした、この発明の基本をなす前記埋込みナット利用の積層部品を用いた椅子となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、この発明の埋込みナットによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、ナット本体基端回り止め用鍔が、当該埋込みナットを埋込み対象物肉厚内に埋設した場合に、定着面積を大幅に広めて、摩擦力を格段に大きくし、ナット本体のネジ螺合孔に雄ネジを螺合する組立作業に際して、ナット本体が不用意に回転してしまうのを確実に防止できるものとなり、加えて、ナット本体を通じて入力する外力を、埋込み対象物肉厚内のより広範に分散可能とすることができるから耐久強度を格段に高めたものとすることができ、さらに、同回り止め用鍔のナット本体基端と一体化する求心がわ付け根部分の弾性強度が、同回り止め用鍔の中で最も高く、同回り止め用鍔の遠心がわ外周縁の弾性強度が、同回り止め用鍔の中で最も低く、しかも求心がわ付け根部分から遠心がわ外周縁に向かうほど、弾性強度が漸減するよう設定してなるものとしてあるから、埋込み対象物肉厚寸法内に埋込み設置した場合に、ナット本体軸心の打ち抜き方向、脱抜方向、および、倒れ方向などの外部荷重が加わった場合に、回り止め用鍔の付け根部分から、より大きな荷重を埋込み対象物肉厚内の広範囲に分散・伝達し、遠心がわに向かうほど外部への伝達荷重を漸減し、同回り止め用鍔の遠心がわ外周縁からは最も微弱な荷重のみを分散・伝達するものとなり、埋込み対象物の変形や破損、およびナット本体の取付け姿勢の傾斜や脱落などを確実に防止でき、従来品の埋込みナット類に比較して、実に高い耐久性と信頼性とを達成できるという秀れた特徴が得られる。
【0015】
加えて、ナット本体基端回り止め用鍔定着用鍔部から各掛止翼部を拡張してなる埋込みナットは、さらに定着面積を拡大し、ナット本体を通じて入力する外力を、埋込み対象物肉厚内のより広範に分散可能とすることができ、しかもナット本体基端回り止め用鍔の定着用鍔部から拡張設定した2以上の各掛止翼部が、ナット本体のネジ螺合孔に雄ネジを螺合する組立作業中や埋込み対象物の使用中などに、ナット本体をその軸心回りに回転させようとする外力が加わった場合に、その回転力を埋込み対象物肉厚内に、より確実に伝達・分散するものとなり、格段に高い耐久性を実現化することができる。
【0016】
回り止め用鍔定着用鍔部の当該ネジ螺合孔軸心回り、180°以下の所定角度単位毎の周回りに均衡配置となるよう、直径寸法を同定着用鍔部周回り他部に対し、120%ないし150%拡張設定した2以上の掛止翼部を設けてなるものは、埋込み対象物肉厚寸法内に埋め込み設置した場合に、回り止め用鍔の2箇所以上の各掛止翼部が、ナット本体の軸心回り方向の外力を、均衡するよう分散して、格段に高い抵抗力を発生することができるものとなり、しかも、定着用鍔部の短径と、各掛止翼部長径との比率を150%以下として、倒れ方向の外力を受けた場合に、ナット本体の掛止翼部(長径)がわへの倒れ込み量と、定着用鍔部(短径)への倒れ込み量とに大きな差を生じないよう設定したものとしてあり、一段と耐久強度に秀れたものとすることができる。
【0017】
そして、回り止め用鍔の外端面とは反対面であって当該ナット本体に面する環鍔状内端面が、求心がわ肉厚寸法を厚肉化する一方、遠心がわに向かうほど漸次薄肉化し、外周縁肉厚寸法を最薄とするよう設定し、段差解消面としてなるものとした埋込みナットは、同埋込みナットの全体を同一且つ均質な素材から製造することが可能となり、例えば、合成樹脂材料を均質に射出成形したり、金属材料を均質に鋳造、削り出し、または鍛造したりしたものを、そのまま利用して生産効率を格段に高めることができる上、その外周縁がわほど薄くなる特徴的形状により、埋込み対象物の肉厚寸法を、格段に薄く設定可能なものとすることができるという大きな効果を発揮するものとなる。
【0018】
