(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
自動車用ディーゼルエンジン等において、燃焼排気に含まれる環境汚染物質、特に煤粒子(Soot)及び可溶性有機成分(SOF)を主体とする粒子状物質(Particulate Matter;以下、PMと称する。)を捕集するために、排気通路にディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFと称する。)を設置することが行われている。DPFは、耐熱性に優れる多孔質セラミックスからなり、多数の細孔を有する隔壁に燃焼排気を通過させてPMを捕捉する。
DPFは、PM捕集量が許容量を超えると、目詰まりが生じて圧力損失が増大したり、過剰に堆積したPMを燃焼したときに発生する熱によりDPFが破損してPMのすり抜けを生じたりする虞があり、定期的に再生処理を行って捕集能力を回復させている。
【0003】
DPFの再生時期の適切な判断や、PMのすり抜け等の異常を早期に検出すべく、被測定ガス中のPMを検出するPM検出センサについて種々提案されている。
例えば、特許文献1には、絶縁体の表面に所定の間隙を隔てて対向させた一対の櫛歯電極間に被測定ガス中のPMを堆積させ、その堆積量に応じて変化する抵抗値、静電容量、インピーダンス等の電気的特性を測定して、被測定ガス中に含まれるPM量を検出するPM検出素子が開示されている。
また、特許文献2には、板状の素子基材、前記素子基材に配設された一対の計測電極、前記一対の計測電極の間における電気的特性の測定をする特性測定手段、及び前記特性測定手段で測定をされた電気的特性の変化量に基づいて前記一対の計測電極及びその周囲に集塵された粒子状物質の量を求める粒子状物質量算出手段、を備え、一対の前記計測電極を構成するそれぞれの計測電極は、平面的に配列された複数の櫛歯部と、各前記計測電極の前記複数の櫛歯部をその一端で連結する櫛骨部とを有する櫛歯状の電極であり、それぞれの前記計測電極の前記櫛歯部が、隙間を空けて相互にかみ合わされるように配置されてなり、且つ、少なくとも一方の前記計測電極の前記櫛骨部は、誘電体からなる櫛骨被覆部によって被覆された粒子状物質検出装置が開示されている。この粒子状物質検出装置は、一対の計測電極及びその周囲に粒子状物質を付着させ、一対の計測電極間の電気的特性の変化を測定することにより粒子状物質の検出を行うものである。
【0004】
このような、従来のPM検出素子では、アルミナ等の絶縁性基板や、ジルコニア等の導電性基板の表面に、厚膜印刷、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)等の薄膜印刷等の手法を用いて、略短冊状に形成した複数の電極を一定の間隔で並べ、極性が交互に入れ代わるように対向させた、いわゆる櫛歯状にパターン形成されたものが用いられている。櫛歯状電極を対向させたPM検出素子においては、一対の電極間に堆積するPM量が一定量を超えるまで電極間の電気的特性を検出することができない不感質量が存在し、DPFの異常をより早期に、しかも確実に検出するために、この不感質量をできる限り少なくすることが望まれている。
【0005】
また、検出電極間に一定量以上のPMが堆積し飽和状態となると、検出電極間で検出される電気的特性が一定となり、被測定ガス中のPMを検出できなくなる。
そこで、PM検出装置においては、PM検出を継続するために、検検出電極間へのPM付着量が限界に達したときに、ヒータ等の加熱により、付着したPMを燃焼除去してPM検出素子の再生を図っている。
【0006】
さらに、特許文献3では、このようなガスセンサにおいて、検出部と抵抗測定手段との間を繋ぐ導通経路の断線の有無を検出する断線検出手段として、所定の抵抗値を有する断線検出抵抗を一対の検出電極を導通すると共に、該検出電極間に形成される検出抵抗に対して並列となるように反抵抗測定手段側に設けたことを特徴とするガスセンサが開示されており、早期の断線検出を可能としている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1Aを参照して、本発明の粒子状物質検出センサ1の基本構成について説明する。
図1Aは、本発明の粒子状物質検出センサ1の基本構成を最も簡略化して表現した概念図である。
粒子状物質検出センサ1は、少なくとも所定の距離を隔てて対向する
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bを具備する検出部10に捕集・堆積する粒子状物質の量に応じて変化する
第1の検出電極
ELAと第2の検出電極ELBとの間の電気的特性を検出して被測定ガス中に含まれる粒子状物質の量を検出する粒子状物質検出素子2と、回路部3とによって構成されている。
粒子状物質検出素子2は、検出部10とこれを実装する基板部20とによって構成されている。
【0015】
検出部10は、少なくとも、絶縁層120を介して対向せしめた
