特許第5709356号(P5709356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5709356哺乳動物細胞における発現のためのコドン最適化IL−15およびIL−15R−α遺伝子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709356
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】哺乳動物細胞における発現のためのコドン最適化IL−15およびIL−15R−α遺伝子
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20150409BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20150409BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20150409BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150409BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20150409BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C12N5/00 102
   C12P21/02 K
   A61K37/02
   A61K31/7088
   A61P43/00 105
   A61P37/04
   A61K37/24
【請求項の数】47
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2008-550416(P2008-550416)
(86)(22)【出願日】2007年1月12日
(65)【公表番号】特表2009-523420(P2009-523420A)
(43)【公表日】2009年6月25日
(86)【国際出願番号】US2007000774
(87)【国際公開番号】WO2007084342
(87)【国際公開日】20070726
【審査請求日】2010年1月4日
(31)【優先権主張番号】60/758,819
(32)【優先日】2006年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/812,566
(32)【優先日】2006年6月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】304048296
【氏名又は名称】アメリカ合衆国
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130845
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フェルバー バーバラ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】パヴラキス ジョージ エヌ.
【審査官】 長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/059556(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/113547(WO,A1)
【文献】 J. Biol. Chem.,1995年,Vol.270, No.50,p.29862-29869
【文献】 The Journal of Immunology,2005年,Vol.175,pp.7226-7234
【文献】 Protein Engineering,1998年,Vol.11, No.6,p.495-500
【文献】 Gene,1991年,Vol.97,No.2,p.253-258
【文献】 Infect. Immun.,2002年,Vol.70, No.1,p.292-302
【文献】 J. Biol. Chem.,2006年 1月,Vol.281, No.3,p.1612-1619
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C07K 14/00−16/46
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成熟インターロイキン−15(IL−15)タンパク質をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、該核酸配列が、配列番号:3記載のヌクレオチド145〜489と少なくとも95%の同一性を有し、かつ、配列番号:1記載のヌクレオチド配列145〜489と異なり、かつ、配列番号:1記載の配列の80のヌクレオチド位置156、159、162、165、168、169、174、177、180、183、186、189、192、195、198、204、207、210、213、216、217、219、222、228、231、237、246、252、255、258、261、277、283、285、291、294、297、300、306、309、312、315、318、321、324、327、330、333、336、339、351、354、363、364、369、372、375、384、387、390、393、396、402、405、414、423、426、429、432、435、438、442、450、453、456、459、462、468、483、および486の少なくとも90%において非天然核酸塩基を有し、かつ、該ポリヌクレオチドからのIL−15生産が、293細胞にトランスフェクションしたときに、配列番号:1記載の天然IL−15ポリヌクレオチドからのIL−15生産と比較して少なくとも5倍、増加している、ポリヌクレオチド。
【請求項2】
成熟IL−15タンパク質をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、該核酸配列が、配列番号:2記載のアミノ酸49〜162をコードし、かつ、配列番号:1記載の配列のヌクレオチド位置156、159、162、165、168、169、174、177、180、183、186、189、192、195、198、204、207、210、213、216、217、219、222、228、231、237、246、252、255、258、261、277、283、285、291、294、297、300、306、309、312、315、318、321、324、327、330、333、336、339、351、354、363、364、369、372、375、384、387、390、393、396、402、405、414、423、426、429、432、435、438、442、450、453、456、459、462、468、483、および486におけるグアニン(g)またはシトシン(c)ヌクレオチドの存在により配列番号:1記載のヌクレオチド配列145〜489と異なり、かつ、前記ポリヌクレオチドからのIL−15生産が、293細胞にトランスフェクションしたときに、配列番号:1記載の天然IL−15ポリヌクレオチドからのIL−15生産と比較して少なくとも5倍、増加している、ポリヌクレオチド。
【請求項3】
IL−15タンパク質をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、該核酸配列が、配列番号:3記載のヌクレオチド145〜489を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記核酸配列が、配列番号:1記載の配列の80のヌクレオチド位置156、159、162、165、168、169、174、177、180、183、186、189、192、195、198、204、207、210、213、216、217、219、222、228、231、237、246、252、255、258、261、277、283、285、291、294、297、300、306、309、312、315、318、321、324、327、330、333、336、339、351、354、363、364、369、372、375、384、387、390、393、396、402、405、414、423、426、429、432、435、438、442、450、453、456、459、462、468、483、および486の少なくとも95%において非天然核酸塩基を有する、請求項記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記核酸配列が、少なくとも50%のGC含量を含む、請求項項記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
成熟IL−15タンパク質をコードする核酸配列に結合した異種タンパク質由来のSIG−PROまたはシグナルペプチド(SIG)をコードする核酸配列をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
異種タンパク質が、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、成長ホルモン、および免疫グロブリンからなる群から選択される、請求項記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記ポリヌクレオチドが、RNA搬出エレメントをコードする核酸に機能的に連結された、請求項1〜のいずれか一項記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むよう組換え改変された哺乳動物細胞。
【請求項11】
ヒトIL−15Raをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドをさらに含む、請求項10記載の哺乳動物細胞。
【請求項12】
前記ヒトIL−15Raをコードする核酸配列が、コドン最適化されている、請求項11記載の哺乳動物細胞。
【請求項13】
前記ヒトIL−15Raをコードする核酸配列が、配列番号:47または配列番号:49記載の配列を含む、請求項12記載の哺乳動物細胞。
【請求項14】
前記細胞が、COS、CHO、HeLa、NIH3T3、HEK 293-T、RD、またはPC12細胞である、請求項10〜13のいずれか一項記載の哺乳動物細胞。
【請求項15】
前記哺乳動物細胞が、ヒト細胞である、請求項10〜13のいずれか一項記載の哺乳動物細胞。
【請求項16】
前記ヒト細胞がHEK293細胞である、請求項10〜13のいずれか一項記載の哺乳動物細胞。
【請求項17】
請求項1〜のいずれか一項記載のポリヌクレオチド、およびヒトIL−15Raをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項18】
前記ヒトIL−15Raをコードする核酸配列が、コドン最適化されている、請求項17記載の発現ベクター。
【請求項19】
前記IL−15Raをコードする核酸配列が、配列番号:47または配列番号:49記載の核酸配列を含む、請求項18記載の発現ベクター。
【請求項20】
請求項記載の発現ベクターを含む哺乳動物宿主細胞。
【請求項21】
前記細胞が、COS、CHO、HeLa、NIH3T3、HEK 293-T、RD、またはPC12細胞である、請求項20記載の哺乳動物宿主細胞。
【請求項22】
前記細胞が、ヒト細胞である、請求項20記載の哺乳動物宿主細胞。
【請求項23】
前記細胞が293細胞である、請求項20項記載の哺乳動物宿主細胞。
【請求項24】
請求項17〜19のいずれか一項記載の発現ベクターを含む哺乳動物宿主細胞。
【請求項25】
前記細胞が、COS、CHO、HeLa、NIH3T3、HEK 293-T、RD、またはPC12細胞である、請求項24記載の哺乳動物宿主細胞。
【請求項26】
前記細胞が、ヒト細胞である、請求項24記載の哺乳動物宿主細胞。
【請求項27】
前記細胞がHEK293細胞である、請求項24項記載の哺乳動物宿主細胞。
【請求項28】
請求項10〜16のいずれか一項記載の組換え改変された哺乳動物細胞を含む細胞培養物を培養する段階を含む、哺乳動物細胞においてIL−15を発現させる方法。
【請求項29】
宿主細胞においてIL−15を発現させる方法であって、請求項20〜23のいずれか一項記載の哺乳動物宿主細胞を含む細胞培養物を培養する段階を含む、方法。
【請求項30】
IL−15およびIL−15Raを発現させる方法であって、請求項11〜16のいずれか一項記載の組換え改変された哺乳動物宿主細胞を含む細胞培養物を培養する段階を含む、方法。
【請求項31】
IL−15およびIL−15Raを発現させる方法であって、請求項24〜27のいずれか一項記載の哺乳動物宿主細胞を含む細胞培養物を培養する段階を含む、方法。
【請求項32】
請求項1〜のいずれか一項記載のポリヌクレオチド、およびヒトIL−15Raをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを含む薬学的組成物。
【請求項33】
前記ヒトIL−15Raをコードする核酸配列が、コドン最適化されている、請求項32記載の薬学的組成物。
【請求項34】
前記IL−15Raをコードする核酸配列が、配列番号:47または配列番号:49記載の核酸配列を含む、請求項33記載の薬学的組成物。
【請求項35】
IL−15ポリヌクレオチドおよびIL−15Raポリヌクレオチドが単一の発現ベクター中に含まれる、請求項32〜34のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項36】
IL−15ポリヌクレオチドおよびIL−15Raポリヌクレオチドが複数の発現ベクター中にある、請求項32〜34のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項37】
ヒトIL−15Raをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドとともにIL−15ポリヌクレオチドを個体に同時投与するための、個体におけるIL−15の安定性および効力を改善するための薬剤の製造における、請求項1〜のいずれか一項記載のIL−15ポリヌクレオチドの使用。
【請求項38】
ヒトIL−15Raをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドとともにIL−15ポリヌクレオチドを個体に同時投与するための、必要とする個体においてリンパ球を増殖させるための薬剤の製造における、請求項1〜のいずれか一項記載のIL−15ポリヌクレオチドの使用。
【請求項39】
前記ヒトIL−15Raをコードする核酸配列が、コドン最適化されている、請求項37または38記載の使用。
【請求項40】
前記IL−15Raをコードする核酸配列が、配列番号:47または配列番号:49記載の核酸配列を含む、請求項39記載の使用。
【請求項41】
IL−15ポリヌクレオチドおよびIL−15Raポリヌクレオチドが単一の発現ベクターにおいて投与される、請求項37〜40のいずれか一項記載の使用。
【請求項42】
IL−15ポリヌクレオチドおよびIL−15Raポリヌクレオチドが複数の発現ベクターにおいて投与される、請求項37〜40のいずれか一項記載の使用。
【請求項43】
前記個体がヒトである、請求項37〜42のいずれか一項記載の使用。
【請求項44】
癌免疫療法に用いるため、予防的もしくは治療的ワクチン接種のため、または免疫不全を治療するための、請求項32〜36のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項45】
ヒトに用いるための、請求項44記載の薬学的組成物。
【請求項46】
イン・ビボにおいてIL−15の安定性および効力を改善するのに用いるため、リンパ球を増殖させるのに用いるため、癌免疫療法に用いるため、予防的もしくは治療的ワクチン接種のため、または免疫不全を治療するための、請求項10〜16または20〜27のいずれか一項記載の哺乳動物宿主細胞。
【請求項47】
ヒトに用いるための請求項46記載の哺乳動物宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2006年6月9日出願の米国仮特許出願第60/812,566号および2006年1月13日出願の同第60/758,819号の恩典を主張し、これら各々の全内容はすべての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、サイトカインの遺伝子発現の全段階を最適化することによる、哺乳動物細胞におけるサイトカイン発現の改善に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
インターロイキン-15(IL-15)は、先天性免疫系および適応免疫系の両方に重要な多面的なサイトカインである(Diab, et al., Cytotherapy (2005) 7:23-35(非特許文献1))。IL-15は好中球およびマクロファージの活性化を促進し、樹状細胞(DC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK T細胞、およびCD8+ T細胞の発生および機能に必須である(同文献)。IL-15は、リンパ区画および非リンパ区画のいずれの細胞にも作用する(Van Belle and Grooten, Arch Immunol Ther Exp (2005) 53:115(非特許文献2))。
【0004】
