特許第5710002号(P5710002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710002
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】薄膜蒸着装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20150409BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/455
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-529066(P2013-529066)
(86)(22)【出願日】2011年9月16日
(65)【公表番号】特表2013-538463(P2013-538463A)
(43)【公表日】2013年10月10日
(86)【国際出願番号】KR2011006843
(87)【国際公開番号】WO2012036499
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2013年3月18日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0091853
(32)【優先日】2010年9月17日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2010-0091852
(32)【優先日】2010年9月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511276068
【氏名又は名称】ウォニク アイピーエス カンパニ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WONIK IPS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】パク,サン−ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ピョン−グク
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−246192(JP,A)
【文献】 特開2008−028270(JP,A)
【文献】 特開2002−359204(JP,A)
【文献】 特開2005−228757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/31
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着工程が行われる内部空間を有するチャンバと、
前記チャンバ内に配され、上面に中心の周りに沿って複数の基板を直接支持するか、1つ以上の基板が配されている基板ホルダーを支持するサセプタと、
前記チャンバの上部を貫通して、前記サセプタの上部に延び、該延びた端部に形成されたソースガス噴射口が上下に配列されるように曲げられた供給ラインを含み、前記供給ラインを通じて前記サセプタの上部中央に第1、2ソースガスを分離された状態で供給した後、前記ソースガス噴射口を通じて前記分離された第1、2ソースガスを前記サセプタの周辺に向けてそれぞれ噴射して、前記サセプタ上の基板に前記第1、2ソースガスを供給するソースガス供給部と、
前記サセプタの下側で前記サセプタの中央を支えるように設けられ、前記チャンバの外部から導入された追加ガスを前記サセプタの上面に噴射することによって、前記ソースガス噴射口に隣接したガス進入領域と対応する前記サセプタの上面に前記第1、2ソースガスで分解された物質が蒸着されることを防止する追加ガス供給部を備えるサセプタ支持台と、
を含む薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記追加ガスは、V族元素を含有したガス、水素ガス、非活性ガスのうち選択された少なくとも何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記第1ソースガスは、V族元素を含有したソースガスであり、
前記第2ソースガスは、III族元素を含有したソースガスであることを特徴とする請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記ソースガス供給部は、
