特許第5710056号(P5710056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5710056
(24)【登録日】2015年3月13日
(45)【発行日】2015年4月30日
(54)【発明の名称】計測システム
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20150409BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20150409BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20150409BHJP
【FI】
   G08C17/00 Z
   G08C19/00 H
   G08C25/00 F
【請求項の数】1
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-139941(P2014-139941)
(22)【出願日】2014年7月7日
(62)【分割の表示】特願2012-115000(P2012-115000)の分割
【原出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2014-225271(P2014-225271A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2014年10月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115636
【氏名又は名称】リオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】植田 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 清勝
(72)【発明者】
【氏名】大屋 正晴
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成
(72)【発明者】
【氏名】中島 康貴
(72)【発明者】
【氏名】堀田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 雄
【審査官】 井上 昌宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−210200(JP,A)
【文献】 特開2006−279577(JP,A)
【文献】 特開2012−085042(JP,A)
【文献】 特開2012−119742(JP,A)
【文献】 特開2011−082922(JP,A)
【文献】 特開2010−171792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C13/00〜25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象の物理量に応じたアナログ信号を出力するセンサが接続されたセンサアンプに内蔵され、無線通信機能を有する第1センサアンプ側通信手段と、
前記センサアンプに内蔵され、前記第1センサアンプ側通信手段よりも消費電力が低い無線通信機能を有する第2センサアンプ側通信手段と、
前記センサアンプと対になる本体ユニットに内蔵され、無線通信機能を有し、前記第1センサアンプ側通信手段と組みになって通信を行う第1本体側通信手段と、
前記本体ユニットに内蔵され、前記第1本体側通信手段よりも消費電力が低い無線通信機能を有し、前記第2センサアンプ側通信手段と組みになって通信を行う第2本体側通信手段と、
前記本体ユニットに内蔵され、前記センサアンプを通常電力モードから前記通常電力モードよりも消費電力を低下させた低消費電力モードに移行させる場合、前記第1本体側通信手段又は前記第2本体側通信手段を通じて前記低消費電力モードに移行させるための低消費電力モード移行命令を前記センサアンプに通知する低消費電力モード移行命令通知手段と、
前記センサアンプに内蔵され、前記第1センサアンプ側通信手段又は前記第2センサアンプ側通信手段を通じて前記本体ユニットから前記低消費電力モード移行命令の通知を受けた場合、前記第1センサアンプ側通信手段を稼働状態から停止状態に移行させ、前記第2センサアンプ側通信手段の稼働状態を維持する低消費電力モード移行手段と、
前記本体ユニットに内蔵され、前記センサアンプを前記低消費電力モードから前記通常電力モードに移行させる場合、前記第2本体側通信手段を通じて前記通常電力モードに移行させるための通常電力モード移行命令を前記センサアンプに通知する通常電力モード移行命令通知手段と、
前記センサアンプに内蔵され、前記第2センサアンプ側通信手段を通じて前記本体ユニットから前記通常電力モード移行命令の通知を受けた場合、前記第1センサアンプ側通信手段を前記停止状態から前記稼働状態に移行させる通常電力モード移行手段とを備え
前記低消費電力モードは、
第1低消費電力モード及び前記第1低消費電力モードよりも消費電力が低い第2低消費電力モードを含み、
前記センサアンプは、
前記センサの計測状態を制御する主制御手段及び前記主制御手段よりも消費電力が低い副制御手段を備え、
前記低消費電力モード移行命令通知手段は、
前記センサアンプに物理量の計測を継続させつつ通信を停止させる場合は前記第1低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令を前記センサアンプに通知し、前記センサアンプに物理量の計測を停止させつつ通信を停止させる場合は前記第2低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令を前記センサアンプに通知し、
前記低消費電力モード移行手段は、
前記第1低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令の通知を受けた場合は前記第1センサアンプ側通信手段を稼働状態から停止状態に移行させ、前記第2低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令の通知を受けた場合は前記主制御手段及び前記第1センサアンプ側通信手段を前記稼働状態から前記停止状態に移行させることを特徴とする計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量を計測するための計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
計測対象は様々であり、その計測シーンに合わせて計測装置をカスタマイズする必要がある。また、計測においては、音響や振動にとどまらず、温湿度や圧力等といった様々な計測対象に対応することが求められている。
【0003】
そして、このような音や騒音等を計測する先行技術が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1の技術は、騒音レベルが規制基準を超えたときに、その実音(騒音)を伝送させる技術である。具体的には、マイクロホン及び騒音計を介して騒音の騒音レベルが計測され、騒音レベルが規制基準を超えていれば、PHS(Personal Handyphone System)によって通話を確立し、作業員がPHSからその実音を聞くことができるというものである。
【0004】
また、特許文献2は、ホール、スタジアム等の測定空間の音場特性を正確に測定するための音場特性測定システムを開示している。音場特性を把握することは、音楽演奏時だけでなく、明瞭な場内放送を実現する上でも重要な要素となる。
【0005】
さらに、特許文献3は、騒音や振動に関する特定環境データ信号を収集解析し、印刷書面や画面に表示することができる環境データ収集解析装置を開示している。
特許文献3の技術によれば、測定対象外の環境データ信号を視認し得るようにグラフラインの属性を変えているため、騒音や振動に関する測定データの解析を容易に行うとともに、測定対象の音と測定対象外の音とを容易に区別することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−188953号公報
【特許文献2】特開2006−64393号公報
【特許文献3】特開2010−78369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の先行技術等に示されるように、一般に音響や振動の計測は、様々な計測シーンが想定される。例えば、道路交通騒音や鉄道騒音、遮音性能計測、自動車の遮音性計測、建設作業の騒音及び振動を計測したりすることがある。
【0008】
この場合、各計測シーンに対応して、計測時に取得したいデータも様々であり、計測場所も様々である。そして、計測シーンが異なると以下のような様々な問題が発生する。
(1)計測データを無線により送信する場合、計測データが失われてしまう可能性がある。すなわち、無線による通信は、有線による通信と比べて通信障害が発生しやすく、通信が途中で途切れてしまうことがある。計測データが無線通信の途中で失われてしまうと(計測データの欠落が生じると)、計測の信頼性が低下してしまう。また、計測データの再送要求を繰り返していると、計測データの蓄積に通信速度が追いつかず、計測者は、現在の計測データや計測の情報を知ることができなくなってしまう。
【0009】
(2)バッテリ稼働で無線により計測データを送信する場合は、消費電力の問題が生じる。すなわち、遠隔且つ無人にて計測データを取得する場合、計測データを常に無線通信で送信し続けることになるため、それだけ消費電力も増加してしまうので、バッテリ交換の頻度が高くなる。また、計測器やセンサを設置後、計測は連続ではなく間欠的に実施され、待ち時間が多いこともある。
