特許第5710019号(P5710019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許5710019-バッテリセル 図000002
  • 特許5710019-バッテリセル 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710019
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】バッテリセル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/613 20140101AFI20150409BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20150409BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   H01M10/613
   H01M10/6555
   H01M2/10 E
【請求項の数】11
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-542428(P2013-542428)
(86)(22)【出願日】2011年10月20日
(65)【公表番号】特表2013-545250(P2013-545250A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011068335
(87)【国際公開番号】WO2012076233
(87)【国際公開日】20120614
【審査請求日】2013年6月10日
(31)【優先権主張番号】102010062858.1
(32)【優先日】2010年12月10日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン プファイファー
(72)【発明者】
【氏名】カイ クールマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クレッチュマー
【審査官】 相澤 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/083982(WO,A1)
【文献】 特開2007−273348(JP,A)
【文献】 特開2009−259748(JP,A)
【文献】 実開平03−109269(JP,U)
【文献】 特開昭51−084041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60−10/667
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(12)と、少なくとも2つの蓄電素子(13,14)と、冷却伝導プレート(15)とを含むバッテリセル(11)において、
前記少なくとも2つの蓄電素子(13,14)と、前記冷却伝導プレート(15)とは、前記ケーシング(12)の中に配置されており、
前記ケーシングは、開口部(27)を有しており、
前記開口部(27)は、前記冷却伝導プレート(15)の第2冷却伝導プレート部分(17)によって貫通され、注型材料(23)によって封止されている、
ことを特徴とするバッテリセル(11)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの蓄電素子(13,14)は、前記冷却伝導プレート(15)とコンタクトしている、
ことを特徴とする請求項1記載のバッテリセル(11)。
【請求項3】
前記冷却伝導プレート(15)は、第1冷却伝導プレート部分(16)を有しており、前記少なくとも2つの蓄電素子(13,14)の間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のバッテリセル(11)。
【請求項4】
前記冷却伝導プレート(15)は、前記第2冷却伝導プレート部分(17)において、変形部(19)を有しており、
前記変形部(19)は、前記冷却伝導プレート(15)の平面(26)から張り出している、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のバッテリセル(11)。
【請求項5】
前記蓄電素子(13,14)のうち少なくとも1つの蓄電素子の表面積の少なくとも30%は、前記冷却伝導プレート(15)とコンタクトしている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のバッテリセル(11)。
【請求項6】
前記冷却伝導プレート(15)は、前記ケーシング(12)の外側にある第3冷却伝導プレート部分(18)において、冷却液が通流する冷却体(24)に固定されている、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のバッテリセル(11)。
【請求項7】
前記冷却伝導プレート(15)は、前記第3冷却伝導プレート部分(18)において、少なくとも1つの打ち抜き部(20)を有する、
ことを特徴とする請求項6記載のバッテリセル(11)。
【請求項8】
前記冷却体(24)は、前記冷却伝導プレート(15)の前記少なくとも1つの打ち抜き部(20)を貫通している、
ことを特徴とする請求項記載のバッテリセル(11)。
【請求項9】
前記冷却伝導プレート(15)の前記少なくとも1つの打ち抜き部(20)は、両端が開いたスリーブ(21)として形成されている、
ことを特徴とする請求項7または8記載のバッテリセル(11)。
【請求項10】
前記ケーシング(12)の中に、1つの冷却伝導プレート(15)と、2つの蓄電素子(13,14)とが配置されている、
ことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項記載のバッテリセル(11)。
【請求項11】