前記V族元素を含有したソースガスを噴射するソースガス噴射口と前記III族元素を含有したソースガスを噴射する噴射口とのうち、前記サセプタ側に最も隣接したソースガス噴射口が、前記III族元素を含有したソースガスを噴射するソースガス噴射口であることを特徴とする請求項3に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記追加ガス供給部は、
前記チャンバの外部から追加ガスが導入されるように、前記サセプタ支持台の内部に形成されたガス流路と、前記ガス流路を通じて流入された追加ガスを前記サセプタの上面に噴射する追加ガス噴射口とを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記追加ガス噴射口は、
前記サセプタ支持台の側面に前記ガス流路と連結されるように多数形成されるか、前記サセプタ支持台の側面と上面とにそれぞれ前記ガス流路と連結されるように多数形成されたことを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記サセプタ支持台の上端には、
前記ガス流路と連結される内部空間や内部流路が形成された噴射キャップが結合され、
前記追加ガス噴射口は、
前記噴射キャップの側面に前記噴射キャップの内部空間や内部流路と連結されるように多数形成されるか、前記噴射キャップの側面及び上面にそれぞれ前記噴射キャップの内部空間や内部流路と連結されるように多数形成されたことを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記追加ガスは、前記サセプタの上面に平行な方向に噴射されるか、前記サセプタの上面に対して上方に傾いた方向に噴射されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記ソースガス供給部のうち、上部ソースガス噴射口の上側、または下部ソースガス噴
射口の下側、または前記ソースガス供給部の間で非活性ガスを供給するための非活性ガス供給部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記追加ガス噴射口は、放射状または同心円状に多数配列されるように形成されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
前記追加ガス供給部は、
前記追加ガス噴射口から噴射された追加ガスが、前記サセプタの上面に平行な方向に前記サセプタの周辺に向けて流れるように案内するガス案内部を含むことを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項12】
前記サセプタ支持台の内部には、前記チャンバ外部から流入される追加ガスを前記追加ガス供給部のガス流路部に伝達する追加ガス供給路が形成されたことを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
前記ソースガス供給部のうち、上部ソースガス噴射口の上側、または下部ソースガス噴射口の下側、または前記ソースガス供給部の間で非活性ガスを供給するための非活性ガス供給部をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体などの製造において、基板上に薄膜を蒸着するために使われる薄膜蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体で使う薄膜製造方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法がある。CVD法は、ガス状態の混合物を加熱された基板の表面で化学反応させて、生成物を基板の表面に蒸着させる技術である。CVD法は、前駆体(precursor)として使われる物質の種類、工程中の圧力、反応に必要なエネルギー伝達方式などによって、APCVD(Atmospheric CVD)、LPCVD(Low Pressure CVD)、PECVD(Plasma Enhanced CVD)、MOCVD(Metal Organic CVD)法などに区分される。
【0003】
最近、発光ダイオード用の窒化物半導体が脚光を浴びているが、発光ダイオード用の窒化物半導体の単結晶成長のために、MOCVD法が多く使われている。MOCVD法は、液体状態の原料である有機金属化合物をガス状態に気化させた後、該気化されたソースガスを蒸着対象である基板に供給して、高温の基板に接触させることによって、基板上に金属薄膜を蒸着させる方法である。
【0004】
このようなMOCVD法の場合、ソースガスを基板に供給するための方式としてインジェクション(injection)方式が多く採用されている。インジェクション方式は、チャンバの中央に設けられたインゼクタを通じてソースガスをサセプタの上部の中央に導入した後、該導入されたソースガスを水平方向にサセプタの周辺に向けて噴射して、サセプタ上の基板に供給する方式である。