【0010】
(3)複数(3つ以上)のチャンネルの信号をリアルタイムで処理するためには、現在の技術では装置が大掛かりになってしまう。装置が大掛かりになると、装置の大きさや重量、消費電力(電池寿命)、コスト等に悪影響が生じる。
【0011】
(4)複数の計測器を用いる場合、複数の計測器が単独で計測を行っていると、計測の開始時刻の同期がとれないため、時刻同期に関して統一のとれた処理を行うことができない。また、統一のとれた処理を行うことができない以上、計測によって得られた計測データも非統一なデータとなり、その後の作業員の作業効率も低下してしまうという問題がある。
【0012】
そこで本発明は、無線通信におけるデータの欠落に柔軟に対応することができる技術の提供を第1の課題とする。
また、本発明は、無線通信を採用する場合において省電力化を実現することができる技術の提供を第2の課題とする。
さらに、本発明は、ハードウエア資源を有効に活用することができる技術の提供を第3の課題とする。
さらにまた、本発明は、複数の計測器を効率よく管理することができる技術の提供を第4の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。なお、以下の各解決手段は、引用関係や従属関係を適宜変更した解決手段とすることができる。
【0014】
解決手段1:本解決手段の計測システムは、計測対象の物理量に応じたアナログ信号を出力するセンサが接続されたセンサアンプに内蔵され、前記センサから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する変換手段と、前記センサアンプに内蔵され、前記デジタル信号を計測データとして蓄積するデータ蓄積手段と、前記センサアンプに内蔵され、無線通信機能を用いて前記デジタル信号を前記センサアンプの外部に向けて送信するセンサアンプ側通信手段と、前記センサアンプと対になる本体ユニットに内蔵され、無線通信機能を用いて前記センサアンプから送信された前記デジタル信号を受信する本体側通信手段と、前記本体ユニットに内蔵され、受信した前記デジタル信号に基づいて計測データを生成するデータ生成手段と、前記本体ユニットに内蔵され、前記センサアンプから送信された前記デジタル信号に欠落がある場合、前記本体側通信手段を通じて前記センサアンプに欠落部分を表す欠落情報を通知する欠落情報通知手段と、前記センサアンプに内蔵され、前記センサアンプ側通信手段を通じて前記本体ユニットから欠落情報の通知を受けた場合、前記欠落情報に基づいて前記データ蓄積手段に蓄積された欠落部分の前記計測データを前記センサアンプ側通信手段を通じて前記本体ユニットに再送信する再送実行手段とを備えた計測システムである。
【0015】
本解決手段の計測システムは、センサアンプを備えている。センサアンプには、計測対象の物理量(音響、振動、温度、湿度、圧力等の計測に基づく情報)に応じたアナログ信号を出力するセンサが接続される。
センサアンプは、センサから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号を計測データとしてメモリ等に蓄積する。また、センサアンプは、無線通信機能を用いてデジタル信号をセンサアンプの外部に向けて送信する。
【0016】
また、本解決手段の計測システムは、本体ユニットを備えている。本体ユニットは、センサアンプと対になる装置である。
本体ユニットは、無線通信機能を用いてセンサアンプから送信されたデジタル信号を受信し、受信したデジタル信号に基づいて計測データを生成する。生成した計測データは、例えば本体ユニットのメモリ等に記憶したり、本体ユニットで信号処理を施したり、本体ユニットの表示部に表示したりすることができる。
【0017】
ここで、本体ユニットは、センサアンプから送信されたデジタル信号に欠落がある場合、センサアンプに欠落部分を表す欠落情報を通知する。デジタル信号に欠落があるか否かの判断は、例えばデジタル信号に付与されるフレーム番号等を確認することにより判断することができる。また、欠落情報に関しては欠落しているフレーム番号等の情報を含む情報とすることができる。
そして、センサアンプは、本体ユニットから欠落情報の通知を受けた場合、例えば一連の計測が完了したのち、本体ユニット側で全計測データを得るために、欠落情報に基づいて欠落部分の計測データを本体ユニットに再送信する。
【0018】
一般に、無線による通信は、有線による通信と比べて通信障害が発生しやすく、通信が途中で途切れてしまうことがある。この場合、計測によって得られたデジタル信号が無線通信の途中で失われてしまうと(データの欠落が生じると)、計測の信頼性が低下してしまう。また、計測においては、現在の最新情報をモニタすることが重要であるが、計測データの再送要求を繰り返していると、計測データの蓄積に通信速度が追いつかず、計測者は、現在の計測データや計測の情報を知ることができなくなってしまう。
【0019】
このため、本解決手段では、無線により送信するデジタル信号を計測データとしてセンサアンプに蓄積している。そして、センサアンプから送信されたデジタル信号に欠落がある場合、センサアンプに蓄積されている計測データは、本体ユニットに自動的に再送信される。
したがって、仮に通信障害が発生してデジタル信号の一部が失われてしまったとしても、蓄積されている計測データが本体ユニットに再送信されるので、失われてしまったデジタル信号を回復させることができる。また、繰り返しのデータ再送により、データ転送に遅延が発生して現在の最新情報をモニタすることができなくなる事態を回避することができる。
【0020】
解決手段2:本解決手段の計測システムは、解決手段1において、前記欠落情報通知手段は、前記本体側通信手段による一連の前記デジタル信号の受信が終了した後に前記欠落情報を通知することを特徴とする計測システムである。
【0021】
本解決手段では、一連のデジタル信号の受信が終了した後に欠落情報を通知する。このため、一連のデジタル信号の受信が終了するまでは、デジタル信号に欠落があっても再送信処理は実行されない。
【0022】
このため、本解決手段によれば、リアルタイム転送とバッチ転送とを組み合わせることができ、正しく計測が行われているかの確認と、最終的に欠落のないデータを取得することができるという点を一度に満たすことができる。
すなわち、リアルタイム転送の実行中にデータの欠落があった場合、その時点でデータの再送信を実行すると、本来送信すべきデータの送信に遅延が発生してリアルタイム性が保てない。しかし、本解決手段では、本来送信すべきデータの送信が終了した後に欠落部分のバッチ転送を行うことができ、リアルタイム転送とバッチ転送とを効果的に組み合わせたデータの転送方法を実現することができる。
【0023】
この点、送信すべきデータを最後にまとめて無線により送信することも考えられるが、そうすると今度はリアルタイム性が損なわれ、データの取得にも時間がかかる。これに対して本解決手段では、最後のバッチ転送で欠落部分のデータのみをバッチ転送することにより、リアルタイム性を保ちつつ、最終的なデータの取得時間も短縮させることができるという効果がある。
【0024】
解決手段3:本解決手段の計測システムは、解決手段1において、前記欠落情報通知手段は、前記デジタル信号に欠落があると判断した時点で前記欠落情報を通知し、前記欠落情報を通知したにも関わらず前記欠落部分の前記計測データが再送信されてこない場合、前記欠落情報の通知に基づく再送要求処理を一定時間で終了させ、前記欠落情報通知手段により前記欠落情報の通知に基づく再送要求処理が一定時間で終了された場合、前記本体側通信手段に一連の前記デジタル信号の受信を継続して実行させる継続受信処理を実行する継続受信処理実行手段をさらに備えることを特徴とする計測システムである。
【0025】
本解決手段では、本体ユニットは、デジタル信号に欠落があると判断した時点で欠落情報を通知し、欠落情報を通知したにも関わらず欠落部分の計測データが再送信されてこない場合、欠落情報の通知に基づく再送要求処理を一定時間で終了させる。
そして、再送要求処理が一定時間で終了された場合、一連のデジタル信号の受信を継続して実行させる継続受信処理が実行される。
【0026】
このように、本解決手段では、本体ユニットは、デジタル信号に欠落があると判断した時点で再送要求処理を実行する。ただし、何らかの通信障害により再送要求処理が機能しない場合には、再送要求処理をいつまでも継続しないで一定時間で終了させる。
【0027】
一般に、通信障害といっても様々なケースが考えられ、瞬間的に発生する通信障害や、長い時間発生する通信障害がある。ここで、瞬間的な通信障害が発生した場合、通信が行えない時間は短時間であるため、デジタル信号に欠落があると判断した時点で再送要求処理を行えばすでに通信の状況が回復していることも想定される。
そして、その場合は、その時点で欠落部分の計測データを再送信することにより、リアルタイム性をより向上させつつ、最新の計測データをモニタリングし続けることができる。ただし、本解決手段では、通信障害が復旧しない場合は再送要求処理を一定時間で切り上げることにしており、再送要求処理をいつまでも継続しないことにして、再送要求処理によるリアルタイム性が損なわれることを抑制している。
【0028】
