特許第5709771号(P5709771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709771
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】製品袋取出装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/28 20060101AFI20150409BHJP
   B65B 35/36 20060101ALI20150409BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   B65B61/28
   B65B35/36
   B65G47/90 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-4511(P2012-4511)
(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公開番号】特開2013-142003(P2013-142003A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】東洋自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100974
【弁理士】
【氏名又は名称】香本 薫
(72)【発明者】
【氏名】古賀 彰一
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0318147(US,A1)
【文献】 特開2003−137425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 61/28
B65B 35/36
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ左右両側縁を別のグリッパー対で把持され袋口側を上にして同じ高さで吊り下げられ、互いに所定間隔を置き袋幅方向に沿って一列に配列した2個の充填及びシール済みの製品袋を、搬出コンベア上に袋の長さ方向に沿って一列に配列させる製品袋取出装置において、下向きに開閉し、前記グリッパー対に把持され所定の停止位置に停止した2個の製品袋のうち一方の製品袋を上方側から挟持するチャックと、前記チャックを前記一方の製品袋の受取位置と前記受取位置から離れた放出位置の間で往復移動させるチャック移動機構と、前記チャックが前記受取位置と放出位置の間を往復移動する間、前記チャックの向きを常に一定に維持するチャック並進機構を備え、前記チャック移動機構は、駆動源に連結され、前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋より高い位置で、前記2個の製品袋のうち他方の製品袋の平面視中心位置を中心として往復回動する鉛直な支点軸と、一端側が前記支点軸に固定され、前記支点軸の回動に伴い、前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋より高い位置で、前記支点軸を中心として水平面内で90度の角度範囲を往復揺動する揺動アームを備え、前記チャックは前記揺動アームの自由端側に水平面内で回転自在に設置され、その回転中心から前記支点軸の中心までの直線距離が前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋の間隔と等しいことを特徴とする製品袋取出装置。
【請求項2】
前記揺動アームの自由端側にチャック支持軸が回転自在に設置され、その回転中心から前記支点軸の中心までの直線距離が前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋の間隔と等しく、前記チャックが前記チャック支持軸の下端に設置されていることを特徴とする請求項1に記載された製品袋取出装置。
【請求項3】
前記チャック並進機構が、前記チャック支持軸に固定された従動リンクと、前記支点軸の近傍に固定された固定リンクと、一端が前記従動リンクに連結し、他端が前記固定リンクに連結する連結リンクからなり、前記支点軸、チャック支持軸及び前記連結リンクの両端の連結ピンは、これらの軸心を水平面内で直線でつないだとき常に平行四辺形が構成されるように位置関係が設定されていることを特徴とする請求項2に記載された製品袋取出装置。
【請求項4】
さらに、前記支点軸の下方に配置されて下向きに開閉し、前記グリッパー対に把持され前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋のうち他方の製品袋の袋口近傍を上方側から挟持するチャックを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された製品袋取出装置。
