(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710012
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】燃料電池システム用の逃がしバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 24/00 20060101AFI20150409BHJP
F16K 17/164 20060101ALI20150409BHJP
H01M 8/04 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
F16K24/00 G
F16K17/164
H01M8/04 N
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-536697(P2013-536697)
(86)(22)【出願日】2011年10月24日
(65)【公表番号】特表2013-543955(P2013-543955A)
(43)【公表日】2013年12月9日
(86)【国際出願番号】US2011057487
(87)【国際公開番号】WO2012058155
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年10月16日
(31)【優先権主張番号】12/912,368
(32)【優先日】2010年10月26日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501436665
【氏名又は名称】ソシエテ ビック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE BIC
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(72)【発明者】
【氏名】スパー、ポール
【審査官】
吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−060003(JP,A)
【文献】
特開平08−033515(JP,A)
【文献】
再公表特許第96/034220(JP,A1)
【文献】
特開平11−325284(JP,A)
【文献】
実開昭52−135719(JP,U)
【文献】
実開昭56−168658(JP,U)
【文献】
特表2002−525522(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第19620975(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 24/00
F16K 15/14
F16K 17/00
F17C 13/00
H01M 8/04
B65D 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池装置用の燃料サプライにおいて、当該燃料サプライは、上記燃料サプライの外側ケーシング内に配置されるバルブハウジングを具備する排出バルブを有し、
上記排出バルブは、
バルブ本体と、
周囲部分および内部部分を具備するシール部材とを有し、
上記シール部材の上記周囲部分および上記内部部分の一方が、上記バルブ本体の内部の第1の部分に取り付けられ、他方が上記バルブ本体の内部の第2の部分との間でシールを形成し、
上記外側ケーシング内に配置される上記バルブハウジングは上記燃料サプライの上記外側ケーシングと面一とされて、上記バルブ本体の外側表面および上記外側ケーシングの外側表面が実質的に連続した平面を形成し、
上記シールは、当該燃料サプライの内部で閾値圧力が超過されたときに開となり流路を形成することを特徴とする燃料サプライ。
【請求項2】
上記バルブ本体は、中央ポストと、少なくとも1つの排出孔を具備する第1のキャップとを有する請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項3】
上記バルブ本体の上記内部の上記第1の部分がキャップまたは上記バルブハウジングである請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項4】
上記バルブ本体の上記内部の上記第1の部分が中央ポストである請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項5】
上記シール部材は内側径を伴う内側開口を具備するワッシャーである請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項6】
上記シール部材のデュロメータ値は約30〜約90ショアAである請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項7】
上記シールを形成する、上記シール部材の上記部分は、上記内部部分である請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項8】
上記バルブは二方向バルブである請求項1記載の排出バルブ。
【請求項9】
さらに液体吸収部材を有する請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項10】
上記液体吸収部材は酸性である請求項9記載の燃料サプライ。
【請求項11】
上記シール部材を支持する少なくとも1つの強化部材をさらに有する請求項1記載の燃料サプライ。
【請求項12】
上記シール部材は、複数の柔軟性領域を有する請求項1記載の燃料サプライ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
