【0018】
Ce:Zr酸化物およびゼオライトは、自動車の排ガス温度で安定であり、選択触媒還元(「SCR」)を示し、尿素噴霧に使用することができる。これらの触媒は、最適なNOx還元性能のためのNH
3吸着、NOx吸着およびNOx酸化部位を有する。表面上に吸着されたNH
3は、隣接する吸着されたNOxと相互作用する。したがって、NOxは窒素とH
2Oに還元される。しかしながら、ゼオライトおよびCe:Zr酸化物は、異なる温度範囲でNOxSCR活性を示す。ゼオライト(例えば、Fe−ZSM−5)は、高温領域(例えば、400℃、または500℃、またはさらには600℃超)で相当な比率のNOxを転化するのに対し、Ce:Zr酸化物は、低温領域(例えば、350℃、または300℃、またはさらには250℃未満)で相当な比率NOxを転化する。別の態様において、HCおよびアンモニアガスも、触媒体によって接触還元される。
【実施例】
【0021】
本開示は、本発明を実施するための組成物および方法の単なる例示であることが意図されている、以下の実施例を参照することによって、さらに理解されるであろう。
【0022】
表1には、実施例
および比較例が列記されており、各々は、ハニカム体に押し出され、5時間に亘り650℃で焼成されたものである。比較例2および4は、押出し後に成形体に含侵されたWO
3を有するのに対し、比較例6は、押し出されたバッチ混合物中にWO
3を有した。全ての実施例
および比較例は、焼成され、次いで、6時間に亘り700℃で熟成された。押出混合物は、他の非反応性充填剤および結合剤(上乗せ添加物として)を含有してもよい。
【表1】
【0023】
図1は、71質量%のFe−ZSM−5およびZr/Ceのモル比が0.8である29質量%のCeO
2:ZrO
2から製造された押出ハニカム触媒体の実施例3および
比較例4のNOx転化性能を示しており、タングステンの添加(焼成前に
比較例4の押出成形体に含侵されたWO
3)により、実施例3より優れた改善を実質的に示していない。
【0024】
図2は、71質量%のFe−ZSM−5およびZr/Ceのモル比が0.8である29質量%のCeO
2:ZrO
2から製造された押出ハニカム触媒体の実施例5および
比較例6のNOx転化性能を示しており、WO
3の混合物(
比較例6を形成するために押し出される)への添加はさらに効果的でないことを示している。
【0025】
図3は、71質量%のFe−ZSM−5およびZr/Ceのモル比が0.7である29質量%のCeO
2:ZrO
2から製造された押出ハニカム触媒体の実施例1および
比較例2のNOx転化性能を示しており、タングステンが添加された(焼成前に
比較例2の押出成形体に含侵されたWO
3)
比較例2と比べて実施例1のさらに著しい性能の改善を示している。
【0026】
例示のゼオライトとしては、ZSM−5、ベータ型ゼオライト、モルデナイト、Y型ゼオライト、超安定型Y型ゼオライト、およびリン酸アルミニウム・ゼオライト、並びにそれらの混合物が挙げられる。これらのゼオライトは、当業者によって、容易に鉄により交換または含侵できる。Fe−ZSM−5ゼオライトの供給源の1つは、米国、ペンシルベニア州、バリー・フォージ所在のZeolyst International社により供給される。ある実施の形態において、ゼオライト材料は、0.5nmから0.7nmに及ぶ細孔径を有し得る。ある実施の形態において、ゼオライトは、15から100の、他の実施の形態において15から50の、他の実施の形態において15から30のSi/Al比を有する。
【0027】
未焼成体を焼成するための焼成手順は、周期的(またはバッチ式)炉などの公知の炉、または1つ以上のコンベヤを使用したトンネル窯などの窯により実施できる。ある実施の形態において、未焼成体は、マイクロ波加熱炉または従来の炉により、乾燥させて水を除去することができる。この中で、未焼成体は、60から100℃の間の温度に加熱される。ある実施の形態において、未焼成構造体は、未焼成構造体を空気などの加熱ガス環境に曝露することにより焼成され、ここで、空気は、約100℃〜1200℃の範囲の温度に、これらの実施の形態のいくつかでは、約500℃〜900℃の間の温度に加熱され、その温度範囲での滞留時間は、構造体の焼成を完了するのに十分な期間である。滞留時間は、約1から48時間、ある実施の形態においては1から10時間、ある実施の形態においては3から6時間であり得、例えば、使用される成分のタイプまたは供給源によるであろう。
【0028】
触媒体は、バッチ材料を混合し、その混合物をブレンドし、未焼成体を形成し、その後、未焼成体を焼結または焼成して、硬質多孔質構造体を形成することによって製造される。押出しに適したバッチ混合物は、上述した成分を適切な液体ビヒクルと混合することによって調製することができる。ビヒクルは、焼成前に破壊されるのに耐えるために、成形後の十分な未焼成強度および可塑成形性をバッチに与えるのに必要な押出助剤および水を含んでよい。混合工程中にバッチに、様々な滑剤、結合剤、界面活性剤、および粘度改質剤を加えて、粘度制御、可塑性、および焼成前強度を提供して差し支えない。
【0029】
