(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
媒体にトナー像を転写して前記媒体に画像を印刷する印刷部と、該印刷部に対して前記媒体を供給する媒体供給部と、該媒体供給部を制御する第一制御部と、前記印刷部を制御する第二制御部と、を備える電子写真方式のラベルプリンタであって、
前記印刷部は、
前記トナー像を前記媒体に転写する転写部と、
前記媒体に転写された前記トナー像を定着させる定着部と、を有し、
前記媒体供給部は、
前記媒体であるロール状の第一媒体を繰り出す繰り出しローラと、
前記第一媒体のうち、前記画像が印刷された部分を巻き取る巻き取りローラと、
前記繰り出しローラと前記巻き取りローラとの間に配置され、前記第一媒体を裁断するカッタと、
前記媒体である単票状の第二媒体を保持しながら該第二媒体を補給する補給機構と、
前記印刷部内で前記媒体を搬送し、前記媒体の搬送方向において前記転写部より下流側にあり、かつ、前記定着部より上流側にある搬送機構と、
前記搬送方向において前記転写部及び前記定着部との間での前記媒体のたるみ度合いを検出し、該たるみ度合いに応じた信号を出力する検出器と、を有し、
前記搬送機構は、
前記媒体の載置面が上向きとなった状態で該載置面が移動することで前記媒体を搬送する搬送機構本体と、
前記媒体を前記載置面に吸い付けるための吸気動作を行う吸気機構と、を有し、
前記第一制御部は、前記搬送機構による前記媒体の搬送モードを、前記繰り出しローラと前記巻き取りローラとの間に張架された前記第一媒体を搬送する第一モードと、前記補給機構から補給された前記第二媒体を搬送する第二モードと、前記繰り出しローラから繰り出された前記第一媒体を前記カッタにて裁断することで生成された前記第二媒体を搬送する第三モードと、の中から選択することが可能であり、
前記定着部に設けられた通過部を前記媒体が通過する際の通過速度は、可変であり、
前記第一制御部が前記第一モードを選択したとき、前記第二制御部は、前記たるみ度合いを予め設定された範囲内に調整するために、前記検出器からの出力信号に応じて前記通過速度を制御することを特徴とするラベルプリンタ。
前記第二制御部は、前記転写部に設けられた通過部を前記媒体が通過する際の通過速度を、前記印刷部が前記媒体に前記画像を印刷する間、一定の速度に維持させるように制御することを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載のラベルプリンタ。
前記媒体に過度のたるみが生じているとき、前記転写部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器は、前記レバーが倒伏状態にあることを示すオン信号を出力し、前記定着部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器は、前記レバーが起立状態にあることを示すオフ信号を出力し、
前記第二制御部は、前記転写部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器から前記オン信号を受信し、且つ、前記定着部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器から前記オフ信号を受信したときには、前記定着部に設けられた通過部を前記媒体が通過する際の前記通過速度を増加させることを特徴とする請求項6に記載のラベルプリンタ。
前記補給機構は、前記第二媒体が載せられるトレーを有し、該トレー上の前記第二媒体を前記トレーの前記印刷部に近い側の端から順次取り出して、前記印刷部内に向かうように送り出し、
前記トレーの前記印刷部とは反対側に位置する端は、上下方向において、前記トレーの前記印刷部に近い側の端と同じ位置又は当該端よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のラベルプリンタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、使用される媒体の種類など、印刷に関する条件が変化した場合には、これに伴って定着用のローラの外径が変化することがある。例えば、より厚みが大きい媒体を使用する場合には、より厚みが小さい媒体を使用する場合に比べて、定着用のローラの表面温度を上昇させることになる。ここで、定着用のローラの外径が熱膨張熱によって増加する際の増加量は、当然ながらローラの表面温度が高くなるほど大きくなる。この結果、より厚みが大きい媒体を使用する場合には、より厚みが小さい媒体を使用する場合に比べて、定着用のローラの周速が上昇することになる。
【0006】
一方、媒体としてロール状の媒体を使用するとき、繰り出しローラと巻き取りローラとの間に当該ロール状の媒体を張架し、繰り出しローラと巻き取りローラとの間においてトナー像の二次転写及び定着が行われる。すなわち、ロール状の媒体の各部分は、繰り出されてから巻き取られるまでの間に転写用の一対のローラによって挟み込まれ、その下流側において更に定着用の一対のローラによって挟み込まれる。このとき、印刷条件が変化することに伴って定着用のローラの周速が変化すると、ロール状の媒体のうち、一対のローラによって挟まれている2箇所の部分の間において、たるみが発生したり消滅したりする。
【0007】
上記のたるみについては、過度に生じてしまうと、紙詰まり(いわゆるジャム)の原因になってしまう。反対に、上記のたるみが消滅した状態、すなわち、ロール状の媒体が突っ張った状態で定着用のローラに引っ張られると、その上流側で行われるトナー像の転写に支障を来す虞がある。このため、ロール状の媒体のうち、トナー像が転写される部分以降で発生するたるみは、その度合いを安定させる必要がある。以上のようにロール状の媒体のうち、トナー像が転写される部分の下流側で発生するたるみの過不足は、ジャムや転写不良等の不具合を生じさせ、最終的に印刷される画像の品質に影響を及ぼすことになる。
【0008】
一方、特許文献2には、ロール紙を指定長に切断する上で切断位置の下流側にたるみを付け、当該たるみを適正量にて管理することが記載されている。しかし、特許文献2に記載の技術は、ロール状の媒体のうち、トナー像が転写される部分の下流側で発生するたるみを制御するものではなく、印刷画像の品質を向上させるための技術ではない。
【0009】
また、特許文献3には、繰り出しローラに巻き付けられたロール紙の残量が変化したときに発生するロール紙の休止不良を解消するためにロール紙にたるみを付け、当該たるみを適正量に制御することが記載されている。しかし、特許文献3に記載の技術は、インクジェット方式のラベルプリンタに関する技術であり、そもそもトナー像の転写不良を改善する等の目的のためにたるみの量を制御するものではない。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロール状の媒体に電子写真方式にて画像を印刷するラベルプリンタとして、ロール状の媒体を適切に供給して印刷画像の品質を向上させることが可能なラベルプリンタを提供することにある。
【0011】
また、ラベルプリンタに要求される仕様としては、ロール状の媒体に限らず、他の種類の媒体、例えばカット紙にも対応可能であることが望まれる。さらには、ロール状の媒体を所定長に裁断してカット紙を作成し、かかるカット紙に画像を印刷し得るように構成されていることが尚好ましい。そこで、本発明の他の目的は、媒体の供給方式として、ロール状の媒体をロール状のまま供給する方式、単票状の媒体を供給する方式、及び、ロール状の媒体をカットして単票状の媒体として供給する方式のいずれにも対応することが可能なラベルプリンタを提供することにある。
【0012】
さらに、ダイカットラベルのように連続した剥離紙に断片状の粘着媒体が貼り付けられている媒体を使用する場合、その搬送経路の途中で当該媒体が著しく屈曲してしまうと、粘着媒体がめくれてしまう虞がある。そこで、本発明の他の目的は、剥離紙と粘着媒体とからなる媒体を使用する場合、当該媒体を搬送している間に粘着媒体がめくれてしまうのを抑制することが可能なラベルプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、本発明のラベルプリンタによれば、媒体にトナー像を転写して前記媒体に画像を印刷する印刷部と、該印刷部に対して前記媒体を供給する媒体供給部と、該媒体供給部を制御する第一制御部と、前記印刷部を制御する第二制御部と、を備える電子写真方式のラベルプリンタであって、(A)前記印刷部は、(a1)前記トナー像を前記媒体に転写する転写部と、(a2)前記媒体に転写された前記トナー像を定着させる定着部と、を有し、(B)前記媒体供給部は、(b1)前記媒体であるロール状の第一媒体を繰り出す繰り出しローラと、(b2)前記第一媒体のうち、前記画像が印刷された部分を巻き取る巻き取りローラと、(b3)前記繰り出しローラと前記巻き取りローラとの間に配置され、前記第一媒体を裁断するカッタと、(b4)前記媒体である単票状の第二媒体を保持しながら該第二媒体を補給する補給機構と、(b5)前記印刷部内で前記媒体を搬送し、前記媒体の搬送方向において前記転写部より下流側にあり、かつ、前記定着部より上流側にある搬送機構と、(b6)前記搬送方向において前記転写部及び前記定着部との間での前記媒体のたるみ度合いを検出し、該たるみ度合いに応じた信号を出力する検出器と、を有し、(C)前記搬送機構は、(c1)前記媒体の載置面が上向きとなった状態で該載置面が移動することで前記媒体を搬送する搬送機構本体と、(c2)前記媒体を前記載置面に吸い付けるための吸気動作を行う吸気機構と、を有し、(D)前記第一制御部は、前記搬送機構による前記媒体の搬送モードを、前記繰り出しローラと前記巻き取りローラとの間に張架された前記第一媒体を搬送する第一モードと、前記補給機構から補給された前記第二媒体を搬送する第二モードと、前記繰り出しローラから繰り出された前記第一媒体を前記カッタにて裁断することで生成された前記第二媒体を搬送する第三モードと、の中から選択することが可能であり、(E)前記定着部に設けられた通過部を前記媒体が通過する際の通過速度は、可変であり、(F)前記第一制御部が前記第一モードを選択したとき、前記第二制御部は、前記たるみ度合いを予め設定された範囲内に調整するために、前記検出器からの出力信号に応じて前記通過速度を制御することにより解決される。