前記バッテリセル(11)は、リチウムイオンバッテリセルである、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載のバッテリセル(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念に記載のバッテリセルに関する。
【0002】
従来技術から、種々の形式のバッテリが知られている。このようなバッテリは、例えばDE102008059952A1に記載されている。例えばハイブリッドカー又は電気自動車で使用されているようなバッテリ(乃至バッテリシステム)は通常、複数のバッテリモジュールからなり、バッテリモジュール自体は、複数の個々のバッテリセル(例えばリチウムイオンバッテリセル)から組み合わされている。個々のバッテリセルは、ケーシングと、ケーシングの中に配置された蓄電素子(ガルバニセル、又は、簡単にセルとも呼ばれる)とを有する。バッテリセルの充放電過程中に電流の流れによって生じる損失熱は、冷却によって排出しなければならない。部分的に高い電力密度に基づき、冷却において高い要求が課される。複数のバッテリセルを効率的に冷却するために数多くの提案が公知であるが、製造に手間が掛かり過ぎたり、コストが高過ぎたりすることが多い、又は、バッテリセルの出力が制限されていることが多い。
【0003】
例えば、上に挙げたDE102008059952A1からは、ケーシングの外部にある冷却プレートの上に個々のバッテリセルを平坦に載置することによって、バッテリからの熱排出が保証されているバッテリが公知である。バッテリセルと冷却プレートとの間の良好な熱移動のためには、コンタクト面が非常に平坦であることが前提となっている。しかしながら、この装置には、充放電時のバッテリセルの加熱によって、ケーシング内部の圧力が増加するという欠点がある。この圧力の増加は、結果的にケーシングの壁を膨張させてしまう。ケーシングの壁が湾曲することによって、バッテリセルと冷却プレートとの間のコンタクト面積が小さくなり、これによって冷却効果が低下してしまうのである。さらなる欠点は、充放電時にバッテリセルの蓄電素子の内部で生じる損失熱は、熱伝導によって初めてケーシングと冷却プレートとの間のコンタクト面に到達し、そこで最終的に排出しなければならないことである。つまり不利なことに、損失熱は、蓄電素子の直近で排出されるわけではなく、これによってバッテリセルの冷却効果は不十分なものとなってしまう。
【0004】
本発明の課題は、バッテリセルの蓄電素子が効率的に冷却され、簡単かつ低コストに製造可能なバッテリセルを提供することである。
【0005】
請求項1の特徴部分に記載した本発明のバッテリセルは、充放電時に生じる損失熱が、バッテリセルの蓄電素子から非常に効率的に排出されるという利点を有する。
【0006】
このために本発明によれば、少なくとも2つの蓄電素子と、冷却伝導プレートとが、ケーシングの中に配置されている。充放電時の損失熱は、バッテリセルの蓄電素子において直接生じるので、冷却伝導プレートを、これらの蓄電素子と一緒にケーシングの中に配置すると有利である。上記の配置によって、蓄電素子の損失熱を、冷却伝導プレートを介してより迅速に排出することが可能となり、これによって、蓄電素子、ひいてはバッテリセルの強力な加熱を阻止することが可能となる。付加的に、有利には、バッテリセルのケーシングの壁厚さを低減することができる。というのは、熱排出はもはやケーシングを介しては行われないからである。結果的に重さが低減され、ひいてはコストも低減される。
【0007】
従属請求項に記載した特徴によって、独立請求項に記載した装置を有利に発展させることができる。
【0008】
有利には、少なくとも2つの蓄電素子は、冷却伝導プレートとコンタクトしている。このコンタクトによって熱移動が保証される。このコンタクトは、蓄電素子と冷却伝導プレートとが直接接触する直接コンタクトか、又は、蓄電素子と冷却伝導プレートとの間に例えば熱伝導ペースト又は保護フィルム又は保護層等のような熱伝達体が存在する場合には、熱伝達も行われるコンタクトである。このコンタクトに基づいて、冷却伝導プレートと2つの蓄電素子との間で効率的な熱伝達が行われ、これによって蓄電素子から熱を非常に効率的に排出することができる。
【0009】
有利には、冷却伝導プレートは、第1冷却伝導プレート部分において、少なくとも2つの蓄電素子の間に配置されている。これにより、冷却伝導プレートを介して一方の蓄電素子の熱のみならず、他方の蓄電素子の熱も排出することが可能となる。ケーシングの壁の膨張を引き起こすバッテリセル内部の圧力上昇は、熱伝達に影響を与えない。
【0010】
有利には、ケーシングは、開口部を有している。この開口部は、冷却伝導プレートの第2冷却伝導プレート部分によって貫通され、注型材料によって封止される。注型材料は、冷却伝導プレートと、少なくとも2つの蓄電素子とを、ケーシングの中で固定させる。さらに有利には、注型材料によって、ケーシングの中に湿気が侵入しないよう保証される。
【0011】
有利には、少なくとも2つの蓄電素子のそれぞれ片方の表面の少なくとも30%が、冷却伝導プレートとコンタクトしている。これらの表面を介して蓄電素子と冷却伝導プレートとの間の熱伝達が行われ、これによって効率的な冷却が達成される。
【0012】
有利には、冷却伝導プレートは、第2冷却伝導プレート部分において、変形部を有しており、この変形部は、冷却伝導プレートの平面から張り出している。この変形部は、注型材料の中で良好に保持するために使用される。付加的に、変形部によれば、バッテリセルへの湿気の侵入がさらに困難になり、より良好な湿気遮断がもたらされる。
【0013】
有利には、冷却伝導プレートは、ケーシングの外部に位置する第3冷却伝導プレート部分において、冷却液が通流する冷却体に固定されている。注型材料から突出しているこの第3冷却伝導プレート部分は、冷却液が通流する冷却体とコンタクトしており、バッテリセルから排出された熱を冷却体へと伝達している。冷却体を通流する冷却液によって、有利には、熱が最終的に冷却体から排出される。
【0014】