解決手段4:本解決手段の計測システムは、計測対象の物理量に応じたアナログ信号を出力するセンサが接続されたセンサアンプに内蔵され、無線通信機能を有する第1センサアンプ側通信手段と、前記センサアンプに内蔵され、前記第1センサアンプ側通信手段よりも消費電力が低い無線通信機能を有する第2センサアンプ側通信手段と、前記センサアンプと対になる本体ユニットに内蔵され、無線通信機能を有し、前記第1センサアンプ側通信手段と組みになって通信を行う第1本体側通信手段と、前記本体ユニットに内蔵され、前記第1本体側通信手段よりも消費電力が低い無線通信機能を有し、前記第2センサアンプ側通信手段と組みになって通信を行う第2本体側通信手段と、前記本体ユニットに内蔵され、前記センサアンプを通常電力モードから前記通常電力モードよりも消費電力を低下させた低消費電力モードに移行させる場合、前記第1本体側通信手段又は前記第2本体側通信手段を通じて前記低消費電力モードに移行させるための低消費電力モード移行命令を前記センサアンプに通知する低消費電力モード移行命令通知手段と、前記センサアンプに内蔵され、前記第1センサアンプ側通信手段又は前記第2センサアンプ側通信手段を通じて前記本体ユニットから前記低消費電力モード移行命令の通知を受けた場合、前記第1センサアンプ側通信手段を稼働状態から停止状態に移行させ、前記第2センサアンプ側通信手段の稼働状態を維持する低消費電力モード移行手段と、前記本体ユニットに内蔵され、前記センサアンプを前記低消費電力モードから前記通常電力モードに移行させる場合、前記第2本体側通信手段を通じて前記通常電力モードに移行させるための通常電力モード移行命令を前記センサアンプに通知する通常電力モード移行命令通知手段と、前記センサアンプに内蔵され、前記第2センサアンプ側通信手段を通じて前記本体ユニットから前記通常電力モード移行命令の通知を受けた場合、前記第1センサアンプ側通信手段を前記停止状態から前記稼働状態に移行させる通常電力モード移行手段とを備えた計測システムである。
【0029】
本解決手段の計測システムは、センサアンプを備えている。センサアンプには、計測対象の物理量に応じたアナログ信号を出力するセンサが接続される。
センサアンプは、無線通信機能を有する第1センサアンプ側通信手段と、第1センサアンプ側通信手段よりも消費電力が低い無線通信機能を有する第2センサアンプ側通信手段とを備えている。
【0030】
また、本解決手段の計測システムは、本体ユニットを備えている。本体ユニットは、センサアンプと対になる装置である。
本体ユニットは、無線通信機能を有し、第1センサアンプ側通信手段と組みになって通信を行う第1本体側通信手段と、第1本体側通信手段よりも消費電力が低い無線通信機能を有し、第2センサアンプ側通信手段と組みになって通信を行う第2本体側通信手段とを備えている。
このため、第1センサアンプ側通信手段と第1本体側通信手段とは、組み(ペア)になって無線により通信を行い、第2センサアンプ側通信手段と第2本体側通信手段とも、同様に組みになって無線により通信を行う。
【0031】
そして、本解決手段では、センサアンプの省電力化を実現するため、センサアンプを低消費電力モードに移行させたり、センサアンプを低消費電力モードから通常電力モードに復帰させたりする。各モードへの移行時の処理の流れは以下の通りである。
【0032】
〔低消費電力モード移行時〕
本体ユニットは、センサアンプを通常電力モードから低消費電力モードに移行させる場合、低消費電力モード移行命令をセンサアンプに通知する。
そして、センサアンプは、本体ユニットから低消費電力モード移行命令の通知を受けた場合、第1センサアンプ側通信手段を稼働状態から停止状態に移行させ、第2センサアンプ側通信手段の稼働状態を維持する。第2センサアンプ側通信手段の稼働状態を維持する理由は、本体ユニットとの通信状態を維持し、いずれは第1センサアンプ側通信手段を停止状態から稼働状態に復帰させるためである。
【0033】
〔通常電力モード移行時〕
本体ユニットは、センサアンプを低消費電力モードから通常電力モードに移行させる場合、通常電力モード移行命令をセンサアンプに通知する。
そして、センサアンプは、本体ユニットから通常電力モード移行命令の通知を受けた場合、第1センサアンプ側通信手段を停止状態から稼働状態に移行させる。
【0034】
センサアンプでの長時間の計測に対応するためには、消費電力を極力抑える必要がある。そして、計測シーンによっては、しばらくの間、本体ユニットで計測データが不要な場合があるため、本体ユニット側で計測データが不要であると判断した場合には、センサアンプを低消費電力モードに移行させることができる。また、本体ユニット側で、再び計測データが必要であると判断した場合には、センサアンプを通常電力モードに移行させることができる。
【0035】
そして、第1センサアンプ側通信手段を停止状態に移行させることにより、センサアンプの消費電力を抑えることができる。ただし、センサアンプを低消費電力モードに移行させた場合であっても、第2センサアンプ側通信手段は稼働状態を維持している。このため、本体ユニットとセンサアンプとの通信状態は確保されることになり、低消費電力モードに移行したとしても、本体ユニットとセンサアンプとの連携は維持される。しかも、第2センサアンプ側通信手段は、低消費電力の装置となるため、省電力化の妨げとなることはない。
【0036】
解決手段5:本解決手段の計測システムは、解決手段4において、前記低消費電力モードは、第1低消費電力モード及び前記第1低消費電力モードよりも消費電力が低い第2低消費電力モードを含み、前記センサアンプは、前記センサの計測状態を制御する主制御手段及び前記主制御手段よりも消費電力が低い副制御手段を備え、前記低消費電力モード移行命令通知手段は、前記センサアンプに物理量の計測を継続させつつ通信を停止させる場合は前記第1低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令を前記センサアンプに通知し、前記センサアンプに物理量の計測を停止させつつ通信を停止させる場合は前記第2低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令を前記センサアンプに通知し、前記低消費電力モード移行手段は、前記第1低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令の通知を受けた場合は前記第1センサアンプ側通信手段を稼働状態から停止状態に移行させ、前記第2低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令の通知を受けた場合は前記主制御手段及び前記第1センサアンプ側通信手段を前記稼働状態から前記停止状態に移行させることを特徴とする計測システムである。
【0037】
本解決手段では、低消費電力モードとして、第1低消費電力モード及び第1低消費電力モードよりも消費電力が低い第2低消費電力モードといった2種類のモードを採用している。また、センサアンプは、センサの計測状態を制御する主制御手段(例えばメインマイコン)及び主制御手段よりも消費電力が低い副制御手段(例えばサブマイコン)を備えている。
【0038】
そして、本解決手段では、計測シーンに合わせた省電力化を実現するため、センサアンプを2種類の低消費電力モードのいずれかに移行させることにしている。2種類の低消費電力モードに移行させる際の処理の流れは以下の通りである。
【0039】
本体ユニットは、センサアンプに接続されるセンサに物理量の計測を継続させつつ通信を停止させる場合は第1低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令をセンサアンプに通知する。
また、本体ユニットは、センサアンプに接続されるセンサに物理量の計測を停止させつつ通信を停止させる場合は第2低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令をセンサアンプに通知する。
【0040】
そして、センサアンプは、第1低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令の通知を受けた場合は第1センサアンプ側通信手段を稼働状態から停止状態に移行させる。
また、センサアンプは、第2低消費電力モードに対応する低消費電力モード移行命令の通知を受けた場合は主制御手段及び第1センサアンプ側通信手段を稼働状態から停止状態に移行させる。
【0041】
すなわち、第1低消費電力モードに移行した際には、第1センサアンプ側通信手段が停止状態となるため、第1センサアンプ側通信手段での通信はできなくなるが、主制御手段は稼働状態であるため、センサによる物理量の計測を継続させることができる。
【0042】
また、第2低消費電力モードに移行した際には、主制御手段及び第1センサアンプ側通信手段がともに停止状態となるため、第1センサアンプ側通信手段での通信はできなくなり、センサによる物理量の計測も停止することになる。
ただし、主制御手段及び第1センサアンプ側通信手段を停止状態に移行させた場合には、第1低消費電力モードに移行した場合と比較して、消費電力をさらに低減させることができる。
【0043】
このように、本解決手段では、消費電力が異なる2つの制御手段と、消費電力が異なる2つの通信手段とを搭載し、計測状況によって停止状態に移行させる装置を変更することにより、様々な計測シーンに即した省電力化を実現することができる。
【0044】
解決手段6:本解決手段の計測システムは、計測対象の物理量に応じたアナログ信号を出力する複数のセンサが接続されたセンサアンプに内蔵され、前記センサから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する変換手段と、前記センサアンプに内蔵され、予め定められた演算処理の取り決めに関する設定内容に基づいて前記複数のセンサにおける一部のセンサに対応するデジタル信号を演算処理するセンサアンプ側演算処理手段と、前記センサアンプに内蔵され、未演算の前記デジタル信号と演算処理後の前記デジタル信号とを前記センサアンプの外部に向けて送信するセンサアンプ側通信手段と、前記センサアンプと対になる本体ユニットに内蔵され、前記センサアンプから送信された未演算の前記デジタル信号と演算処理後の前記デジタル信号とを受信する本体側通信手段と、前記本体ユニットに内蔵され、受信した前記デジタル信号のうち、前記複数のセンサにおける残りのセンサに対応する未演算の前記デジタル信号を演算処理する本体側演算処理手段とを備えた計測システムである。
