特許第5709923号(P5709923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709923
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】流体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20150409BHJP
   F24F 6/02 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   F24F6/00 E
   F24F6/00 B
   F24F6/02 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-78383(P2013-78383)
(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公開番号】特開2014-202408(P2014-202408A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2013年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(72)【発明者】
【氏名】陸 茉莉花
(72)【発明者】
【氏名】美寿見 奈穂
(72)【発明者】
【氏名】星崎 潤一郎
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−064509(JP,A)
【文献】 特開2010−065919(JP,A)
【文献】 特開平10−030837(JP,A)
【文献】 特開2005−226907(JP,A)
【文献】 特開平04−151325(JP,A)
【文献】 実開平06−046234(JP,U)
【文献】 特開平04−303016(JP,A)
【文献】 特開2003−322382(JP,A)
【文献】 特開平04−201618(JP,A)
【文献】 特開2007−326407(JP,A)
【文献】 特開2007−278537(JP,A)
【文献】 特開2010−249385(JP,A)
【文献】 特許第5454720(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を生成する蒸気生成部と、
蒸気を絞って圧縮放出することでスチーム化するノズル式の構造に形成され、前記蒸気生成部により生成された蒸気をスチームとして外部に放出する蒸気放出部と、
前記蒸気生成部を収納している本体の内部に設けられ、空気の流れを発生させる送風部と、
前記本体の上面よりも上方へ突出して設けられ、前記送風部から外部に空気を送る経路となる送風ダクトと、
前記送風ダクトの上端に形成され、前記送風部から送られた空気を外部に放出する吹出口と、
前記本体の前面の下部に設けられ、前記蒸気放出部から放出されるスチームが当たらない位置に設けられ、前記本体の設置位置の湿度を検出する湿度検出手段と、
前記本体の前面の下部に設けられ、前記本体の設置位置から人がいる位置までの距離を検出する人体検出手段と、
前記本体の設置位置からの距離と当該距離における湿度との一定の関係を予め記憶している記憶手段と、
前記湿度検出手段により検出された湿度、前記人体検出手段により検出された距離及び前記記憶手段に記憶されている関係に基づいて、人がいる位置の湿度を推定する湿度推定手段と、
前記湿度推定手段により推定された湿度が予め設定された適湿下限以下である場合に前記蒸気生成部の運転を開始し、前記湿度検出手段により検出された湿度が予め設定された結露湿度以上である場合に前記蒸気生成部の運転を停止する蒸気生成部制御手段と、
を備え
前記蒸気放出部は、前記送風ダクトの内部に位置するように設けられ、前記本体の上面よりも上方に設けられ、水平方向よりも下向きにスチームを放出し、
前記蒸気放出部及び前記吹出口は、略同一方向を向いて開口し、前記蒸気放出部から放出されたスチームが前記吹出口から放出された空気に混合されて搬送されるように設けられた流体搬送装置。
【請求項2】
前記湿度推定手段は、前記湿度検出手段により検出された湿度と、使用者により設定された前記本体の設置位置から人がいる位置までの距離に基づいて、人がいる位置の湿度を推定する請求項1に記載の流体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、間欠運転を行う加湿器が記載されている。この加湿器は、水を入れるタンクと、水を加熱して蒸気を発生させるヒータと、湿度を検出する湿度センサと、湿度センサにより検出された湿度に基づいてヒータの動作を制御する制御装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−97456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の加湿器では、湿度センサにより検出される湿度と実際に人がいる位置の湿度とが乖離し、人がいる位置が過加湿又は加湿不足になるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。