(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(C)のポリオレフィン系樹脂が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、及びエチレン−エチルアクリレート共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のガラス強化ポリアミド樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0012】
本実施の形態のガラス強化ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)と、ガラス繊維(B)と、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)と、少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)と、を含有し、
前記(A)と前記(B)の合計に対し、前記(A)が30〜80質量%、前記(B)が20〜70質量%であり、前記(A)と前記(B)の合計100質量部に対して、前記(C)を1〜10質量部含有し、(D)/(C)の質量比が0.01〜0.5である。
【0013】
[ポリアミド樹脂(A)]
本実施の形態で用いられるポリアミド樹脂(A)は、公知のポリアミド樹脂であれば特に限定されない。
ポリアミド樹脂(A)としては、例えば、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカラクタム(ナイロン11)、ポリドデカラクタム(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンヒドロテレフタラミド(ナイロン6C)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、及びポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))などが挙げられる。
また、ポリアミド樹脂(A)としては、これらのうち少なくとも2種類以上の異なったポリアミド形成成分を含むポリアミド共重合体、並びにこれらのポリアミド及び/又はポリアミド共重合体の混合物などが挙げられる。
これらのポリアミドのうち、製造コストの観点から、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ヘキサメチレンヒドロテレフタラミド(ナイロン6C)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、これらのうち少なくとも2種類以上の異なったポリアミド形成成分を含むポリアミド共重合体、並びにこれらのポリアミド及び/又はポリアミド共重合体の混合物などが好ましい。好適には、ポリアミド共重合体を用いることができる。
【0014】
上記ポリアミドの原料としては、特に限定されるものではないが、例えば、公知のアミノ酸(アミノカルボン酸)、ラクタム、ジアミンとジカルボン酸とからなる塩、及びそのオリゴマーなどが挙げられる。
上記ポリアミドの原料として、分子量調節や耐熱水性向上のためにさらに末端封止剤を添加することができる。
【0015】
末端封止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類などが挙げられ、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。
本実施の形態では、1種類の末端封止剤を用いてもよいし、2種類以上の末端封止剤を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
末端封止剤として用いられるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するモノカルボン酸であれば特に限定されないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、及びイソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、及びフェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸;などが挙げられる。
本実施の形態では、1種類のモノカルボン酸を用いてもよく、2種類以上のモノカルボン酸を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
末端封止剤として用いられるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するモノアミンであれば特に限定されないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、及びジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、及びナフチルアミンなどの芳香族モノアミン;などが挙げられる。
本実施の形態では、1種類のモノアミンを用いてもよく、2種類以上のモノアミンを組み合わせて用いてもよい。
【0018】
本実施の形態で用いられるポリアミド樹脂(A)の分子量は、安定成形性及び機械物性向上の観点から、98%硫酸相対粘度ηr(1g/100mL)で好ましくは1.5〜3.5、より好ましくは1.8〜3.2、さらに好ましくは2.0〜3.0である。
本実施の形態において、98%硫酸相対粘度ηrは、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
【0019】
上記ポリアミドの製造方法は、特に限定されるものではないが、製造方法として一般的である溶融重合法を用いることができ、例えば、バッチ式重合法及び連続式重合法などが挙げられる。
【0020】
[ガラス繊維(B)]
本実施の形態で用いられるガラス繊維(B)は、ポリアミド樹脂に一般的に用いられる、ガラス繊維であれば、特に限定されず、表面処理剤で処理されているガラス繊維などが好ましい。
ガラス繊維(B)を配合する段階では、特に限定されるものではないが、長繊維タイプから短繊維タイプ、異型断面タイプのものまで任意の形状のガラス繊維が使用可能である。
【0021】
ガラス強化ポリアミド樹脂組成物中におけるガラス繊維(B)の平均繊維径は、機械物性向上の観点で、好ましくは6〜20μm、より好ましくは6〜13μmである。
本実施の形態において、平均繊維径は、顕微鏡法により測定することができる。具体的には、ペレット状のガラス強化ポリアミド樹脂組成物を、ポリアミド樹脂の分解温度以上で加熱し、残ったガラス繊維を、顕微鏡を用いて観察及び写真撮影し、ガラス繊維の径を計測する方法により測定することができる。
本実施の形態では、1種類のガラス繊維を用いてもよく、2種類以上のガラス繊維を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