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bとを有する積層体構造によって形成されている。
なお、
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bは、いずれの電極であるかを区別するため、便宜上、ハッチングを変えて表示してあるが、いずれの電極も同じ材質で形成してある。
具体的な材質については、製造方法と共に後述する。
回路部3は、
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bとの内部の断線の有無を検出する検出電極断線検出回路部30と、検出電極間に堆積した粒子状物質の量に応じて変化する電気的特性を検出するPM検出回路部31とによって構成されている。
【0016】
検出電極断線検出回路部30は、
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bのそれぞれにおける断線の有無を検出する第1の検出電極断線検出回路部301Aと第2の検出電極断線検出回路部301Bとによって構成されている。
第1
の検出電極断線検出回路部301Aは、例えば、第1の検出電極EL
Aの一方の端に設けた断線検出端子部103A
から他方の端に設けたPM検出端子104A
に至るまでの抵抗値を検出して
第1の検出電極EL
Aの内部の断線の有無を検出する。
同様に、第2の検出電極断線検出回路部302Bは、第2の検出電極ELBの一方の端に設けた断線検出端子部103Bから他方の端に設けたPM検出端子104Bに至るまでの抵抗値を検出して第2の検出電極ELBの内部の断線の有無を検出する。
具体的な断線の検出方法としては、微弱な電流を流して両端間の電位差を計測することで、
第1の検出電極EL
Aの内部抵抗RELA、
第2の検出電極EL
Bの内部抵抗
RELBの計測が可能となり、これ
らを所定の閾値と比較することによって、断線の有無を判断できる。
【0017】
本発明においては、
第1の検出電極EL
Aが、略平板状に形成した
第1の検出電極対向部100A
の一部
を検出部10において略コ字形に折り返した
第1の検出電極折り返し部101A
を具備して、
第1の検出リード部102A
に接続し、
第1の検出リード部102A
を介して、
第1の断線検出端子103A
、及び、
第1のPM検出端子104A
に接続された状態となっており、
第1の断線検出端子103A
からPM検出端子104A
迄が枝分かれすることなく、直列に接続された一本の導電経路を形成する一筆書き状となっていることを特徴としている。
同様に、第2の検出電極ELBは、第1の検出電極ELAを180°反転させた形状となっており、略平板状に形成した第2の検出電極対向部100Bの一部を検出部10において略逆コ字形に折り返した第2の検出電極折り返し部101Bを具備して、第2の検出リード部102Bに接続し、第2の検出リード部102Bを介して、第2の断線検出端子103B、及び、第2のPM検出端子104Bに接続された状態となっており、第2の断線検出端子103BからPM検出端子104B迄が枝分かれすることなく、直列に接続された一本の導電経路を形成する一筆書き状となっていることを特徴としている。
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bとをこのような枝分かれのない連続した導電経路を有する形状とすることによって確実に断線の有無が検出可能となる。
【0018】
PM検出回路部31は、
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bとの間に堆積する粒子状物質の量に応じて変化する直流抵抗、静電容量、交流インピーダンスのいずれかの電気的特性について、
第1の検出電極ELAの一方の端部
103Aと第2の検出電極ELBの一方の端部103Bとの間
(103A−103B間
)、又は、
第1の検出電極ELAの他方の端部
104Aと第2の検出電極ELBの他方の端部104Bとの間
(104A−104B
間)の抵抗値、静電容量、インピーダンスのいずれかの計測により検出し、被測定ガス中に含まれる粒子状物質の量を算出することができる。
なお、基板部20には、通電により発熱する発熱体220を具備させて、検出時の温度を安定化させたり、検出部10の表面に堆積した粒子状物質を燃焼除去してセンサの再生に利用したりするようにしても良い。
発熱体220への通電は、後述する発熱制御回路部32によって通電制御することができる。
【0019】
図1B、
図2A、
図2B、
図3を参照して、本実施形態における粒子状物質検出センサ1のより具体的な構成について説明する。
本実施形態における粒子状物質検出センサ1は、
図1Bに示すように、公知の粒子状物質検出センサと同様に、図略のハウジング4に覆われ内燃機関から排出される燃焼排気等の被測定ガスが流れる測定ガス流路5に固定された状態で使用される。
粒子状物質検出素子2は、略筒状に形成したハウジング4内にインシュレータ等の公知の固定部材を介して固定され、基板部20の先端に固定した検出部10が被測定ガスに晒されるようになっている。