その多くの機能および動物モデルにおいて比較的安全であることに基づき、IL-15の投与は、免疫不全の治療に、T細胞およびNK細胞のインビトロ増殖に、ならびに抗HIVワクチンを含むワクチンのアジュバントとして有用である(Diab, et al.、前記(非特許文献1);Ahmad, et al., Curr HIV Res (2005) 3:261(非特許文献3);Alpdogan and van den Brink, Trends Immunol (2005) 26:56(非特許文献4))。例えば、外因性IL-15の投与は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染性の後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の免疫細胞機能を大幅に強化することが見出されている(Ahmad, et al.、前記(非特許文献3);Pett and Kelleher, Expert Rev Anti Infect Ther (2003) 1:83(非特許文献5);およびAnsari, et al., Immunol Res (2004) 29:1(非特許文献6)もまた参照されたい)。リンパ球産生および免疫不全疾患の治療に及ぼす効果のためにIL-15を投与することもまた、探索が続けられている(Alpdogan and van den Brink、前記(非特許文献4))。
【0005】
数名の研究者による結果から、天然可溶型のIL-15受容体αがIL-15のアンタゴニストであることが示唆された(Mortier, et al., (2004) J. Immunol. 173, 1681-1688(非特許文献7);Ruchatz, et al., (1998) J. Immunol. 160, 5654-566(非特許文献8);およびSmith., et al, (2000) J. Immunol. 165, 3444-3450(非特許文献9)を参照されたい)。対照的に、可動性アミノ酸リンカーを介してIL-15に融合したIL-15受容体αのsushiドメインは、インビトロにおけるIL-15機能のアゴニストとして提唱された(J Biol Chem. 2006 Jan 20;281(3):1612-9(非特許文献10))。可溶性インターロイキン-15受容体α(IL-15Rα)-sushiは、IL-15Rβ/γを介するIL-15作用の選択的かつ強力なアゴニストである(Mortier E, et al., J Biol Chem. 2006 281:1612(非特許文献10)を参照されたい)。
【0006】
コード核酸としてまたはタンパク質として投与するための、単独の、またはIL-15受容体α全体もしくは可溶性IL-15受容体αと組み合わせた治療用IL-15を提供するには、このサイトカインのコード核酸配列の効率的な発現ベクターを開発し、この配列を効率的に発現させることが重要である。本発明はこの必要性に取り組むものである。
【0007】
【非特許文献1】Diab, et al., Cytotherapy (2005) 7:23-35
【非特許文献2】Van Belle and Grooten, Arch Immunol Ther Exp (2005) 53:115
【非特許文献3】Ahmad, et al., Curr HIV Res (2005) 3:261
【非特許文献4】Alpdogan and van den Brink, Trends Immunol (2005) 26:56
【非特許文献5】Pett and Kelleher, Expert Rev Anti Infect Ther (2003) 1:83
【非特許文献6】Ansari, et al., Immunol Res (2004) 29:1
【非特許文献7】Mortier, et al., (2004) J. Immunol. 173, 1681-1688
【非特許文献8】Ruchatz, et al., (1998) J. Immunol. 160, 5654-566
【非特許文献9】Smith, et al., (2000) J. Immunol. 165, 3444-3450
【非特許文献10】J Biol Chem. 2006 Jan 20;281(3):1612-9
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明は、単独の、およびIL-15受容体α(IL15Ra)全体または可溶型IL15Ra(IL15sRa)と組み合わせたインターロイキン-15(IL-15)の高レベル発現のための核酸配列、発現ベクター、および哺乳動物細胞を提供する。本発明は、哺乳動物細胞における、単独の、およびIL-15受容体α(IL15Ra)全体または可溶型IL15Ra(IL15sRa)と組み合わせたインターロイキン-15の高レベル発現の方法をさらに提供する。
【0009】
関連局面において、本発明は、IL-15受容体α(IL15Ra)全体または可溶型IL15Ra(IL15sRa)の高レベル発現のための核酸配列、発現ベクター、および哺乳動物細胞を提供する。本発明は、IL-15受容体α(IL15Ra)全体または可溶型IL15Ra(IL15sRa)の高レベル発現の方法をさらに提供する。
【0010】
1つの局面において、本発明は、天然哺乳動物インターロイキン-15(IL-15)タンパク質と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するIL-15タンパク質をコードする核酸配列であって、天然哺乳動物IL-15をコードする核酸配列と、図8において特定されているヌクレオチド変化位置の少なくとも50%が異なる核酸配列を提供する。いくつかの態様において、核酸配列は天然哺乳動物IL-15をコードする核酸配列と、図4および/または図6において特定されているコドン変化位置の少なくとも50%が異なる。いくつかの態様において、ヌクレオチドおよびコドン変化は成熟IL-15配列内にある。天然哺乳動物IL-15は、ヒトIL-15、霊長動物IL-15、ブタIL-15、マウスIL-15などを含む任意の哺乳動物IL-15であってよい。
【0011】
いくつかの態様において、IL-15をコードする核酸配列は天然IL-15をコードする核酸配列と、図8において特定されている115のヌクレオチド変化位置(陰影部)の少なくとも55%(例えば、59ヌクレオチド)、60%(例えば、64ヌクレオチド)、65%(例えば、70ヌクレオチド)、70%例えば(75ヌクレオチド)、75%(例えば、81ヌクレオチド)、80%(例えば、86ヌクレオチド)、85%(例えば、91ヌクレオチド)、90%(例えば、97ヌクレオチド)、95%(例えば、109ヌクレオチド)が異なる。いくつかの態様において、IL-15をコードする核酸配列は天然IL-15をコードする核酸配列と、図4において特定されている121のコドン変化位置(陰影部、枠付き、または下線部)の少なくとも約55%(例えば、66コドン)、60%(例えば、73コドン)、65%(例えば、78コドン)、70%例えば(85コドン)、75%(例えば、91コドン)、80%(例えば、97コドン)、85%(例えば、103コドン)、90%(例えば、109コドン)、95%(例えば、115コドン)が異なる。
【0012】
いくつかの態様において、ヌクレオチドおよびコドン変化は成熟IL-15配列内にある。例えば、改良型IL-15をコードする核酸配列は天然IL-15をコードする核酸配列と、図8において特定されている成熟IL-15中の80のヌクレオチド変化位置(陰影部)の少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%が異なり得る。別の態様において、改良型IL-15をコードする核酸配列は天然IL-15をコードする核酸配列と、図4において特定されている成熟IL-15中の84のコドン変化位置(陰影部、枠付き、または下線部)の少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%が異なり得る。
【0013】
いくつかの態様において、核酸配列は、図8において特定されているヌクレオチド位置6、9、15、18、21、22、27、30、33、49、54、55、57、60、63、69、72、75、78、81、84、87、90、93、96、105、106、114、120、123、129、132、135、138、141、156、159、162、165、168、169、174、177、180、183、186、189、192、195、198、204、207、210、213、216、217、219、222、228、231、237、246、252、255、258、261、277、283、285、291、294、297、300、306、309、312、315、318、321、324、327、330、333、336、339、351、354、363、364、369、372、375、384、387、390、393、396、402、405、414、423、426、429、432、435、438、442、450、453、456、459、462、468、483、および486において、天然IL-15をコードする核酸配列と異なる。
【0014】
いくつかの態様において、核酸配列は、図8において特定されているヌクレオチド位置6、9、15、18、21、22、27、30、33、49、54、55、57、60、63、69、72、75、78、81、84、87、96、105、106、114、120、123、129、132、135、138、141、156、159、162、165、168、169、174、177、180、183、186、189、192、195、198、204、207、210、213、216、217、219、222、228、231、237、246、252、255、258、261、277、283、285、291、294、297、300、306、309、312、315、318、321、324、327、330、333、336、339、351、354、363、364、369、372、375、384、387、390、393、396、402、405、414、423、426、429、432、435、438、442、450、453、456、459、462、468、483、および486において、グアニン(g)またはシトシン(c)ヌクレオチドを含む。
【0015】
コドンは、同一または類似(すなわち、保存的置換)のアミノ酸がコードされるような任意の方法で異なり得る。いくつかの態様において、コドンはGC含量が増加するように変更される。いくつかの態様において、改良型IL-15核酸配列はそれぞれ、配列の全長にわたって少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、またはそれ以上のGC含量(例えば、デオキシグアノシンおよびデオキシシチジンデオキシリボヌクレオシド残基、またはグアノシンおよびシチジンリボヌクレオシド残基)を含む。
【0016】
IL-15をコードする核酸は、配列番号:3、配列番号:4、および/または配列番号:16の核酸と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を共有し得る。いくつかの態様において、IL-15をコードする核酸配列は、図8(配列番号:3または配列番号:4)または図16(配列番号:16)に示される天然IL-15をコードする核酸配列と異なる。
【0017】
いくつかの態様においては、IL-15シグナルペプチド-プロペプチド(SIG-PRO)をコードする核酸配列を、異種タンパク質由来のシグナルペプチド(SIG)またはシグナルペプチド-プロペプチド(SIG-PRO)をコードする配列と置換する。いくつかの態様においては、IL-15シグナルペプチドをコードする核酸配列を、異種タンパク質由来のシグナルペプチドをコードする核酸配列と置換する。異種タンパク質は、例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、成長ホルモン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、または免疫グロブリン(例えば、IgE)に由来し得る。1つの態様においては、IL-15シグナルペプチド-プロペプチド(SIG-PRO)をコードする核酸配列を、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:25、または配列番号:27と95%の配列同一性を有するtPA SIG-PROをコードする核酸配列と置換する。いくつかの態様においては、IL-15をコードする核酸を、RNA搬出エレメント、例えばCTEまたはRTEm26CTEをコードする核酸に機能的に連結する。
【0018】
いくつかの態様においては、IL15Raシグナルペプチドをコードする核酸配列を、異種タンパク質由来のシグナルペプチド(SIG)またはシグナルペプチド-プロペプチド(SIG-PRO)をコードする配列と置換する。いくつかの態様においては、IL15Raシグナルペプチドをコードする核酸配列を、異種タンパク質由来のシグナルペプチドをコードする核酸配列と置換する。異種タンパク質は、例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、成長ホルモン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、または免疫グロブリン(例えば、IgE)に由来し得る。いくつかの態様においては、IL15Raをコードする核酸を、RNA搬出エレメント、例えばCTEまたはRTEm26CTEをコードする核酸に機能的に連結する。
【0019】
別の局面において、本発明は、天然哺乳動物IL-15タンパク質と少なくとも90%の配列同一性を有するIL-15タンパク質をコードする核酸であって、少なくとも50%のGC含量を含むIL-15をコードする核酸に機能的に連結された、IL-15以外のタンパク質由来のシグナルペプチド-プロペプチド(SIG-PRO)配列、例えばtPA SIG-PRO配列、成長ホルモンシグナル配列(SIG)、免疫グロブリンシグナル配列(SIG)をコードする核酸配列を提供する。1つの態様において、SIG-PRO配列は、tPA、GM-CSF、成長ホルモン、および免疫グロブリンファミリータンパク質からなる群より選択されるタンパク質に由来する。1つの態様において、SIG-PRO配列は、配列番号:6または配列番号:8と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するtPA SIG-PROをコードする。別の態様において、SIG-PRO配列は、配列番号:5または配列番号:7と少なくとも95%の核酸配列同一性を有するtPA SIG-PROである。さらなる態様は上記の通りである。
【0020】
さらなる局面において、本発明は、上記の態様を含む本発明の核酸配列を含む発現ベクターおよび哺乳動物細胞を含む。
【0021】
いくつかの態様において、IL-15および/またはIL15Raをコードする核酸配列は、ワクチンアジュバントとして使用するための薬学的賦形剤をさらに含む。いくつかの態様において、IL-15および/またはIL15Raをコードする核酸配列は、例えば、インビトロまたはインビボで、B細胞、T細胞、NK細胞、およびNK T細胞を含むリンパ球の数の増加において免疫療法因子として使用するための薬学的賦形剤をさらに含む。いくつかの態様において、IL-15および/またはIL15Ra核酸配列は、IL-2/IL-15βγ受容体を発現するリンパ球集団を増殖させるために用いられる。いくつかの態様において、IL-15および/またはIL15Ra核酸配列は、CD4+および/またはCD8+ T細胞を増殖させるために用いられる。いくつかの態様において、IL-15および/またはIL15Ra核酸配列は、抗原刺激後のIL-2およびIFN-γ二重分泌多機能性細胞(例えば、多機能性T細胞)の数を増加させるために用いられる。
【0022】
別の局面において、本発明は、天然哺乳動物IL-15タンパク質と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するIL-15タンパク質をコードする核酸であって、天然哺乳動物IL 15をコードする核酸配列と、図8において特定されているヌクレオチド位置の少なくとも50%が異なる核酸配列を発現するように哺乳動物を組換えによって改変する段階を含む、哺乳動物細胞においてIL-15を発現させる方法を提供する。本方法の本態様は、核酸配列に関して上記の通りである。
【0023】
関連局面において、本発明は、IL-15受容体α(IL15Ra)全体または受容体の細胞外ドメイン全体を含む可溶型IL15Ra(IL15sRa)が、インビトロおよびインビボにおいてIL-15の強力な安定剤であるという発見に一部基づく。IL-15とIL15sRaの複合体では循環における安定性が増加し、またナチュラルキラー(NK)細胞およびT細胞を含む複数のリンパ球サブセットの増殖によって決定されるIL-15効力も増加する。本発明は、インビトロおよびインビボにおいてIL-15効力を増加させる方法、発現ベクター、およびタンパク質の組み合わせを提供する。これらの方法は、IL-15の生物学的利用能、安定性、効力の増加、ならびに個体(例えば、哺乳動物、ヒト)に投与した際のIL-15の生物学的効果の増加に有用である。
【0024】
IL-15とその受容体であるIL-15受容体α(IL15Ra)との協調的発現のための発現ベクターを提供する。ベクターは一般に、IL-15コード配列を1コピーまたは/およびIL-15受容体α(IL15Ra)(全体または可溶性)を1コピー含む。2つのタンパク質の発現比は、例えば様々なプラスミドDNA比(w/w)を用いることにより、または異なる発現強度のプロモーターを選択することにより、1:1、1:2、または1:3に調節することができる。いくつかの態様において、IL-15サイトカインおよびIL-15受容体α(IL15Ra)はモル比1:3で発現される。
【0025】