【0005】
ところが、前述したインジェクション方式において、インゼクタからサセプタに噴射されたソースガスは、インゼクタに隣接したガス進入領域を経て基板に対する有効蒸着がなされる成長領域に進行する。ソースガスの流れは、ガス進入領域内で均一になり、少なくとも部分的に分解される。この際、ガス進入領域でソースガスが分解されることによって、ガス進入領域に対応するサセプタ部位に不要な薄膜が蒸着される問題が発生する恐れがある。
【0006】
そして、より多くの基板に対して同時に薄膜蒸着を行うためには、チャンバのサイズが大型化されなければならないが、それと同時に、ソースガスの供給も増加しなければならないので、ガス進入領域が増加する。これにより、ガス進入領域に不要な薄膜が蒸着されながら消耗するソースガスの量も増えるので、ソースガスの無駄使いが激しくなる。
【0007】
前述したように、サセプタ部位に蒸着された不要な薄膜は、蒸着工程中に取られて基板に影響を及ぼすことがあるので、予め整備する必要がある。ガス進入領域が増加すれば、ガス進入領域に不要な薄膜が蒸着される可能性も大きくなる。これは、PM(Preventive Maintenance;事前予防整備)周期の短縮をもたらす。
【0008】
また、より多くの基板に対して同時に薄膜蒸着を行うためには、サセプタの直径が大きくなって、大型化される必要がある。ところが、前述したインジェクション方式によれば、サセプタが大型化されるほど基板に対する蒸着均一度が落ちる問題がある。これを解決するためには、ソースガスの使用量を増やさなければならないが、これにより、工程の効率性が落ちる。そして、ソースガスの使用量を増やすほど基板の蒸着面に反応せず、パーティクル状態で残存するソースガスの量が多くなる問題が発生する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、ガス進入領域で不要な薄膜蒸着を防止し、チャンバのサイズが大型化されても、不要な薄膜蒸着によるソースガスの無駄使いを減らし、PM周期を増やすことができる薄膜蒸着装置を提供するところにある。
【0010】
そして、本発明の課題は、サセプタが大型化されても、基板に対する蒸着均一度が確保され、ソースガス使用量及びパーティクル抑制が可能な薄膜蒸着装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を果たすための本発明による薄膜蒸着装置は、蒸着工程が行われる内部空間を有するチャンバと、前記チャンバ内に配され、上面に中心の周りに沿って複数の基板を直接支持するか、1つ以上の基板が配されている基板ホルダーを支持するサセプタと、前記サセプタの上部の中央に第1、2ソースガスを分離された状態で供給され、上下に配列されたソースガス噴射口を通じて前記分離された第1、2ソースガスを前記サセプタの周辺に向けてそれぞれ噴射して、前記サセプタ上の基板に前記第1、2ソースガスを供給するソースガス供給部と、前記サセプタの下側で前記サセプタの中央を支えるように設けられ、前記チャンバの外部から導入された追加ガスを前記サセプタの上面に噴射する追加ガス供給部を備えるサセプタ支持台と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サセプタの上部でソースガスをサセプタの上面に沿って流れるように供給する一方、サセプタ支持台を通じてサセプタの上面に追加ガスを供給することによって、第1、2ソースガスから分解された物質が、ガス進入領域のサセプタ部位に接触されることを遮断することができる。これにより、ガス進入領域のサセプタ部位に不要な薄膜の蒸着が防止されうる。また、チャンバのサイズが大型化されて、ガス進入領域が増加しても、不要な薄膜蒸着によるソースガスの無駄使いが減ることができ、PM周期が短縮されうる。
【0013】
本発明によれば、サセプタの中央領域からサセプタの上部に追加ガスが供給されるので、サセプタの直径が大きくなって大型化されても、ソースガスの使用量を効率的に持って行きながら、基板に対する蒸着均一度が確保されうる。そして、ソースガスのうち、一部が基板の蒸着面に反応せず、パーティクル状態で残存する現象も抑制されうる。また、ソースガス噴射口に隣接した領域でソースガスから分解された物質が、サセプタの中央領域に接触されなくなるので、不要な薄膜の蒸着が防止されうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置についての側断面図である。