この特許出願は「燃料カートリッジ用の非可換連結バルブ」という名称で2010年2月19日に出願された米国特許出願第12/674,205号の部分継続出願であり、これは、合衆国法典第35巻、第371条の下で合衆国を指定して2008年8月21日に出願された国際特許出願第PCT/US2008/073868号の優先権を主張し、これは、2007年8月22日に出願されたUS仮出願第60/957,362号、および、2007年12月24日に出願されたUS仮出願第61/016,508号の優先権を主張している。これらの出願は参照してここに組み入れる。
【技術分野】
【0002】
この発明は、全般的には、信頼性の高い逃がしバルブに関する。とくに、このバルブは、それのみには限定されないけれども、燃料カートリッジ、燃料電池、および燃料充填装置を含む種々の燃料電池システムや、他の燃料または流体貯蔵システムに使用して有益である。より具体的には、この発明は、バルブ本体と、装置内に圧力が蓄積されたときに圧力差を開放して空気、液体、および/または、蒸気を逃がすために、かつ/または、装置内の真空を除去すべく空気を取り込むために、開となるシールを形成するシール部材とを有するバルブに関する。
【背景技術】
【0003】
燃料電池は、反応物、すなわち燃料および酸素の化学エネルギを直流(DC)の電気に直接的に変換する装置である。多くの用途において、燃料電池は、化石燃料の燃焼のような従来の発電やリチウムイオン電池のような携帯用蓄電池より効率が良い。
【0004】
一般に、燃料電池技術は、アルカリ燃料電池、高分子電解質燃料電池、リン酸燃料電池、溶融炭酸燃料電池、固体酸化物燃料電池、および酵素燃料電池のような様々な異なった燃料電池を含む。燃料電池は一般に水素(H
2)燃料で稼働し、純粋でない水素燃料を消費しても良い。純粋でない水素燃料は、メタノールを利用する直接メタノール燃料電池(DMFC)や、炭化水素を高温で利用する固体酸化物燃料電池のような酸化燃料電池を含む。水素燃料は、圧縮された形態で貯蔵されても良く、アルコールまたは炭化水素、または、他の水素含有物質内に貯蔵されて良く、これは、水素燃料および副産物に改質または変換される。水素は、化学的な水素化物、例えば水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4)に貯蔵されても良く、これは水またはアルコールと反応して水素およびその他の副産物を生成する。水素は、また、第1の圧力および温度で、金属水素化物、例えばペンタニッケルランタン(LaNi
5)の内部に吸収され、第2の圧力および温度で水素を開放しても良い。
【0005】
ほとんどの水素燃料電池は陽子交換膜または高分子電解質膜(PEM)を具備し、これが、水素の陽子を透過可能にし、他方、電子を強制的に外部回路を通じて流し、この外部回路が、有利なことに、セルラー電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータ、電動工具、その他の電力または電流を使用するデバイスであってよい。燃料電池の反応はつぎのように表される。
燃料電池のアノードでの半反応:
H2 → 2H
+ + 2e
−
燃料電池のカソードでの半反応:
2(2H
+ + 2e
−) + O
2 → 2H
2O
【0006】
一般に、PEMはNafion(商標)などのポリマーから作られており、これはDuPontから入手可能であり、厚さが約0.05mm〜約0.50mmの範囲のペルフルオスルホン酸ポリマー、その他の膜である。アノードは、典型的には、白金ルテニウムなどの触媒の薄層によってサポートされたテフロン(テフロンは登録商標である。Teflonized)のカーボン紙から製造される。カソードは、典型的には、白金粒子が膜の一面に接着されるガス拡散電極である。
【0007】
DMFCでは、各電極での化学電気反応と直接メタノール燃料電池に関する総合的な反応は以下のとおり記述される:
アノードでの半反応:
CH
3OH + H
2O → CO
2 + 6H
+ + 6e
−
カソードでの半反応:
1.5O
2 + 6H
+ + 6e
− → 3H
2O
全体の燃料電池反応:
CH
3OH + 1.5O
2 → CO
2 + 2H
2O
DMFCは、特許文献1(米国特許第3,143,440号)および特許文献2(米国特許第4,390,603号)に開示されており、詳細は参照してここに組み入れる。
【0008】
化学金属水素化物燃料電池において、水素化ホウ素ナトリウムが以下のように改質されて反応する。
NaBH
4+2H
2O→(加熱または触媒)→4(H
2)+(NaBO
2)
この反応に適切な触媒は、白金およびルテニウム、その他の金属である。水素化ホウ素ナトリウムを改質して生成された水素燃料は燃料電池中で、酸化剤例えばO
2と反応させられ、電気(すなわち電子の流れ)および水の副産物を生成し、これは先の説明のとおりである。ホウ酸ナトリウム(NaBO
2)の副産物もこの改質プロセスで生成される。水素化ホウ素ナトリウム燃料電池は特許文献3(米国特許第4,261,956号)に検討されており、その詳細は参照してここに組み入れる。
【0009】
上述のとおり、燃料電池反応の生成物/副産物は、水素および二酸化炭素のような気体を含み、これはそれらが生成され、または貯蔵される装置内の内部圧力を増加させる。さらに、燃料電池ないで燃料が消費されると、真空が形成され、燃料サプライおよび/またはカートリッジから燃料電池へのさらなる燃料に流れが損なわれる。このため、このような課題を解消するために種々の逃がしバルブが当業界で知られている。しかしながら、これらバルブはしばしば多数の部品(バネ、O−リング、エラストマー、その他)を伴い、信頼性に懸念が残り、また燃料カートリッジおよびサプライのような部品は使い捨てであることを考慮すると経済性の問題も残る。燃料電池システムの改善された逃がしバルブの要望は、ある程度、本出願人の出願に係り、公開出願第2007/0114486号(BIC−017.D1)および親出願である米国特許出願第12/674,205号(BIC−112)により取り組まれており、それらの内容は参照してここに組み入れる。しかしながら、信頼性のある逃がしバルブや、圧縮系を排気でき、かつ真空を解消できるバルブについての要望が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,143,440号
