特許第5709521号(P5709521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709521
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】ビニルオキシ基含有ビニル重合体
(51)【国際特許分類】
   C08F 16/32 20060101AFI20150409BHJP
   C08F 16/16 20060101ALI20150409BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20150409BHJP
   C09J 129/10 20060101ALI20150409BHJP
   C09D 129/10 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   C08F16/32
   C08F16/16
   C09D11/00
   C09J129/10
   C09D129/10
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-530905(P2010-530905)
(86)(22)【出願日】2009年9月28日
(86)【国際出願番号】JP2009067287
(87)【国際公開番号】WO2010035903
(87)【国際公開日】20100401
【審査請求日】2012年7月5日
(31)【優先権主張番号】特願2008-249394(P2008-249394)
(32)【優先日】2008年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004592
【氏名又は名称】日本カーバイド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】北條 卓馬
(72)【発明者】
【氏名】山本 恭子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】渥美 和彦
(72)【発明者】
【氏名】光藤 武明
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02492169(US,A)
【文献】 特開平02−238029(JP,A)
【文献】 特開平04−068348(JP,A)
【文献】 特開平03−021947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F16,116,216
C08L29,101
C09D11,129
C09J129
C03C7
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)および(b)で表される構成単位:
(a)側鎖にビニルオキシ基を有する下記式(I)で表される構成単位
【化1】
(b)下記式(II)で表される構成単位
【化2】
を含んでなるビニルオキシ基含有ビニル重合体。
【請求項2】
下記(a)、(b)、(c)の構成単位:
(a)側鎖にビニルオキシ基を有する下記式(I)で表される構成単位:
【化3】
(b)下記式(II)で表される構成単位:
【化4】
(c)下記式(III)で表されるビニルエーテルに由来する構成単位:
【化5】
を含んでなるビニルオキシ基含有ビニル重合体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のビニルオキシ基含有ビニル重合体を含有するインク組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のビニルオキシ基含有ビニル重合体を含有する医療用粘着剤。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のビニルオキシ基含有ビニル重合体を含有するコーティング用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニルオキシ基含有ビニル重合体に関するものである。さらに詳しくは、熱、紫外線、放射線、電子線、カチオン重合開始剤、酸等により容易に単独重合または他の重合性化合物と共重合することが可能であるビニルオキシ基含有ビニル重合体、特に、熱または光硬化反応性のプレポリマーとして有用なビニルオキシ基含有ビニル重合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビニルオキシ基含有重合体の製造方法としては、カチオン重合性基であるビニルオキシ基とラジカル重合性基であるアクリル酸エステル基を分子内に併せ持つ異種重合性モノマーを用いて、先にラジカル重合を行って得る方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3801888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、熱または光硬化反応性のプレポリマーとして有用なビニルオキシ基含有ビニル重合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ビニルオキシ基含有ビニル重合体は、熱、紫外線、放射線、電子線、カチオン重合開始剤、酸等により容易に単独重合または他の重合性化合物と共重合することが可能であり、熱または光硬化反応性のプレポリマーとして有用であると考えられる。しかし、これまでビニルオキシ基を含有するビニル重合体は存在しなかった。
以前、本発明者らは、新規な脂環式ビニルエーテル重合体であるノルボルネニルビニルエーテル重合体に関する報告を行った(特開2008−260915号公報参照)。
また、一般的にノルボルネンは、下記式のように、retro Diels−Alder反応を行うことによりシクロペンタジエンとエチレンになることが知られている。
上述のことを基に、ノルボルネニルビニルエーテル重合体におけるretro Diels−Alder反応を鋭意検討した結果、下記式のように反応が進行することを見出し、本発明を完成させるに至った。
(式中、mは0以上の整数、好ましくは0〜2400の整数、より好ましくは0〜60の整数で、nは1以上の整数、好ましくは1〜1600の整数、より好ましくは1〜40の整数である。)
すなわち、本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、下記式(I)で表される構成単位:
を含んでなる重合体である。
また、本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、下記(a)および(b)の構成単位:
(a)側鎖にビニルオキシ基を有する下記式(I)で表される構成単位:
(b)下記式(II)で表される構成単位:
を含んでなる重合体である。
また、本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、下記(a)、(b)、(c)の構成単位:
(a)側鎖にビニルオキシ基を有する下記式(I)で表される構成単位:
(b)下記式(II)で表される構成単位:
(c)下記式(III)で表されるビニルに由来の構成単位:
(式中、Rは一価の有機基を示す。)
を含んでなるビニルオキシ基含有ビニル重合体である。
さらに、本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、下記(a)および(c)の構成単位:
(a)側鎖にビニルオキシ基を有する下記式(I)で表される構成単位:
(c)下記式(III)で表されるビニルエーテルに由来の構成単位:
(式中、Rは一価の有機基を示す。)
を含んでなるビニルオキシ基含有ビニル重合体である。
【発明の効果】
【0006】