【0020】
本実施形態においては、
図2Aに示すように、検出部10内において、
痔1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bとが複数箇所で対向するように、複数箇所に
第1の検出電極折り返し部101A
と第2の検出電極折り返し部101Bが設けられて
、コ字形に屈曲する第1の検出電極対向部100Aと逆コ字形に屈曲する第2の検出電極対向部100Bとが交互に対向して複数並んで略櫛歯状に形成されている。
ただし、本実施形態においても、上述の如く、
第1の断線検出端子103A
から第1のPM検出端子104A
に至るまで枝分かれすることなく
、第2の断線検出端子103Bから第2のPM検出端子104Bに至るまで、枝分かれすることなく、
それぞれ一本の直列する導電経路を構成している。
【0021】
また、本実施形態においては、
図2Aに示すように、
第1の断線検出端子103A
と第1のPM検出端子104A
とを、検出部10の一方の端に配置すべく、
第1の戻りリード部105A
が形成され、第2の断線検出端子103Bと第2のPM検出端子104Bとを、検出部10の一方の端に配置すべく、第2の戻りリード部105Bが形成されている。
さらに、本実施形態における検出部10は、従来の絶縁性基板の表面に電極パターンを印刷形成するのではなく、
図2Bに示すように、平板状に形成された
第1の検出電極対向部100A
と第2の検出電極対向部100Bと所定の検出電極対間距離を形成するための絶縁層120とを積み重ねたような積層構造によって形成されている。
【0022】
一方、本実施形態においては、
図2Bに示すように、
第1の検出電極対向部100A
及び第2の検出電極対向部100Bの積層方向の膜厚は、100μm以上500μm以下に形成され、絶縁層120の積層方向の膜厚は、5μm以上20μm以下に形成されている。
絶縁層120の膜厚を極めて薄く形成し、
第1の検出電極対向部100A
と第2の検出電極対向部100Bを積層することによって、検出部10の表面に露出する
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bとの間の
積層方向の距離は、5μm以上20μm以下の極めて短い距離に設定することが可能となり、不感質量の解消を図ることができる。
検出部10をこのような積層構造とする具体的な製造方法については、後述する。
【0023】
図3に示すように、本実施形態における基板部20は、略平板状の絶縁性基板200、210の間に、通電により発熱する発熱体220が具備されており、絶縁性基板200の表面には、厚膜印刷、メッキ等の公知の方法により、
第1のPM検出端子接続部106A、
第2のPM検出端子部106B、
第1の断線検出端子接続部107A、
第2の断線検出端子部107B、
第1のリード部108A、
109A、第2のリード部108B
、109B、
第1のPM検出外部接続端子110A、
第2のPM検出外部接続端子110B、
第1の断線検出外部接続端子111A、
第2の断線検出外部接続端子111Bからなる所定の導体パターンが形成されている。
検出部10の
第1の断線検出端子103A
が、第1の断線検出端子接続部107Aと、第2の断線検出端子103B
が、第2の断線検出端子接続部107Bと、第1のPM検出端子104Aが
、第1のPM検出端子接続部106A
と、
第2のPM検出端子104Bが、第2のPM検出端子接続部106Bと、それぞれ接続されると共に基板部20の表面に実装・固定されている。
略平板状に形成した絶縁性基板210の表面には、厚膜印刷、メッキ等の公知の方法により形成され、通電により発熱する発熱体220と一対の発熱体リード部221A、221Bが形成され、発熱体220及び発熱体リード部221A、221Bは、絶縁性基板200によって覆われており、スルーホール電極222A、222Bを介して、絶縁性基板210の裏面側に設けた発熱体端子部223A、223Bに接続されている。
【0024】
図4A、
図4Bを参照して、本発明の第1の実施形態における粒子状物質検出センサ1の効果を説明すると共に、
図5A、
図5Bを参照して、比較例として示す従来の絶縁性基板の表面に一対の櫛歯状電極を厚膜形成した粒子状物質検出センサ1zの問題点について説明する。
本発明の粒子状物質検出センサ1を用いた場合、
第1の検出電極EL
Aの両端(103A−104A間)、及び、第2の検出電極EL
Bの両端(103B−104B間)
において、第1の断線検出回路部301A
及び第2の断線検出回路部301B
によって検出される抵抗値は、
第1の検出電極EL
Aの内部抵抗R
ELA、及び、第2の検出電極EL
Bの内部抵抗R
ELBに加え、
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bの表面に堆積する粒子状物質の影響を受ける。
このとき、粒子状物質の堆積によって形成される抵抗パスは、
第1の検出電極EL