【請求項5】
両チャックは各製品袋のシール部を冷却する冷却板を兼ねることを特徴とする請求項4に記載された製品袋取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブル型の間欠移送式袋詰め包装機で製造された充填及びシール済みの製品袋を機外に取り出すために用いる製品袋取出装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ダブル型の間欠移送式袋詰め包装機は、特許文献1,2に示されるように、袋の左右両側縁を把持し袋口を上にして吊り下げるグリッパー対が二対で1組とされ、複数組のグリッパー対が所定の移動経路に沿って一定のピッチで設置されているもので、同じ組の二対のグリッパー対はそれぞれ袋を把持したときの把持面が略同一平面上に配置され、各組のグリッパー対が前記移動経路に沿って間欠的に移動する過程で、同じ組の二対のグリッパー対に各1個(計2個)の袋が同時に供給され、続く各包装工程では同じ組の二対のグリッパー対に把持された各1個の袋に対し同時に袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシール等の各包装工程が順次施される。なお、特許文献1,2では、グリッパー対の移動経路が円形であるが、直線状、レーストラック状の移動経路を有するものもある。
ダブル型の間欠移送式袋詰め包装機は、2個の袋を同時に処理する点で、シングル型の間欠移送式袋詰め包装機(特許文献3〜5参照)に比して生産性に優れる利点がある。
【0003】
ダブル型の間欠移送式袋詰め包装機で製造された製品袋は、2個同時に前記袋詰め包装機から放出(グリッパー対から解放)され、一般にそのまま搬出コンベア上に落下し、該搬出コンベアにより2列の状態で機外に搬出される(特許文献2)。
一方、搬出後の処理(殺菌、箱詰め等)の関係で、搬出コンベアにより1列で搬出しなければならない場合もある。例えば特許文献1では、搬出コンベアと袋詰め包装機の間に搬出コンベアに略直交する中間コンベアを配置し、製品袋を中間コンベアから搬出コンベアに移すことにより、製品袋の搬送形態を2列搬送(中間コンベア上)から、1列搬送(搬出コンベア上)に変換している。
【0004】
特許文献1のように中間コンベアを配置した場合、搬送される製品袋の向きが、中間コンベア上では袋の長さ方向(上下方向)であるのに対し、搬出コンベア上では袋幅方向に変換される。従って、特許文献1の方法は、1列で搬送される製品袋の向きが袋の長さ方向でなければならない場合には適用できない。また、中間コンベアと搬出コンベアの間には落差があるため、製品袋が中間コンベアから搬出コンベア上へ移る(落下する)際に、製品袋の向きや位置がずれ、整列状態が乱れるという問題もある。
【0005】
一方、出願人は、ダブル型の間欠移送式袋詰め包装機から同時に放出された2個の製品袋(袋幅方向に沿って一列に配列している)を、2組のチャックで挟持し、前記チャックを受取位置から放出位置まで移送する過程で製品袋の厚み方向に沿って一列に配列し直し、搬出コンベア上に放出する製品袋取出装置を開発し、特許出願した(特許文献6)。この製品袋取出装置によれば、2個の製品袋を、袋の長さ方向に沿って一列に整列した状態で搬出コンベア上に放出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭63−57297号公報
【特許文献2】実用新案登録第3116531号公報
【特許文献3】特開昭61−33915号公報
【特許文献4】特開平9−254931号公報
【特許文献5】特許第3984740号公報
【特許文献6】特願2010−148099
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献6の製品袋取出装置は、2個の製品袋を2組のチャックで挟持し、前記チャックを受取位置から放出位置まで移動する際、2組のチャックを両端に支持するチャック支持フレームを水平面内で揺動及び回転させているため、その移動の過程で、チャックに挟持された製品袋と袋詰め包装機のグリッパー対との干渉が生じないように、放出位置を受取位置からある程度離れた位置に設定せざるを得ない(同文献の図5,11参照)。このため、チャックの移動距離(及びチャックで挟持した製品袋の移送距離)が長くなり、それが生産性向上(製品袋の取り出しの高速化)や、製品袋取出装置を含む包装システム全体のコンパクト化の障害となっていた。また、製品袋を挟持した2組のチャックを同時に受取位置から放出位置まで移送するため、製品袋取出装置の構造が複雑となっていた。
【0008】