1つの態様においては、IL-15サイトカインおよびIL-15受容体α(IL15Ra)の少なくとも一方の核酸配列を、本明細書に記載の本方法に従って改良する。IL-15サイトカインおよびIL-15受容体α(IL15Ra)(全体または可溶性)の同時発現により、細胞から発現および分泌されるIL-15サイトカインおよびIL15Raの量は、IL-15単独の発現と比較して、特にwt IL-15配列と比較して10倍、100倍、10,000倍、100,000倍、1,000,000倍、またはそれ以上増加する。そのようなベクターを使用することで、IL-15およびIL15Raの安定性は、IL-15単独と比較して10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、またはそれ以上増加し、インビボにおけるIL-15タンパク質の定常状態レベルは増加する。IL15Raと同時発現させるIL-15の生物学的機能(例えば、B細胞、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびNK T細胞を含むリンパ球の活性化および増殖の誘導)もまた、インビボで、IL-15単独と比較して10倍、15倍、20倍、またはそれ以上劇的に増加する。これらのベクターは、特定の組織における生物活性サイトカインの送達の増加に有用である。IL-15およびIL15Raのベクターおよびタンパク質は、予防的および治療的ワクチン接種、癌免疫療法において、またはリンパ球の数および機能の強化に関する任意の適応、ならびに任意の免疫不全状態に有用である。
【0026】
1つの局面において、本発明は、IL-15とIL15Ra全体または可溶性IL15Raの協調的発現のための発現ベクターを提供する。IL-15およびIL15Ra全体または可溶性IL15Raは、同じ発現ベクターまたは複数の発現ベクター中に含まれ得る。いくつかの態様においては、IL-15およびIL15Ra全体または可溶性IL15Raの少なくとも一方のコード核酸配列を、高効率発現のために本発明に従って改良する。
【0027】
本発明の1つの局面は、IL-15および全長IL15Raを発現する提供されるベクターを哺乳動物細胞または哺乳動物に送達すると、天然型の可溶性細胞外IL15sRaが迅速に生成され得ることである。したがって、IL-15およびIL15Raの同時送達および発現により、細胞表面上にIL-15/IL-15R複合体が生じると共に、循環中に放出されて遠位組織で作用し得るIL-15/IL15sRa複合体が生じる。
【0028】
さらなる局面において、本発明は、天然哺乳動物IL-15受容体α(IL15Ra)または可溶型IL15Ra(IL15sRa)タンパク質(例えば、NM_002189を参照されたい)と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するIL-15受容体α(IL15Ra)全体または可溶型IL15Ra(IL15sRa)をコードする改良型核酸配列であって、天然哺乳動物IL-15をコードする核酸配列と、図35〜38において特定されているヌクレオチド変化位置の少なくとも50%が異なる核酸配列を提供する。
【0029】
いくつかの態様において、IL15Ra(全体または可溶型)のコード配列は、図35〜38のいずれか1つに示される核酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を共有する。1つの態様において、IL15Raは、図35〜38のいずれか1つに示される核酸配列によってコードされる。1つの態様において、改良型IL15Ra(全体または可溶性)コード核酸配列は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%のGC含量を有する。
【0030】
本発明は、IL-15の量、安定性、および生物活性を増加させる方法をさらに提供する。本方法は、哺乳動物宿主細胞においてIL-15およびIL15RaまたはIL15sRaを同時発現させることによりインビトロで行い得る。本方法は、注射用タンパク質として、またはインビボで産生されるDNA構築物(天然または改良型)として、IL-15とIL-15受容体α(全体または可溶性)の組み合わせを個体に投与することによりインビボで行い得る。IL-15およびIL15Raコード配列の一方または両方は、本明細書に記載の方法に従って改良することができる。
【0031】
本発明は、IL-15およびIL-15可溶性受容体α(IL15sRa)を協調的に産生する宿主細胞および細胞株、またはIL-15と可溶性および全長IL15Raの混合物を協調的に産生する細胞株をさらに提供する。
【0032】
さらなる局面において、本発明は、本発明の改良型IL-15核酸を単独でまたはIL15Raと組み合わせて投与することにより、1つまたは複数の抗原に対する個体の免疫応答を増強する方法を提供する。IL15Raは、野生型または改良型のタンパク質または核酸形態であってよい。
【0033】
さらなる局面において、本発明は、本発明の改良型IL-15核酸を単独でまたはIL15Raと組み合わせて投与することにより、インビボまたはインビトロにおいて、例えば免疫不全状態を軽減するためなど、リンパ球数を増加させる方法を提供する。IL15Raは、野生型または改良型のタンパク質または核酸形態であってよい。いくつかの態様において、リンパ球は、B細胞、T細胞、NK細胞、およびNK T細胞からなる群より選択される。いくつかの態様において、IL-15および/またはIL15Ra核酸配列は、IL-2/IL-15βγ受容体を発現するリンパ球集団の増殖を促進する。いくつかの態様において、IL-15および/またはIL15Ra核酸配列は、CD4+および/またはCD8+ T細胞の増殖を促進する。いくつかの態様において、IL-15および/またはIL15Ra核酸配列は、抗原刺激時のIL-2およびIFN-γ二重分泌多機能性細胞(例えば、多機能性T細胞)の数の増加を誘導する。
【0034】
いくつかの態様において、DNA構築物の一方または両方は、注射および/またはエレクトロポレーションにより投与する。注射およびエレクトロポレーションの二重経路による投与は、同じまたは異なる部位において同時にまたは連続して行うことができる。
【0035】
定義
「天然哺乳動物インターロイキン-15(IL-15)」という用語は、哺乳動物種由来のIL-15の任意の天然インターロイキン-15核酸およびアミノ酸配列を指す。当業者であれば、インターロイキン-15核酸およびアミノ酸配列が、遺伝子データベースにおいて、例えばワールドワイドウェブncbi.nlm.nih.gov上の全米バイオテクノロジー情報センターを通してGenBankにおいて公的に入手可能であることを理解すると考えられる。例示的な天然哺乳動物IL-15核酸またはアミノ酸配列は、例えば、ヒト、霊長動物、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、齧歯目、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなどに由来し得る。例示的な天然哺乳動物IL-15核酸配列のアクセッション番号には、NM_172174(ヒト;配列番号:1);NM_172175(ヒト);NM_000585(ヒト);U19843(マカク;配列番号:14);DQ021912(マカク);AB000555(マカク);NM_214390(ブタ);DQ152967(ヒツジ);NM_174090(ウシ);NM_008357(マウス);NM_013129(クマネズミ属);DQ083522(スイギュウ);XM_844053(イヌ);DQ157452(ウサギ目);およびNM_001009207(ネコ)が含まれる。例示的な天然哺乳動物IL-15アミノ酸配列のアクセッション番号には、NP_751914(ヒト;配列番号:2);CAG46804(ヒト);CAG46777(ヒト);AAB60398(マカク;配列番号:15);AAY45895(マカク);NP_999555(ブタ);NP_776515(ウシ);AAY83832(スイギュウ);ABB02300(ヒツジ);XP_849146(イヌ);NP_001009207(ネコ);NP_037261(クマネズミ属);およびNP_032383(マウス)が含まれる。
【0036】
「インターロイキン-15」または「IL-15」という用語は、天然哺乳動物IL-15アミノ酸配列またはそのようなポリペプチドをコードするヌクレオチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、生物活性のある(変異タンパク質(「ムテイン」)が、少なくとも1つの機能アッセイにおいて天然IL-15タンパク質の機能性と類似した(75%またはそれ以上)機能性を有することを意味する)ポリペプチドを指す。IL-15ポリペプチドの例示的な機能アッセイには、T細胞の増殖(例えば、Montes, et al., Clin Exp Immunol (2005) 142:292を参照されたい)、ならびにNK細胞、マクロファージ、および好中球の活性化が含まれる。特定の免疫細胞亜集団を単離する方法および増殖を検出する方法(すなわち、3H-チミジンの取り込み)は、当技術分野で周知である。細胞媒介性細胞傷害活性アッセイを用いて、NK細胞、マクロファージ、および好中球活性化を測定することができる。同位体(51Cr)、色素(例えば、テトラゾリウム、ニュートラルレッド)、または酵素の放出を含む細胞媒介性細胞傷害活性アッセイもまた当技術分野で周知であり、市販のキットが存在する(Oxford Biomedical Research、ミシガン州、オックスフォード;Cambrex、メリーランド州、ウォーカーズビル;Invitrogen、カリフォルニア州、カールズバッド)。IL-15はまた、Fas媒介性アポトーシスを阻害することが示されている(Demirci and Li, Cell Mol Immunol (2004) 1:123を参照されたい)。例えばTUNELアッセイおよびアネキシンVアッセイを含むアポトーシスアッセイは当技術分野で周知であり、市販のキットが存在する(R&D Systems、ミネソタ州、ミネアポリス)。Coligan, et al., Current Methods in Immunology, 1991-2006, John Wiley & Sonsもまた参照されたい。
【0037】
「天然哺乳動物インターロイキン-15受容体α(IL15Ra)」という用語は、哺乳動物種由来のIL-15受容体αの任意の天然インターロイキン-15受容体α核酸およびアミノ酸配列を指す。当業者であれば、インターロイキン-15受容体α核酸およびアミノ酸配列が、遺伝子データベースにおいて、例えばワールドワイドウェブncbi.nlm.nih.gov上の全米バイオテクノロジー情報センターを通してGenBankにおいて公的に入手可能であることを理解すると考えられる。例示的な天然哺乳動物IL-15受容体α核酸またはアミノ酸配列は、例えば、ヒト、霊長動物、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、齧歯目、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなどに由来し得る。例示的な天然哺乳動物IL-15核酸配列のアクセッション番号には、NM_002189(ヒトインターロイキン15受容体α(IL15RA)、転写産物変種1、mRNA)が含まれる。
【0038】
「インターロイキン-15受容体α」または「IL15Ra」という用語は、天然哺乳動物IL15Raアミノ酸配列またはそのようなポリペプチドをコードするヌクレオチドと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、生物活性のある(変異タンパク質(「ムテイン」)が、少なくとも1つの機能アッセイにおいて天然IL15Raタンパク質の機能性と類似した(75%またはそれ以上)機能性を有することを意味する)ポリペプチドを指す。1つの機能アッセイは天然IL-15タンパク質への特異的結合である。
【0039】
「核酸」という用語は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、および一本鎖または二本鎖形態のいずれかのそれらのポリマーを指す。この用語は、参照核酸と類似の結合特性を有し、かつ参照ヌクレオチドと類似の様式で代謝される、合成、天然、および非天然の公知のヌクレオチド類似体または修飾骨格残基または連結を含む核酸を包含する。そのような類似体の例には、非限定的に、ホスホロチオエート、ホスホロアミダート、メチルホスホン酸、キラル-メチルホスホン酸、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)が含まれる。
【0040】
特記しない限り、特定の核酸配列は、明確に示した配列ばかりでなく、その保存的改変変種(例えば、縮重コドン置換)および相補的配列をも言外に包含する。縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置を混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換した配列を作製することによって達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991);Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985);Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換的に用いられる。
【0041】
天然アミノ酸の縮重コドン置換を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
2つまたはそれ以上の核酸またはポリペプチド配列との関連における「同一の」またはパーセント「同一性」という用語は、以下に記載する初期設定パラメータでBLASTもしくはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを用いて、または手作業でのアラインメントおよび目視検査により測定した場合に(例えば、NCBIウェブサイトなどを参照されたい)、同一であるかまたは特定の割合のアミノ酸残基またはヌクレオチドが同一である(すなわち、比較窓または指定領域にわたって最大限の一致を得るように比較およびアライメントした場合の、特定領域(例えば、配列番号:1〜23のいずれか1つ)にわたる約70%の同一性、好ましくは75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性)2つまたはそれ以上の配列または部分配列を指す。そのような配列は、その時「実質的に同一である」と称される。この定義はまた、試験配列の相補体を指すか、またはそれに対して適用され得る。この定義はまた、欠失および/または付加を有する配列、ならびに置換を有する配列を含む。以下に記載するように、好ましいアルゴリズムはギャップなどについて明らかにし得る。好ましくは、同一性は、少なくとも約25、50、75、100、150、200アミノ酸長もしくはヌクレオチド長の領域にわたり、多くの場合には225、250、300、350、400、450、500アミノ酸長もしくはヌクレオチド長の領域にわたり、またはアミノ酸もしくは核酸配列の全長にわたり存在する。
【0044】
配列比較では、典型的に1つの配列が、試験配列を比較する参照配列となる(本明細書では、「天然哺乳動物」IL-15アミノ酸または核酸配列全体)。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列をコンピューターに入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。好ましくは、初期設定プログラムパラメータを用いるか、または別のパラメータを指定することができる。次いで、配列比較アルゴリズムにより、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性が計算される。
【0045】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの好ましい例は、Altschul et al., Nuc. Acids Res. 25:3389-3402 (1997)、およびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)にそれぞれ記載されているBLASTアルゴリズムである。BLASTソフトウェアは、ワールドワイドウェブncbi.nlm.nih.gov/上の全米バイオテクノロジー情報センターを通して公的に利用可能である。初期設定パラメータまたは他の非初期設定パラメータの両方を使用することができる。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、初期設定としてワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムでは、初期設定としてワード長3、および期待値(E)10、およびBLOSUM62スコア行列(Henikoff & Henikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照されたい)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、ならびに両鎖の比較を使用する。
【0046】
アミノ酸は、本明細書中では、IUPAC-IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)により推奨されている一般に知られている3文字記号または1文字記号により参照され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に是認されている1文字コードにより参照され得る。
【0047】
