【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明に係る電子部品支持装置は、基板と、貫通電極と、複数の柱状ヒートシンクとを含んでいる。前記貫通電極は、前記基板を厚み方向に貫通し、一端が基板の一面に設けられた電子部品配置領域の面内に露出している。前記柱状ヒートシンクは、基板の厚み方向に設けられ、前記電子部品配置領域を取り囲んで、その周りに互いに間隔をおいて配置され、それぞれの一端が、基板の他面に付着して設けられた放熱層に共通に接続されている。
【0010】
上述したように、本発明に係る基板は、貫通電極を含み、一面に電子部品配置領域を有している。貫通電極は、基板を厚み方向に貫通し、一端が電子部品配置領域の内面に露出している。電子デバイスにあっては、この基板の電子部品配置領域内に電子部品が配置され、電子部品配置領域の内部で、電子部品の一面に設けられた電極が貫通電極の一端に接続される。したがって、電子部品は、フリップ・チップ・ボンディング方式によって、貫通電極に接続されることになる。
【0011】
基板は、更に、複数の柱状ヒートシンクを含んでいる。柱状ヒートシンクのそれぞれは、基板の厚み方向に設けられ、前記電子部品配置領域を取り囲んで、その周りに互いに間隔をおいて配置され、それぞれの一端が、基板の他面に付着して設けられた放熱層に共通に接続されている。したがって、電子部品配置領域の周りに、柱状ヒートシンク群による単数または複数の筒状の放熱路を形成し、電子部品又は貫通電極に発生した熱を、柱状ヒートシンクによって全周方向から集め、その熱を、基板の厚み方向に伝達し、基板の他面に設けられた放熱層から、基板の面方向に向かって外部に拡散放出することができる。即ち、3次元的放熱経路が構成される。このため、放熱特性が向上する。しかも、この放熱層は、基板の他面に付着されたものであるから、外部放熱器を設ける場合と異なって、柱状ヒートシンクとの間に良好な熱結合構造を確立することができる。
【0012】
また、柱状ヒートシンクを構成する材料の熱抵抗、及び、柱状ヒートシンクの占有率を適切に選ぶことにより、電子部品の動作によって生じた熱を、柱状ヒートシンクによって、基板の外部に効率よく放熱しえる。
【0013】
好ましくは、前記貫通電極及び前記柱状ヒートシンクの少なくとも一方は、nmサイズの炭素原子構造体を含有するナノコンポジット構造を有し、前記支持装置に設けられたビアを鋳型とする鋳込み成形体でなる。
【0014】
本発明において、nmサイズとは1μm以下の範囲をいう。また、ナノコンポジット構造とは、少なくとも2種の組成分が一体となって複合体を構成し、それらの組成分が、nmサイズの微粒子、または、ナノ結晶もしくはナノアモルファスの相となっているものをいう。
【0015】
上述したように、貫通電極及び柱状ヒートシンクの少なくとも一方が、基板に設けられたビアを鋳型とする鋳込み成形体であると、ビアの側壁面に対する密着力が高く、巣、空隙、空洞のない緻密な構造を持ち、電気抵抗の小さな貫通電極、熱伝導性に優れた柱状ヒートシンクを有する支持装置が得られる。ビアの内壁面に凹凸があっても、貫通電極及び柱状ヒートシンクは、その凹凸に倣うように鋳込まれるから、ビアに対する密着強度の高い貫通電極及び柱状ヒートシンクが得られる。
【0016】
しかも、貫通電極及び柱状ヒートシンクが、ビアの内壁面の凹凸に倣うように鋳込まれる結果、貫通電極及び柱状ヒートシンクとビアの内壁面の凹凸が、貫通電極及び柱状ヒートシンクの抜けを阻止するアンカー部として働くので、支持装置に対する貫通電極及び柱状ヒートシンクの接合強度が高くなる。このことは、めっきによって貫通電極を形成する場合と異なって、ビアの内壁面に凹凸精度が要求されず、むしろ、若干の凹凸があった方が好ましい結果になるということを意味する。このため、ビアの形成が容易になる。
【0017】
貫通電極は、複数であるから、支持装置に搭載される電子部品に対して、貫通電極を、正極及び負極として活用することができる。このため、ワイヤボンディング等の電気配線が不要になり、高価なワイヤボンディング装置等に費やされていた生産設備費をカットし、製品コストを低減させることができる。
【0018】