結合剤成分は、物体を互いに保持して、物体の強力な機械的構造を達成する。適切な結合剤としては、シリカまたはシリカ形成材料が挙げられる。結合剤の混合物または組合せを使用してもよい。結合剤は、シリコーン樹脂および/またはエマルションなどのシリコーン結合剤から選択されることが好ましい。これらは、前駆体、例えば、シリコーン樹脂などのシリカ前駆体として提供してもよく、またはコロイドシリカが適している。結合剤は、シリコーン樹脂またはシリコーンエマルションの形態で含まれることが好ましい。シリコーン樹脂は、水性エマルションの形態で混合物に加えて差し支えなく、両方とも独国、ミュンヘン所在のWacker-Chemie GmbHから入手できる、Wacker AG SILRES(登録商標)M50E(報告された固体含有量が52%〜55%であるメチルシリコーン樹脂のエマルション)またはWacker AG 「SILRES」M97Eなどのように市販されている。ある実施の形態において、結合剤は、焼成セラミックがシリカ結合剤を約5質量%から約30質量%、好ましくは15質量%〜30質量%に及ぶ量、より好ましくは約20質量%の量で含有するように、バッチ混合物中に含まれる。結合剤の量は、生成物中の結合剤の質量である、熱処理後の予測される質量に基づく。例えば、シリコーン樹脂が使用される場合、生成物中の結合剤の質量は、樹脂により加えられるシリカの質量である。焼成中、1種類以上のシリカ形成材料の形態またはシリカそれ自体の形態で提供されるシリカは、軟化し、その物体の全体に亘り広まる。焼成後に冷却した際に、シリカは硬化し、その物体を構成する他の材料の結合剤として働く。
【0030】
押出助剤は、通常、結合剤および可塑剤/ペースト形成剤、並びに滑剤などの加工助剤を含む。可塑剤/ペースト形成剤は、成形中に可塑性、および焼成前の押出体にある種の強度を提供する。ここに述べた目的に適した有機ペーストとしては、セルロースエーテルタイプの材料および/またはそれらの誘導体が挙げられる。セルロースエーテルおよび/またはその誘導体の供給源としては、Dow Chemical Co., からのセルロースエーテルの「Methocel」系列、およびその混合物が挙げられる。メチルセルロースが、本開示の押出体の配合に使用するのに適した有機ペースト成形助剤の一例である。結合剤、有機ペーストおよび他の加工助剤は、一般に、主相および副相の合計質量(熱処理後の予測される質量に基づく)を超えた上乗せ添加として加えられる。有機ペーストの上乗せ添加は、一般に、約3%〜8%の範囲にあるが、それより多くまたは少なく使用してもよい。有機ペーストまたは一時的結合剤は、ハニカム体のその後の焼成中に焼き払われる。取扱いおよび押出しに必要な可塑性を達成するために、バッチ成分に水を加えてもよい。この点に関して、加工を容易にするために、水性結合剤を使用して差し支えない。
【0031】
ハニカム構造体を形成する方法の1つは、成形ダイに通す押出しによるものである。ラム押出機、連続オーガー、または二軸スクリュー押出機または他の公知の押出装置を使用して差し支えない。本開示によるハニカム体は、どのような都合の良いサイズおよび形状、例えば、直円円柱形状構造体を有しても差し支えない。ハニカム体は、壁のマトリクスを形成するように押し出すことができ、その中で、主相材料、副相材料(もし存在すれば)および永久的結合剤が壁全体に亘って均一に分布している。壁のマトリクスは、ハニカム体を通って延在する通路を画成する。ハニカム体は、その構造体の外周で表皮セメント材料によりさらに被覆しても差し支えない。
【0032】
ある実施の形態において、触媒体は、ゼオライトの第1と第2の酸化物との混合物から生じる熱膨張係数(「CTE」)の正味差し引きまたは低下のために、改善された耐熱衝撃性および改善された熱機械的耐久性を有し得る。耐熱衝撃性はCTEに依存する。CTEがゼロに近いほど、耐熱衝撃性はより強くなる。ゼオライトは、典型的に、その有用な安定温度範囲に亘り低いまたは負のCTE、すなわち、−20×10
-7/℃のCTE、またはより低いCTEを有する。Ce:Zr酸化物は、典型的に、ゼオライトよりも高いCTEを有する。触媒体は、Ce:Zr酸化物と組み合わされていないゼオライト材料から製造された触媒体よりも高いCTEを有する。正のCTEを有するCe:Zr酸化物は、負のCTEを有するゼオライトと釣り合う。それゆえ、本開示は、潜在的に、耐熱衝撃性ゼオライト系ハニカム体およびその製造方法を提供する。
【0033】
本開示の押出焼成ハニカム体の実施の形態は、フロースルー型基体としてエンジン排気システムに使用するのに特に適している。ある実施の形態において、提供された物体は、触媒材料でウォッシュコートされる。しかしながら、本開示のハニカム体は、高表面積および低熱膨張を示すことが好ましく、ある実施の形態において、過剰な高表面積のウォッシュコートの必要性が減少するまたはなくなる。
【0034】
ある実施の形態において、ハニカム体はフロースルー型基体である。
【0035】
本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本開示の様々な改変および変更を行えることが当業者には明らかである。それゆえ、本発明は、本開示の改変および変更を、それらが添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲に含まれるという条件で包含することが意図されている。