【特許文献2】米国特許第4,390,603号
【特許文献3】米国特許第4,261,956号
【発明の概要】
【0011】
この発明のコンテナのための独創的な排出バルブは、バルブ本体と、周囲部分および内部位置を伴うシール部材とを具備する。シール部材の周囲部分および内部位置に一方がバルブ本体の内部の第1の位置に固着され、シール部材の他の部分が、バルブ本体の内部の第2の部分と共にシールを形成する。コンテナ内の閾値圧力を超えると、シールが開となり、流路を形成し、または排出を行う。バルブの他の実施例では、シールは、流路を確立した後、閾値圧力を上回らなくなると、閉となる。
【0012】
排出バルブの他の実施例において、バルブ本体は、少なくとも1つの排出孔を具備する第1のキャップと中央ポストとを有する。中央ポストは第1のキャップと一体であってよい。排出バルブのバルブ本体は、少なくとも1つの排出孔を伴う第2のキャップを具備し、この第2のキャップはバルブハウジングと一体であってよい。代替的には、中央ポストがこの第2のキャップと一体であってよい。さらに、この発明の他の実施例において、排出バルブの中央ポストは第1片および第2片を具備して良い。そのような実施例において、第1の中央ポスト片は第1のキャップと一体であってよく、かつ/また、第2の中央ポスト片は第2のキャップと一体であって良い。
【0013】
この排出バルブの他の実施例において、バルブ本体の内部の第1の部分はキャップまたはバルブハウジングである。さらに、このバルブ本体の内部の第2の部分は中央ポストである。代替的には、バルブ本体の内部の第1の部分は中央ポストであり、このバルブ本体の内部の第2の部分はキャップまたはバルブハウジングである。
【0014】
さらに、この排出バルブの1つの実施例において、シール部材は内部径を伴う内部開口を具備するワッシャーである。このワッシャーはリップワッシャーであってよい。いずれの場合でも、閾値圧力は、コンテナの初期内部圧力の約+−0.5psiであり、好ましくは、閾値圧力はコンテナの初期内部圧力の約+−5psiである。また、所定の実施例において、シール部材はショアAデュロメータで約30から約90のデュロメータ値を伴う。シール部材のシールを形成する部分は所定の実施例において内部部分である。
【0015】
さらに他の実施例において、排出バルブは二方向バルブである。二方向バルブのシール部材は、シールを形成するシール部材の部分へとテーパ付けされてよい。シール部材は強度を増強し、またシール部材に弾性または柔軟性の複数ゾーンを付与するように支持されても良い。
【0016】
さらに、所定の実施例において、バルブ本体のバルブハウジングは燃料電池装置用のコンテナと一体であってよい。
【0017】
添付図面は明細書の一部を形成し、それとの関連で把握されるべきであり、種々の図において類似の参照番号は類似の部分を指し示すものとして用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】「205」親出願の燃料サプライバルブの断面図である。
【
図1B】「205」親出願の燃料サプライバルブの断面図である。
【
図1C】「205」親出願の燃料サプライバルブの断面図である。
【
図1D】「205」親出願の燃料サプライバルブの分解斜視図である。
【
図2A】「205」親出願の他の燃料サプライバルブの断面図である。
【
図2B】「205」親出願の他の燃料サプライバルブの分解斜視図である。
【
図3A】この発明の事例的な逃がしバルブの分解断面図である。
【
図3B】この発明の事例的な逃がしバルブの断面図である。
【
図4A】この発明の逃がしバルブがどのように動作するかを図説する当該逃がしバルブの断面図である。
【
図4B】この発明の逃がしバルブがどのように動作するかを図説する当該逃がしバルブの断面図である。
【
図4C】この発明の逃がしバルブがどのように動作するかを図説する当該逃がしバルブの断面図である。
【
図6A】この発明の逃がしバルブの変形例がどのように動作するかを図説する当該変形例の断面図である。
【
図6B】この発明の逃がしバルブの変形例がどのように動作するかを図説する当該変形例の断面図である。
【
図6C】この発明の逃がしバルブの変形例がどのように動作するかを図説する当該変形例の断面図である。
【
図7A】シール部材が中央ポストに取り付けられる、この発明の逃がしバルブの他の実施例の断面図である。
【
図7B】シール部材が中央ポストに取り付けられる、この発明の逃がしバルブの他の実施例の断面図である。
【
図7C】シール部材が中央ポストに取り付けられる、この発明の逃がしバルブの他の実施例の断面図である。
【
図7D】シール部材が中央ポストに取り付けられる、この発明の逃がしバルブの他の実施例の断面図である。
【
図7E】シール部材が中央ポストに取り付けられる、この発明の逃がしバルブの他の実施例の断面図である。
【
図8A】シール部材が強化されている、他の実施例の断面図である。
【
図8B】シール部材が強化されている、他の実施例の断面図である。
【
図8C】シール部材が強化されている、他の実施例の断面図である。
【
図8D】シール部材が強化されている、他の実施例の断面図である。
【