回り止め用鍔が、定着用鍔部のネジ螺合孔軸心回り180°毎に均衡配置となるよう長径寸法を同定着用鍔部周回り他部の短径寸法に対し、120%ないし150%拡張設定した2個の掛止翼部を設け、定着用鍔部および各掛止翼部からなるものは、180°毎の開き角度をもって配した一対の掛止翼部が、ナット本体の回転止め作用を最大のものとすることができ、しかも環鍔状内端面が、求心がわ肉厚寸法を埋込み深さ寸法内にて厚肉化する一方、遠心がわに向かうほど曲率半径が大きくなる二次曲線状の断面輪郭線形状とするよう漸次、薄肉化し、外周縁肉厚寸法を1mm未満の最薄とするよう設定した段差解消面としてなるものとすると、該環鍔状内端面外周縁からナット本体付け根部分までが曲面にて連続する構成を実現するから、不要な応力の集中を無くして耐久強度を格段に高めることができる上、埋込み対象物の埋込み部分に不要な段差や凹凸部分などを生じさせることなく、非常に高い耐久性と共に、美感に秀れたものとなり、一層のこと信頼性を高める効果が得られる。
【0019】
そして、ナット本体の先端部に、別素材製部品との接合用となる座金を一体化してなるものは、ナット本体の先端部を、外部荷重の集中的入力から保護し、ナット本体全体に伝達・分散可能とするものとなり、ネジ螺合孔への雄ネジの取り付け強度および耐久性を大幅に高めたものとすることができる。
【0020】
この発明の埋込みナットを、表装板部および裏面板部の間に埋設し、積層状に結合するようにして埋込み対象物としてなる積層部品は、積層する2枚の板材同士の間に埋込みナットを埋設・一体化するものであり、無垢の材質中に埋込みナットを埋設してなるのと略同様の外観を呈するものとなり、しかも集中荷重に弱い無垢木材などの材質に、この発明の埋込みナットを組み込んだものとすることにより、従来品の埋込みナットでは、所望の耐久強度を得ることができず、実用化不可能であった薄い部品や細い部品などに対しても採用することができ、より繊細な家具類などの製造・利用に大いに役立つものとなり、また、この発明の埋込みナットを、表装積層板および裏面積層板の間に埋設し、積層状に結合するようにして埋込み対象物としてなる積層部品は、無垢の木質素材よりも高い強度を確保可能とし、同程度の強度を確保した場合、一層薄くて細い製品を実現化することもできることとなり、更に繊細且つデザイン性に秀れた家具類などの製造に有効なものとなるという特徴を奏する。
【0021】
そして、この発明の埋込みナットおよび積層部品を利用した椅子は、当該埋込みナットを表装板部および裏面板部の間に埋設した積層部品としての椅子用座面および/または椅子用背面に対し、椅子用フレームおよび/または椅子用脚部を一体化してなるものであり、2枚の無垢木板などを利用して、従前よりも一段と繊細且つ耐久居度に秀れた椅子を提供することができるという大きな効果を発揮するものとなる。
【0022】
加えて、この発明の埋込みナットを表装積層板および裏面積層板の間に埋設した積層部品としての椅子用座面および/または椅子用背面に対し、椅子用フレームおよび/または椅子用脚部を一体化してなる椅子は、当該積層部品を複数枚の単板を幾重にも積層してなる成形集成品とすることが可能となり、前述の2枚の無垢木板を利用したものの場合に比較し、大いに耐久強度を高めたものとすることができるから、より一層薄く、細く、繊細なデザインの椅子を、充分な耐久強度を確保したものとして製造することが可能になるという、より顕著な利点を有するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
ナット本体は、ネジ螺合孔を穿設可能か、またはネジ螺合孔の内壁を有し、先端からネジやボルトを螺合可能とすると共に、基端には回り止め用鍔を一体化可能とする機能を担い、所定直径のネジ螺合孔を穿設した筒状体からなり、その基端には、該ネジ螺合孔軸心に対し、90°またはそれ以外の所定傾斜角度の何れか一方にて交叉状となる平端面状の定着用鍔部を有する回り止め用鍔を一体化してなるものとしなければならず、充分且つ均質な弾性強度を有する金属製や合成樹脂製のものとすべきであり、木材や集成材、成形合板などに組み込む場合には、強度的バランスを考慮し、後述する実施例に示すように、ポリアセタールや塩化ビニルなどの合成樹脂製とするのが望ましい。