その目的は、人がいる位置の過加湿及び加湿不足を抑制する流体搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る流体搬送装置は、蒸気を生成する蒸気生成部と、蒸気を絞って圧縮放出することでスチーム化するノズル式の構造に形成され、蒸気生成部により生成された蒸気をスチームとして外部に放出する蒸気放出部と、蒸気生成部を収納している本体の内部に設けられ、空気の流れを発生させる送風部と、本体の上面よりも上方へ突出して設けられ、送風部から外部に空気を送る経路となる送風ダクトと、送風ダクトの上端に形成され、送風部から送られた空気を外部に放出する吹出口と、本体の前面の下部に設けられ、蒸気放出部から放出されるスチームが当たらない位置に設けられ、本体の設置位置の湿度を検出する湿度検出手段と、本体の前面の下部に設けられ、本体の設置位置から人がいる位置までの距離を検出する人体検出手段と、本体の設置位置からの距離と当該距離における湿度との一定の関係を予め記憶している記憶手段と、湿度検出手段により検出された湿度、人体検出手段により検出された距離及び記憶手段に記憶されている関係に基づいて、人がいる位置の湿度を推定する湿度推定手段と、湿度推定手段により推定された湿度が予め設定された適湿下限以下である場合に蒸気生成部の運転を開始し、湿度検出手段により検出された湿度が予め設定された結露湿度以上である場合に蒸気生成部の運転を停止する蒸気生成部制御手段と、を備え、蒸気放出部は、送風ダクトの内部に位置するように設けられ、本体の上面よりも上方に設けられ、水平方向よりも下向きにスチームを放出し、蒸気放出部及び吹出口は、略同一方向を向いて開口し、蒸気放出部から放出されたスチームが吹出口から放出された空気に混合されて搬送されるように設けられたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、流体搬送装置において、人がいる位置の過加湿及び加湿不足を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1における流体搬送装置の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1における流体搬送装置の縦断面図である。
図3】本発明の実施の形態1における流体搬送装置の周囲の湿度分布を示す模式図とグラフである。
図4】本発明の実施の形態1における流体搬送装置の間欠運転の制御例を示すグラフである。
図5】本発明の実施の形態1における流体搬送装置の間欠運転の制御例を示すグラフである。
図6】本発明の実施の形態1における流体搬送装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態における流体搬送装置の斜視図である。図2は、本実施の形態における流体搬送装置の縦断面図である。以下、図1及び図2を参照して、流体搬送装置の構成を説明する。なお、本明細書では、特に断りがない限り、図2における右側を前方、図2における左側を後方として方向を指定する。
【0011】
図1に示すように、流体搬送装置は、本体の外郭をなす本体ケース1を備えている。本体ケース1は、左右方向の幅が20cm程度の箱形状を呈している。図2に示すように、本体ケース1の上面の後部には、ふた2が着脱自在に取り付けられている。また、本体ケース1の後面には、本体ケース1の外部から内部に空気を取り込むための開口部が形成されている。
【0012】
また、本体ケース1の前面の下部には、操作部3が設けられている。操作部3は、流体搬送装置の電源SW(図示せず)を備えている。また、操作部3は、流体搬送装置本体(以下、「本体」という)の位置の湿度を検出する湿度検出部4を備えている。さらに、操作部3は、本体位置から周囲にいる人の位置までの距離を検出する人体検出部5を備えている。
【0013】
図2に示すように、本体ケース1の内部の後側には、給水部6が設けられている。給水部6は、その上部が下向きに凹んだように形成されている。また、給水部6には、水位検知部(図示せず)が設けられている。水位検知部は、後述する給水タンク7内の水位を検知する。
【0014】
また、本体ケース1の内部の後側には、給水部6の上方に、給水タンク7が着脱自在に取り付けられている。給水タンク7の下部には、給水弁7aが設けられている。給水弁7aは、給水タンク7が本体ケース1に取り付けられる際に、給水部6の上部の凹みに嵌るように形成されている。
【0015】
また、本体ケース1の内部の下側には、流体貯蔵部として、貯水部8が設けられている。さらに、本体ケース1の内部には、給水部6と貯水部8を繋ぐ給水路9が設けられている。給水路9の一端は、給水部6の底面に接続されている。給水路9の他端は、貯水部8の底面に接続されている。このため、給水タンク7は、給水弁7a、給水部6及び給水路9を介して貯水部8と通じている。
【0016】
貯水部8の外周面の下部には、蒸気生成部として、ヒータ10が取り付けられている。ヒータ10は、貯水部8内の水を加熱し、蒸気を生成する。また、貯水部8の外周面の下部には、温度検出部として、サーミスタ11が取り付けられている。