本明細書で使用する「保存的改変変種」は、アミノ酸配列に適用される。当業者であれば、コード配列中の単一のアミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を変更、付加、または欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列への個々の置換、欠失、または付加が、その変化によってアミノ酸の化学的に類似したアミノ酸との置換を生じる場合に「保存的改変変種」であることを認識すると考えられる。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当技術分野において周知である。そのような保存的改変変種は、本発明の多型変種、種間相同体、および対立遺伝子に加えられるものであり、かつこれらを除外するものではない。
【0048】
以下の8群はそれぞれ、相互に保存的置換であるアミノ酸を含む:
1) アラニン(A)、グリシン(G);
2) アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3) アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4) アルギニン(R)、リジン(K);
5) イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6) フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7) セリン(S)、スレオニン(T);および
8) システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照されたい)。
【0049】
「GC含量」という用語は、デオキシグアノシン(G)および/またはデオキシシチジン(C)デオキシリボヌクレオシド、またはグアノシン(G)および/またはシチジン(C)リボヌクレオシド残基から構成される核酸配列の割合を指す。
【0050】
「哺乳動物」または「哺乳動物の」という用語は、分類学的分類の哺乳動物内に入る任意の動物を指す。哺乳動物は、ヒトまたは非ヒト霊長動物を指し得る。哺乳動物は、例えばイヌ、ネコ、齧歯目(ウサギ、マウス、クマネズミ属、キヌゲネズミ亜科(ハムスター)を含む)などを含む家畜を指し得る。哺乳動物は、例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなどを含む農業動物を指し得る。
【0051】
「機能的に連結された」という用語は、第1および第2核酸配列が単一の核酸配列に転写されるような、第1核酸配列と第2核酸配列との間の機能的連結を指す。機能的に連結された核酸配列は、相互に物理的に隣接している必要はない。「機能的に連結された」という用語はまた、核酸発現制御配列(プロモーター、一連の転写因子結合部位)と転写可能な核酸配列との間の機能的連結を指し、この場合、発現制御配列は、転写可能な配列に対応する核酸の転写を指示する。
【0052】
詳細な説明
1. 序文
コード核酸またはタンパク質形態のサイトカインインターロイキン-15は、免疫細胞刺激物質(例えば、リンパ球の増殖および活性化)およびワクチンアジュバントとして有用である。天然IL-15コード配列は、潜在的スプライス部位などのRNA配列内のシグナル、およびコード配列内に組み込まれた低安定性決定基(多くの場合、A/TまたはA/Uリッチ)配列を含むいくつかの異なる理由から、IL-15を最適に発現しない。IL-15配列の潜在的スプライス部位および低安定性配列を最小限にすることによって、IL-15タンパク質の発現を、天然哺乳動物IL-15配列からの発現と比較して4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、15倍、20倍、30倍、またはそれ以上増加させることができる。この目的のための一般法が確立されており、これはコードmRNAのいくつかのコドンを同じアミノ酸をコードする別のコドンに変更する段階を含む(例えば、第5,965,726号;第5,972,596号;第6,174,666号;第6,291,664号;第6,414,132号;および第6,794,498号を参照されたい、これら各々の開示はすべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。これにより、産生されるタンパク質を変更することなく、RNA内に組み込まれている負に作用する任意のシグナルに変化がもたらされる。
【0053】
哺乳動物細胞におけるIL-15タンパク質の産生は、天然IL-15シグナルペプチドおよび/またはプロペプチド配列を、例えば組織プラスミノーゲンアクチベーター、成長ホルモン、または免疫グロブリンタンパク質を含む異種タンパク質由来のシグナルペプチドおよび/またはプロペプチド配列と交換することによってさらに増加させることができる。異種シグナルペプチドおよび/またはプロペプチドに融合された成熟IL-15の改良型コード配列を使用することで、IL-15哺乳動物細胞の発現レベルを、野生型IL-15配列からの発現と比較して20倍、40倍、50倍、70倍、90倍、またはそれ以上増加させることができ、天然シグナルペプチドおよび/またはプロペプチド配列を有する改良型IL-15コード配列からの発現と比較してさらに2倍、3倍、4倍、5倍、またはそれ以上増加させることができる(図1を参照されたい)。
【0054】
2. 核酸配列
本発明の改良型高発現IL-15核酸配列は通常、鋳型としての天然哺乳動物インターロイキン-15コード配列に基づく。天然インターロイキン-15をコードする核酸配列は、ワールドワイド上で利用可能なヌクレオチド、タンパク質、および科学的データベースを含む公的に利用可能なデータベース中に容易に見出すことができる。
【0055】
詳細な説明
1. 序文
コード核酸またはタンパク質形態のサイトカインインターロイキン-15は、免疫細胞刺激物質(例えば、リンパ球の増殖および活性化)およびワクチンアジュバントとして有用である。天然IL-15コード配列は、潜在的スプライス部位などのRNA配列内のシグナル、およびコード配列内に組み込まれた低安定性決定基(多くの場合、A/TまたはA/Uリッチ)配列を含むいくつかの異なる理由から、IL-15を最適に発現しない。IL-15配列の潜在的スプライス部位および低安定性配列を最小限にすることによって、IL-15タンパク質の発現を、天然哺乳動物IL-15配列からの発現と比較して4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、15倍、20倍、30倍、またはそれ以上増加させることができる。この目的のための一般法が確立されており、これはコードmRNAのいくつかのコドンを同じアミノ酸をコードする別のコドンに変更する段階を含む(例えば、第5,965,726号;第5,972,596号;第6,174,666号;第6,291,664号;第6,414,132号;および第6,794,498号を参照されたい、これら各々の開示はすべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。これにより、産生されるタンパク質を変更することなく、RNA内に組み込まれている負に作用する任意のシグナルに変化がもたらされる。
【0056】
哺乳動物細胞におけるIL-15タンパク質の産生は、天然IL-15シグナルペプチドおよび/またはプロペプチド配列を、例えば組織プラスミノーゲンアクチベーター、成長ホルモン、または免疫グロブリンタンパク質を含む異種タンパク質由来のシグナルペプチドおよび/またはプロペプチド配列と交換することによってさらに増加させることができる。異種シグナルペプチドおよび/またはプロペプチドに融合された成熟IL-15の改良型コード配列を使用することで、IL-15哺乳動物細胞の発現レベルを、野生型IL-15配列からの発現と比較して20倍、40倍、50倍、70倍、90倍、またはそれ以上増加させることができ、天然シグナルペプチドおよび/またはプロペプチド配列を有する改良型IL-15コード配列からの発現と比較してさらに2倍、3倍、4倍、5倍、またはそれ以上増加させることができる(図1を参照されたい)。
【0057】
2. 核酸配列
本発明の改良型高発現IL-15核酸配列は通常、鋳型としての天然哺乳動物インターロイキン-15コード配列に基づく。天然インターロイキン-15をコードする核酸配列は、ワールドワイドウェブ上でncbi.nlm.nih.govの全米バイオテクノロジー情報センターを通して利用可能なヌクレオチド、タンパク質、および科学的データベースを含む公的に利用可能なデータベース中に容易に見出すことができる。天然IL-15核酸配列は、胎盤、骨格筋、腎臓、肺、心臓、および単球/マクロファージを含む多くの哺乳動物組織から簡便にクローニングすることができる(Grabstein, et al., Science (1994) 264:965を参照されたい)。所望の免疫細胞集団の単離および刺激の手順は、当技術分野において周知である。例えば、Current Protocols in Immunology, Coligan, et al., eds., 1991-2006, John Wiley & Sonsを参照されたい。
【0058】
配列は、mRNAの輸送、安定性、および発現に影響するいくつかの因子を同時に修正する方法に従って改変される。全体的なmRNA AT(AU)含量を変更するように、すべての潜在的スプライス部位を最小限にするかまたは除去するように、ならびにmRNAの安定性に負に影響することが知られている、AまたはT/Uヌクレオチドの並び、AATAAA、ATTTA、および密接に関連した変種配列などの、mRNAの安定性およびプロセシングに影響する任意の他の阻害配列およびシグナルを変更するように、コドンを変更する。本出願においてIL-15コード核酸配列に適用する方法は、米国特許第6,794,498号;第6,414,132号;第6,291,664号;第5,972,596号;および第5,965,726号に記載されており、これら各々の開示はすべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0059】
一般に、コードIL-15配列のヌクレオチド塩基またはコドンへの変更は、天然IL-15タンパク質に由来するIL-15タンパク質を含むアミノ酸配列を変更しない。変更は、上記の表1に要約した同一アミノ酸の別のコドンを利用する、遺伝暗号の縮重に基づく。特定の態様においては、同一のアミノ酸残基ではなく類似のアミノ酸残基をコードするように、1つまたは複数のコドンを変更することが望ましい。コードアミノ酸残基の適用可能な保存的置換は上記してある。
【0060】
多くの場合、IL-15コード配列の安定性を増加させるために本方法を行う上では、特定アミノ酸の相対的によりA/Tリッチなコドンを、同じアミノ酸をコードする相対的によりG/Cリッチなコドンと置換する(例えば、図2および4を参照されたい)。例えば、相対的によりA/Tリッチなコドンおよび相対的によりG/Cリッチなコドンによってコードされるアミノ酸を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
導入する変更の数に応じて、本発明の改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸配列は、完全な合成配列として簡便に作製することができる。タンパク質をコードする合成核酸配列または合成遺伝子配列を構築する技法は、当技術分野で周知である。合成遺伝子配列は、DNA 2.0(カリフォルニア州、メンロパーク)、Geneart(カナダ、オンタリオ州、トロント)、CODA Genomics(カリフォルニア州、アーバイン)、およびGenScript, Corporation(ニュージャージー州、ピスカタウェイ)を含むいくつかのサービス企業のいずれかより商業的に購入することができる。または、コドン変化は、当技術分野で周知の技法を用いて導入することができる。改変はまた、例えば部位特異的インビトロ突然変異誘発により、もしくはPCRにより、または核酸配列を特異的に変化させるのに適している当技術分野で公知の任意の他の遺伝子操作法により行うことができる。インビトロ突然変異誘発手順は、例えば、In Vitro Mutagenesis Protocols, Braman, ed., 2002, Humana Press、およびSankaranarayanan, Protocols in Mutagenesis, 2001, Elsevier Science Ltdに記載されている。
【0063】
高レベル発現の改良型IL-15および/またはIL15Ra配列は、天然IL-15および/またはIL15Ra核酸配列全体にわたって選択されたコドンを変更することにより、または5'末端、3'末端、もしくは中央部分配列内のコドンを変更することにより構築することができる。すべてのコドンを変更する必要はないが、改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸配列の発現(すなわち、転写および/または翻訳)が、同条件下における天然IL-15および/またはIL15Ra核酸配列からの発現と比較して少なくとも約10%、25%、50%、75%、1倍、2倍、4倍、8倍、20倍、40倍、80倍、またはそれ以上増加するように、十分な数のコドンを変更する。発現は、例えばゲル電気泳動、または液相もしくは固相結合反応(例えば、ELISA、免疫組織化学)において抗IL-15抗体もしくは抗IL15Ra抗体を用いるなど、当業者に公知の技法を用いて、長期にわたり、または指定の終点で検出することができる。インターロイキン-15 ELISA検出キットは、例えばRayBiotech、ジョージア州、ノークロス;Antigenix America、ニューヨーク州、ハンティントンステーション;eBioscience、カリフォルニア州、サンディエゴ;Biosurce(Invitrogen)、カリフォルニア州、カマリロ;R & D Systems(ミネソタ州、ミネアポリス)、およびPeproTech、ニュージャージー州、ロッキーヒルから市販されている。
【0064】
図8において特定されているヌクレオチドまたはコドン変化位置の通常少なくとも約50%を、同じまたは類似のアミノ酸残基がコードされるように、別のヌクレオチドまたはコドンに変更する。他の態様においては、図8において特定されているコドン変化の少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、95%、97%、98%、99%を、同じまたは類似のアミノ酸残基がコードされるように、別のヌクレオチドまたはコドンに変更する。
【0065】
図8において特定されている、改良型IL-15核酸配列に関して変更が可能なヌクレオチド位置は、6、9、15、18、21、22、27、30、33、49、54、55、57、60、63、69、72、75、78、81、84、87、90、93、96、105、106、114、120、123、129、132、135、138、141、156、159、162、165、168、169、174、177、180、183、186、189、192、195、198、204、207、210、213、216、217、219、222、228、231、237、246、252、255、258、261、277、283、285、291、294、297、300、306、309、312、315、318、321、324、327、330、333、336、339、351、354、363、364、369、372、375、384、387、390、393、396、402、405、414、423、426、429、432、435、438、442、450、453、456、459、462、468、483、および486である。
【0066】
改良型IL-15核酸配列のGC含量は通常、本方法を適用した場合、天然IL-15核酸配列と比較して増加する。例えば、改良型IL-15核酸配列のGC含量は、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、またはそれ以上であってよい。
【0067】
いくつかの態様においては、天然IL-15シグナルペプチド(SIG)配列またはシグナルペプチドおよびプロペプチド(SIG-PRO)配列を、異種タンパク質(すなわち、IL-15以外のタンパク質)由来の分泌SIG配列またはSIG-PRO配列と置換する(例えば、図9を参照されたい)。例示的なシグナルペプチドおよびプロペプチド配列には、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)タンパク質、成長ホルモン、GM-CSF、および免疫グロブリンタンパク質由来のものが含まれる。組織プラスミノーゲンアクチベーターシグナルペプチドおよびプロペプチド配列は、当技術分野で公知である(Delogu, et al, Infect Immun (2002) 70:292;GenBankアクセッション番号E08757を参照されたい)。成長ホルモンシグナルペプチドおよびプロペプチド配列もまた、当技術分野で公知である(Pecceu, et al., Gene (1991) 97:253;GenBankアクセッション番号M35049およびX02891を参照されたい)。例えば免疫グロブリン重鎖の免疫グロブリンシグナルペプチドおよびプロペプチド配列もまた、当技術分野で公知である(Lo, et al., Protein Eng. (1998) 11:495、ならびにGenBankアクセッション番号Z75389およびD14633を参照されたい)。シグナルペプチド-IL-15融合タンパク質およびSIG-PRO-IL-15融合タンパク質は、例えば成熟IL-15のN末端アミノ酸残基の直前で融合タンパク質の1つまたは複数の部位に導入された、部位特異的プロテアーゼによって認識される切断配列を有し得る。フューリン、トロンビン、エンテロキナーゼ、ファクターXaなどの切断部位を含む、部位特異的プロテアーゼによって認識される多くの切断配列が当技術分野で公知である。
【0068】
1つの態様においては、天然IL-15シグナルペプチドおよびプロペプチド配列を、tPA由来のシグナルペプチドおよびプロペプチド配列と置換する。さらなる態様においては、tPA SIG-PRO配列を、1つもしくは複数のアミノ酸残基を除去するように、および/またはプロテアーゼ切断部位(例えば、トロンビン、エンテロキナーゼ、ファクターXa)を組み入れるように変更する。図12を参照されたい。
