特許第5709933号(P5709933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5709933逆起電力検出回路およびそれを用いたモーター駆動制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5709933
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】逆起電力検出回路およびそれを用いたモーター駆動制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/18 20060101AFI20150409BHJP
【FI】
   H02P6/02 371S
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-108039(P2013-108039)
(22)【出願日】2013年5月22日
(65)【公開番号】特開2014-124075(P2014-124075A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2013年5月22日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0151015
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パイク、ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】コー、ジョー ユル
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−098883(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/117249(WO,A1)
【文献】 特開2011−010431(JP,A)
【文献】 特開2011−036083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/00−6/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターの駆動制御信号のデューティーに応じて離散的なレベルを出力するデューティー決定部と、
前記離散的なレベルごとに相違するように遅延補償を行って、前記駆動制御信号のデューティー変化に関係なく前記モーターの逆起電力の遅延を一定に補償する遅延補償部と、
を含み、
前記デューティー決定部は、
前記駆動制御信号の入力を受け、既に設定された帯域を超過する周波数をフィルタリングする低域通過フィルターと、
前記低域通過フィルターの出力をデジタルレベルに変更する変換器と、を含み、
前記遅延補償部は、
前記デジタルレベルごとに相違した遮断周波数(Cut−Off Frequency)を設定する、逆起電力検出回路。
【請求項2】
前記変換器は、
n(nは自然数)個のビットで前記デジタルレベルを表示するアナログ−デジタル変換器であることを特徴とする、請求項に記載の逆起電力検出回路。
【請求項3】
前記遅延補償部は、
前記n個の並列に連結されたスイッチを含み、
前記スイッチは、各々相違したキャパシタンスを有するキャパシタと連結されることを特徴とする、請求項に記載の逆起電力検出回路。
【請求項4】
前記遅延補償部は、
前記デジタルレベルの大きさと反比例するキャパシタンスを有するように前記n個の前記スイッチのうち少なくとも一部をスイッチングすることを特徴とする、請求項に記載の逆起電力検出回路。
【請求項5】
前記nは、
前記モーターの相の個数に相応することを特徴とする、請求項またはに記載の逆起電力検出回路。
【請求項6】
モーターに駆動制御信号を提供する駆動信号生成部と、
前記モーターの逆起電力を検出し、前記逆起電力の遅延を補償する逆起電力検出部と、
遅延が補償された前記逆起電力を用いて前記モーターの相転換時点を決定し、決定された相転換時点を用いて前記駆動制御信号を生成するように前記駆動信号生成部を制御する制御部と、
を含み、
前記逆起電力検出部は、
前記駆動制御信号のデューティーに応じて離散的なレベルを出力するデューティー決定部と、
前記離散的なレベルごとに相違するように遅延補償を行って、前記駆動制御信号のデューティー変化に関係なく前記モーターの逆起電力の遅延を一定に補償する遅延補償部と、を含み、
前記デューティー決定部は、
前記駆動制御信号の入力を受け、既に設定された帯域を超過する周波数をフィルタリングする低域通過フィルターと、
前記低域通過フィルターの出力をデジタルレベルに変更する変換器と、を含み、
前記遅延補償部は、
前記デジタルレベルごとに相違した遮断周波数(Cut−Off Frequency)を設定する、モーター駆動制御装置。
【請求項7】
前記変換器は、
n(nは自然数)個のビットで前記デジタルレベルを表示するアナログ−デジタル変換器であることを特徴とする、請求項に記載のモーター駆動制御装置。