更に、貫通電極及び柱状ヒートシンクの少なくとも一方は、nmサイズのカーボンナノチューブ(Carbon nanotube)を含有するナノコンポジット構造を有することができる。カーボンナノチューブは、銅の10倍の高熱伝導特性を有する。したがって、放熱特性の極めて優れた柱状ヒートシンクを実現することができる。
【0019】
また、カーボンナノチューブは、電流密度耐性が、10
9A/cm
2で、銅の1,000倍以上の高電流密度耐性を有する。しかも、カーボンナノチューブ内では、電気良導体の銅との対比において、電子散乱が少ないため、電気抵抗が小さい。したがって、カーボンナノチューブを含有するによれば、銅との対比において、電気抵抗が小さく、大きな電流を流しても、抵抗発熱量を低減することができる。
【0020】
ナノコンポジット構造を有する貫通電極及び柱状ヒートシンクは、nmサイズ効果として、応力が小さくなる。このため、半導体支持装置において、半導体回路の特性劣化が抑制される。また、支持装置に亀裂・クラックが入るのを抑制することもできる。
【0021】
貫通電極及び柱状ヒートシンクは、nmサイズのカーボンナノチューブと、ナノコンポジット結晶構造の金属/合金成分を含むナノコンポジット構造としてもよい。nmサイズのカーボンナノチューブと、ナノコンポジット結晶構造の金属/合金成分を含むナノコンポジット構造の貫通電極は、大きさが、ナノレベルに制限された組織(結晶)を含むから、その効果として、貫通電極及び柱状ヒートシンクに発生する応力が小さくなる。しかも、ナノコンポジット結晶構造には、縦導体の等軸晶化を促進する働きもある。上述したナノコンポジット結晶構造及びナノコンポジット構造の有する特有の特性により、特に、半導体支持装置において、半導体回路の特性劣化が抑制される。また、支持装置に亀裂・クラックが入るのを抑制することもできる。
【0022】
発明において、ナノコンポジット結晶構造とは、基本的には、結晶粒内にナノ粒子を分散(粒内ナノコンポジット結晶構造)させるか、粒界にナノ粒子を分散(粒界ナノコンポジット結晶構造)させたものをいう。
【0023】
更に、カーボンナノチューブと有機材料とを混合し、必要であれば、第3成分として、無機粉末を混合又はナノコンポジット結晶構造の金属/合金成分を添加して、ペースト化した複合材料で構成してもよい。
【0024】
基板は、セラミック等の無機
基板、銅張り支持装置等に見られる有機
基板又は半導体
基板の少なくとも一種を含むことができる。基板を構成する無機
基板、有機
基板が導電性を有する場合、及び、半導体
基板でなる場合は、貫通電極及び柱状ヒートシンクは、導電性の無機
基板、導電性の有機
基板及び半導体
基板に対して、電気絶縁膜または電気絶縁層によって電気絶縁される。そのような絶縁構造は、貫通孔の鋳型となる孔の内壁面を酸化又は窒化して得られた絶縁膜、孔の内壁面に付着させた絶縁層によって実現することができる。上述した絶縁構造は、孔から微小間隔を隔ててその周りにリング状に設けてもよい。
【0025】
本発明において、電子部品は、能動素子、受動部品またはそれらを組み合わせた複合素子を含み、チップとしての形態をとる。能動素子には、半導体素子を用いた全ての素子が含まれる。代表例として、各種メモリ、各種論理ICまたはアナログ回路素子等を例示することができる。メモリは、記憶保持方式による一般的分類によれば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリに大別される。揮発性メモリには、RAM(Random Access Memory)、SRAM (Static Random Access Memory) 、DRAM (Dynamic Random Access Memory)、FPM DRAM (First Page Mode DRAM)等がある。不揮発性メモリの代表例はROM(Read Only Memory)であり、更に、マスクROM、フラッシュメモリ、強誘電体メモリ、磁気抵抗メモリ(Magnetoresistive Random Access Memory, MRAM)、PRAM(Phase change RAM)等が含まれる。何れのタイプのメモリも、本発明の電子部品に含まれる。受動部品には、キャパシタ、インダクタもしくは抵抗またはそれらを組み合わせた複合素子が含まれる。
【0026】
更には、TSV技術を適用して、上述した各種素子自体を3次元積層構造としたもの、又は、インターポーザと各種素子と組み合わせて3次元積層構造としたものも含まれる。