(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709905
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】ベント付きバイアルアダプタを含む液剤移送デバイス
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
A61J3/00 314B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-554468(P2012-554468)
(86)(22)【出願日】2011年2月23日
(65)【公表番号】特表2013-520273(P2013-520273A)
(43)【公表日】2013年6月6日
(86)【国際出願番号】IL2011000187
(87)【国際公開番号】WO2011104712
(87)【国際公開日】20110901
【審査請求日】2012年10月24日
(31)【優先権主張番号】209101
(32)【優先日】2010年11月4日
(33)【優先権主張国】IL
(31)【優先権主張番号】204141
(32)【優先日】2010年2月24日
(33)【優先権主張国】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】506361719
【氏名又は名称】メディモップ・メディカル・プロジェクツ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(72)【発明者】
【氏名】レヴ,ニムロッド
(72)【発明者】
【氏名】レヴ,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ベン シャロム,ニヴ
【審査官】
岩田 洋一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06139534(US,A)
【文献】
特表平03−500608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品用のバイアルで使用するための液剤移送デバイスであって、
前記医薬品用のバイアルは、
薬剤を収容したボトルと、
バイアルストッパによって塞がれたバイアル開口部と、
前記ボトルと前記バイアル開口部との間に設けられた狭幅のネックとを有しており、
前記液剤移送デバイスは、ベント付きバイアルアダプタを備え、該ベント付きバイアルアダプタは、
長さ方向バイアル軸線を持ち、前記長さ方向軸線に対して横方向に延びる上壁と、
実質的に円筒形のスカート部とを含み、該スカート部は、前記バイアル開口部を内部に入れ子式に摺動自在受け入れることができるように、前記上壁に弾性的に取り付けられ前記上壁から下方に垂下した撓み部材を有しており、環状空気フィルタが前記上壁の下に配置されており、
前記液剤移送デバイスは、また、前記バイアルストッパを穿刺して前記ボトルの内部と流れ連通できるように、下方に垂下した二内腔穿刺スパイクを備え、前記二内腔穿刺スパイクは、前記上壁と隣接したベースと、穿刺チップとを含み、前記穿刺チップは、軸線方向に差し向けられた一対の内腔を含み、前記内腔は、前記ベースから前記穿刺チップまで延びており、前記軸線方向に差し向けられた一対の内腔は、液体移送内腔及びベント内腔を含み、
前記液剤移送デバイスは、また、
前記液体移送内腔と流れ連通した液体移送ポートと、
前記上壁に形成され、前記空気フィルタを介して前記ベント内腔と流れ連通する、軸線方向に差し向けられた少なくとも一つのベント穴とを備え、
前記液体移送ポート及び前記少なくとも一つのベント穴は、前記バイアルを前記バイアルアダプタ内に摺動可能に受け入れたとき、前記ボトルと流れ連通し、
前記上壁には、前記少なくとも一つのベント穴と同数の少なくとも一つの保護フードが形成されており、前記少なくとも一つのベント穴の各ベント穴は、前記長さ方向バイアル軸線に沿った前記ベント付きバイアルアダプタの平面図で、前記同数の少なくとも一つの保護フードによって個々に覆われており、
各保護フードは、前記長さ方向バイアル軸線に関して半径方向外方に向くフード穴を有し、
前記保護フードの各々は、球の4分の一の形状を有する、デバイス。
【請求項2】
請求項1記載のデバイスにおいて、更に、