図2図1の追加ガス供給部において、サセプタ支持台に結合される噴射キャップの一例を示す分解斜視図である。
図3図2についての組立図である。
図4図1の追加ガス供給部において、サセプタ支持台に結合される噴射キャップの他の例を示す分解斜視図である。
図5図4についての組立図である。
図6】本発明の他の実施形態による薄膜蒸着装置についての側断面図である。
図7図6において、サセプタ及び追加ガス供給部を抜粋して示す側断面図である。
図8図6において、サセプタ及び追加ガス供給部についての平面図である。
図9図6に示された追加ガス供給部にガス案内部が備えられた例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、望ましい実施形態による本発明を詳しく説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置についての構成図である。
【0017】
図1を参照すると、薄膜蒸着装置100は、基板10上に薄膜を蒸着する装置であって、チャンバ110と、サセプタ120と、サセプタ支持台130と、ソースガス供給部140、及び追加ガス供給部150とを含む。ここで、基板10は、ウェーハまたはガラス基板であり得る。
【0018】
チャンバ110は、蒸着工程が行われる内部空間を有する。チャンバ110は、上部が開口されたチャンバ本体111と、チャンバ本体111の上部開口を覆うトップリード112とを含む。トップリード112の下面には、石英などからなる天井が備えられて保護されうる。トップリード112は、蒸着工程時に、下降してチャンバ本体111の上部開口を閉鎖し、基板10のローディングまたはアンローディング時に、上昇してチャンバ本体111の上部開口を開放させることができる。
【0019】
サセプタ120は、チャンバ10内に配され、上面に中心の周りに沿って複数の基板10を支持する。これは、量産のために、より多くの基板10に対して一度に薄膜蒸着するためである。サセプタ120の中心の周りに複数の基板載置部121が均一に分布されて形成されうる。基板載置部121に基板10がそれぞれ載置されて支持されうる。他の例として、図示していないが、サセプタ120の中心の周りに複数の基板ホルダーが均一に分布されて設けられることもある。それぞれの基板ホルダーは、上面に少なくとも1つの基板をそれぞれ収容して支持する。
【0020】
サセプタ支持台130は、サセプタ120の下側でサセプタ120の中央を支えるように設けられる。サセプタ支持台130は、追加ガス供給部150を備える。追加ガス供給部150は、チャンバ110の外部から導入された追加ガスをサセプタ120の上面に噴射する。追加ガス供給部150は、ガス進入領域に対応するサセプタ120の部位に不要な薄膜の蒸着を防止する。
【0021】
サセプタ支持台130は、回転駆動機構101によって回転することによって、サセプタ120の回転を可能にする。例えば、サセプタ支持台130の下側部位が、チャンバ110の外部に引き出され、該引き出された部位に回転駆動機構101が連結されて、サセプタ支持台130が回転することができる。サセプタ支持台130の回転時に、サセプタ120が共に回転自在になる。
【0022】
もし、サセプタ120上に基板ホルダーが設けられた場合であれば、基板ホルダーもそれぞれガスクッションなどによって回転自在に設けられることもある。これは、蒸着工程のうち、サセプタ120の上部の中央から噴射されるソースガスをサセプタ120上のあらゆる基板10に均一に供給させるためである。サセプタ120は、蒸着工程のうち、ヒーター(図示せず)によって加熱されて、上面に支持された基板10を加熱させる。
【0023】
ソースガス供給部140は、サセプタ120の上部の中央に第1、2ソースガスを互いに分離された状態で供給された後、該供給された第1、2ソースガスを上下に配列されたソースガス噴射口141a、141bを通じてサセプタ120の周辺に向けてそれぞれ噴射する。これにより、第1、2ソースガスが、サセプタ120上の基板10に供給されうる。
【0024】
ソースガス供給部140は、第1、2ソースガスをサセプタ120の上面に平行な水平方向に噴射するように構成することができる。しかし、これに限定されず、ソースガス供給部140は、サセプタ120上の基板10に第1、2ソースガスを円滑に供給することができる範疇で、下側に傾いた方向に噴射するなど多様に構成することができる。
【0025】
そして、ソースガス供給部140は、第1、2ソースガスを互いに分離された状態でそれぞれ供給するための供給ライン142a、142bを含みうる。供給ライン142a、142bは、トップリード112を貫通してサセプタ120の上部の中央に延び、該延びた端部に形成されたソースガス噴射口141a、141bが上下に配列されるように曲げた構造からなりうる。