Aの互いに対向する第1の検出電極対向部100A
同士、及び、第2の検出電極ELBの第2の検出電極対向部100B同士を架橋するように形成されるため、
図4Aに示すように、粒子状物質の堆積によって形成される内部抵抗r
PMは、
第1の検出電極EL
Aの内部抵抗RELA、と、
第2の検出電極EL
Bの
内部抵抗R
ELBに対して並列に接続されることになり、
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bの
それぞれの両端で検出される
第1の検出抵抗値R
Aと第2の検出抵抗R
Bとは、
1/R
A=1/R
ELA+1/r
PM、
1/R
B=1/R
ELB+1/r
PMの関係が成り立つ。
【0025】
第1の検出電極EL
Aの内部抵抗R
ELA、及び、第2の検出電極ELBの内部抵抗R
ELBを、例えば、1Ω〜200Ω程度とした場合、粒子状物質の堆積によって形成される抵抗パスの抵抗値r
PMは、粒子状物質の堆積量に応じて、1000Ω〜10
6Ω程度まで変化したとしても、
第1の検出電極EL
Aの両端、及び、第2の検出電極EL
Bの両端で検出される
第1の検出抵抗値R
A、
及び、第2の検出抵抗値R
Bは、0.999Ω〜199.96Ω程度となり、
第1の検出電極EL
A、
第2の検出電極EL
Bのいずれかの導通経路に断線が生じた場合には、
第1の両端抵抗値RA、若しくは、第2の両端抵抗値RBのいずれかが、1000Ω以上となる。
このため、
図4Bに示すように、断線が発生している
第1の検出電極EL
A、
の内部抵抗RELA、又は、第2の検出電極EL
Bの内部抵抗
RELBは、10
5Ω以上に上昇するため、
第1の断線検出回路部301A
、又は、第2の断線検出回路部301Bにおいて、
第1の検出抵抗R
A、
第2の検出抵抗R
Bと、所定の抵抗閾値R
REF(例えば、1000Ω)と、を比較する
第1の断線判定手段302A、
第2の断線判定手段302Bを設けることによって、極めて容易に断線の有無を検出することができる。
【0026】
加えて、対向する
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bとの間に堆積する粒子状物質の量に応じて変化する電気的特性として、PM検出端子104A−104B間のPM由来抵抗R
PMを計測した場合、粒子状物質の堆積量による抵抗値変化のみを検出することができる。
また、断線を検出したときには、異常警告を発信することにより、粒子状物質算出を停止させることもできる。
【0027】
一方、絶縁性基板の表面に、所定の間隙を隔てて互いに対向する一対の検出電極を厚膜印刷によって櫛歯状に形成した従来の粒子状物質検出センサ1zを用いた場合、正常時には、
図5Aに示すように、検出電極間で検出される検出抵抗R
SUMは、
第1の検出電極EL
AZの内部抵抗rAと、
第2の検出電極EL
BZの
内部抵抗r
Bと、粒子状物質の堆積量Q
PMに応じて変化するPM由来抵抗R
PMと、が直列接続されたものと等価となり、その合成抵抗R
PM+r
A+r
Bを計測することでPM堆積量Q
PMの算出が可能となる。
【0028】
しかし、従来の粒子状物質検出センサ1zでは、
第1の検出電極EL
AZ、
第2の検出電極EL
BZの何処かに断線異常が発生した場合、
図5Bに示すように、断線箇所とPM由来抵抗R
PMとは直列に接続された状態であり、PM由来抵抗は、1000Ω〜10
6Ωまでの大きな範囲で変化し、断線が生じた場合の検出抵抗は10
5Ω程度となるで、断線が生じているのか、検出電極EL
AZ、EL
BZ間に粒子状物質が堆積していない状態なのかを区別して検出することができない虞がある。
さらに、断線を生じた場合であっても、断線箇所を架橋するように粒子状物質が堆積した場合には、断線箇所をバイパスするように並列に接続された抵抗パスr
PMZが形成されるため、断線が検出されない虞もある。
本発明は、従来の粒子状物質検出センサ1zにおいて起こり得るこのような問題を解決するためになされたものである。
【0029】
ここで、
図6A、
図6B、
図6cを参照して、本発明の粒子状物質検出センサ1の要部である検出部10の製造方法について説明する。
絶縁層120は、8YSZ
((ZrO
2)
0.92(Y
2O
3)
0.08)
からなる部分安定化ジルコニア、MgO、Al
2O
3のいずれかから選択した絶縁性酸化物材料に所定の結合材、可塑剤、分散剤、溶剤等を添加して、厚膜印刷、又は、ドクターブレード法等の公知の成膜方法を用いて、膜厚5μm以上、20μm以下の略平板状によって形成された、絶縁性薄膜シート(120
THN)と、膜厚100μm以上、500μm以下の略平板状によって形成された、絶縁性厚膜シート(120
THK)とを用いて形成されている。
なお、以下の説明において、焼成前のグリーンシートの状態であるか、焼成後の焼結体の状態であるかを特に区別していないが、積層工程や埋め込み工程においては、グリーンシートの状態で加工され、焼成により一体の粒子状物質検出素子を構成するものであることは、いうまでもない。