本発明は、上記特許文献6に記載された製品袋取出装置の問題点に鑑みてなされたもので、特許文献6に記載された製品袋取出装置と同様に、袋幅方向に沿って一列に配列した状態の2個の製品袋を、長さ方向を搬送方向に向けて一列に配列させた状態で搬出コンベア上に移すことができ、同時に、構造が簡単で、かつチャックの移動距離及び製品袋の移送距離を短縮できる製品袋取出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、それぞれ左右両側縁を別のグリッパー対で把持され袋口側を上にして同じ高さで吊り下げられ、互いに所定間隔を置き袋幅方向に沿って一列に配列した2個の充填及びシール済みの製品袋を、搬出コンベア上に袋の長さ方向に沿って一列に配列させるための製品袋取出装置に関し、下向きに開閉し、前記グリッパー対に把持され所定の停止位置に停止した2個の製品袋のうち一方の製品袋を上方側から挟持するチャックと、前記チャックを前記一方の製品袋の受取位置と前記受取位置から離れた放出位置の間で往復移動させるチャック移動機構と、前記チャックが前記受取位置と放出位置の間を往復移動する間、前記チャックの向きを常に一定に維持するチャック並進機構を備える。
【0010】
前記チャック移動機構は、駆動源に連結され、前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋より高い位置で、前記2個の製品袋のうち他方の製品袋の平面視中心位置を中心として往復回動する鉛直な支点軸と、一端側が前記支点軸に固定され、前記支点軸の回動に伴い、前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋より高い位置で、前記支点軸を中心として水平面内で90度の角度範囲を往復揺動する揺動アームを備える。
前記チャックは、前記揺動アームの自由端側に水平面内で回転自在に設置され、その回転中心から前記支点軸の中心までの直線距離が前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋の間隔と等しい。具体的な設置形態として、前記揺動アームの自由端側にチャック支持軸が回転自在に設置され、その回転中心から前記支点軸の中心までの直線距離が前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋の間隔と等しく、前記チャックが前記チャック支持軸の下端に設置されていることが例示できる。なお、2個の製品袋の間隔とは、袋幅方向に沿って一列に配列した2個の製品袋の袋幅方向中心位置の間隔である。
【0011】
前記チャック並進機構は、例えば、前記チャック支持軸に固定された従動リンクと、前記支点軸の近傍に固定された固定リンクと、一端が前記従動リンクに連結し、他端が前記固定リンクに連結する連結リンクからなる。この場合、前記支点軸、チャック支持軸及び前記連結リンクの両端の連結ピンは、これらの軸心を水平面内で直線でつないだとき常に平行四辺形が構成されるように位置関係が設定される。その結果、前記揺動アームが、前記連結リンク、固定リンク及び従動リンクとともに平行リンク機構を構成する。
前記製品袋取出装置は、必要に応じて、前記グリッパー対に把持され前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋のうち他方の製品袋の袋口近傍を上方側から挟持するチャックを備える。この場合、両チャックに各製品袋のシール部を冷却する冷却板を兼ねさせることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る製品袋取出装置によれば、袋幅方向に沿って一列に配列した状態の2個の製品袋を、長さ方向を搬送方向に向けて一列に配列させた状態で搬出コンベア上に移すことができる。
また、本発明に係る製品袋取出装置は、袋幅方向に沿って一列に配列した状態の2つの製品袋のうち一方の製品袋のみをチャックで挟持し、受取位置から放出位置まで移動させるようにしたことで、装置の構造が簡単となり、受取位置から放出位置までのチャックの移動距離も短縮できる。その結果、製品袋取出装置を含む包装システム全体をコンパクト化し、生産性を向上させることができる。
【0013】
本発明に係る製品袋取出装置に2組のチャックを設けた場合、2つの製品袋のうち他方の製品袋についても、搬出コンベア上への放出のタイミングを自在に設定できる。
また、両チャックが各製品袋の袋口のシール部を冷却する冷却板対を兼ねるようにした場合、袋詰め包装機の側にシール部冷却工程及びシール部冷却手段(開閉する冷却板対)を設ける必要がなく、袋詰め包装機のコンパクト化及び高速化を図ることができる。一方、製品袋取出装置の側では、一方の製品袋を挟持したチャックの移動時間を利用してシール部の冷却が行われるので、シール部を冷却することによって生産性が低下することはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一方の袋を挟持するチャックが受取位置にあるときの製品袋取出装置の一部断面正面図(両チャック開状態)である。