【0026】
前述すれば、ソースガス供給部140から噴射された第1、2ソースガスは、ソースガス噴射口141a、141bに隣接したガス進入領域を経て基板10に対する有効蒸着がなされる成長領域に進行する。第1、2ソースガスの流れは、ガス進入領域内で均一になり、少なくとも部分的に分解されてサセプタ120の上面に下降しようとする。
【0027】
この際、追加ガスが、追加ガス供給部150からサセプタ120の上面に噴射されて、ガス進入領域から成長領域に流れる。この過程で、第1、2ソースガスから分解された物質は、追加ガスに押されてサセプタ120の上面に下降できず、成長領域に流れるように誘導される。
【0028】
したがって、第1、2ソースガスから分解された物質は、ガス進入領域に対応するサセプタ120の部位に接触されなくなるので、不要な薄膜の蒸着が防止されうる。そして、チャンバ110のサイズが大型化されてガス進入領域が増加しても、不要な薄膜蒸着によるソースガスの無駄使いが減ることができ、PM周期が短縮されうる。
【0029】
一方、追加ガス供給部150は、チャンバ110の外部から追加ガスが導入されるように、サセプタ支持台130の内部に形成されたガス流路151と、ガス流路151を通じて流入された追加ガスをサセプタ120の上面に噴射する追加ガス噴射口152とを含みうる。
【0030】
一例として、追加ガス噴射口152は、サセプタ支持台130の側面にガス流路151と連設されうる。すなわち、ガス流路151の出口は、追加ガス噴射口152と連結され、ガス流路151の入口は、サセプタ支持台130の追加ガス流入口153と連結されうる。追加ガス流入口153は、サセプタ支持台130からチャンバ110の外部に引き出された部位に位置される。追加ガス流入口153は、追加ガス供給源と連結されて、追加ガス供給源の追加ガスをガス流路に流入させる。
【0031】
そして、追加ガス噴射口152は、サセプタ120の上面に追加ガスを噴射するように、サセプタ120の上面よりも高く位置する。追加ガス噴射口152は、サセプタ支持台130の側面に多数形成されて、追加ガスを同時に多くの所からガス進入領域に供給させうる。他の例として、追加ガス噴射口152は、サセプタ支持台130の側面だけではなく、上面にもガス流路151と連設されても良い。追加ガス噴射口152のサイズ及び形状や、追加ガス噴射口152から噴射される流量は、前述した機能を行う範疇で、多様に構成することができる。
【0032】
追加ガスは、サセプタ120の上面に平行な方向に噴射されうる。しかし、これに限定されず、追加ガスは、前述した機能を行う範疇で、サセプタ120の上面に対して上方に傾いた方向に噴射されても良い。例えば、追加ガスの噴射方向は、ガス流路151が追加ガス噴射口152と連結される角度によって調節されるか、追加ガス噴射口152の前方にガイド部材を設置して調節することができる。
【0033】
一方、図2及び図3に示したように、サセプタ支持台130の上端に噴射キャップ160が結合されうる。噴射キャップ160は、ガス流路151と連結される内部空間を有する。そして、追加ガス噴射口152は、噴射キャップ160の側面に噴射キャップ160の内部空間と連結されるように多数形成されうる。一例として、噴射キャップ160は、円板状のキャップ本体161と、キャップ本体161の周りに沿って互いに離隔し、下側にそれぞれ突出したリブ162とを備えることができる。
【0034】
噴射キャップ160は、キャップ本体161の底面がサセプタ支持台130の上面から離隔した状態でリブ162の各下側部位がサセプタ支持台130の上端の周りに固定されうる。これにより、キャップ本体161の底面とサセプタ支持台130の上面との間に離隔空間が形成され、離隔空間は、リブ162の間の開口163と連通される。
【0035】
開口163は、前述した追加ガス噴射口152として機能する。この場合、前述したガス流路151で出口151aがサセプタ支持台130の上面に位置する。したがって、追加ガスは、ガス流路151の出口151aから噴射キャップ160とサセプタ支持台130との間に供給された後、噴射キャップ160の周りに形成された開口163を通じて噴射されうる。
【0036】
他の例として、図4及び図5に示したように、噴射キャップ260は、内部空間を有し、下部が開口された形状からなる。そして、噴射キャップ260は、周りに沿って内部空間と連通されるホール261が形成されうる。噴射キャップ260の底面が、サセプタ支持台130の上面から離隔し、ホール261が、サセプタ支持台130よりも高く位置された状態で、噴射キャップ260の下側部位がサセプタ支持台130の上端の周りに固定されうる。