【0024】
ナット本体のネジ螺合孔は、対象となるネジまたはボルトを螺着、締め付け可能とする機能を分担しており、所定呼び径、所定呼び長のネジ孔とすべきであるが、ネジの螺合に伴い、雌ネジを加工可能で、対象雄ネジの外径より小さく、同雄ネジの谷径より僅かに大きく、山径より充分に小さな内径とした円柱状の孔とすることが可能であり、より具体的には、ナット本体を貫通する貫通ネジ孔、ネジ切り用貫通孔、盲ネジ穴、ネジ切り用盲穴の何れかとすることが可能である。
【0025】
回り止め用鍔は、埋込み対象物に埋設した場合のナット本体基端にて、ネジまたはボルトをドライバーなど用いて螺合、締め付けや、螺解、取り外しする場合に、同ナット本体の回転を阻止可能とすると共に、外力によるナット本体の埋込み対象物に対する打ち抜き、脱抜、倒れなどを阻止可能とする機能を分担し、ナット本体の埋込みがわとなる基端に、フランジ状の外端面が、該ネジ螺合孔軸心に対し、90°またはそれ以外の所定傾斜角度の何れか一方にて交叉状となる平端面状の定着用鍔部を設け、ナット本体の基端と一体化する求心がわ付け根部分の弾性強度が、同回り止め用鍔の中で最も高く、同回り止め用鍔の遠心がわ外周縁の弾性強度が、同回り止め用鍔の中で最も低く、しかも求心がわ付け根部分から遠心がわ外周縁に向かうほど弾性強度が漸減するよう設定したものとしなければならず、同定着用鍔部の当該ネジ螺合孔軸心回りに均衡配置となるよう、直径寸法を同定着用鍔部周回り他部よりも拡張設定した2以上の掛止翼部を設けたものとし、当該埋込みナットを埋込み対象物に埋込み設置した場合に、各掛止翼部が外部入力によるナット本体の回転を、より確実に阻止可能とすると共に、ナット本体に倒れ方向の荷重が加わった場合に、回り止め用鍔の付け根部分からより多くの荷重を外部へ伝達し、遠心がわに向かうほど外部への伝達荷重を漸減し、同回り止め用鍔の遠心がわ外周縁からは最も微弱な荷重だけを外部に伝達可能としてなるものとすべきであり、後述する実施例にも示すように、ナット本体と同一素材製且つ一体に成形してなるものとするのが望ましいものの、回り止め用鍔の付け根部分がわの材質と外周縁がわの材質とを夫々別の素材製のものとし、ナット本体の基端に一体化してなるものとすることも可能であり、その全体形状は、平面真円状、平面楕円板状または長円板状の何れかとするのが好ましいと言えるが、平面長方形状、菱形形状、鈎形状など様々な形状のものとしても差し支えはない。
【0026】
定着用鍔部は、埋込みナットを埋込み対象物の肉厚寸法内に埋設状に設けるようにした場合に、該埋込みナットナット本体が埋込み対象物から脱抜しないよう保持し、ナット本体に加わる外力を埋込み対象物に効率的に伝達・分散可能とする機能を担い、回り止め用鍔の全部または一部となるものであって、埋込み対象物表装板部の接合面に接合可能とするようナット本体の基端端面に連続し、フランジ状の外端面が、該ネジ螺合孔軸心に対し、90°またはそれ以外の所定傾斜角度の何れか一方にて交叉状となる平端面状のものとし、更に、当該ネジ螺合孔軸心回りに均衡配置となる掛止翼部を遠心方向に拡張するよう設けたものとするのが望ましく、掛止翼部は、該定着用鍔部の機能を補助・強化すると共に、埋込み対象物に埋設した埋込みナットナット本体が外力によって不用意に回転しないよう阻止可能とする機能を担い、ネジ螺合孔軸心回りに均衡配置となる2以上の夫々から、直径寸法を同定着用鍔部周回り他部よりも拡張してなるものとし、より具体的には、ネジ螺合孔軸心回り、180°以下の所定角度単位毎の周回りに均衡配置となる2以上の箇所より、直径寸法を同定着用鍔部周回り他部に対し、120%ないし150%拡張したものとするのが望ましく、後述する実施例においても示してあるように、ネジ螺合孔軸心回り180°毎に均衡配置となる2箇所から、長径寸法を同定着用鍔部周回り他部の短径寸法に対し、120%ないし150%拡張してなるものとすることができる。
【0027】