図2】その側面図(チャック閉状態)である。
図3】その平面図(チャック閉状態)である。
図4】一方の袋を挟持するチャックが受取位置から放出位置に向けて移動途中の製品袋取出装置の平面図である。
図5】一方の袋を挟持するチャックが放出位置にきたときの製品袋取出装置の平面図である。
図6】両チャックが搬出コンベア上に製品袋を放出するときの製品袋の動きを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図1図6を参照し、本発明に係る製品袋取出装置について具体的に説明する。
製品袋取出装置は、ダブル型の間欠移送式袋詰め包装機(図1〜3にグリッパー対1,2のみ示す)の2つのグリッパー対1,2が、所定の停止位置(図1〜3に示す位置)に停止したとき、前記グリッパー対1,2から充填及びシール済みの製品袋3,4を受け取り、搬出コンベア5上に放出する。
間欠移動するグリッパー対1,2は、例えば特許文献1,2に示すように、円形の移動経路(図1,3に移動方向を矢印6で示す)を有する。左右両側縁をグリッパー対1,2に把持された製品袋3,4は、袋口側を上にして同じ高さで吊り下げられ、互いに所定間隔D(製品袋3,4の幅方向中心位置の間隔)を置き、袋幅方向に沿って一列に配列している。搬出コンベア5の搬送方向(図2,3に矢印7で示す)は、グリッパー対1,2に把持された製品袋3,4の厚み方向に平行に設定されている。
【0016】
グリッパー対1,2は、間欠移送式袋詰め包装機において製品袋3,4の袋口のやや下方位置の左右両縁を把持して間欠回転する通常のもので、二対1組となっている。各グリッパー対1,2を構成する左右のグリッパー1a,1b,2a,2bは対称構造を有し、それぞれ内側の固定側グリップ部材8と外側の可動側グリップ部材9からなり(図4参照)、可動側グリップ部材9は平面視でカギ形に屈曲した形状を有し、固定側グリップ部材8の外側から外向き又は内向きに水平面内で揺動して開閉し、内向きに閉じたとき固定側グリップ部材8との間で製品袋3,4の側縁を把持し、外向きに開いたとき製品袋3,4は解放される。同じ組の二対のグリッパー対1,2は、袋を把持したときの左右のグリッパー1a,1b,2a,2b(それぞれ固定側グリップ部材8と可動側グリップ部材9からなる)の把持面の全てが、略鉛直な同一平面上に位置するように配置されている。従って、グリッパー対1,2に把持された製品袋3,4は、袋幅方向に沿って一列に配列された状態となっている。
【0017】
図1〜3に示すように、製品袋取出装置は、チャック11,12と、チャック11を製品袋3の受取位置と前記受取位置から離れた放出位置の間で移動させるチャック移動機構13と、チャック11が前記受取位置と放出位置の間を往復移動する間、チャック11の向きを常に一定に維持するチャック並進機構14を備える。
チャック移動機構13は、前記所定の停止位置に停止した製品袋3,4より高い位置に配置された支点軸16と、一端側が支点軸16の下端部に固定された揺動アーム17を備える。支点軸16は、製品袋4の平面視中心位置に鉛直に配置され、駆動機構15を介して図示しない駆動源に連結されて往復回動する。揺動アーム17は、支点軸16の回動に伴い、製品袋3,4より高い位置で、支点軸16を中心として水平面内で90度の角度範囲を往復揺動する。
【0018】
駆動機構15は、機台18上に立設するスタンド19と、スタンド19内に回転自在に設置され、図示しない駆動源に連結されて往復回動する駆動軸21と、駆動軸21の上端に固定された第1プーリ(タイミングプーリ)22と、スタンド19の上部に固定された支持アーム23と、支点軸16の上端に固定された第2プーリ(タイミングプーリ)24と、第1,第2プーリ22,24に掛け渡されたタイミングベルト25からなる。支持アーム23には支点軸支持部26が形成され、この支点軸支持部26に前記支点軸16が回動自在に支持されている。前記駆動源により駆動軸21が回動すると、第1プーリ22、タイミングベルト25及び第2プーリ24を介して支点軸16が回動し、揺動アーム17が揺動する。
【0019】
揺動アーム17の自由端側に支持軸支持部27が形成され、この支持軸支持部27にチャック支持軸28が鉛直に回動自在に支持されている。チャック支持軸28の設置位置は、その回動中心から支点軸16の回動中心までの直線距離が、前記所定の停止位置に停止した2個の製品袋3,4の間隔Dと等しくなるように設定されている。
チャック支持軸28の下部に,チャック取付部29を介してチャック開閉用のエアシリンダ31が固定され、その下部にチャック11が設置されている。チャック11は、下向きに開閉する一対の挟持部11a,11bからなり、エアシリンダ31の作動により開閉し(図2において実線が閉、仮想線が開)、閉じたとき製品袋3のシールされた袋口を上から袋幅のほぼ全長に渡り挟持する。
【0020】