【0014】
上記の如く構成された本発明のラベルプリンタでは、ロール状の第一媒体に画像を印刷する際、転写部及び定着部の間での媒体のたるみ度合いを検出し、検出結果に応じて定着部における媒体の通過速度を調整する。これにより、媒体の種類など、印刷条件が変化したとしても、上記のたるみ度合いを適正量に調整することが可能となる。この結果、たるみの過不足によって生じる不具合(例えば、ジャムや転写不良)を回避し、以て、印刷画像の品質を向上させることが可能となる。さらに、本発明のラベルプリンタでは、ロール状の媒体をロール状のまま搬送するモード、単票状の媒体を搬送するモード、及び、ロール状の媒体をカットして単票状の媒体として搬送するモードの中から搬送モードを選択する。これにより、媒体の供給方法についてバリエーションが増え、汎用性の高いラベルプリンタを提供することが可能となる。
【0015】
また、上記のラベルプリンタにおいて、前記載置面は、前記搬送方向の下流側端が上流側端よりも上方に位置するように傾斜しており、前記載置面のうち、前記搬送方向の上流側端部は、前記転写部に設けられた前記媒体の通過部よりも下方に位置し、前記載置面のうち、前記搬送方向の下流側端部は、前記定着部に設けられた前記通過部に向かって延びていると、好適である。
上記の構成では、搬送機構が有する載置面のうち、搬送方向の上流側端部が転写部に設けられた媒体の通過部よりも下方に位置している。これにより、ローラ状の媒体のうち、トナー像が転写される部分から載置面において搬送方向上流側の端に載置される部分の間で、たるみが生じるようになる。一方、載置面のうち、搬送方向の下流側端部が定着部に設けられた媒体の通過部に向かって延びている。これにより、単票状の媒体を使用している場合には、当該媒体の搬送方向下流側端部が載置面から離れた後に定着部内にスムーズに入り込むようになり、かかる位置でのジャムの発生を抑制することが可能となる。
【0016】
また、上記のラベルプリンタにおいて、前記第二制御部は、前記転写部に設けられた通過部を前記媒体が通過する際の通過速度を、前記印刷部が前記媒体に前記画像を印刷する間、一定の速度に維持させるように制御すると、より好適である。
上記の構成では、本発明の効果がより有意義なものとなる。具体的に説明すると、画像印刷中、転写部に設けられた通過部を媒体が通過する際の通過速度、換言すると、媒体にトナー像が転写される際の速度(転写速度)が一定の速度で保持される。これに対し、定着部に設けられた通過部を媒体が通過する際の速度は、例えば定着ローラの外径の変化等に起因して変化する。このとき、定着部に設けられた通過部を媒体が通過する際の通過速度が過度に上昇してしまうと、媒体のたるみ度合いが減少することになる。ここで、仮にたるみが完全に消滅してしまうと、媒体が定着部側に引っ張られて突っ張ることになり、結果として上流側でトナー像が適切に転写されない可能性がある。一方、本発明のラベルプリンタでは、たるみ度合いの変化を検出器により検出し、検出結果に応じて定着部に設けられた通過部を媒体が通過する際の通過速度を調整するので、上記たるみ度合いを一定に保持することが可能となる。つまり、ロール状の媒体中、たるみが生じている部分よりも上流側ではトナー像の転写のために媒体の送り速度が一定となっているので、たるみ度合いが生じている部分よりも下流側で媒体の送り速度を変えることにより、たるみ度合いを適切に調整することが可能となる。
【0017】
また、上記のラベルプリンタにおいて、前記印刷部は、互いに色が異なる前記トナー像を形成する複数のトナー像形成ユニットと、該複数のトナー像形成ユニットが形成した色別の前記トナー像が順次転写され、色別の前記トナー像を重ね合せることで形成されるカラートナー像を担持しながら回転する無端状の中間転写ベルトと、を有し、前記複数のトナー像形成ユニットは、上下方向に並べて配置されており、前記カラートナー像は、前記中間転写ベルトのうち、前記カラートナー像が担持された部分が、前記転写部に設けられた通過部を前記媒体とともに通過する際に前記媒体に転写されると、より一層好適である。
上記の構成では、媒体の搬送経路中の一カ所でカラートナー像の転写が一括して行われるので、媒体の搬送経路中の複数箇所で各色のトナー像の転写を個別に行う構成に比較して、媒体にたるみを付け易くなる(厳密には、たるみを設けるスペースを確保し易くなる)。さらに、連続した剥離紙と剥離紙に貼り付けられた断片状の粘着媒体からなる媒体を使用する場合、トナー像の転写が行われる箇所が少ないほど粘着媒体のめくれが起こり難くなる。
【0018】
また、上記のラベルプリンタにおいて、前記検出器は、前記搬送方向において互いに異なる位置に複数設けられ、一つの前記検出器は、前記転写部及び前記定着部のうち、前記転写部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合い検出し、他の前記検出器は、前記転写部及び前記定着部のうち、前記定着部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出すると、尚一層好適である。
上記の構成では、転写部により近い側、及び、定着部により近い側で、それぞれ媒体のたるみ度合いを検出するので、当該たるみ度合いの過不足を適切に把握することが可能となる。
【0019】
また、上記のラベルプリンタにおいて、複数の前記検出器の各々は、前記たるみ度合いに応じて起伏するレバーを備えており、該レバーの起伏状態を示す信号を前記たるみ度合いに応じた信号として出力し、前記媒体がたるみ無く張られているとき、前記転写部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器は、前記レバーが起立状態にあることを示すオフ信号を出力し、前記定着部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器は、前記レバーが倒伏状態にあることを示すオン信号を出力し、前記第二制御部は、前記転写部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器から前記オフ信号を受信し、且つ、前記定着部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器から前記オン信号を受信したときには、前記定着部に設けられた通過部を前記媒体が通過する際の前記通過速度を減少させると、一段と好適である。
上記の構成によれば、各検出器からのオン/オフ信号を受信し、その受信パターン(各検出器からオン信号及びオフ信号のいずれを受信したか)に応じて、定着部に設けられた通過部を前記媒体が通過する際の通過速度を制御する。特に、転写部及び定着部の間における媒体のたるみ度合いが過度に小さくなったときには、定着部に設けられた通過部を媒体が通過する際の通過速度を減少させて、正常なたるみ度合いとなるように調整することが可能となる。
【0020】
また、上記のラベルプリンタにおいて、前記媒体に過度のたるみが生じているとき、前記転写部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器は、前記レバーが倒伏状態にあることを示すオン信号を出力し、前記定着部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器は、前記レバーが起立状態にあることを示すオフ信号を出力し、前記第二制御部は、前記転写部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器から前記オン信号を受信し、且つ、前記定着部により近い側での前記媒体の前記たるみ度合いを検出する前記検出器から前記オフ信号を受信したときには、前記定着部に設けられた通過部を前記媒体が通過する際の前記通過速度を増加させると、尚更好適である。
上記の構成によれば、転写部及び定着部の間における媒体のたるみ度合いが過度に大きくなったときには、定着部に設けられた通過部を媒体が通過する際の通過速度を増加させて、正常なたるみ度合いとなるように調整することが可能となる。この結果、上記の構成によれば、転写部及び定着部の間における媒体のたるみ度合いを過不足なく調整することが可能となる。
【0021】