ガラス強化ポリアミド樹脂組成物中の、ガラス繊維(B)の配合割合は、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)との合計(100質量%)に対して、ポリアミド樹脂(A)を30〜80質量%、ガラス繊維(B)を20〜70質量%であり、好ましくはポリアミド樹脂(A)を40〜80質量%、ガラス繊維(B)を20〜60質量%、より好ましくはポリアミド樹脂(A)を50〜80質量%、ガラス繊維(B)を20〜50質量%である。
ガラス繊維(B)の配合割合を上記範囲内にすることにより、機械特性と摺動特性に優れ、また押出性、成形性に支障をきたす傾向を抑えることができる。
【0023】
表面処理剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミノシラン及びエポキシシランなどが挙げられる。
表面処理剤でガラス繊維を処理する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、浸漬法、噴霧法、ガス化法、及び溶液を塗布する方法のような従来公知の方法により表面処理することができる。
【0024】
ガラス繊維としては、特に限定されるものではないが、E―ガラス、C−ガラス、及びS−ガラスなどが挙げられる。
【0025】
[シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)]
本実施の形態で用いられるシリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)は、特に限定されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、及びテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂に、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン化合物をグラフト化した樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体、及びエチレン−エチルアクリレート共重合体が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、1種類のポリオレフィン系樹脂を用いてもよく、2種類以上のポリオレフィン系樹脂を組み合わせて用いてもよい。ポリジメチルシロキサンとしては、下記式(1)で表されるポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
式(1):
【化1】
式(1)中、メチル基(−CH
3)は、水素、アルキル基、フェニル基、エーテル基、エステル基や反応性置換基であるヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基、ビニル基、アリル基、ポリエーテル基、及びフッ素含有アルキル基などを有する置換基で置換されていてもよく、グラフト化のために、好ましくはビニル基又はアリル基を有する置換基、より好ましくはビニル基を有する。
式(1)中、シリコーン化合物の平均重合度を表すnは、長期摺動性能改良の点から、1000〜10000の範囲内であることが好ましい。
【0026】
シリコーン化合物によってポリオレフィン系樹脂をグラフト化する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラボ・プラストミルによる溶融混練のような従来公知の方法により表面処理することができる。
【0027】
シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)のシリコーン含有量は、長期摺動特性改良の観点で、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%である。
シリコーン含有量は、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)中に存在するシリコーン化合物の全含有量を意味し、下記計算式により測定することができる。
シリコーン含有量=(添加したシリコーン化合物の量)/(グラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)の量)×100
シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)のポリオレフィン系樹脂へのシリコーン化合物のグラフト率は、長期摺動特性改良の観点で、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは40〜95質量%、さらに好ましくは50〜95質量%である。
グラフト率は、添加したシリコーン化合物に対するグラフト化されたシリコーン化合物の割合を意味し、溶剤を用いたソックスレー抽出器による溶出試験方法により、下記計算式により測定することができる。
グラフト率=[(添加したシリコーン化合物の量)−(溶出試験において溶出したシリコーン化合物の量)]/(添加したシリコーン化合物の量)×100
シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、衝撃特性改良及び長期摺動特性の観点で、好ましくは0.1〜5.0g/10min、より好ましくは0.1〜3.0g/10min、さらに好ましくは0.1〜1g/10minである。
本実施の形態において、MFRは、JIS K7210の方法により測定することができる。
【0028】
本実施の形態では、1種類のシリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)を用いてもよく、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)を2種類以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリオレフィン系樹脂が、2種類以上のシリコーン化合物によってグラフト化されていてもよい。
【0029】
ガラス強化ポリアミド樹脂組成物中の、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)の配合割合は、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)の合計100質量部に対し、1〜10質量部であり、好ましくは2〜7質量部、より好ましくは2〜5質量部である。
該配合割合を上記範囲内にすることにより、衝撃特性と長期摺動特性に優れるガラス強化ポリアミド樹脂組成物とすることができる。
【0030】
[少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)]
本実施の形態で用いられる少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)は、分子鎖に少なくとも一つのアミド基を有する化合物である。
少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)としては、例えば、モノアマイド化合物、置換アマイド化合物、メチロールアマイド化合物、及びビスアマイド化合物などが挙げられる。