【0037】
したがって、追加ガスは、ガス流路151の出口151aから噴射キャップ260とサセプタ支持台130との間に供給された後、噴射キャップ160の周りに形成されたホール261を通じて噴射されうる。このように、ホール261は、追加ガス噴射口152として機能する。一方、噴射キャップ260は、ガス流路151と連結される内部流路が形成され、内部流路が追加ガス噴射口152とそれぞれ連結されても良い。
【0038】
蒸着工程が、III−V族MOCVD法によって行われる場合、第1ソースガスは、V族元素を含有したソースガスであり、第2ソースガスは、III族元素を含有したソースガスであり得る。第1ソースガスは、V族元素を含む水素化物であって、NH3またはPH3またはAsH3などであり得る。第2ソースガスは、III族元素を含む有機金属であって、TMG(Trimethylgallium)またはTEG(Triethylgallium)またはTMI(Trimethylindium)などであり得る。第1、2ソースガスには、キャリアガスがそれぞれ含まれることもできる。
【0039】
追加ガスは、V族元素を含有したガス、水素ガス、非活性ガスのうち選択された少なくとも何れか1つであり得る。V族元素を含有したガスの例としては、NH3またはPH3またはAsH3のようなV族元素を含む水素化物であり得る。非活性ガスの例としては、窒素(N2)ガスまたはヘリウム(He)ガスまたはアルゴン(Ar)ガスなどであり得る。
【0040】
ソースガス供給部140で、V族元素を含有したソースガスを噴射するソースガス噴射口とIII族元素を含有したソースガスを噴射するソースガス噴射口とのうち、サセプタ120側に最も隣接したソースガス噴射口は、III族元素を含有したソースガスを噴射するソースガス噴射口であり得る。もちろん、サセプタ120側に最も隣接したソースガス噴射口は、V族元素を含有したソースガスを噴射するソースガス噴射口でもあり得る。
【0041】
そして、図示していないが、薄膜蒸着装置100は、ソースガス供給部140のソースガス噴射口141a、141bの間、またはソースガス供給部140の上部ソースガス噴射口141aの上側またはソースガス供給部140の下部ソースガス噴射口141bの下側で非活性ガスを供給するための非活性ガス供給部をさらに含みうる。
【0042】
非活性ガス供給部から供給された非活性ガスは、ソースガス供給部140から噴射された第1、2ソースガス間にソースガス噴射口の隣接領域での反応を防止する役割を行うか、第1、2ソースガスのキャリアとしての役割を果たせる。ここで、非活性ガスは、窒素ガスやヘリウムガスやアルゴンガスであり得る。
【0043】
図6は、本発明の他の実施形態による薄膜蒸着装置についての側断面図であり、図7は、図6において、サセプタ及び追加ガス供給部を抜粋して示す側断面図である。そして、図8は、図6において、サセプタ及び追加ガス供給部についての平面図である。
【0044】
図6ないし図8を参照すると、薄膜蒸着装置300は、基板10上に薄膜を蒸着する装置であって、チャンバ310と、サセプタ320と、サセプタ支持台330と、ソースガス供給部340、及び追加ガス供給部350とを含む。
【0045】
チャンバ310は、蒸着工程が行われる内部空間を有する。チャンバ310は、上部が開口されたチャンバ本体311と、チャンバ本体311の上部開口を覆うトップリード312とを含む。トップリード312の下面には、石英などからなる天井が備えられて保護されうる。トップリード312は、蒸着工程時に、下降してチャンバ本体311の上部開口を閉鎖し、基板10のローディングまたはアンローディング時に、上昇してチャンバ本体311の上部開口を開放させることができる。
【0046】
サセプタ320は、チャンバ310内に配され、上面に中心の周りに沿って複数の基板10を支持する。サセプタ320の中心の周りに複数の基板載置部321が均一に分布されて形成されうる。基板載置部321に基板10がそれぞれ載置されて支持されうる。他の例として、図示していないが、サセプタ320の中心の周りに複数の基板ホルダーが均一に分布されて設けられることもある。それぞれの基板ホルダーは、上面に少なくとも1つの基板をそれぞれ収容して支持する。
【0047】
サセプタ支持台330は、サセプタ320の下側でサセプタ320の中央を支えるように設けられる。サセプタ支持台330は、回転駆動機構301によって回転することによって、サセプタ320の回転を可能にする。例えば、サセプタ支持台330の下側部位がチャンバ310の外部に引き出され、該引き出された部位に回転駆動機構が連結されて、サセプタ支持台330が回転することができる。サセプタ支持台330の回転時に、サセプタ320が共に回転自在になる。