また、上記のラベルプリンタにおいて、前記補給機構は、前記第二媒体が載せられるトレーを有し、該トレー上の前記第二媒体を前記トレーの前記印刷部に近い側の端から順次取り出して、前記印刷部内に向かうように送り出し、前記トレーの前記印刷部とは反対側に位置する端は、上下方向において、前記トレーの前記印刷部に近い側の端と同じ位置又は当該端よりも上方に位置していてもよい。
【0022】
また、上記のラベルプリンタにおいて、前記第三モードにおいて前記第一媒体を前記カッタにて裁断することで生成される前記第二媒体の、前記搬送方向に沿う長さは、可変であり、前記第一制御部が前記第三モードを選択して生成される前記第二媒体の、前記搬送方向に沿う長さが、前記転写部に設けられた前記媒体の通過部と前記定着部に設けられた前記媒体の通過部との間の距離以上であるとき、前記第二制御部は、前記たるみ度合いを予め設定された範囲内に調整するために、前記検出器からの出力信号に応じて、前記定着部に設けられた通過部を前記第二媒体が通過する際の通過速度を制御すると、一段と好適である。
上記の構成では、ロール状の媒体と同様、比較的に長い第二媒体に画像を印刷する場合にも、転写部及び定着部の間での媒体のたるみ度合いを検出し、検出結果に応じて定着部における媒体の通過速度を調整する。つまり、上記の構成によれば、第三モードの実行下で比較的に長い第二媒体に画像を印刷する場合において、たるみ度合いを適正量に調整してたるみの過不足によって生じる不具合を回避し、以て、印刷画像の品質を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のラベルプリンタによれば、ロール状の媒体に画像を印刷する際、当該媒体の種類を問わず、トナー像が転写される部分よりも下流側で上記の媒体中にたるみを過不足なく付けることが可能となる。これにより、たるみの過不足によって生じるジャムや転写不良等の不具合を回避し、以て、印刷画像の品質を向上させることが可能となる。
また、本発明のラベルプリンタによれば、ロール状の媒体をロール状のまま搬送するモード、単票状の媒体を搬送するモード、及び、ロール状の媒体をカットして単票状の媒体として搬送するモードの中から搬送モードを選択し、媒体の供給方法についてのバリエーションが増える。
さらに、本発明のラベルプリンタによれば、連続した剥離紙と剥離紙に貼り付けられた断片状の粘着媒体からなる媒体を使用する場合に当該粘着媒体のめくれが起こり難くなる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<<本発明の一実施形態に係るラベルプリンタの基本構成>>
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)に係るラベルプリンタについて、
図1乃至3を参照しながら、基本構成について概説する。各図では矢印にて鉛直方向が示されており、また、
図2では、二点鎖線にて媒体の搬送経路が示されている。なお、
図2中、トナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kのうち、マゼンタ用のトナー像形成ユニット20M以外のユニットについては、幾分簡略化して図示している。
【0026】
本実施形態に係るラベルプリンタ(以下、本プリンタ1)は、電子写真方式で媒体に画像、厳密にはYMCK4色のカラー画像を印刷するラベルプリンタである。ここで、本実施形態において、媒体とは、剥離紙及び粘着媒体によって構成されたラベル紙を意味する。ただし、媒体については、特にラベル紙に限定されるものではなく、通常の用紙(薄用紙)やフィルム、OHPシートあるいは厚紙など、電子写真方式により画像が印刷可能な媒体であれば制限なく利用可能である。また、以下の説明中、「単票」とは、裁断されて単一のシートをなしている状態を意味し、規格等で定められた定型の用紙サイズを当然含む一方で、切り離されている限りにおいては任意のサイズであってもよい。
【0027】
本プリンタ1は、
図1に示す外観を呈しており、プリンタユニット2と紙送りユニット3とを有している。これらのユニット2、3は、ベース架台4に対して着脱自在と組み付けられており、
図1に示すように、紙送りユニット3のうち、給紙用の機構と排紙用の機構との間にプリンタユニット2が挟まれた状態で配置されている。
【0028】
プリンタユニット2は、印刷部に相当し、媒体にYMCK4色のカラートナー像を転写して当該媒体にカラー画像を印刷するものである。プリンタユニット2の基本構成は、一般的な電子写真方式のプリンタ(すなわち、レーザープリンタ)と略同様の構成となっている。具体的に説明すると、プリンタユニット2は、無端状の中間転写ベルト21を有し、中間転写ベルト21の周方向に沿ってトナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20K、一次転写ローラ22、二次転写ローラ23、対向ローラ24及びベルトクリーナ25が配置されている。また、プリンタユニット2の排紙口付近には一対の定着ローラ26、27が配置されている。
【0029】
トナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、色別に設けられており、その構成について説明すると、
図3に示す通り、トナーカートリッジ41から供給された各色のトナーがハウジング42内に収容され、ハウジング42内ではスポンジ等からなる供給ローラ43がその外周面にトナーを担持しながら現像ローラ44の外周面に当接する。これにより、現像ローラ44の外周面にはトナーが付着してトナー層が形成されるようになる。なお、上記のトナー層の層厚については、回転状態にある現像ローラ44の外周面に規制ブレード45が当接することによって一定の厚みに規制される。
【0030】
また、ハウジング42に形成された開口と対向する位置には感光ドラム46が配置されている。そして、感光ドラム46が帯電器47によって帯電した状態で不図示の露光装置が感光ドラム46の外周面にレーザを照射することで、感光ドラム46の外周面上に潜像が形成される。一方、現像ローラ44の外周面は、ハウジング42に形成された開口に臨んでおり、感光ドラム46の外周面と対向する。ここで、現像ローラ44の外周面で層をなすトナーは、現像ローラ44に印加された一定の現像バイアス電圧によって現像ローラ44と感光ドラム46との間に電界が形成されることで感光ドラム46の外周面に向かって移動する。この結果、感光ドラム46に形成された潜像がトナーによって現像され、感光ドラム46の外周面上にトナー像が形成されるようになる。
【0031】
そして、上記のトナー像は、感光ドラム46と一次転写ローラ22との間に中間転写ベルト21を挟み込む位置(一次転写位置)にて中間転写ベルト21に転写される。なお、トナー像が感光ドラム46から中間転写ベルト21に転写された後、感光ドラム46は、感光ドラムクリーナ48によって残留トナーが払拭され、さらに除電器49によって除電されて次の潜像形成に備えるようになる。
【0032】
以上の処理が各色のトナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20K毎に順次行われることで、YMCK各色のトナー像が中間転写ベルト21に重なり合って転写される。中間転写ベルト21は、一次転写ローラ22、二次転写ローラ23、対向ローラ24とともに転写部を構成しており、その外表面にカラートナー像を担持した状態で回転する。
【0033】
中間転写ベルト21の回転によってカラートナー像が二次転写位置に至ると、その時点で二次転写位置を通過する媒体に転写される。二次転写位置とは、上下に並ぶ二次転写ローラ23及び対向ローラ24の間に挟み込まれる位置である。また、二次転写位置に相当するスペース、すなわち、二次転写ローラ23及び対向ローラ24の間に形成されたニップ部分(媒体をローラ間で挟み込む部分)が、転写部に設けられた通過部に相当する。
【0034】
二次転写について説明すると、本実施形態では、媒体が二次転写位置を通過するときに、二次転写ローラ23と対向ローラ24との間に形成された電界によってカラートナー像が中間転写ベルト21から媒体に転写されるようになる。なお、中間転写ベルト21のうち、二次転写位置を通過した部分は、その後にベルトクリーナ25との当接位置に至ると、表面に付着した残存トナーを掻き落とされて、次の転写(二次転写)に備えるようになる。
【0035】
カラートナー像が転写された媒体は、上下に並ぶ一対の定着ローラ26、27の間に向かって移動し、定着ローラ26、27の間を通過する際に定着ローラ26、27によって挟み込まれる。ここで、一方の定着ローラ26(以下、ヒートローラ26)は、その外周面が所定温度(高温)となるように加熱された状態で媒体と当接する。したがって、媒体が定着ローラ26、27によって挟み込まれることにより、当該媒体に転写されたカラートナー像が加熱加圧されて媒体に融着される。
【0036】
以上のように、本実施形態では、上下に並ぶ一対の定着ローラ26、27が定着部を構成し、換言すると、定着ローラ26、27の間に挟み込まれる位置が定着位置に該当する。また、定着位置に相当するスペース、すなわち、定着ローラ26、27の間に形成されたニップ部分(媒体をローラ間で挟み込む部分)が、定着部に設けられた通過部に相当する。
【0037】
そして、カラートナー像が融着された媒体、すなわち、カラー画像が印刷された媒体は、最終的にプリンタユニット2のケーシング2Aに形成された排出口を通じてユニットの外に排出される。