【0030】
導電性シート成形工程では、
第1の検出電極EL
A、
及び、第2の検出部EL
Bを形成するための導電性シートを形成する。
導電性シート
には、LNF(LaNi
0.6Fe
0.4O
3)、LSN(La
1.2Sr
0.8NiO
4)、LSM(La
1−XSr
XMnO
3−δ)、LSC(La
1−XSr
XCoO
3―δ)、LCC(La
1−XCa
XCrO
3−δ)、LSCN(La
0.85Sr
0.15Cr
1−XNi
XO
3−δ)(0.1≦X≦0.7)のいずれかから選択したペロブスカイト型の導電性酸化物材料に所定の結合材、可塑剤、分散剤、溶剤等を添加して、ドクターブレード法、プレス法等の公知の形成方法によって、膜厚100μm以上、500μm以下の略平板状に形成された導電性
厚膜シート(100
THK)が用いられている。
後述する、膜厚5μm以上、20μm以下の絶縁性薄膜シート120内に埋め込むための導電性薄膜シート100THNは、導電性厚膜シート100THKと同材料を用いて、絶縁性薄膜シート120THNと同一膜厚に形成されている。
LNF、LSN、LSM、LSC、LCC、LSCN等
の導電性酸化物材料によって形成された導電性シートは、焼成によって、導電率が10
−2S/cm以上の導電性酸化物となる。
なお、図においては、第1の検出電極ELAを構成する導電性シートには、Aの符号を、第2の検出電極ELBを構成する導電性シートにはBの符号を付して区別したため、導電性厚膜シート100THKと導電性薄膜シート100THNとの違いを示す符号は付していない。
【0031】
絶縁性シート成形工程では、YSZ((ZrO
2)
0.92(Y
2O
3)
0.08)
からなる部分安定化ジルコニア、MgO、Al
2O
3のいずれかから選択した絶縁性酸化物材料をドクターブレード法、厚膜印刷法等の公知の成形方法を利用して形成する。
絶縁性シート成形工程で形成された絶縁シートは、焼成により、絶縁層120を構成する導電率が10
−5S/cm以下の絶縁性酸化物となる。
検出電極間距離を決定する絶縁性薄膜シート120THNは、膜厚5μm以上、20μm以下に形成され、後述する導電性厚膜シート100THK内に埋め込まれる絶縁性厚膜シート120THKは、導電性厚膜シート100THKと同一の膜厚に形成されている。
なお、図においては、絶縁性厚膜シート120THKと絶縁性薄膜シート120THNとは、同材質であり、いずれも、焼成後に絶縁層120となるため、膜厚の違いによる符号の区別をしていない。
【0032】
図6Aに(a)〜(d)の順を追って示す絶縁性
厚膜シート
埋め込み導電性
厚膜シート
成形工程では、予め用意した同じ膜厚の絶縁性厚膜シート
120THKと導電性
厚膜シート
100THKとを重ね合わせ、金型M1、M2を用いて、同時に打ち抜くことで、絶縁性膜厚シート
120THKを導電性
厚膜シート
100THK内に隙間なく埋込
み、絶縁性厚膜シート埋め込み導電性厚膜シート(A層、B層)を形成することができる。
金型のパターンを適宜変更することによって、導電性
厚膜シート
100THKの複数の所定位置に所定の形状に区画した絶縁性
厚膜シート
120THKを埋め込むこと
で、導電性薄膜シート埋め込み絶縁性薄膜シート(MA層、MB層、C層)の形成が可能である。
なお、膜厚5μm以上、20μm以下の絶縁性薄膜シート120
THNの所定位置に部分的に同膜厚で所定形状に区画した導電性
薄膜シート100
THNを埋め込む導電性
薄膜シート
埋め込み絶縁性
薄膜シート
成形工程において、上記のような方法が困難な場合には、所定のパターンの導電性シートと絶縁性シートとを重ねて厚膜印刷するようにしても良い。
【0033】
このような絶縁性シート120と導電性シート100とが所定のパターンで組み合わされたシートを
図6Bに示すような積層工程を経て積層することで、検出部10が形成されている。
例えば、
図6BにA層と記した
絶縁性厚膜シート埋め込み導電性厚膜シートでは、導電性厚膜シート100
THK内の5カ所に絶縁性厚膜シート120
THKを埋め込むことで、検出電極戻りリード部105Aと、検出電極対向部100Aと、検出電極リード部102Bと、検出電極戻りリード部105Bとが絶縁層120を介して配置された状態とすることができる。
なお、
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
Bのどの部分を構成するものであるかを明確にするために、便宜上、
第1の検出電極EL
Aの側と
第2の検出電極EL
Bの側とをハッチングを分けて示しているが、元々は、一枚の導電性
厚膜シート100
THKに絶縁性
厚膜シート120
THKを埋め込んだものである。
絶縁性厚膜シート埋め込み導電性厚膜シートB層は、
絶縁性厚膜シート埋め込み導電性厚膜シートA層を平面方向に180度回転させたものである。
【0034】
導電性薄膜シート埋め込み絶縁性薄膜シートMA層は、A層とA層とを直列に接続するものであり、絶縁性薄膜シート120
THNの所定の4カ所に導電