本実施の形態では、1種類の少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)を用いてもよく、少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)を2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0031】
モノアマイド化合物は、一般式R−CONH
2で表される化合物である。
一般式中、Rは、炭素数6〜30の、飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基、及び芳香族基又はそれらの基中、Hの一部がOHに置換されていてもよい
モノアマイド化合物としては、例えば、ラウリル酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘン酸アマイド、及びヒドロキシステアリン酸アマイドなどの脂肪族酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド等、及びリノシール酸アマイドなどの不飽和脂肪族酸アマイド、並びにフタル酸アマイド、イソフタル酸アマイド、及びテレフタル酸アマイドなどの芳香族酸アマイドなどが挙げられる。
本実施の形態では、1種類のモノアマイド化合物を用いてもよく、2種類以上のモノアマイド化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
置換アマイド化合物は、一般式R
1−CONH−R
2で表される化合物である。
一般式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、炭素数6〜30の、飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基、及び芳香族基又はそれらの基中、Hの一部がOHに置換されていてもよい。
置換アマイド化合物としては、例えば、N−ラウリルラウリル酸アマイド、N−パルチミルパルチミン酸アマイド、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド、N−ステアリル−12−ヒドロキシステアリン酸アマイド、及びN−オレイル−12−ヒドロキシステアリン酸アマイドなどが挙げられる。
本実施の形態では、1種類の置換アマイド化合物を用いてもよく、2種類以上の置換アマイド化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
メチロールアマイド化合物は、一般式R
3−CONHCH
2OHで表される化合物である。
一般式中、R
3は、炭素数6〜30の、飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基、及び芳香族基又はそれらの基中、Hの一部がOHに置換されていてもよい。
メチロールアマイド化合物としては、例えば、メチロールステアリン酸アマイド及びメチロールベヘン酸アマイドなどが挙げられる。
本実施の形態では、1種類のメチロールアマイド化合物を用いてもよく、2種類以上のメチロールアマイド化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
ビスアマイド化合物は、一般式(R
4−CONH)
2(CH
2)nで表される化合物である。
一般式中、R
4は、炭素数6〜30の、飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基、及び芳香族基又はそれらの基中、Hの一部がOHに置換されていてもよく、nは1〜8の整数である。
ビスアマイド化合物としては、例えば、メチレンビスラウリン酸アマイド、メチレンビスラウリン酸アマイド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリル酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、ブチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アマイド、メチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスエルカ酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アマイド、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、及びN,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイドなどが挙げられる。
本実施の形態では、1種類のビスアマイド化合物を用いてもよく、2種類以上のビスアマイド化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)としては、ビスアマイド化合物が好ましく、エチレンビスステアリン酸アマイドがより好ましい。
【0036】
ガラス強化ポリアミド樹脂組成物中の、少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)の配合割合は、シリコーン化合物によってグラフトされたポリオレフィン系樹脂(C)に対して0.01〜0.5倍量であり、好ましくは0.01〜0.1倍量、より好ましくは0.02〜0.06倍量である。
(D)/(C)の質量比が、0.01〜0.5であることにより、衝撃特性の低下を抑え、さらに長期摺動特性に優れるガラス強化ポリアミド樹脂組成物とすることができる。
【0037】
本実施の形態のガラス強化ポリアミド樹脂組成物には、熱劣化、熱時の変色防止、耐熱エージング性、及び耐候性の向上を目的に、劣化抑制剤を添加してもよい。
劣化抑制剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、酢酸銅及びヨウ化銅などの銅化合物、ヒンダードフェノール化合物などのフェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、トリアジン系安定剤、並びにイオウ系安定剤などからなる群より選ばれる少なくとも1種の劣化防止剤が挙げられる。
【0038】
本実施の形態のガラス強化ポリアミド樹脂組成物には、着色剤を添加してもよい。
着色剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニグロシンなどの染料、酸化チタン及びカーボンブラックなどの顔料、アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、及びチタンなどの金属粒子、並びにマイカ製パール顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、及びカラーガラスフレークなどのメタリック顔料などからなる群より選ばれる少なくとも1種の着色剤が挙げられる。
【0039】
本実施の形態のガラス強化ポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて、本実施の形態の目的を損なわない範囲で、無機充填材を配合してもよい。