【0017】
貯水部8の上方には、貯水部8から通じる蒸気ダクト12が設けられている。蒸気ダクト12は、貯水部8の上面から上方へ延び、本体ケース1の上面よりも上方へ突出し、前方へ屈曲するように形成されている。蒸気ダクト12の上端には、ノズル13が設けられている。ノズル13は、蒸気を絞って圧縮放出することでスチーム化するように形成されている。また、ノズル13は、水平方向よりも下向きにスチームを噴射するように設けられている。このため、貯水部8は、蒸気ダクト12及びノズル13を介して本体ケース1の外部と通じている。換言すれば、蒸気ダクト12及びノズル13は、ヒータ10により貯水部8内に生成された蒸気をスチームとして外部に送る経路となっている。
【0018】
また、蒸気ダクト12には、オゾン生成部14が設けられている。オゾン生成部14は、オゾンを生成し、蒸気ダクト12の内部の蒸気にオゾンを混合する。オゾン生成部14は、例えば、UVランプ等から成る。
【0019】
また、本体ケース1の内部の下側には、貯水部8の後方に、吹出用送風ファン15が設けられている。吹出用送風ファン15は、駆動することで、後方から空気を吸い込み、上方に向かって空気を吹き出す。
【0020】
吹出用送風ファン15の上方には、吹出用送風ファン15から吹き出された空気が流入する送風ダクト16が設けられている。送風ダクト16は、本体ケース1の上面よりも上方へ突出し、前方へ屈曲するように形成されている。送風ダクト16の上端には、外部と通じる吹出口17が形成されている。吹出口17は、ノズル13からスチームが噴射される方向と略同一方向を向いて開口するように形成されている。このため、送風ダクト16は、吹出用送風ファン15から本体ケース1の外部に空気を送る経路となっている。このように形成された送風ダクト16は、本体ケース1の上面よりも上方へ突出している部分で、蒸気ダクト12を外側から覆うように配置されている。換言すれば、蒸気ダクト12は、送風ダクト16の内部を通り、ノズル13から噴射されるスチームが吹出口17を通過するように配置されている。
【0021】
また、本体ケース1の内部には、流体搬送装置の運転を制御する制御部18が設けられている。制御部18は、時間を計測するタイマー機能を備えている。また、制御部18には、ヒータ10の入力端、オゾン生成部14の入力端及び吹出用送風ファン15の入力端が接続されている。制御部18は、これらの入力端から各部を制御するための信号を送信する。さらに、制御部18には、操作部3の出力端、湿度検出部4の出力端、人体検出部5の出力端、給水部6の水位検知部の出力端及びサーミスタ11の出力端が接続されている。制御部18は、これらの出力端から信号を受信する。
【0022】
以上のように構成された流体搬送装置が運転されると、本体ケース1の外部にスチームが搬送される。スチームが搬送されている空間では、本体位置からの距離と湿度との間に略一定の関係が成り立つ。制御部18は、この関係を予め記憶している。
【0023】
図3は、本実施の形態における流体搬送装置の周囲の湿度分布を示す模式図とグラフである。ここで、模式図は、使用者が睡眠時に流体搬送装置を使用する場合を示している。また、グラフは、使用者がいる高さにおける本体位置からの距離と湿度との関係を示している。以下、図3を参照して、この関係について説明する。
【0024】
流体搬送装置の運転が開始されると、蒸気ダクト12内の蒸気は、ノズル13に絞られて圧縮放出されることでスチームとなる。また、吹出口17から空気が放出される。スチームは、ノズル13から噴射される勢いと吹出口17から放出される空気の流れにより、指向性を持って使用者がいる位置に搬送される。このとき、スチームは室内に拡散しながら搬送される。このため、図3に示すように、ノズル13近傍で最も高湿となり、ノズル13から離れるにつれて徐々に湿度が低下するような湿度分布が形成される。このように、直接水分を搬送するため、吹出口17とスチームが搬送される位置との間の湿度分布は、噴射されるスチームの量、方向、勢い等の流体搬送装置の性能によって決まる。この湿度分布は、部屋の大きさ、家具の配置等の使用時の室内環境の影響を受けず、略一定である。つまり、本体位置の湿度と、スチームが搬送される位置の湿度との間には、略一定の関係が成り立つ。このため、使用者がいる位置の湿度は、本体位置の湿度と、本体位置から使用者がいる位置までの距離に基づいて精度よく推定することができる。
【0025】
なお、搬送されたスチームは室内に拡散し、部屋全体の湿度を徐々に上昇させるが、使用者がいる位置に搬送されるスチームの量自体は変わらないため、本体位置の湿度と使用者がいる位置の湿度の関係は変化しない。このため、使用者がいる位置の湿度は、時間が経過し部屋全体の湿度が上がった状態であっても精度よく推定することができる。
【0026】
また、スチームは指向性を持って搬送されるため、室内の空間のうち、スチームの搬送経路である吹出口17と使用者がいる位置との間の周囲のみ湿度が上昇する。換言すれば、室内の空間のうち、スチームの搬送経路でない位置の湿度は、略一定である。このため、本体ケース1のスチームが直接当たらない位置に設けられている湿度検出部4(図3参照)が検出する湿度は、本体及び使用者から離れた窓付近、天井付近等の湿度と略同等となる。