図8E】シール部材が強化されている、他の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図面に示され以下に詳細に検討するように、この発明は、コンテナ内の圧力差、すなわち、気体、蒸気、および/または液体の蓄積、および/または、流体、例えば燃料、および/または気体の装置からの引き出しに由来する真空を解消するために、コンテナ、最も好ましくは、燃料電池燃料貯蔵装置(例えば、燃料電池、再充填装置、燃料電池燃料サプライ、水素/ガス発生器、または、燃料電池システムに使用して好適な任意の他の装置)を含む任意に燃料サプライまたは流体貯蔵装置とともに使用可能な、逃がしバルブまたは排出バルブに向けられている。
【0020】
ここで使用される用語「燃料サプライ」は、これに限定されないが、使い捨てカートリッジ、再充填可能/再使用可能カートリッジ、電子製品内に配置されるカートリッジ、取り外し可能なカートリッジ、電子製品の外部に配置されるカートリッジ、燃料タンク、燃料再充填タンク、燃料を貯蔵する他のコンテナ、および、燃料タンクおよびコンテナに結合された管材を含む。1の燃料サプライがこの発明の例示的な実施例との関連で以下に説明されるが、これら実施例は他の燃料サプライにも適用可能であり、この発明は燃料サプライのいかなる特定のタイプにも限定されないことに留意されたい。この出願の逃がしバルブは、サプライまたはコンテナの圧力が制御されるかぎり、固体(1または複数)、液体(1または複数)および/または気体(1または複数)の任意のサプライまたはコンテナとともに利用できる。
【0021】
上述の燃料サプライの各事例において、燃料サプライまたはコンテナは、圧力差、すなわち、環境圧力および燃料サプライまたはコンテナ内部の圧力の差分を受けてよい。燃料サプライは、環境要素、例えば温度または圧力に応じて燃料が蒸発しまたは膨張することにより、または気体または液体の副産物が燃料サプライ内に累積することに起因して、増加圧力の下にある。これら圧力が開放されないと、燃料サプライまたは来んネタが構造的に壊れてしまうことになり得る。同様に、燃料が閉状態のコンテナから取り出されるときにはサプライまたはコンテナ内に真空が形成され得る。真空または真空に起因する内部柔軟性ブラだーの畳み込みにより、最終的には燃料の取り付け燃料電池への供給が阻止され、燃料は燃料サプライ内に捕捉されてしまう。
【0022】
図1A〜1Dおよび
図2A〜
図2Bは、親出願である米国特許出願第12/674,205号の
図14A〜
図14Dおよび
図15A〜
図15Dにそれぞれ開示された燃料カートリッジ用に非可換連結燃料バルブを示している。
図1Aに示されるように、「205」出願の燃料搬送バルブ10は、中央ポスト14を伴うバルブ本体12と、中央ポスト14との間でシールを実現する非平坦ワッシャーまたはリップワッシャー16と、ワッシャー16をその場に保持し、中央ポスト14から離間して開口溝20を形成するリテーナ18とを具備する。「205」親出願において検討され、また
図1Bおよび
図1Cに示されるように、突き合わせチューブ22が、溝20を通じてバルブ10に押し込まれリテーな18およびワッシャー16を通り抜けワッシャー16および中央ポスト14の間のシールを壊して中央ポスト14および突き合わせチューブ22の間に流路を形成して燃料を流す。この構成ではワッシャー16はチューブ22の外側表面との間でシールを形成してチューブ22の外側への流れ出しを阻止する。
【0023】
「205」親出願では、開口溝20と合致するチューブ22が溝20に挿入されて燃料が燃料通路23に沿って流れることを可能にするときに、バルブ10は燃料搬送バルブとして使用される。チューブ22なしでバルブ10を利用する他の場合には、燃料サプライ24用の逃がしバルブまたは排出バルブとして利用し、これは
図1Aに部分的に示されている。
図1Aに方向づけられるように、ワッシャー16は下方に、すなわち内側に屈曲して気体が環境側から燃料サプライ24に入るようにできる。
図1Aと逆の方向、すなわち、上下逆の方向に配向付けられ、適切な隙間がリテーナ18からあるときには、バルブ10は、圧力P
24が閾値を超えるときに圧縮流体を排出する逃がしバルブである。
【0024】
図2A〜
図2Bにおける燃料搬送バルブ10は、ワッシャー16が実質的に平坦な構造を伴うことを除いて、
図1A〜
図1Dにおいて説明したバルブ10と類似である。バルブ10のこの実施例は上述のとおりチューブ22なしで逃がしバルブとしても機能することが可能である。
【0025】
図3Aおよび
図3Bを参照して、この発明の逃がしバルブ10の他の実施例が示される。バルブ10は、バルブ本体12から構成されるバルブ本体、ワッシャー16およびキャップ26を具備する。キャップ26はリテーナ18および中央ポスト14を有し、これらは相互に一体に構成され、そこに形成された排出孔(1または複数)28を伴う。ワッシャー16は中央ポスト14とともにシールを形成する。
図3A〜
図3Cに示される実施例や以下に検討する
図4A〜
図4C、
図5A〜
図5B、
図6A〜
図6C、および
図7A〜
図7Cに示される実施例と、
図1A〜
図1Dおよび
図2A〜
図2Bに示される実施例との間の主たる相違は、
図3A〜
図3C、
図4A〜
図4C、
図5A〜
図5B、
図6A〜
図6C、および
図7A〜
図7Cに示される実施例は二方向に開閉できる逃がしバルブを説明することであり、すなわち、これらの逃がしバルブ内のシール部材16は1つの方向、例えば矢印Aの方向に開となり圧縮流体を排出でき、また他の方向、例えば矢印Bの方向に開となり雰囲気気体をサプライまたはコンテナ内に入れて真空を壊すことができるということである。この能力は、シール部材16の上に空間30を配し、シール部材16の下に空間32を配し、シール部材16が2つの異なる方向に屈曲可能にすることにより実現される。
【0026】
シーリング部材すなわちワッシャー16は周囲部分34および内部部分36を具備する。双方の部分はシーリング表面として使用できる。