回り止め用鍔のナット本体基端に一致する外端面とは反対面であり、当該ナット本体に面する環鍔状内端面には、該回り止め用鍔の付け根部分がわから外周縁がわに掛けて弾性強度が漸減する機能を与えることが可能であり、例えば、該環鍔状内端面が求心がわ肉厚寸法を厚肉化する一方、遠心がわに向かうほど漸次、薄肉化し、外周縁肉厚寸法を最薄とするよう設定した段差解消面としてなるものとすることができ、この場合、求心がわ肉厚寸法を埋込み深さ寸法内に収まる範囲にて厚肉化する一方、遠心がわに向かうほど段階的か、または無段階的にかの何れかの断面輪郭線形状とするよう漸次、薄肉化し、外周縁肉厚寸法を1mm未満の最薄とするよう設定したものとするのが望ましく、逆階段状や直線傾斜線状の輪郭面のものとすることが可能である外、後述する実施例に示すように、求心がわ肉厚寸法を埋込み深さ寸法内に収まる範囲にて厚肉化する一方、遠心がわに向かうほど曲率半径が大きくなる、例えば、橋脚に見られるようなカテナリー曲線や放物線などの頂点を境に1/2とした曲線や、その一部、または、それに似た曲線などの二次曲線状の断面輪郭線形状とするよう漸次、薄肉化し、外周縁肉厚寸法を1mm未満の最薄とするよう設定してなるものとすべきである。
【0028】
加えて、ナット本体の先端部には、ネジやボルトによる取付け部品に応じて適宜、剛性や弾性などの所望の性質を付与可能な座金を設けたものとすることが可能であり、緩み止めや補強用として金属製の座金を設けたり、滑り止めや防振、消音、防音などを目的とする合成樹脂製の座金を設けたりすることが可能であり、座金を埋込みナットの成形工程中に一体化成形してなるものとすることができる。
【0029】
埋込み対象物は、埋込みナット組込み対象物であり、表装用の板状体からなる表装板部と、その裏面がわ接合面に積層状に一体化・結合可能な板状体としての裏面板部とからなるものとしなければならず、木、竹、金属、合成樹脂などの無垢材、または、集成材、成形合板、複合材などとすることができ、表装板部は、表面を表装用として装飾や仕上げなどの様々な加工を可能なものとし、裏面を裏面板部との接合面とすると共に、各埋込みナット回り止め用鍔の外端面を隙間なく密着可能な接合面とする機能を有するものであって、成形合板製や集成材製の表装積層板とすることが可能であり、裏面板部は、表装板部の裏面に、積層状に一体化可能なものとし、表装板部との接合面には、表装板部に積層・一体化する場合の各埋込みナット対応箇所に、各埋込みナットナット本体の少なくとも基端がわ、および同回り止め用鍔の外端面とは反対面である環鍔状内端面(または段差解消面)と外周縁との輪郭形状に合致する埋込み孔を夫々貫通状に穿設したものとしなければならず、成形合板製や集成材製の裏面積層板とすることが可能であり、当該埋込み対象物は、家具用部品、建築部品、建具、家電品、工芸品など様々な物品とすることが可能であり、例えば、後述する実施例に示すように、複数枚の単板を積層・一体化してなる椅子用座面および/または椅子用背面とすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図面は、この発明の埋込みナット、それを利用した積層部品および椅子の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
図1】埋込みナットを示す斜視図である。
図2】埋込みナットを示す正面図である。
図3】埋込みナットを示す下面図である。
図4】埋込みナットを示す側面図である。
図5】埋込みナットを示す平面図である。
図6】椅子に組み込む埋込みナットを断面化して示す正面図である。
図7】椅子に組み込んだ埋込みナットを断面化して示す正面図である。
図8】椅子に組み込んだ埋込みナットを示す下面図である。
図9】椅子を示す斜視図である。
図10】椅子脚部の取付け状態を示す斜視図である。
図11】回り止め用鍔を平面長円形状とした埋込みナットを示す下面図である。
図12】回り止め用鍔を平面長円形状とした埋込みナットを示す斜視図である。
図13】ナット本体の先端まで没するよう埋設した埋込みナットを断面化して示す正面図である。
【実施例1】
【0031】