【0027】
上述したように、流体搬送装置の運転時には、使用者がいる位置の湿度が推定可能である。このため、推定された湿度に応じて、搬送されるスチームの量を調節することで、使用者がいる位置の湿度を調節可能である。例えば、流体搬送装置を間欠運転することで、使用者がいる位置の湿度を調節することができる。以下、間欠運転による湿度の調節について説明する。
【0028】
図4及び図5は、本実施の形態における流体搬送装置の間欠運転の制御例を示すグラフである。図4に示す制御例では、使用者がいる位置の湿度について、適湿範囲の下限である適湿下限と、適湿範囲の上限である適湿上限が予め設定されている。ここで、推定された湿度が適湿下限以下である場合は、ヒータ10をON状態とする。また、推定された湿度が適湿上限以上である場合は、ヒータ10をOFF状態とする。このようにして、スチームの量を調節することで、使用者がいる位置の湿度を適湿範囲に保つことができる。
【0029】
図5に示す制御例では、使用者がいる位置の湿度の適湿下限と、結露湿度が予め設定されている。結露湿度とは、室内のスチームの搬送経路でない位置に結露が発生し始める湿度として設定されたものである。ここで、推定された湿度が適湿下限以下である場合は、図4に示す制御例と同様に、ヒータ10をON状態とする。一方、湿度検出部4が検出した湿度が結露湿度以上である場合は、ヒータ10をOFF状態とする。このようにして、スチームの量を調節することで、使用者がいる位置の湿度を適湿下限以上に保ちつつ、本体及び使用者から離れた窓付近、天井付近等の結露を抑制することができる。
【0030】
図6は、本実施の形態における流体搬送装置の動作を示すフローチャートである。以下、主に図6を参照して、流体搬送装置の動作を説明する。なお、ここでは、図3に示すように使用者が睡眠時に流体搬送装置を使用する場合について説明する。
【0031】
流体搬送装置の運転が開始される前に、給水タンク7には、外部から水が供給される。給水タンク7は、給水弁7aが給水部6の上部の凹みに嵌るように本体ケース1の内部に取り付けられる。給水タンク7内の水は、給水弁7a、給水部6及び給水路9を経て貯水部8に流れ込む。この際に流れ込む水量は、給水弁7aによって調節される。
【0032】
操作部3の電源SWが押されると、流体搬送装置の電源がON状態となり(ステップS1)、流体搬送装置の運転が開始する。このとき、制御部18は、吹出用送風ファン15の駆動を開始させる。
【0033】
ステップS1に続いて、制御部18は、ヒータ10をON状態にする(ステップS2)。これにより、ヒータ10が発熱し、貯水部8内の水を加熱する。貯水部8内の水は、加熱により水温が上昇する。その後、貯水部8内の水は蒸気となり、蒸気ダクト12の内部に進入する。
【0034】
ステップS2に続いて、制御部18は、オゾン生成部14をON状態にする(ステップS3)。これにより、オゾン生成部14がオゾンを生成する。生成されたオゾンは、蒸気ダクト12の内部の蒸気に混合される。オゾンと混合された蒸気は、蒸気ダクト12の内部に充満した後、ノズル13に絞られ、スチームとして外部へ噴射される。オゾンと混合されたスチームは、視認される。
【0035】
一方、吹出用送風ファン15は、本体ケース1の後面の開口部から外部の空気を吸い込み、送風ダクト16の内部に送る。送風ダクト16を通過した空気は、蒸気ダクト12の上端でスチームと混合される。スチームと混合された空気は、ノズル13からスチームが噴射された方向と略同一方向に向かって、吹出口17から外部に放出される。
【0036】
ステップS3から予め設定された時間が経過すると、制御部18は、オゾン生成部14をOFF状態にする(ステップS4)。これにより、蒸気ダクト12の内部の蒸気にオゾンが混合されなくなる。オゾンが混合されていない蒸気は、蒸気ダクト12の内部に充満した後、ノズル13に絞られ、スチームとして外部へ噴射される。オゾンが混合されていないスチームは視認されないため、睡眠時にわずらわしいことがない。
【0037】
ステップS4に続いて、ステップS5に進む。ステップS5において、湿度検出部4は、本体位置の湿度を検出する。また、ステップS5において、人体検出部5は、本体位置から使用者がいる位置までの距離を検出する。制御部18は、これらの検出結果と、予め記憶している本体位置からの距離と湿度の関係に基づいて、使用者がいる位置の湿度を推定する。そして、制御部18は、推定した使用者がいる位置の湿度に応じて、ヒータ10を間欠運転する(ステップS6)。制御部18は、図4に示すように、推定した湿度が適湿下限以下である場合はヒータ10をON状態とする。また、制御部18は、推定した湿度が適湿上限以上である場合はヒータ10をOFF状態とする。
【0038】