無機充填材は、特に限定されるものではないが、例えば、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アパタイト、リン酸ナトリウム、蛍石、窒化珪素、チタン酸カリウム、及び二硫化モリブデンなどからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填材が挙げられる。
【0040】
本実施の形態のガラス強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、上記の(A)〜(D)成分及び必要に応じて用いられる各種の添加剤を混合し、混練する方法が挙げられる。
その際、配合、混練方法や順序には特に限定されないが、通常用いられる混合機、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー、及びリボンブレンダーなどで混合が行われる。混練機としては、例えば、一般に1軸又は多軸の押出機が用いられるが、減圧装置を備えた2軸押出機が好ましい。
【0041】
ガラス強化ポリアミド樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、一般的には押出機を用い、ポリアミド樹脂(A)、ガラス繊維(B)、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)、少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)、及び必要に応じて用いられる各種の添加剤をヘンシェルミキサー、タンブラー、V字型ブレンダーなどで混合した後、1軸又は多軸混錬押出機などを用いて溶融混練することができる。
また、予め全てを混合することなく、定量フィーダーなどで各成分を単独又は数種類ずつまとめて押出機に連続フィードすることによりガラス強化ポリアミド樹脂組成物を製造することもできる。
さらに、予め(A)、(C)、及び(D)成分からなる高濃度マスターバッチを作成しておき、押出溶融混練時又は射出成形時に、(A)及び(B)成分からなるガラス繊維配合ポリアミド樹脂で希釈することにより本実施の形態のガラス強化ポリアミド樹脂組成物を得ることもできる。
【0042】
本実施の形態のガラス強化ポリアミド樹脂組成物を成形する方法としては、本実施の形態のガラス強化ポリアミド樹脂組成物からなる成形品を得ることができる方法であれば、特に限定されるものではなく、公知の成形方法、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、及び金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)などの成形方法が挙げられる。
【0043】
本実施の形態のガラス強化ポリアミド樹脂組成物及び該ガラス強化ポリアミド樹脂組成物からなる成形品は、衝撃特性及び摺動特性に優れるため、様々な用途に用いることができる。
成形品として、特に限定されるものではないが、例えば、自動車分野、電気・電子分野、機械・工業分野、事務機器分野、航空・宇宙分野において、ギア、歯車、シュー、ガイドレール、カムなどの摺動部品に好適に用いることができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例よって本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。尚、実施例及び比較例中の測定法は以下のとおりである。
【0045】
[測定方法]
[硫酸相対粘度]
98%濃硫酸100gに対してペレット又は成形品から切り出したポリアミド樹脂(A)1.00gを溶解させ、JIS K6810に従って25℃にて測定した。
【0046】
[衝撃特性 シャルピー衝撃強さ]
ガラス強化ポリアミド樹脂組成物を、日精樹脂株式会社製「FN3000」を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度90℃に設定し、射出時間15秒、冷却時間15秒の射出条件で成形して、評価用ISOダンベルを得た。
得られたダンベルをISO 179に準じてシャルピー衝撃強さ測定した。
【0047】
[衝撃特性 シャルピー衝撃強さの保持率(%)]
シャルピー衝撃強さの保持率(保持率)は下記式により求めた。
シャルピー衝撃強さの保持率(%)=(シャルピー衝撃強さ)/(比較例のシャルピー衝撃強さ)×100
上記分母にあたる「比較例のシャルピー衝撃強さ」とは、シャルピー衝撃強さの保持率を測定するガラス強化ポリアミド樹脂組成物と、ポリアミド(A)及びガラス繊維(B)の組成、配合比率が同じで、且つ、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)及び少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)を添加していないポリアミド樹脂組成物のシャルピー衝撃強さを意味する。
実施例1を例に説明すると、シャルピー衝撃強さの保持率は、実施例1のガラス強化ポリアミド樹脂組成物と、ポリアミド(A)及びガラス繊維(B)の組成、配合比率が同じ比較例1のシャルピー衝撃強さを用いて測定される値である。
【0048】
[長期摺動特性 摩擦係数]
ガラス強化ポリアミド樹脂組成物を、日精樹脂株式会社製「FN3000」を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度90℃に設定し、射出時間15秒、冷却時間15秒の射出条件で成形して、評価用ISOダンベルを得た。
得られたダンベルを、東洋精密株式会社製往復動摩擦摩耗試験機「AFT−15MS型」を用いて荷重1kg、線速度50mm/sec、往復距離20mm、環境温度23℃、環境湿度50%の条件で10000回往復し、摩擦係数を測定した。
このダンベルの摺動特性評価に用いる相手材料としては、SUS304試験片(直径5mmの球)を用いた。
【0049】
[長期摺動特性 Δ摩擦係数]
上記方法にて測定した10000回摺動後の摩擦係数から、1000回後の摩擦係数を引いた数値をΔ摩擦係数とした。
【0050】
ポリアミド樹脂(A)、ガラス繊維(B)、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)、及び少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物として、以下の化合物を用いた。
【0051】
[ポリアミド樹脂(a−1)]