図1A〜
図1Dさらには
図6A〜
図6Cまでに示される実施例において、周囲部分34はリテーナ18によってバルブ本体に固着され、内部部分36は中央ポスト14中にフィットするインターフェースを形成して
図3(B)に最も良く示されるようにシールを形成する。代替的には、
図7A〜
図7Eは、他の実施例を示し、この実施例では、シール部材16の内部部分36は中央ポスト14に固着され、または保持され、周囲部分34がバルブ本体の内側にフィットするインターフェースを形成してシールを形成する。代替的な実施例の逃がしバルブ10は、リテーナ18を具備し、中央ポストの第1の部分14'を一体に組み込み、排出孔28を伴う第1のキャップ26と、バルブハウジング12を具備し、中央ポストの第2の部分14''を一体に組み込み、排出孔28'を伴う第2のキャップ26'と、シール部材16とを有する。
図7Bに示すように、シール部材16は第1の中央ポスト14'と第2の中央ポスト14''との間に保持される。シール部材16の周囲部分34はリテーナ18とともにシールを形成し、上下動して燃料サプライを排出できる。この実施例において、シール部材は他の実施例と類似のワッシャーであってよく、また、これは
図7A〜
図7Cに示されるように円形のディスクであってよい。また、この実施例において、中央ポスト14'および14''は保持機構として動作する。
【0027】
図4A〜
図4Cの実施例は、バルブ本体12が燃料サプライ24の外側ケーシング25中に組み込まれ、シール部材16の周囲部分34がキャップ26のリテーナ18および燃料サプライ24の外側ケーシング25の間に保持される点を除いて、
図3A〜
図3Bの実施例と類似している。
図5A〜
図5Bの実施例は、シール部材16が非平坦ワッシャー、すなわち、より具体的には円錐ワッシャーまたはリップワッシャーである点を除いて、
図3A〜
図3Bの実施例と類似している。
図6A〜
図6Cに示される実施例では、キャップ26の中央ポスト14が燃料サプライ24の外側ケーシング25に取り付けられる。
【0028】
この発明の他の側面によれば、周囲部分34およびリテーナ18の間、または、内部部分36および中央ポスト14の間のいずれのシールまたは衝突(インターフェアランス)フィットも、四角いプロフィールに替えて、鋭い、またはポイント状のプロフィール、例えば、
図7D〜
図7Eに示すようなワイパーエッジであってよい。ポイント状のプロフィールは四角いプロフィールより柔軟であり、逃がしバルブ10の開および閉の閾値圧力を制御するのに採用できる。また、
図7Dおよび
図7Eに示すように、バルブ10は、2つのキャップ26、26'を伴って良く、これらは相互に実質的に類似している。キャップ26、26'はシール部材すなわちワッシャー16をその間に取り付けて良く、より具体的には、ワッシャー16を中央ポスト14'および14''の出っ張り38において固着する。
【0029】
図4A〜
図4Cおよび
図6A〜
図6Cを、再び、参照して、燃料サプライ24内の高い内部圧力を逃がしバルブ10が逃がすときの動作が説明される。当初は、
図4Aに示すように、燃料サプライ24内の内部圧力P
24は環境圧力の+−xpsi以内、例えば+−2psi、または+−5psiであり、シール部材16は平坦なままであり、その内部部分34は中央ポスト14の外側直径に抗して押圧されて、逃がしバルブ10をシールする。圧力差が燃料サプライ内にxpsiに向けて形成されていくときに、シール部材16の内部部分36は上方に屈曲するけれども内部部分36のリップン沿って中央ポスト14との接触を維持して、
図4Bに最も良く示すようにシールを維持する。
図4Cに示すように、圧力差が、燃料サプライ24内で圧力P
24の閾値xpsiを上回ると、シール部材16の内部部分36が中央ポスト14から離れるように屈曲して、気体および/または液体を排出して燃料サプライ24内の過剰の圧力を開放するための流路を形成するようになる。燃料サプライ24内の圧力が開放されると、シール部材16の内部部分36は再び中央ポスト14に接触するようになり、これにより、逃がしバルブ10が閉じる。同様に、燃料サプライ24内に真空が生じたときには、中央ポスト14と接触している、シール部材16の内部部分36が、中央ポスト14から離れるように下方に屈曲され、内部部分36は中央ポスト14と接触を維持する。最終的に、真空の引き込み力圧力P
24の閾値xpsiに至り、リップが中央ポスト14から離れるように屈曲し、空気または他の気体を容器内に導入する流路が形成され、真空が緩和される。真空が開放されると、バルブが閉じ、シール部材16の端部は再び中央ポスト14と接触するようになる。
図7B〜
図7Cは、衝突フィットまたはシールがシール部材16の周囲部分34とバルブ本体/リテーナ本体との間で起こるときの逃がしバルブ10の類似の動作を示す。
【0030】
この発明の逃がしバルブは従来のものに較べて多数の利点を有する。すなわち、小型の新規な3部品設計(キャップ26、バルブハウジング12または第2のキャップ26'、およびシール部材16)では、バルブが可動部品や故障しやすい他の構成要素を伴わないので信頼性を増大させる。さらに、この創作的な設計では、バルブ部品を製造し、組み立てるコストが減少し、かつ、自動化に適った組立方法を実現できるので、経済的な利点がある。これらの利点により、この逃がしバルブは、燃料電池システム、および、具体的には、使い捨てであり、廃棄して良いシステムのそのような装置/部品、例えば、燃料サプライ、カートリッジおよび/または再充填装置に使用する上で理想的である。
【0031】