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、熱または光硬化反応性のプレポリマーとして有用性が高い新規な化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(構造)
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、側鎖にビニルオキシ基を有する下記式(I)で表される構成単位を含有するものである。
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、下記式(IV)で表されるノルボルネニルビニルエーテル由来の構成単位を含有する重合体を前駆体とし、この前駆体のretro Diels−Alder反応によって得られる。
すなわち、本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、下記式(I)で表される構成単位を含んでなる重合体である。
また、本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、下記(a)および(b)の構成単位を含んでなる重合体である。
(a)側鎖にビニルオキシ基を有する下記式(I)で表される構成単位:
(b)下記式(II)で表される構成単位:
また、本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、下記(a)、(b)、(c)の構成単位を含んでなるビニルオキシ基含有ビニル重合体である。
(a)側鎖にビニルオキシ基を有する下記式(I)で表される構成単位:
(b)下記式(II)で表される構成単位:
(c)下記式(III)で表されるビニルエーテルに由来の構成単位:
(式中、Rは一価の有機基を示す。)
さらに、本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、下記(a)および(c)の構成単位を含んでなるビニルオキシ基含有ビニル重合体である。
(a)側鎖にビニルオキシ基を有する下記式(I)で表される構成単位:
(c)下記式(III)で表されるビニルエーテルに由来の構成単位:
(式中、Rは一価の有機基を示す。)
また、本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体がビニルエーテル由来の構成単位を含む場合には、同時に異なる2種以上のビニルエーテル由来の構成単位を含有しても良い。
前記式(III)の置換基Rは一価の有機基を示し、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、1−エチルプロピル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、ドデシル、オクタデシルなどの炭素数1〜20のアルキル基、アリル、プロペニル、イソプロペニルなどの炭素数3〜20のアルケニル基、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、ノルボルニル、ノルボルニルメチル、アダマンチルなどの炭素数3〜20の飽和若しくは不飽和の環状炭化水素基、−(RO)p−R、(但し、pは1〜5の整数、Rは炭素数2〜10の鎖状若しくは環状の飽和または不飽和の炭化水素基、Rはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アシル基を示す)を挙げることができる。
前記式(III)で表されるビニルエーテルの典型例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、(1−エチルプロピル)ビニルエーテル、ネオペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、(シクロヘキシルメチル)ビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ノルボルニルビニルエーテル、ノルボルニルメチルビニルエーテル、ノルボルネニルメチルビニルエーテル、2−アセトキシエチルビニルエーテル、4−アセトキシブチルビニルエーテル、4−アセトキシシクロヘキシルビニルエーテル、1−アセトキシメチル−4−シクロヘキシルメチルビニルエーテル、アセトキシジエチレングリコールモノビニルエーテル、アセトキシトリエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体の重量平均分子量は、重合が容易であることから150〜500,000であることが好ましく、より好ましくは、150〜100,000、更に好ましくは、150〜10,000である。
〔本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体の前駆体の合成方法〕
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体の前駆体の合成方法としては、特に制限はなく、カチオン重合等、公知の合成法を用いることができる。また、重合度の制御が容易で、且つ、単分散に近い重合体が得られ、ブロック共重合体が得られることで知られるリビングカチオン重合法を用いても良い。
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体の前駆体の合成に使用するカチオン重合触媒としては、例えば「講座重合反応論第3巻(東村敏延著、化学同人、1974年)」に記載されている、プロトン酸、金属酸化物、ハロゲン、ハロゲン化金属、有機金属化合物、安定カチオン等を利用することができる。すなわち、プロトン酸としては塩化水素、硫酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、金属酸化物としては、酸化鉄、ハロゲンとしてはヨウ素、ハロゲン化金属としては、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛、四塩化スズ、塩化鉄、四塩化チタン、有機金属化合物としては、エチルアルミニウムクロリドを使用することができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、塩化水素、トリフルオロメタンスルホン酸、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛、塩化鉄を使用することが好ましい。
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体の前駆体の合成に使用するリビングカチオン重合触媒としては、例えば「実験化学講座第26巻(第5版、丸善、2005年)」に記載されている、開始剤、ルイス酸、塩基、塩等を利用することができる。すなわち、開始剤としてビニルエーテル−塩化水素付加体、ビニルエーテル−トリフルオロ酢酸付加体、ビニルエーテル−酢酸付加体、ルイス酸として、塩化亜鉛、四塩化スズ、塩化鉄、四塩化チタン、塩基として酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、塩として4級アンモニウム塩等を利用することができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、開始剤としてビニルエーテル−塩化水素付加体、ビニルエーテル−トリフルオロ酢酸付加体、ルイス酸として、塩化亜鉛、塩化鉄塩基として酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンを使用することが好ましい。
開始剤、ルイス酸、添加塩基、添加塩の組み合わせとしては、開始剤に比較的弱いルイス酸を組み合わせた開始剤系、開始剤に比較的強いルイス酸を組み合わせた開始剤系にルイス塩基を添加する系、開始剤に比較的強いルイス酸を組み合わせた開始剤系に求核性アニオンの塩を添加する系が挙げられるが、これらのうちの何れを用いても良い。