【0048】
もし、サセプタ320上に基板ホルダーが設けられた場合であれば、基板ホルダーもそれぞれガスクッションなどによって回転自在に設けられることもある。これは、蒸着工程のうち、サセプタ320の上部の中央から噴射されるソースガスをサセプタ320上のあらゆる基板10に均一に供給させるためである。サセプタ320は、蒸着工程のうち、ヒーター(図示せず)によって加熱されて、上面に支持された基板10を加熱させる。
【0049】
ソースガス供給部340は、サセプタ320の上部の中央に第1、2ソースガスが互いに分離された状態で導入された後、該導入された第1、2ソースガスを上下に配列されたソースガス噴射口341a、341bを通じてサセプタ320の周辺に向けてそれぞれ噴射する。これにより、第1、2ソースガスが、サセプタ320上の基板10に供給されうる。
【0050】
ソースガス供給部340は、第1、2ソースガスをサセプタ320の上面に平行な水平方向に噴射するように構成することができる。しかし、これに限定されず、ソースガス供給部340は、サセプタ320上の基板10に第1、2ソースガスを円滑に供給することができる範疇で、下側に傾いた方向に噴射するなど多様に構成することができる。
【0051】
そして、ソースガス供給部340は、第1、2ソースガスを互いに分離された状態でそれぞれ供給するための供給ライン342a、342bを含みうる。供給ライン342a、342bは、トップリード312を貫通してサセプタ320の上部の中央に延び、該延びた端部に形成されたソースガス噴射口341a、341bが上下に配列されるように曲げた構造からなりうる。
【0052】
追加ガス供給部350は、サセプタ320の上面に基板支持領域よりも内側にある中央領域に設けられて、サセプタ320の上部に追加ガスを供給するためのものである。追加ガス供給部350は、チャンバ310の外部から追加ガスが導入されるガス流路部351と、ガス流路部351を通じて導入された追加ガスをサセプタ320の上面に噴射する追加ガス噴射口356とを備える。ガス流路部351は、追加ガス供給部350の内部に形成され、追加ガス噴射口356は、追加ガス供給部350の上面にガス流路部351と連設される。
【0053】
追加ガス供給部350は、サセプタ320の直径が大きくなって大型化されても、第1、2ソースガスの使用量を効率的に持って行きながら、基板10に対する蒸着均一度を確保させる。前述すれば、ソースガス供給部340から噴射された第1、2ソースガスは、サセプタ320の周辺に流れるようになる。この過程で、第1、2ソースガスは、基板10の蒸着面に供給されて基板10の蒸着面に反応することによって、薄膜を形成する。ところが、サセプタ320の直径が大きくなるほど第1、2ソースガスの使用量を増やさなければ、第1、2ソースガスが基板10の蒸着面の全体に亙って均一に到逹することができなくなって、基板10に対する蒸着均一度が落ちる恐れがある。
【0054】
しかし、追加ガスが、追加ガス供給部350からサセプタ320の上部に供給されて、サセプタ320の周辺に向けて流れるために、追加ガスの流れによって、第1、2ソースガスは、サセプタ320の周辺に向けてさらに遠く流れるようになる。この際、第1、2ソースガスが、基板10の蒸着面の全体に亙って均一に到逹するように、追加ガス供給部350から追加ガスを供給するならば、第1、2ソースガスの使用量を効率的に持って行きながらも、基板10に対する蒸着均一度が確保されうる。同時に、基板10の蒸着面に反応せず、パーティクル状態で残存する現象も抑制されうる。
【0055】
また、追加ガス供給部350は、サセプタ320の上面で基板支持領域よりも内側にある中央領域に設けられて、サセプタ320の上部に追加ガスを供給するので、ソースガス噴射口341a、341bに隣接した領域で第1、2ソースガスから分解された物質がサセプタ320の中央領域に下降できず、基板支持領域に流れるように誘導される。したがって、第1、2ソースガスから分解された物質は、サセプタ320の中央領域に接触されなくなるので、不要な薄膜の蒸着が防止されうる。
【0056】
一方、追加ガス噴射口356は、追加ガスが多くの所からサセプタ320の上部に供給されて、前述した機能を行うように、図7に示したように、放射状または同心円状に多数配列されるように形成されうる。ここで、追加ガス噴射口356は、各領域別に均等に追加ガスを噴射できるように、放射状に一定角度を有するように配列されるか、同心円状に一定間隔で離隔して配列されうる。この場合、ガス流路部351は、メイン流路352と、メイン流路352から分岐されて、追加ガス噴射口356とそれぞれ連結される分岐流路353とを含みうる。メイン流路352に流入された追加ガスは、分岐流路353に分岐された後、追加ガス噴射口356を通じて噴射されうる。