排出孔28は、気体を効率的に流すことができる任意の開口を有してよく、これに限定されないが、ホール、パーフォレーション、スロット、またはベントを含む。好ましくは、排出孔28は、逃がしベント10の意図しない、または不正な開口を抑制するように寸法決めされ、配向される。例えば、排出孔28は、ペン先、紙クリップ、ピン、ナイフ等の一般的な備品を利用して逃がしバルブを開とすることが抑制されるような形状および寸法をとってよい。さらに、排出孔28は第1のカバー26に対して直角な方向に面したときに、第1のカバー26に対して角度付けられ(好ましくは約0〜60°、または、約120〜180°)、外来物質がシール部材16から逸れるようになし、意図せずに逃がしバルブが開とならないようにして良い。第2のカバー26'は
図6A〜
図6Cおよび
図7A〜
図7Eに示すように存在しても良い。この第2のカバー26'はバルブハウジング12と一体であっても層でなくても良く、これは、排出孔28'も具備し、気体を効率的に流すことができるようにし、また、上述と同様に、装置の内部に意図しないアクセスがないような寸法および配向を採用して良い。意図しないアクセスをさらに阻止するために、排出孔28および28'は位置的または角度的にずれて外来物質が排出孔の双方の組を通り抜けないようにして良い。さらに、第2のカバー26'はオプションとしてその前面または内部にフィルタを具備して良く、これにより、バルブの動作が干渉されない範囲で、意図しない液体や気体が弁とを通じて代理するのを阻止して良い。
【0032】
中央ポスト14はここでは筒状に示されているけれども、中央ポスト14は、シール部材16との衝突フィットを保持し、または形成するという目的に適合する範囲で、他の形状を採用して良い。中央ポスト14およびシール部材16の内部部分36の間で衝突フィットがあるときには、中央ポスト14を十分に長くして、シール開時に、シール部材16の内部部分36が中央ポスト14を超えて延びないようしなければならない。中央ポスト14は、十分に長く、バルブハウジング12の実質的な部分を通じて延びなければならず、好ましくは、バルブハウジング12を完全に通り抜けて伸びる。中央ポスト14は、第1のキャップ26、第2のキャップ26'、リテーナ、および/またはバルブハウジング12に対して移動しないように位置づけられる。
【0033】
第1のキャップ26、バルブハウジング12、および中央ポスト14は、燃料電池しすてむに関連する装置用のバルブおよびコンテナの製造に典型的に死傷される任意の材料から製造されてよく、好ましくは、この材料は、燃料電池システム内で使用される流体または気体(燃料、生成物、および副産物)と互換性を有する。
【0034】
この発明のシール部材16は、弾性材料から製造されて良く、これら材料は粘弾性特性を有する(ヤング率が小さく、降伏歪みが大きい)。適切な弾性材料は、これに限定されないが、飽和ゴム、例えば、天然、合成ポリイソプレン、ブチル、ハロゲン化ブチル、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン、ニトリル、水素化ニトリル、およびクロロプレンゴム;不飽和ゴム、例えば、エチレンプロピレン、エチレンプロピレンジエン、エピクロルヒドリン、ポリアクリル系、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー、ポリエーテルブロックアミン、クロロスルホン化ポリエチレン、および、エチレンビニルアセテートゴム;および、エラストマー、例えば、熱可塑性エラストマー(スチレンブロック、ポリオレフィンブレンド、エラストマーアロイ、熱可塑性コポリエステル、熱可塑性ポリアミド)、熱可塑性加硫物、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性オレフィン、およびポリスルフィドゴムを含でよい。好ましくは、選択される弾性材料は、燃料電池システムの装置から排出される気体、蒸気、および/または液体と互換性を有し、最も好ましくは、燃料電池システムの燃料、反応生成物、および/または反応副産物のすべてと互換性を有してバルブがそれらの部品内に含まれる蒸気または気体により長期に腐食しないようにする。最も好ましくは、弾性材料は、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、例えば、McMaster−Carr(カリフォルニア州、サンタフェスプリング)から入手できるエチレンプロピレンジエンモノマーゴムである。
【0035】
種々のパラメータを採用して、シール部材16が、閾値圧力を上回ったときに確実に屈曲するようにできる。曲げ弾性率、デュロメータ、引っ張り強さ、コンプレッションセット、熱抵抗、流体抵抗、低温度抵抗、および、引き裂き強度は、閾値圧力を上回ったときにシール部材が撓む能力に影響を与える属性のいくつかである。シール部材16の弾性材料のショアDデュロメータ(ASTM D2240)は約30から90(ミディアムソフトからミディアムハード)であってよく、より好ましくは約40〜70である。同様に、シール部材16の弾性材料の熱および低温度抵抗は、燃料サプライおよび/または燃料電池装置の予定または実際の作動環境で採用できるものでなければならない。さらに、シール部材16の弾性材料は30〜40psiの圧力に耐え、所定の場合には、100psiを超える圧力に耐え得るものでなければならない。さらに、シール部材16とバルブ本体の内部の第2の部分との間の摩擦係数や、シール部材16の厚さのような変数も、バルブが所望の閾値圧力に較正可能なようする。
【0036】
さらに、中立的な配向では、衝突フィットを形成する、当該発明の逃がしバルブのシール部材16の部分は、バルブ本体の内部の第2の部分に対面して平坦に横たわる。代替的には、バルブ本体は排出または吸入のいずれか一方の方向にバイアスされて良く、これは、弾性部材のエッジが好ましい方向に向けられているリップワッシャーまたはシートを用いて行われる。
図5A〜