【0069】
いくつかの態様においては、天然IL15Raシグナルペプチド(SIG)配列またはシグナルペプチドおよびプロペプチド(SIG-PRO)配列を、異種タンパク質(すなわち、IL15Ra以外のタンパク質)由来の分泌SIG配列またはSIG-PRO配列と置換する。例示的なシグナルペプチドおよびプロペプチド配列には、例えば組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)タンパク質、GM-CSF、成長ホルモン、および免疫グロブリンタンパク質など、上記のものが含まれる。いくつかの態様において、IL15Ra核酸配列は、機能的に連結されたFc配列などの免疫グロブリン配列をコードしない。
【0070】
高レベル発現の改良型IL-15核酸配列が構築されたならば、これを例えばTA-cloning(登録商標)ベクター(Invitrogen、カリフォルニア州、カールズバッド)などのクローニングベクターにクローニングして、1つまたは複数の発現ベクターに挿入するためにさらなる操作に供することができる。組換え体の改変および精製を含む改良型IL-15核酸配列の操作は、当技術分野で周知の手順を用いて行うことができる。そのような手順は、例えば、Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2000, Cold Spring Harbor Laboratory Press and Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel, et al., eds., 1987-2006, John Wiley & Sonsに公表されている。
【0071】
3. 発現ベクター
IL-15およびIL15Ra配列は、改良型IL-15および/またはIL15Raコード配列を含む発現ベクターから組換えによって発現させることができる。IL-15および/またはIL15Raコード配列の一方または両方を改良することができる。本発明の発現ベクターは、哺乳動物細胞においてIL-15およびIL15Raの一方または両方を発現する発現カセットを有する。IL-15およびIL15Raは、同じまたは複数のベクターから発現させることができる。IL-15およびIL15Raは、同じベクターから、1つまたは複数の発現カセットより発現させることができる(例えば、内部リボソーム侵入部位を有する単一の発現カセット;または2つのプロモーターおよび2つのポリA部位を使用する二重発現カセット)。各発現カセット内では、IL-15およびIL15Raをコードする配列は、発現調節配列に機能的に連結されている。「機能的に連結される」配列には、関心対象の核酸配列と隣接している発現制御配列、および関心対象の遺伝子を制御するようにトランスでまたはある距離を置いて作用する発現制御配列の両方が含まれる。発現制御配列には、適切な転写開始配列、終結配列、プロモーター配列、およびエンハンサー配列;スプライシングおよびポリアデニル化シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;RNA搬出を促進する配列(例えば、構成的輸送エレメント(CTE)、RNA輸送エレメント(RTE)、またはRTEm26CTEを含むそれらの組み合わせ);翻訳効率を増強する配列(例えば、コザック共通配列);タンパク質安定性を増強する配列;ならびに必要に応じて、タンパク質分泌を増強する配列が含まれる。
【0072】
発現ベクターは、選択マーカーを発現する第3の独立した発現ベクターをまた任意に有し得る。選択マーカーは当技術分野で周知であり、これには例えば、抗生物質に対する耐性を付与するタンパク質、蛍光タンパク質、抗体エピトープなどが含まれ得る。抗生物質耐性を付与する例示的なマーカーには、β-ラクタマーゼ(ペニシリン、アンピシリン、カルベニシリンを含むβ-ラクタムに対する)をコードする配列、またはテトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、カナマイシン、ネオマイシン)に対する耐性をコードする配列などが含まれる。例示的な蛍光タンパク質には、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、および赤色蛍光タンパク質が含まれる。
【0073】
発現カセット中に含まれるプロモーターは、哺乳動物細胞においてIL-15および/またはIL15Raポリペプチドの発現を促進すべきである。プロモーターは、ウイルス、オンコウイルス、もしくは天然哺乳動物の構成的または誘導性プロモーターであってよく、または特定の組織型もしくは細胞型において(例えば、「組織特異的に」)IL-15および/もしくはIL15Raの転写を優先的に調節し得る。
【0074】
「構成的」プロモーターとは、大部分の環境および発生条件下において活性を有するプロモーターである。哺乳動物細胞における例示的な構成的プロモーターには、オンコウイルスプロモーター(例えば、サルサイトメガロウイルス(CMV)、ヒトCMV、シミアンウイルス40(SV40)、ラウス肉腫ウイルス(RSV))、免疫グロブリンエレメント(例えば、IgH)のプロモーター、「ハウスキーピング」遺伝子(例えば、β-アクチン、ジヒドロ葉酸還元酵素)のプロモーターが含まれる。
【0075】
別の態様においては、誘導性プロモーターが所望され得る。「誘導性」プロモーターとは、環境または発生調節下で活性を有するプロモーターである。誘導性プロモーターは、外因的に供給される化合物によって調節を受けるプロモーターであり、これには非限定的に、亜鉛誘導性メタロチオネイン(MT)プロモーター;イソプロピルチオガラクトース(IPTG)誘導性プロモーター、デキサメタゾン(Dex)誘導性マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター;テトラサイクリン抑制系(Gossen et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 5547-5551 (1992));テトラサイクリン誘導系(Gossen et al., Science, 268: 1766-1769 (1995);Harvey et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 2: 512-518 (1998)もまた参照されたい);RU486誘導系(Wang et al., Nat. Biotech., 15: 239-243 (1997)、およびWang et al., Gene Ther., 4: 432-441 (1997));およびラパマイシン誘導系(Magari et al. J. Clin. Invest., 100: 2865-2872 (1997))が含まれる。この文脈において有用であり得る他の種類の誘導性プロモーターは、特定の生理的状態、例えば温度、急性期によって、または複製している細胞でのみ調節を受けるプロモーターである。
【0076】
別の態様においては、哺乳動物IL-15の天然プロモーターを使用することができる。天然プロモーターは、改良型IL-15配列の発現が天然発現を模倣すべきことが望ましい場合に好ましいと考えられる。天然プロモーターは、改良型IL-15および/またはIL15Raの発現が時間的もしくは発生的に、または組織特異的様式で、または特定の転写刺激に応答して調節を受けなければならない場合に使用することができる。さらなる態様においては、エンハンサーエレメント、ポリアデニル化部位、またはコザック共通配列などの他の天然発現制御エレメントもまた、天然IL-15および/またはIL15Raの発現を模倣するために使用することができる。
【0077】
別の態様では、改良型IL-15および/またはIL15Ra配列を、組織特異的プロモーターに機能的に連結することができる。例えば、リンパ球または単球での発現を所望するのであれば、それぞれリンパ球または単球で活性を有するプロモーターを使用すべきである。組織特異的であるプロモーターの例は、特に肝臓(アルブミン、Miyatake et al. J. Virol., 71: 5124-32 (1997);B型肝炎ウイルスコアプロモーター、Sandig et al., Gene Ther., 3: 1002-9 (1996);α-フェトプロテイン(AFP)、Arbuthnot et al., Hum. Gene Ther. 7: 1503-14 (1996))、骨(オステオカルシン、Stein et al., Mol. Biol. Rep., 24: 185-96 (1997);骨シアロタンパク質、Chen et al., J. Bone Miner. Res., 11: 654-64 (1996))、リンパ球(CD2、Hansal et al., J. Immunol., 161: 1063-8 (1998);免疫グロブリン重鎖;T細胞受容体α鎖)、ニューロン(ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター、Andersen et al. Cell. Mol. Neurobiol., 13: 503-15 (1993);神経フィラメント軽鎖遺伝子、Piccioli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 5611-5 (1991);ニューロン特異的vgf遺伝子、Piccioli et al., Neuron, 15: 373-84 (1995))を含む多くの組織について知られている。
【0078】
いくつかの態様においては、改良型IL-15および/またはIL15Ra配列を、1つまたは複数のmRNA搬出配列に機能的に連結する。例示的なmRNA搬出エレメントには、サルD型レトロウイルスの非スプライスRNAの核-細胞質輸送に重要である構成的輸送エレメント(CTE)が含まれる。別の例示的なRNA搬出エレメントには、齧歯動物嚢内A粒子レトロエレメント中に存在するRNA輸送エレメント(RTE)が含まれる。CTEおよびRTEエレメントは、個別にまたは組み合わせて使用することができる。1つの態様において、RTEはRTEm26(例えば、配列番号:22)である。1つの態様において、RTEM26およびCTEは、発現カセットによってコードされる転写産物の3'非翻訳領域中に位置する。多くの場合、RTEとCTEは、100ヌクレオチドまたはそれ未満のヌクレオチドによって隔てられる。いくつかの態様において、RTEとCTEは、30ヌクレオチドまたはそれ未満のヌクレオチドによって隔てられる。1つの態様において、RTEおよびCTEは、配列番号:23に記載される配列(RTEm26CTE)により含まれる。改良型IL-15配列の発現のさらなる発現増加に用いられるRNA搬出エレメントは、例えばWO 04/113547に記載されており、この開示はすべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0079】
4. 哺乳動物細胞
本発明の発現ベクターは、哺乳動物宿主細胞で発現させることができる。宿主細胞は、宿主におけるインビボであっても、またはインビトロであってもよい。例えば、高レベル発現のIL-15および/またはIL15Ra核酸配列を含む発現ベクターをインビトロで培養哺乳動物宿主細胞にトランスフェクションすること、またはインビボで哺乳動物宿主中の哺乳動物宿主細胞に送達することができる。
【0080】
改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸配列を発現させるために使用できる例示的な宿主細胞には、哺乳動物初代細胞、ならびにCOS、CHO、HeLa、NIH3T3、HEK 293-T、RD、およびPC12細胞を含む樹立された哺乳動物細胞株が含まれる。高レベル発現の改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸配列からIL-15および/またはIL15Raタンパク質を発現させるための哺乳動物宿主細胞は、例えばAmerican Type Tissue Collection(ATCC)、バージニア州、マナッサスから市販されている。哺乳動物細胞のインビトロ培養の手順もまた、当技術分野で周知である。例えば、Handbook of Industrial Cell Culture: Mammalian, Microbial, and Plant Cells, Vinci, et al., eds., 2003, Humana Press;およびMammalian Cell Culture: Essential Techniques, Doyle and Griffiths, eds., 1997, John Wiley & Sonsを参照されたい。
【0081】
インビトロで哺乳動物宿主細胞をトランスフェクションし、組換え核酸配列を発現させる手順は、当技術分野で周知である。例えば、Sambrook and Russell、およびAusubel, et al、前記;Gene Delivery to Mammalian Cells: Nonviral Gene Transfer Techniques, Methods in Molecular Biology series, Heiser, ed., 2003, Humana Press;ならびにMakrides, Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells, New Comprehensive Biochemistry series, 2003, Elsevier Scienceを参照されたい。改良型IL-15核酸配列を発現するように改変される哺乳動物宿主細胞には、組換えベクターを一過性にまたは安定にトランスフェクションすることができる。改良型IL-15および/またはIL15Ra配列は、後成的に残るか、または染色体に組み込まれ得る。
【0082】
5. 改良型IL-15および/またはIL15Ra配列の投与
高レベル発現の改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸配列は、例えば免疫不全を治療するために(例えば、B細胞、T細胞、NK細胞、およびNK T細胞を含むリンパ球の増殖を促進するため)単独で個体に投与するのに、または1つもしくは複数のワクチン抗原と同時送達するアジュバントとして適している。免疫不全を治療するためおよびアジュバントとしてのIL-15および/またはIL15Raの使用は、当技術分野で公知である(例えば、Diab, et al.、前記;Ahmad, et al、前記;およびAlpdogan and van den Brink、前記を参照されたい)。
【0083】
1つの態様においては、高レベル発現の改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸配列を1つまたは複数のワクチン抗原と同時投与し、少なくとも改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸配列は裸のDNAとして送達する。1つまたは複数の抗原は、1つもしくは複数のポリペプチド抗原、または1つもしくは複数の抗原をコードする核酸として投与することができる。裸のDNAワクチンは当技術分野で一般に公知である;Wolff, et al., Science (1990) 247:1465;Brower, Nature Biotechnology (1998) 16:1304;およびWolff, et al., Adv Genet (2005) 54:3を参照されたい。DNAワクチンとして核酸を使用する方法は、当業者に周知である。DNA Vaccines, Ertl, ed., 2003, Kluwer Academic Pub and DNA Vaccines: Methods and Protocols, Lowrie and Whalen, eds., 1999, Humana Pressを参照されたい。この方法は、患者で発現させるために、1つまたは複数の抗原をコードする核酸をプロモーターの制御下に置くことを含む。高レベル発現の改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸配列を同時投与することで、1つまたは複数の抗原に対する免疫応答がさらに増強される。理論によって縛られることはないが、DNAワクチンによってコードされるポリペプチドの発現に続いて、抗原を発現する細胞または病原体を認識してこれを破壊または除去する細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、および抗体が誘導される。
【0084】
1つの態様においては、IL-15および/またはIL15Ra配列の一方または両方をタンパク質として同時投与する。
【0085】
本発明は、生理的に許容される担体中に改良型IL-15および/またはIL15Raアミノ酸配列および核酸配列を含む組成物を企図する。本発明の薬学的組成物では当業者に公知の任意の適切な担体を使用することができるが、担体の種類は投与方法に応じて異なる。鼻腔内、皮内、皮下、または筋肉内注射またはエレクトロポレーションを含む非経口投与の場合、担体は好ましくは水、生理食塩水、および任意にアルコール、脂肪、ポリマー、ロウ、1つもしくは複数の安定化アミノ酸、または緩衝液を含む。一般的な製剤化技法は当業者に公知である(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th edition), Gennaro, ed., 2000, Lippincott Williams & Wilkins;Injectable Dispersed Systems: Formulation, Processing And Performance, Burgess, ed., 2005, CRC Press;およびPharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins, Frkjr et al., eds., 2000, Taylor & Francisを参照されたい)。