50質量%のポリアミド66の原料(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩)の水溶液を30Kg作製し、十分撹拌した。該ポリアミド66の原料の水溶液を、撹拌装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する70Lのオートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、十分攪拌した。窒素で置換した後、撹拌しながら温度を50℃から約270℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして約1.77MPaになるが、圧力が1.77MPa以上にならないよう水を系外に除去しながら加熱を約1時間続けた。その後、約1時間をかけ、圧力を大気圧まで降圧し、さらに約270℃、大気圧で約1時間保持した後、撹拌を停止した。下部ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行い、ペレットを得た。このペレットの98%硫酸相対粘度ηr(1g/100mL)は2.8であった。
【0052】
[ポリアミド樹脂(a−2)]
50質量%のポリアミド66/6Iの原料(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩:24Kgとヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩:6Kg)の水溶液を30Kg作製し、十分撹拌した。該ポリアミド66/6Iの原料の水溶液を、撹拌装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する70Lのオートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、十分攪拌した。窒素で置換した後、撹拌しながら温度を50℃から約260℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして約1.77MPaになるが、圧力が1.77MPa以上にならないよう水を系外に除去しながら加熱を約1時間続けた。その後、約1時間をかけ、圧力を大気圧まで降圧し、さらに約260℃、大気圧で約1時間保持した後、撹拌を停止した。下部ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行い、ペレットを得た。このペレットの98%硫酸相対粘度ηr(1g/100mL)は2.35であった。
【0053】
[ポリアミド樹脂(a−3)]
50質量%のポリアミド66/6I/6Cの原料(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩:18Kg、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の等モル塩:4.5Kg、ヘキサメチレンジアミンとトランス体/シス体のモル比が25/75である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸との等モル塩)の水溶液を30Kg作製し、十分撹拌した。該ポリアミド66/6I/6Cの原料の水溶液を、撹拌装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する70Lのオートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、十分攪拌した。窒素で置換した後、撹拌しながら温度を50℃から約270℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして約1.77MPaになるが、圧力が1.77MPa以上にならないよう水を系外に除去しながら加熱を約1時間続けた。その後、約1時間をかけ、圧力を大気圧まで降圧し、さらに約290℃、大気圧で約1時間保持した後、撹拌を停止した。下部ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行い、ペレットを得た。このペレットの98%硫酸相対粘度ηr(1g/100mL)は2.35であった。
【0054】
[ガラス繊維(B)]
日本電気硝子株式会社製 ECS03 T−275H/PL 平均繊維径10.5μmを用いた。
【0055】
[シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)]
c−1:東レ・ダウコーニング株式会社製 BY27−219L
ベース樹脂=EMMA(エチレン―メチルメタアクリレート共重合体)
シリコーン含有量=40%
MFR=0.5g/10min
c−2:東レ・ダウコーニング株式会社製 BY27−220
ベース樹脂:EVA(エチレン―酢酸ビニル共重合体)
シリコーン含有量=60%
MFR=0.2g/10min
【0056】
[少なくとも一つのアミド基を有する有機化合物(D)]
花王株式会社製 カオーワックスEB−P(エチレンビスステアリン酸アマイド)を用いた。
【0057】
[実施例1〜10]
ポリアミド樹脂(A)、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)、及び少なくとも一つのアミド基を有する化合物(D)を表1に示した組成及び組成比でタンブラーにて混合し、東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。
さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A)70質量%に対して、ガラス繊維(B)を30質量%の割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のガラス強化ポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0058】
[実施例11]
ポリアミド樹脂(A)、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)、及び少なくとも一つのアミド基を有する化合物(D)を表1に示した組成及び組成比でタンブラーにて混合し、東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。
さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A)50質量%に対して、ガラス繊維(B)を50質量%の割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のガラス強化ポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0059】
[実施例12〜14]
ポリアミド樹脂(A)、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)、及び少なくとも一つのアミド基を有する化合物(D)を表2に示した組成及び組成比でタンブラーにて混合し、東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。
さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A)70質量%に対して、ガラス繊維(B)を30質量%の割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のガラス強化ポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