【0045】
本解決手段の計測システムは、センサアンプを備えている。センサアンプには、計測対象の物理量に応じたアナログ信号を出力する複数のセンサが接続される。このため、センサアンプでは多チャンネルでの計測となる。
センサアンプは、センサから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。センサアンプは、予め定められた演算処理の取り決め(例えば、本体ユニットとセンサアンプのどちら側でどのチャンネルの演算処理を実行するかについての取り決め)に関する設定内容に基づいて複数のセンサにおける一部のセンサに対応するデジタル信号(例えば、3チャンネルの計測であればその中の1チャンネル分)を演算処理する。
そして、センサアンプは、未演算のデジタル信号と演算処理後のデジタル信号とをセンサアンプの外部に向けて送信する。
【0046】
また、本解決手段の計測システムは、本体ユニットを備えている。本体ユニットは、センサアンプと対になる装置である。
本体ユニットは、センサアンプから送信された未演算のデジタル信号と演算処理後のデジタル信号とを受信する。そして、本体ユニットは、受信したデジタル信号のうち、複数のセンサにおける残りのセンサに対応する未演算のデジタル信号(例えば、3チャンネルの計測であれば残りの2チャンネル分)を演算処理する。
【0047】
このように、本解決手段によれば、本体ユニットとセンサアンプとで演算処理の分散化を図ることができ、ハードウエア資源を有効に活用することができる。また、センサアンプで演算処理を行ったデジタル信号については、演算処理の内容によってはデータ量が減少するため、センサアンプで演算処理を実行することにより、通信負担の軽減にも寄与することができる。
また、本解決手段では、複数のセンサに対応したチャンネル毎に演算処理を分散しているため、演算処理を分散する際の判断基準が明確となり、制御処理の簡略化を図ることができる。
【0048】
解決手段7:本解決手段の計測システムは、1つの本体ユニットに対して複数のセンサアンプが接続される計測システムであって、前記センサアンプに接続され、計測対象の物理量に応じたアナログ信号を出力するセンサと、前記本体ユニットに内蔵され、前記複数のセンサアンプのそれぞれに接続されたセンサに物理量の計測を開始させる場合、前記複数のセンサアンプのそれぞれに対して計測開始命令を通知する計測開始命令通知手段と、前記複数のセンサアンプのそれぞれに内蔵され、前記計測開始命令通知手段により前記本体ユニットから計測開始命令の通知を受けた場合、通知を受けた前記センサアンプに接続されている前記センサに物理量の計測を開始させる計測実行手段とを備えた計測システムである。
【0049】
本解決手段の計測システムは、1つの本体ユニットに対して複数のセンサアンプが接続される計測システムである。
複数のセンサアンプのそれぞれには、計測対象の物理量に応じたアナログ信号を出力するセンサが接続される。
【0050】
ここで、本体ユニットは、複数のセンサアンプのそれぞれに接続されたセンサに物理量の計測を開始させる場合、複数のセンサアンプのそれぞれに対して計測開始命令を通知する。
そして、センサアンプは、本体ユニットから計測開始命令の通知を受けた場合、通知を受けたセンサアンプに接続されているセンサに物理量の計測を開始させる。
【0051】
このように、本解決手段によれば、計測開始命令を利用して、1台の本体ユニットに接続される複数のセンサアンプを連動して動作させることができ、時刻同期に関して統一のとれた計測を行うことができる。また、本解決手段では、離れた位置にある複数のセンサアンプに、同時に計測を開始させることができるので、作業員の作業負担を軽減させることができる。
【0052】
解決手段8:本解決手段の計測システムは、所定のネットワークを介して複数の本体ユニットが接続される計測システムであって、前記複数の本体ユニットのそれぞれに接続されたセンサアンプと、前記センサアンプに接続され、計測対象の物理量に応じたアナログ信号を出力するセンサと、前記複数の本体ユニットのうちいずれか1つの本体ユニットに内蔵され、前記センサアンプに接続されたセンサに物理量の計測を開始させる場合、前記所定のネットワークを通じて他の本体ユニットに計測開始命令を通知する計測開始命令通知手段と、前記他の本体ユニットに内蔵され、前記所定のネットワークを通じて前記計測開始命令の通知を受けた場合、通知を受けた前記本体ユニットに接続されている前記センサアンプに接続されている前記センサに物理量の計測を開始させる計測実行手段とを備えた計測システムである。
【0053】
本解決手段の計測システムは、所定のネットワークを介して複数の本体ユニットが接続される計測システムである。
複数の本体ユニットのそれぞれには、センサアンプが接続されている。また、センサアンプには、計測対象の物理量に応じたアナログ信号を出力するセンサが接続されている。
【0054】
ここで、複数の本体ユニットのうちいずれか1つの本体ユニットは、各センサアンプに接続されたセンサに物理量の計測を開始させる場合、所定のネットワークを通じて他の本体ユニットに計測開始命令を通知する。
そして、他の本体ユニットは、計測開始命令の通知を受けた場合、通知を受けた本体ユニットに接続されているセンサアンプに接続されているセンサに物理量の計測を開始させる。
【0055】
このように、本解決手段によれば、所定のネットワークを通じて他の本体ユニットに計測開始命令を通知することができるため、ネットワーク環境さえ整っていれば、1つの本体ユニットが遠隔地にある本体ユニットを管理することができる。このため、本解決手段では、1つの本体ユニットが計測開始命令を利用して、複数の本体ユニットを連動して動作させることができ、遠隔地にある本体ユニットや計測ユニット、センサ等を管理することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、以下のような効果がある。
(1)センサアンプは、無線により送信するデジタル信号を計測データとして蓄積しており、本体ユニットから欠落情報の通知を受けた場合は、欠落部分の計測データを本体ユニットに再送信するので、無線通信におけるデータの欠落があっても後から補うことができる。
(2)本計測システムでは、種類の異なる2つの通信手段を状況によって使い分けているため、効率よく省電力化を実現することができる。
【0057】
(3)本体ユニットとセンサアンプとの両方に演算処理手段を設けているので、演算処理の分散化を図り、ハードウエア資源を有効に活用することができる。
(4)本体ユニットからの計測開始命令を利用して、複数のセンサアンプに接続されるセンサに計測を開始させることができるので、時刻の同期に関して統率のとれた計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】一実施形態に係る計測システム100を示す概要図である。
図2】センサアンプ30を裏面側からみた状態で示す斜視図である。
図3】1つの本体ユニット10に対して複数のセンサアンプ30を無線により接続した接続例を示す図である。
図4】複数の本体ユニット10がネットワーク70を介して接続される接続例を示す図である。
図5】本体ユニット10及びセンサアンプ30の構成を概略的に示すブロック図である。
図6】計測データのバッファリング処理の第1の手順例について説明するシーケンス図である。
図7】計測データのバッファリング処理の第2の手順例について説明するシーケンス図である。
図8】通常電力モードや低消費電力モードに移行させる際の手順例について説明するシーケンス図である。
図9】負荷分散処理の手順例について説明するシーケンス図である。
図10】ネットワークトリガ処理の手順例について説明するシーケンス図である。
図11】1つの本体ユニット10に複数のセンサアンプ30が接続されている際の計測処理の手順例について説明するシーケンス図である。
図12】本体ユニット側時分割通信処理の手順例を示すフローチャートである。
図13】センサアンプ側時分割通信処理の手順例を示すフローチャートである。
図14】屋内多点計測、騒音又は振動の計測の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0060】
図1は、本発明の一実施形態に係る計測システム100を示す概要図である。
計測システム100は、音響、振動、温度、湿度、圧力等といった物理量を計測するための装置であり、本体ユニット10と、センサアンプ30とを備える。本体ユニット10とセンサアンプ30とは、無線によりデータの送受信を行う。
【0061】
〔本体ユニット〕
本体ユニット10は、その外形が扁平な直方体形状であり、作業員により携帯が可能な大きさを有するタブレット型の端末(タブレット端末)である。
【0062】
また、本体ユニット10は、その表面に各種情報(操作用のアイコンや、デジタル信号に関する情報、各種データの波形データ等)を表示する液晶表示装置11を有する。
液晶表示装置11には、計測装置100を操作するためのタッチパネルが設置されており、作業員が画面上の表示をタッチすることで本体ユニット10を操作することができる。
【0063】
本体ユニット10は、その周縁部に傾斜面11aを有しており、液晶表示装置11を有する面から外側に向かうにつれて全体の厚みが徐々に薄くなっている。傾斜面11a又はその付近は、作業員が本体ユニット10を保持するための保持部となる。また、本体ユニット10の角部分は円弧状に面取りされている。本体ユニット10のサイズは、例えば、平面視でA4用紙程度(縦210mm、横297mm程度)のサイズとすることができる。