【0086】
裸のDNAは、通常は動脈内、静脈内、皮下、または筋肉内経路による注射によって、溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩溶液)中で送達することができる。一般に、裸の核酸組成物の用量は、典型的な70キログラムの患者に対して約10μg〜10 mgである。裸の核酸(典型的には、融合タンパク質をコードするDNA)の皮下または筋肉内用量は、全般に良好な健康状態にある70 kg患者に対して0.1 mg〜50 mgである。
【0087】
DNAワクチン接種は、1回または複数回施すことができる。いくつかの態様において、改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸配列は、所望の応答(例えば、特異的な抗原応答または免疫細胞の増殖)を誘導するために、必要に応じて複数回、例えば2、3、4、5、6、7、8、10、15、20回、またはそれ以上投与される。複数回投与は、所望の応答を達成するのに十分な期間にわたり、必要に応じて例えば隔週、毎週、隔月、毎月、またはより頻繁にもしくはより低い頻度で施すことができる。
【0088】
いくつかの態様において、改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸組成物は、リポソームに基づく方法、エレクトロポレーション、またはバイオリスティック(biolistic)微粒子加速により投与する。インビボでDNAを細胞に送達するための送達装置(例えば、「遺伝子銃」)を使用することができる。そのような装置は市販されている(例えば、BioRad、カリフォルニア州、ハーキュリーズ、Chiron Vaccines、カリフォルニア州、エメリービル)。裸のDNAはまた、細胞表面受容体のリガンドと結合したポリリジンなどの陽イオンにDNAを複合化することによって、細胞に導入することができる(例えば、Wu, G. and Wu, C. H. (1988) J. Biol. Chem. 263:14621;Wilson et al. (1992) J. Biol. Chem. 267:963-967;および米国特許第5,166,320号;第6,846,809号;第6,733,777号;第6,720,001号;第6,290,987号を参照されたい)。裸のDNAを哺乳動物宿主細胞に送達するためのリポソーム製剤は、例えばEncapsula NanoSciences、テネシー州、ナッシュビルから市販されている。裸のDNAを哺乳動物宿主細胞に送達するために使用するエレクトロポレーション装置は、例えばInovio Biomedical Corporation、カリフォルニア州、サンディエゴから市販されている。
【0089】
改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸ワクチン組成物は、哺乳動物宿主に投与される。哺乳動物宿主は通常、ヒトまたは霊長動物である。いくつかの態様において、哺乳動物宿主は家畜、例えばイヌ、ネコ、ウサギ目、齧歯目、クマネズミ属、ハムスター、マウスであってよい。他の態様において、哺乳動物宿主は農業動物、例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなどである。
【0090】
6. IL-15および/またはIL15Raを哺乳動物細胞で発現させる方法
本発明の方法は、本明細書に記載の高レベル改良型IL-15および/またはIL15Ra核酸配列を発現するための組換えベクターを細胞に導入することによって、哺乳動物細胞においてIL-15および/またはIL15Raを発現させることを提供する。改変する哺乳動物細胞は、インビトロであっても、または哺乳動物宿主におけるインビボであってもよい。
【0091】
本明細書に記載した実施例および態様は説明の目的のためにのみ提供されるものであり、この点を考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが理解される。本明細書において引用した出版物、特許、および特許出願はすべて、すべての目的のためにその全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0092】
実施例
以下の実施例は説明のために提供するものであって、請求する本発明を限定するために提供するものではない。
【0093】
実施例1:
ヌクレオチド変化をIL-15配列に導入する戦略は、mRNAの輸送、安定性、および発現に影響するいくつかの因子を同時に修正するというものである。全体的なmRNA AT(AU)含量を変更するように、すべての潜在的スプライス部位など、RNA内の任意の他の阻害シグナルを除去するように(潜在的スプライス部位を予測するコンピュータプログラムは、例えばfruitfly.org/seq_tools/splice.html、またはsun1.softberry.com/berry.phtmlなどのウェブサイトで見出すことができる)、ならびにまたmRNAに負に影響することが知られている、AまたはT/Uヌクレオチドの並び、AATAAA、ATTTA、および密接に関連した変種配列などの配列を変更するように、コドンを変更する。コドンを同じアミノ酸をコードする異なるコドンと置換することによって、選択されたコドンをよりGCリッチにすることができ、またはRNA構造を変更するのに十分な異なる配列を付与することができる。このアプローチはいくつかの特許に記載されており、その各々は全体として参照により本明細書に組み入れられる;米国特許第5,965,726号;第5,972,596号;第6,174,666号;第6,291,664号;第6,414,132号;および第6,794,498号。
【0094】
手順
プラスミドDNAを作製する、精製する、および配列決定するには、標準的な実験室技法を使用する。106個細胞で前日60 mmプレートに播種したヒト293細胞またはRD細胞に、カルシウム共沈技法(293細胞)およびRD4細胞に関してはSuperFect試薬手順(Qiagen)を用いて、示されたIL-15コード配列を含むプラスミド1マイクログラム(1μg)をトランスフェクションした。2〜3日後、市販のキット(R&D system)を使用して、細胞内および細胞外ならびに全IL-15タンパク質を測定した。ヒトとアカゲザルのIL-15タンパク質の相同性が高いため、それらのタンパク質レベルは市販の同じELISAキットで測定した。種々の実験の結果を、図7、10、11、13、25、26、および27に示す。
【0095】
実施例2
本実施例は、IL-15受容体αおよびIL-15受容体αの可溶性(細胞外)部分(IL15sRa)の改良型発現配列について示す。これらの改良型配列により、IL-15受容体αのタンパク質発現は増加し、インビボおよびインビトロにおいてIL-15活性をさらに最適化する方法が提供される。
【0096】
結果
図39および40は、標準的なトランスフェクション法を用いた、インビトロでのヒト293細胞におけるIL-15とIL-15受容体α最適化配列の同時発現によって、測定される全IL-15レベルが劇的に増加したことを示す。この増加は、IL-15受容体α全体またはIL-15受容体αの細胞外部分への結合によるIL-15分子の安定化の結果である。この結果は、IL-15および受容体が2つの異なるプラスミドによって発現された場合でも、または単一のプラスミドによって2つの異なるプロモーターから発現された場合でも同様であった。
【0097】
図41は、尾静脈注射後にIL-15およびIL-15受容体DNAがマウス組織に送達され発現された場合に、肺のNK細胞のレベルが大幅に増加し、肺のCD3+CD49+細胞もまた増加することを示す。解析ファイルでは、105個細胞当たりの細胞数を示している。
【0098】
図42は、IL-15単独、IL-15 + IL-15受容体α、またはIL-15 + IL-15可溶性受容体αのDNA注射後の、マウスの肝臓におけるNK細胞およびT細胞の増加を示す。解析ファイルでは、106個細胞当たりの細胞数を示している。
【0099】
図43は、脾臓におけるエフェクター細胞(それぞれ、全エフェクターおよびCD8エフェクター)の増加を示す。CD62Lの欠如は、エフェクター表現形を有するマウスメモリーT細胞の集団を規定する。
【0100】
図44は、IL15RaによるIL-15の安定化によって得られたIL-15レベルの増加が、生物学的効果の増加に関与することを示す。
【0101】
方法:
培養細胞における発現
ヒト293細胞に、ヒトIL15tPA6OPTプラスミド0.1μgを単独で、または全長型(huIL15RaOPT)または可溶型(hu sIL15RaOPT)を用いてヒトIL-15受容体αのRNA最適型を発現するプラスミド0.1μgと共にトランスフェクションした。トランスフェクションの24時間後および48時間後に培地を採取し、48時間後に細胞を回収した。QuantikineヒトIL-15イムノアッセイ(R&D systems)を使用してIL-15レベルを測定し、その後細胞から放出させた。
【0102】
マウスでの発現
6週齢Balb/cマウスに、筋肉内経路より両大腿四頭筋に、または尾静脈より水力学的にDNAを注射した。水力学的DNA送達では、マウスに、滅菌0.9% NaCl 1.6 ml中、ヒトIL15-tPA6OPTプラスミド1μgを単独で、または原型(huIL15RaOPT)または可溶型(hu sIL15RaOPT)を用いてヒトIL-15受容体αを発現するプラスミド1μgと共に尾静脈より注射した。3日後、マウスを屠殺し、市販の化学発光イムノアッセイ(Quantiglo、R&D)を使用して、血漿中のIL-15レベルを測定した。マルチカラーFACSを使用して、肝臓、脾臓、および肺においてIL-15の生物活性を測定した。簡潔に説明すると、以下の一連の複合化ラット抗マウス抗体で細胞をエクスビボで染色し:APCCy7-CD3、PerCP-CD4、PECy7-CD8、APC-CD44、FITC-CD49b、およびPE-CD62L、BD-Pharmingen、フローサイトメトリーにより解析した。マウスNK細胞は、表現型でCD3-CD49b+として同定される。
【0103】
実施例3
本実施例は、IL-15およびIL-15受容体αの相互の安定化を示す。データから、IL-15およびIL15Raの内因的な組み合わせ産生によって、2つの分子が機能的な分泌型として効率的に組み合わさることが示される。
【0104】
IL-15の存在下において、IL-15受容体αは細胞表面に迅速に送達され(図46を参照されたい)、また迅速に切断される(図47を参照されたい)。したがって、完全な受容体を発現させると、循環中に放出されて遠位組織において作用し得る可溶性受容体/IL-15複合体が迅速に生じる。
【0105】
本実施例では、時間と共に血漿レベルを測定することによって、IL-15のインビボ産生を追跡する(図49を参照されたい)。可溶性受容体/IL-15遺伝子の組み合わせにより血漿IL-15の鋭いピークが生じ、このピークは急速に減少するが、完全な受容体/IL-15の組み合わせでは低いピークが生じ、その減少は急速ではない。これによって、インビボにおいてより長期のまたは短期の作用を有する異なる製剤の送達が可能になる。
【0106】
結果
IL-15のみをトランスフェクションした細胞は、IL-15を非効率的に発現し分泌する。加えて、多くのサイトカインmRNAと同様に、IL-15 mRNAは不安定であり、RNA/コドン最適化により改良することができる。RNA/コドン最適化を用いて、IL-15およびIL15Ra mRNAのレベルおよび発現を増加させることができる。加えて、IL-15の分泌プレペプチドを、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)分泌リーダーペプチドと、またはIgEもしくはGM-CSFなどの他の分泌ペプチドと交換することができる。これらの改良によって、標準的な発現ベクターにおいてヒトCMVプロモーターおよびウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを用いて、発現が100倍増加した。
【0107】
図45は、ヒト293細胞でのトランスフェクション後のIL-15のインビトロ発現を示す。組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)プレプロリーダー配列を有する最適化発現ベクター(IL15t、IL15tPA6OPTを示す)を使用することで、容易に検出可能なレベルのIL-15が培地中に産生された(すなわち、細胞外および細胞内)。さらに、IL-15とIL15Raとの同時発現により、細胞内および細胞外のIL-15産生は劇的に増加した。この発現レベルは、野生型cDNAからの発現と比較して約20倍高かった。
【0108】
IL-15と全長(すなわち、全体)IL15Raの同時発現が、発現細胞の細胞表面に局在する高レベルのIL-15およびIL15Ra分子をもたらしたのに対して(図46)、IL-15とIL15Raの可溶性細胞外部分(すなわち、可溶性IL-15)の同時発現は、培地中への複合体の迅速な分泌をもたらした。IL-15定常状態レベルの全体の増加は、ELISAにより測定して、IL15Raの存在下で4倍、およびIL15sRaの存在下で7倍であった(図45A)。
【0109】
逆に、同時発現させたIL-15の存在により、IL15RaおよびIL15sRaのレベルも増加した(図47)。IL-15の存在下または非存在下においてIL15RaまたはIL15sRaを293細胞にトランスフェクションした後の培地および細胞抽出物の種々の希釈物を用いたウェスタンブロット解析から、IL-15の存在下において受容体定常状態レベルが3〜8倍増加したことが示された。受容体の増加は、上記で測定した同時発現時のIL-15の増加と一般に類似している。
【0110】
膜結合性の完全なIL15Raの発現後、受容体の迅速な切断および可溶型の生成と一致して、大量の可溶性細胞外部分が培地中に検出された。IL-15を同時発現させた場合、培地中の可溶性受容体のレベルは上昇した(図47C)。IL15sRaを発現させると、トランスフェクションしたcDNAの一次転写産物である、グリコシル化されていない、高レベルの〜28 kDa細胞内型受容体に加えて、さらなるN-グリコシル化〜30 kDa型が生じた(以下を参照されたい)。完全にグリコシル化された低レベルのIL15sRaが細胞結合性として認められたが、その大部分は培地中に分泌された。同時発現させたIL-15の存在下では、細胞内の非グリコシル化型が著しく減少し、特に細胞外のグリコシル型が大幅に増加した。これらの結果は、IL-15のその受容体αに対する初期の細胞内会合が、これら2つの分子の産生および分泌中に起こるという結論と一致する。IL-15の非存在下では、IL15sRaはかなりの程度で細胞内に留まり、迅速にプロセシングおよび分泌されない。
【0111】
IL-15およびIL15Raはいずれもグリコシル化分子であり、SDS-PAGEゲルにおいて複数のバンドとして移動する。IL-15がN-グリコシル化されるのに対して、IL15RaはN-グリコシル化およびO-グリコシル化される(Dubois et al., 1999 J Biol Chem 274(38):26978-84)。異なるIL15Raタンパク質産物は、39-kDa前駆体の選択的N-グリコシル化およびO-グリコシル化に起因することが報告されている(Dubois et al., 1999)。N-グリコシダーゼまたはO-グリコシダーゼで処理することで、細胞結合性IL15Ra受容体の大部分が迅速にグリコシル化されることが明らかになった。対照的に、IL15sRaのみの発現によって、細胞内にのみ認められるIL15sRaの約28 kDaのバンドが明らかになった。IL15の存在下において、この細胞内のバンドは、細胞外グリコシル化型の協調的な増加に伴い劇的に減少した。
【0112】
発現増加がより優れた生物活性をもたらすかどうかを判定するため、IL-15およびIL15RaまたはIL15sRa DNA分子を、尾静脈注射による水力学的DNA送達後にマウスで発現させた。マウスにこれらの実験用のDNA 0.1μg〜2μgを投与し、血漿中のIL-15レベルを測定した。単回DNA注射の3日後にマウスを屠殺し、選択された組織を、フローサイトメトリーによりT細胞、NK細胞、および他のリンパ球サブセットの数および表現形に関して解析した。図52より、IL-15および受容体αの同時発現によって、肺のNK細胞数が増加したことが示される。この増加は、受容体を発現するプラスミドを高いモル比で注射した場合により顕著であった(3:1、IL-15プラスミド0.1μgおよびIL15Raプラスミド0.3μg)。IL-15受容体αの可溶性部分の同時発現により、肺のNK細胞は劇的に増加した。
【0113】
実施例4
本実施例は、マカクの治療的ワクチン接種におけるIL-15/IL15Ra組み合わせの使用を示す。IL-15/IL15Ra組み合わせにより、抗原特異的細胞、特にCD8エフェクター、およびまた抗原刺激時にIL-2またはIL-2およびIFNγを発現する細胞(すなわち、効率的なワクチン接種に重要であると考えられる多機能性細胞)が増加した。
【0114】
本実施例ではまた、マカク血漿中のIL-15発現を追跡し、IL-15/15Ra同時発現によりマカク血漿中の検出可能な産生が達成されることを示す。対照実験から、この産生は、IL-15 DNAのみを与えた動物と比較してはるかに高いことが示される。
【0115】