【0060】
[実施例15]
ポリアミド樹脂(A)、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)、及び少なくとも一つのアミド基を有する化合物(D)を表2に示した組成及び組成比でタンブラーにて混合し、東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。
さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A)50質量%に対して、ガラス繊維(B)を50質量%の割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のガラス強化ポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
【0061】
[実施例16〜18]
ポリアミド樹脂(A)、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)、及び少なくとも一つのアミド基を有する化合物(D)を表3に示した組成及び組成比でタンブラーにて混合し、東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。
さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A)70質量%に対して、ガラス繊維(B)を30質量%の割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のガラス強化ポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表3に示す。
【0062】
[実施例19]
ポリアミド樹脂(A)、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)、及び少なくとも一つのアミド基を有する化合物(D)を表3に示した組成及び組成比でタンブラーにて混合し、東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。
さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A3)50質量%に対して、ガラス繊維(B)を50質量%の割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のガラス強化ポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表3に示す。
【0063】
[比較例1]
表1に示した組成のポリアミド樹脂(A)を東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A)70質量%に対して、ガラス繊維(B)を30質量%の割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0064】
[比較例2]
ポリアミド樹脂(A)及びシリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)を表1に示した組成及び組成比でタンブラーにて混合してから、東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した以外は比較例1と同様に実施して、ペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0065】
[比較例3〜9]
表1に示した組成及び組成比とした以外は、実施例1と同様にして、ペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0066】
[比較例10]
ポリアミド樹脂(A)50質量%に対して、ガラス繊維(B)を50質量%の割合で供給した以外は、比較例1と同様にして、ペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
【0067】
[比較例11、12]
表2に示したポリアミド樹脂(A)を東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A)に対して、ガラス繊維(B)を表2に示した割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
【0068】
[比較例13〜15]
ポリアミド樹脂(A)、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)、及び少なくとも一つのアミド基を有する化合物(D)を表2に示した組成及び組成比でタンブラーにて混合し、東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。
さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A)70質量%に対して、ガラス繊維(B)を30質量%の割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
【0069】
[比較例16、17]
表3に示したポリアミド樹脂(A)を東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A)に対して、ガラス繊維(B)を表3に示した割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表3に示す。
【0070】
[比較例18〜20]
ポリアミド樹脂(A)、シリコーン化合物によってグラフト化されたポリオレフィン系樹脂(C)、及び少なくとも一つのアミド基を有する化合物(D)を表3に示した組成及び組成比でタンブラーにて混合し、東芝機械株式会社製TEM35mm2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にフィードホッパーより供給した。
さらに、サイドフィード口より、ポリアミド樹脂(A)70質量%に対して、ガラス繊維(B)を30質量%の割合で供給し、紡口より押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
上記記載の方法により、衝撃特性及び長期摺動特性の評価を行なった。評価結果を表3に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
表1〜3より、実施例1〜19のガラス強化ポリアミド樹脂組成物は、いずれも極めて優れた衝撃特性及び長期摺動特性を両立する。
一方、(A)と(B)の合計100質量部に対し、(C)を1質量部未満の比較例7のポリアミド樹脂組成物は、衝撃特性が大きく低下し、かつ長期摺動特性に劣るものであった。
また、(D)/(C)の質量比が、0.5を超える比較例3、比較例6、比較例8、比較例14、及び比較例19のポリアミド樹脂組成物と、(D)/(C)の質量比が、0.01未満の比較例2、比較例4、比較例5、比較例9、比較例15、及び比較例20のポリアミド樹脂組成物は、衝撃特性が大きく低下し、かつ長期摺動特性に劣るものであった。