【0064】
本体ユニット10の右側面には、ACアダプタ用の端子13やLAN(Local Area Network)ポート14、USB(Universal Serial Bus)ポート14a、カード形状の記録媒体が挿入されるカード用スロット15等が設けられている。
【0065】
〔センサアンプ〕
図2は、センサアンプ30を裏面側からみた状態で示す斜視図である。
センサアンプ30は、その外形が扁平な直方体形状であり、作業員により携帯が可能な大きさを有する装置である。
【0066】
入力部24は、物理量を表す信号(アナログ信号やデジタル信号)が入力される4つのコネクタ24a〜24dと、アナログ信号以外の信号を出力する1つのコネクタ24eとにより構成されている。
4つのコネクタ24a〜24dには、各種センサがケーブルを介して接続される。このため、4つのコネクタ24a〜24dにより、4チャンネルの計測を実現することができる。図示の例では、コネクタ24cには、ケーブル41及び接続プラグ42を介して、計測用マイクロホン40が接続されている。なお、センサアンプ30の入力端子には、計測用マイクロホン40以外にも、振動ピックアップ、温湿センサ、圧力センサ等も接続することができる。
また、コネクタ24eには、例えばスピーカ等の外部機器がケーブルを介して接続される。このため、コネクタ24eは、外部機器に対してアナログ信号以外の信号を出力することができる。なお、各コネクタの入出力の割り当ては、上記の例に限定されず、仕様や設計により変更することができる。
【0067】
また図1に示すように、センサアンプ30は、その周縁部に傾斜面32を有しており、発光ダイオードの発光状態を確認するための開口孔31を有する面から外側に向かうにつれて全体の厚みが徐々に薄くなっている。また、センサアンプ30の角部分は円弧状に面取りされている。
【0068】
〔基本計測〕
そして、図1に示す計測システム100の基本的な使用態様は、以下の通りである。
例えば、作業員は、計測の現場に本体ユニット10と、センサアンプ30と、騒音計46とを持参する。
【0069】
ついで、作業員は、騒音計46をセンサアンプ30に取り付け、センサアンプ30に接続されている騒音計46を計測ポイントに配置する。
そして、作業員は、傾斜面11a付近を掴んで本体ユニット10を保持しながら、本体ユニット10の液晶表示装置11により本体ユニット10を操作して、センサアンプ30に接続された騒音計46に騒音の計測を行わせる。
騒音計46で計測したデータは、センサアンプ30を介して無線により本体ユニット10に送信されるため、作業員は液晶表示装置11を見ながら、その場で計測結果を確認することができる。
【0070】
〔接続例〕
次に、上記の本体ユニット10及びセンサアンプ30を用いた接続例について説明する。
【0071】
〔第1接続例〕
図3は、1つの本体ユニット10に対して複数のセンサアンプ30を無線により接続した接続例を示す図である。図示の例では、各センサアンプ30には、計測用マイクロホン40が接続されている。
本接続例によれば、多点計測が必要な場合、センサアンプ30を必要に応じて増台することにより、多点計測に柔軟に対応することができる。
【0072】
〔第2接続例〕
図4は、複数の本体ユニット10がネットワーク70を介して接続される接続例を示す図である。
本接続例では、複数の本体ユニット10が用意されており、各本体ユニット10同士は、携帯電話機の通信網やインターネット等のネットワーク70を介して接続されている。図示の例では、3つの本体ユニット10(10A〜10C)がネットワーク70を介して接続されており、本体ユニット10Aは、他の本体ユニット10B,10Cを管理する管理ユニットである。
【0073】
ここで、本体ユニット10A〜10Cには、いずれも騒音計46を取り付けたセンサアンプ30が無線により接続されている。
【0074】
そして、本体ユニット10Aは、ネットワーク70を介して例えば制御信号等を送信することにより、他の本体ユニット10B,10Cを管理することができる。
具体的には、本体ユニット10Aは、ネットワーク70を介して他の本体ユニット10B,10Cに計測開始命令を送信して計測を行わせたり、ネットワーク70を介して他の本体ユニット10B,10Cにデータ送信要求を送信して他の本体ユニット10B,10Cから計測データを取得したりすることができる。
【0075】
〔制御上の構成〕
次に、計測システムの制御に関する構成について説明する。
図5は、本体ユニット10及びセンサアンプ30の構成を概略的に示すブロック図である。
【0076】
〔センサアンプ〕
センサアンプ30は、入力部24、増幅器70、A/Dコンバータ71、演算処理部72、主制御部73、副制御部74、外部メモリ75、内部メモリ76、第1無線通信部91、第2無線通信部92、バッテリ93、及び電源部94を備える。
【0077】
入力部24は、センサアンプ30に接続された各種センサから、物理量を表す入力信号(デジタル信号を含む)が入力されるインターフェースである。また、入力部24には、各種センサ以外の外部機器から入力信号が入力されることもある。
【0078】
増幅器70は、入力部24に入力された入力信号がアナログの信号である場合、そのアナログの信号を増幅する機器である。
A/Dコンバータ71は、増幅器70により増幅されたアナログの入力信号をデジタルの入力信号に変換する機器である(変換手段)。
【0079】
演算処理部72は、A/Dコンバータ71により変換されたデジタルの入力信号を演算処理する演算処理装置(センサアンプ側演算処理手段)であり、例えばDSP(Digital Signal Processor)等により構成される。演算処理部72での演算処理は、例えばFFT(高速フーリエ変換)や、無線通信用に符号化したり復号したりする内容の処理である。なお、演算処理部72は、演算処理を実行する必要がない場合は演算処理を実行しない。
【0080】
主制御部73は、CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)によって構成されている(メインマイコン、マイクロプロセッサ、主制御手段)。主制御部73は、センサアンプ30が行う各種の処理や動作を制御する機能を有している。
【0081】
副制御部74は、CPUによって構成されている(サブマイコン、副制御手段)。また副制御部74は、主制御部73の稼働状態や停止状態を制御する。なお、主制御部73や副制御部74は、発光ダイオードの発光状態等も制御する。
【0082】
外部メモリ75は、センサアンプ30に装着可能な外付けの記憶装置(データ蓄積手段)であり、例えば、マイクロSDカード等である。
【0083】
内部メモリ76は、センサアンプ30に予め備えられている記憶装置(データ蓄積手段)であり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等である。
【0084】
第1無線通信部91は、本体ユニット10の第1無線通信部85と無線通信機能を用いて入力信号(デジタル信号を含む)や各種データを送受信するためのインターフェースである(第1センサアンプ側通信手段)。
また、第1無線通信部91は、高速通信が可能な通信部であり、例えば、通信規格であるIEEE802.11を利用したWi−Fi(ワイファイ、登録商標)を適用することができる。なお、第1無線通信部91は、高速通信が可能であるため、高消費電力の通信部となる。
【0085】
第2無線通信部92は、本体ユニット10の第2無線通信部86と無線通信機能を用いて入力信号(デジタル信号を含む)や各種データを送受信するためのインターフェースである(第2センサアンプ側通信手段)。
また、第2無線通信部92は、第1無線通信部91よりも通信速度が遅い通信部であり、例えば、短距離無線通信規格の1つであるZigBee(ジグビー、登録商標)を適用することができる。なお、第2無線通信部92は、電力の消費量が少なく、第1無線通信部91よりも消費電力が低い通信部となる。すなわち、第1無線通信部91は転送速度が速いが消費電力が高く、第2無線通信部92は転送速度が遅いが消費電力が低い。
【0086】
なお、第1消費電力(高消費電力)は、第2消費電力(低消費電力)よりも消費電力が高い(以下、同様)。また、高速通信は第1通信であり、低速通信は第2通信であり、第1通信は第2通信よりも通信速度が速い(以下、同様)。
【0087】
ここで、センサアンプ30から本体ユニット10にセンサから入力された信号を送信する場合には第1無線通信部85,91を用いて通信を行い、センサアンプ30と本体ユニット10との間で制御信号を送受信する場合には第2無線通信部86,92を用いて通信を行う。
【0088】
バッテリ93は、充電によって繰り返し使用することができる蓄電池によって構成されている。
【0089】
電源部94は、センサアンプ30の稼動源となる装置であり、図示しないACアダプタや乾電池等から電力を取り込むと、そこから必要な電力を生成し、生成した電力を無線通信ユニット30の各部に分配する。なお、バッテリ93は、電源部94から分配された電力を蓄電する。そして、センサアンプ30は、バッテリ93や電源部94からの電力により稼動する。このように、センサアンプ30は、バッテリ93を備えているため、例えば、電池の交換時に電源部94からの電源供給が一時的に停止しても、連続して稼働することができる。
【0090】
ここで、センサアンプ30の主制御部73は、センサアンプ30の第1無線通信部91及び第2無線通信部92を制御する制御部である。また、副制御部74は、主制御部73を制御するとともに、第1無線通信部91及び第2無線通信部92を制御する。副制御部74は、主制御部73よりも消費電力が低い制御部である。また、主制御部73は、センサアンプ30に接続されるセンサの計測状態を制御する。
【0091】