【0038】
ちなみに、本実施形態では、
図2に示すように、中間転写ベルト21が上下方向に沿って拡がるように配置されている。色別のトナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、上下方向に並んで配置されており、具体的には、中間転写ベルト21のうち、上下方向に延出している部分に沿って配置されている。
【0039】
また、本実施形態では、二次転写位置が中間転写ベルト21の下端部が通過する位置に設定されている。具体的に説明すると、二次転写ローラ23は、中間転写ベルト21の下端部の外側に位置し、下方から当該下端部に当接している。対向ローラ24は、中間転写ベルト21の下端部を挟んで二次転写ローラ23とは反対側、すなわち、中間転写ベルト21の下端部の内側に位置し、上方から当該下端部に当接している。
【0040】
さらに、本実施形態では、プリンタユニット2が画像を印刷している間、中間転写ベルト21、一次転写ローラ22、二次転写ローラ23及び対向ローラ24は、互いに同期しながら常に一定の速度(周速)にて回転することになっている。つまり、媒体が二次転写位置を通過する際の通過速度(転写部に設けられた通過部を媒体が通過する際の通過速度に相当)については、画像印刷中、一定となるように制御されることになっている。
【0041】
これに対し、一対の定着ローラ26、27のうちの一方、具体的には加熱されるヒートローラ26は、その回転速度が可変となっている。これにより、媒体が定着位置を通過する際の通過速度(定着部に設けられた通過部を媒体が通過する際の通過速度に相当)については、調整可能となり、必要に応じて増減することになっている。
【0042】
なお、本実施形態では、ヒートローラ26が駆動ローラとなっており、もう一方の定着ローラ27(以下、バックアップローラ27)がヒートローラ26の回転に追従する従動ローラとなっている。ただし、これに限定されるものではなく、バックアップローラ27についても駆動ローラとなっていてもよく、かかる場合には、ヒートローラ26と同様に回転速度が可変となっていることが望ましい。
【0043】
また、本実施形態では、二次転写ローラ23及び対向ローラ24が、中間転写ベルト21の駆動に従動する従動ローラとなっている。ただし、これに限定されるものではなく、2つのローラのうちの一方(例えば二次転写ローラ23)が自立回転し、これに追従する形でもう一方(例えば対向ローラ24)が回転することとしてもよい。
【0044】
次に、紙送りユニット3の構成について
図2を参照しながら説明する。
紙送りユニット3は、給紙側の機構と排紙側の機構とを有し、前者には、アンワインダ31、ロールフィーダ32、カッタユニット33及びカット紙フィーダ34が含まれている。後者には、リワインダ35が含まれている。
【0045】
アンワインダ31は、繰り出しローラに相当し、ロール状のラベル紙(第一媒体に相当)を繰り出すものである。アンワインダ31から繰り出されたラベル紙は、適宜テンションローラに架けられてロールフィーダ32に導き入れられる。このロールフィーダ32は、ラベル紙を水平搬送するものであり、複数組の搬送ローラ32A、32B、32Cによって構成されている。なお、水平搬送とは、ラベル紙の表面が水平面となるように(厳密にはラベル紙のうち、剥離紙に貼り付けられている粘着媒体の面が上向きとなるように)当該ラベル紙を搬送することを意味する。
【0046】
カッタユニット33は、カッタに相当し、ロールフィーダ32がロール状のラベル紙を水平搬送する際の搬送経路中に設けられており、ラベル紙を裁断するものである。裁断されたラベル紙は、単票紙(第二媒体に相当)としてプリンタユニット2内に投入される。そして、プリンタユニット2内では、通常のカット紙の場合と同様の手順にて、単票紙状のラベル紙に画像が印刷されるようになる。
【0047】
なお、本実施形態に係るカッタユニット33は、ロータリカッタであり、裁断刃を有する一対のローラがラベル紙を挟み込むことによりラベル紙を裁断する。ただし、カッタユニット33についてはロータリカッタに限定されるものではなく、ギロチンカッタであってもよい。
【0048】
リワインダ35は、巻き取りローラに相当し、連続した状態のラベル紙を巻き取るものである。
【0049】
カット紙フィーダ34は、補給機構に相当し、単票状の媒体(第二媒体に相当)であるカット紙を連続的に補給(給紙)するものである。具体的に説明すると、カット紙フィーダ34は、
図2に示すように、単票状の媒体(第二媒体に相当)であるカット紙を保持するトレー34aと、回転ローラからなる送り出しローラ34bとを有する。トレー34aは、その長手方向一端がプリンタユニット2(具体的にはプリンタユニット2の給紙口)に向けられた状態で配置されている。また、トレー34a上にはカット紙が層状に積み重なった状態で載せられている。
【0050】
そして、トレー34a上に積み重なったカット紙のうち、最上段のカット紙に対して、回転状態の送り出しローラ34bが摺接することにより、当該最上段のカット紙が取り出され、トレー34aの長手方向一端(プリンタユニット2に近い側の端に相当)からプリンタユニット2内に向けて送り出される。プリンタユニット2内に進入したカット紙は、二次転写ローラ23及び対向ローラ24の間に挟み込まれる位置、すなわち二次転写位置に向かってユニット内を移動するようになる。以上の動作が順次行われることにより、トレー34a上のカット紙がトレー34aの長手方向一端から順次補給され、各カット紙が二次転写位置に向かってプリンタユニット2内を移動するようになる。
【0051】
なお、本実施形態において、カット紙フィーダ34は、上下方向においてロールフィーダ32の上方に配置されており、また、トレー34aは、水平方向に対して傾いた状態で配置されている。より具体的に説明すると、本実施形態において、トレー34aは、その長手方向一端よりも長手方向他端(プリンタユニット2とは反対側に位置する端に相当)が上方に位置するように配置されている。このようにトレー34aが配置されることにより、トレー34aからカット紙を補給する際の方向(給紙方向)がロールフィーダ32によるロール紙の搬送方向(すなわち、水平方向)に対して所定の傾斜角度にて傾斜するようになる。
【0052】
本実施形態では、上記の通り、カット紙フィーダ34が上下方向においてロールフィーダ32の上方に配置されており、さらに、トレー34aが水平方向に対して傾斜した状態で設けられている。一般的なラベルプリンタでは、カット紙フィーダ34に相当する機構がプリンタの下部に配置されることが多いため、カット紙が下から上に向かってプリンタ内を移動するようになる。これに対して、本実施形態では、上記の構成によりカット紙がスムーズにプリンタユニット2内に進入し、ユニット内に進入した後には略水平方向にユニット内を移動するようになる。これにより、カット紙の供給及び搬送が円滑に行われ、結果として、印刷物の作成に係る一連の処理が迅速に行われるようになる。
【0053】
なお、トレー34aの配置については、給紙方向が水平方向に対して傾斜するように配置することに限定されるものではなく、給紙方向が水平方向に沿うように、換言すると、トレー34aの長手方向一端と長手方向他端とが上下方向において同じ位置にあるように配置されていることとしてもよい。
【0054】
さらに、紙送りユニット3は、プリンタユニット2内における搬送経路に沿って媒体を搬送する機構を備えている。かかる機構について説明すると、紙送りユニット3は、搬送方向上流側から、一対の給紙ローラ53、搬送機構50及び一対の排紙ローラ54を備えている。一対の給紙ローラ53は、プリンタユニット2内に進入した媒体を挟み込みながら回転することにより、二次転写ローラ23及び対向ローラ24の間に挟み込まれる位置、すなわち二次転写位置に向けて媒体を搬送するものである。
【0055】
搬送機構50は、搬送方向において二次転写位置より下流側にあり、かつ、定着ローラ26、27の間に挟み込まれる位置、すなわち定着位置に配置されている。本実施形態において、搬送機構50は、
図2に示すように、無端状の搬送ベルト51と、搬送ベルト51に設置された吸気機構52とを有する。
【0056】
搬送ベルト51は、搬送機構本体に相当し、メッシュ状の帯体によって構成されており、水平方向に沿って拡がるように配置されている。また、搬送ベルト51の上面は、媒体の載置面となっている。そして、搬送ベルト51は、その上面が上向きとなった状態で回転することにより、載置面に載置された媒体を定着位置に向けて水平搬送する。吸気機構52は、搬送ベルト51の内側空間の気圧を減圧するものである。この吸気機構52の吸気動作により、媒体は、メッシュ状の載置面に吸い付けられるようになる。
【0057】
以上のような構成の搬送機構50により、二次転写位置を通過した媒体(媒体の一部分)は、搬送ベルト51の上面である載置面上に載せられ、載置面上に吸い付けられる。その後、媒体は、搬送ベルト51の回転に伴って搬送方向下流側へ移動し、媒体のうち、搬送ベルト51の搬送方向下流側の端部に到達した部分は、定着位置、すなわち、一対の定着ローラ26、27の間(厳密には、ローラ間のニップ部)に向かい、その後、定着位置を通過するようになる。なお、本実施形態では、二次転写位置に相当する二次転写ローラ23及び対向ローラ24の間に形成されるニップ部が、上下方向において、一対の定着ローラ26、27の間に形成されるニップ部と略同じ位置にある。