支持アーム23にチャック取付部32が形成され、チャック取付部32の下部にチャック開閉用のエアシリンダ33が固定され、その下部にチャック12が設置されている。チャック12は、下向きに開閉する一対の挟持部12a,12bからなり、エアシリンダ33の作動によりチャック11と同様に開閉し、閉じたとき製品袋4のシールされた袋口を上から袋幅のほぼ全長に渡り挟持する。チャック12は、その幅方向の中心を支点軸16の回動中心と一致させている。
チャック11,12の挟持部11a,11b,12a,12bは、図示しない手段で冷却されている。
【0021】
支持アーム23の一部としてその先端部(支点軸16の近傍)に固定リンク34が形成され、一方、チャック支持軸28の上端に従動リンク35が固定されている。前記チャック並進機構14は、固定リンク34と従動リンク35、及び一端が固定リンク34に連結し、他端が従動リンク35に連結する連結リンク36からなる。支点軸16、チャック支持軸28、連結リンク36の両端の連結ピン37,38は、これらの軸心を水平面内で直線でつないだとき常に平行四辺形が構成されるように位置関係が設定されている。従って、揺動アーム17が、連結リンク36、固定リンク34及び従動リンク35とともに平行リンク機構を構成する。
【0022】
そのほか、製品袋取出装置の補助装置として、搬出コンベア5の上方近傍に、チャック11,12から放出された製品袋3,4を搬送コンベア5上に誘導するシュート41,42、及びチャック11から放出された製品袋3をシュート41上に一時的に保持するシャッター43が配置されている。シュート41,42は、それぞれ底壁41a,42a及び側壁41b,41c,42b,42cからなる枠状の部材であり、適宜のタイミングで垂直状態の退避位置(図6の仮想線参照)から受入位置(図6の実線参照)に向け傾斜しながら移動し、次いで逆方向に復帰移動する。シャッター43は、同じく適宜のタイミングで図6の退避位置(図6の仮想線参照)から保持位置(図6の実線参照)に向けて揺動し、次いで逆方向に復帰揺動する。
搬出コンベア5はベルトコンベア式であり、回転する一対のローラ(一方のローラ44のみ示す)と、それらに掛け渡されたコンベアベルト45と、コンベアベルト45の両側に設置された側部ガイド板46,47からなる。
【0023】
以上説明した製品袋取出装置及び補助装置の作動の一例について、以下説明する。
(1)図1〜3に示すように、間欠移送式袋詰め包装機のグリッパー対1,2が製品袋3,4を把持して停止した時点で、揺動アーム17は揺動の始点にあり、チャック11も移動の始点にある。すなわち、揺動アーム17は、袋幅方向に沿って一列に配列した状態の製品袋3,4の直上において、前記製品袋3,4の列に平行に位置している。また、チャック11,12は、前記製品袋3,4の直上において、製品袋3,4の袋幅方向に沿って(あるいはチャック11,12の挟持面の幅方向に沿ってということもできる)一列に配列されている。このときのチャック11の位置が前記受取位置である。
【0024】
(2)製品袋3,4を挟持する前は、図1(及び図2の仮想線)に示すように、チャック11,12は開状態であり、続いてエアシリンダ31,33が作動して、図2,3に示すように、チャック11,12が閉じ、製品袋3,4の袋口を上方から挟持する。これ以降、チャック11,12が開くまで、冷却板を兼ねるチャック11,12により製品袋3,4の袋口が冷却される。
続いて間欠移送式袋詰め包装機のグリッパー対1,2が開いて製品袋3,4を解放し、これにより、グリッパー対1,2からチャック11,12への製品袋3,4の受け渡しが完了する。
【0025】
(3)揺動アーム17が揺動(図3において右回転)を始めると、チャック11も同時に移動を開始する。図4は揺動アーム17の揺動途中(揺動角度45°)の揺動アーム17及びチャック11の位置を示す。
先に述べたように、揺動アーム17が、連結リンク36、固定リンク34及び従動リンク35とともに平行リンク機構を構成する。従って、揺動アーム17が揺動する間、固定リンク34と従動リンク35の平行関係は変化せず、従動リンク35はその姿勢を変化させることなく移動する。つまり、従動リンク35は並進運動を行うだけで回転運動を行わない。同様に従動リンク35に固定されたチャック11、及びチャック11に挟持された製品袋3も並進運動で移動し、その姿勢(チャック11の挟持面の向き及び製品袋3の幅方向の向き)は変化しない。
【0026】
(4)図5に示すように、揺動アーム17が揺動終点(90°揺動した位置)に到達すると、チャック11も移動終点に到達する。チャック11の移動終点が前記放出位置である。