〔本体ユニット〕
本体ユニット10は、制御部81、演算処理部82、外部メモリ83、内部メモリ84、液晶表示装置11、第1無線通信部85、第2無線通信部86、バッテリ87、電源部88、LANポート14、及びUSBポート14aを備える。
【0092】
制御部81は、CPUによって構成されている。制御部81は、本体ユニット10が行う各種の処理や動作を制御する機能を有している。なお、制御部81は、液晶表示装置11からの入力信号に基づいて本体ユニット10の各部を制御し、液晶表示装置11の画像表示等も制御する。
【0093】
演算処理部82は、センサアンプ30から受信した入力信号を演算処理する演算処理装置(本体側演算処理手段)であり、例えばDSP等により構成される。例えば演算処理部82は、FFT(高速フーリエ変換)を行ったり、受信した入力信号に基づいて計測データを生成したりする(データ生成手段)。
【0094】
外部メモリ83は、本体ユニット10に装着可能な外付けの記憶装置であり、例えば、SDカード等である。
【0095】
内部メモリ84は、センサアンプ30に予め備えられている記憶装置であり、例えば、ROMやRAM等である。内部メモリ84には、計測システム100を統括制御したり、デジタルデータを数値化・解析したりするための各種アプリケーションソフトが格納されている。
【0096】
第1無線通信部85は、センサアンプ30と無線通信機能を用いてデータを送受信するためのインターフェースである(第1本体側通信手段)。
また、第1無線通信部85は、高速通信が可能な通信部であり、例えば、通信規格であるIEEE802.11を利用したWi−Fi(ワイファイ、登録商標)を適用することができる。なお、第1無線通信部85は、高速通信が可能であるため、高消費電力の通信部となる。
【0097】
第2無線通信部86は、センサアンプ30と無線通信機能を用いてデータを送受信するためのインターフェースである(第2本体側通信手段)。
また、第2無線通信部86は、第1無線通信部85よりも通信速度が遅い通信部であり、例えば、短距離無線通信規格の1つであるZigBee(ジグビー、登録商標)を適用することができる。なお、第2無線通信部86は、電力の消費量が少なく、第1無線通信部85よりも消費電力が低い通信部となる。すなわち、第1無線通信部85は転送速度が速いが消費電力が高く、第2無線通信部86は転送速度が遅いが消費電力が低い。
【0098】
バッテリ87は、充電によって繰り返し使用することができる蓄電池によって構成されている。
【0099】
電源部88は、本体ユニット10の稼動源となる装置であり、図示しないACアダプタや乾電池等から電力を取り込むと、そこから必要な電力を生成し、生成した電力を本体ユニット10の各部に分配する。なお、バッテリ87は、電源部88から分配された電力を蓄電する。そして、本体ユニット10は、バッテリ87や電源部88からの電力により稼動する。このように、本体ユニット10は、バッテリ87を備えているため、例えば、電池の交換時に電源部88からの電源供給が一時的に停止しても、連続して稼働することができる。
【0100】
LANポート14やUSBポート14aは、図示しない外部機器(パーソナルコンピュータや、ネットワーク上の機器、他の計測機器)に、本体ユニット10を接続するためのインターフェースである。
【0101】
次に、計測データのバッファリング処理について説明する。
計測データのバッファリング処理については、2つの手順例を採用することができる。ここではまず、第1の手順例について説明する。
図6は、計測データのバッファリング処理の第1の手順例について説明するシーケンス図である。
【0102】
〔リアルタイム転送〕
ステップS01:センサアンプ30は、本体ユニット10に入力信号を送信する場合、入力信号を自装置に記憶する(データ蓄積手段)。具体的には、センサアンプ30は、外部メモリ75又は内部メモリ76に入力信号を計測データとして記憶する。このとき、計測データに伝送の順番を示す伝送順番情報(フレームの番号情報等)を付加して計測データを記憶する。
【0103】
ステップS02:センサアンプ30は、本体ユニット10に伝送順番情報を付加した入力信号を送信する。なお、入力信号の送信は、外部メモリ75又は内部メモリ76に記憶されているデータを送信用のバッファに移行させて送信してもよく、センサからの入力信号を直接送信用のバッファに移行させて送信してもよい。
【0104】
ステップS03:そして、本体ユニット10は、センサアンプ30から一連の入力信号を受信し続け、センサアンプ30での計測が終了すると、一連の入力信号の受信が終了する。
【0105】
〔バッチ転送〕
ここで、本体ユニット10は、入力信号に付加された伝送順番情報を確認することにより入力信号の欠落があるか否かを確認することができる。
ここで、何らかの通信障害が発生して、n番目からn+m番目までの入力信号が失われたものとする。
【0106】
ステップS04:この場合、本体ユニット10は、センサアンプ30にn番目からn+m番目までの入力信号の再送要求を送信する(欠落情報通知手段)。再送要求には、入力信号の欠落部分を表す欠落情報が含まれており、本体ユニット10は、第2無線通信部86を通じてセンサアンプ30に再送要求を通知する。
【0107】
ステップS05:センサアンプ30は、本体ユニット10からの再送要求に基づいて、n番目からn+m番目までの入力信号データを外部メモリ75又は内部メモリ76から抽出する抽出処理を実行する。
ステップS06:そして、センサアンプ30は、抽出したn番目からn+m番目までの入力信号データを、本体ユニット10に再送信する(再送実行手段)。具体的には、センサアンプ30は、抽出した欠落部分の入力信号データ(計測データ)を第1無線通信部91を通じて本体ユニット10に再送信する。
【0108】
無線通信であっても、計測データの欠落は許されず、また、作業員は、現時点での最新のデータもモニタリングする必要がある。この点、本制御方式では、この両方の要求を満たした上、かつ、再送する入力信号データは欠落部分のデータのみでよく、再送信するデータの容量を低減させることができる。
【0109】
また、以上説明した第1の手順例によれば、本体ユニット10は、一連の入力信号の受信が終了した後に再送要求処理を実行しているため、センサアンプ30は、本来送信すべきデータの送信が終了した後に欠落部分のバッチ転送を行うことができる。このため、最後のバッチ転送で欠落部分のデータのみをバッチ転送することができ、リアルタイム性を保ちつつ、最終的なデータの取得時間も短縮させることができる。
【0110】
図7は、計測データのバッファリング処理の第2の手順例について説明するシーケンス図である。第1の手順例では、リアルタイム転送が終了した後にバッチ転送を行う手順例で説明したが、第2の手順例はリアルタイム転送の途中でバッチ転送も実行する手順例である。
【0111】
〔リアルタイム転送〕
ステップS10:センサアンプ30は、本体ユニット10に入力信号を送信する場合、入力信号を自装置に記憶する(データ蓄積手段)。具体的には、センサアンプ30は、外部メモリ75又は内部メモリ76に入力信号を計測データとして記憶する。このとき、入力信号に伝送の順番を示す伝送順番情報(フレームの番号情報等)を付加して計測データを記憶する。
【0112】
ステップS12:センサアンプ30は、本体ユニット10に伝送順番情報を付加した入力信号を送信する。
本体ユニット10は、入力信号に付加された伝送順番情報を確認することにより入力信号の欠落があるか否かを確認することができる。
ここで、何らかの通信障害が発生して、n番目からn+m番目までの入力信号が失われたものとする。
【0113】
ステップS14:この場合、本体ユニット10は、センサアンプ30にn番目からn+m番目までの入力信号の再送要求を送信する。すなわち、本体ユニット10は、入力信号に欠落があると判断した時点でセンサアンプ30に対して欠落情報を通知することにより再送要求処理を実行する。
そして、再送要求に基づいてセンサアンプ30が欠落部分の入力信号データを送信した場合、本体ユニット10は、入力信号の受信処理を継続する。
【0114】
ステップS16:一方、本体ユニット10が再送要求を送信したにも関わらず、センサアンプ30が欠落部分の入力信号を再送信しない場合、本体ユニット10は、最新の計測状態をモニタリングするため、センサアンプ30との再送要求処理は一定時間(例えば、数秒程度)でタイムアウトさせる。
【0115】
ステップS18:そして、本体ユニット10は、再送要求処理を一定時間でタイムアウトさせた場合、センサアンプ30から、常に最新の入力信号(一連のデジタル信号)を受信し続ける継続受信処理を実行する(継続受信処理実行手段)。具体的には、本体ユニット10は、第1無線通信部85に一連の入力信号の受信を継続して実行させる。なお、センサアンプ30は、バックアップのため、常に計測データ(入力信号)を外部メモリ75又は内部メモリ76に記憶し続けている。
【0116】
〔バッチ転送〕
ステップS20:そして、本体ユニット10は、センサアンプ30から一連の入力信号を受信し続け、センサアンプ30での計測が終了すると、一連の入力信号の受信が終了する。
【0117】
ステップS22:本体ユニット10では、入力信号に付加された伝送順番情報を確認することにより入力信号の欠落部分を把握することができるため、本体ユニット10は、n番目からn+m番目までの入力信号データのみを再送要求する再送要求を送信する。
【0118】
ステップS24:センサアンプ30は、本体ユニット10からの再送要求に基づいて、n番目からn+m番目までの入力信号データを外部メモリ75又は内部メモリ76から抽出する抽出処理を実行する。
ステップS26:そして、センサアンプ30は、抽出したn番目からn+m番目までの入力信号データを、本体ユニット10に再送信する(再送実行手段)。