【0058】
一対の排紙ローラ54は、定着位置を通過した媒体を挟み込みながら回転することにより、プリンタユニット2のケーシング2Aに形成された排出口を通じて媒体をユニットの外に排出するものである。
【0059】
上述した一対の給紙ローラ53、搬送機構50及び一対の排紙ローラ54が設けられていることにより、各種の媒体は、プリンタユニット2内に進入した時点からユニット外に排出される時点までの略全期間に亘って水平搬送されることになっている。このようにプリンタユニット2内で媒体を水平搬送することにより、本実施形態では媒体の供給及び搬送がより円滑に行われ、結果として、印刷物の作成に係る一連の処理が迅速に行われるようになる。また、プリンタユニット2内での媒体の搬送経路が上下に蛇行していないので、媒体が上下方向に蛇行した際に生じ得る粘着媒体のめくれを回避することも可能となる。
【0060】
より具体的に説明すると、例えば
図4の(A)のようなラベル紙、すなわち、ダイカットラベルS1を媒体として使用することが考えられる。ダイカットラベルS1は、連続した剥離紙Sbと、剥離紙Sb上に一定間隔毎に貼り付けられた断片状の粘着媒体Sfとを有する。このダイカットラベルS1は、
図4の(B)に示すように、搬送方向の切り替えポイント(例えば、テンションローラ等によって搬送方向が水平方向から鉛直方向に切り換わる地点)を通過する際に著しく屈曲する場合がある。かかる場合には、同図に示すように粘着媒体Sfの端部(搬送方向下流側の端部)が剥離紙Sbからめくれ上がってしまう虞がある。
【0061】
これに対して、本実施形態では、プリンタユニット2内での搬送経路が、その全区間に亘って略水平に延出しているため、上記のダイカットラベルS1であっても顕著な屈曲を生じることなく搬送することが可能である。つまり、本実施形態においてダイカットラベルS1を媒体として使用する場合には、粘着媒体Sfのめくれを抑えつつ当該ダイカットラベルS1を適切に搬送することが可能である。
【0062】
<<本実施形態に係るラベルプリンタの制御系統について>>
次に、本プリンタ1の制御系統について
図5を参照しながら説明する。本プリンタ1は、
図5に示すように、プリンタユニット2を制御するプリンタユニットコントローラ71と、紙送りユニット3を制御する紙送りユニットコントローラ72と、を備える。紙送りユニットコントローラ72は、第一制御部に相当し、プリンタユニットコントローラ71は、第二制御部に相当する。
【0063】
なお、以降では、アンワインダ31から繰り出されるロール状のラベル紙(第一媒体)が前述のダイカットラベルS1であるケースを想定して説明することとする。ただし、ダイカットラベルS1は、あくまでもロール状のラベル紙の一例であり、他のロール状のラベル紙が用いられるケースにおいても本発明が適用可能である。
【0064】
プリンタユニットコントローラ71は、プリンタユニット2各部を制御する。具体的に説明すると、プリンタユニットコントローラ71は、不図示のホストコンピュータから画像印刷データを受信すると、トナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kを駆動し、上記の画像印刷データに基づく指令に応じて各色のトナー像を形成させる。
【0065】
また、プリンタユニットコントローラ71は、中間転写ベルト21、一次転写ローラ22、二次転写ローラ23及び対向ローラ24を回転させ、カラートナー像の形成及び媒体への転写を実行する。このとき、プリンタユニットコントローラ71は、中間転写ベルト21、一次転写ローラ22、二次転写ローラ23及び対向ローラ24の各々を同期させ、一定の周速となるように回転速度を制御する。これにより、プリンタユニット2にて画像を媒体に印刷する間、媒体が二次転写位置を通過する際の通過速度は、常に一定の速度にて維持される。
【0066】
さらに、プリンタユニットコントローラ71は、定着ローラ26、27のうち、ヒートローラ26の昇温を開始し、昇温開始から所定時間を経過した時点でヒートローラ26を回転させる。これに伴ってバックアップローラ27が従動して回転するようになる。これにより、印刷画像の媒体への定着が実行されるようになる。
【0067】
なお、本実施形態では、上述したようにヒートローラ26の回転速度が可変となっている。プリンタユニットコントローラ71は、プリンタユニット2にて画像を媒体に印刷する間、プリンタユニット2内の状況、特にヒートローラ26の温度や媒体の種類等に応じて適宜ヒートローラ26の回転速度を変更する。これにより、媒体が定着位置を通過する際の通過速度は、必要に応じて増減するようになる。
【0068】
紙送りユニットコントローラ72は、プリンタユニットコントローラ71と通信可能に接続されている。具体的に説明すると、プリンタユニットコントローラ71は、画像印刷データを受信すると、プリンタユニット2各部を制御するとともに、紙送りユニットコントローラ72と通信する。これをトリガーとして、紙送りユニットコントローラ72は、紙送りユニット3各部を制御して給紙動作を開始する。
【0069】
ところで、本実施形態では3つの給紙モードが用意されており、紙送りユニットコントローラ72は、3つの給紙モードの中から一つのモードを選択し、選択されたモードに対応する方式にて媒体をプリンタユニット2に供給する。給紙モードとは、搬送モードに相当し、プリンタユニット2に供給される媒体、換言すると、プリンタユニット2内で搬送機構50が搬送する媒体の種類別に設定されている。以下、給紙モードについて
図10A、10B及び10Cを参照しながら説明する。
【0070】
3つの給紙モードのうち、第一給紙モード(第一モードに相当)は、
図10Aに示すようにダイカットラベルS1をアンワインダ31とリワインダ35との間に張架した状態で搬送するモードである。第一給紙モードを選択したとき、紙送りユニットコントローラ72は、アンワインダ31、ロールフィーダ32及びリワインダ35のそれぞれを一定の周速で回転駆動する。これにより、一定の供給速度にてダイカットラベルS1がプリンタユニット2内に供給され、一定の排出速度にてダイカットラベルS1中、印刷された部分がプリンタユニット2外に排出される。
【0071】
一方、第一給紙モードにおいて、紙送りユニットコントローラ72は、搬送ベルト51及び吸気機構52を駆動する。これにより、ダイカットラベルS1のうち、二次転写位置を通過した部分が搬送ベルト51の上面に吸い付けられた状態で水平搬送され、定着位置に向かってプリンタユニット2内を移動するようになる。
【0072】
3つの給紙モードのうち、第二給紙モード(第二モードに相当)は、
図10Bに示すように、カット紙フィーダ34のトレー34a上に積まれた単票状のカット紙S2を給紙して搬送するモードである。第二給紙モードを選択したとき、紙送りユニットコントローラ72は、送り出しローラ34bを回転させながらトレー34a上のカット紙S2に摺接させる。これにより、トレー34a上のカット紙S2が順次トレー34aの長手方向一端、すなわちプリンタユニット2に近い側の端から取り出される。結果として、ユーザにより指定された枚数のカット紙S2が、一定の供給速度にてトレー34aからプリンタユニット2内へ連続給紙されるようになる。
【0073】
また、第二給紙モードにおいても、第一給紙モードと同様、紙送りユニットコントローラ72が搬送ベルト51及び吸気機構52を駆動する。これにより、二次転写位置を通過したカット紙S2が搬送ベルト51の上面に吸い付けられた状態で水平搬送され、定着位置に向かってプリンタユニット2内を移動するようになる。最終的にカット紙S2は、定着位置を通過した後、排紙ローラ54によってプリンタユニット2の外に排出され、不図示の回収トレーに回収される。なお、第二給紙モードにおいてカット紙フィーダ34から供給されるカット紙S2は、その長手方向が搬送方向に沿った状態で搬送される。
【0074】
3つの給紙モードのうち、第三給紙モード(第三モードに相当)は、
図10Cに示すように、アンワインダ31から繰り出されたダイカットラベルS1をカッタユニット33にて裁断することで所定長のカット紙S2を生成し、生成した当該カット紙S2を搬送するモードである。第三給紙モードを選択したとき、紙送りユニットコントローラ72は、アンワインダ31、ロールフィーダ32及びカッタユニット33を駆動する。これにより、アンワインダ31から繰り出されたダイカットラベルS1は、カッタユニット33を通過する際に所定長(具体的には、粘着媒体Sfが所定個数含まれる長さ)となるように裁断される。ダイカットラベルS1から裁断されて分離した単票紙、すなわち、カット紙S2は、引き続きロールフィーダ32によって搬送方向下流側に移動し、やがてプリントユニット2内に進入するようになる。
【0075】
第三給紙モードのうち、以降の流れについては第二給紙モードと同様である。つまり、紙送りユニットコントローラ72が搬送ベルト51及び吸気機構52を駆動することにより、二次転写位置を通過したカット紙S2が搬送ベルト51の上面に吸い付けられた状態で水平搬送され、定着位置に向かってプリンタユニット2内を移動するようになる。最終的にカット紙S2は、定着位置を通過した後、排紙ローラ54によってプリンタユニット2の外に排出され、不図示の回収トレーに回収される。