マカク3頭を、2ラウンド目の抗レトロウイルス治療(「ART」)、ならびに改良型IL-15およびIL-15受容体α(IL15Ra)を発現するプラスミドを使用するDNAワクチン接種に供した。免疫化は、以下のプラスミド混合物を用いてエレクトロポレーションにより行った:各動物に対して、0.5 mlの注射を2回行った。末梢血単球(「PBMC」)を2週間間隔で単離し、10パラメータフローサイトメトリーを使用してSIV特異的細胞の数を解析した。これによって、SIVmac259のgag、pol、env、nef、およびtatタンパク質に対応するペプチドプールによる刺激に応答してIFNg、IL-2、またはTNFaを産生するリンパ球の計数および表現形解析が可能になる。
【0116】
この解析の結果(図56)から、SIV特異的サイトカイン産生細胞の平均およびピーク応答の劇的な増加が示される。動物3頭はいずれも、ART中およびDNAワクチン接種前には、低レベルのIFNg産生細胞を有した。これは動物3頭すべてでARTがSIVを検出不可能なレベルにまで減少させたことから予測される。ワクチン接種に際して、SIV特異的細胞の持続的な増加が検出された。より重要なことには、ワクチン接種によって、IL-2分泌細胞(図56)およびIFNgおよびIL-2二重分泌細胞(すなわち、多機能性細胞)が生じた。これは3回目のDNAワクチン接種を行って初めて起こったもので、以前のいずれの測定においても、これらのマカクは末梢血中に多機能性サイトカイン分泌細胞を有さなかった。
【0117】
ワクチン接種した3頭のマカクは、PBMCにおいて、セントラルメモリー(CM)表現形またはエフェクターメモリー(EM)表現形を有するSIV特異的サイトカイン産生細胞の数の劇的な増加を示した(図57)。DNAの最適化混合物によるワクチン接種に際して、PBMCでエフェクター細胞のレベル増加が認められることは、DNAワクチン接種はSIV特異的セントラルメモリー細胞を生じ得るが、エフェクターメモリー細胞は生じ得ないという本発明者らに以前の経験と対照的である。本発明者らは、これを、DNAワクチンの混合物がより最適であること、および有効レベルのIL15/IL15Raサイトカインが存在することの結果であると考える。
【0118】
IL15RaをコードするDNAの同時投与なしにIL-15をコードするDNAを投与したマカクは、IL-2産生細胞を有さなかった。
【0119】
要約すると、最適化されたDNAワクチンベクター混合物、ならびにIL-15およびIL15Raを発現する最適化レベルのDNAを含めることにより、末梢血において検出される抗原特異的細胞が劇的に増加した。細胞のレベルの増加に加えて、重要な表現形の差が本発明者らの解析により検出された。ワクチンによって生じる抗原特異的細胞は、IL-2産生細胞ならびにIFNgおよびIL-2二重産生細胞を含むことが示された。IL-15およびIL15Raを伴うワクチン接種により、セントラルメモリー抗原特異的細胞に加えて、エフェクター表現形を有する抗原特異的細胞が生じた。CD8+エフェクター細胞はウイルス感染細胞に対して活性を有すると考えられ、したがってこれらのマカクは、ARTの解除に際してウイルスをより良好に制御できる。驚くべきことに、DNAワクチン接種に対する劇的な応答の結果として、循環リンパ球の約1〜2%がSIV特異的である。このことから、最適条件下におけるDNAワクチンのみで、抗原特異的細胞の強力な、多様な、持続的な、かつ多機能性のレパートリーが生じ得ることが示される。DNAワクチン接種は、副作用を伴うことなく、多くの回数(全部で8回まで)施すことに成功した。さらに、投与の繰り返しにより多機能性T細胞が生成された。このことは、以前のワクチン接種手順と比較して劇的な改善を意味する。
【0120】
IL15/IL15Ra組み合わせのDNA注射は、末梢部位に向かう途中でPBMCにおいて検出されるエフェクター細胞の大幅な動員に関与するようである。これが事実であるならば、これらの結果から、インビボで最適な間隔でリンパ球の動員および機能を増強する、DNAまたはタンパク質としての最適化IL15/IL15Ra組み合わせの有効性が示唆される。IL-15によるこの免疫療法を用いて、治療的ワクチン接種の効果を増強することができ、またこの免疫療法を用いて、治療的ワクチンの非存在下において、またはワクチン接種後の長期にわたって、ウイルスに対する免疫応答を増強することができる。
【0121】
この治療的ワクチン接種で使用したDNAワクチンベクターは、6つのSIV抗原発現プラスミドおよび2つのアカゲザルIL-15/IL-15受容体α発現プラスミドから構成される混合物であった。LAMP-polおよびLAMP-NTVプラスミドは、それぞれヒトリソソーム関連膜タンパク質に対するpolまたはNefTatVifの融合タンパク質を産生する。
2S-CATEgagDX
21S-MCP3p39gag
99S-Env
73S-MCP3-env
103S-LAMP-pol
147S-LAMP-NTV
アカゲザルIL-15/IL-15受容体α産生プラスミド:
AG65-rhIL15tPA6
AG120-rhIL15Ra
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1】ヒトインターロイキン-15(IL-15)のコード配列を改良する戦略を示す。IL-15ポリペプチドの部分1はシグナルペプチド(アミノ酸1〜29)を指し;部分2はプロペプチド(アミノ酸30〜47)を指し;部分3は成熟IL-15(アミノ酸47-115)を指す。IL-15opt1では、IL-15のコード配列は高いGC含量を有し、潜在的スプライス部位が変更されている。変化は一般に、コード能に影響しない。IL-15opt2では、コード配列の改良はIL-15opt1と同様であるが、米国特許第5,786,464号に規定されるより「好ましい」コドンの使用を含む。
図2】野生型IL-15(wt)、IL-15opt1(opt1)、およびIL-15opt2(opt2)のAU-GC含量プロファイルの比較を示す。IL-15opt1およびIL-15opt2はいずれも、野生型IL-15 cDNAと比較してGC含量が顕著に増加している。
図3】ヒト野生型IL-15ヌクレオチド配列(配列番号:1)と改良型IL-15opt1(opt1)ヌクレオチド配列(配列番号:3)の比較を示す。配列は70.7%の配列同一性を共有する。
図4】野生型ヒトIL-15ヌクレオチド配列(上;配列番号:1)と改良型ヒトIL-15opt1ヌクレオチド配列(下;配列番号:3)のヌクレオチド変化の比較を示す。改良型ヒトIL-15配列は、全部で162のコドンのうち121コドンが変更された(75%)。41コドンは、野生型ヒトIL-15ヌクレオチド配列と比較して未変化のままであった。枠付きのコドンは、Seed(米国特許第5,786,464号)の分類による「より好ましい」コドンへの変化を示す(62コドン)。下線を引いたコドンは、Seedの方法に反する、Seedの分類による「あまり好ましくない」コドンに変化したコドンを示す(10コドン)。灰色で強調表示したコドンは、やはりSeedの方法に反する、「好ましくない」コドンへの変化を示す(49コドン)。
図5】野生型IL-15(wt)(配列番号:1)、IL-15opt1(opt)(配列番号:3)、およびIL-15opt2(opt-2)(配列番号:4)の核酸配列の配列アライメントを示す。野生型IL-15は全部で162のコドンを有する。IL-15opt1では、162コドンのうち121コドンが変化している。IL-15opt2では、162コドンのうち122コドンが変化している。
図6】野生型IL-15(wt;配列番号:1)、IL-15opt1(opt;配列番号:3)、およびIL-15opt2(opt-2;配列番号:4)の核酸配列の配列アライメントを示す。コード配列の改良は、米国特許第5,786,464号に規定される「好ましい」コドンまたは「あまり好ましくない」コドンを使用するヌクレオチド変化を含む。IL-15opt1は72個の好ましい/あまり好ましくないコドンを有し、IL-15opt2は103個の好ましい/あまり好ましくないコドンを有する。加えて、IL-15コード配列の改良は、米国特許第5,786,464号に規定される方法に反するヌクレオチド変化を含む。
図7】改良型ヒトIL-15コード配列を有するプラスミドが、トランスフェクションされた哺乳動物細胞において、増加したレベルのヒトIL-15タンパク質を発現することを示す。IL-15opt1またはIL-15opt2核酸配列を用いて5倍増加を示す典型的な実験を示す。7回の実験の平均では、野生型ヒトIL-15配列からの発現と比較して、ヒトIL-15タンパク質産生の8倍という平均増加が達成された。IL-15opt1とIL-15opt2の間に、IL-15タンパク質産生の差は認められない。このことは、遺伝子発現の改善をもたらすのはコドン使用ではなく、むしろRNA配列の変化であるという本発明者らの結論を強調する。
図8】野生型ヒトIL-15(配列番号:1)と比較した、IL-15opt1(配列番号:3)およびIL-15opt2(配列番号:4)配列におけるヌクレオチド変化の共通位置(強調表示部)を示す。示された115ヌクレオチドの位置(強調表示部)における変化は、ヒトIL-15のmRNAおよびタンパク質発現の改善(野生型ヒトIL-15と比較して約8倍の増加)に十分である。
図9】ヒトIL-15のシグナルおよび/またはプロペプチドの改変により、IL-15の細胞外蓄積が増加することを示す。
図10】組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)のシグナルペプチドおよびプロペプチドに融合された改良型IL-15コード配列により、哺乳動物細胞におけるIL-15タンパク質産生が大幅に改善されることを示す。組織プラスミノーゲンアクチベーターシグナルペプチドおよびプロペプチド配列を含むIL-15opt-tPA2からIL-15を発現させることで、改良型IL-15(opt)と比較して、哺乳動物細胞におけるIL-15タンパク質産生のさらなる2.5倍の平均増加倍率(1〜3個の独立したクローンを使用する4回の実験の平均)が得られた。tPAシグナルペプチドのみ(IL-15opt-tPA1)またはtPAシグナルペプチドとIL-15プロペプチドの組み合わせ(IL-15opt-tPA3)のいずれかを有する、ドメインを異なるように交換した他の変種では、IL-15タンパク質の産生が減少するか、または改善は認められなかった。
図11】トランスフェクションされたヒト293細胞およびRD4細胞からの、野生型ヒトIL-15(IL-15 wt)および改良型IL-15(IL-15opt)と比較したヒトIL-15-tPA2の発現の改善を示す。
図12】IL-15の適切なN末端を生じるための、tPAシグナルペプチド-IL-15接合部の改変を示す。IL-15opt-tPA2配列(配列番号:37)は、野生型ヒトIL-15(配列番号:5および配列番号:6)と比較して、N末端(配列番号:38)にフューリン切断部位および4つの余分なアミノ酸(GARA;配列番号:41)を有する。IL-15opt-tPA5配列(配列番号:39)は、フューリン切断部位配列(R-X-(K/R)-R)、および成熟IL-15(配列番号:7および配列番号:8)のN末端(配列番号:40)に直接隣接した2つの付加的なアミノ酸(GA)を有する。IL15opt = 配列番号:36。トランスフェクションした293細胞の上清から得られたIL-15タンパク質を配列決定し、このタンパク質が、成熟IL-15のN末端に直接隣接した、示された余分なアミノ酸を有することが示された。
図13】改変型tPA融合タンパク質、IL-15opt-tPA2(opt-tPA2)およびIL-15opt-tPA5(opt-tPA5)からのIL-15タンパク質の類似の産生を示す。
図14】ヒトIL-15タンパク質(h-IL15)(配列番号:2)とアカゲザル(Macaca mulatta)IL-15タンパク質(rh-IL15)(配列番号:15)が、6アミノ酸だけ異なり、96%の同一性を共有することを示す。部位特異的突然変異誘発を用いて、示された11のヌクレオチド変化をヒトIL-15opt1コードヌクレオチド配列に導入して、アカゲザルIL-15optコードヌクレオチド配列を作製した。
図15】ヒトIL-15opt1(huIL-15opt)(配列番号:3)とアカゲザルIL-15opt(rhIL-15opt)(配列番号:16)のヌクレオチド配列の比較を示す。ヒトIL-15opt1の489ヌクレオチドコード領域に、11のヌクレオチド変化を導入した。
図16】アカゲザル野生型IL-15(wt)ヌクレオチド配列(配列番号:14)とアカゲザル改良型IL-15(opt)ヌクレオチド配列(配列番号:16)の比較を示す。ヌクレオチド配列は71.3%の同一性を共有する。
図17】アカゲザルIL-15コード配列の改良により、哺乳動物細胞におけるアカゲザルIL-15タンパク質産生が約30倍増加した。IL-15シグナルペプチドおよびプロペプチド配列をtPAシグナルペプチドおよびプロペプチド配列と置換すると、さらに3倍改善され、2つのアプローチの相乗効果が示される。
図18】IL-15コード配列の改良により、ヒトおよびアカゲザルIL-15タンパク質産生がいずれも大幅に増加したことを示す。発現の最終的な増加は、ヒトIL-15では約20倍であり、アカゲザルIL-15では90〜100倍であった。ヒトおよびアカゲザルIL-15ベクターのいずれにおいても、IL-15シグナルペプチドおよびプロペプチドをtPAシグナルペプチドおよびプロペプチド配列と置換することで、哺乳動物細胞からのIL-15タンパク質産生はさらに約3倍増加した。
図19】サイトメガロウイルスプロモーターから最適化ヒトIL-15を発現させる発現ベクター(CMVhuIL-15opt)の模式図を示す。
図20】発現ベクターCMVhuIL-15(opt1)(配列番号:13)の配列マップを示す。サイトメガロウイルスプロモーターから最適化アカゲザルIL-15を発現させる対応する発現ベクターに関しては、配列番号:21を参照されたい(CMVrhIL-15opt)。ヒトIL-15 = 配列番号:2;カナマイシンマーカー = 配列番号:42。
図21】組織プラスミノーゲンアクチベータータンパク質由来のシグナルペプチドおよびプロペプチド配列を有するヒト最適化IL-15(huIL-15opt-tPA2)の模式図を示す。
図22】huIL-15opt1-tPA2の核酸配列(配列番号:9)およびアミノ酸配列(配列番号:10)を示す。組織プラスミノーゲンアクチベータータンパク質由来のシグナルペプチドおよびプロペプチド配列を有するアカゲザル最適化IL-15(rhIL-15opt-tPA2)の対応する核酸配列およびアミノ酸配列に関しては、配列番号:17および配列番号:18を参照されたい。
図23】組織プラスミノーゲンアクチベータータンパク質由来の改変型シグナルペプチドおよびプロペプチド配列を有するヒト最適化IL-15(huIL-15opt-tPA5)の模式図を示す。
図24】huIL-15opt1-tPA5の核酸配列(配列番号:11)およびアミノ酸配列(配列番号:12)を示す。組織プラスミノーゲンアクチベータータンパク質由来のシグナルペプチドおよびプロペプチド配列を有するアカゲザル最適化IL-15(rhIL-15opt-tPA2)の対応する核酸配列およびアミノ酸配列に関しては、配列番号:19および配列番号:20を参照されたい。
図25】CTEまたはRTEm26CTEを含むRNA搬出エレメントに対する野生型IL-15配列の融合により、哺乳動物細胞からのIL-15タンパク質産生が約2倍増加したことを示す。
図26】ヒトIL-15コード配列を改良することで、ヒト293細胞からのIL-15タンパク質産生が、RNA搬出エレメントCTEまたはRTEm26CTEに機能的に連結した野生型ヒトIL-15と比較してさらに5倍増加し、野生型ヒトIL-15と比較すると10倍増加することを示す。
図27】ヒトIL-15コード配列を改良することで、293細胞からのIL-15タンパク質産生が、RNA搬出エレメントCTEまたはRTEm26CTEから産生される野生型ヒトIL-15と比較してさらに少なくとも2倍増加することを示す。
図28】IL-15opt-tPA6およびIL-15opt-tPA7で例証される、tPA-IL-15融合の変化を示す。IL-15opt-tPA6は、フューリン切断部位配列(R-X-(K/R)-R)、および成熟IL-15のN末端に直接隣接した3つの付加的なアミノ酸(GAR)を含む(配列番号:24および25を参照されたい)。IL-15opt-tPA7は、フューリン切断部位配列(R-X-(K/R)-R)、および成熟IL-15のN末端に直接隣接した1つの付加的なアミノ酸(G)を含む(配列番号:26および27を参照されたい)。トランスフェクションした293細胞の上清から得られたIL-15タンパク質を配列決定し、このタンパク質が、成熟IL-15のN末端に直接隣接した、示された付加的なアミノ酸を有することが示された。ペプチド = 配列番号:43〜46。
図29】改良型ヒトIL-15配列、ヒトIL-15opt-tPA6およびヒトIL-15opt-tPA7が、ヒトIL-15opt-tPA2およびヒトIL-15opt-tPA5と比較して、類似の増加したレベルのIL-15産生を示すことを示す。種々の改良型配列から産生されるタンパク質レベルは、トランスフェクションしたヒト293細胞から測定した。産生されたIL-15タンパク質は、N末端に直接隣接したGARA、GAR、GA、またはGを有する点で、N末端において異なる。成熟IL-15のN末端に融合されたtPAシグナルを発現する種々のプラスミドは、IL-15産生の同様のレベルの改善を示す。
図30】改良型アカゲザルIL-15配列、アカゲザルIL-15opt-tPA6およびアカゲザルIL-15opt-tPA7が、アカゲザルIL-15opt-tPA2およびアカゲザルIL-15opt-tPA5と比較して、類似の増加したレベルのIL-15産生を示すことを示す。種々の改良型配列から産生されるタンパク質レベルは、トランスフェクションしたヒト293細胞から測定した。データは、前記の改良型ヒトIL-15配列を使用したデータと類似している。
図31】ヒトIL-15opt-tPA6の模式図を示す。