このとき、揺動アーム17は、搬出コンベア5の搬送方向(矢印7で示す)に対し平行となる。チャック11の挟持面の向き及び製品袋3の幅方向の向きは、移動前と変わらず、搬出コンベア5の搬送方向に対し垂直である。チャック11及び製品袋3が移動している間、チャック12及び製品袋4は移動せず、元の位置に留まっているので、チャック11,12及び製品袋3,4は、製品袋3,4の厚み方向に沿って一列に配列する(あるいはチャック11,12の挟持面に対し垂直方向に一列に配列するともいえる)。
【0027】
(5)続いて、図6に示すように、シュート41,42が退避位置から受入位置に向けて傾斜しながら移動し、一方、シャッター43が退避位置から保持位置に向けて揺動し、シュート41,42が製品袋3,4の後方側(搬出コンベア5の搬送方向(矢印7で示す)からみて後方側)に斜めに当接し、製品袋3,4を実線で示すように傾斜させる。次いでエアシリンダ31,33が作動してチャック11,12が同時に開き、製品袋3,4がシュート41,42上に落下する。シュート41上に落下した製品袋3は、シャッター43で止められてシュート41内に一時的に保持され、一方、シュート42上に落下した製品袋4は、シュート42上を滑落して搬出コンベア5のコンベアベルト45上に袋の長さ方向を搬送方向に平行に向けた状態で乗り移り、搬送される。
【0028】
(6)チャック11,12が開いた後、揺動アーム17が復帰揺動を開始し、それに伴いチャック11が復帰移動を開始する。なお、チャック11が復帰移動中も、前記平行リンク機構の作用で、チャック11は並進運動で移動し、その姿勢(チャック11の挟持面の向き)は変化しない。
この間、適宜のタイミングで、間欠移送式袋詰め包装機のグリッパー対1,2が次の停止位置に向けて移動を開始し、同時に、前の停止位置に停止していた別の2つのグリッパー対が図1に示す停止位置に向けて移動を開始する。
【0029】
(7)製品袋4が搬出コンベア5により搬送され、シュート41の位置を過ぎた適宜のタイミングで、シャッター43が退避位置に向けて復帰揺動し、製品袋3がシュート41上を滑落して、搬出コンベア5のコンベアベルト45上に袋の長さ方向を搬送方向に平行に向けた状態で乗り移り、搬送される。なお、シャッター43により製品袋3をシュート41内に一時的に保持するのは、製品袋3,4がコンベアベルト45上で重なる(製品袋の長さ寸法が大きい場合に生じる)ことを防止するためである。従って、シュート41,42から同時に製品袋3,4がコンベアベルト45上に滑落しても、製品袋3,4がコンベアベルト45上で重ならないのであれば、シャッター43を作動させる必要はない(又はシャッター43が不要である)。
製品袋3,4がシュート41,42上から滑落後、適宜のタイミングでシュート41,42は退避位置に向けて復帰移動する。
【0030】
なお、本発明に係る製品袋取出装置の構造及び作動は、上記の例に限られない。下記に示すような種々の改変が可能である。
(1)上記製品袋取出装置では、製品袋4を挟持するチャック12を設けたが、チャック12は必ずしも設けなくてよい。この場合、グリッパー対2が開くと、製品袋4は直ちにシュート42上に落下し、シュート42上を滑落して搬出コンベア5のコンベアベルト45上に乗り移る。
(2)上記製品袋取出装置では、チャック並進機構として平行リンク機構を用いたが、同様の機能を有する他の機構を適宜用いることができる。例えば、複数のギアからなる歯車機構(特許文献6参照)やサーボモータ等により、揺動アーム17の揺動に合わせてチャック支持軸28を回転させるようにしてもよい。
【0031】
(3)上記製品袋取出装置では、チャック11,12を同時に開いたが、両チャック11,12を開くタイミングをずらすこともできる。例えば、チャック11が開くタイミングを遅らせ、搬出コンベア5により搬送される製品袋4がシュート41の位置を過ぎた適宜のタイミングで、チャック11を開くようにすれば、製品袋3,4が搬出コンベア5上で重なることが防止できる。この場合、製品袋3をシュート41内に一時的に保持するシャッター43が不要となる。
【0032】
(4)上記の例では、製品袋取出装置の補助装置として、搬出コンベア5の上方近傍にシュート41,42を配置したが、これは必須ではない。チャック11,12から直接搬出コンベア5上に落下させてもよい。あるいは、特許文献6の図6に記載されているように、搬出コンベア5を、製品袋3,4の下端より搬送面が低くなる下降位置と、製品袋3,4の下端より搬送面が高くなる上昇位置の間で昇降可能に設置し、適宜のタイミングで昇降させるようにしてもよい。これにより、搬出コンベア5上に落下した製品袋3,4の向き(長さ方向の向き)を、搬出コンベア5の搬送方向に確実に向けることができる。
【符号の説明】
【0033】
1,2 グリッパー対
3,4 製品袋
11,12 チャック
13 チャック移動機構
14 チャック並進機構
15 駆動機構
16 支点軸
17 揺動アーム
28 チャック支持軸
31,33 エアシリンダ
34 固定リンク
35 従動リンク
36 連結リンク
41,42 シュート
43 シャッター
図1
図2
図3
図4
図5
図6