【0076】
また、第三給紙モードの実行中、紙送りユニットコントローラ72がカッタユニット33による裁断のタイミングをコントロールすることで、生成されるカット紙S2の長さが調整される。すなわち、第三給紙モードにおいてロール状のラベル紙をカッタユニット33にて裁断することで生成されるカット紙S2の長さ(厳密には、カット紙S2が搬送状態にあるときの、搬送方向に沿う長さ)については可変となっている。したがって、第三給紙モードを選択して生成されるカット紙S2の長さを、例えば、通常のカット紙S2(具体的には、カット紙フィーダ34から供給されるカット紙S2)の長さよりも長くなるように設定することが可能である。
【0077】
以上のように本プリンタ1では、3種類の給紙モードの中から一つの給紙モードを選択することが可能となっている。つまり、本プリンタ1の構成は、媒体の供給方法についてのバリエーションが比較的多い点で有用であり、汎用性の高いラベルプリンタを実現するものである。
【0078】
<<本実施形態に係るラベルプリンタの特徴的構成とその有効性について>>
次に、本プリンタ1の特徴的構成とその有効性について説明する。
本プリンタ1では第一給紙モードが選択されると、ロール状のダイカットラベルS1が媒体としてプリンタユニット2内に供給される。また、ダイカットラベルS1中、画像が印刷された部分(厳密には、カラートナー像が定着している部分)は、ロール状のままリワインダ35によって回収される。このように第一給紙モードでは、アンワインダ31とリワインダ35との間にダイカットラベルS1を張架した状態で同ダイカットラベルS1に対してカラートナー像の転写(二次転写)及び定着が行われる。すなわち、ダイカットラベルS1の各部分は、繰り出されてから巻き取られるまでの間に二次転写用の一対のローラ(具体的には二次転写ローラ23及び対向ローラ24)によって挟み込まれ、その下流側において更に一対の定着ローラ26、27によって挟み込まれる。
【0079】
ここで、使用するダイカットラベルS1の厚みや種類(材質)等が変わると、定着ローラ26、27のうちの一方、すなわちヒートローラ26の加熱温度が変化し、さらに加熱温度の変化に伴ってヒートローラ26の外径が変化する。この結果、ヒートローラ26を常に同一の回転速度にて回転させたとしても、上記のように外径が変化するのでヒートローラ26の周速が変化することになる。
【0080】
一方、中間転写ベルト21、二次転写ローラ23及び対向ローラ24のそれぞれは、画像印刷処理中、互いに同期しながら常に同じ周速にて回転することになっている。これは、中間転写ベルト21に担持されたカラートナー像を媒体に対して正常に転写する上で、転写速度を安定させる必要があるためである。このように中間転写ベルト21、二次転写ローラ23及び対向ローラ24の周速が一定である反面でヒートローラ26の周速が上記の如く変化してしまうと、ダイカットラベルS1のうち、二次転写位置及び定着位置の間の部分において、たるみが発生したり消滅したりする。
【0081】
具体的に説明すると、ヒートローラ26の外径が大きくなって同ローラの周速が増加すると、ダイカットラベルS1のうち、二次転写位置及び定着位置の間の部分でのたるみ度合いが減少することになる。ここで、仮にたるみが完全に消滅してしまうと、ダイカットラベルS1が定着位置に向かって引っ張られて突っ張った姿勢となり、結果としてカラートナー像が正常に転写されなくなる虞がある。
【0082】
一方、ヒートローラ26の外径が小さくなって同ローラの周速が減少すると、ダイカットラベルS1のうち、二次転写位置及び定着位置の間の部分でのたるみ度合いが増大する。このとき、たるみが過度に生じてしまうと、定着位置の直前でジャムが発生する虞がある。以上のように、ダイカットラベルS1のうち、カラートナー像が転写される部分以降で発生するたるみは、その度合いを適正量にて安定させる必要がある。つまり、当該たるみの過不足は、ジャムや転写不良等の不具合を生じさせ、最終的に印刷される画像の品質に影響を及ぼすことになる。
【0083】
そこで、本プリンタ1では、ロール状のダイカットラベルS1に画像を印刷する際、ダイカットラベルS1の種類を問わず、二次転写位置よりも下流側でダイカットラベルS1のたるみを適正量に調整するための構成を採用している。かかる構成について説明すると、たるみ度合いを検出するためのセンサをプリンタユニット2内に設置し、かかるセンサの検知結果に応じてヒートローラ26の回転速度を制御することとしている。
【0084】
上記のたるみを調整する構成について、以下、
図6乃至8を参照しながらより詳細に説明する。上記のたるみは、ダイカットラベルS1のうち、二次転写位置(すなわち、転写ローラ23及び対向ローラ24の間に挟み込まれる位置)から定着位置(すなわち、一対の定着ローラ26、27の間に挟み込まれる位置)に亘る部分において発生する。
【0085】
より厳密に説明すると、搬送方向において二次転写位置と定着位置の間には、既述の搬送ベルト51が配置されている。また、本実施形態において、搬送ベルト51のうち、媒体が載置される上面は、
図6に示すように、二次転写位置及び定着位置よりも下方位置にある。具体的に説明すると、搬送ベルト51の上面(載置面)のうち、搬送方向上流側の端部は、二次転写ローラ23及び対向ローラ24の間に形成されるニップ部よりも幾分下方に位置している。そして、搬送ベルト51の上面(載置面)は、搬送方向上流側の端より下流側の端が上方に位置するように傾斜面となっている。さらに、搬送ベルト51の上面(載置面)のうち、搬送方向下流側の端部は、定着ローラ26、27間に形成されるニップ部よりも下方に位置し、当該ニップ部に向かって延びている。
【0086】
一方、搬送ベルト51内には、既述の吸気機構52が配置されている。かかる吸気機構52が吸気動作を行うと、ダイカットラベルS1のうち、搬送ベルト51の上方に位置する部分が、
図6に示すように搬送ベルト51の上面に吸い付けられるようになる。このとき、通常の状態では、ダイカットラベルS1のうち、搬送方向において二次転写位置よりも下流側で且つ搬送ベルト51よりも上流側に位置する部分が、
図6に示すように弧状に湾曲することでたるみを形成する。これは、転写ローラ23及び対向ローラ24の間に形成されるニップ部、すなわち二次転写位置よりも下がった位置に搬送ベルト51の上面が配置されているためである。
【0087】
また、ダイカットラベルS1のうち、搬送方向において搬送ベルト51よりも下流側で且つ定着位置よりも上流側に位置する部分は、
図6に示すように略たるみ無く定着位置に向かって延出している。換言すると、搬送ベルト51の上面を仮想的に搬送方向下流側へ延長すると、その先に定着位置、すなわち、定着ローラ26、27の間のニップ部が位置することになる。これにより、通常状態ではダイカットラベルS1の各部が定着位置へスムーズに向かうようになる。かかる効果は、短尺の媒体を使用する場合に特に有効となる。
【0088】
なお、一対の定着ローラ26、27の間に媒体がスムーズに向かう効果については、第二給紙モードや第三給紙モードにおいても有効である。つまり、カット紙S2を搬送ベルト51によって搬送する際、カット紙S2中、搬送方向において搬送ベルト51の上面の下流側端部を離れた部分(以下、ベルト離間部分)は、吸気機構52による吸気作用を受けないため、当該部分の移動方向が規制し難くなる。これに対し、本実施形態では、上述したように搬送ベルト51の上面のうち、搬送方向の下流側端部が一対の定着ローラ26、27の間のニップ部に向かって延びている。これにより、カット紙S2中のベルト離間部分であっても定着位置にスムーズに向かうようになり、結果として定着位置の直前位置におけるカット紙S2の詰まり、すなわちジャムを効果的に抑制することが可能となる。
【0089】
ところで、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分にたるみが発生しているときにヒートローラ26の周速が増加すると、たるみ度合いが減少し、
図7に示すようにダイカットラベルS1にテンションが掛かった状態となる。かかる状態では吸気機構52が吸気動作を行っているにも拘わらず、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分が、搬送ベルト51の上面に載らずに突っ張った姿勢になっている。換言すると、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分は、ヒートローラ26の周速の増加に起因してたるみが無くなると、
図7に示すように二次転写位置から定着位置まで略真っ直ぐ延出するようになる。
【0090】
反対に、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分にたるみが発生しているときにヒートローラ26の周速が減少すると、たるみ度合いが増加し、例えば
図8に示すように定着位置の直前位置においてたるみが別途発生することとなる。つまり、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分におけるたるみ度合いが過度に大きくなってしまう。
【0091】