図32】ヒトIL-15opt1-tPA6の核酸配列(配列番号:28)およびアミノ酸配列(配列番号:29)を示す。アカゲザルIL-15opt-tPA6の核酸配列およびアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:32および33に示す。
図33】ヒトIL-15opt-tPA7の模式図を示す。
図34】ヒトIL-15opt1-tPA7の核酸配列(配列番号:30)およびアミノ酸配列(配列番号:31)を示す。アカゲザルIL-15opt-tPA7の核酸配列およびアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:34および35に示す。
図35】改良型ヒトIL-15受容体α(IL15Ra)核酸配列(配列番号:47)の核酸、およびコードされるアミノ酸配列(配列番号:48)を示す。
図36】改良型ヒトIL15Ra核酸配列(配列番号:47)の核酸、およびコードされるアミノ酸配列(配列番号:48)を示す。
図37】改良型ヒト可溶性IL15Ra核酸配列(配列番号:49)の核酸、およびコードされるアミノ酸配列(配列番号:50)を示す。
図38】改良型ヒト可溶性IL15Ra核酸配列(配列番号:49)の核酸、およびコードされるアミノ酸配列(配列番号:50)を示す。
図39】標準的なトランスフェクション法を用いた、インビトロでのヒト293細胞におけるIL-15とIL-15受容体α改良型配列の同時発現によって、測定される全IL-15レベルが劇的に増加したことを示す。100 ngのhIL-15(天然(プラスミドAG32)またはtPAリーダーを使用(プラスミドAG59))を単独で、またはhIL15Ra(プラスミドAG79)と組み合わせて、GFP 100 ngおよびSEAP 100 ngと共に、Ca-PO4共沈法により293細胞にトランスフェクションした。48時間後に細胞を回収し、QuantikineヒトIL-15、RD systemsを使用してElisaを行い、培地中(外部)および細胞内のIL-15を定量した。全IL-15(細胞外および細胞内)もまた示す。倍率はIL-15の増加倍率を示す。
図40】標準的なトランスフェクション法を用いた、インビトロでのヒト293細胞におけるIL-15とIL-15受容体α改良型配列の同時発現によって、測定される全IL-15レベルが劇的に増加したことを示す。プラスミドhIL15-tPA6 100 ngを単独で、またはhIL15受容体α(プラスミドAG79)またはhIL15可溶性受容体α(プラスミドAG98)と組み合わせて、トランスフェクション対照としてのGFPプラスミド100 ngおよびSEAPプラスミド100 ngと共に、Superfectを使用してヒト293細胞にトランスフェクションした。24時間後および48時間後に、培地を試料採取した。48時間後に細胞を回収し、QuantikineヒトIL-15(R&D systems)を使用してELISAを行い、IL-15レベルを測定した。
図41】尾静脈注射後にIL-15およびIL-15受容体DNAがマウス組織に送達され発現された場合に、肺のNK細胞のレベルが大幅に増加し、肺のCD3+CD49+細胞もまた増加することを示す。解析ファイルでは、105個細胞当たりの細胞数を示している。組織は、尾静脈注射の3日後に解析した。種々のマウス群に、以下のDNAを水力学的に尾静脈注射した: GFP、緑色蛍光タンパク質を発現するプラスミド1μg(対照); IL15、本発明者らの仮出願に記載されるプラスミドhIL15tPA6を使用してヒトIL-15を発現するプラスミド1μg Ra、ヒトIL-15受容体αを発現するプラスミド1μg 15+Ra 2、IL-15tPA6を発現するプラスミド2μgおよびヒトIL-15受容体αを発現するプラスミド2μg 15+Ra 1、IL-15tPA6を発現するプラスミド1μgおよびヒトIL-15受容体αを発現するプラスミド1μg
図42】IL-15単独、IL-15 + IL-15受容体α、またはIL-15 + IL-15可溶性受容体αのDNA注射後の、マウスの肝臓におけるNK細胞およびT細胞の増加を示す。解析ファイルでは、106個細胞当たりの細胞数を示している。示されたIL-15tPA6およびIL-15受容体αプラスミドDNAを注射したマウスの器官をコラゲナーゼで消化し、単一細胞懸濁液を得た。細胞を、CD3、CD4、CD8、CD49b、CD44、およびCD62Lに対する抗体で染色し、フローサイトメトリーにより解析した。マウスNK細胞は、表現型でCD3-CD49b+として同定される。IL-15、プラスミドIL-15tPA6の注射。IL-15+IL-15R、完全なIL15Raを発現するプラスミドを同時トランスフェクションした。IL-15+IL-15sR、可溶性IL-15受容体αを発現するプラスミドをIL-15tPA6と同時トランスフェクションした。
図43】脾臓におけるエフェクター細胞(左パネルおよび右パネルはそれぞれ全エフェクターおよびCD8エフェクター)の増加を示す。CD62Lの欠如は、エフェクター表現形を有するマウスメモリーT細胞の集団を規定する。示されたIL-15およびIL-15受容体αプラスミドDNAを注射したマウスの脾臓を処理し、細胞を、CD3、CD4、CD8、CD49b、CD44、およびCD62Lに対する抗体で染色し、フローサイトメトリーにより解析した。
図44】IL15RaによるIL-15の安定化によって得られたIL-15レベルの増加が、生物学的効果の増加に関与することを示す。図41に示した実験のすべてのマウス群を使用したIL-15の発現レベルは、生物学的効果と相関する。図から、DNA注射の3日後に肺で測定されたIL-15レベルとNK細胞、CD3CD49細胞、およびT細胞のレベルが相関することが示される。このことは、IL15RaによるIL-15の安定化によって得られたIL-15レベルの増加が、肺などの末梢組織における生物学的効果の増加に関与することを示す。
図45】IL15RaがIL-15を安定化することを示す。A:IL-15受容体発現プラスミド、IL15RaまたはIL15sRaの存在下または非存在下においてIL15tPA6(IL15t)をトランスフェクションした細胞の抽出物および培地におけるIL-15測定(ELISA)。三つ組試料を測定し、バーは細胞外(外部)、細胞内(内部)、および全IL-15産生のSDを表す。B、C、D:トランスフェクション後に産生されたIL-15のウェスタンブロット解析。三つ組トランスフェクション物を、12% NuPageアクリルアミドゲルに添加した。B、トランスフェクションした293細胞の細胞抽出物;C、その細胞の培地;Dは、IL15tを可視化するためにCをより高度に露光したものである。電気泳動したタンパク質をナイロン膜に転写し、IL-15をポリクローナル抗ヒトIL-15抗体(AF315、R&D、1:3000希釈)により可視化し、化学発光アッセイ(ECL)により増強した。
図46】IL-15と完全な受容体αの同時トランスフェクションが大量の細胞表面結合性IL-15(IL15Raと複合化している)をもたらすのに対して、可溶性受容体αとの同時トランスフェクションはそのようなIL-15をもたらさないことを示す。トランスフェクションした細胞は、フィコエリトリン標識抗IL-15抗体(R&D)で表面染色した後、フローサイトメトリーにより解析した。トランスフェクションした293細胞の培地中のIL-15の対応するレベルを、右側の表に示す(Quantikine Elisa、R&D)。
図47】IL-15の同時発現がIL15Raを安定化することを示す。50 ngのAG79 hIL15RaまたはAG98 IL15sRaを単独で、またはAG59 hIL15tPA6と組み合わせて、リン酸Ca共沈法を用いて293細胞にトランスフェクションした。72時間後に細胞を回収し;培地および細胞抽出物を、ゲル電気泳動(10% NuPAGEゲル)、ならびにヤギ抗IL15Ra抗体(1:3000希釈)およびペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ヤギIgG(1:5000希釈)を用いたウェスタンブロットにより、IL15Ra産生について解析した。全長グリコシル化受容体αは59 kDaのバンドとして移動し、受容体αの可溶性細胞外部分は42 kDaのバンドとして移動する。1:2および1:4の試料希釈物を上部に表記の通り添加して、産生された受容体の量を定量した。モック(Mock)は、対照プラスミドのみ(GFP)をトランスフェクションした293細胞を示す。
図48】IL15RaのN-グリコシル化パターンを示す。A:IL15RaおよびIL15sRaの予測構造を示す。種々のドメインを示す。Nglycは、潜在的N-グリコシル化部位を示す。B、C:同時発現により、より多くの表面全長受容体の産生、および培地中へのIL15sRaのより多くの分泌が起こる。また同時発現により、グリコシル化の低いIL15sRaが細胞から放出される。これらの結果は、IL-15の存在下での細胞表面におけるIL15Raの迅速な輸送および切断と一致する。加えて、産生されたIL15Raの全量の比較から、IL-15の非存在下において、全長受容体はまたエンドソーム経路で迅速に分解され得ることが示される。IL-15の非存在下では、IL15sRaから産生されたIL15sRaの大部分は細胞に結合したままであり、〜28 kDaバンドとして移動し、翻訳後に全長IL15Raほど迅速にはプロセシングおよび分解されないことが示される。IL-15の同時発現により、細胞内の量の減少に伴って、IL15sRaの分泌が増加した。細胞結合、細胞抽出物の1/110を添加した;培地、1/450を添加した。Dは、培地中の低レベルのIL15sRa(IL15Ra単独により産生される)を可視化するために、Cをより高度に露光したものである。(+)で示したレーンは、産生された受容体のN-グリコシル化の程度を同定するためにN-グリコシダーゼF(NEB)で処理した物質を含む。
図49A】示された種々のDNA発現ベクターを注射したマウスの血漿中のIL-15産生を示す。IL-15のwt cDNA発現ベクター(IL15wt)を注射すると、インビボで血漿IL-15の〜100倍の増加をもたらす最適化ベクター(IL15t、IL15tPA6)と比較して、低レベルの発現が生じる。wtベクターからのIL-15を測定するため、本実験ではマウス当たりDNA 1μgを注射した。マウスにIL15RaまたはIL15sRaプラスミドを同時注射すると、血漿IL-15レベルのさらに〜100倍の増加が起こった(106倍の全体的増加)。興味深いことに、IL-15のピーク産生はIL15sRaを発現する構築物を使用した場合に最も高かったが、血漿レベルはより急速に減少した。全長IL15Raとのこのような同時注射では、細胞表面からのより緩やかな切断および放出と一致して、IL-15のより持続的な血漿レベルが得られた。■ IL-15野生型;△ tPA6 SIGPROペプチドを有する改良型IL-15(IL15t、IL15tPA6とも称する);○ IL15tおよびIL15Ra全体;◇ IL15tおよび可溶性IL15Ra。
図49B】1:3比(w/w)でIL-15およびILRaをコードする核酸ベクターを投与した場合の、IL-15の血漿濃度の改善を示す。0.2 IL-15プラスミドおよび0.6 IL15Raプラスミドを注射した群15+Ra3以外は、マウスに各プラスミドのDNAを0.2μg注射した。バーはSDを示す。全長受容体を過剰にすると、3日目の高レベルで示されるように、IL-15は血漿中に持続して留まった。このように、sRaとの同時発現により血漿IL-15の最高ピーク値が生じるのに対し、全長Raとの同時発現では、より持続的なIL-15のレベルおよびおそらくは機能がもたらされる。これはおそらく、sRa/IL-15複合体が切断および産生される際に、受容体に結合した表面IL-15がより緩やかに放出されるためである。そのような複合体は、可溶性複合体のみを産生する、同時発現されたIL-15/sRaの活性によって示されるように、生物活性がある。△ tPA6 SIGPROペプチドを有する改良型IL-15(IL15t);○ IL15tおよびIL15Ra全体(15+Ra);● 1:3比(w/w)のIL15tおよびIL15Ra全体(15+Ra3);◇ IL15tおよび可溶性IL15Ra(15+sRa)。
図50】示されたDNAをDNA注射して3日後の腸間膜リンパ節および脾臓の大きさを示す。GFP DNA発現ベクターを陰性対照として使用した。IL-15の発現のみ(IL15t)で、脾臓と比較して、腸間膜リンパ節の大きさがより劇的に増加した。これは、血漿IL-15を保持するリンパ節におけるIL15Raの強い発現の結果であると考えられる。3日目に測定された血漿IL-15のレベルもまた示す。
図51】IL15RaおよびIL15sRaがO-グリコシル化されることを示す。O-グリコシダーゼ(Roche)で処理することで、分泌型の受容体αがO-グリコシル化されることが示される。示された構築物をトランスフェクションした293細胞による培地をO-グリコシダーゼで処理し(+で示されるレーン)、未処理物質(-)と比較した。
図52】マウスの尾静脈に示されたプラスミドを水力学的にDNA送達してから3日後の、肺のNK細胞の増加を示す。異なるマウス群に、IL-15tPA6、IL-15tPA6+IL15Ra(全長受容体α)、IL-15tPA6+IL15sRa(可溶性受容体α)を発現するプラスミドを0.1μg注射した。IL15t+Ra.3と示した群には、IL-15tPA6プラスミド0.1μgおよびIL15Raプラスミド0.3μg(1.3比(w/w)のIL-15およびIL15Ra)を投与した。IL-15 DNAと受容体DNAのこの比(約1:3)は、より多くの肺NK細胞という傾向を示した。IL-15単独とIL-15+sRaとの差は有意である(P<0.01、一元配置Anova、ダネット多重比較検定)。
図53】マカク筋肉中へのDNA注射後の血漿IL-15濃度(pg/ml)を示す。示された日にElisa(Quantiglo、R&D)によりマカク血漿中で測定されたIL-15の平均血漿値。矢印で示した0、14、および28日目に、各マカクに対して、単回IM注射、およびそれに続くAdvisysシステム(ウッドランズ、テキサス州、advisys.net)を用いてエレクトロポレーションを行った。IL-15/15受容体αの組み合わせ(IL15/Ra、丸)またはIL-15発現ベクターのみ(IL15、三角)を投与したマカク3頭の平均値を示す。結果から、IL15/15Raベクターの組み合わせによりIL-15の血漿レベルは劇的に増加したが、IL-15ベクターのみでは増加しなかったことが示される。
図54】IL-15/15Ra DNAベクターの筋肉内注射により、血漿IL-15レベルが増加することを示す。アカゲザル6頭に、マカクIL-15/15Ra DNA発現ベクターを単一部位に筋肉内注射した。各プラスミドを100μg(動物M100、M115、M120)または250μg(動物M122、M125、およびM126)用いて、0日目および14日目の2回のDNA注射を行った。定電流パルスパターンを使用して、0.5アンペア、52 m秒パルス長、80秒遅延時間という条件下でAdvisysエレクトロポレーションシステムを用いて、筋肉中にDNA(0.5 ml)をエレクトロポレーションした。結果から、最初の接種での4頭/6頭のマカクにおける、および2回目の接種で6頭/6頭のマカクにおける血漿IL-15レベルの上昇が示される。
図55】2回の免疫化後の4、5、19、および20日目のIL-15血漿ELISAを示す。IL-15/15Raを伴うDNAワクチン接種後に、マカク血漿中のIL-15の濃度(pg/ml)を測定した。マカク5頭(M529、M531、M579、M581、M583)は、0日目および15日目にエレクトロポレーションされ、4、5、19、および20日目に血漿を得て、IL-15 ELISAにより解析した。同じ試験における動物3頭(M530、M573、M575;点線)は免疫化されておらず、対照として使用した。エレクトロポレーションした5頭の動物うち4頭は血漿IL-15の大幅な増加を示したが、1頭(529M)は増加を示さなかった。
図56】IL15/15RaがSIVに対する特異的免疫応答を増大させ、多機能性抗原特異的サイトカイン産生細胞(IFNγおよびIL-2)およびエフェクター細胞の生成に役立ったことを示す。(上の3つのパネル):それぞれgag、env、nef、pol、およびtatのペプチドプールによるインビトロ刺激時の、リンパ球100万個当たりのIFNγ産生細胞。マカク3頭に0、4、8週目に、SIV抗原、IL-15、およびIL15RaをコードするDNAベクターの混合物をワクチン接種し、示されたように2週間ごとにPBMCを単離し試験した。(下のパネル):11〜21週目(治療からの解除の2週間後)におけるリンパ球100万個当たりのSIV特異的IL-2産生T細胞。PBMCを単離し、SIVmac239のgag、env、nef、tat、またはpolタンパク質に対応するペプチドプールでインビトロで刺激した。これらのマカクにおいて多機能性IL-2分泌SIV特異的細胞が検出されたのは、11週目が初めてであった。これらの動物は以前の免疫療法実験に参加させたが、この時にはIL-2産生細胞を有さなかった。
図57】3回目のワクチン接種の2週間後の、DNAワクチン接種したマカクにおける循環多機能性セントラルメモリー(CM)細胞およびエフェクターメモリー(EM)細胞の存在を示す。CM細胞はCD28+CD45RA-と規定される。EM細胞はCD28-CD45RA低/+と規定される。
図58】IL-15およびIL15Raを協調的に発現する構築物のマップを示す。
図59】IL-15tPA6およびIL15Raを協調的に発現する構築物のマップを示す。
図60】IL-15tPA6およびIL15sRaを協調的に発現する構築物のマップを示す。
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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]