有利には、冷却伝導プレートは、第3冷却伝導プレート部分において、少なくとも1つの打ち抜き部を有する。打ち抜き部は、複数のバッテリセルを、冷却伝導プレートを用いて、複数のバッテリセルから組み合わされた1つのバッテリモジュール内において、適当な装置、例えば冷却体に固定させるために適している。これによって複数のバッテリセル同士を、1つのバッテリモジュール内において、他の同種のバッテリセルに対して相対的に空間的に固定することができる。バッテリセルを適切な装置に固定することによって、付加的に、バッテリセルからの熱をこの装置に伝達させることができ、これによってバッテリセルの冷却効果がもたらされる。
【0015】
有利には、冷却伝導プレートの少なくとも1つの打ち抜き部は、冷却体によって貫通される。これによって、一方では、バッテリセルが冷却伝導プレートによって冷却体に固定され、従って、バッテリモジュールの内部にある別のバッテリセルに対して相対的に配置することができる。他方では、バッテリセルの固定が保証されるだけではなく、冷却伝導プレートと、冷却伝導プレートを貫通する冷却体との間の熱伝達も改善される。付加的に、この冷却コンセプトによれば、故障したバッテリセルを迅速に交換できるようになる。なぜなら、これらのバッテリセルは、チェーン上の真珠のように冷却体の上に通すことができ、また、相応にして冷却体から再び迅速に抜き取ることができるからである。
【0016】
有利には、少なくとも1つの打ち抜き部は、両端が開いたスリーブとして形成されている。このような打ち抜き部の形状によって、冷却伝導プレートと冷却体との間のコンタクト面積がより大きくなるので、冷却伝導プレートと冷却体との間の熱伝達が向上する。これによって、冷却伝導プレート、ひいては蓄電素子からの熱排出がより効率的になる。冷却体が打ち抜き部を貫通しており、これによって冷却伝導プレートが冷却体に固定されている場合には、バッテリセルは、付加的に、両端が開いたスリーブとして形成された打ち抜き部によって、傾倒に対して安定化されている。
【0017】
有利には、独立請求項に記載のバッテリセルにおいて、ケーシングの中に、厳密に1つの冷却伝導プレートが配置されている。これによって重さ及び製造コストが低減する。
【0018】
以下、本発明の複数の実施例を、これらの実施例に対応する図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、バッテリセルの斜視断面図である。
図2図2は、次々に配置された複数のバッテリセルの斜視断面図である。
【0020】
図1は、本発明の1つの実施例として、バッテリセル11の斜視断面図を示す。バッテリセル11は、実質的に矩形かつ平坦に構成されており、僅かな厚さを有する。バッテリセル11は、バッテリセル11のケーシング12の頭部側から突出している2つの旗形の極コンタクト22,32を有しており、バッテリセル11は、これらの極コンタクト22,32を介して電気的にコンタクト可能となっている。2つの蓄電素子13,14が、第1冷却伝導プレート部分16において、冷却伝導プレート15に直接コンタクトしている。この際、第1冷却伝導プレート部分16の範囲は、蓄電素子13,14の間に冷却伝導プレート15が配置されている範囲全てである。蓄電素子13,14は、特にリチウムイオンメモリセルとして、固有剛性のカバーを有さない平坦な構造方式("ジェリーロール型"又は"コーヒーバッグ型")で構成することができる。冷却伝導プレート15と蓄電素子13,14は、バッテリセル11のケーシング12の中に配置されている。ケーシング12は、片側に開口部27を有しており、この開口部27は、冷却伝導プレート15によって貫通されている。冷却伝導プレート15は、第2冷却伝導プレート部分17において、変形部19を有している。第2冷却伝導プレート部分17は、ケーシング12の中にあり、2つの蓄電素子13,14とはコンタクトしていない。この変形部19は、その他の箇所では平坦である冷却伝送プレート15の平面26から張り出しており、例えば波形を有することができる。第2冷却伝導プレート部分17の領域において、ケーシング12の開口部27は、注型材料23によって封止されている。この注型材料23は、例えばプラスチックからなる。第3冷却伝導プレート部分18において、冷却伝導プレート15は、打ち抜き部20を有する。打ち抜き部20は、両端が開いたスリーブ21の形状に形成されている。このスリーブ21によって、冷却伝導プレート15、ひいてはバッテリセル11全体が、冷却体24に固定されている。冷却体24は、冷却管、乃至、冷却管システムとして構成することができる。冷却体24は、冷却液の供給及び排出のための2つの接続箇所28,29を有する。接続箇所28及び29を介して、冷却体24を冷却液循環部(図示せず)に接続することができ、この冷却液循環部を介して、冷却液によって吸収された排熱をバッテリセルから排出することができる。
【0021】
図2は、本発明の別の実施例として、複数個の図1のバッテリセル11,11_1,11_2の概略斜視図を示す。第3冷却伝導プレート部分18において、冷却伝導プレート15は、打ち抜き部20を有する。打ち抜き部20は、両端が開いたスリーブ21の形状に形成されている。このスリーブ21によって、冷却伝導プレート15、ひいてはバッテリセル11全体が、冷却体24に固定されている。冷却体24は、冷却管、乃至、冷却管システムとして構成することができる。冷却体24は、冷却液の供給及び排出のための2つの接続箇所28,29を有する。接続箇所28及び29を介して、冷却体24は、冷却液循環部(図示せず)に接続することができ、この冷却液循環部を介して、冷却液によって吸収された排熱をバッテリセルから排出することができる。冷却体24により、これらのバッテリセルを互いに平行かつ次々に一列に配置することができる。これらのバッテリセルは、用途に応じて互いに並列及び/又は直列に接続することができる。冷却伝導プレート15と冷却体24とをこのような形式で接続することによって、バッテリセル11同士を互いに相対的に空間的に固定し、故障の場合には迅速に交換することが可能となる。
図1
図2