図5Bは、円錐またはリップワッシャーを用いてバルブを排出方向にバイアスする、すなわち、衝突フィットを形成するワッシャーのエッジがキャップ方向に向けられている、この発明の逃がしバルブを示す。好ましくは、この発明の逃がしバルブは二方向であり、気体の排出および空気の吸入の双方を可能にする。図示の逃がしバルブに加えて、二方向バルブは、シール部材16とバルブ本体の内部の第2の部分との間の衝突フィットの大きさを小さくし、および/または、バルブ本体の内部の第2の部分と衝突フィットする、シール部材の部分のエッジを丸めることにより、実現して良い。
【0037】
バルブを開とする閾値圧力は、燃料サプライまたは燃料電池装置が損傷や構造的な故障を受ける前に、および/または、真空により燃料サプライから、または燃料電池装置を通じて燃料が流れるのを阻害する前に、バルブを開とするのに充分なものでなくてはならない。好ましくは、バルブを開とする閾値圧力は、燃料サプライ24の初期内部圧力P
24の約+−0.5psi、+−1psi、+−2psi、または+−5psiであるべきである。燃料サプライ24の初期内部圧力P
24は、固体(1または複数)、気体(1または複数)、および/または液体(1または複数)がこれに当初充填される時のコンテナ内の圧力である。先に触れたように、燃料サプライ24の初期内部圧力P
24は、環境圧力、または環境圧力の+−2psi、または+−5psiであってよい。バルブが双方向のときには、バルブの正または負の閾値圧力は、同一である必要はない。例えば、バルブは−0.5psiの閾値および5psiの閾値を伴って、真空時に過剰圧力時に較べて早く応答して開となるようにする。
【0038】
さらに、逃がしバルブ10は液体吸収部材41を有して良く、これは例えば、紙、織物、または他の繊維材料であり、これは、逃がす気体に随伴する任意の液体を吸収できる。液体吸収部材は
図7Cに最も良く示すようにキャップ26の頂部に配置することができ、また中央ポスト14の周囲のキャップ26の内部に配置できる。液体吸収部材は、液体を中性化するために酸性または塩基性のいずれかにできる。一例では、液体が塩基性ならば、液体吸収材料は酸性とすべきである。
【0039】
他の実施例において、シール部材16は
図8Aおよび
図8Bに示すようにワッシャーまたはディスク43のような強化部材を伴って良い。好ましくは、強化部材43は、図示のとおり、シール部材16を部分的にのみオーバーラップする。強化部材43はシール部材16の上側または下側に配置してよく、また、シール部材16の上および下の双方に配置されて一方向または双方向の排出をサポートしてよい。2つの強化部材43を採用するときには、それらの柔軟性を異ならせて良い。単一強化部材43の柔軟性は非均一であってもよい。好ましくは、強化部材43は、
図8Aに示すように、または、
図8Bにしめすように、それぞれ、中央ポスト14と、または、リテーナ18との間でシールを形成しないけれども、シール部材16の屈曲の量を制約する。これによって、シール部材16の寿命を長くでき、この発明のバルブ10が大きな内部の真空または圧力P
24に耐えるようにすることができる。強化部材43はエラストマー、熱可塑性材料、熱硬化性材料、または金属から製造してよい。強化部材43はシール部材16状に成型されてよく、またこれと一体であって良い。
【0040】
強化部材43はシール部材16に沿って曲がり、または、実質的に堅固であってよい。強化部材43によって支持されているシール部材16の部分は、強化部材43により支持されず、すなわちこれを超えて伸び、小さな剛性しかもたず、柔軟性が高い、シール部材16の部分より、大きな剛性を有し、柔軟性が小さい。このため、シール部材は柔軟性について複数の領域を有し、この結果、設計者は「205」親出願で説明される排出バルブ10または燃料搬送バルブ10を設計する上で大きな自由度を持つ。
【0041】
図8C〜
図8Eを参照すると、強化部材43を、「205」親出願の燃料搬送バルブ10とともに使用できる。
図8Cは
図2Aと類似であるけれども、強化部材43がシール部材18の下方に配置されて、チューブ22がバルブ中に挿入されて燃料流路23を形成するときに、シール部材16を支持する点で異なる。強化部材43は、
図8D〜
図8Eに示されるように、シール部材16の上側、すなわち、リテーナ18およびシール部材16の間に配置されても良い。この構成では、チューブ22が強化部材43と相互作用して強化部材およびシール部材を下方に押し燃料流路23を形成する。
図8D〜
図8Eの構成の利点は、これのみではないが、バルブ10が遮断位置にあるときにこのバルブ10が大きな内部圧力P
24に耐えることができ、また、シール部材16がチューブ22および/または外来物質および破片と接触することに起因する損傷を強化部材43によって回避させることができることを含む。
【0042】
この明細書および例は例示としてのみ意図されており、この発明の本来の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲およびその均等物により示される。この発明の他の実施例が、ここで開示された、この発明の当該明細書およびその実施を考慮して、当業者には明らかであろう。例えば、バルブの事例的な実施例が燃料サプライとの関係で開示されたけれども、バルブは燃料サプライシステム中の他の装置、例えば燃料カートリッジ、燃料電池等にも使用できることを理解されたい。さらに、上述の逃がしバルブの用途は燃料電池システムに限定されず、これに限定されないが、食料保管、製造、医療を含む分野の体の用途に採用してよく、ここで、創作的な逃がしバルブの部品がこの分野に適合化され、すなわち、食品グレードのプラスチック/エラストマーを食品保管の分野において使用することを考慮されたい。さらに、1つの実施例の要素または特徴を他の実施例に採用できる。