【請求項8】
前記遅延補償部は、
前記n個の並列に連結されたスイッチを含み、
前記スイッチは、各々相違したキャパシタンスを有するキャパシタと連結されることを特徴とする、請求項に記載のモーター駆動制御装置。
【請求項9】
前記遅延補償部は、
前記デジタルレベルの大きさと反比例するキャパシタンスを有するように前記n個の前記スイッチのうち少なくとも一部をスイッチングすることを特徴とする、請求項に記載のモーター駆動制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記遅延補償部によって一定に補償された遅延を考慮して、前記モーターの相転換時点を決定することを特徴とする、請求項からの何れか1項に記載のモーター駆動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動制御信号のデューティーが互いに相違した場合にも同一の遅延を有するように遅延補償を行うことにより、逆起電力の遅延を補償してモーターの駆動を正確に制御することができる逆起電力検出回路およびそれを用いたモーター駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モーター技術の発展に伴い、幅広い技術分野において様々な大きさのモーターが用いられている。
【0003】
一般的に、モーターは、永久磁石と、印加電流によって極性を変えるコイルを用いて回転子(Rotor)を回転させて駆動する。最初のモーターは回転子にコイルを備えたブラシタイプのモーターであったが、モーターの駆動によってブラシが磨耗したりスパークが発生するなどの問題点がある。
【0004】
このため、最近は、様々な形態のブラシレスモーターが汎用的に使用されている。ブラシレスモーターは、ブラシ、整流子などの機械的な接触部を無くし、その代わりに電子的な整流器具を用いて駆動する直流モーターであって、永久磁石からなるローター(rotor)と、3相または4相コイルを備えて各コイルの相電圧に応じて回転する回転子とを含んでなる。
【0005】
このようなブラシレスモーターが効率的に駆動するためには、回転子の各相(コイル)の転流(commutation)が適切な時点に行われなければならず、適切な転流のためには、回転子の位置を認識しなければならない。
【0006】
回転子の位置検出のために、従来はホールセンサーやレゾルバなどのような素子を用いたが、この場合、駆動回路が複雑になるという限界性がある。
【0007】
これを補完するために、センサーの代わりに、逆起電力(BEMF、Back−Electro Motive Force)を用いて、相の位置を把握しブラシレスモーターを駆動する技術が広く用いられている。
【0008】
しかし、このような逆起電力を用いる方式の場合、モーターの駆動を制御する駆動制御信号のデューティーによって遅延が互いに異なるという問題点により、正確に逆起電力が検出できないという限界性がある。
【0009】
下記の先行技術文献は、このようなブラシレスモーターに関するものであり、駆動制御信号のデューティーによって遅延が互いに相違した逆起電力の限界性を克服する技術は開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】日本公開特許公報第2012−034465号
【特許文献2】韓国公開特許公報第2006−0068844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決するためのものであり、駆動制御信号のデューティーが互いに相違した場合にも同一の遅延を有するように遅延補償を行うことにより、逆起電力の遅延を補償してモーターの駆動を正確に制御することができる逆起電力検出回路およびそれを用いたモーター駆動制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1技術的な側面は、逆起電力検出回路を提案する。上記逆起電力検出回路は、デューティー決定部及び遅延補償部を含む。上記デューティー決定部は、モーターの駆動制御信号のデューティーに応じて離散的なレベルを出力する。上記遅延補償部は、上記離散的なレベルごとに相違するように遅延補償を行って、上記駆動制御信号のデューティー変化に関係なく上記モーターの逆起電力の遅延を一定に補償する。
【0013】
一実施形態において、上記デューティー決定部は、上記駆動制御信号の入力を受け、既に設定された帯域を超過する周波数をフィルタリングする低域通過フィルターと、上記低域通過フィルターの出力をデジタルレベルに変更する変換器と、を含んでもよい。
【0014】
一実施形態において、上記変換器は、n(nは自然数)個のビットで上記デジタルレベルを表示するアナログ−デジタル変換器であってもよい。
【0015】
一実施形態において、上記遅延補償部は、上記デジタルレベルごとに相違した遮断周波数(Cut−Off Frequency)を設定してもよい。
【0016】