【0057】
追加ガス供給部350は、サセプタ320の収容溝322内に一部収容されて、追加ガス噴射口356の高さがサセプタ320上の基板10よりも高く位置しうる。ここで、追加ガス供給部350は、収容溝322の底面に対して接触された状態でサセプタ320に固定されるか、非接触状態でサセプタ320に固定されうる。追加ガス供給部350は、炭化珪素(SiC)、BN(Boron Nitride)コーティングされたグラファイト(graphite)で製造可能である。または、追加ガス供給部350は、石英(Quartz)や、アルミナ(Al2O3)で製造可能である。
【0058】
図9に示したように、追加ガス供給部350は、追加ガス噴射口356から噴射された追加ガスがサセプタ320の上面に平行な方向にサセプタ320の周辺に向けて流れるように案内するガス案内部357を含みうる。しかし、これに限定されず、前述した機能を行う範疇で、追加ガス噴射口356から噴射された追加ガスがサセプタ320の上面に対して上方に傾いた方向に噴射されるように、ガス案内部357によって案内されるか、追加ガス噴射口356が形成されても良い。
【0059】
薄膜蒸着装置300は、追加ガス供給路360を含みうる。追加ガス供給路360は、サセプタ支持台330の内部に形成される。追加ガス供給路360は、チャンバ310の外部から追加ガスを供給されて、ガス流路部351に伝達する。追加ガス供給路360の一端は、サセプタ320の内部に延びて、ガス流路部351のメイン流路352と連結され、追加ガス供給路360の他端は、サセプタ支持台330の追加ガス流入口361と連結される。追加ガス流入口361は、サセプタ支持台330からチャンバ310の外部に引き出された部位に位置される。追加ガス流入口361は、チャンバ310の外部の追加ガス供給源と連結されて、追加ガス供給源の追加ガスを追加ガス供給路360に流入させる。
【0060】
一方、蒸着工程が、III−V族MOCVD法によって行われる場合、第1ソースガスは、V族元素を含有したソースガスであり、第2ソースガスは、III族元素を含有したソースガスであり得る。第1ソースガスは、V族元素を含む水素化物であって、NH3またはPH3またはAsH3などであり得る。第2ソースガスは、III族元素を含む有機金属であって、TMG(Trimethylgallium)またはTEG(Triethylgallium)またはTMI(Trimethylindium)などであり得る。第1、2ソースガスには、キャリアガスがそれぞれ含まれることもできる。
【0061】
追加ガスは、V族元素を含有したガス、水素ガス、非活性ガスのうち選択された少なくとも何れか1つであり得る。V族元素を含有したガスの例としては、NH3またはPH3またはAsH3のようなV族元素を含む水素化物であり得る。非活性ガスの例としては、窒素(N2)ガスまたはヘリウム(He)ガスまたはアルゴン(Ar)ガスなどであり得る。
【0062】
ソースガス供給部340で、V族元素を含有したソースガスを噴射するソースガス噴射口とIII族元素を含有したソースガスを噴射するソースガス噴射口とのうち、サセプタ320側に最も隣接したソースガス噴射口は、III族元素を含有したソースガスを噴射するソースガス噴射口であり得る。もちろん、サセプタ320側に最も隣接したソースガス噴射口は、V族元素を含有したソースガスを噴射するソースガス噴射口でもあり得る。
【0063】
そして、図示していないが、薄膜蒸着装置300は、ソースガス供給部340のソースガス噴射口341a、341bの間、またはソースガス供給部340の上部ソースガス噴射口341aの上側またはソースガス供給部340の下部ソースガス噴射口341bの下側で非活性ガスを供給するための非活性ガス供給部をさらに含みうる。非活性ガス供給部から供給された非活性ガスは、ソースガス供給部340から噴射された第1、2ソースガス間にソースガス噴射口の隣接領域での反応を防止する役割を行うか、第1、2ソースガスのキャリアとしての役割を果たせる。ここで、非活性ガスは、窒素ガスやヘリウムガスやアルゴンガスであり得る。
【0064】
本発明は、添付した図面に示された一実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、薄膜蒸着装置に利用されうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9