図1ないし図5に示してある事例は、ネジ螺合孔20を穿設したナット本体2の基端21に、外端面31が、該ネジ螺合孔20軸心Cに対し90°にて交叉状となる定着用鍔部4を設けると共に、同定着用鍔部4の当該ネジ螺合孔20軸心C回りに均衡配置となるよう拡張設定した2以上の掛止翼部5,5を設け、該定着用鍔部4および各掛止翼部5,5からなる回り止め用鍔3とした上、同回り止め用鍔3は、その付け根部分30の弾性強度が、同回り止め用鍔3の中で最も高く、同回り止め用鍔3の遠心がわ外周縁31の弾性強度が、同回り止め用鍔3の中で最も低く、しかも求心がわ付け根部分30から、遠心がわ外周縁31に向かうほど、弾性強度が漸減するよう設定してなるものとした、この発明の埋込みナットにおける代表的な一実施例である。
【0032】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の埋込みナット1は、その全体が1個のポリアセタール樹脂成型品であり、外径Dが15mm、全長Lが25mmの円柱状としたナット本体2の中央に、呼び径(所定内径)Mが5mmのネジ螺合孔20を同心縦貫状に穿設し、筒状外観としたナット本体2の埋込みがわとなる基端21に、平面フランジ状の外端面40が、該ネジ螺合孔20軸心Cに対し、所定角度A90°にて交叉状となる平端面状の定着用鍔部4を一体に設けると共に、同定着用鍔部4の当該ネジ螺合孔20軸心C回り180°毎に均衡配置とするよう、2個の掛止翼部5,5を遠心方向に拡張し、それら掛止翼部5,5の長径寸法LDが40mm、該定着用鍔部4の周回り他部の短径寸法SD(30mm)に対し、120%ないし150%の範囲内となる133%の割合にて拡張設定してなるものとし、該定着用鍔部4および各掛止翼部5,5からなる、楕円板状の回り止め用鍔3とした上、同回り止め用鍔3の定着用鍔部4および各掛止翼部5,5の、該外端面40とは反対面であって当該ナット本体2に面する環鍔状内端面32は、求心がわ(付け根部分30)の肉厚寸法T1を、後述する埋込み対象物8への埋込み深さ寸法内に収まる5.5mmと厚肉化する一方、遠心がわに向かうほど曲率半径が大きくなる二次曲線状の断面輪郭線形状とするよう漸次、薄肉化し、外周縁31の肉厚寸法T2を0.5mmの最薄とするよう設定した段差解消面6としてなるものである。
【0033】
図6ないし図10に示す事例は、前記実施例1の図1ないし図5に示したこの発明の埋込みナット1を利用した積層部品8、およびそれを用いた椅子9を示すものであり、椅子9用の座面90およびそれに一体化した背面91とする当該積層部品8は、該椅子9用座面90および背面91を連続する曲面で繋ぐよう、木製の薄い単板を複数枚積層・一体化すると共に、完成後に外がわ表面に露出する表装面83には、杢目の美しい単板を装着するようにし、高温条件下にて加圧成形および接着してなる成形合板製の表装積層板81、および、その表装面83の裏面がわとなる接合面82に積層状に接着可能な、同様の工程にて製造した成形合板製の裏面積層板84からなる埋込み対象物80を有するものであって、当該表装積層板81の座面90とは反対がわとなる範囲の接合面82には、均衡する4箇所の夫々に、この発明の埋込みナット1,1,……を1個ずつ配するものとし、当該表装積層板81座面90接合面82の各埋込みナット1,1,……配置箇所に対応する裏面積層板84の天面がわ接合面85の各埋込みナット1,1,……対応箇所に、各埋込みナット1,1,……のナット本体2,2,……、および同回り止め用鍔3,3,……の段差解消面6,6,……と外周縁31,31,……との輪郭形状に合致する合計4個の埋込み孔86,86,……を夫々穿設したものとしてある。
それら埋込みナット1,1,……ナット本体2,2,……の各先端面22には夫々、金属環状板製の座金7を一体化成型してなるか、ナット本体2,2,……の成形後に接着剤や嵌着機構(何れも図示せず)などを介して一体化したものとすることができる。
【0034】
また、図11および図12に示すように、当該埋込みナット1は、その回り止め用鍔3の平面形状を長円状のものとすることが可能であり、また、図示していないが、各掛止翼部5,5,……を設けず、平面真円状の定着用鍔部4のみを有する回り止め用鍔3に置き換えることが可能である。