一実施形態において、上記遅延補償部は、上記n個の並列に連結されたスイッチを含み、上記スイッチは、各々相違したキャパシタンスを有するキャパシタを含んでもよい。
【0017】
一実施形態において、上記遅延補償部は、上記デジタルレベルの大きさと反比例するキャパシタンスを有するように上記n個の上記スイッチのうち少なくとも一部をスイッチングしてもよい。
【0018】
一実施形態において、上記nは、上記モーターの相の個数に相応してもよい。
【0019】
本発明の第2技術的な側面は、モーター駆動制御装置を提案する。上記モーター駆動制御装置は、駆動信号生成部、逆起電力検出部及び制御部を含む。上記駆動信号生成部は、モーターに駆動制御信号を提供する。上記逆起電力検出部は、上記モーターの逆起電力を検出し、上記逆起電力の遅延を補償する。上記制御部は、上記逆起電力を用いて上記モーターの相転換時点を決定し、決定された相転換時点を用いて上記駆動制御信号を生成するように上記駆動信号生成部を制御する。
【0020】
一実施形態において、上記逆起電力検出部は、上記駆動制御信号のデューティーに応じて離散的なレベルを出力するデューティー決定部と、上記離散的なレベルごとに相違するように遅延補償を行って、上記駆動制御信号のデューティー変化に関係なく上記モーターの逆起電力の遅延を一定に補償する遅延補償部と、を含んでもよい。
【0021】
一実施形態において、上記デューティー決定部は、上記駆動制御信号の入力を受け、既に設定された帯域を超過する周波数をフィルタリングする低域通過フィルターと、上記低域通過フィルターの出力をデジタルレベルに変更する変換器と、を含んでもよい。
【0022】
一実施形態において、上記変換器は、n(nは自然数)個のビットで上記デジタルレベルを表示するアナログ−デジタル変換器であってもよい。
【0023】
一実施形態において、上記遅延補償部は、上記デジタルレベルごとに相違した遮断周波数(Cut−Off Frequency)を設定してもよい。
【0024】
一実施形態において、上記遅延補償部は、上記n個の並列に連結されたスイッチを含み、上記スイッチは、各々相違したキャパシタンスを有するキャパシタを含んでもよい。
【0025】
一実施形態において、上記遅延補償部は、上記デジタルレベルの大きさと反比例するキャパシタンスを有するように上記n個の上記スイッチのうち少なくとも一部をスイッチングしてもよい。
【0026】
一実施形態において、上記制御部は、上記遅延補償部によって一定に補償された遅延を考慮して、上記モーターの相転換時点を決定してもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態によると、駆動制御信号のデューティーが互いに相違した場合にも同一の遅延を有するように遅延補償を行うことにより、逆起電力の遅延を補償してモーターの駆動を正確に制御できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】モーター駆動制御装置の一例を説明するための構成図である。
図2】逆起電力検出部の一例を説明するための回路図である。
図3図2の逆起電力検出回路から検出される逆起電力を示すグラフである。
図4】本発明によるモーター駆動制御装置の一実施形態を説明するための構成図である。
図5】本発明による逆起電力検出回路の一実施形態を説明するための回路図である。
図6図5の低域通過フィルターの一出力例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0030】
図1は、モーター駆動制御装置の一例を説明するための構成図である。
【0031】
図1を参照すると、モーター駆動制御装置10は、電源供給部11と、駆動信号生成部12と、インバーター部13と、逆起電力検出部14と、制御部15とを含むことができる。
【0032】
電源供給部11は、モーター駆動制御装置10の各構成要素に電源を供給することができる。例えば、電源供給部11は、常用電源の交流電圧を直流電圧に変換して各構成要素に供給することができる。
【0033】
駆動信号生成部12は、インバーター部13に駆動信号を提供することができる。一実施形態として、駆動信号は、パルス幅変調信号(PWM、Pulse Width Modulation)であってもよい。
【0034】
インバーター部13は、モーター20の動作を制御することができる。例えば、インバーター部13は、駆動信号に応じて直流電圧を複数の相(例えば、3相〜4相)電圧に変換して、モーター20のコイル(不図示)に各々印加することができる。
【0035】
逆起電力検出部14は、モーター20の逆起電力を検出することができる。モーター20が回転する場合、モーター20の回転子に備えられたコイルに逆起電力が発生する。より詳細に説明すると、複数のコイルのうち相電圧が印加されないコイルに逆起電力が発生するようになり、逆起電力検出部14は、このようにモーター20の各コイルから発生する逆起電力を検出して制御部15に提供することができる。
【0036】