性薄膜シート100
THNを埋め込むことで、絶縁層120内の所定の位置に検出電極戻りリード部105A、検出電極折り返し部101A、検出電極リード部102B、検出電極戻りリード部105Bが配設された状態となっている。
導電性薄膜シート埋め込み絶縁性薄膜シートMB層は、B層とB層とを直列に接続するものであり、
導電性薄膜シート埋め込み絶縁性薄膜シートMA層を平面方向に180度回転させたものである。
【0035】
導電性薄膜シート埋め込み絶縁性薄膜シートC層は、互いに対向する
第1の検出電極対向部100Aと
第2の検出電極対向部100Bとの絶縁を図りつつ、
第1の検出電極リード部102A、
第2の検出電極リード部102B、
第1の検出電極戻りリード部105A、
第2の検出電極戻りリード部105Bの導通を図るものであり、絶縁性薄膜シート120
THNの所定の4カ所に導電
性薄膜シート100
THNを埋め込むことで、絶縁層120内の所定の位置に
第1の検出電極戻りリード部105A、
第1の検出電極リード部102A、
第2の検出電極リード部102B、
第2の検出電極戻りリード部105Bが配設された状態となっている。
A層、MA層、A層、C層、B層、MB層、B層、C層、A層・・・
のように、所定のパターンを繰り返して積層することにより、
第1の検出電極EL
Aは、少なくとも、略平板状に形成した
第1の検出電極対向部100Aと
、その一部が略コ字形に屈曲する
第1の検出電極折り返し部101A
と、検出電極リード部102A
とによって構成され、一方の端部に
第1の断線検出端子部103A
が形成され、他方の端部に
第1のPM検出端子部104A
が形成され、
第1の断線検出端子部103A
からPM検出端子部104A
までが直列に接続された一本の導通経路を形成することができ
、第2の検出電極ELBは、少なくとも、略平板状に形成した第2の検出電極対向部100Bと、その一部が略コ字形に屈曲する第2の検出電極折り返し部101Bと、検出電極リード部102Bとによって構成され、一方の端部に第2の断線検出端子部103Bが形成され、他方の端部に第2のPM検出端子部104Bが形成され、第2の断線検出端子部103BからPM検出端子部104Bまでが直列に接続された一本の導通経路を形成することができる。
【0036】
絶縁性厚膜シート埋め込み導電性厚膜シートAE層は、検出部10の一方の端部処理を行うものであり、導電性厚膜シート100
THKの3カ所に絶縁性厚膜シート120
THKが埋設されて、
第1の検出電極対向
端部100AEが、
第1の検出電極折り返し部101Aと
第1の検出電極戻りリード部105Aとに接続するように配設され、
第2の検出電極対向
端部100BEが、
第2の検出電極リード部102Bと
第2の検出電極戻りリード部105Bとに接続されるように配設されている。
また、
上端末シートETP層は、絶縁性シート120のみからなり、検出部10の一方の端面の絶縁保持を図っている。
【0037】
なお、導電性薄膜シート埋め込み絶縁性薄膜シートC層を繰り返し積層することで、
第1の検出電極リード部102A、
第2の検出電極リード部102B、
第1の検出電極戻りリード部105A、
第2の検出電極戻りリード部105Bを任意の長さに形成することができる。
下端末シートEND層は、検出部10の他方の端部処理を行うもので、絶縁性厚膜シート120
THKの所定の4カ所に導電性厚膜シート100
THKを埋設(逆に、導電性厚膜シート100
THKの所定の3カ所に絶縁性膜厚シート120
THKを埋設しても良い。)することによって、
第1の断線検出端子103A、
第2の断線検出端子103B、
第1のPM検出端子104A、
第2のPM検出端子104Bを形成し
、検出部10の片側に配設してある。
【0038】
また、実際の製造工程においては、多層セラミックスの製法において慣用されているように、各層の周囲を覆う枠部を設けて、位置決め孔を形成した上で積層することにより、高い精度で
第1の検出電極層EL
A、
第2の検出電極層EL
Bの一方の端から他方の端までが枝分かれすることなく直列に接続された導通経路を形成しつつ、互いに一定の間隙を隔てて対向させることができる。
【0039】
なお、本実施形態において、各層の幅を厚く形成し、積層した後、金太郎飴のように、所定の幅に切り出すことによって、複数の検出部10を効率良く形成することができる。
このようにして得られた検出部集合体10MLTを
図6Cに示すように、ダイシングソー等の切断手段を用いて、所定の厚みに切り出して検出部10が完成する。
これを、
図3に示したように、基板部20に実装すれば、本発明の要部である粒子状物質検出素子2が完成する。
【0040】
なお、検出部集合体10MLTから、個片を切り出すのは、焼成前に行っても良いし、焼成後に行っても良い。
焼成前の加工であれば、成形体の状態であるので加工が容易であるメリットがある反面、焼成による寸法変化があるため、検出部10の寸法バラツキが大きくなるデメリットがある。