以下、ここで説明した技術的特徴を列挙する。
[技術的特徴1]
コンテナ用の排出バルブであって、
バルブ本体と、
周囲部分および内部部分を具備するシール部材とを有し、
上記シール部材の上記周囲部分および上記内部部分の一方が、上記バルブ本体の内部の第1の部分に取り付けられ、他方が上記バルブ本体の内部の第2の部分との間でシールを形成し、
上記シールは、上記コンテナの内部で閾値圧力が超過されたときに開となり流路を形成することを特徴とする排出バルブ。
[技術的特徴2]
上記バルブ本体は少なくとも1つの排出孔を具備する第1のキャップと、中央ポストとを有する技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴3]
上記中央ポストは上記キャップと一体である技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴4]
上記バルブ本体は、さらに少なくとも1つの排出孔を具備する第2のキャップを有する技術的特徴2記載の排出バルブ。
[技術的特徴5]
上記第2のキャップは上記バルブハウジングと一体である技術的特徴4記載の排出バルブ。
[技術的特徴6]
上記中央ポストは上記第2のキャップと一体である技術的特徴5記載の排出バルブ。
[技術的特徴7]
上記バルブ本体の上記内部の上記第1の部分が上記キャップまたは上記バルブハウジングである技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴8]
上記バルブ本体の上記内部の上記第2の部分が上記中央ポストである技術的特徴7記載の排出バルブ。
[技術的特徴9]
上記バルブ本体の上記内部の上記第1の部分が上記中央ポストである技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴10]
上記バルブ本体の上記内部の上記第2の部分が上記キャップまたは上記バルブハウジングである技術的特徴9記載の排出バルブ。
[技術的特徴11]
上記シール部材は内側径を伴う内側開口を具備するワッシャーである技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴12]
上記ワッシャーはリップワッシャーである技術的特徴11記載の排出バルブ。
[技術的特徴13]
上記閾値圧力は上記コンテナの初期内部圧力の+−0.5psiである技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴14]
上記閾値圧力は上記コンテナの初期内部圧力の+−2psiである技術的特徴13記載の排出バルブ。
[技術的特徴15]
上記シール部材のデュロメータ値は約30〜約90ショアAである技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴16]
上記シールを形成する、上記シール部材の上記部分は、上記内部部分である技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴17]
上記バルブは二方向バルブである技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴18]
上記シール部材はシールを形成する上記シール部材の部分の方向にテーパ付けられちる技術的特徴17記載の排出バルブ。
[技術的特徴19]
上記バルブハウジングは上記燃料電池装置用のコンテナと一体である技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴20]
上記閾値圧力が超過されたとき、上記流路を形成した後にシールを閉とする上記技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴21]
上記中央ポス値は第1および第2の部分を有する技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴22]
さらに液体吸収部材を有する技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴23]
上記液体吸収部材は酸性である技術的特徴22記載の排出バルブ。
[技術的特徴24]
上記シール部材を支持する少なくとも1つの強化部材をさらに有する技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴25]
上記強化部材は上記シール部材に隣接して配置される技術的特徴24記載の排出バルブ。
[技術的特徴26]
上記シーリングは、複数の柔軟性領域を有する技術的特徴1記載の排出バルブ。
[技術的特徴27]
燃料搬送バルブであって、技術的特徴24記載の排出バルブと、上記排出バルブ内に挿入されて当該燃料搬送バルブを通じて燃料流路を形成する空洞部材とを有することを特徴とする上記燃料搬送バルブ。
[技術的特徴28]
コンテナ用の燃料搬送バルブであって、
バルブ本体と、
周囲部分および内部部分を具備するシール部材と、
上記シール部材を支持する少なくとも1つの強化部材とを有し、
上記シール部材の上記周囲部分および上記内部部分の一方が、上記バルブ本体の内部の第1の部分に取り付けられ、他方が上記バルブ本体の内部の第2の部分との間でシールを形成し、
空洞部材が上記シール部材を押圧して上記燃料搬送バルブを通じて燃料流路を形成することを特徴とする燃料搬送バルブ。
【符号の説明】
【0043】
10 バルブ
12 バルブ本体(バルブハウジング)
14 中央ポスト
16 シール部材(ワッシャー)
18 リテーナ
20 開口溝
22 チューブ
23 燃料流路
24 燃料サプライ
25 外側ケーシング
26 キャップ(26)
28 排出孔
34 周囲部分
36 内部部分
41 液体吸収部材
43 強化部材