前記液体アクセスポートをシールするための手作業で配置されたキャップを含む、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として液剤(液状薬)移送デバイスに関し、詳細には、ベント付き(通気口付き)バイアルアダプタ含む液剤移送デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ニードスピアールジュニア等に賦与された米国特許第6,139,534号には、ベント付きバイアルアダプタによって形成された液剤移送デバイスが例示されており且つ記載されている。ベント付きバイアルアダプタは、長さ方向バイアル軸線を持ち、軸線方向に差し向けられた一連のベント穴が設けられた上壁と、一連のベント穴の下に配置された環状空気フィルタと、バイアルを内部に入れ子式に受け入れるための下方に垂下したスカートと、下方に垂下した中央二内腔穿刺スパイクと、逆方向に差し向けられた中央液体移送ポートとを含む。二内腔穿刺スパイクは、軸線方向に差し向けられた一対の隣接した内腔、即ち液体移送内腔及びベント内腔を含む。液体移送内腔は、液体移送ポートと連通している。ベント穴は、空気フィルタを介してベント内腔と連通している。ベント付きバイアルアダプタは、バイアル内容物の無菌性を維持するため、エラストマー製プレスプリット隔膜を含む。ベント付きバイアルアダプタを使用した場合、液剤内容物が、一つ又はそれ以上のベント穴のうちの一つ又はそれ以上に不時に出て液剤内容物の飛沫を形成し、これによってその下の空気フィルタの作動に支障が生じる程に濡らしてしまう場合がある。
【0003】
ベント付きバイアルアダプタを含む液剤移送デバイスは、更に、とりわけ、リトソンに賦与された米国特許第4,834,744号、ニードスピアールジュニア等に賦与された米国特許第6,503,240号、米国特許第6,544,246号、米国特許第6,655,246号、米国特許第6,997,917号、及び米国特許第7,799,009号、ウォンに賦与された米国特許第7,192,423号、ハセガワに賦与された米国特許第7,452,348号、ウォルシュの米国特許出願第2007/0156112号、及びヨーの米国特許出願第2008/0172024号に例示されており且つ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,139,534号
【特許文献2】米国特許第4,834,744号
【特許文献3】米国特許第6,503,240号
【特許文献4】米国特許第6,544,246号
【特許文献5】米国特許第6,655,246号
【特許文献6】米国特許第6,997,917号
【特許文献7】米国特許第7,799,009号
【特許文献8】米国特許第7,192,423号
【特許文献9】米国特許第7,452,348号
【特許文献10】米国特許出願第2007/0156112号
【特許文献11】米国特許出願第2008/0172024号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、本明細書中に説明したベント付きバイアルアダプタを備えた液剤移送デバイスに関する。本発明は、液剤内容物が、ドレン(排出)、飛沫、等によってベント穴に入り、その下の空気フィルタを作動に支障が生じる程に濡らすことがないようにするため、ベント穴を覆うための個々の保護フードをこのようなベント付きバイアルアダプタに設けることに関する。本発明は、内容物の無菌性を維持するため、液体アクセスポートに手作業で配置するキャップを含んでいてもよい。別の態様では、本発明は、バイアル内容物の無菌性を維持するためのエラストマー製プレスプリット隔膜(または、隔壁)を含んでいてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、13mm、20mm、等の様々な大きさのバイアルで使用するための、ベント付きバイアルアダプタを含む様々な液剤移送デバイスに等しく適用できる。液剤移送デバイスは、雌バイアルアダプタ、雄バイアルアダプタ、等を含むバイアルアダプタ自体によって形成されていてもよい。この他の液剤移送デバイスには、例えば、本願と所有者が共通する、ジンガー等に賦与された米国特許第6,558,365号に例示されており且つ記載された液剤移送デバイス、本願と所有者が共通する、PCT国際公開第WO2005/105014号、等に例示されており且つ記載されたインライン液剤移送デバイスが含まれる。
【0007】
本発明を理解し、これを実際に実施する方法を理解するため、同様の部分に同様の参照番号を付した添付図面を参照して好ましい実施例を以下に単なる非限定的例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、注射器、バイアル、及び長さ方向バイアル軸線を持つベント付き雌バイアルアダプタの斜視図である。
【
図2】
図2は、長さ方向バイアル軸線に沿ったベント付きバイアルアダプタの平面図である。