焼成後の加工であれば、検出部10の強度が高くなっているので、加工が困難となるデメリットがある反面、焼成による寸法変化がないので、加工後の寸法精度が高いメリットがある。
したがって、生産コストを重視する用途か、加工精度を重視しる用途かに応じて、いずれの時期に加工するのが良いかを適宜選択できる。
【0041】
また、本発明の要部である検出部10は、上述のような積層構造を呈しているため、多層基板や、圧電アクチュエータ等の積層構造体と同様に、加工工程途中での不純物の混入や、各層間の熱膨張係数の違い等によって、層間剥離(デラミネーション)を生じる虞がある。
第1の検出電極EL
A内、又は、第2の検出電極EL
B内に、デラミネーションを生じると、各層間の導通が阻害され、局所的な断線を生じる虞があるが、上述の如く、本発明によれば、極めて容易に素子内部の断線の有無を検出することができる。
したがって、検出部10を積層体構造と
し、積層方向断面を検出面として利用することによって、
第1の検出電極
ELAと第2の検出電極ELBとの間の絶縁距離を極めて短くして不感質量の解消を図った場合であっても、高い信頼性を維持できるのである。
【0042】
図7を参照して、本発明の第2の実施形態における粒子状物質検出センサ1aについて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については、同じ符号を付したので詳細な説明を省略し、類似する構成であって相違する部分には同じ符号に枝番としてアルファベットを付してあり、相違点を中心に説明する。以下の実施例においても同様とする。
上記実施形態においては、基板部20に具備した発熱体220への通電を制御する発熱体通電制御回路部32を、断線検出回路部30、及び、PM検出回路部31とは独立に設けた例を示したが、本実施形態においては、断線検出回路部30(
第1の断線検出回路部301Aa、
第2の断線検出回路部301Ba)を、発熱体220の発熱温度の検出と温度制御に利用するように構成した点が相違する。
【0043】
第1の検出電極EL
Aの第1の断線検出端子103A
から第1のPM検出端子104A
に至るまでの
第1の内部抵抗R
A及び、
第2の検出電極ELBの第2の断線検出端子103Bから第2のPM検出端子104Bに至るまでの第2の内部抵抗RBは、温度に対して相関性を有するため、検出された
第1の内部抵抗R
Aから、発熱体220の
第1の発熱温度T
1を、第2の内部抵抗RBから発熱体220の第2の発熱温度T
2を算出することが可能である。
得られた温度結果を、ヒータ制御回路320にフィードバックし、ヒータ制御回路320では、温度結果に応じて、発熱体220への通電を制御するスイッチング素子322を開閉駆動するたドライバ321の駆動を制御する。
本実施形態によれば、上記実施形態と同様に、検出部10内部の断線の有無検出が可能で、高い精度で粒子状物質の検出が可能であるのに、加えて、発熱体の温度をより正確に制御することも可能となる。
【0044】
図8を参照して、本発明の第3の実施形態における粒子状物質検出センサ1bについて説明する。
上記実施形態においては、検出部10に堆積した粒子状物質を燃焼除去させたり、検出時の温度を一定として検出精度の向上を図ったりするために、基板部20の内部に通電により発熱する発熱体220を設けた例を示したが、本実施形態においては、発熱体220を具備することなく、
第1の検出電極EL
A、
と第2の検出電極EL
Bとのそれぞれを抵抗発熱体として利用するように構成した点が相違する。
本実施形態においては、
第1の検出電極EL
Aの両端103A−104A
間の断線を検出する第1の断線検出回路部301Abと、第2の検出電極EL
Bの両端103B−104
B間の断線を検出する
第2の断線検出回路部301Bbのそれぞれに、発熱制御機能を持たせたことを特徴とする。
具体的には、
第1の検出電極EL
Aの両端103A−104A間の内部抵抗、及び、第2のEL
Bの
両端103B−104A間の内部抵抗を測定することによって断線の有無を検出するだけでなく、導体の抵抗値は、温度依存性を有することから、測定された
第1の検出抵抗値R
Aから
第1の検出電極EL
Aの温度を、
第2の検出抵抗値R
Bから第2の検出電極EL
Bの温度を算出する。
【0045】
さらに、抵抗体の発熱量は、供給電力に比例することから、
第1の検出抵抗値R
A、
第2の検出抵抗値R
Bをモニタしつつ、
第1の可変電源32Ab
から第1の検出電極ELAに、第
2の可変電源32Bb
から第2の検出電極EL
Bに供給する電力量を増減することによって、
第1の検出電極EL
A、
及び、第2の検出電極EL
Bを所望の温度に維持することが可能となる。
本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果に加え、
第1の検出電極EL
A、及び、第2の検出電極EL
Bに堆積した粒子状物質が飽和状態となった場合には、
第1の可変電源32Ab、
及び/又は、第2の可変電源32Bbからの供給電力を上げ、
第1の検出電極EL
A及び/又は、第2の検出電極EL