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体の前駆体を合成する重合反応では、適当な有機溶媒の存在下で行うことが好ましいが、非存在下で行っても良い。前記有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、デカン、ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、塩化エチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記有機溶媒は必要に応じて単独又は2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体の前駆体を合成する重合反応は、バッチ式、連続式などの任意の方法で行うことができる。
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体の前駆体を合成する際の重合温度は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等に応じて適宜選択できるが、通常−80〜150℃であり、好ましくは−50〜100℃、特に好ましくは−20〜80℃である。
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体の前駆体を合成する際の重合時間は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒、反応温度等に応じて適宜選択できるが、通常1秒〜100時間、好ましくは1秒〜24時間程度である。
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体を生成する、retro Diels−Alder反応方法としては、特に制限はなく、オイルバス、マントルヒーター、ヒーティングガン、マイクロウェーブ、赤外線の加熱手段を用いて減圧下に加熱する等、公知の方法を用いることができる。
【実施例】
【0008】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
本明細書中において、「数平均分子量(以下Mnと略す)」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出するものである。
合成例1
〔ノルボルネニルビニルエーテル単独重合体の合成〕
十分乾燥し窒素置換を行った重合管に、ノルボルネニルビニルエーテル749mg(5.5mmol)、トルエン4.0mL、ジエチルエーテル0.23mLを仕込み、0℃に冷却した。20分後、トリフルオロ酢酸63mg(0.55mmol)を添加した。30分後、塩化亜鉛のジエチルエーテル溶液(1mol/L)0.22mL(0.22mmol)を添加して重合を開始した。1分後、アンモニアのメタノール溶液(1mol/L)0.50mLを添加し重合停止反応を行った。反応終了後、反応液をジエチルエーテルで希釈して、脱イオン水で3回洗浄し、溶媒の減圧除去を行って、目的物であるノルボルネニルビニルエーテル単独重合体698mgを得た。
得られた重合体は、東ソー(株)製のポリスチレンを標準物質として用いたGPC測定(以下同じ)により、Mn:1060であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、ビニルエーテル基に由来するビニル基のピークは消失し、5.9−6.4ppmにノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが認められた。
合成例2
〔エチルビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルの共重合体の合成〕
モノマーを、エチルビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルのモル組成比が90/10である混合モノマーに変更した以外は、合成例1と全く同じ触媒、溶媒を用いて、同一モル比、モル濃度とし、重合反応温度、重合反応時間、重合後の処理方法も同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:1010であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、ビニルエーテル基に由来するビニル基のピークは消失し、5.9−6.4ppmにノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが認められた。
合成例3
〔n−ブチルビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルの共重合体の合成〕
モノマーを、n−ブチルビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルのモル組成比が90/10である混合モノマーに変更した以外は、合成例1と全く同じ触媒、溶媒を用いて、同一モル比、モル濃度とし、重合反応温度、重合反応時間、重合後の処理方法も同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:1030であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、ビニルエーテル基に由来するビニル基のピークは消失し、5.9−6.4ppmにノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが認められた。
合成例4
〔イソブチルビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルの共重合体の合成〕
モノマーを、イソブチルビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルのモル組成比が90/10である混合モノマーに変更した以外は、合成例1と全く同じ触媒、溶媒を用いて、同一モル比、モル濃度とし、重合反応温度、重合反応時間、重合後の処理方法も同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:1080であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、ビニルエーテル基に由来するビニル基のピークは消失し、5.9−6.4ppmにノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが認められた。
合成例5
〔シクロヘキシルビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルの共重合体の合成〕
モノマーを、シクロヘキシルビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルのモル組成比が90/10である混合モノマーに変更した以外は、合成例1と全く同じ触媒、溶媒を用いて、同一モル比、モル濃度とし、重合反応温度、重合反応時間、重合後の処理方法も同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:1120であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、ビニルエーテル基に由来するビニル基のピークは消失し、5.9−6.4ppmにノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが認められた。
合成例6
〔アリルビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルの共重合体の合成〕