【0119】
以上説明した第2の手順例によれば、データの欠落が判明した時点で再送要求処理を実行することにより、リアルタイム性をより向上させつつ、最新の計測データをモニタリングし続けることができる。ただし、第2の手順例では、通信障害が復旧しない場合は再送要求処理を一定時間で切り上げることにしており、再送要求処理をいつまでも継続しないことにして、再送要求処理によるリアルタイム性が損なわれることを回避している。
【0120】
次に、通常電力モード及び低消費電力モードについて説明する。
図8は、通常電力モードや低消費電力モードに移行させる際の手順例について説明するシーケンス図である。
【0121】
〔通常時〕
ステップS30:本体ユニット10は、センサアンプ30に入力信号の送信を要求する(データ送信要求)。
ステップS32:センサアンプ30は、本体ユニット10からのデータ送信要求に基づいて、本体ユニット10に入力信号を送信する。データの転送は、第1無線通信部85を用いて通信を行う。
【0122】
〔低消費電力モード移行時〕
ステップS34:本体ユニット10にて、しばらく入力信号が不要な場合(例えば、砲撃音の計測の場合における砲撃と砲撃の間の時間帯。)、本体ユニット10は、センサアンプ30を通常電力モードから通常電力モードよりも消費電力を低下させた低消費電力モードに移行させると判断する。この場合、本体ユニット10は、第2無線通信部86を通じて、低消費電力モードに移行させる内容のスリープ命令(低消費電力モード移行命令)をセンサアンプ30の副制御部74に通知する(低消費電力モード移行命令通知手段)。
【0123】
ステップS40:スリープ命令を受信したセンサアンプ30の副制御部74は、自装置の主制御部73及び第1無線通信部91、もしくは第1無線通信部91のみを稼働状態から停止状態に移行させる。
【0124】
ここで、本実施形態では、2種類の低消費電力モードを採用している。1つ目のモードは、第1無線通信部91を稼働状態から停止状態に移行させ、主制御部73を動作させて計測状態を維持する(センサに計測を継続させる)モードである(半スリープモード;第1低消費電力モード)。2つ目のモードは、第1無線通信部91だけでなく主制御部73も稼働状態から停止状態に移行させて、主制御部73を非計測状態に移行させる(センサでの計測を停止させる)モードである(完全スリープモード;第2低消費電力モード)。
【0125】
2種類のモードの選択は、スリープ命令に含まれるモード選択情報によって行われ、センサアンプ30は、第1低消費電力モードに対応するスリープ命令の通知を受けた場合は第1無線通信部91を稼働状態から停止状態に移行させる。
また、センサアンプ30は、第2低消費電力モードに対応するスリープ命令の通知を受けた場合は主制御部73及び第1無線通信部91を稼働状態から停止状態に移行させる。
【0126】
いずれにしても、スリープ命令を受信した場合は、主制御部73やセンサアンプ30の第1無線通信部91を低消費電力モードに移行させることができる(低消費電力モード移行手段)。ただし、副制御部74及び第2無線通信部92は、低消費電力で動作している。これにより、消費電力を大きく低減させることができる。
【0127】
〔通常電力モード移行時〕
ステップS42:本体ユニット10は、センサアンプ30を低消費電力モードから通常電力モードに移行させる場合、第2無線通信部86を通じて通常電力モードに移行させる内容のウェイクアップ命令(通常電力モード移行命令)をセンサアンプ30の副制御部74に送信する(通常電力モード移行命令通知手段)。
【0128】
ステップS46:センサアンプ30の副制御部74は、ウェイクアップ命令を受信した場合、停止状態の主制御部73及び停止状態の第1無線通信部91について停止状態から稼働状態に移行させる(通常電力モード移行手段)。
【0129】
これにより、センサアンプ30の主制御部73及び第1無線通信部91を通常電力モードに移行させることができる。
なお、センサアンプ30は、ウェイクアップ命令を受信しなくても、一定時間経過後(例えば数分後や数時間後)に、低消費電力モードから通常電力モードに移行することにしてもよい。
【0130】
ステップS48:センサアンプ30は、低消費電力モードから通常電力モードに移行した旨の状態通知を行う。これにより、本体ユニット10は、センサアンプ30がデータ送信要求(ステップS30参照)を受付可能な状態であることを認識することができる。
その後、本体ユニット10は、上記ステップS30及びステップS32により入力信号(計測データ)を取得することができる。
【0131】
ここで、物理量(例えば騒音や振動)の計測では,数分程度(30分程度)に1回データを送信する等といったように、常時モニタリングしていなくてもよい場合がある。また、作業員が立ち入りできない、又は立ち入り困難なエリアにセンサアンプ30を設置する場合もある。
このような場合、本実施形態では、対象とする計測の開始時間が到来したときに、本体ユニット10からウェイクアップ命令を送信し、センサアンプ30に計測を開始させることができるので、必要な場面でのみセンサアンプ30を動作させて電力の消費を節約し、省電力化を図ることができる。
【0132】
次に、負荷分散処理について説明する。
図9は、負荷分散処理の手順例について説明するシーケンス図である。負荷分散処理は、センサアンプ30と本体ユニット10とが協働して動作することにより、演算処理(例えばFFT)の負荷を分散させる処理である。特に図示はしていないが、センサアンプ30には複数のセンサが接続されており、センサアンプ30では多チャンネルでの計測となる。
【0133】
ステップS50:センサアンプ30は、演算量判定処理を実行する。具体的には、センサアンプ30は、演算量が規定値(チャンネル数(入力信号の本数))を超えるか否かを判定する。演算量判定処理は、予め定められた演算処理の取り決めに関する設定内容に基づいて実行される。設定内容は、本体ユニット10側で管理される情報であり、負荷分散処理を実行する際には、本体ユニット10からセンサアンプ30に設定内容に関する情報が送信される。なお、設定内容に関する情報は、センサアンプ30において管理していてもよい。
ここでは、センサアンプ30は、チャンネル数が規定値を超える(例えば3チャンネル)と判断したものとする。
【0134】
ステップS52:所定以上のチャンネル数の場合、センサアンプ30は、規定値(例えば2チャンネル)分の入力信号を、本体ユニット10に送信する。ここで送信される入力信号は、いまだ演算処理が行われていないデータである(未演算)。具体的には、センサアンプ30は、未演算の入力信号を第1無線通信部91を通じて本体ユニット10に送信する。
【0135】
ステップS54:センサアンプ30は、自装置の演算処理部72で演算処理を実行する(センサアンプ側演算処理手段)。ここで実行される演算処理は、規定値を超えた分(残りの1チャンネル分)の入力信号の演算処理である。
ステップS56:同様に、本体ユニット10は、自装置の演算処理部82で演算処理を実行する(本体側演算処理手段)。具体的には、本体ユニット10は、規定値分の入力信号を自装置の演算処理部82で演算処理する。
【0136】
ステップS58:センサアンプ30は、演算処理が終了した入力信号を、本体ユニット10に送信する。ここで送信される入力信号は、すでに演算処理が実行されたデータである(演算済み)。具体的には、センサアンプ30は、演算済みの入力信号を第1無線通信部91を通じて本体ユニット10に送信する。
【0137】
このように、本体ユニット10での演算量が膨大であり、本体ユニット10で入力信号を処理しきれない場合には、センサアンプ30でも演算処理を分担することができ、結果として、演算処理の分散化を図り、ハードウエア資源を有効に活用することができる。
【0138】
次に、ネットワークトリガ処理について説明する。
図10は、ネットワークトリガ処理の手順例について説明するシーケンス図である。
ここで、ネットワークトリガ処理を実行する場合、本体ユニット10を複数台用意する。そして、複数の本体ユニット10を所定のネットワーク(例えばネットワーク70)を介して接続する。なお、ネットワークトリガ処理とは、ネットワーク上で発生させたトリガ(例えば、計測を開始させるための信号)に基づいて、そのネットワークに属する機器が動作を開始する処理である。
そして、複数の本体ユニット10のうちいずれか1つの本体ユニットは、他の本体ユニットを管理する管理ユニットとなる。
【0139】
図示の例では、3台の本体ユニット10(10A〜10C)を示しており、左側の本体ユニット10Aを管理ユニットとし、右側2つの本体ユニット10B,10Cを本体ユニット10Aに管理される通常ユニットとしている。
また、各本体ユニット10には、それぞれセンサアンプ30が無線により接続されている。特に図示はしていないが、センサアンプ30には、各種センサが取り付けられている。
【0140】
ステップS60:本体ユニット10Aは、所定のネットワークを介して、本体ユニット10B及び本体ユニット10Cに物理量の計測を開始させる内容の計測開始命令を送信する(計測開始命令通知手段)。
【0141】
ステップS62:本体ユニット10Aは、計測開始命令を送信した場合、本体ユニット10Aに接続されているセンサアンプ30に計測開始指示(制御信号)を送信し、物理量に関する計測を開始させる。
【0142】
ステップS64,S66:本体ユニット10B及び本体ユニット10Cは、計測開始命令を受信した場合、本体ユニット10B及び本体ユニット10Cに接続されている計測ユニットに計測開始指示を送信し、本体ユニット10B及び本体ユニット10Cに接続されているセンサに物理量に関する計測を開始させる(計測実行手段)。
【0143】