Bの温度を上昇させ、堆積した粒子状物質を燃焼除去することもできる。
【0046】
図9A、
図9Bを参照して、本発明の第4の実施形態における粒子状物質検出センサ1cとその要部である検出電極積層体10cについて説明する。
上記実施形態においては、検出電極積層体10の内部を貫通するように、検出電極戻りリード部105A、105Bを設けて外部との接続を図る断線検出端子部103A、103Bと粒子状物質検出端子部104A、104Bとを検出電極積層体10の一方の端縁に引き出した構成について説明したが、
図9A、
図9Bに示すように、検出電極戻りリード部105A、105Bを設けることなく、断線検出端子部103Ac、103Bc、粒子状物質検出端子部104Ac、104Bcを4箇所に振り分けて露出させ、基板部20cの表面に設けた導体106Ac、106Bc、107Ac、107Bc、108Ac、108Bc、109Ac、109Bc、110Ac、110Bc、111Ac、111Bcの配線パターンによって、外部との接続を図る接続端子110Ac、110Bc、111Ac、111Bcを粒子状物質検出素子2cの基端側に配設するようにした点が相違する。
【0047】
検出電極戻りリード部105A、105Bを形成していないので、
図9Bに示すように、各層の構成がシンプルで上記実施形態より製造容易となる。
本実施形態においても、上記実施形態と同様に、
第1の検出電極EL
Aが、第1の断線検出端子103Ac
から第1のPM検出端子104Ac
に至るまで枝分かれすることなく、一筆書き状の導電経路が形成され、
第2の検出電極ELBが、第2の断線検出端子103Bcから第2のPM検出端子104Bcに至るまで枝分かれすることなく、一筆書き状の導電経路が形成されているので、
第1の検出電極EL
Aと第2の検出電極EL
B内部の断線の有無を極めて容易に検出できる。
【0048】
図10A、
図10Bを参照して、本発明の第5の実施形態における粒子状物質検出センサ1d、及び、検出電極積層体10dについて説明する。
上記実施形態においては、導電性
厚膜シート100
THK内に絶縁性
薄膜シート120
THKを埋め込んだ
絶縁性厚膜シート埋め込み導電性厚膜シート(A層、B層)と、絶縁性
薄膜シート120
THN内に導電性
薄膜シート100
THNを埋め込んだ
導電性薄膜シート埋め込み絶縁性薄膜シート(MA層、MB層、C層)を積層することで、
第1の検出電極折り返し部101A、
第2の検出電極折り返し部101Bや、
第1の検出電極リード部102A、
第2の検出電極リード部102Bを形成して、
第1の検出電極EL
Aが、第1の断線検出端子103A、から、
第1のPM検出端子104Aまで、
第2の検出電極ELBが第2の断線検出端子103Bから第2のPM検出端子104Bまで、それぞれ枝分かれすることなく、直列接続された導電経路を形成する方法を示したが、本実施形態においては、各層間の導通を確保する
第1の検出電極折り返し部101A、
第2の検出電極折り返し部101Bや、
第1の検出電極リード部102A、
第2の検出電極リード部102Bをスルーホール印刷によって形成する点が相違する。
【0049】
このような構成とすることで、検出部10dの表面には、略短冊状に区画された
第1の検出電極
対向部100A、
第1の検出電極
対向部100Bのみが絶縁層120を介して平行に並んで露出した状態となり、
第1の検出電極折り返し部101Ad、
第2の検出電極折り返し部101Bd、及び、
第1の検出電極リード部102Ad、
第1の検出電極リード部102Bdは、絶縁層120内部に埋設された状態となっている。
このため、
第1の検出電極EL
Adと第2の検出電極EL
Bdとの間に電界を作用させ、被測定ガス中に含まれる粒子状物質の捕集を図った場合に、検出電極の屈曲する部分に電界集中することがなく、平行に並んだ
第1の検出電極EL
Ad、
第2の検出電極EL
Bdとの間に一様な電界が形成されるため、捕集される粒子状物質の偏在が抑制され、検出精度のさらなる向上を図ることもできる。
また、本発明において、検出部10、10a、10b、10c、10dの方向性を特に限定するものではなく、
図1Bに示すように、粒子状物質検出素子2の長手方向に対して、直交する方向に
第1の検出電極対向部100A、
第2の検出電極対向部100Bが並ぶように形成しても良いし、
図10Aに示すように、粒子状物質検出素子2の長手方向に対して、平行する方向に
第1の検出電極対向部100A
と第2の検出電極対向部100Bが並ぶように形成してもよい。
【0050】
なお、上記実施形態においては、検出部10、10a、10b、10c、10dを積層体構造とすることで、一対の検出電極対向部100A、100B間を絶縁する絶縁層120の膜厚を20μm以下にすることを可能にし、極めて検出精度を高くした構成について説明した
。
厚膜印刷の場合、
第1の検出電極対向部
100Azと第2の検出電極対向部100Bzとを絶縁する絶縁距離を20μm以下とするのが困難であるため、上記実施形態に比べ、検出精度の低下は避けられない
。