以上のようにダイカットラベルS1のうち、二次転写位置から定着位置に亘る部分におけるたるみ度合いは、ヒートローラ26の周速に応じて変動する。このため、本プリンタ1では、上記のたるみ度合いをモニタリングするために検出器としてのセンサ(以下、たるみ検出センサ61、62)を設置し、プリンタユニットコントローラ71が、たるみ度合いの検出結果に応じてヒートローラ26の回転速度を調整する。
【0092】
より詳しく説明すると、本プリンタ1では2つのたるみ検出センサ61、62が用いられており、各センサは、搬送方向において互いに異なる位置に設置されている。すなわち、本プリンタ1では、ダイカットラベルS1のうち、二次転写位置から定着位置に亘る部分におけるたるみ度合いを2箇所でモニタリングしている。より具体的に説明すると、一方のたるみ検出センサ61(以下、上流側のたるみ検出センサ61とも言う)は、搬送方向において搬送ベルト51の上面の上流側端及び下流側端のうち、上流側端により近い位置に配置されている。つまり、上流側のたるみ検出センサ61は、二次転写位置及び定着位置のうち、二次転写位置により近い側でのダイカットラベルS1のたるみ度合いを検出するために設置されている。
【0093】
他方のたるみ検出センサ62(以下、下流側のたるみ検出センサ62とも言う)は、搬送方向において搬送ベルト51よりも下流側で、且つ定着位置よりも上流側の位置に配置されている。つまり、下流側のたるみ検出センサ62は、二次転写位置及び定着位置のうち、定着位置により近い側でのダイカットラベルS1のたるみ度合いを検出するために設置されている。
【0094】
以上のように本プリンタ1では、二次転写位置により近い側、及び定着位置により近い側で、それぞれダイカットラベルS1のたるみ度合いを検出するので、当該たるみ度合いの過不足を適切に把握することが可能となる。
【0095】
なお、たるみ検出センサ61、62の構成については、ロール状の媒体のたるみを検出するものであれば制限なく利用可能であるが、本プリンタ1ではインタラプタ型のフォトセンサがたるみ検出センサ61、62として利用されている。かかるセンサの構成について説明すると、各たるみ検出センサ61、62は、ダイカットラベルS1のたるみ度合いに応じて起伏するレバー61a、62aを備えている。そして、各たるみ検出センサ61、62は、上記レバー61a、62aの起伏状態を示す信号を、ダイカットラベルS1のたるみ度合いに応じた信号として出力する。
【0096】
より具体的に説明すると、上流側のたるみ検出センサ61のレバー61aは、ダイカットラベルS1のたるみ度合い(厳密には、二次転写位置により近い側でのたるみ度合い)が適正量であると
図6に示すように倒伏し、たるみが無い場合には
図7に示すように起立する。また、上流側のたるみ検出センサ61は、不図示の発光部と受光部とを有しており、レバー61aが起立状態にあるときには発光部からの光が受光部に到達し、レバー61aが倒伏状態にあるときには発光部からの光がレバー61aによって遮光される。そして、上流側のたるみ検出センサ61は、発光部からの光が遮光された場合にはオン信号を出力し、発光部からの光が受光部に到達した場合にはオフ信号を出力する。
【0097】
他方、下流側のたるみ検出センサ62のレバー62aは、ダイカットラベルS1のたるみ度合い(厳密には、定着位置により近い側でのたるみ度合い)が適正量であると
図6に示すように倒伏し、たるみが過度にある場合には
図8に示すように起立する。また、下流側のたるみ検出センサ62は、不図示の発光部と受光部とを有しており、レバー62aが起立状態にあるときには発光部からの光が受光部に到達し、レバー62aが倒伏状態にあるときには発光部からの光がレバー62aによって遮光される。そして、下流側のたるみ検出センサ62は、発光部からの光が遮光された場合にはオン信号を出力し、発光部からの光が受光部に到達した場合にはオフ信号を出力する。
【0098】
以上のように本プリンタ1ではインタラプタ型のフォトセンサをたるみ検出センサ61、62として用い、双方のたるみ検出センサ61、62から出力された信号によりダイカットラベルS1のたるみ度合いを特定する。具体的に説明すると、通常の状態、すなわち、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分におけるたるみ度合いが正常な範囲内にあるとき、
図6に示すように、2つのたるみ検出センサ61、62のレバー61a、62aが、いずれも倒伏状態となる。したがって、通常の状態にあるとき、2つのたるみ検出センサ61、62は、オン信号を出力することとなる。
【0099】
一方、上記のたるみ度合いが所定値より小さいとき、すなわち、
図7に示すようにダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分がたるみ無く突っ張っているとき、上流側のたるみ検出センサ61のレバー61aは、起立状態となる。これに対し、下流側のたるみ検出センサ62のレバー62aは、倒伏状態となる。したがって、たるみが無いとき、上流側のたるみ検出センサ61は、オフ信号を出力し、下流側のたるみ検出センサ62は、オン信号を出力する。
【0100】
反対に、上記のたるみ度合いが所定値より大きいとき、すなわち、
図8に示すようにダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分に過大なたるみが生じているとき、上流側のたるみ検出センサ61のレバー61aは、倒伏状態となる。これに対し、下流側のたるみ検出センサ62のレバー62aは、起立状態となる。したがって、過大なたるみが生じたとき、上流側のたるみ検出センサ61は、オン信号を出力し、下流側のたるみ検出センサ62は、オフ信号を出力する。
【0101】
そして、各たるみ検出センサ61、62から信号が出力されると、プリンタユニットコントローラ71が当該出力信号に応じてヒートローラ26の回転速度を制御する。これにより、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分におけるたるみ度合いは、予め設定された範囲内、具体的には
図6に図示のたるみ度合いに調整されることとなる。
【0102】
ヒートローラ26の回転速度の制御について説明すると、
図6に図示のケース、すなわち、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分におけるたるみ度合いが適正範囲内にあるケースでは、プリンタユニットコントローラ71は、ヒートローラ26の回転速度をその時の速度にて保持する。
【0103】
一方、
図7に図示のケース、すなわち、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分が無く突っ張っているケースでは、プリンタユニットコントローラ71が上流側のたるみ検出センサ61からオフ信号を受信し、且つ、下流側のたるみ検出センサ62からオン信号を受信する。その後、プリンタユニットコントローラ71は、ヒートローラ26の回転速度を通常時の速度よりも減少させる。この結果、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分の長さが徐々に増していき、当該部分にたるみが生じるようになる。そして、プリンタユニットコントローラ71は、最終的にたるみ度合いが適正範囲となった段階の速度にてヒートローラ26の回転速度を維持するようになる。
【0104】
反対に、
図8に図示のケース、すなわち、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分(厳密には、定着位置の直前位置)に過大なたるみが生じているケースでは、プリンタユニットコントローラ71が上流側のたるみ検出センサ61からオン信号を受信し、且つ、下流側のたるみ検出センサ62からオフ信号を受信する。その後、プリンタユニットコントローラ71は、ヒートローラ26の回転速度を通常時の速度よりも増大させる。この結果、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分の長さが徐々に減っていき、当該部分(厳密には、定着位置の直前位置)に生じていた過度のたるみが解消される。そして、プリンタユニットコントローラ71は、最終的にたるみ度合いが適正範囲となった段階の速度にてヒートローラ26の回転速度を維持するようになる。
【0105】
以上のように本プリンタ1では、第一給紙モードにて印刷処理が行われている間、プリンタユニットコントローラ71が各たるみ検出センサ61、62からの出力信号に応じてヒートローラ26の回転速度を制御する。これにより、ヒートローラ26の外径の大きさが変化したとしても、ダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分におけるたるみ度合いが適正量に調整される。この結果、たるみの過不足によって生じるジャムや転写不良が抑制され、以て、印刷画像の品質が向上することとなる。
【0106】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態では、主として本発明のラベルの構成について一例を挙げて説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0107】