【0035】
図6の二点鎖線矩形区画内に示してあるように、当該埋込み対象物80裏面積層板84の接合面85がわから、各埋込み孔86,86,……に、同図6中の白抜き矢印に示すよう、熱硬化樹脂製接着剤(図示せず)を介して夫々、4個の埋込みナット1,1,……を先端部22,22,……がわから、各ナット本体2,2,……基端21,21,……寄り付近、および、同回り止め用鍔3,3,……の段差解消面6,6,……と外周縁31,31,……とを嵌合状に装着すると共に、それら埋込みナット1,1,……回り止め用鍔(定着用鍔部4および掛止翼部5,5)3,3,……の各外端面40,40,……、および、各埋込みナット1,1,……配設箇所以外の裏面積層板84接合面85の全面を、熱硬化樹脂製接着剤(図示せず)を介して、当該表装積層板81接合面82の全面に渡って積層状に接合・一体化しながら高温条件下にて加圧・成形するようにし、それら一体化した表装積層板81および裏面積層板84からなる埋込み対象物80の合計肉厚寸法内に、各埋込みナット1,1,……の定着用鍔部4と各掛止翼部5,5とからなる回り止め用鍔3,3,……、および同ナット本体2,2,……の基端21がわ所定範囲を密着・埋設状に一体化してなるものとしてある。
【0036】
図6ないし図10に示してあるとおり、当該積層部品8である埋込み対象物80の椅子9用背面91に一体化してなる椅子9用座面90の肉厚寸法内に埋設した、合計4個の埋込みナット1,1,……の座金7を一体化した各先端部22,22,……には、図6のように、椅子用脚部Fの上矩形枠の四角に設けた4箇所の板状受け座R,R,……を、硬質ゴム製環状緩衝体Bを介して接合し、各受け座R,R,……の装着孔H,H,……を通じて座金付きネジS,S,……を螺合し、図7および図8に示すように、確りと締め付けて確りと固定・一体化し、椅子9の完成となる。
【0037】
また、図13に見られるように、積層部品8である埋込み対象物80の裏面積層板84肉厚寸法が、埋込みナット1の全長L(図2に示す)を超えるものとし、回り止め用鍔3およびナット本体2基端21寄りの範囲に留まらず、ナット本体2先端部22をも没するよう、表装積層板81裏面積層板84肉厚寸法内に埋設し、ナット本体2先端部22が裏面積層板84下面に面一か、または、没するかの何れかとしてなるものとすることができる。
【0038】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の埋込みナット1は、図6ないし図8に示すように、積層部品8である埋込み対象物80としての椅子9座面90下面に、脚部Fを取り付ける工程中に、各埋込みナット1,1,……に夫々雄ネジS,S,……を螺合・締め付ける作業に際し、図8に示す実線矢印方向に、各埋込みナット1,1,……に対し、軸心C(図2中に示す)を中心とする回転力が加わることとなるが、各埋込みナット1,1,……回り止め用鍔3の特異な楕円形の平面形状により、180°の開き角度をもって拡張した掛止翼部5,5が、図7および図8に示すように、埋込み対象物80(積層部品8)表装積層板81および裏面積層板84の接合面間に密着・結合して大きな摩擦力を発生するものとなり、ナット本体2がその軸心C回り方向に回転してしまうのを確実に防止可能なものとすることができる。
【0039】
さらに、図7ないし図10のように、完成済みとなった椅子9の座面90肉厚内に埋設してある各埋込みナット1,1,……は、座面90や椅子用脚部Fから入力する外力を受けると、図2に示す軸心Cと平行な方(軸方向)に、打ち込む力や脱抜する力、および/または、軸心Cを倒したりする力が生じることとなるが、各埋込みナット1,1,……回り止め用鍔3段差解消面6の特異な二次曲線状の縦断面輪郭線形状により、ナット本体2の基端21と一体化する求心がわ付け根部分30の弾性強度が、同回り止め用鍔3の中で最も高く、同回り止め用鍔3の遠心がわ外周縁31の弾性強度が、同回り止め用鍔3の中で最も低く、しかも求心がわ付け根部分30から遠心がわ外周縁31に向かうほど、弾性強度が漸減するよう、40mmないし0.5mmの範囲にて各部の厚み寸法を滑らかに変化するよう設定してあるから、回り止め用鍔3の付け根部分30からより多くの荷重を座面90の肉厚寸法範囲内に伝達し、同回り止め用鍔3の遠心がわに向かうほど、座面90の肉厚寸法範囲内への伝達荷重を漸減するよう柔軟に弾性変形し、同回り止め用鍔3の遠心がわ外周縁31からは最も微弱な荷重のみを伝達・分散可能なものとし、各埋込みナット1,1,……に過大な外力が加わった場合にも、座面90の表装面83に、各回り止め用鍔3外周縁31による輪状の盛り上がり変形や、ヒビ割れ、破損などを生じるのを確実に防止可能にするという効果を奏する。
【0040】
図6および図7に示すように、埋込みナット1ナット本体2先端面22に座金7を装着してなるものは、椅子用脚部F受け座Rを介して入力する外力が、ナット本体2先端面22の一部に集中し、変形や破損を招くのを阻止可能とし、同ナット本体2先端面22の全面にて均質且つ分散状に受けるようにして、入力された外力全体を、ナット本体2への曲げ応力や圧縮応力となるよう、回り止め用鍔3に効率的に伝達し、積層部品8埋込み対象物80の座面90の広い範囲に分散・吸収するものとすることができるという利点が得られる。
【0041】
また、図6および図7に示してあるように、積層部品8埋込み対象物80裏面積層板84下面と椅子用脚部F受け座Rとの間に、環状緩衝体Bを介在させた椅子9は、座面90に加わる荷重の殆どを、環状緩衝体Bおよび受け座Rを介して椅子用脚部Fに伝達するものとし、その衝撃力も緩衝することができるから、埋込みナット1に加わる外力を大幅に軽減し、格段に耐久性に富むものにするという経済的な効果と共に、使用に際する安全性の点においても極めて有利なものとなる。
【0042】
(結 び)
叙述の如く、この発明の埋込みナット、それを利用した積層部品および椅子は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの埋込みナットを利用した家具類などの技術に比較して大幅に耐久強度を高め、従来品と同等以上の強度を確保した上、格段に薄型化、細型化して、より繊細なデザインの製品を実現化できるものとすることができると共に、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができ、加えて、成形や組立の作業性を大幅に改善し得るものとなることから、従前までは、秀れたデザインにも関わらず、製造技術上の課題を解決できずに、実用化を断念せざるを得なかった工業デザイン業界および家具製造業界はもとより、従来品よりもさらに洗練された家具やその他の工業製品類の提供を望む一般家庭や企業、および、そうした一般家庭や企業に、デザイン性に秀れた新商品を逸早く届けたいと考える各種工業製品製造業界、建具業界、建築業界、各種販売業界などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0043】
1 埋込みナット
2 ナット本体
20 同 ネジ螺合孔
M 同 ネジ螺合孔の呼び径(所定内径)
21 同 ナット本体の基端
C 同 ネジ螺合孔(ナット本体)の軸心
D 同 ナット本体の外径
L 同 ナット本体の全長
22 同 先端部(先端面)
3 回り止め用鍔
30 同 付け根部分
T1 同 付け根部分の肉厚寸法
31 同 外周縁
T2 同 外周縁の肉厚寸法
32 同 環鍔状内端面
4 定着用鍔部
40 同 外端面
A 同 軸心Cに対する角度
SD 同 短径寸法
5 掛止翼部
LD 同 長径寸法
6 段差解消面
7 座金
8 積層部品
80 同 埋込み対象物
81 同 表装積層板(表装板部)
82 同 接合面
83 同 表装面
84 同 裏面積層板(裏面板部)
85 同 接合面
86 同 埋込み孔
S 雄ネジ
9 椅子
90 同 椅子用座面
91 同 椅子用背面
F 椅子用脚部(および/または椅子用フレーム)
R 受け座
H 装着孔
B 環状緩衝体
図1
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