ステップS6に続いて、ステップS7に進む。ステップS7において、制御部18は、電源SWがOFF状態であるか否かの判定を行う。また、ステップS7において、制御部18は、流体搬送装置の運転開始から予め設定された時間が経過したか否かの判定を行う。さらに、ステップS7において、制御部18は、水位検知部の検知結果に基づいて、給水タンク7内の水量が0であるか否かの判定を行う。これらの判定において、いずれの条件も成立しない場合は、ステップS2に戻る。
【0039】
ステップS7の判定において、いずれかの条件が成立した場合、制御部18は、流体搬送装置の電源をOFF状態にする(ステップS8)。
【0040】
上述したとおり、本実施の形態では、制御部18が、本体位置の湿度と、本体位置から使用者がいる位置までの距離に基づいて、使用者がいる位置の湿度を精度よく推定する。そして、制御部18は、推定した湿度に応じてヒータ10の間欠運転を行う。これにより、使用者がいる位置に搬送されるスチームの量が調節される。その結果、使用者がいる位置の過加湿及び加湿不足を抑制することができる。
【0041】
また、上述したとおり、本実施の形態では、スチームが指向性を持って使用者がいる位置に搬送される。このため、使用者がいる位置を効率的に加湿することができる。また、本体及び使用者から離れた窓付近、天井付近等の結露を抑制することができる。さらに、部屋全体を加湿する必要がないため、流体搬送装置の運転に必要な水分量が少なくなる。このため、給水タンク7を小型化し、流体搬送装置の使い勝手を向上することができる。
【0042】
また、上述したとおり、本実施の形態では、蒸気ダクト12内の蒸気は、ノズル13に絞られて圧縮放出されることでスチームとなる。また、送風ダクト16を通過した空気は、ノズル13からスチームが噴射される方向と略同一方向に向かって外部に放出される。このため、ノズル13から勢いよく噴射されたスチームは、吹出口17から放出される空気によりさらに勢いを増し、指向性を持って搬送される。これにより、吹出口17と使用者がいる位置との間に安定した湿度分布が形成される。その結果、使用者がいる位置の湿度をより精度よく推定することができる。
【0043】
また、上述したとおり、本実施の形態では、蒸気ダクト12に設けられたオゾン生成部14がオゾンを生成する。これにより、蒸気ダクト12の内部が除菌消臭される。その結果、ノズル13から噴射されるスチームを清浄化することができる。
【0044】
本実施の形態では、間欠運転の制御において、制御部18は、推定された湿度が適湿上限以上である場合はヒータ10をOFF状態とする(図4参照)。しかし、湿度検出部4が検出した湿度が結露湿度以上である場合に、ヒータ10をOFF状態としてもよい(図5参照)。この場合、使用者がいる位置の湿度を適湿下限以上に保ちつつ、本体及び使用者から離れた窓付近、天井付近等の結露を抑制することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、人体検出部5が本体位置から使用者がいる位置までの距離を検出する。しかし、人体検出部5からの信号に基づいて、制御部18が距離を検出することとしてもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、操作部3が人体検出部5を備え、人体検出部5が本体位置から使用者がいる位置までの距離を検出する。しかし、人体検出部5を設けず、本体位置から使用者がいる位置までの距離を使用者自身が設定する構成としてもよい。本構成によれば、操作部3の構造が簡単になり、流体搬送装置を小型化して使い勝手を向上することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、制御部18が本体位置からの距離と湿度の関係を予め記憶している。しかし、本体位置からの距離と湿度の関係を記憶した記憶手段を別個に設け、制御部18が記憶手段から信号を受信することとしてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、制御部18がタイマー機能を備えている。しかし、タイマーを別個に設け、制御部18がタイマーから信号を受信することとしてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、流体搬送装置の運転開始から予め設定された時間が経過した場合は電源をOFF状態にする。しかし、運転開始からでなく、他の時点からの経過時間に基づいて電源をOFF状態にすることとしてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、横たわった体勢の使用者に対してスチームを搬送する場合について説明している。しかし、本発明における流体搬送装置は、使用者の体勢を限定するものではない。
【符号の説明】
【0051】
1 本体ケース、2 ふた、3 操作部、4 湿度検出部、5 人体検出部、6 給水部、7 給水タンク、7a 給水弁、8 貯水部、9 給水路、10 ヒータ、11 サーミスタ、12 蒸気ダクト、13 ノズル、14 オゾン生成部、15 吹出用送風ファン、16 送風ダクト、17 吹出口、18 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6