【
図3】
図3は、
図2のA−A線に沿った
図1のベント付きバイアルアダプタの長さ方向断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のB−B線に沿った
図1のベント付きバイアルアダプタの長さ方向断面図である。
【
図5】
図5は、取り外し可能なベント付き(通気口付き)バイアルアダプタを備えた液剤移送デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、生理液源を構成する注射器10と、医薬品用バイアル20と、液剤移送デバイス30とを示している。液剤移送デバイス30は、注射器10及びバイアル20とともに使用するためのベント付き雌バイアルアダプタによって構成されている。注射器10は、プランジャー12と雄ルアーコネクタ13とを備えたバレル(筒部)11を有している。注射器10には、この他の種類の雄コネクタが形成されていてもよい。バイアル(容器、薬瓶など)20は、バイアルストッパ22によってシールされた、頂部が開放したボトル21を含む。バイアルストッパ22は、金属製バンド23によって覆われている。バイアル20には、散剤又は液剤24のいずれかが負圧下で入っている。注射器10には、代表的には、バイアル内容物24を復元するための希釈剤が入っている。
【0010】
図1乃至
図4は、ベント付き雌バイアルアダプタ30を示す。バイアルアダプタ30は、長さ方向バイアル軸線31を有し、横断方向に延在する上壁32を備えている。上壁32は、下方に垂下したスカート部33を有している。スカート部33は、バイアル20にスナップ嵌めするための撓み部材34を備えている。バイアルアダプタ30は、下方に垂下した二内腔穿刺スパイク36を有している。二内腔穿刺スパイク36は、スカート部33がバイアル20にスナップ嵌めするときに、バイアルストッパ22を穿刺できるようになっている。穿刺スパイク36は、上壁32に近いベース36Aを含み、スパイクチップ36Bで終端する。穿刺スパイク36は、軸線方向に差し向けられた一対の内腔(管腔)、即ち液体移送内腔37とベント内腔38とを含む。液体移送内腔37は、スパイクチップ36Bの近くにポート37Aを含む。ベント内腔38は、スパイクチップ36Bの近くにポート38Aを含む。
【0011】
バイアルアダプタ30は、更に、中央軸線に向かって差し向けられた液体移送ポート39を含む。液体移送ポート39は、穿刺スパイク36とは逆方向に差し向けられており、液体移送内腔37と流れ連通している。液体移送ポート39は、注射器の雄ルアーコネクタ13に螺着するため、雌ルアーコネクタ41で終端している。
【0012】
上壁32には、直径方向に沿って両側に設けられ軸線方向に差し向けられた一対のベント穴43が設けられている。環状空気フィルタ44が、上壁32の下に配置されている。ベント穴43は、空気フィルタ44を介してベント内腔38と流れ連通している。空気フィルタ44は、バイアルストッパ22の穿刺時に、バイアル20に吸い込まれる空気を濾過する。
【0013】
上壁32には、
図2の平面図で見てベント穴43を覆うことができるように、ベント穴43の上方に取り付けられた一対の保護フード46が形成されている。これらの保護フード46は、好ましくは、球の4分の一の形状(四分球形状)である。各保護フード46には、上壁32の上方に、長さ方向バイアル軸線31に対して半径方向外方に向くフード穴47が設けられている。保護フード46によって、バイアルアダプタ30の使用中に、不注意で、液剤内容物がベント穴43を通って空気フィルタ44を濡らすことがないようにしている。
【0014】
図5は、ベント付きバイアルアダプタ30と同様の取り外し自在のベント付きバイアルアダプタ51を備えた米国特許第6,558,365号の液剤移送デバイス50を示す。
本発明を限られた数の実施例に関して説明したが、本発明の多くの変形、変更、及び他の用途は、添付の特許請求の範囲の範疇に含まれるということは理解されよう。
【符号の説明】
【0015】
10 注射器
11 バレル
12 プランジャー
13 雄ルアーコネクタ
20 医薬品用バイアル
21 ボトル
22 バイアルストッパ
23 金属製バンド
24 液剤
30 液剤移送デバイス
31 長さ方向バイアル軸線
32 横上壁
33 スカート部
34 撓み部材
36 二内腔穿刺スパイク
36A ベース
36B スパイクチップ
37 液体移送内腔
37A ポート
38 ベント内腔
38A ポート
39 液体移送ポート
41 雌ルアーコネクタ
43 ベント穴
44 環状空気フィルタ
46 保護フード
47 フード穴
50 液剤移送デバイス
51 ベント付きバイアルアダプタ