制御部15は、逆起電力検出部14から提供される逆起電力を用いて駆動信号を生成するように駆動信号生成部12を制御することができる。例えば、制御部15は、逆起電力のゼロ交差(Zero−Crossing)時点で相転換を行うように駆動信号生成部12を制御することができる。
【0037】
モーター20は、駆動信号に応じて回転動作を行うことができる。例えば、モーター20は、インバーター部13から提供される各相に流れる電流により、モーター20の各コイル(固定子)に磁場を発生させることができる。このような各コイルから発生する磁場により、モーター装置20に備えられた回転子(不図示)が回転することができる。
【0038】
図2は逆起電力検出部の一例を説明するための回路図であり、図3図2の逆起電力検出回路から検出される逆起電力を示すグラフである。
【0039】
図2に示されたモーター20は、3相コイルを備えており、3相コイルの中性点から電圧を直接取得することができる例に関するものである。しかし、実施形態によっては、中性点電圧を直接取得せず、3相コイルから仮想の中性点電圧を取得することもできる。
【0040】
逆起電力検出部14は、各相の極電圧と中性点を比較器によって比較して、図3のような逆起電力を検出することができる。図示された例において、逆起電力検出部14は、並列に連結された抵抗とキャパシターを含む低域通過フィルター(LPF、Low−Pass Filter)を含み、極電圧と中性点電圧の各々を上述した低域通過フィルターに通過させて、逆起電力を検出することができる。
【0041】
ここで、低域通過フィルターは、極電圧と中性点電圧に含まれた駆動制御信号をフィルタリングするために用いられるものであるが、そのようなフィルター特性により、図3に示すように所定の遅延が発生するようになる。
【0042】
また、このような遅延は、駆動制御信号のデューティーに応じて互いに相違した値を有することができる。下記の表1には、駆動制御信号のデューティーに応じた遅延時間を示した。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示すように、駆動制御信号のデューティーが大きくなるほど、遅延時間が長くなることが分かる。このような遅延の差は、モーターの駆動制御において誤差を招く原因となる。
【0045】
すなわち、モーター20の駆動制御のために駆動制御信号のデューティーを変更する場合、逆起電力の遅延も相違するようになって、正確な相転換時点を算出することができないという問題が発生する。
【0046】
以下では、図4から図6を参照して、駆動制御信号のデューティー変化に関係なく逆起電力の遅延を一定に補償することができる実施形態についてより詳細に説明する。
【0047】
後述する本発明の様々な実施形態に関する説明のうち、図1から図3を参照して上述した内容と同一またはそれに相応する内容については重複して説明しない。しかし、当業者は、上述した説明から本発明の具体的な内容を明らかに理解することができるであろう。
【0048】
図4は、本発明によるモーター駆動制御装置の一実施形態を説明するための構成図である。
【0049】
図4を参照すると、モーター駆動制御装置100は、電源供給部110と、駆動信号生成部120と、インバーター部130と、制御部150と、デューティー決定部160と、遅延補償部170とを含むことができる。
【0050】
電源供給部110は、モーター駆動制御装置100の各構成要素に電源を供給することができる。
【0051】
駆動信号生成部120は、モーター200に駆動制御信号を提供することができる。例えば、駆動信号生成部120は、可変的なデューティーを有するパルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)信号を駆動制御信号として生成してモーター200に提供することができる。
【0052】
インバーター部130は、駆動制御信号に応じてモーター200に相電圧を印加することができる。
【0053】
制御部140は、遅延補償部170から遅延が補償された逆起電力の入力を受け、これを用いて駆動制御信号を生成するように駆動信号生成部120を制御することができる。例えば、制御部140は、遅延補償部170から提供された逆起電力を用いてモーター200の相転換時点を決定し、決定された相転換時点を用いて駆動制御信号を生成するように駆動信号生成部120を制御することができる。
【0054】
デューティー決定部160および遅延補償部170は、モーター200の逆起電力に対する遅延補償を行うことができる。すなわち、デューティー決定部160および遅延補償部170は、駆動制御信号のデューティーが互いに相違した場合にも同一の遅延を有するように遅延補償を行うことができる。
【0055】
このために、デューティー決定部160は現在駆動制御信号のデューティーを一定の値(レベル)に変換し、遅延補償部170は駆動制御信号のデューティーのレベルごとに相違した遮断周波数(Cut−Off Frequency)を設定することにより、逆起電力の遅延を一定に設定することができる。