このため、本制御方式によれば、計測開始命令を利用することにより、管理ユニットとなる本体ユニット10Aからの情報に基づいて、残りの本体ユニット10B,10Cを連動して動作させることができ、遠隔地にある本体ユニット10やセンサアンプ30を効率よく制御することができる。
【0144】
図11は、1つの本体ユニット10に複数のセンサアンプ30が接続されている際の計測処理の手順例について説明するシーケンス図である。
図示の例では、1つの本体ユニット10に、2つのセンサアンプ30(30A,30B)が接続されており、1つの本体ユニット10が2つのセンサアンプ30A,30Bを管理する。特に図示はしていないが、センサアンプ30A,30Bには、各種センサが取り付けられている。
【0145】
ステップS70:本体ユニット10は、センサアンプ30Aに物理量の計測を開始させる内容の計測開始命令を送信する(計測開始命令通知手段)。具体的には、本体ユニット10は、第1無線通信部85を通じてセンサアンプ30Aに計測開始命令を通知する。
【0146】
ステップS72:また本体ユニット10は、これと同時にセンサアンプ30Bに対しても、物理量の計測を開始させる内容の計測開始命令を送信する(計測開始命令通知手段)。具体的には、本体ユニット10は、第1無線通信部85を通じてセンサアンプ30Bにも計測開始命令を通知する。
【0147】
ステップS74,S76:センサアンプ30A及びセンサアンプ30Bは、計測開始命令を受信した場合、センサアンプ30A及びセンサアンプ30Bに接続されているセンサに物理量の計測を開始させる。
【0148】
ステップS78:物理量の計測が開始されると、センサアンプ30Aは入力信号を本体ユニット10に送信する。
ステップS80:またセンサアンプ30Bも同様に、物理量の計測を開始すると、入力信号を本体ユニット10に送信する。
【0149】
このように、本処理手順によれば、計測開始命令を利用して、1台の本体ユニット10に接続される複数のセンサアンプ30A,30Bを連動して動作させることができ、離れた位置にある複数のセンサアンプ30A,30Bに接続されるセンサに、同時に計測を開始させることができる。
【0150】
ここで、本体ユニット10は、2つのセンサアンプ30A,30Bに対して同時期に計測開始命令を送信しているため、センサアンプ30A,30Bから入力信号を受信する場合も同時期となることが想定される。このように、1つの本体ユニット10に、複数のセンサアンプ30を接続している場合、通信帯域が足りなくなることがあるため、その場合は以下の時分割通信処理を実行する。
【0151】
図12は、本体ユニット側時分割通信処理の手順例を示すフローチャートである。
ステップS100:本体ユニット10の制御部81は、通信帯域確認処理を実行する。この処理は、本体ユニット10に対して多くのセンサアンプ30が接続される場合、全ユニットから同時に計測データを取得することができる通信帯域を確保できるか否かを確認する処理である。
【0152】
ステップS102:そして、制御部81は、時分割通信処理の実行条件を満たすか否かを確認する。具体的には先の通信帯域確認処理により所望の通信帯域が確保されているか否かを確認する。
その結果、時分割通信処理の実行条件を満たさないと判断した場合(No)、制御部81は次にステップS104を実行し、時分割通信処理の実行条件を満たすと判断した場合(Yes)、制御部81は次にステップS106を実行する。
【0153】
ステップS104:制御部81は、通常通信処理を実行する。この処理を実行する場合は、全ユニットから同時に計測データを取得することができる通信帯域が確保できている状況であるため、制御部81は、それぞれのセンサアンプ30から入力信号を受信する。
【0154】
ステップS106:制御部81は、時分割通信処理を実行する。この処理を実行する場合は、全ユニットから同時に計測データを取得することができる通信帯域を確保できていない状況であるため、制御部81は、それぞれのセンサアンプ30から時間分割で逐次、入力信号を受信する。時分割通信処理を実行する際には、制御部81は、分割した時間に応じて各センサアンプ30に対して入力信号の送信実行要求を送信したり、入力信号の送信停止要求を送信したりする。
なお、本体ユニット10は、以上の処理(ステップS100〜ステップS106)を繰り返し実行することにより、通常通信処理又は時分割送信処理のいずれかを選択することができる。
【0155】
図13は、センサアンプ側時分割通信処理の手順例を示すフローチャートである。
ステップS200:センサアンプ30の主制御部73は、本体ユニット10から送信実行要求を受信したか否かを確認する。
その結果、本体ユニット10から送信実行要求を受信したと判断した場合(Yes)、主制御部73は次にステップS202を実行し、本体ユニット10から送信実行要求を受信していないと判断した場合(No)、主制御部73はステップS202を実行しない。
【0156】
ステップS202:主制御部73は、入力信号送信実行処理を実行する。この処理により、センサアンプ30から本体ユニット10に入力信号が送信される。
【0157】
ステップS204:主制御部73は、本体ユニット10から送信停止要求を受信したか否かを確認する。
その結果、本体ユニット10から送信停止要求を受信したと判断した場合(Yes)、主制御部73は次にステップS206を実行し、本体ユニット10から送信停止要求を受信していないと判断した場合(No)、主制御部73はステップS206を実行しない。
【0158】
ステップS206:主制御部73は、入力信号送信停止処理を実行する。この処理により、本体ユニット10に対して入力信号を送信している場合は、入力信号の送信が停止される。
なお、センサアンプ30は、以上の処理(ステップS200〜ステップS206)を繰り返し実行することにより、時分割送信処理を実行することができる。
【0159】
そして、このような時分割通信処理を実行することにより、複数のセンサアンプ30から同時にデータを取得することができる通信帯域を確保することができない場合であっても、本体ユニット10は、各センサアンプ30から時間分割で、その都度計測データ(入力信号)を収集することができる。
【0160】
〔計測シーンの例〕
次に、計測システム100の好適な計測シーンについて説明する。
【0161】
〔屋内多点計測、騒音又は振動の計測〕
図14は、屋内多点計測、騒音又は振動の計測の様子を示す図である。
屋内多点計測は、例えばマンション等の集合住宅300における騒音や振動等の計測である。屋内多点計測では、集合住宅300の外部から建物内の騒音や振動を計測するとともに、複数の部屋での計測を同時に多点で計測する場合が多い。同じ階や近接階であれば、ケーブルを引き回して多点を同時に計測することができるが、それでも作業員の労力は相当なものとなる。しかも、離れた階の同時多点計測は、あきらめざるを得ず、それぞれの階ごとに計測する必要がある。
【0162】
この点、本実施形態の計測システム100を利用すれば、このような計測シーンであっても容易に同時計測が可能になる。図示の例では、本体ユニット10を集合住宅300の外部に配置し、騒音計46を取り付けたセンサアンプ30を集合住宅300の2階と4階に配置している。そして、本体ユニット10に対しては、センサアンプ30から計測データが無線により送信されてくる。
【0163】
このため、作業員は、本体ユニット10を確認しながら、現場の状況をリアルタイムでモニタリングすることができる。しかも、現場でモニタリングをしながら、異常な騒音源を発見した場合、作業員は騒音計46を取り付けたセンサアンプ30を随時追加することができ、計測点を柔軟に増加させることができるので、騒音の原因となっていそうなポイントを逐次に追加計測することができる。
【0164】
また図示の例では、車道400の左側のビル402内や、車道400の右側の建物404にも騒音計46を取り付けたセンサアンプ30を配置している。
さらに、車道400の両脇には、騒音計46のみならず振動レベル計48を取り付けたセンサアンプ30を配置している。このため、本計測例では、道路に面する地域の広範囲な計測が可能となる。
【0165】
また、音響データの計測中に自動車が通過して信号の転送が途切れた場合でも、上述したリアルタイム転送やバッチ転送を実行することで、計測データの欠落を発生させずに、計測を完了させることができる。
【0166】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)センサアンプ30は、無線通信で送信する信号を自装置に記憶しているため、無線通信におけるデータの欠落に柔軟に対応することができる。
(2)本体ユニット10、センサアンプ30は、種類の異なる2つの無線通信部を状況によって使い分けることで、効率よく省電力化を実現することができる。
【0167】
(3)本体ユニット10において、入力信号を処理しきれない場合には、処理しきれない分の信号をセンサアンプ30にて演算処理を補助することができるので、演算処理の分散化を図り、ハードウエア資源を有効に活用することができる。
(4)本体ユニット10からの計測開始命令を利用して、複数のセンサアンプ30A,30Bに接続されるセンサに計測を開始させることができるので、時刻の同期に関して統率のとれた計測を行うことができる。
【0168】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。また、上述した計測シーン以外にも様々な計測シーンで本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0169】
10 本体ユニット
30 センサアンプ
100 計測システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14