また、上記の実施形態では、YMCK4色それぞれのトナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kが上下方向に並べて配置されていることとした。さらに、上記の実施形態では、中間転写ベルト21のうち、カラートナー像が担持された部分が二次転写ローラ23及び対向ローラ24の間(ニップ部)を通過する際に、上記のカラートナー像が媒体に転写されることとした。すなわち、上記の実施形態では、プリンタユニット2内における媒体の搬送経路中の一カ所でカラートナー像の転写が一括して行われる。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、YMCK4色それぞれのトナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kを横並びの状態、すなわち搬送経路に沿って並んだ状態で配置してもよい。かかる場合には、媒体の搬送経路中の複数箇所で各色のトナー像の転写を個別に行われることとなる。
【0108】
一方で、上記の実施形態のようにトナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kが上下方向に並べて配置されていれば、プリントユニット2内において、ダイカットラベルS1中にたるみを付けるためのスペースを確保し易くなる。すなわち、上記の実施形態の方が、YMCK4色それぞれのトナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kを横並びで配置する構成に比して、たるみを付け易くなる。
【0109】
また、媒体の搬送経路中の一カ所でカラートナー像を一括転写する場合には、媒体の搬送経路中の複数箇所で各色のトナー像を個別に転写する構成に比して、トナー像の転写箇所、具体的には転写用の一対のローラ間に媒体を挟み込む箇所が少なくなる。そして、トナー像の転写箇所が少なくなるほど、媒体との当接回数が少なくなるので、ダイカットラベルS1を媒体として用いたときに粘着媒体Sfが剥離紙Sbからめくれ難くなる。したがって、粘着媒体Sfのめくれを回避する観点では、媒体の搬送経路中の一カ所でカラートナー像を一括転写する構成の方がより好適である。
【0110】
また、上記の実施形態では、第一給紙モードにおいてダイカットラベルS1中、二次転写位置から定着位置に亘る部分におけるたるみ度合いを検出するために2つのたるみ検出センサ61、62を用いることとした。そして、2つのたるみ検出センサ61、62のうち、一方のセンサは、二次転写位置により近い側でたるみ度合いを検出し、他方のセンサは、定着位置により近い側でたるみ度合いを検出することとした。しかし、たるみ検出用のセンサの個数については、特に限定されるものではない。例えば、距離センサのようにたるみ量を精度よく検出可能なセンサを用いる場合には当該センサを1つのみ配置すればよい。ただし、上記の実施形態のように比較的安価なインタラプト型のフォトセンサをたるみ検出用のセンサとして用いる場合には、搬送方向において互いに異なる位置に複数設置し、少なくとも二次転写位置に近い側、及び、定着位置に近い側にそれぞれ一つずつ配置するとよい。
【0111】
また、たるみ検出用のセンサの配置位置についても特に限定されるものではない。例えば、下流側のたるみ検出センサ62は、
図6に図示した配置位置よりも幾分上流側の位置、具体的には、
図9に示すように搬送ベルト51の搬送方向下流側の端よりも上流側に配置されてもよい。
【0112】
また、上記の実施形態では、トナー像の中間転写体として無端状の中間転写ベルト21が設けられているが、これに限定されるものではなく、中間転写ドラムを設けることとしてもよい。
【0113】
また、上記の実施形態では、二次転写ローラ23と対向ローラ24との間を媒体が通過する際に、中間転写ベルト21に担持されたトナー像を、ローラ間に形成された電界によって媒体へ転写することとした。ただし、これに限定されるものではなく、ローラの代わりにベルトを用いた転写方式、若しくは、コロナ帯電器により媒体に電荷を付与した後にトナー像を転写する方式(コロナ転写方式)を採用してもよい。なお、転写部に設けられた媒体の通過部については、転写方式に応じて異なる構成となるのは言うまでもないが、転写時に媒体が実際に通過する部分が該当する。
【0114】
また、上記の実施形態では、加熱されたヒートローラ26とバックアップローラ27との間に媒体を挟み込んでトナー像を定着させることとした。ただし、これに限定されるものではなく、ローラの代わりにベルトを用いた定着方式、若しくは、キセノンランプからの照射光にて転写像を融着させる方式(フラッシュ定着方式)を採用してもよい。なお、定着部に設けられた媒体の通過部については、定着方式に応じて異なる構成となるのは言うまでもないが、定着時に媒体が実際に通過する部分が該当する。
【0115】
また、上記の実施形態では、ダイカットラベルS1のたるみ度合いを調整するために定着ローラ(ヒートローラ26)の回転速度を制御することとした。しかし、制御対象は定着ローラの回転速度に限定されるものではなく、定着部(定着ユニット)に設けられた通過部を媒体が通過する際の通過速度を調整する限りにおいては、定着ローラの回転速度以外の速度を制御してもよい。例えば定着がフラッシュ定着方式のような非接触加熱方式により行われる場合には、定着箇所付近で媒体を下流側へ送るローラやベルトその他の送り機構の駆動速度(換言すると、媒体の送り速度)を制御するとよい。
【0116】
ただし、上記の実施形態のようにヒートローラ26の回転速度を制御する構成であれば、本発明の効果がより有効に発揮されることになる。具体的に説明すると、ヒートローラ26の加熱温度は、画像が印刷される媒体の種類(厚さや材質)に応じて変化するが、そのときの温度に応じてヒートローラ26の外径が変化し、これに伴ってヒートローラ26の周速が変化する。これにより、ヒートローラ26とバックアップローラ27との間を通過する際の媒体の通過速度が変化し、結果として、媒体のたるみ度合いが変化するようになる。このような状況においてヒートローラ26の回転速度を調整することは、たるみ度合いを一定に保持する上で好適な構成であり、本発明の効果がより有効に発揮されることとなる。
【0117】
また、上記の実施形態では、画像印刷中の転写速度を一定に維持するために中間転写ベルト21を一定の周速になるように制御し、これに当接する一次転写ローラ22、二次転写ローラ23及び対向ローラ24が従動回転するように構成されている。しかし、制御対象については、当然ながら採用する転写方式に応じて異なるものであり、例えばコロナ転写方式を採用する場合には、転写前のトナー像を担持する担持体、及び、コロナ帯電器付近で媒体を下流側へ送るローラやベルトその他の送り機構が用いられることになり、これらの駆動速度を一定に制御するとよい。
【0118】
また、上記の実施形態では、プリンタユニット2内において媒体を搬送するための機構、すなわち、搬送機構本体として無端状の搬送ベルト51が設けられていることとした。しかし、これに限定されるものではなく、周面に媒体を担持しながら回転することで媒体を搬送する搬送ドラムを設けることとしてもよい。
【0119】
また、上記の実施形態では、第一給紙モードの実行時、すなわち、ロール状の媒体に画像を印刷するケースにおいて上記の媒体のたるみを調整することとした。ただし、これに限定されるものではなく、第一給紙モードと同様、第三給紙モードを実行するときにたるみを調整することとしてもよい。具体的に説明すると、第三給紙モードにおいてロール状の媒体を裁断することで生成される媒体(すなわち、カット紙S2)の長さは、前述したように可変となっており、二次転写位置と定着位置との間の距離(搬送経路中、二次転写位置と定着位置との間の区間長)以上になることもある。かかる場合、カット紙S2が二次転写位置及び定着位置の双方に掛かっているときに、カット紙S2中、二次転写位置及び定着位置の間の部分でのたるみが生じ得る。このとき、第一給紙モードの実行時と同様の手順にてたるみ度合いを調整するとよい。すなわち、第三給紙モードの実行時、生成されるカット紙S2の長さが二次転写位置と定着位置との間の区間長以上であるときには、プリンタユニットコントローラ71が、たるみ度合いを予め設定された範囲内に収めるべく、各たるみ検出センサ61、62からの出力信号に応じてヒートローラ26の回転速度を制御するとよい。これにより、第三給紙モードの実行下で比較的に長いカット紙S2に画像を印刷する場合において、たるみ度合いを適正量に調整してたるみの過不足によって生じる不具合を回避し、以て、印刷画像の品質を向上させることが可能となる。
【解決手段】ラベルプリンタがトナー像の転写部と、定着部と、ロール紙を繰り出すアンワインダと、ロール紙を巻き取るリワインダと、搬送方向において転写部より下流側にあり且つ定着部より上流側にある搬送機構50と、転写部及び定着部の間での媒体のたるみ度合いを検出するたるみ検出センサ61、62とを有する。搬送機構50は、上向き状態の上面に媒体を載せながら回転する搬送ベルト51と、媒体を搬送機構50の上面に吸い付けるための吸気機構52と、を有する。そして、ロール紙を搬送するモードを選択したとき、紙送りユニットコントローラが、たるみ検出センサ61、62からの出力信号に応じて、定着部に設けられた通過部を媒体が通過する際の通過速度を制御する。