【0056】
このようなデューティー決定部160および遅延補償部170は、一つの回路単位として構成されることができる。すなわち、図5に示された例のような一つの逆起電力検出回路300として動作することができる。
【0057】
以下では、図4から図6を参照して、このようなデューティー決定部160および遅延補償部170についてより詳細に説明する。
【0058】
デューティー決定部160は、モーター200の駆動制御信号のデューティーに応じて離散的なレベルを出力することができる。
【0059】
一実施形態において、デューティー決定部160は、低域通過フィルター161と変換器162とを含むことができる。図5に示された例を参照してより詳細に説明すると、低域通過フィルター161は、駆動制御信号の入力を受け、既に設定された帯域を超過する周波数をフィルタリングすることができる。
【0060】
図6は、このような低域通過フィルター161を通過した駆動制御信号の様々な例を示している。図示されたように、駆動制御信号610〜650は、そのデューティーに応じて互いに相違したレベルを有することが分かる。すなわち、低域通過フィルター161は、駆動制御信号のデューティーに応じて相違したレベルを有するようにフィルタリングを行うことができる。
【0061】
変換器162は、低域通過フィルター161の出力をデジタルレベルに変更することができる。このようにデジタルレベルに変更されたフィルタリングされた値は、並列に連結されたスイッチを含む遅延補償部170に入力されることができる。
【0062】
一実施形態において、変換器162は、n(nは自然数)個のビットでデジタルレベルを表示することができる。図5に示された例において、遅延補償部170は、3個の並列に連結されたスイッチを含むため、変換器162は、3ビットのデジタル値を出力することができる。
【0063】
ここで、nはモーター200の相の個数に相応することができる。すなわち、モーター200の相の個数と、変換器162のデジタルビットとを一致させることができる。このような場合、回路の構成がより簡単に実現されることができる。
【0064】
遅延補償部170は、デューティー決定部160から出力された離散的なレベルごとに相違するように遅延補償を行って、駆動制御信号のデューティー変化に関係なくモーター200の逆起電力の遅延を一定に補償することができる。
【0065】
一実施形態において、遅延補償部170は、駆動制御信号のデューティー、すなわち、デューティー決定部160から出力された離散的なレベルごとに相違した遮断周波数(Cut−Off Frequency)を設定して遅延を補償することができる。
【0066】
これは、低域通過フィルターにおいて遮断周波数が低いほど遅延の時間も長くなるという点と、低域通過フィルターのキャパシタンスを変更することによって遮断周波数が変更できるという点を利用したものである。
【0067】
これを整理すると、下記の表2の通りである。
【0068】
【表2】
【0069】
表2に示すように、キャパシタンスが大きくなるにつれて遮断周波数の値が低くなることが分かる。したがって、キャパシタンスが大きくなるほど、遅延時間は長くなることが分かる。
【0070】
また、上述した表1で説明したように、駆動制御信号のデューティーが大きくなるほど、遅延時間が長くなることが分かる。
【0071】
したがって、遅延補償部170は、駆動制御信号のデューティーが大きいと、キャパシタンスを下げ、デューティーが小さいと、キャパシタンスを上げることにより、遅延を一定になるように補償することができる。
【0072】
一実施形態において、遅延補償部170はn個の並列に連結されたスイッチを含み、このようなスイッチは各々相違したキャパシタンスを有するキャパシタと連結されることができる。
【0073】
このような実施形態において、遅延補償部170は、デューティー決定部160の出力、すなわち、上述した例では変換器162のデジタルレベルの大きさと反比例するキャパシタンスを有するように、n個のスイッチのうち少なくとも一部をスイッチングすることができる。
【0074】
図5に示された例を参照してより詳細に説明すると、遅延補償部170は並列に連結されたスイッチ171とそれに各々連結されたキャパシタ172とを含むことができ、スイッチ171の動作によって、キャパシタ172は抵抗と連結されて低域通過フィルターを構成することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で様々な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0076】
10、100 モーター駆動制御装置
11、110 電源供給部
12、120 駆動信号生成部
13、130 インバーター部
14 逆起電力検出部
15、150 制御部
160 デューティー決定部
161 低域通過フィルター
162 変換器
170 遅延補償部
300 逆起電力検出回路
20、200 モーター
図1
図2
図3
図4
図5
図6