モノマーを、アリルビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルのモル組成比が90/10である混合モノマーに変更した以外は、合成例1と全く同じ触媒、溶媒を用いて、同一モル比、モル濃度とし、重合反応温度、重合反応時間、重合後の処理方法も同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:1050であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、ビニルエーテル基に由来するビニル基のピークは消失し、5.9−6.4ppmにノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが認められた。
合成例7
〔アセトキシジエチレングリコールビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルの共重合体の合成〕
モノマーを、アセトキシジエチレングリコールビニルエーテルとノルボルネニルビニルエーテルのモル組成比が90/10である混合モノマーに変更した以外は、合成例1と全く同じ触媒、溶媒を用いて、同一モル比、モル濃度とし、重合反応温度、重合反応時間、重合後の処理方法も同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:1220であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、ビニルエーテル基に由来するビニル基のピークは消失し、5.9−6.4ppmにノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが認められた。
実施例1
合成例1で得られたノルボルネニルビニルエーテル重合体200mgをナスフラスコに仕込み、3方コックを取り付けて窒素置換した。その後、真空ポンプにて1mbarまで減圧し、ヒーティングガンを用いて400℃にて5分間加熱した。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:900であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、5.9−6.4ppmのノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが減少し、4.3ppmと4.0ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められ、13CNMR測定においても、152ppmと88ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められた。
実施例2
合成例2で得られた共重合体に変更した以外は、合成例1と全く同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:980であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、5.9−6.4ppmのノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが減少し、4.3ppmと4.0ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められ、13CNMR測定においても、152ppmと88ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められた。
実施例3
合成例3で得られた共重合体に変更した以外は、合成例1と全く同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:990であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、5.9−6.4ppmのノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが減少し、4.3ppmと4.0ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められ、13CNMR測定においても、152ppmと88ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められた。
実施例4
合成例4で得られた共重合体に変更した以外は、合成例1と全く同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:1040であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、5.9−6.4ppmのノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが減少し、4.3ppmと4.0ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められ、13CNMR測定においても、152ppmと88ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められた。
実施例5
合成例2で得られた共重合体に変更した以外は、合成例1と全く同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:1080であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、5.9−6.4ppmのノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが減少し、4.3ppmと4.0ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められ、13CNMR測定においても、152ppmと88ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められた。
実施例6
合成例6で得られた共重合体に変更した以外は、合成例1と全く同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:1020であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、5.9−6.4ppmのノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが減少し、4.3ppmと4.0ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められ、13CNMR測定においても、152ppmと88ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められた。
実施例7
合成例7で得られた共重合体に変更した以外は、合成例1と全く同じ条件にて目的物を得た。
得られた重合体はGPC測定により、Mn:1180であった。さらに、得られた重合体のHNMR測定を行ったところ、5.9−6.4ppmのノルボルネニル基のビニル基に由来するピークが減少し、4.3ppmと4.0ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められ、13CNMR測定においても、152ppmと88ppmにビニルオキシ基に由来するピークが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、保存安定性に優れるばかりでなく、透明性に優れるものである。従って、インクジェット用インク等のインク用材料、レンズ、液晶用フィルム等の光学用材料、各種コーティング用材料、接着剤用材料として有用である。さらに、本発明におけるビニルオキシ基含有ビニル重合体は、有害性が極めて低く安全性に優れたものである。従って、医療用粘着剤等の高い安全性が要求される分野において有用である。